JPH087514B2 - 画像加熱定着装置 - Google Patents

画像加熱定着装置

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JPH087514B2
JPH087514B2 JP63319230A JP31923088A JPH087514B2 JP H087514 B2 JPH087514 B2 JP H087514B2 JP 63319230 A JP63319230 A JP 63319230A JP 31923088 A JP31923088 A JP 31923088A JP H087514 B2 JPH087514 B2 JP H087514B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、複写機・レーザビームプリンタ・ファクシ
ミリ・マイクロフィルムリーダプリンタ・画像表示(デ
ィスプレイ)装置・記録機等の画像形成装置に組み込む
画像加熱定着装置に関する。
更に詳しくは、電子写真・静電記録・磁気記録等の適
宜の画像形成プロセス手段により加熱溶融性の樹脂等よ
り成るトナーを用いて記録材(エレクトロファックスシ
ート・静電記録シート・転写材シート・印刷紙など)の
面に直接方式もしくは間接(転写)方式で目的の画像情
報に対応した未定着のトナー画像を形成担持させ、該未
定着のトナー画像を該画像を担持している記録材面に永
久固着画像として加熱定着処理する方式の定着装置に関
する。
(従来の技術) 従来、加熱定着式の画像定着装置としては、所定の温
度に維持された加熱ローラと、弾性層を有して該加熱ロ
ーラに圧接する加圧ローラとによって、未定着のトナー
画像が形成された記録材を挟持搬送しつつ加熱するロー
ラ定着方式が多用されている。
しかしながら、この種の装置では、加熱ローラにトナ
ーが転移するいわゆるオフセット現象を防止するため
に、加熱ローラを最適な温度に維持する必要があり、加
熱ローラあるいは加熱体の熱容量を大きくしなければな
らなかった。すなわち、加熱ローラの熱容量が小さい場
合には、発熱体による供給熱量との関係により通紙ある
いは他の外的要因で加熱ローラ温度が低温側あるいは高
温側に大きく変動し易くなる。低温側に変動した場合に
は、トナーの軟化溶融不足によって、定着不良や低温オ
フセットを生じ、高温側に変動した場合には、トナーが
完全に溶融してしまいトナーの凝集力が低下するため
に、高温オフセットを生ずる。
この問題を回避するために、加熱ローラの熱容量を大
きくすると、加熱ローラを所定の温度まで昇温するため
の時間が長くなり、装置の使用の際に待機時間が大きく
なるという別の問題が生ずる。
かかる問題を解決する方策として米国特許第3,578,79
7号明細書に開示されているように、 トナー像を加熱体ウエブに接触させてその融点へ加
熱して溶融し、 溶融後、そのトナーを冷却して比較的高い粘性と
し、 トナーの付着する傾向を弱めた状態で加熱体ウェブ
から剥す、 という過程を経ることによって、オフセットを生じさせ
ずに定着する方式が知られている。
上記公知の方式では、これに加えて加熱体に対して、
トナー像及び記録材を加圧圧接することなしに加熱する
方式をとっているので、記録材を加熱する必要がなく他
の方法に較べてはるかに少ないエネルギーでトナーを溶
融できるとしている。しかしながら、周知のごとく加圧
圧接させることなく加熱体に接触した場合は、熱伝達効
率が低下し、トナーの加熱溶融に比較的長時間を要す
る。
そこで特公昭51-29825公報(特願昭47-25896号)に、
これに公知の加圧圧接技術を付加して熱伝達率の向上を
図りトナーの加熱溶融を短時間でしかも十分に行うこと
が提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、この公報に開示の装置では、トナーの
加熱を比較的短時間でしかも十分行えるようにするため
に、 一対の加熱体の間にトナー像及び記録材を加圧挟持
させて加熱し、 加熱を停止して後強制的に冷却する、 方式をとっているので、定着に要するエネルギーが大き
くなるという不都合を生ずる。すなわち、一対の加熱体
により加熱させることによりトナー像は上下から加熱さ
れるので、一見効率的に考えられるが、逆にトナー像を
記録材側から加熱するには、先ず記録材を十分に加熱す
ることが必要であり、そのためにかえって大きなエネル
ギーが必要となる。さらに、冷却工程においてはトナー
像を加熱する際に加熱昇温した記録材をも冷却しなけれ
ば分離できず、強制的な冷却手段が必要となっておりエ
ネルギーの無駄が大きい。
以上のように、一旦加熱したトナーを冷却した後に分
離することにより、高温オフセットを生ずることなく定
着する方式が提案されているが、上記のごとくの欠点を
伴うために実用化されていない。
上記2つの提案例では加熱体は加熱ローラ及びこれに
より送られるウェブと加熱ローラに内蔵された発熱源と
によって構成されていて加熱ウェブを介して行われ、ウ
ェブの搬送ローラとしての機能を有している。このた
め、発熱源への給電方法や温度検知素子の当接支持の形
態が複雑化し、また、温度制御の精度も悪くなりがちで
あった。さらには、温度検知素子が加熱ローラと摺動す
る構成では断線による過昇温が生ずる等安全上の問題も
あった。しかも、上述2例の場合ともに比較的大きな熱
容量の加熱体を必要とするために、機内への放熱が増大
し、機内昇温が著るしくなるという不都合もあった。
本発明は、上述の従来装置の有していた問題点を解決
し、定着不良やオフセットを生ずることなく加熱体の熱
容量を小さくすることを可能とし、その結果、待機時間
や消費電力、さらには機内昇温の小さい、また加熱体へ
の印加電圧や加熱体の抵抗値が変動しても、定着工程に
おける加熱部の最高温度を一定に保たせて定着ムラ等の
定着不良を生じない等の特長を有する定着装置を提供す
ることを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、加熱体と、一面側が加熱体と摺動し他面側
が未定着トナー像を担持した記録材と接し共に移動する
フィルムと、加熱体の温度を検知する温度検知手段と、
加熱体への通電を制御する通電制御手段と、を有し、フ
ィルムを介した加熱体からの熱により未定着トナー像を
記録材上に加熱定着する定着装置において、未定着トナ
ー像を加熱する定着工程の前に上記加熱体へ通電を行う
仮通電工程を設け、上記制御手段は仮通電工程での上昇
率に応じて定着工程時の通電比率を切り換えることを特
徴とする定着装置である。
(作用) (1) フィルム即ち定着フィルムは一般的には加圧部
材により加熱体に圧接されて走行移動され、該定着フィ
ルムと加圧部材との間に導入された画像定着すべき記録
材は、定着フィルム面に未定着トナー画像担持側の面が
密着して定着フィルムと一緒の重なり状態で加熱体と加
圧部材との相互圧部即ち定着ニップ部を挟圧力を受けつ
つ互いに速度差による面ズレを生じたり、しわ寄ったり
することなく一体的に重なり密着して通過していく。
加熱工程 この定着ニップ部通過過程で記録材面の未定着トナー
画像が定着フィルムを介して加熱体の加熱部の熱によっ
て加熱軟化・溶融され、特に、その表層部はトナー融点
を大きく上回り完全に軟化・溶融する。この場合加熱体
と加圧部材の相互圧接部において加熱体・定着フィルム
・トナー画像・記録材は加圧部材によって良好に押圧密
着されて効果的に熱伝達されることにより、短い時間の
加熱によってトナーは十分に軟化・溶融されて良好な定
着性が得られる。一方記録材自体の昇温は実際上極めて
小さく熱エネルギーの無駄が少ない。つまり実質的に記
録材自体は加熱せず、トナーのみを効果的に加熱軟化・
溶融して低電力でトナー画像の加熱定着を良好に実行で
きる。
ここで本発明で記述されるトナーの軟化・溶融に関し
て注記する。トナーの「融点」と便宜的に表現している
温度は、トナーが定着するために最低必要な温度を意味
しており、その定着下限温度で、溶融といえる程粘度が
低下する場合や、軟化といった程度の粘度低下の場合が
ある。したがって定着する際に溶融と便宜的に表現して
いる場合でも、実際には軟化といった程度の粘度低下を
示している場合がある。本発明ではこのような場合も含
む。同様に、トナーが冷却固定したと便宜的に表現して
いる場合も、トナーによっては固化とはいえず高粘度化
といった方が適切である場合がある。本発明ではこのよ
うな場合も含む。
冷却工程 定着フィルム面に密着して定着ニップ部を順次に通過
するトナー画像加熱軟化・溶融済みの記録材部分は定着
ニップ部通過後も定着フィルム面に密着させたままの搬
送を引続きしばらく続行させ、この間を冷却工程として
前記加熱工程で軟化・溶融させたトナーの熱を放熱させ
てトナーを冷却固定させる。この冷却固化でトナーの凝
集力は非常に大きくなって一団となって挙動することに
なり、又記録材側に対する粘着・固着力が増大する一
方、定着フィルム側に対するそれは極めて低下してい
く。記録材に対してはトナーは前記加熱工程で加熱軟化
・溶融された際加圧部材によって加圧されるため、少な
くともトナー画像の一部は記録材表面層に浸透し、その
浸透分の冷却固化によるアンカー効果で冷却固化トナー
の記録材側に対する粘着・固着力が増大する。
離反(分離)工程 上記の冷却工程によりトナー画像の冷却固化がなされ
た後、定着フィルム面から記録材を順次に離反させる。
この離反時にはトナー画像は冷却固化で記録材に対する
粘着・固着力が十分に大きく、定着フィルムに対するそ
れは極めて小さい状態となっているから、画像定着済み
の記録材部分は定着フィルムに対するトナーオフセット
を発生することなく容易に順次に分離されていく。
かくして走行する定着フィルム面に未定着トナー画像
担持面が面するように画像定着すべき記録材を同一速度
で上記定着フィルムに密着走行せしめ、該定着フィルム
を介して加熱体によりトナー画像を加熱溶融せしめ、ト
ナー像が冷却固定化した後に記録材と定着フィルムとを
離反させているので定着フィルムに対するトナーオフセ
ットを発生することがなく、かつ熱容量の小さい発熱体
を用い、その発熱体への給電を簡素な構成のもとに行な
うことが可能となり、定着するためにトナーを昇温させ
るべき温度(融点または軟化点)に対して、十分に高い
温度の加熱体を維持することによってトナー画像を効率
的に加熱することが可能となり、少ないエネルギーで定
着不良のない十分良好な定着が可能となり、その結果、
装置使用時の待機時間や、消費電力、さらには機内昇温
の小さな画像形成装置を得るという効果を奏する。
なお、上記の分離工程において定着フィルムと記録
材との分離部位置でトナーは必ずしも冷却固化していな
くともよい。又上記加熱・冷却・分離の3つの工
程のうち、トナーが高温で十分に溶融するものであれば
(トナーの加熱溶融時の粘度が十分に高ければ)加熱工
程でトナーを十分に高温溶融させたら直ちに(トナー温
度が融点以上のときに)記録材を定着フィルム面から分
離させて加熱工程後の冷却工程は廃止する構成にしても
よく、本発明の範ちゅうに属するものである。
(2) 上記のようなフィルム加熱方式の定着装置にお
いて加熱体の加熱部は定着時の極大温度が所定の範囲に
変動なく安定に維持されることが定着ムラ等のない定着
画像を出力させる上で重要である。
ところが加熱体の発熱体の抵抗値の個体差、発熱
体の抵抗値の経時変化、発熱体への印加電圧変動(特
にAC電源を整流平滑回路によりDC化する電源を用いた場
合には、AC電源電圧が変動すればそれに比例してDC印加
電圧も変動する)等の原因により発熱体への供給電力が
変動し易く、そのため発熱体への通電制御を常に同一条
件で行なうと、 1) 供給電力が規定値を上まわった時には加熱部の極
大温度が適切な温度範囲を越えて上昇し、加熱部に圧接
する定着フィルムが過昇温して損傷する恐れがある。ま
た、無駄な放熱が増大し、機内昇温が大きくなる。
2) 供給電力が規定値を下まわった時には加熱部の極
大温度が適切な温度範囲を下まわり、定着不良をまねく
恐れがある。
本発明は前記したように、未定着トナー像を加熱する
定着工程の前に上記加熱体へ通電を行う仮通電工程を設
け、上記制御手段は仮通電工程での検知温度の上昇率に
応じて定着工程時の通電比率を切り換えることにより、
フィルムを用いた応答性の極めて早い定着装置であって
も定着工程時の通電比率切り換えが間に合い、加熱体へ
の印加電圧や加熱体の抵抗値が変動しても定着工程にお
ける加熱部の最高温度を一定に保つことができ、定着ム
ラ等の定着不良を生じさせずに良好な定着画像を安定に
出力させることができる。
(実施例) 〈実施例−1〉 第3図は本発明に従う画像加熱定着装置20を組み込ん
だ画像形成装置の一例を概略構成を示している。本例の
画像形成装置は原稿載置台往復動型・回転ドラム・転写
式の電子写真複写装置である。
(1) 複写装置の全体的概略構成 第3図において、100は装置機筐、1は該機筐の上面
板100a上に配設したガラス板等の透明板部材よりなる往
復動型の原稿載置台であり、機筐上面板100a上を図面上
右方a、左方a′に夫々所定の速度で往復移動駆動され
る。
Gは原稿であり、複写すべき画像面側を下向きにして
原稿載置台1の上面に所定の載置基準に従って載置し、
その上に原稿圧着板1aをかぶせて押え込むことによりセ
ットされる。
100bは機筐上面板100a面に原稿載置台1の往復移動方
向とは直角の方向(紙面に垂直の方向)を長手として開
口された原稿照明部としてのスリット開口部である。原
稿載置台1上に載置セットした原稿Gの下向き画像面は
原稿載置台1の右方aへの往復移動過程で右辺側から左
辺側にかけて順次にスリット開口部100bの位置を通過し
ていき、その通過過程でランプ7の光L1をスリット開口
部100b、透明な原稿載置台1を通して受けて照明走査さ
れる。その照明走査光の原稿面反射光が短焦点小径結像
素子アレイ2によって感光ドラム3面に結像露光され
る。
感光ドラム3は例えば酸化亜鉛感光層・有機半導体感
光層等の感光層が被覆処理され、中心支軸3aを中心に所
定の周速度で矢示bの時計方向に回転駆動され、その回
転過程で帯電器4により正極性又は負極性の一様な帯電
処理を受け、その一様帯電面に前記の原稿画像の結像露
光(スリット露光)を受けることにより感光ドラム3面
には結像露光した原稿画像に対応した静電潜像が順次に
形成されていく。
この静電潜像は現像器5により加熱で軟化溶融する樹
脂等より成るトナーにて順次に顕像化され、該顕像たる
トナー画像が転写部としての転写放電器8の配設部位へ
移行していく。
Sは記録材としての転写材シートPを積載収納したカ
セットであり、該カセット内のシートが給送ローラ6の
回転により1枚宛繰出し給送され、次いでレジストロー
ラ9により、ドラム3上のトナー画像形成部の先端が転
写放電器8の部位ひ到達したときに転写材シートPの先
端も転写放電器8と感光ドラム3との間位置に丁度到達
して両者一致するようにタイミングどりされて同期給送
される。そしてその給送シートの面に対して転写放電器
8により感光ドラム3側のトナー画像が順次に転写され
ていく。
転写部でトナー画像転写を受けたシートは不図示の分
離手段で感光ドラム3面から順次に分離されて搬送ガイ
ド10によって後述する定着装置20に導かれて担持してい
る未定着トナー画像の加熱定着処理を受け、画像形成物
(コピー)として機外の排紙トレイ11上に排出される。
一方、トナー画像転写後の感光ドラム3の面はクリー
ニング装置12により転写残りトナー等の付着汚染物の除
去を受け、全面露光L2による除電を受けて電気的残留メ
モリの消去がなされて繰り返して画像形成に使用され
る。
PH1は給送ローラ6とレジストローラ9との間のシー
トパス部分に配設した給紙検出センサ(例えばフォトセ
ンサ)、PH2は定着装置20の次位に配設した排紙検出セ
ンサ(同)である。
(2) 定着装置20 第1図は画像定着実行状態にある定着装置20部分の拡
大図でる。
24は定着フィルムを送出し軸であり、所望の設定長さ
分の定着フィルム23をロール巻きに巻回させてあり、そ
の定着フィルム23の先端部は定着フィルム巻取り軸27に
係止させてある。定着フィルム23は本実施例のものは耐
熱処理した例えば厚さ6μmのPET(ポリエステル)を
基材とする薄肉プラスチック長尺フィルムである。
21・22は軸24・27間の定着フィルム部分の上面側と下
面側とに夫々対向させて配設した加熱体と加圧ローラで
ある。加熱体21と加圧ローラ22は不図示の付勢手段によ
り定着フィルム23を挟んで常時押圧付勢されて所望の当
接圧(たとえばA4幅で総圧4〜6Kg)与えられている。2
6・33はその加熱体21と加圧ローラ22の次位に定着フィ
ルムの上面側と下面側とに夫々対向させて配設した曲率
の大きい(曲率の強い、半径の小さい)分離上ローラと
分離下ローラである。32は加圧ローラ22と分離下ローラ
33との間に配設したガイド板であり、このガイド板は加
熱体21と分離上ローラ26との間に展張状態の定着フィル
ム部分の下面に所定の隙間間隔を存して或は軽く接して
略平行に対向している。加圧ローラ22は金属等より成る
芯材上にシリコンゴム等より成る弾性層を有するもので
ある。分離上ローラ26及び分離下ローラ33は回転フリー
のローラである。
巻取り軸27は不図示の駆動系により矢示の時計方向に
回転駆動され、これにより定着フィルム23が送出し軸24
側から巻取り軸27側へ、画像形成部(転写部8)からガ
イド10を介して定着装置20へ搬送されるシートPの搬送
速度と同一速度で同一方向に巻取り走行される。加圧ロ
ーラ22は不図示の駆動系によりシートPの搬送速度とほ
ぼ同一の周速度をもって矢示の反時計方向に回転駆動さ
れる。
30は送出し軸24側の巻回定着フィルム23の外面に接触
させた定着フィルムの残量センサアームであり、定着処
理の実行による巻取り軸27側への定着フィルムの順次移
行に伴なう巻径の逐次減少からセンサ30aで残量を検知
し、フィルムが終端近くなった場合に使用者に警告表示
ないしは警告音で定着フィルムの交換を促す。
29・25はトナー画像転写部8から定着装置20へ至る転
写材搬送ガイド10における定着装置20寄りの下面側に配
設したシート検知センサと同レバーである。レバー25に
先端部は自由状態においてガイド10に設けた透孔10aか
らガイド10に上面側に突出している。この状態において
センサ29はオフである。ガイド10の上面に沿って転写部
8側から定着装置20側へ転写材シートPが搬送されて上
記レバー25の突出先端がシートPの先端でけられること
によりシートPの裏面側にもぐって透孔10a内へ沈み回
動する。このレバー25の沈み回動によりセンサ29がオン
となり、シートPのセンサ位置への到達が制御回路(不
図示)に検知される。レバー25はシートPが該レバー位
置を通過し終るまでシートPの裏面に接触して押圧され
ていることによりその間は沈み回動状態に保持され、従
ってセンサ29のオン状態が保持される。その後シートP
の後端がレバー25の位置を通過してレバー25とは縁が切
れた時点でレバー25は自由状態になり再び透孔10aから
先端部が突出した姿勢に戻り回動する。この戻り回動に
よりセンサ29はオフとなり、シートPのセンサ位置通過
が制御回路に検知される。
第2図は加熱体21の構成を示す模型的な拡大横断面図
である。本例の加熱体21は定着フィルム横断方向(定着
フィルム23の走行方向に直角な方向)を長手とする横長
の低熱容量線状加熱体である。
52はアルミナ等の耐熱制御でかつ電気絶縁性の薄いヒ
ータ基板である。
28は該基板52の下面(定着フィルム23と対面する側の
面)の略中央部に長手に沿ってプリント法等で形成した
銀パラジウム・Ta2N・RuO2・ニクロム等の線状又は細帯
状の薄膜の発熱層(抵抗発熱体)である。
50・50は該発熱層28に対する通電用電極(例えば金電
極)であり同じく基板52の下面に形成具備させてある。
発熱層28は電極50・50を介してパルス通電を受けてパル
ス状に通電発熱する。
51は上記の発熱層28・電極50を設けた基板52の下面を
全面的に覆わせて形成したTa2O5・耐熱ガラス等の薄い
摺動保護層である。この保護層51の外面は平滑であり、
定着フィルムを走行方向の前縁部・後縁部は丸味(面取
り)を付けて定着フィルムとのスムーズな摺動を可能に
している。
55は基板52の上面側に設けた熱容量の小さいサーミス
タやPt膜等の測温抵抗体等の温度検知素子である。この
温度検知素子55は薄い基板52を介して対向させて近接配
置してある。
而して上記の基板構造体(52・28・50・55)をヒータ
アセンブリとしてこれをベークライト等の、熱伝導性が
低く、耐熱性があり、電気絶縁性の材料からなる断熱層
53を介して、剛性支持体54に取付けて加熱体21としてあ
る。加熱体21の下面の、発熱層28の巾に略対応する面領
域が加熱部Hである。
(3) 動作 原稿載置台1に対する原稿Gのセット、画像形成枚数
の設定、使用シートPのサイズ指定、倍率指定など所要
の前設定をした後、画像形成スタートスイッチが押され
ると、給送ローラ6によりカセットS内のシートPの給
紙が開始され、センサPH1により給紙検知される。又感
光ドラム3面に対する画像形成が開始される。
定着装置20はセンタPH1による給紙検知時点から所定
のタイマ時間経過時点、即ちカセットSから給送された
シートPがレジストローラ対9・転写部8・ガイド10を
通ってその先端が加熱体21と加圧ローラ22との圧接部近
傍位置に達する要する時間経過時点で定着装置の駆動系
により巻取り軸27・加圧ローラ22の回転駆動が開始され
て定着フィルム23が送出し軸24側から巻取り軸27側へシ
ートPの搬送速度と同一速度走行した巻取り駆動状態と
なる。又、加熱体21は搬送シートPの先端、後端が前記
センサ29・レバー25で検出されることによりタイミング
を取って必要時に通電を受ける。その際、画像形成装置
の給紙センサなどによりシートの位置検知等を用いて、
加熱体への通電を制御しても良い。
定着装置20に対して搬送された未定着トナー画像Taを
担持しているシートの上面が走行状態の定着フィルム23
の下面に密着して面ズレやしわ寄りを生じることなく定
着フィルム23と一緒の重なり状態で加熱体21と加圧ロー
ラ22との相互圧接部(定着ニップ部)を挟圧力を受けつ
つ通過していく。
この相互圧着部通過過程を加熱工程として加熱部Hの
熱が定着フィルム23を介してシートP側へ伝達されて前
記(作用)の(1)−項に述べたトナー画像の加熱軟
化・溶融が行なわれる。
本実施例における加熱工程は前述のごとく、加熱体21
に線状の低熱容量の発熱層28を設け、この発熱層28にパ
ルス状に通電し発熱を繰り返すように構成された加熱体
21によって行なわれている。即ち定着装置の定着ニップ
部の定着フィルム23と加圧ローラ22との間に搬送された
シートP上のトナー画像TaはシートPの搬送速度に準じ
てズレなく搬送される定着フィルム23と共に、順次加熱
体21の発熱層28の幅に応じて決定される加熱部Hで加熱
を受けて軟化・溶融像Tbとなる。
加熱体21と加圧ローラ22との相互圧接部を通過したシ
ート部分は分離ローラ26・33の位置へ到達するまでの間
は加熱体21と分離上ローラ26間で展張して正走行してい
る定着フィルム部分に引き続き密着したまま搬送されて
いく。ガイド板32はシートPの裏面を支えて定着フィル
ム22との密着を維持する作用をする。
このガイド板32の代りに加圧ローラ22と分離下ローラ
33とに回動ガイドベルトを懸回張設して、このベルトに
よりシートPの裏面を支えて定着フィルム23との密着を
維持させるようにすることもできる。
この搬送過程を冷却工程として前記(作用)の(1)
−項に述べたように軟化・溶融トナーTbの熱が放熱さ
れてトナーの冷却固化Tcがなされる。
そして分離ローラ対26の位置へ到達すると、定着フィ
ルム23は曲率の大きい分離上ローラ26の面に沿ってシー
トP面から離れる方向に走行方向が転向されて定着フィ
ルム23とシートPとが互いに離反(分離)して排紙トレ
イ11へ排紙されていく。この離反時点までにはトナーは
十分に冷却固化して前記(作用)の(1)−項に述べ
たようにシートPに対するトナーの粘着・固着力が十分
に大きく、定着フィルム23に対するそれは極めて小さい
状態となっているから定着フィルム23とシートPの離反
は定着フィルム23に対するトナーオフセットを実質的に
発生することなく容易に順次になされる。
上記定着装置20の定着フィルム23の巻取り走行駆動
は、シートPが定着装置20を通過し終ってその後端が排
紙検出センサPH2で検出された時点で停止される。
本実施例装置では定着フィルム23は上記のようにシー
トPの定着処理実行のたびに送出し軸24側から巻取り軸
27側にシートPの搬送速度と同一速度で順次巻取られて
使用されていく。
定着フィルムの巻取リ正走行駆動制御は、給紙検出セ
ンサPH1による給紙検出時点から所定の第1のタイマ時
間経過時点で駆動を開始させ、所定の第2のタイマ時間
経過時点で駆動を停止させ、その間においてシートPの
定着処理を実行させるようにして、排紙検出センサPH2
を用いない構成にすることもできる。
又センサ29・レバー25によるシートPの先端・後端検
知信号で駆動制御する構成にすることもできる。
本実施例においては加熱体21の線状の発熱層28はパル
ス通電により瞬時にトナーの融点(ないし定着可能温
度)に対して充分な高温に昇温し、非通電時である非定
着時における加圧ローラ22への伝熱は少ない。又定着時
においても定着フィルム、トナー画像、シートが加熱体
21と加圧ローラ22との間に介在し、かつ発熱時間が短い
ことによって急激な温度勾配が生ずる為、加圧ローラ22
は昇温にしくく実用上必要とされる程度の連続的な画像
形成を行なってもその温度はトナーの融点以下に維持さ
れる。かかる構成の本実施例装置にあっては、シートP
上の加熱融性のトナーより成るトナー画像は先ず、定着
フィルム23を介して加熱体21によって加熱溶融され、特
に、その表層部は完全に軟化溶融する。この際、加圧ロ
ーラ22によって加熱体、定着フィルム、トナー画像、シ
ートは良好に密着されており、効率的に熱伝達される。
これによりシートP自体の加熱は極力抑えてトナー画像
を効率的に加熱溶融させることができ、特に、通電発熱
時間を限定することにより、省エネルギー化を図ること
ができる。
加熱体は小型もので十分でありそのため熱容量が小さ
くなり、予め加熱体を昇温させる必要がないので、非画
像形成時の消費電力も小さくすることができ、また機内
昇温も防止できることになる。
本実施例では、加圧ローラ22の温度は上述したように
トナーの融点よりも低く維持されているので、トナー画
像加熱工程に引くつづく冷却工程のトナー画像の放熱を
促進することが可能である。この為、冷却に要する時間
が短くて済み、装置を小型化することができる。
また、本実施例では分離ローラ26を設けることによ
り、該分離ローラまでの間加圧状態でのトナー像Tの冷
却時間を確保し、しかも上記分離ローラ26の曲率を大き
くすることによって定着フィルム23と転写材Pとの分離
を容易にするとともに、前述の効果に相乗して分離部に
おけるオフセットを防止することができる。ただし、本
実施例では加圧ローラ22によりトナー像の冷却が促進さ
れるので、加熱部H及び定着フィルム23の熱容量が十分
小さく、かつ定着速度が小さい場合には、分離ローラ26
のごとき特別な手段を設けずとも、転写材Pが加熱部H
を通過後の短い範囲でトナー像Tを冷却するので、本実
施例で示した分離ローラ26を省略しても、オフセットの
ない定着処理が可能となる。すなわち、トナー像を一旦
加熱し軟化溶融させた後再び放熱固化した後に定着フィ
ルムと転写材とを分離できればよい。
(4) 加熱体21への給電 第4図は本実施例の加熱体21における発熱層28への給
電のしくみを示す説明図である。60はマイクロコンピュ
ータを含む制御回路であり、サーミスタ55の検知温度に
応じて、パワーFET等のスイッチ手段73を制御し電源61
から発熱層28へ給電のパルス巾を変えることで発熱層28
への供給電力を制御する。
本実施例で上記のような電力制御をする理由を以下に
示す。本実施例では発熱層28から支持体54への放熱を防
止するために断熱層53を設けている。その目的は、無
駄な放熱をなくし、エネルギー効率を高めることで省エ
ネルギー化を図る、支持体54からの放熱による機内昇
温を低減する、の2点である。
ところが発熱層28への供給電力を制御することなしに
単に断熱するだけだと発熱量が放熱量を著しく上まわる
ことになり発熱層28及び加熱部Hが異常に昇温し、発熱
量28及び定着フィルムが熱により破損する恐れがある。
そこで断熱層53を設けた場合に加熱部Hの異常昇温を防
止するために、発熱層への供給電力制御が有効となるの
である。
以下、本実施例での電力制御の方法を示す。本実施例
のパルス加熱による定着方式では、前述のようにトナー
をmsecオーダーの短い時間のみ加熱するので、トナーの
加熱時間よりもむしろ加熱部Hの温度が定着性能に関し
て支配的であり、加熱部Hの最大到達温度に応じてトナ
ー層が昇温する。すると、トナーが定着に十分な状態に
まで軟化するときの加熱部Hの温度をTH0とした時、加
熱部Hの極大温度が定着処理中においてほぼTH0に保た
れるように発熱層28への給電を制御すれば、無駄な電力
を消費することなく十分な定着性能を得ることができ
る。
加熱部Hの温度が基準温度T0の時に、時間t0だけ一定
電圧Vで発熱層に給電された時に、加熱部Hの温度が定
着温度TH0まで到達するとする(第5図参照)。発明者
らの実験によるとTH0,T0,t0の間には、 という関係があることが明らかになった。ここでAは加
熱部Hからの放熱路によって決まる係数、Bは発熱層28
への給電電力によって決まる係数である。
発明者らの実験によれば、 という関係があった。ここでVは発熱層28への給電電
圧、Rは発熱層28の電気抵抗、kは定数である。
加熱部Hの温度がTBのとき、これをTH0までUPするの
に必要なパルス状給電時間をτBとすると、 B′は室温及び発熱体温度が一定範囲内であればほぼ
一定である。従って、あらかじめ実験によって(1)式
を用いて求めることができる。従ってB′=Bである。
A′は発熱層28への給電電圧V及び発熱層28の電気抵
抗Rが一定であれば略一定である。従って、あらかじめ
標準電圧V0、標準抵抗R0の条件で実験によりAの値を求
めておけば、V≒V0、R≒R0ならばA′=Aである。
A′=A、B′=Bならば、(3)式は下記のように
なる。
前述のように、A・Bは実験によりあらかじめ求ま
る。従ってTH0を所定の値に設定したとき、TBを測定
し、(5)式により求めたパルス巾τBだけパルス通電
すれば、発熱体の温度をTH0まで昇温可能である。
本実施例においては前述のように、発熱層28に十分小
さいデュティ(Duty)比でパルス状通電をした場合、パ
ルス状に発熱変化する加熱部Hが極小温度を示す時、す
なわち次のパルス通電開始寸前において加熱部Hの温度
がほぼサーミスタ55の検知温度と等しくなる。従ってこ
の時のサーミスタ55の検知温度を用い、第4図の制御回
路60において(5)式に従って次の通電時間を算出し、
電源61により発熱層28へ上記算出した時間だけ給電す
る。
第6図は本実施例において定着動作中の加熱部Hの温
度の時間変化を示すグラフを発熱層28へ給電のタイミン
グ図と合せて示した図である。本実施例では発熱層28へ
の給電電圧Vは一定であり、通電パルスの周期τも一定
である。加熱部Hの温度がT0の時に時刻t0で定着動作を
開始したとすると加熱部Hの温度T0から一義的に定ま
る。パルス巾τ0の通電により定着温度TH0に達した後、
τ0よりも十分長い非給電時間(τ−τ0)の間にT0より
高温のT1まで低下する。次に、時刻t0からパルス周期τ
だけ経た時刻t1において2回目の通電をτ0により短
い、温度T1より一義的に定まるパルス巾τ1だけ発熱層
に行なうことにより、加熱部Hの温度は再びTH0まで上
昇し、給電停止すると共に低下する。
以下同様にして通電開始後にパルス周期τごとにサー
ミスタ55の温度を読み、検知温度によって、(3)式に
より求まるパルス巾で発熱層28へ給電することにより、
加熱部Hの極大温度を定着温度TH0に保つことができ
る。
なお、A<TH0−T0の場合、パルス巾τ0の通電では加
熱部Hの温度がTH0に達しないが、数パルス、すなわち
数10msecのうちにTH0に達する。
またA>TH0−T0の場合でも、電源性能からくるパル
ス巾の定格最大値が加熱部の温度をTH0に上げるのに必
要なパルス巾より小さいも、A<TH0−T09場合と同様に
ごく短時間で加熱部の温度をTH0に昇温可能である。
第7図は本実施例の定着装置において発熱層28にパル
ス状に通電した時の加熱部Hの温度と、サーミスタ55の
検出温度を示すグラフである。加熱部Hの温度は赤外放
射温度計により非接触で測定した測定値に基づき、サー
ミスタ検出温度はサーミスタの出力電力を温度に換算し
た値に基づいたものである。このグラフを得た時のパル
スの周期は約10msecであり、通電時間は約2msecであ
る。加熱部Hの温度は通電時に急速に立ち上がった後、
休止時に急速に立ち下がり、本実施例では非通電時間が
通電時間より十分長く、また断熱層53が存在するため、
パルス波形の極小値をとった時点では発熱層28・絶縁性
基板52及びサーミスタ55と略等温となる。本実施例で用
いたサーミスタは、10msecという短い周期のパルス状温
度変化に追従できず、パルス波形の略極小値を指示す
る。従って加熱部Hの表面温度の極小値の包絡線はサー
ミスタ55の検知温度曲線とほぼ一致する。
第8図は本実施例の比較例として、通電パルス巾を一
定値τ0に固定して定着処理を行なった場合の加熱部H
の表面温度の時間変化を示すグラフを、発熱層28への給
電タイミング図と合せて示した図である。この例では加
熱部Hの温度は初期の定着温度TH0近傍であるが、発熱
像周辺が温まり、極小温度が上昇するにもかかわらず発
熱量が一定であるため、加熱部Hの温度は定着動作が進
むにつれて定着温度TH0を大きく超えてしまう。する
と、無駄な電力を消費することになるうえ、機内昇温が
大きくなるという問題がある。また、連続して多くの定
着処理動作を行なう場合、発熱層28がさらに著しく昇温
し、ついは破損してしまう恐れがある。また、加熱部H
に圧接当接される定着フィルム23も熱変形してしまう恐
れがある。
かかる構成の本実施例装置にあっては、転写紙P上の
加熱溶融性のトナーより成る画像は先ず、定着フィルム
23を介して加熱部Hによって加熱溶融され、特にその表
層部は融点を大きく上回り完全に軟化、溶融する。この
際、加圧ローラ22によって加熱体、定着フィルム、トナ
ー画像、転写材は良好に密着されており、効率的に熱伝
達される。
しかる後加熱体21の発熱が停止するとともに転写材が
搬送されて加熱体と離間することによりトナー画像は放
熱して再び冷却固化し、曲率の大きな分離ローラ対26・
33を通過した後に定着フィルム23は転写紙Pから離れ
る。この際本実施例では加圧ローラ22の温度は前述のよ
うにトナーの軟化温度よりも低く維持されているのでト
ナー画像の放熱を促進することが可能である。この為、
冷却に要する時間が短くて済み、装置を小型化すること
ができる。
(5) 実行例 次に本実施例装置による実施結果を具体的数値をもっ
て示す。室温20℃において約125℃で軟化定着するトナ
ーを用いて厚さ100μmの転写紙にトナー画像Tを形成
し、パルス通電の周期10msecで、定着部Hの極大温度が
300℃となるように、サーミスタ55の検知温度を用いて
パルス巾を制御しつつ定着処理速度50mm/secで定着テス
トを行なったところ、実用上全く問題のない画像が得ら
れた。加熱部Hの熱容量が極めて小さいので、発熱層に
前もって通電し加熱部Hを温めるための待時間は不要で
ある。また、本例では定着処理を進めてゆくにつれ、断
熱層53の効果により加熱部Hがある程度温まるので、パ
ルス状通電時間がだんだん短くなるため、平均消費電力
が少なくて済むうえ、機内昇温も実用上問題なかった。
第9図は本実施例の定着装置20を用いて表面にトナー
層を有する転写紙を搬送しつつ定着処理する場合の、ト
ナー及び転写紙、詳しくはそれぞれの断面方向の中央部
の温度の時間変化を計算により求めたグラフである。条
件は以下の通りである。
加熱条件:エネルギー密度 25W/mm2で2ms加熱。
トナーの定着温度:125℃。
フィルム:PET(厚さ6μm)。
トナーの厚さ:20μm。
転写紙の厚さ:100μm. 室温:20℃。
本実施例では加熱部Hはトナーの定着温度125℃より
はるかに高い約300℃まで昇温するのでトナーは定着温
度を越えて十分に加熱され、良好な定着性が得られる。
一方、転写紙の昇温はきわめて小さく従来の熱ローラ
定着に較べてエンルギーの無駄が少ない。
さらに本実施例では加熱時間が加熱エネルギー密度が
変動して過剰なエネルギーが与えられた場合でも高温オ
フセットの発生がなく加熱制御の許容範囲が広い。
(6) 制御加熱工程 発熱層28へある一定の時間、一定の周期、パルス巾で
通電した時の通電時間内におけるTBの上昇分をΔTBとす
る。発明者らの実験によるとΔTBは発熱層への印加電
力、すなわちV2/Rに対し正の相関があった。
なので、AはΔTBと正の相関がある(第10図参照)。
従って、ΔTBとAの関係があらかじめ実験で求め、制
御回路60(第4図・第12図)に入力しておけばたとえ発
熱層28へ印加電圧V及び発熱層28の抵抗値Rが標準V0
び抵抗R0からはずれて、係数Aが標準値 から変化した場合でも、ΔTBを測定すれば正しいAの値
を求めることができる。
第11図は画像形成装置(第3図)の制御加熱工程と定
着工程のシーケンスである。
時刻t0で電源on。
時刻t1で画像形成開始スイッチをonすると、続いて
時刻t2から時刻t3まで、加熱昇温特性検知工程(以後制
御加熱工程と称す)。
制御加熱工程終了後、時刻t4から時刻t5まで定着工
程。
定着工程終了後、時刻t6で画像形成動作完了。
制御加熱工程における動作は、 1) 発熱層28にΔTBとAの関係を求めたのと同一条件
で通電し、その時のTBの上昇量ΔTBを測定する。
2) 制御回路60でΔTBの測定値に応じて係数Aの値の
値を決定する。
定着工程においては、制御加熱工程で求めた係数Aの値
を用い、(5)式に従ってパルス巾を求め、発熱体の極
大温度を所定の温度範囲に制御する。
本実施例では発熱層28の抵抗値のバラツキは初期値の
公差及び経時変化を含めて0.8Ro≦R≦1.2R0である。
第12図は前記第4図の給電系をより詳しくした回路図
である。交流電源70を整流回71により整流平滑化して発
熱層28へ給電する直流電圧vを得る。
交流電源70の電圧変動等によりVは変化する。Vのバ
ラツキは本実施例では 0.85V0≦V≦1.15V0 である。
従って、Aのバラツキの範囲は、 前述のように本実施例においては、制御加熱工程でA
の値を検出可能であり、Aの値が(6)式のように変動
しても、定着工程において常に加熱部の極大温度を一定
の温度範囲に収める適切な通電加熱が可能である。
なお、A値は室温、加熱体周辺の初期温度によっても
変化するが、制御加熱工程でこれらの要因によるA値の
変動を検出可能である。
(7) 比較例 本実施例において制御加熱工程を設けず、A=A0=一
定として(5)式よりパルス巾τBを決定し、定着工程
を行なうと以下のような不都合が生ずる。即ち、 (4)式よりワンパルスでの昇温TH0−TBはAに比例
する。従って、A<A0なら発熱層の極大温度はTH0より
低くなり、A>A0なら発熱層の極大温度はTH0より高く
なる。
TH0=300℃、TB=50℃の場合、 TH0−TB=250℃。
A=0.60A0(電力最小時)のとき 加熱部Hのピーク温度が200℃までしか上昇しない。
そのため加熱部Hにより、厚さ6μmの定着フィルム23
を介して加熱されるトナーの温度は融点125℃に達せ
ず、定着不良を生ずる。
A=1.65A0(電力最大時)のとき 加熱部Hのピーク温度が460℃に達する。そのため定
着フィルム23が熱変形、さらには溶断等の損傷を受け
る。また、発熱層28が損傷を受ける恐れがある。
〈実施例−2〉 実施例−1では、制御加熱工程においてΔTBが変化す
ると、A値を連続的に可変する。又定着工程において、
ワンパルスごとにTBを測定し、次のパルス通電のパルス
巾τBを、(5)式に従って制御回路60で演算し、決定
している。
本実施例2では、 制御加熱工程においてA値をあらかじめ5つに設定
(第13図参照) なお、A値の設定個数は5つに限るものではなく、2
つ以上であれば任意に設定可能である。
上記5つのA値に対し。(5)式に従ってTB V.S.
τBの比較テーブルを作り、制御回路60にメモリしてお
く。定着工程において、TBの測定値に対し、(5)式に
従って毎回演算し、次のパルス巾τBを求めるのでなく
テーブルに従ってτBを求める。
ワンパルスごとにTBを測定するのではなく、複数パ
ルスあるいは複数パルス相当時間ごとにTBを測定し、τ
Bを決定する。
上記・の制御構成により制御回路の演算の簡略化
が可能であり、又の制御構成により温度検知素子の応
答性で有利となる。
〈その他〉 定着フィルム23は実施例装置のように送出して軸24側
から巻取り軸27側へ定着処理の実行毎に順次に巻取り走
行させてその全長分が巻取り使用されたら新しい定着フ
ィルム23と交換する巻取り交換式にする他に、定着フィ
ルム23面へのトナーオフセットは実質的に生じないの
で、フィルムの熱変形や劣化が小さければ巻取り軸27側
へ巻取られた使用済み定着フィルム23を適時に送出し軸
24側へ巻戻し制御して、或は巻取り側と送出し側とを反
転交換するなどして複数回繰返して使用することもでき
る(巻戻し繰返し使用式)。
又エンドレスベルト型にして回動走行させて定着処理
に供する構成とすることもできる。
巻取り交換式では定着フィルム23は例えば薄くて安価
なポリエステルを基材として耐熱処理を施したものを用
いることができ、そして耐久性に関係なく薄肉化するこ
とが可能となり低電力化することができる。かかる方式
を採った場合は、定着フィルム残量検知アーム30とセン
サ30aで送出し軸24側の定着フィルムの残量を検出して
フィルムが終端近くなった場合に使用者に警告表示ない
しは警告音で定着フィルムの交換を促すようにするのが
よい。そして、定着フィルム23の交換の際には、加熱体
21と加圧ローラ22、分離ローラ対26・33とをそれぞれ離
間させるように、第14図例のように回転軸31を中心に定
着装置20を開閉可能にすることが望まれる。
巻戻し繰返し使用式では定着フィルムとしては例えば
耐熱性・機械的強度等に優れた基材として25μm厚のポ
リイミド樹脂フィルムを用いてその面に離型性の高いフ
ッ素樹脂等よりなる離型層を設けた複合層フィルムを用
いることができ、巻戻し逆走行時は加熱体21と加圧ロー
ラ22の当接圧が解除される構成になっているのが好まし
い。
巻戻し繰返し使用式やエンドレスベルト型のように複
数回使用する場合は、フィルム面クリーニング用のフェ
ルトパッドを設けると共に若干の離型剤、例えばシリコ
ンオイルを含浸させて該パッドをフィルム面に当接させ
るなどしてフィルム面のクリーニングと離型性の更なる
向上を行なうようにしてもよい。定着フィルムが絶縁性
のフッ素樹脂処理品の場合などではトナー画像を攪乱す
る静電気がフィルムに発生し易いので、その対処のため
に接地した除電ブラシで除電処理するのもよい。接地せ
ずにブラシにバイアス電圧を印加してトナー画像を攪乱
しない範囲でフィルムを帯電させても良い。さらにフッ
素樹脂に導電性の粉末繊維、例えばカーボンブラック等
も添加して、上述の静電気による画像乱れを防止するの
も一策である。また、加圧ローラの除帯電及び導電化に
関しても同様の手段により行なうことができる。また、
帯電防止剤等の塗布や、添加を行なっても良い。
何れの方式の場合も定着フィルム23は定着装置20の所
定部所に着脱自在のカートリッジ構成にすることにより
定着フィルムの交換作業等を容易化することができる。
トナー加熱溶融時の粘度が十分高ければ、定着フィル
ムとトナーを剥離する際のトナー温度がトナー融点以上
であってもよい。その場合、第1図例装置において、分
離ローラ26・33を除き、加熱体21と加圧ローラ22の圧接
部を転写紙Pが抜けた時に定着フィルムとトナー画像が
分離する第15図例のような構成であってもよい。その
際、加圧ローラ22の温度がトナー融点以下に保たれてい
る必要はない。第16図は定着フィルムをエンドレスベル
トにした例を示している。
以上の実施例装置は転写式の電子複写装置であるが、
画像形成のプロセス・手段はエレクトロファックス紙・
静電記録紙等に直接にトナー画像を形成担持させる直接
式や、磁気記録画像形成式、その他適宜の画像形成プロ
セス・手段で記録材上に加熱溶融性トナーによる画像を
形成し、それを加熱定着する方式の複写機・レーザビー
ムプリンタ・ファクシミリ・マイクロフィルムリーダプ
リンタ・ディスプレイ装置、記録機等の各種の画像形成
装置における画像加熱定着装置として本発明は有効に適
用できるものである。
(発明の効果) 以上のように本発明はトナー画像加熱定着式の画像形
成装置について、定着不良やオフセットを生じさせるこ
となく加熱手段である加熱体の熱容量を小さくすること
が可能で、その結果、待機時間や消費電力、さらには機
内昇温の小さい画像形成装置を実現できる。又定着フィ
ルムは薄肉のものをシワ発生の問題なく支障なく長期に
わたって繰り返して使用することができる。
そして特に定着処理に先だって加熱体の発熱対へ仮通
電する手段と、仮通電時の加熱部の昇温度を検知する手
段と、前記昇温度合に応じて定着処理時の通電制御条件
を変える手段を具備させたことにより発熱対への通電電
力が変動した場合でも、定着時の加熱部の極大温度を所
定の範囲に制御して良好な定着画像を安定に出力させる
ことができる。又過昇温による加熱部の損傷、無駄な放
熱、それに伴なう機内昇温等が防止される。
【図面の簡単な説明】
第1図は一実施例定着装置の概略構成図、第2図は加熱
体の構成を示す模型的な拡大横断面図、第3図は該定着
装置を組み込んだ画像形成装置の概略構成図、第4図・
第12図は通電系のブロック図、第5図は電極への1パル
ス給電時の加熱部での温度経時変化図、第6図はパルス
幅を変えたときの加熱部の温度経時変化図、第7図は加
熱部の表面温度と温度検知素子の検出温度の経時変化
図、第8図は比較例における加熱部での温度経時変化
図、第9図はある一定条件下での加熱工程における各部
の温度変化図、第10図・第13図は係数Aと発熱上昇分Δ
TBとの正相関図、第11図は制御加熱工程と定着工程のシ
ーケンス、第14図は定着装置を開放した状態の図、第15
図は加熱工程後直ちに定着フィルムと記録材とを分離す
る方式とした定着装置の概略図、第16図は定着フィルム
をエンドレスベルトタイプにした定着装置の概略図であ
る。 3は感光ドラム、8は転写放電器、Pは転写材シート
(記録材)、20は定着装置の全体符号、21は加熱体、22
は加圧ローラ、23は定着フィルム、23巻取り軸(又は駆
動ローラ)、24は送出し軸(又は従動ローラ)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−157678(JP,A) 特開 昭59−68766(JP,A) 特開 昭55−76371(JP,A) 特開 昭55−89879(JP,A) 特開 昭60−213977(JP,A) 実開 昭60−94667(JP,U)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱体と、一面側が加熱体と摺動し他面側
    が未定着トナー像を担持した記録材と接し共に移動する
    フィルムと、加熱体の温度を検知する温度検知手段と、
    加熱体への通電を制御する通電制御手段と、を有し、フ
    ィルムを介した加熱体からの熱により未定着トナー像を
    記録材上に加熱定着する定着装置において、 未定着トナー像を加熱する定着工程の前に上記加熱体へ
    通電を行う仮通電工程を設け、上記制御手段は仮通電工
    程での検知温度の上昇率に応じて定着工程時の通電比率
    を切り換えることを特徴とする定着装置。
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