JPH0874047A - スパッタリング装置 - Google Patents
スパッタリング装置Info
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- JPH0874047A JPH0874047A JP20767794A JP20767794A JPH0874047A JP H0874047 A JPH0874047 A JP H0874047A JP 20767794 A JP20767794 A JP 20767794A JP 20767794 A JP20767794 A JP 20767794A JP H0874047 A JPH0874047 A JP H0874047A
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- cathode
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 スパッタ時におけるターゲット板とカソード
シールドとの間に発生しがちなアーク放電を抑止してピ
ンホールやバイトエラーレートを低減させ、ターゲット
板の使用効率の大幅な向上を図る。 【構成】 カソードシールド14の材料として、熱伝導
率が2.0W/(cm・deg)以上のものを用いて当
該カソードシールド14を構成する。カソードシールド
14の材料の具体例としては、アルミニウム合金,及び
無酸素銅等が好ましい。
シールドとの間に発生しがちなアーク放電を抑止してピ
ンホールやバイトエラーレートを低減させ、ターゲット
板の使用効率の大幅な向上を図る。 【構成】 カソードシールド14の材料として、熱伝導
率が2.0W/(cm・deg)以上のものを用いて当
該カソードシールド14を構成する。カソードシールド
14の材料の具体例としては、アルミニウム合金,及び
無酸素銅等が好ましい。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カソードであるターゲ
ット板をイオン化したスパッタガスがスパッタリング
し、ターゲット板から飛び出した原子等によりアノード
に設置された基板上に薄膜を形成するスパッタリング装
置に関する。
ット板をイオン化したスパッタガスがスパッタリング
し、ターゲット板から飛び出した原子等によりアノード
に設置された基板上に薄膜を形成するスパッタリング装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、スパッタリング装置は、グロー
放電によりカソードに設置されたターゲット板をイオン
化したArガスがスパッタリングし、ターゲット板から
飛び出した原子等によりアノードに設置された基板上に
薄膜を形成する装置である。
放電によりカソードに設置されたターゲット板をイオン
化したArガスがスパッタリングし、ターゲット板から
飛び出した原子等によりアノードに設置された基板上に
薄膜を形成する装置である。
【0003】すなわち、上記スパッタリング装置におい
ては、先ず例えば1Pa程度以下の圧力のAr雰囲気中
にてカソード、即ちターゲット板に所定の負電位を印加
する。すると一対の電極であるカソード−アノード間に
電界が生じ、グロー放電が起こってイオン化(プラズマ
化)したArガスがターゲット板をスパッタリングす
る。その結果、上記ターゲット板からターゲット材料が
原子等の状態となって叩き出され、このターゲット材料
がターゲット板と対向して配置されたアノード表面に設
置された光ディスク等の基板上に堆積して薄膜が形成さ
れる。
ては、先ず例えば1Pa程度以下の圧力のAr雰囲気中
にてカソード、即ちターゲット板に所定の負電位を印加
する。すると一対の電極であるカソード−アノード間に
電界が生じ、グロー放電が起こってイオン化(プラズマ
化)したArガスがターゲット板をスパッタリングす
る。その結果、上記ターゲット板からターゲット材料が
原子等の状態となって叩き出され、このターゲット材料
がターゲット板と対向して配置されたアノード表面に設
置された光ディスク等の基板上に堆積して薄膜が形成さ
れる。
【0004】このとき、上記ターゲット板以外のものが
スパッタされることを防止するために、図14に示すよ
うに、スパッタリングカソード部101に設置されたタ
ーゲット板102の外周部近傍にカソードシールド(ダ
ークスペースシールド)103を設ける。このカソード
シールド103によりターゲット板102が保護され、
当該ターゲット板102のみが安定にスパッタされるよ
うになる。
スパッタされることを防止するために、図14に示すよ
うに、スパッタリングカソード部101に設置されたタ
ーゲット板102の外周部近傍にカソードシールド(ダ
ークスペースシールド)103を設ける。このカソード
シールド103によりターゲット板102が保護され、
当該ターゲット板102のみが安定にスパッタされるよ
うになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ス
パッタリング装置においては、図示の如くスパッタ時に
カソードシールド103にターゲット材料が堆積してゆ
き、この堆積したターゲット材料により形成された付着
膜Aが放電毎に剥離脱落し易くなる。このとき、剥離脱
落した上記付着膜Aは、カソード101に印加した高電
圧の電場により当該カソード101に引き寄せられ、電
流がショートしてアーク放電が発生する。
パッタリング装置においては、図示の如くスパッタ時に
カソードシールド103にターゲット材料が堆積してゆ
き、この堆積したターゲット材料により形成された付着
膜Aが放電毎に剥離脱落し易くなる。このとき、剥離脱
落した上記付着膜Aは、カソード101に印加した高電
圧の電場により当該カソード101に引き寄せられ、電
流がショートしてアーク放電が発生する。
【0006】アーク放電時においては、局所的に大電流
が流れるために、カソードシールド103に堆積したタ
ーゲット材料Aやターゲット板102が溶融破壊され、
大小様々な多数の粒子が飛散してアノード表面に設置さ
れた基板上に不均一に付着してしまい、基板が例えば光
磁気ディスク用のものである場合に、ピンホールやバイ
トエラーレートの増加の原因となり、また作製された光
磁気ディスクに腐食等が発生し易くなる。
が流れるために、カソードシールド103に堆積したタ
ーゲット材料Aやターゲット板102が溶融破壊され、
大小様々な多数の粒子が飛散してアノード表面に設置さ
れた基板上に不均一に付着してしまい、基板が例えば光
磁気ディスク用のものである場合に、ピンホールやバイ
トエラーレートの増加の原因となり、また作製された光
磁気ディスクに腐食等が発生し易くなる。
【0007】本発明は、上述の様々な課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、スパッタ時
におけるターゲット板とカソードシールドとの間に発生
しがちなアーク放電を抑止してピンホールやバイトエラ
ーレートを低減させ、ターゲット板の使用効率の大幅な
向上を図ることを可能とするスパッタリング装置を提供
することにある。
れたものであり、その目的とするところは、スパッタ時
におけるターゲット板とカソードシールドとの間に発生
しがちなアーク放電を抑止してピンホールやバイトエラ
ーレートを低減させ、ターゲット板の使用効率の大幅な
向上を図ることを可能とするスパッタリング装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の対象となるもの
は、基板と、この基板と対向配置されたターゲット板
と、このターゲット板の周縁部に配置されてなるカソー
ドシールドとが設けられてなるスパッタリング装置であ
り、当該スパッタリング装置におけるスパッタの対象と
する上記基板としては、主に円盤状のもの、例えば光デ
ィスク、特に光磁気ディスクを想定している。
は、基板と、この基板と対向配置されたターゲット板
と、このターゲット板の周縁部に配置されてなるカソー
ドシールドとが設けられてなるスパッタリング装置であ
り、当該スパッタリング装置におけるスパッタの対象と
する上記基板としては、主に円盤状のもの、例えば光デ
ィスク、特に光磁気ディスクを想定している。
【0009】本発明は、上記カソードシールドが2.0
W/(cm・deg)以上の熱伝導率を有する材料より
なることを特徴とするものである。ここで、当該カソー
ドシールドの材料としては、アルミニウム合金或は無酸
素銅等を用いることが好ましい。アルミニウム合金とし
ては、熱伝導率が2.35W/(cm・deg)程度の
ものが、無酸素銅としては、熱伝導率が4.01W/
(cm・deg)程度のものが考えられる。
W/(cm・deg)以上の熱伝導率を有する材料より
なることを特徴とするものである。ここで、当該カソー
ドシールドの材料としては、アルミニウム合金或は無酸
素銅等を用いることが好ましい。アルミニウム合金とし
ては、熱伝導率が2.35W/(cm・deg)程度の
ものが、無酸素銅としては、熱伝導率が4.01W/
(cm・deg)程度のものが考えられる。
【0010】また、本発明においては、上記カソードシ
ールドの開口部の内径寸法を、ターゲット板の外径寸法
より小となるようにし、当該カソードシールドの上記タ
ーゲット板の外周部を覆う遮蔽部分の幅を2mm以上に
形成して上記カソードシールドを構成する。すなわち、
上記カソードシールドがターゲット板の外周部をその上
部から覆い、当該カソードシールドと前記外周部との重
なり部分(遮蔽部分)の幅が2mm以上とされているこ
とを特徴とする。
ールドの開口部の内径寸法を、ターゲット板の外径寸法
より小となるようにし、当該カソードシールドの上記タ
ーゲット板の外周部を覆う遮蔽部分の幅を2mm以上に
形成して上記カソードシールドを構成する。すなわち、
上記カソードシールドがターゲット板の外周部をその上
部から覆い、当該カソードシールドと前記外周部との重
なり部分(遮蔽部分)の幅が2mm以上とされているこ
とを特徴とする。
【0011】なお、上記遮蔽部分の幅が2mmより小で
あると、カソードシールドのターゲット板に対する遮蔽
効果が不十分となってアーク放電の抑制が困難となる。
あると、カソードシールドのターゲット板に対する遮蔽
効果が不十分となってアーク放電の抑制が困難となる。
【0012】さらに、本発明においては、上記カソード
シールドの内周端からターゲット板の外周端までの離間
距離d、及び/又はカソードシールドの上面からターゲ
ット板の上面までの離間距離hを、イオンシース厚sよ
り小となるように上記カソードシールドを構成する。す
なわち、以下に示す式、 d<s,及び/又は、h<s ・・・(1) を満たすようにカソードシールドを構成することを特徴
とするものである。
シールドの内周端からターゲット板の外周端までの離間
距離d、及び/又はカソードシールドの上面からターゲ
ット板の上面までの離間距離hを、イオンシース厚sよ
り小となるように上記カソードシールドを構成する。す
なわち、以下に示す式、 d<s,及び/又は、h<s ・・・(1) を満たすようにカソードシールドを構成することを特徴
とするものである。
【0013】ここで、上記イオンシース厚(デバイ長)
sとは、イオン化したArガスであるプラズマの安定化
が保証される距離のことであり、一般的に以下の式で表
される。
sとは、イオン化したArガスであるプラズマの安定化
が保証される距離のことであり、一般的に以下の式で表
される。
【0014】 s=A(Vin3/2 /id )1/2 ・・・(2) ここで、Aは定数であり、 A={8/9ε0 (e/2mi )1/2 }1/2 ・・・(3) なお、id はイオン電流密度、mi はArイオン質量、
Vinは投入電圧であり、ε0 は真空誘電率、eは電子電
荷である。
Vinは投入電圧であり、ε0 は真空誘電率、eは電子電
荷である。
【0015】この場合、離間距離dを、イオンシース厚
sの半分の距離より大とすることが望ましい。すなわ
ち、以下に示す式、 s/2<d<s ・・・(4) を満たすようにカソードシールドを構成することが好ま
しい。
sの半分の距離より大とすることが望ましい。すなわ
ち、以下に示す式、 s/2<d<s ・・・(4) を満たすようにカソードシールドを構成することが好ま
しい。
【0016】ここで、離間距離dがイオンシース厚sの
半分の距離以下であると、ターゲット板の外周部近傍に
おける放電安定性が失われる虞れがある。
半分の距離以下であると、ターゲット板の外周部近傍に
おける放電安定性が失われる虞れがある。
【0017】
【作用】本発明に係るスパッタリング装置においては、
ターゲット板を保護するカソードシールドが2.0W/
(cm・deg)以上の熱伝導率を有する材料より構成
されている。
ターゲット板を保護するカソードシールドが2.0W/
(cm・deg)以上の熱伝導率を有する材料より構成
されている。
【0018】ところで、上記カソードシールドは、グロ
ー放電時において、カソードからの輻射熱や電子・荷電
粒子の衝突により加熱され、放電を中止すると熱伝導及
び輻射により冷却される。この放電サイクルにおいて加
熱・冷却を繰り返すことにより、徐々に平均温度が上昇
してゆき、あるときから定常状態となる。この定常状態
におけるカソードシールドの平均温度は、例えばこのカ
ソードシールドの材料が従来よく使用されるステンレス
スチールである場合には100℃前後となり、放電サイ
クルの変動温度幅は50〜100℃となる。
ー放電時において、カソードからの輻射熱や電子・荷電
粒子の衝突により加熱され、放電を中止すると熱伝導及
び輻射により冷却される。この放電サイクルにおいて加
熱・冷却を繰り返すことにより、徐々に平均温度が上昇
してゆき、あるときから定常状態となる。この定常状態
におけるカソードシールドの平均温度は、例えばこのカ
ソードシールドの材料が従来よく使用されるステンレス
スチールである場合には100℃前後となり、放電サイ
クルの変動温度幅は50〜100℃となる。
【0019】このようにカソードシールドの変動温度幅
が大きいと、カソードシールドとこのカソードシールド
に付着したターゲット材料により形成された付着膜との
間の線熱膨張率の相違により、当該ターゲット材料がカ
ソードシールドから剥離脱落する。特に、スパッタが開
始された初期時においては、カソードシールドは温度上
昇時にあるとともに、ターゲット材料が形成段階にあり
不安定な状態であるために、ターゲット材料の剥離脱落
が著しいものとなる。
が大きいと、カソードシールドとこのカソードシールド
に付着したターゲット材料により形成された付着膜との
間の線熱膨張率の相違により、当該ターゲット材料がカ
ソードシールドから剥離脱落する。特に、スパッタが開
始された初期時においては、カソードシールドは温度上
昇時にあるとともに、ターゲット材料が形成段階にあり
不安定な状態であるために、ターゲット材料の剥離脱落
が著しいものとなる。
【0020】本発明においては、カソードシールドの熱
伝導率が2.0W/(cm・deg)以上と従来カソー
ドシールドの材料として用いられているステンレススチ
ール等のそれと比較して大きいために、上記放熱サイク
ル中に大きな温度変動が起こることがなく、したがって
スパッタ開始初期時においてもカソードシールドに形成
された上記付着膜の剥離脱落が大幅に低減し、アーク放
電が抑止されることになる。
伝導率が2.0W/(cm・deg)以上と従来カソー
ドシールドの材料として用いられているステンレススチ
ール等のそれと比較して大きいために、上記放熱サイク
ル中に大きな温度変動が起こることがなく、したがって
スパッタ開始初期時においてもカソードシールドに形成
された上記付着膜の剥離脱落が大幅に低減し、アーク放
電が抑止されることになる。
【0021】また、本発明においては、カソードシール
ドの開口部の内径寸法は、ターゲット板の外径寸法より
小であり、当該カソードシールドの上記ターゲット板の
外周部を覆う遮蔽部分の幅が2mm以上とされ上記カソ
ードシールドが構成されている。
ドの開口部の内径寸法は、ターゲット板の外径寸法より
小であり、当該カソードシールドの上記ターゲット板の
外周部を覆う遮蔽部分の幅が2mm以上とされ上記カソ
ードシールドが構成されている。
【0022】この場合、上記遮蔽部分の存在により、ス
パッタ中にターゲット板が直接プラズマに晒されること
がなくなり、したがってカソードシールドとターゲット
板との間に発生しがちなアーク放電が抑止されることに
なる。
パッタ中にターゲット板が直接プラズマに晒されること
がなくなり、したがってカソードシールドとターゲット
板との間に発生しがちなアーク放電が抑止されることに
なる。
【0023】さらにまた、本発明においては、カソード
シールドの内周端からターゲット板の外周端までの離間
距離、及び/又はカソードシールドの上面からターゲッ
ト板の上面までの離間距離が、イオンシース厚より小と
して上記カソードシールドが構成されている。
シールドの内周端からターゲット板の外周端までの離間
距離、及び/又はカソードシールドの上面からターゲッ
ト板の上面までの離間距離が、イオンシース厚より小と
して上記カソードシールドが構成されている。
【0024】このように、イオンシース厚を保たずにこ
のイオンシース厚内に上記カソードシールドを配するこ
とにより、上記離間距離内ではプラズマの安定性が失わ
れ、ターゲット板の外周部における不導体形成等により
発生する局所的なアーク放電が抑制されることになる。
のイオンシース厚内に上記カソードシールドを配するこ
とにより、上記離間距離内ではプラズマの安定性が失わ
れ、ターゲット板の外周部における不導体形成等により
発生する局所的なアーク放電が抑制されることになる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係るスパッタリング装置を光
磁気ディスクの誘電膜形成に用いたいくつかの具体的な
実施例を図面を参照しながら説明する。
磁気ディスクの誘電膜形成に用いたいくつかの具体的な
実施例を図面を参照しながら説明する。
【0026】先ず、第1実施例について述べる。この第
1実施例に係るスパッタリング装置は、ターゲット板の
表面にカソード−アノード間に生じる電界と直交する方
向に所定の磁界を印加することによりスパッタリングの
効率を上げ、上記基板上における成膜速度を高くするも
のであり、表面上に上記ターゲット板が配されたカソー
ドの背後に磁石系が設置されてなる、いわゆる平板型マ
グネトロンスパッタリング装置(以下、単に平板型装置
と記す)と称されるものである。
1実施例に係るスパッタリング装置は、ターゲット板の
表面にカソード−アノード間に生じる電界と直交する方
向に所定の磁界を印加することによりスパッタリングの
効率を上げ、上記基板上における成膜速度を高くするも
のであり、表面上に上記ターゲット板が配されたカソー
ドの背後に磁石系が設置されてなる、いわゆる平板型マ
グネトロンスパッタリング装置(以下、単に平板型装置
と記す)と称されるものである。
【0027】具体的に、上記平板型装置は、図1に示す
ように、成膜室である真空チャンバー1と、この真空チ
ャンバー1内の真空状態を制御する真空制御部2と、プ
ラズマ放電用のDC高圧電源3と、この電源3と電源ラ
イン4にて接続されているスパッタリングカソード部5
と、上記スパッタリングカソード部5と所定距離をもっ
て対向配置されているアノード6と、スパッタガスであ
るAr等を真空チャンバー1内に供給するためのスパッ
タガス供給部7とから構成されている。
ように、成膜室である真空チャンバー1と、この真空チ
ャンバー1内の真空状態を制御する真空制御部2と、プ
ラズマ放電用のDC高圧電源3と、この電源3と電源ラ
イン4にて接続されているスパッタリングカソード部5
と、上記スパッタリングカソード部5と所定距離をもっ
て対向配置されているアノード6と、スパッタガスであ
るAr等を真空チャンバー1内に供給するためのスパッ
タガス供給部7とから構成されている。
【0028】上記スパッタリングカソード部5は、図2
に示すように、負電極として機能するSi等のターゲッ
ト材料よりなるターゲット板11と、このターゲット板
11が載置固定されるバッキングプレート12と、この
バッキングプレート12の背後に配された磁石系13
と、上記バッキングプレート12に設置された上記ター
ゲット板11の外周部近傍に設けられたカソードシール
ド(ダークスペースシールド)14とから構成されてい
る。そして、上記ターゲット板11と正電極として機能
する上記アノード6とにより一対の電極が構成され、ア
ノード6上にはスパッタリングカソード部5と対向して
被成膜体である光ディスク等、ここでは光磁気ディスク
の基板8が設置されている。
に示すように、負電極として機能するSi等のターゲッ
ト材料よりなるターゲット板11と、このターゲット板
11が載置固定されるバッキングプレート12と、この
バッキングプレート12の背後に配された磁石系13
と、上記バッキングプレート12に設置された上記ター
ゲット板11の外周部近傍に設けられたカソードシール
ド(ダークスペースシールド)14とから構成されてい
る。そして、上記ターゲット板11と正電極として機能
する上記アノード6とにより一対の電極が構成され、ア
ノード6上にはスパッタリングカソード部5と対向して
被成膜体である光ディスク等、ここでは光磁気ディスク
の基板8が設置されている。
【0029】上記カソードシールド14は、ターゲット
板11以外のものがスパッタされることを防止するため
に設けられたものであり、ターゲット板11の周縁部か
ら若干離間した箇所に略々リング状にターゲット板11
を包囲するように設けられている。
板11以外のものがスパッタされることを防止するため
に設けられたものであり、ターゲット板11の周縁部か
ら若干離間した箇所に略々リング状にターゲット板11
を包囲するように設けられている。
【0030】上記平板型装置を使用するに際しては、先
ず上記真空チャンバー1内を真空制御部2により十分良
い真空状態、例えば1Pa以下とする。その後、スパッ
タガス供給部7より真空チャンバー1内にスパッタガ
ス、例えばAr+N2 ガスを所要の圧力となるまで導入
する。この状態にて上記電源3よりバッキングプレート
11、即ちターゲット板12に所定の負電位を印加す
る。すると一対の電極であるバッキングプレート11−
アノード6間に電界が生じ、グロー放電が起こってイオ
ン化したArガスがターゲット板12をスパッタリング
する。その結果、上記ターゲット板12からターゲット
材料が原子等の状態となって叩き出され、このターゲッ
ト材料がターゲット板12と対向して配置されたアノー
ド6表面に設置された上記基板8の表面に堆積してSi
Nよりなる誘電体の薄膜が形成される。
ず上記真空チャンバー1内を真空制御部2により十分良
い真空状態、例えば1Pa以下とする。その後、スパッ
タガス供給部7より真空チャンバー1内にスパッタガ
ス、例えばAr+N2 ガスを所要の圧力となるまで導入
する。この状態にて上記電源3よりバッキングプレート
11、即ちターゲット板12に所定の負電位を印加す
る。すると一対の電極であるバッキングプレート11−
アノード6間に電界が生じ、グロー放電が起こってイオ
ン化したArガスがターゲット板12をスパッタリング
する。その結果、上記ターゲット板12からターゲット
材料が原子等の状態となって叩き出され、このターゲッ
ト材料がターゲット板12と対向して配置されたアノー
ド6表面に設置された上記基板8の表面に堆積してSi
Nよりなる誘電体の薄膜が形成される。
【0031】ところで、一般に、スパッタ時にカソード
シールドにターゲット材料が堆積して放電毎にこのター
ゲット材料が剥離脱落し易くなり、電流がショートして
アーク放電が発生して光磁気ディスクのバイトエラーレ
ートが悪化する。図3に示すように、このアーク放電数
(回/分)が増大するにつれてバイトエラーレートもま
た増加することが分かっている。
シールドにターゲット材料が堆積して放電毎にこのター
ゲット材料が剥離脱落し易くなり、電流がショートして
アーク放電が発生して光磁気ディスクのバイトエラーレ
ートが悪化する。図3に示すように、このアーク放電数
(回/分)が増大するにつれてバイトエラーレートもま
た増加することが分かっている。
【0032】この場合、図4に示すように、ターゲット
板の使用開始時が最もバイトエラーレートが大きく、使
用するに従って良好となり、更に使用を続けてターゲッ
ト板の寿命に近づくにつれて再び悪化してゆく。
板の使用開始時が最もバイトエラーレートが大きく、使
用するに従って良好となり、更に使用を続けてターゲッ
ト板の寿命に近づくにつれて再び悪化してゆく。
【0033】これは、以下に示す理由によるものである
と考えられる。すなわち、上記カソードシールドは、グ
ロー放電時において、カソードからの輻射熱や電子・荷
電粒子の衝突により加熱され、放電を中止すると熱伝導
及び輻射により冷却される。この放電サイクルにおいて
加熱・冷却を繰り返すことにより、徐々に平均温度が上
昇してゆき、あるときから定常状態となる。この定常状
態におけるカソードシールドの平均温度は、例えばこの
カソードシールドの材料が従来よく使用されるステンレ
ススチールである場合には100℃前後となり、放電サ
イクルの変動温度幅は50〜100℃となる。
と考えられる。すなわち、上記カソードシールドは、グ
ロー放電時において、カソードからの輻射熱や電子・荷
電粒子の衝突により加熱され、放電を中止すると熱伝導
及び輻射により冷却される。この放電サイクルにおいて
加熱・冷却を繰り返すことにより、徐々に平均温度が上
昇してゆき、あるときから定常状態となる。この定常状
態におけるカソードシールドの平均温度は、例えばこの
カソードシールドの材料が従来よく使用されるステンレ
ススチールである場合には100℃前後となり、放電サ
イクルの変動温度幅は50〜100℃となる。
【0034】このようにカソードシールドの変動温度幅
が大きいと、カソードシールドとこのカソードシールド
に付着したターゲット材料により形成された付着膜との
間の線熱膨張率の相違により、当該ターゲット材料がカ
ソードシールドから剥離脱落する。特に、スパッタが開
始された初期時においては、カソードシールドは温度上
昇時にあるとともに、ターゲット材料による付着膜が形
成段階にあり不安定な状態であるために、ターゲット材
料の剥離脱落が著しいものとなる。
が大きいと、カソードシールドとこのカソードシールド
に付着したターゲット材料により形成された付着膜との
間の線熱膨張率の相違により、当該ターゲット材料がカ
ソードシールドから剥離脱落する。特に、スパッタが開
始された初期時においては、カソードシールドは温度上
昇時にあるとともに、ターゲット材料による付着膜が形
成段階にあり不安定な状態であるために、ターゲット材
料の剥離脱落が著しいものとなる。
【0035】一般に、上記カソードシールドの材料とし
ては、ステンレススチールが使用されている。このステ
ンレススチールは、導電性を有し数百度までの耐久性が
あり、且つガスの放出量が少ないという特徴を有してお
り、一定の材料要求特性を満たしている。ところが、カ
ソードシールドに付着したターゲット材料(ここではS
iとする)により形成された上記付着膜の線熱膨張率は
1×10-6(1/℃)前後であるのに対し、上記ステン
レススチールの線熱膨張率は10×10-6(1/℃)前
後と上記付着膜の10倍程の値である。したがって、ス
パッタ中、特にその開始時において、上記付着膜には大
きな圧縮応力が加わって剥離脱落が発生する。
ては、ステンレススチールが使用されている。このステ
ンレススチールは、導電性を有し数百度までの耐久性が
あり、且つガスの放出量が少ないという特徴を有してお
り、一定の材料要求特性を満たしている。ところが、カ
ソードシールドに付着したターゲット材料(ここではS
iとする)により形成された上記付着膜の線熱膨張率は
1×10-6(1/℃)前後であるのに対し、上記ステン
レススチールの線熱膨張率は10×10-6(1/℃)前
後と上記付着膜の10倍程の値である。したがって、ス
パッタ中、特にその開始時において、上記付着膜には大
きな圧縮応力が加わって剥離脱落が発生する。
【0036】そこで、スパッタ時におけるカソードシー
ルドの温度上昇を抑える方法として、当該カソードシー
ルドの熱伝導率を向上させることが考えられる。本第1
実施例においては、カソードシールド14の材料とし
て、熱伝導率が2.0W/(cm・deg)以上のもの
を用いる。
ルドの温度上昇を抑える方法として、当該カソードシー
ルドの熱伝導率を向上させることが考えられる。本第1
実施例においては、カソードシールド14の材料とし
て、熱伝導率が2.0W/(cm・deg)以上のもの
を用いる。
【0037】ここで、1つの実験例について説明する。
この実験は、カソードシールドの材料として、熱伝導率
がそれぞれ0.14〜0.25,1.20,2.35,
及び4.01W/(cm・deg)であるステンレスス
チール,真ちゅう,アルミニウム合金,及び無酸素銅の
4種のサンプル1〜4を用いて、スパッタ開始直後から
の平均のバイトエラーレートの変化について調べたもの
である。
この実験は、カソードシールドの材料として、熱伝導率
がそれぞれ0.14〜0.25,1.20,2.35,
及び4.01W/(cm・deg)であるステンレスス
チール,真ちゅう,アルミニウム合金,及び無酸素銅の
4種のサンプル1〜4を用いて、スパッタ開始直後から
の平均のバイトエラーレートの変化について調べたもの
である。
【0038】上記実験の結果としては、10kWH経過
時でのサンプル1,2については、3×10-4(300
×10-6),6×10-5(60×10-6)であったのに
対して、サンプル3,4については、2×10-6,3×
10-6となった。このように、熱伝導率が2.0W/
(cm・deg)以上であるサンプル3,4について
は、光磁気ディスクのバイトエラーレートの概ねのスペ
ックである5×10-5より低値であり、ターゲット板の
使用効率が極めて高いものであることが分かった。
時でのサンプル1,2については、3×10-4(300
×10-6),6×10-5(60×10-6)であったのに
対して、サンプル3,4については、2×10-6,3×
10-6となった。このように、熱伝導率が2.0W/
(cm・deg)以上であるサンプル3,4について
は、光磁気ディスクのバイトエラーレートの概ねのスペ
ックである5×10-5より低値であり、ターゲット板の
使用効率が極めて高いものであることが分かった。
【0039】なお、サンプル3を用いた際の5kwH〜
250kwH間の平均のバイトエラーレートを上記図4
に示す。このように、サンプル3については、プレスパ
ッタ時間を5kwHとすることにより上記スペックを満
たすようになる。
250kwH間の平均のバイトエラーレートを上記図4
に示す。このように、サンプル3については、プレスパ
ッタ時間を5kwHとすることにより上記スペックを満
たすようになる。
【0040】このように、本第1実施例においては、カ
ソードシールド14の熱伝導率が2.0W/(cm・d
eg)以上と従来カソードシールドの材料として用いら
れているステンレススチール等のそれと比較して大きい
ために、上記放熱サイクル中に大きな温度変動が起こる
ことがなく、したがってスパッタ開始初期時においても
カソードシールド14に形成された付着膜の剥離脱落が
大幅に低減し、アーク放電が抑止されることになる。
ソードシールド14の熱伝導率が2.0W/(cm・d
eg)以上と従来カソードシールドの材料として用いら
れているステンレススチール等のそれと比較して大きい
ために、上記放熱サイクル中に大きな温度変動が起こる
ことがなく、したがってスパッタ開始初期時においても
カソードシールド14に形成された付着膜の剥離脱落が
大幅に低減し、アーク放電が抑止されることになる。
【0041】なお、図5に示すように、ターゲット板1
1近傍にて発生した放射熱は、カソードシールド14を
伝わりこのカソードシールド14の連結部15を通して
真空チャンバー1の壁面を拡散してゆく。したがって、
上記連結部15にもカソードシールド14と同様に熱伝
導率の良い材質を用いることにより、さらに上記カソー
ドシールド14の温度上昇を抑制することが可能とな
る。
1近傍にて発生した放射熱は、カソードシールド14を
伝わりこのカソードシールド14の連結部15を通して
真空チャンバー1の壁面を拡散してゆく。したがって、
上記連結部15にもカソードシールド14と同様に熱伝
導率の良い材質を用いることにより、さらに上記カソー
ドシールド14の温度上昇を抑制することが可能とな
る。
【0042】さらに、上記連結部15の近傍に冷却機構
16を設け、この冷却機構16に冷却水を循環させるこ
とにより更に温度上昇を抑制することもできる。
16を設け、この冷却機構16に冷却水を循環させるこ
とにより更に温度上昇を抑制することもできる。
【0043】このように、本第1実施例においては、ス
パッタ時におけるターゲット板11とカソードシールド
14との間に発生しがちなアーク放電が抑止されてピン
ホールやバイトエラーレートが低減され、ターゲット板
11の使用効率の大幅な向上を図ることが可能となる。
パッタ時におけるターゲット板11とカソードシールド
14との間に発生しがちなアーク放電が抑止されてピン
ホールやバイトエラーレートが低減され、ターゲット板
11の使用効率の大幅な向上を図ることが可能となる。
【0044】次いで、本発明の第2実施例について説明
する。この第2実施例に係るスパッタリング装置は、上
記第1実施例のそれとほぼ同様の構成を有するが、その
構成要素であるカソードシールド14が異なる。なお、
上記第1実施例と対応する部材等については同符号を記
す。
する。この第2実施例に係るスパッタリング装置は、上
記第1実施例のそれとほぼ同様の構成を有するが、その
構成要素であるカソードシールド14が異なる。なお、
上記第1実施例と対応する部材等については同符号を記
す。
【0045】すなわち、本第2実施例に係るスパッタリ
ング装置において、そのスパッタリングカソード部5付
近の様子は、図6に示すように、カソードシールド14
の開口部14aの内径寸法が、ターゲット板11の外径
寸法より小となるようにされ、当該カソードシールド1
4の上記ターゲット板11の外周部を覆う遮蔽部分21
の幅を2mm以上に形成して上記カソードシールド14
が構成されている。すなわち、図7に示すように、カソ
ードシールド14がターゲット板11の外周部をその上
部から覆い、当該カソードシールド14と前記外周部と
の重なり部分(遮蔽部分21)の幅が2mm以上とされ
ている。
ング装置において、そのスパッタリングカソード部5付
近の様子は、図6に示すように、カソードシールド14
の開口部14aの内径寸法が、ターゲット板11の外径
寸法より小となるようにされ、当該カソードシールド1
4の上記ターゲット板11の外周部を覆う遮蔽部分21
の幅を2mm以上に形成して上記カソードシールド14
が構成されている。すなわち、図7に示すように、カソ
ードシールド14がターゲット板11の外周部をその上
部から覆い、当該カソードシールド14と前記外周部と
の重なり部分(遮蔽部分21)の幅が2mm以上とされ
ている。
【0046】ここで、1つの実験例について説明する。
この実験は、カソードシールド14の上記遮蔽部分21
の幅を変化させた際の平均のバイトエラーレートを測定
したものである。
この実験は、カソードシールド14の上記遮蔽部分21
の幅を変化させた際の平均のバイトエラーレートを測定
したものである。
【0047】上記実験の結果としては、図8に示すよう
に、遮蔽部分21の幅がほぼ0.5mmを越えたあたり
からバイトエラーレートは10-6のオーダーとなり、ほ
ぼ2mmで最小値となり、その後は大きな変化を示すこ
とはなかった。
に、遮蔽部分21の幅がほぼ0.5mmを越えたあたり
からバイトエラーレートは10-6のオーダーとなり、ほ
ぼ2mmで最小値となり、その後は大きな変化を示すこ
とはなかった。
【0048】したがって、上記遮蔽部分21の存在によ
り、スパッタ中にターゲット板11が直接プラズマに晒
されることがなくなり、したがってカソードシールド1
4とターゲット板11との間に発生しがちなアーク放電
が抑止されることが分かる。
り、スパッタ中にターゲット板11が直接プラズマに晒
されることがなくなり、したがってカソードシールド1
4とターゲット板11との間に発生しがちなアーク放電
が抑止されることが分かる。
【0049】なお、上記遮蔽部分21の幅が2mmより
小であると、ターゲット板11の遮蔽効果が不十分とな
ってアーク放電の抑制が困難となる。
小であると、ターゲット板11の遮蔽効果が不十分とな
ってアーク放電の抑制が困難となる。
【0050】このように、本第2実施例においては、上
記第1実施例と同様に、スパッタ時におけるターゲット
板11とカソードシールド14との間に発生しがちなア
ーク放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレート
が低減され、ターゲット板11の使用効率の大幅な向上
を図ることが可能となる。
記第1実施例と同様に、スパッタ時におけるターゲット
板11とカソードシールド14との間に発生しがちなア
ーク放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレート
が低減され、ターゲット板11の使用効率の大幅な向上
を図ることが可能となる。
【0051】次いで、本発明の第3実施例について説明
する。この第3実施例に係るスパッタリング装置は、上
記第1実施例のそれとほぼ同様の構成を有するが、その
構成要素であるカソードシールド14が異なる。なお、
上記第1実施例と対応する部材等については同符号を記
す。
する。この第3実施例に係るスパッタリング装置は、上
記第1実施例のそれとほぼ同様の構成を有するが、その
構成要素であるカソードシールド14が異なる。なお、
上記第1実施例と対応する部材等については同符号を記
す。
【0052】すなわち、本第3実施例に係るスパッタリ
ング装置において、そのスパッタリングカソード部5付
近の様子は、図9に示すように、カソードシールド14
の内周端からターゲット板11の外周端までの離間距離
d、及び/又はカソードシールドの上面からターゲット
板の上面までの離間距離hが、イオンシース厚sより小
(d,h<s)となるように、特に上記離間距離dにつ
いてはイオンシース厚sの半分の距離より大(s/2<
d<s)となるように上記カソードシールド14が構成
されている。ここで、上記イオンシース厚(デバイ長)
sとは、イオン化したArガスであるプラズマの安定化
が保証される距離のことである。
ング装置において、そのスパッタリングカソード部5付
近の様子は、図9に示すように、カソードシールド14
の内周端からターゲット板11の外周端までの離間距離
d、及び/又はカソードシールドの上面からターゲット
板の上面までの離間距離hが、イオンシース厚sより小
(d,h<s)となるように、特に上記離間距離dにつ
いてはイオンシース厚sの半分の距離より大(s/2<
d<s)となるように上記カソードシールド14が構成
されている。ここで、上記イオンシース厚(デバイ長)
sとは、イオン化したArガスであるプラズマの安定化
が保証される距離のことである。
【0053】ここで、1つの実験例について説明する。
この実験は、カソードシールド14の上記各離間距離
d,hを変化させた際のアーク放電数(回/分)を測定
したものである。なお、この実験においては、アルミニ
ウム合金を材料とする同一のカソードシールド14であ
るサンプル1,2を用い、使用時間を変えて測定した。
このとき、投入電力(DCによる)はどちらも4.2k
W、印加電圧はそれぞれ700V及び680V、供給し
た電流はそれぞれ1.2mA及び1.3mA、ガス圧は
どちらも6.0mTorrとした。但し、サンプル1は
5kWH、サンプル2は20kWH使用したものであ
る。
この実験は、カソードシールド14の上記各離間距離
d,hを変化させた際のアーク放電数(回/分)を測定
したものである。なお、この実験においては、アルミニ
ウム合金を材料とする同一のカソードシールド14であ
るサンプル1,2を用い、使用時間を変えて測定した。
このとき、投入電力(DCによる)はどちらも4.2k
W、印加電圧はそれぞれ700V及び680V、供給し
た電流はそれぞれ1.2mA及び1.3mA、ガス圧は
どちらも6.0mTorrとした。但し、サンプル1は
5kWH、サンプル2は20kWH使用したものであ
る。
【0054】上記実験の結果としては、図10及び図1
1に示すように、上記離間距離d,hともにほぼ1mm
以下(離間距離hについてはほぼ±1mm以内)となる
と、1分間のアーク放電数が10回以下となってほぼ無
視し得る程度のものとなることが分かる。
1に示すように、上記離間距離d,hともにほぼ1mm
以下(離間距離hについてはほぼ±1mm以内)となる
と、1分間のアーク放電数が10回以下となってほぼ無
視し得る程度のものとなることが分かる。
【0055】このとき、バイトエラーレートとアーク放
電数(回/分)との関係を調べたところ、図12及び図
13に示すように、離間距離dを2.0sとしたときに
は平均のバイトエラーレートが1.06×10-5であっ
たのに対し、離間距離dを0.8sとしたときには平均
のバイトエラーレートが3.5×10-6と大幅に向上し
た。
電数(回/分)との関係を調べたところ、図12及び図
13に示すように、離間距離dを2.0sとしたときに
は平均のバイトエラーレートが1.06×10-5であっ
たのに対し、離間距離dを0.8sとしたときには平均
のバイトエラーレートが3.5×10-6と大幅に向上し
た。
【0056】このとき、上記図9に示すように、離間距
離dが0.2mm程度となると、ターゲット板11の近
傍におけるグロー放電の安定性が失われることになるた
め、アーク放電を抑制し得る範囲として、0.5(m
m)<d<1.0(mm)、h<1.0(mm)とすれ
ば良い。
離dが0.2mm程度となると、ターゲット板11の近
傍におけるグロー放電の安定性が失われることになるた
め、アーク放電を抑制し得る範囲として、0.5(m
m)<d<1.0(mm)、h<1.0(mm)とすれ
ば良い。
【0057】なお、この実験の条件下では、イオンシ−
ス厚sは、上記(2)式から、ほぼ1.1mmとなる。
したがって、このイオンシ−ス厚で規格化すると、s/
2<d<s、h<sが最適範囲となる。
ス厚sは、上記(2)式から、ほぼ1.1mmとなる。
したがって、このイオンシ−ス厚で規格化すると、s/
2<d<s、h<sが最適範囲となる。
【0058】上記のように、イオンシース厚sを保たず
にこのイオンシース厚s内に上記カソードシールド14
を配することにより、上記離間距離d,h内ではプラズ
マの安定性が失われ、ターゲット板11の外周部におけ
る不導体形成等により発生する局所的なアーク放電が抑
制されることになる。
にこのイオンシース厚s内に上記カソードシールド14
を配することにより、上記離間距離d,h内ではプラズ
マの安定性が失われ、ターゲット板11の外周部におけ
る不導体形成等により発生する局所的なアーク放電が抑
制されることになる。
【0059】このように、本第3実施例においても、上
記第1実施例と同様に、スパッタ時におけるターゲット
板11とカソードシールド14との間に発生しがちなア
ーク放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレート
が低減され、ターゲット板11の使用効率の大幅な向上
を図ることが可能となる。
記第1実施例と同様に、スパッタ時におけるターゲット
板11とカソードシールド14との間に発生しがちなア
ーク放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレート
が低減され、ターゲット板11の使用効率の大幅な向上
を図ることが可能となる。
【0060】
【発明の効果】上記から明かなように、本発明に係るス
パッタリング装置によれば、スパッタ時におけるターゲ
ット板とカソードシールドとの間に発生しがちなアーク
放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレートが低
減され、ターゲット板の使用効率の大幅な向上を図るこ
とが可能となる。
パッタリング装置によれば、スパッタ時におけるターゲ
ット板とカソードシールドとの間に発生しがちなアーク
放電が抑止されてピンホールやバイトエラーレートが低
減され、ターゲット板の使用効率の大幅な向上を図るこ
とが可能となる。
【図1】第1実施例に係るスパッタリング装置を示す模
式図である。
式図である。
【図2】上記スパッタリング装置の構成要素であるスパ
ッタリングカソード部付近の様子を模式的に示す断面図
である。
ッタリングカソード部付近の様子を模式的に示す断面図
である。
【図3】アーク放電数とバイトエラーレート(BER)
との関係を示す特性図である。
との関係を示す特性図である。
【図4】ターゲット板の使用時間とバイトエラーレート
との関係を示す特性図である。
との関係を示す特性図である。
【図5】第1実施例に係るスパッタリング装置の他の例
の構成要素であるスパッタリングカソード部付近の様子
を示す模式図である。
の構成要素であるスパッタリングカソード部付近の様子
を示す模式図である。
【図6】第2実施例に係るスパッタリング装置の構成要
素であるスパッタリングカソード部付近の様子を模式的
に示す断面図である。
素であるスパッタリングカソード部付近の様子を模式的
に示す断面図である。
【図7】第2実施例に係るスパッタリング装置の構成要
素であるスパッタリングカソード部のカソードシールド
付近の様子を模式的に示す断面図である。
素であるスパッタリングカソード部のカソードシールド
付近の様子を模式的に示す断面図である。
【図8】カソードシールドの上記遮蔽部分の幅(X)と
バイトエラーレートとの関係を示す特性図である。
バイトエラーレートとの関係を示す特性図である。
【図9】第3実施例に係るスパッタリング装置の構成要
素であるスパッタリングカソード部付近の様子を模式的
に示す断面図である。
素であるスパッタリングカソード部付近の様子を模式的
に示す断面図である。
【図10】離間距離dとアーク放電数との関係を示す特
性図である。
性図である。
【図11】離間距離hとアーク放電数との関係を示す特
性図である。
性図である。
【図12】離間距離dが2.0sのときのバイトエラー
レートとアーク放電数との関係を示す特性図である。
レートとアーク放電数との関係を示す特性図である。
【図13】離間距離dが0.8sのときのバイトエラー
レートとアーク放電数との関係を示す特性図である。
レートとアーク放電数との関係を示す特性図である。
【図14】従来のスパッタリング装置の構成要素である
スパッタリングカソード部のカソードシールド付近の様
子を模式的に示す断面図である。
スパッタリングカソード部のカソードシールド付近の様
子を模式的に示す断面図である。
1 真空チャンバー 2 真空制御部 3 電源 4 電源ライン 5 スパッタリングカソード部 6 アノード 7 スパッタガス供給部 8 基板 11 ターゲット板 12 バッキングプレート 13 磁石系 14 カソードシールド 15 連結部 16 冷却機構 21 遮蔽部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末永 敏幸 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 基板と、この基板と対向配置されたター
ゲット板と、このターゲット板の周縁部に配置されてな
るカソードシールドとを有し、 上記カソードシールドが2.0W/(cm・deg)以
上の熱伝導率を有する材料よりなることを特徴とするス
パッタリング装置。 - 【請求項2】 カソードシールドがアルミニウム合金或
は無酸素銅よりなることを特徴とする請求項1記載のス
パッタリング装置。 - 【請求項3】 基板と、この基板と対向配置されたター
ゲット板と、このターゲット板の周縁部に配置されてな
るカソードシールドとを有し、 上記カソードシールドの開口部の内径寸法はターゲット
板の外径寸法より小であり、当該カソードシールドの上
記ターゲット板の外周部を覆う遮蔽部分の幅が2mm以
上であることを特徴とするスパッタリング装置。 - 【請求項4】 基板と、この基板と対向配置されたター
ゲット板と、このターゲット板の周縁部に配置されてな
るカソードシールドとを有し、 上記カソードシールドの内周端からターゲット板の外周
端までの離間距離、及び/又はカソードシールドの上面
からターゲット板の上面までの離間距離が、イオンシー
ス厚より小であることを特徴とするスパッタリング装
置。 - 【請求項5】 カソードシールドの内周端からターゲッ
ト板の外周端までの離間距離が、イオンシース厚の半分
の距離より大であることを特徴とする請求項4記載のス
パッタリング装置。 - 【請求項6】 ターゲット板が円盤状であることを特徴
とする請求項1,2,3,4,又は5記載のスパッタリ
ング装置。 - 【請求項7】 ターゲット板が光ディスク用の基板であ
ることを特徴とする請求項6記載のスパッタリング装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20767794A JPH0874047A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | スパッタリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20767794A JPH0874047A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | スパッタリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0874047A true JPH0874047A (ja) | 1996-03-19 |
Family
ID=16543747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20767794A Withdrawn JPH0874047A (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | スパッタリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0874047A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999004412A3 (de) * | 1997-07-18 | 1999-04-08 | Ardenne Anlagentech Gmbh | Targetkathodenanordnung |
-
1994
- 1994-08-31 JP JP20767794A patent/JPH0874047A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999004412A3 (de) * | 1997-07-18 | 1999-04-08 | Ardenne Anlagentech Gmbh | Targetkathodenanordnung |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20011106 |