JPH0873728A - 安定化ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

安定化ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH0873728A
JPH0873728A JP23201294A JP23201294A JPH0873728A JP H0873728 A JPH0873728 A JP H0873728A JP 23201294 A JP23201294 A JP 23201294A JP 23201294 A JP23201294 A JP 23201294A JP H0873728 A JPH0873728 A JP H0873728A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度、成形滞留性及び長期の耐熱耐久
性に優れた安定化されたPC系樹脂組成物を提供する。 【構成】 (A)ポリカーボネート樹脂又はポリカーボ
ネート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合物40〜98.
9重量%、(B)繊維状無機充填材1〜50重量%、
(C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサンを
0.1〜10重量%からなる安定化ポリカーボネート樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定化ポリカーボネー
ト樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート(以下「PC」とい
う)樹脂は、強靱で、耐衝撃性等の機械的強度、寸法安
定性等に優れる有用なエンジニアリングプラスチックで
あり、各種電子部品、機械部品等の用途に広く利用され
ている。また、PC樹脂の成形加工性や耐薬品性が更に
改良されたPCアロイタイプ、例えばPC樹脂と芳香族
飽和ポリエステル樹脂とのアロイやPC樹脂とスチレン
−アクリロニトリル−ブタジエン(ABS)樹脂とのア
ロイもまた有用な材料である。
【0003】これらPC系樹脂に繊維状無機充填材を配
合して、機械的強度、耐熱性、寸法精度、表面硬度、耐
摩耗性等を更に向上させる試みも広く行われている。し
かしながら、PC樹脂に繊維状無機充填材を配合する
と、繊維状無機充填材が弱アルカリ性又は弱酸性である
ことに起因すると考えられるPC樹脂の加水分解、延い
ては分子量低下が生じ、PC樹脂本来の優れた物性が低
下するという問題があった。
【0004】斯かる問題を解消する方法として、既にい
くつかの提案がなされている。
【0005】例えば、繊維状無機充填材としてチタン酸
カリウムウィスカー(以下「PTW」という)を用いる
場合、PTW表面を金属アルコラートの縮重合反応で形
成される金属酸化膜で被覆する方法(特開昭59−11
5343号公報)、PTWの遊離カリウム含有量が0.
25%以下のPTWを配合する方法(特開昭62−12
9346号公報)、トンネル構造PTWを配合する方法
(特開昭63−6049号公報)、フリーアルカリ量が
10ppm以下の6−PTWを配合する方法(特開平2−
86650号公報)、リン化合物を配合する方法(特開
平2−283760号公報)、有機酸を配合する方法
(特開平3−14865号公報)、ポリオキシアルキレ
ン誘導体と無水マレイン酸の共重合体によって表面処理
する方法(特開平3−247670号公報)、ケイ素化
合物及びアルミニウム酸化物で表面処理する方法(特開
平4−41554号公報、特開平4−41556号公
報)、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シランを配合する方法(特開平4−25552号公報)
等が提案されている。
【0006】しかしながら、これらの方法のいずれにお
いても、PTWの配合量が10重量%未満では、PCの
分子量低下はある程度防止されるものの、十分な機械的
強度が得られず、実用的用途は限定されることになる。
一方、PTWの配合量が10重量%以上になると、PC
樹脂の分子量低下効果が不十分であり、また成形滞留性
(熱安定性)に劣り、更に長期の耐熱耐久性に劣ってい
るために、長期間高熱や熱応力を受ける用途に使用した
りリサイクルして使用したりするには問題がある。ま
た、分子鎖中にSiH基を有するオルガノポリシロキサ
ンやエポキシ基等を有する有機ポリマーを配合する方法
は分子量低下防止効果には、非常に有効な方法である
が、成形滞留性において着色が大きいという問題を有し
ている。従って、PC樹脂を熱時劣化させず、成形工程
中での着色変化の少ない繊維状無機充填材の配合方法が
望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的強度、成形滞留性及び長期の耐熱耐久性に優れた安定
化されたPC系樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は(A)ポリカー
ボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性
樹脂との混合物40〜98.9重量%、(B)繊維状無
機充填材1〜50重量%、(C)エポキシ基含有ポリア
ルコキシポリシロキサンを0.1〜10重量%からなる
安定化ポリカーボネート樹脂組成物に係る。
【0009】本発明の(A)ポリカーボネート樹脂又は
ポリカーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合物に
おいて用いることのできるPC樹脂としては、特に制限
はなく、芳香族フェノール系化合物とホスゲン又は炭酸
ジエステルを反応させて製造される樹脂など、従来公知
のPC樹脂を広く使用することができる。本発明には分
岐を有するPC樹脂も用いることができる。具体例とし
ては、ビスフェノールAを主原料として溶剤法または溶
融法などで合成されるPC樹脂を例示できる。本発明で
用ることのできるPC樹脂の分子量としては、特に制限
されるものではないが、例えば塩化メチレン溶剤中で測
定した粘度平均分子量が19000〜30000の範囲
のものを用いるのが好ましい。
【0010】本発明においては、PC樹脂は単独で、も
しくは1種または2種以上の他の樹脂と混合して用いる
ことができる。斯かるPC樹脂と混合して用いることの
できる樹脂としては、PC樹脂と混合可能な樹脂であれ
ば特に制限はなく、例えば芳香族ポリエステル系樹脂、
ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピ
レン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、
ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルフィド系樹脂
等を挙げることができる。
【0011】芳香族ポリエステル系樹脂としては、芳香
族又は脂肪族ジオールと芳香族又は脂肪族二塩基酸とを
重縮合反応させて得られる樹脂であり、従来公知のもの
を広く使用することができる。具体的には、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が例
示できる。これらの中でも、フェノール/テトラクロロ
エタン(容量6/4)の混合溶剤で測定した場合の極限
粘度が0.7〜1.2の範囲となるものが好適である。
【0012】ポリスチレン系樹脂としては、具体的には
一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン
−アクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリロニトリル
−ブタジエン樹脂、AES樹脂、スチレン−メタクリル
酸メチル−アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−
アクリルゴム−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等
を例示できる。ポリエチレン系樹脂としては、具体的に
は高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、
線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ア
クリル酸エステル共重合体、エチレン−グリシジル(メ
タ)アクリレート共重合体等を例示できる。
【0013】ポリプロピレン系樹脂としては、具体的に
はポリプロピレン樹脂、プロピレン−酢酸ビニル共重合
体、プロピレン−塩化ビニル共重合体等を例示できる。
ポリアミド系樹脂としては、具体的にはアミノカルボン
酸化合物単独又はジカルボン酸化合物とジアミン化合物
からなる縮重合体、α,ω−カプロラクタムを閉環重合
して得られる重合体等を例示できる。ポリエーテル系樹
脂としては、具体的にはポリフェニレンエーテル(共)
重合体、ポリエーテルイミド重合体等を例示できる。ポ
リスルホン系樹脂としては、具体的にはポリスルホン、
ポリエーテルスルホン等を例示できる。上記の熱可塑性
樹脂の中でも、芳香族ポリエステル及びスチレン−アク
リロニトリル−ブタジエン樹脂が特に好適である。PC
樹脂と他の熱可塑性樹脂の混合割合としては、特に限定
されるものではないが、PC樹脂と他の熱可塑性樹脂と
の混合樹脂中にPC樹脂が30重量%以上となるように
両者を混合するのが好ましい。
【0014】本発明に用いることのできる(B)繊維状
無機充填材としては、例えばPTW、導電性チタン酸カ
リウムウィスカー、三次元構造を有する酸化亜鉛ウィス
カー、一般式aAXY・bB23(ここでa及びbはそ
れぞれ1〜9の数、Aは1〜3価の金属元素、x及びy
はx=2、y=1もしくはx=y=1もしくはx=2、
y=3)で示されるホウ酸金属塩系ウィスカー、一般式
pMvw・qSiO2・rH2O(ここで1≦p≦3,1
≦q≦3,0≦r≦10の実数及びv及びwはv=2、
w=1もしくはv=w=1もしくはv=2、w=3、M
は上記Aに同じ)で示されるケイ酸塩系ウィスカー等が
挙げられる。これらは1種または2種以上混合して用い
ることができる。
【0015】PTWは、一般式K2O・n(TiO2-s
(式中n、sはそれぞれ2≦n≦12、0≦s<1の実
数を示す)で表される単結晶繊維であり、例えばn=
8、s=0の8チタン酸カリウムウィスカー、n=6、
s=0の6チタン酸カリウムウィスカー、n=4、s=
0の4チタン酸カリウムウィスカーなどを挙げることが
できる。市販品としては、例えば「ティスモ」(商品
名、大塚化学株式会社製)があり、このものは、平均繊
維長0.2〜0.5μm、平均繊維長10〜20μmの高強
度単結晶ウィスカーである。
【0016】導電性チタン酸カリウムウィスカーとして
は、一般式K2O・n(TiO2-t)(式中n、tはそれ
ぞれ2≦n≦12、0<t<2の実数を示す)で表され
るチタン酸カリウムウィスカー、または無電解メッキ
法、浸漬法もしくはスプレーコート法等によりチタン酸
カリウムウィスカーの表面に導電性あるいは半導電性の
金属や金属酸化物などを付着させ、又は沈着させたもの
等を用いることができる。これらの形状としては、平均
繊維径0.01〜1μm、平均アスペクト比10以上のも
のが特に好ましい。
【0017】本発明に用いることができる三次元構造を
有する酸化亜鉛ウィスカーとは、テトラポット状に結晶
成長した酸化亜鉛ウィスカーであり、繊維径0.2〜3
μm、繊維長2〜50μmのものを好ましく用いることが
できる。市販品としては、「パナテトラ」(商品名、松
下アムテック社製)等がある。
【0018】一般式aAXY・bB23(ここでa及び
bはそれぞれ1〜9の数、Aは1〜3価の金属元素、x
及びyはx=2、y=1もしくはx=y=1もしくはx
=2、y=3)で示されるホウ酸金属塩系ウィスカーに
おいて、Aとしては例えばMg,Ca,Cr,Mn,Fe,
Co,Ni,Cu,Zn,Al,Ga,Sr,Y,Zr,Nb,
Mo,Pb,Ba,W,Li等を挙げることができる。なか
でも例えばAがAlであるホウ酸アルミニウムウィスカ
ー、AがMgであるホウ酸マグネシウムウィスカー、A
がNiであるホウ酸ニッケルウィスカーなどが好まし
い。ホウ酸アルミニウムウィスカーとしては、さらに好
ましいものとして、9Al23・2B23又は式2Al2
3・B23で示されるものを例示することができる。
【0019】これらのウィスカーはいずれも白色針状結
晶であり、例えば、アルミニウム水酸化物およびアルミ
ニウム無機塩のなかから選ばれる少なくとも1つのアル
ミニウム供給成分と、ホウ素の酸化物、酸素酸およびア
ルカリ金属塩の中から選ばれる少なくとも1つのホウ素
供給成分とを、好ましくはアルカリ金属の硫酸塩、塩化
物及び炭酸塩の中から選ばれる少なくとも1つの溶融剤
の存在下にて、600〜1200℃の範囲の焼成温度に
加熱して反応、育成させることにより容易に製造され
る。式9Al23・2B23で示されるホウ酸アルミニ
ウムウィスカーは、真比重2.93〜2.95、融点14
20〜1460℃であり、焼成温度900〜1200℃
にて製造されたものが好ましい。また、式2Al23
23で示されるホウ酸アルミニウムウィスカーは真比
重2.92〜2.94、融点1030〜1070℃であ
り、焼成温度600〜1000℃にて製造されたものが
好ましい。
【0020】現在、市販されているホウ酸アルミニウム
ウィスカーとしては、例えば、式9Al23・2B23
で示されるもの(四国化成工業株式会社製商品名「アル
ボレックスG」)があり、このものの平均繊維径は0.
5〜1μm、平均繊維長は10〜30μmである。また
必要に応じ上記9Al23・2B23を酸化雰囲気また
は還元雰囲気中にて1200〜1400℃の温度で加熱
することにより、ホウ酸成分の一部を脱離させた繊維も
使用することができる。
【0021】本発明に使用することのできるホウ酸マグ
ネシウムウィスカーとしては、より具体的には式2Mg
O・B23で示されるものを例示できる このウィスカ
ーは、白色針状結晶で、例えば、マグネシウムの酸化
物、水酸化物及び無機酸塩の中から選ばれる少なくとも
1つのマグネシウム供給成分と、ホウ素の酸化物、酸素
酸、及びそのアルカリ金属塩の中から選ばれる少なくと
も1つのホウ素供給成分とを、好ましくはハロゲン化ナ
トリウムおよびハロゲン化カリウムの中から選ばれる少
なくとも1つの溶融剤の存在下にて、600〜1000
℃の焼成温度に加熱して、反応、育成させることによ
り、容易に製造される。式2MgO・B23で示される
ホウ酸アルミニウムウィスカーとしては、真比重2.9
0〜2.92、融点1320〜1360℃のものが好ま
しい。これらのホウ酸アルミニウムウィスカーやホウ酸
マグネシウムウィスカーは、平均繊維径0.05〜5μ
m、平均繊維長2〜100μmのものが製造可能であり、
いずれも本発明に使用可能であるが、製造の容易さか
ら、平均繊維径0.1〜2μm、平均繊維長10〜50μ
mのものが好ましく用いられる。
【0022】一般式pMvw・qSiO2・rH2O(こ
こで1≦p≦3,1≦q≦3,0≦r≦10の実数及び
v及びwはv=2、w=1もしくはv=w=1もしくは
v=2、w=3、Mは上記Aに同じ)で示されるケイ酸
塩系ウィスカーとしては、例えばCaO・SiO2(ワラ
ストナイト)、6CaO・6SiO2・H2O(ゾノトライ
ト)、3Al23・2SiO2(ムライト)、2ZnO・S
iO2(ケイ酸亜鉛)、2MgO・3SiO2・3.5H2
(セピオライト)、3MgO・2SiO2・2H2O(クリ
ソタイル)等を挙げることができる。なかでも特に好ま
しいものとしてCaO・SiO2で示されるワラストナイ
ト及び6CaO・6SiO2・H2Oで示されるゾノトライ
ト等を例示できる。ワラストナイトは天然に産出する白
色針状結晶であり、形状としては繊維状のものや塊状の
ものを問わず、そのまま又は粉砕、分級したものを使用
することができ、また合成したものであってもよい。繊
維状物は、粉砕方法及び産地によりアスペクト比に差異
を生じるが、一般にアスペクト比の大きなβ型のワラス
トナイトが補強性能の点から望ましい。目的物の機械的
性質及び熱的特性の向上のためには、アスペクト比が6
以上の成分を60重量%以上、好ましくは80重量%以
上含有しており、且つ繊維径5μm以下の成分を80重
量%以上、好ましくは95重量%以上含有している細か
くて長いワラストナイトを使用するのがよい。例えば、
アスペクト比が10以上の成分を60重量%以上含有し
ていても、繊維径6μm以上の成分を80重量%以上含
有しているような太くて長いワラストナイトの場合は、
樹脂との混練中に折れやすく、機械的性質及び熱的特性
を兼備させることは困難である。
【0023】現在市販されているワラストナイトにも上
記水準を満たすものがあり、このものの平均繊維径は
2.0μm、平均繊維長は25μmであり、繊維径が5μm
以下の成分が95重量%以上で且つアスペクト比が6以
上の成分が90重量%以上であるため、補強性能や表面
平滑性に極めて優れている。
【0024】一方、ゾノトライトは化学組成6CaO・
6SiO2・H2Oで示される繊維状珪酸カルシウムであ
り、既に平均繊維径0.5〜1μm、平均繊維長2〜5μ
m、アスペクト比2〜15のものが合成されている。で
きるだけアスペクト比の大きい(6以上が好ましい)も
のが、機械的物性及び耐熱性(熱変形温度)を向上する
効果に優れているため望ましい。
【0025】本発明に用いられる(C)エポキシ基含有
ポリアルコキシポリシロキサンとは、アルキル基の炭素
数が1〜4のテトラアルキルシリケートの1種又は2種
以上又はそれらを部分加水分解して得られるオリゴマー
とエポキシ基含有アルキルシリケートとを共加水分解す
ることによって得られたものである。
【0026】テトラアルキルシリケートとは、化学式S
i(OR)4〔式中Rは炭素数1〜4のアルキル基〕で表
される化合物であり、Rがメチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基などを挙げることがで
きる。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブト
キシシラン等を挙げることができる。
【0027】アルキルシリケートオリゴマーとしては、
上記のテトラアルキルシリケートを40〜60%の割合
で加水分解して得られるオリゴマーが好適に使用でき
る。
【0028】エポキシ基含有アルキルシリケートの具体
例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリ(2−メトキシ−エトキシ)シラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン等が挙げられる。
【0029】本発明において、共加水分解とは、テトラ
アルキルシリケート等の加水分解とエポキシ基含有アル
キルシリケートの加水分解とが並行的に行われる加水分
解反応を意味する。従って、本発明における共加水分解
は、テトラアルキルシリケート又はその部分加水分解オ
リゴマーとエポキシ基含有アルキルシリケートとを共存
させて両者の加水分解を同時に開始する態様の他、一方
の加水分解を開始させ、その加水分解が終了する前に他
方を添加して加水分解を続行させる態様を含む。該加水
分解は、溶剤の存在下に行うのが好ましく、溶剤として
は、水、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチル
ケトン、ジオキサン等を挙げることが出来る。
【0030】本発明のエポキシ基含有ポリアルコキシシ
ロキサンの分子量はポリスチレンサイズ換算分子量とし
て500〜100,000、好ましくは1,000〜5
0,000の範囲が好ましい。
【0031】本発明のエポキシ基含有ポリアルコキシポ
リシロキサンの具体例としては、三菱化成製MSEP−
2等が挙げられる。
【0032】本発明の樹脂組成物中における各成分の配
合割合としては、通常、(A)PC系樹脂が40〜9
8.9重量%、好ましくは55〜89.5重量%、(B)
繊維状無機充填材が1〜50重量%、好ましくは10〜
40重量%、(C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリ
シロキサン 0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜2
重量%の割合で配合される。繊維状無機充填材の量が少
なすぎると、得られる樹脂組成物の機械的強度、耐熱
性、寸法精度等が不十分となるため好ましくなく、逆に
繊維状無機充填材の量が多すぎると、ペレット造粒を困
難にするとともに、流動性が低下するため成形性を悪化
させる傾向を生ずるのでいずれも好ましくない。また、
(C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサンの
配合量が少なすぎると、PC樹脂の分子量低下抑制効果
が十分ではなく、一方、該ポリシロキサンの配合量は多
すぎてもPC樹脂の分子量低下効果がそれほど大きくな
らず経済的に不利であり、また樹脂組成物の強度等に悪
影響を与える恐れがあるため好ましくない。
【0033】本発明のPC樹脂の分子量低下効果をより
一層発揮させるためには、繊維状無機充填材を予め
(C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサンで
表面処理し、その後造粒しておく方法が好ましい。斯か
る表面処理においては、例えば、ヘンシェルミキサー、
スーパーミキサー中において、(C)エポキシ基含有ポ
リアルコキシポリシロキサンの低沸点溶剤で希釈された
溶液をスプレーして付着させ、次いで80℃〜120℃
の温度で熱処理を行なうのがよい。
【0034】尚、上記を造粒時に配合する場合は、繊維
状無機充填材をエポキシシラン、アクリルシラン等のシ
ランカップリング剤又はチタネートカップリング剤及び
/又はオルガノポリシロキサンで表面処理しておくこと
もできる。
【0035】本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を
損なわない範囲で、熱安定剤、滑剤、離型剤、顔料、染
料、紫外線吸収剤、難燃剤、潤滑剤、充填剤、補強剤、
耐衝撃性改良用のエラストマー等を適宜添加することが
できる。熱安定剤としては、特に、亜リン酸、ヒンダー
ドフェノール、ホスファイト等が好適である。
【0036】本発明の樹脂組成物の各成分の配合方法と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、上述
の予め繊維状無機充填材にエポキシ基含有ポリアルコキ
シポリシロキサンを表面処理したのち造粒して、各種押
出機、例えば二軸押出機に供給したPC系樹脂に途中で
投入して混練、造粒化する方法、もしくはPC系樹脂と
エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサン及びその
他の添加成分を予め混合したのち、各種押出機、好まし
くは二軸押出機に供給し、繊維状無機充填材を途中で投
入して溶融混練したのち、造粒化する方法等により調製
できる。
【0037】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を一
層明らかにする。尚、本実施例中で単に「部」とあるの
は「重量部」を、また単に「%」とあるのは「重量%」
をそれぞれ意味する。また、粘度平均分子量(Mv)は
塩化メチレンに1.0g/dlの濃度で溶解した溶液から求
めた20℃での比粘度(ηsp)を下式に従い算出した
ものである。 ηsp/C=〔η〕+0.45〔η〕2C 〔η〕=1.23*10-4*M0.83 但し、C=1.0
【0038】物性の評価は次の方法に拠る。 引張試験:ASTM D638に準拠 アイゾット試験:ASTM D256に準拠 HDT(荷重たわみ温度)試験:ASTM D648に
準拠 滞留物性評価は、成形時に通常成形(シリンダー内滞留
時間30秒)を行ったものを初期成形品とし、シリンダ
ー内滞留時間30分間を経た後の2ショット目の成形品
を滞留後成形品として評価した。 滞留物性評価 ΔE 初期成形品と滞留後成形品につい
て成形品色調の変化(ΔE)を測色色差計を用いて測定
し、下式に従い算出した。 ΔE=[(L1−L22+(a1−a22+(b1−b2
21/2 上記式において、L1、a1、b1はそれぞれ初期成形品
の測定値であり、L2、a2、b2はそれぞれ滞留後成形
品の測定値である。ここでL値は明度指数、a及びb値
はクロマティクネス指数(色度)である。
【0039】実施例1〜6及び比較例1〜6 下記の(A)、(C)成分を表1に示す割合で混合し、
これを2軸押出機〔PCM45、(株)池貝製〕のメイ
ンホッパーに供給し、サイドフィーダより(B)成分を
供給し、280℃の温度で溶融混練したのち、ストラン
ドカットにより造粒ペレット化した。
【0040】得られた各ペレットを射出成形(日鋼J7
5射出成形機、シリンダー温度300℃、金型温度80
℃)し、本発明の試験片を用いてその特性を評価した。
その結果を表1〜2に示す。
【0041】(A)PC樹脂 ユーピロンS−2000[(Mv 24000、三菱ガス
化学(株)製] (B)繊維状無機充填材 (B−1)6−PTW[ティスモN、大塚化学(株)
製] (BC−1)6−PTW[ティスモN、大塚化学(株)
製]を後述の(C)を用いてPTWに対して3%表面処
理した。 (BS−1)6−PTW[ティスモN、大塚化学(株)
製]をエポキシシラン(A−187、日本ユニカ社製)
で3%表面処理した。 (BC−2)ホウ酸アルミニウムウィスカー[商品名ア
ルボレックスY、四国化成工業(株)製]に(C)を3
%表面処理した。 (BC−3)ホウ酸マグネシウムウィスカー[スワナイ
ト、大塚化学(株)製]に(C)を3%表面処理した。 (BC−4)ワラストナイト[商品名ナイグロスI、ナ
イコ社製]に(C)を3%表面処理した。 (BS−2)ホウ酸アルウミニウムウィスカー[商品名
アルボレックスY、四国化成工業(株)社製]にエポキ
シシランを3%表面処理した。 (BS−3)ホウ酸マグネシウムウィスカー[スワナイ
ト、大塚化学(株)製]にエポキシシランを3%表面処
理した。 (BS−4)ワラストナイト[商品名ナイグロスI、ナ
イコ社製]にエポキシシランを3%表面処理した。 (BS−5)6−PTWをメチルハイドロジェンポリシ
ロキサン[SH−1107、東レダウコーニングシリコ
ーン(株)製]で3%表面処理した。 (BS−6)6−PTWをスチレン−メチルメタクリレ
ート−イソブチルメタクリレート−グリシジルメタクリ
レート共重合体[ブレンマーCP−30、日本油脂社
製]で3%表面処理した。 (C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサン
三菱化成(株)製 MSEP−2
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】また上記実施例3、比較例1の試験片につ
き、長期耐熱耐久性を評価するために、120℃の耐熱
エージングによる引っ張り強度の保持率(%)を測定し
た。各試験片のエージング時間と引張強度の保持率との
関係を図1に示す。
【0045】実施例7〜8及び比較例7〜8 上記実施例で用いたPC樹脂とポリブチレンテレフタレ
ート[以下PBTという、商品名ジュラネックス200
2、極限粘度1.07、ポリプラスチックス(株)製]
とを、下記表3に示す配合割合で混合し、これを2軸押
出機[PCM45、(株)池貝製]のメインホッパーよ
り供給し、サイドホッパーより表3に示す(B)成分を
各々供給し、シリンダー温度260℃でペレット化し
た。得られたペレットを射出成形(シリンダー温度27
0℃、金型温度80℃)した。これらの試験片について
も、上記と同様の試験を行った。結果を併せて表3に示
す。
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明においては、機械的強度、成形滞
留性及び長期の耐熱耐久性に優れた安定化されたPC系
樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エージング時間と引張強度の保持率との関係
を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83:04)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート樹脂又はポリカ
    ーボネート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合物40〜9
    8.9重量%、(B)繊維状無機充填材1〜50重量
    %、(C)エポキシ基含有ポリアルコキシポリシロキサ
    ンを0.1〜10重量%からなる安定化ポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)繊維状無機充填材が、チタン酸カ
    リウムウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカ
    ー、ホウ酸金属塩系ウィスカー、三次元構造を有する酸
    化亜鉛ウィスカー、CaO・SiO2を主成分とする繊維
    状物であるワラストナイトまたはゾノトライトからなる
    群から選ばれた1種又は2種以上である請求項1のポリ
    カーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(B)繊維状無機充填材を、予め(C)エ
    ポキシ基含有ポリアルコキシシロキサンで表面処理した
    ものを、(A)ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネ
    ート樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合物に混練してなる
    安定化ポリカーボネート樹脂組成物。
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