JPH087408A - トラッキング制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】両隣接トラックから再生されるパイロット信号
のクロストークレベルを比較してトラッキング制御を行
うように構成されたテープ再生装置において、その目的
は、可変速再生時において好適なトラッキング制御を行
うことにある。 【構成】ヘッドがｆ0トラックに当接するトラック長手
方向の特定位置に限定して、トラッキング制御信号を検
出するようにした。 【効果】任意のテープ速度に応じたトラッキング制御信
号の検出が可能で、可変速再生における安定なトラッキ
ングを実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、民生用ディジタルＶＴ
ＲにおけるＡＴＦトラッキング制御装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】民生用ディジタルＶＴＲのトラッキング
制御として、例えば特開平４−２５５９６９号公報で開
示されている制御方式が提案されている。

【０００３】本方式では、ｎビットの情報語を磁気テー
プ上に記録するために、これらの情報語に１ビットのデ
ィジタル語を付加し、これらの（ｎ＋１）ビットのディ
ジタル情報語をプリコードし、（ｎ＋１）ビットのチャ
ネル語に変換する。このチャネル語は、図１０の（a）
（b）（c）のようなスペクトラムを有し、同図（b）は
周波数ｆ1にスペクトラムのピークを持ち、周波数ｆ1の
パイロット信号として用いられ、同図（c）は周波数ｆ2
にスペクトラムのピークを持ち、周波数１ｆ2のパイロ
ット信号として用いられる。図１１は、磁気テープ１に
記録される記録パターンを示したものである。記録され
るチャネル語のスペクトラムは、図１０の(ａ)(ｂ)(ａ)
(ｃ)・・・ の繰り返しとなり、記録パターンは、ｆ0トラ
ック、ｆ1トラック、ｆ0トラック、ｆ2トラック・・・ の
繰り返しとなる４トラック完結方式である。

【０００４】図１２は、図１１のパターンで記録された
テープを再生するトラッキング制御装置の構成を示すブ
ロック図である。図において、２Ａ，２Ｂは回転シリン
ダ３に１８０゜対向して取り付けられた記録再生を行う
ヘッド、１は磁気記録媒体となるテープ、４はヘッド２
Ａ及び２Ｂからの再生信号を増幅する増幅器、５Ａ及び
５Ｂはそれぞれ中心周波数をｆ1及びｆ2に持ちパイロッ
ト信号を抽出するバンドパスフィルタ（ＢＰＦ）、６Ａ
及び６Ｂはパイロット信号のクロストークレベルを検出
するためのピーク検波回路、７はピーク検波回路６Ａ，
６Ｂの出力レベルを比較する差動増幅器、１０は差動増
幅器７から出力するクロストーク誤差信号の極性を選択
してフィードバック制御の極性を統一する極性切り換え
手段、１１は極性切り換え手段１０から出力する信号を
制御信号としてテープ速度を制御するキャプスタン制御
装置である。

【０００５】図１１は、ヘッド２Ａがテープ上の記録ト
ラックを走査する様子を示したものである。ヘッド２Ａ
がトラックＴ0を主トラックとして走査しているときに
再生する信号は、信号の中に、再生済み側の隣接トラッ
クＴ-1から再生される周波数ｆ2のパイロット信号と未
再生側の隣接トラックＴ1から再生される周波数ｆ1のパ
イロット信号を含んでおり、バンドパスフィルタ５Ａ，
５Ｂにより上記２つのパイロット信号を抽出し、各々ピ
ーク検波回路６Ａ，６Ｂによりパイロット信号のクロス
トークレベルを得て、差動増幅器７により両パイロット
信号のクロストークレベル差に応じたクロストーク誤差
信号を求める。極性切り換え手段１０は、再生済み側の
隣接トラックから周波数ｆ2のパイロット信号、未再生
側の隣接トラックから周波数ｆ1のパイロット信号が再
生される場合には、差動増幅器７から出力されるクロス
トーク誤差信号をトラッキング制御信号としてキャプス
タン制御装置１１にフィードバックするように動作し、
キャプスタン制御装置１１はトラッキング制御信号が零
となるように、すなわち、両パイロット信号のレベル差
が零となるようにテープ速度を制御する。その結果、ヘ
ッド２Ａがｆ0トラックの中心を走査するようにテープ
速度の制御がなされる。

【０００６】また、回転シリンダ３が１回転し、ヘッド
２ＡがトラックＴ2を主トラックとして走査していると
きに再生する信号は、信号の中に、再生済み側の隣接ト
ラックＴ1トラックから再生される周波数ｆ1のパイロッ
ト信号と未再生側の隣接トラックＴ3から再生される周
波数ｆ2のパイロット信号を含んでおり、上記と同様に
両パイロット信号のクロストークレベル差に応じたクロ
ストーク誤差信号を求める。フィードバック制御ではト
ラッキング制御信号の極性を一方向にする必要があり、
再生済み側の隣接トラックから周波数ｆ1のパイロット
信号、未再生側の隣接トラックから周波数ｆ2のパイロ
ット信号が再生される場合には、極性切り換え手段１０
はクロストーク誤差信号の極性を反転した信号をトラッ
キング制御信号としてキャプスタン制御回路１１へフィ
ードバックするように動作し、キャプスタン制御装置１
１は上記と同様にトラッキング制御信号が零となるよう
にテープ速度を制御する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、通常再生速度とは異なる任意の速度で再生
を行う可変速再生時のトラッキング制御については考慮
されていなかった。可変速再生時には、ヘッドは複数の
トラックをまたがって走査するので、通常再生時とは異
なった方法でトラッキング制御信号を生成する必要があ
る。本発明は、任意速度の可変速再生時において好適な
トラッキングを行うことができるトラッキング制御装置
を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】可変速再生時には、ヘッ
ドは複数のトラックをまたがって走査し、ヘッドがｆ0
トラックを横切るトラック長手方向の位置を特定箇所に
限定するようにトラッキング制御を行う必要がある。本
発明では、パイロット信号のクロストーク誤差信号を検
出するｆ0トラック長手方向の位置を特定箇所に限定す
るために、クロストーク誤差信号をサンプリング・ホー
ルドするサンプル・ホールド回路を従来のトラッキング
制御装置に付加し、サンプル・ホールド回路をテープ速
度に応じて設定したアルゴリズムに従って制御するよう
にした。

【０００９】

【作用】サンプル・ホールド回路はヘッドがｆ0トラッ
クを横切るタイミング、すなわち、トラック長手方向の
特定位置でクロストーク誤差信号の検出を行うため、可
変速再生時の安定なトラッキング制御を実現することが
できる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。本例は、図３に示したように、磁気テープ１上に
周波数ｆ1及びｆ2のパイロット信号が４トラック毎に繰
り返し記録されているものであり、かつ図２に示したよ
うに、アジマス角の異なる２個の磁気ヘッド２Ａ，２Ｂ
が切り替わりながらトラックを順番に走査し、通常再生
時には磁気ヘッド２Ａがｆ0トラックを主トラックとし
て走査するときに両隣接トラックから再生される周波数
ｆ1及びｆ2のパイロット信号のクロストークレベルを比
較してトラッキング制御信号を生成し、トラッキング制
御を行う装置に適用した場合を示している。

【００１１】図１は、本発明によるトラッキング制御装
置の一実施例を示す構成図である。１は磁気記録媒体と
なる磁気テープ、４は磁気ヘッド２Ａ及び２Ｂからの再
生信号を増幅する増幅器、５Ａ及び５Ｂはそれぞれ中心
周波数をｆ1及びｆ2に持ち、増幅器４の出力信号からパ
イロット信号を抽出するバンドパスフィルタ（ＢＰ
Ｆ）、６Ａ及び６Ｂはパイロット信号のクロストークレ
ベルを検出するためのピーク検波回路、７はピーク検波
回路６Ａ，６Ｂの出力レベルを比較する差動増幅器、８
は差動増幅器７から出力されるクロストーク誤差信号を
サンプリング・ホールドするサンプル・ホールド回路、
９はサンプル・ホールド回路を制御するタイミング信号
を出力するタイミング信号発生回路、１０はクロストー
ク誤差信号の極性を選択する極性切り換え手段、１１は
テープ速度を制御するキャプスタン制御装置である。

【００１２】タイミング信号発生器９は、磁気ヘッド２
Ａ，２Ｂを切り換えるヘッドスイッチ信号に同期したタ
イミングでテープ速度毎に設定したアルゴリズムのタイ
ミング信号を出力するように構成され、サンプル・ホー
ルド回路８は、タイミング信号がハイレベルの時はサン
プル動作、ロウレベルの時はホールド動作となるように
制御される。極性切り換え手段１０は反転器１２とスイ
ッチ１３より構成され、フィードバック制御における制
御信号の極性を一方向に統一するものである。例えば、
再生済み側の隣接トラックから周波数ｆ1のパイロット
信号、未再生側の隣接トラックから周波数ｆ2のパイロ
ット信号が再生される場合には、クロストーク誤差信号
の極性をｆ1−ｆ2、再生済み側の隣接トラックから周波
数ｆ2のパイロット信号、未再生側の隣接トラックから
周波数ｆ1のパイロット信号が再生される場合には、ク
ロストーク誤差信号の極性をｆ2−ｆ1に反転するよう動
作する。キャプスタン制御装置１１は、トラッキング制
御信号が零となるように、すなわち、周波数ｆ1とｆ2の
パイロット信号のクロストークレベル差が零となるよう
にテープ速度を制御する。

【００１３】図１の装置による動作を、通常の再生速度
の２倍の速度で再生を行う２倍速再生時において、タイ
ミング信号発生回路９の出力するタイミング信号がヘッ
ドスイッチ信号に対して図４に示すような信号になるよ
うに設定した例を用いて説明する。同図は、ヘッドスイ
ッチ信号の立ち下がりと立ち上がり、すなわち、磁気ヘ
ッド２Ａ及び２Ｂが走査を開始するタイミングでサンプ
ル動作、その他のタイミングではホールド動作を行うよ
うに設定したものである。

【００１４】ヘッド２Ａが走査を開始するとき、すなわ
ち、ヘッド２Ａがトラックの入り側を走査しているとき
には、サンプル・ホールド回路８はサンプル動作とな
り、差動増幅器７から出力されるクロストーク誤差信号
を、極性切り換え手段１０により極性を選択した後、キ
ャプスタン制御装置１１にフィードバックする。サンプ
ル・ホールド手段がホールド動作となると、トラックの
入り側において検出したクロストーク誤差信号の前値ホ
ールドした信号を、上記同様にキャプスタン制御装置１
１にフィードバックする。次に、ヘッド２Ｂが走査を開
始するとき、すなわち、ヘッド２Ｂがトラックの入り側
を走査しているときには、再びサンプル・ホールド回路
８はサンプル動作となり、差動増幅器７から出力される
クロストーク誤差信号を、極性切り換え手段１０により
極性を選択した後、キャプスタン制御装置１１にフィー
ドバックする。

【００１５】このように、パイロット信号のクロストー
ク誤差信号を検出するタイミングを磁気ヘッド２Ａ及び
２Ｂがトラックの入り側を走査しているタイミングに限
定して行うことで、ヘッド２Ａ及び２Ｂがトラックの入
り側においてｆ0トラックの中心を走査するような制御
が行われる。すなわち、ヘッド２Ａ，２Ｂの走査の軌跡
は図５に示すような位相に制御される。同図において斜
線部はヘッド２Ａの軌跡、網掛け部はヘッド２Ｂの軌跡
を示している。

【００１６】図６は、２倍速再生時においてタイミング
信号発生回路９から出力するタイミング信号の他の一例
を示したものである。同図は、ヘッド２Ａ，２Ｂがトラ
ック長手方向の中心部を走査するときに限定してクロス
トーク誤差信号を検出するようにタイミング信号を設定
したものであり、ヘッド２Ａ，２Ｂの走査の軌跡を図７
に示すような位相に制御することができる。トラック長
手方向の中心部では、そのエッジ付近に比べてテープの
損傷が少なく、安定な再生信号を得ることができるた
め、より正確なトラッキング制御信号の生成、すなわ
ち、より正確なトラッキング制御を行うことができる。

【００１７】また、図８は、３倍速再生時においてタイ
ミング信号発生回路９から出力するタイミング信号の一
例を示したものである。同図は、ヘッド２Ｂはトラック
長手方向の中心部、また、ヘッド２Ａに対してはトラッ
クの入り側と出側の２カ所でクロストーク誤差信号を検
出するようにタイミング信号を設定したものであり、ヘ
ッド２Ａ，２Ｂの走査の軌跡を図９に示すような位相に
制御することができる。

【００１８】以上、本発明の実施例について説明した。

【００１９】２倍速再生時のサンプル・ホールド回路８
の動作タイミングの実施例として図４及び図６を挙げた
が、これは特に限定されるものではなく、またテープ速
度も通常の再生速度の２倍及び３倍の場合だけについて
説明したが、これも限定されるものではなく、他の任意
の速度に対してもテープ速度に応じて同様にサンプル・
ホールド回路８を制御することにより、任意のテープ速
度において好適なトラッキング制御を行うことができる
ことは勿論である。

【００２０】また、ヘッド構成についても、本実施例で
は１８０゜対向の１ＣＨ構成としたが、これは特に限定
されるものではなく、例えば、１８０゜対向の２ＣＨ構
成のものでも同様な制御を行うことが可能であり、本発
明の要旨を変えない範囲で種々の変形は容易である。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、可
変速再生時にトラッキング制御信号の検出を、ヘッドが
ｆ0トラックに当接するトラック長手方向の特定位置に
限定して行うようにしたため、可変速再生時の安定なト
ラッキングを実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるトラッキング制御装置の一実施例
を示すブロック図である。

【図２】図１の装置における磁気ヘッドの構成と記録媒
体である磁気テープの関係を示す図である。

【図３】図１の実施例で再生される磁気テープの記録パ
ターンを示す図である。

【図４】図１の実施例のサンプル・ホールド回路の動作
を説明する図である。

【図５】図４の実施例における磁気ヘッドの走査の軌跡
を示す図である。

【図６】図１の実施例のサンプル・ホールド回路の他の
動作を説明する図である。

【図７】図６の実施例における磁気ヘッドの走査の軌跡
を示す図である。

【図８】図１の実施例のサンプル・ホールド回路の他の
動作を説明する図である。

【図９】図８の実施例における磁気ヘッドの走査の軌跡
を示す図である。

【図１０】磁気テープに記録されたチャネル語の周波数
スペクトラムを示す図である。

【図１１】従来のトラッキング制御装置で再生される磁
気テープの記録パターンと磁気ヘッドの関係を示す図で
ある。

【図１２】従来のトラッキング制御装置の一例を示すブ
ロック図である。

【符号の説明】

１…磁気テープ、 ２Ａ，２Ｂ…磁気ヘッド、 ３…回転シリンダ、 ４…増幅器、 ５Ａ，５Ｂ…バンドパスフィルタ（ＢＰＦ）、 ６Ａ，６Ｂ…ピーク検波回路、 ７…差動増幅器、 ８…サンプル・ホールド回路、 ９…タイミング信号発生回路、 １０…極性切り換え手段、 １１…キャプスタン制御装置、 １２…反転器、 １３…スイッチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１、第３のトラックの記録ディジタル信
   号の周波数特性が、第１、第２の特定の周波数において
   ディップを持つよう、また、第２のトラックの記録ディ
   ジタル信号の周波数特性が、上記第１の周波数において
   パイロット信号のピークを持つと同時にその近傍周波数
   でディップを持ち、上記第２の周波数においてディップ
   を持つよう、さらに、第４のトラックの記録ディジタル
   信号の周波数特性が、上記第１の周波数においてディッ
   プを持ち、上記第２の周波数においてパイロット信号の
   ピークを持つと同時にその近傍周波数でディップを持つ
   よう、上記第１から第４のトラックの４トラック完結で
   順次ディジタル信号が記録された磁気テープを複数の回
   転ヘッドによりトラックを走査して信号の再生を行うヘ
   リカルスキャン方式の磁気テープ再生装置であり、 通常再生時には上記複数のヘッドのうちの特定のヘッド
   が上記第１及び第３のトラックを走査するときに、両隣
   接トラックより再生される上記第１及び第２の周波数の
   パイロット信号のクロストークレベルを比較してトラッ
   キング用の制御信号を生成するように構成したトラッキ
   ング制御装置において、 通常再生時とは異なる任意の速度で再生を行う可変速再
   生時には、再生速度に応じ、上記第１或いは第３のトラ
   ックの少なくともいずれか一方のトラックで、且つ、ト
   ラック長手方向の少なくとも一箇所以上の特定箇所にお
   いて、両隣接トラックより再生される上記第１及び第２
   の周波数のパイロット信号のクロストークレベルを比較
   してトラッキング制御信号を生成し、テープ走行制御を
   行うようにしたことを特徴とするトラッキング制御装
   置。