JPH087211B2 - α―ハロアセトアミドの免疫定量法 - Google Patents

α―ハロアセトアミドの免疫定量法

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JPH087211B2
JPH087211B2 JP1103281A JP10328189A JPH087211B2 JP H087211 B2 JPH087211 B2 JP H087211B2 JP 1103281 A JP1103281 A JP 1103281A JP 10328189 A JP10328189 A JP 10328189A JP H087211 B2 JPH087211 B2 JP H087211B2
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chloroacetanilide
hapten
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    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/5308Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for analytes not provided for elsewhere, e.g. nucleic acids, uric acid, worms, mites

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は農薬の免疫化学的定量法に関する。さらに詳
しくは本明細書の方法は、α−ハロアセトアミド検出の
ための酵素結合免疫吸着定量法(「ELISA」)に関す
る。
免疫定量法は急速に、農薬残基の分析用の重要な技術
となつてきている。本発明において「農薬」とは、農作
物に対し害を与える雑草や害虫を防止するために使用す
る化学物質を言う。
農薬やアナライト(被分析物)を検出するのに今日使
用されている基本的な免疫定量法としては、「サンドイ
ツチ法」、「標識アナライト法」、及び「第2抗体法」
(例えば酵素結合免疫吸着定量法(「ELISA」)などが
ある。標識アナライト法の一変法として、酵素増幅免疫
測定法(「EMIT」)がある。これらの方法は後に詳細に
説明する。
免疫定量法においては、抗体により特異性と達成でき
る最大検出感度が決まるという点において、抗体が最も
重要な試薬である。抗体は哺乳類の免疫防御システムの
一部として産生される免疫グロブリン蛋白分子である。
免疫定量法において最も頻繁に使用される抗体蛋白であ
るガンマ−グロブリン(IgG)は、分子量約160,000であ
り、一分子あたり2つの可変結合領域と、各動物種に特
徴的な一定のアミノ酸配列を有する非結合領域よりな
る。この蛋白は普通哺乳類の血液やリンパ系中に存在
し、血液試料から凝固又は遠心分離により血球を除去す
ることにより得られる。こうして得られた調製液は血清
であり、目的の抗体を含有する場合はしばしば「抗血
清」又は「免疫血清」と呼ばれる。抗血清は多種類の抗
体が集合したものであり、一部は目的のアナライトに対
する抗体であるが、多くは動物が接触した他の異物に対
するものである。こういう不均一性があるため抗血清は
またしばしばポリクローナル抗体と呼ばれる。
文献中の農薬の免疫定量法のほとんど全てで、(少な
くとも初期段階において)抗体源としてウサギの抗血清
が用いられている。時間の経過とともに動物体内の抗体
集団は変化するため、通常ある実験期間中は一回の採血
により得られた試料又は数回の採血により得られた試料
をブールしたものが使用される。マウス、ヤギ、ウマな
どのウサギ以外の動物の抗体も使用されるが、ウサギは
飼育したり採血したりすることが特に容易である。多く
の研究者は希釈しただけの抗血清を測定に用いている
が、沈降法やアフイニテイーカラム法で免疫グロブリン
を精製している研究者もいる。抗血清中に不要の抗体が
存在するために妨害反応がある場合には、精製抗体を使
用する利点が認識され、また精製抗体の使用により感度
が上昇する場合もある。以下に記載するサンドイツチ法
で標識物質やトレーサー(微量物質)を抗体に共有結合
させるためには、まず抗体を精製することが必要であ
る。最新の方法を用いることにより、抗血清は免疫定量
法に使用する前に緩衝液で1000倍以上に希釈することが
可能なことも多く、一回の血液試料から多くの測定が可
能である。
モノクローナル抗体を使用している文献も現れてい
る。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ(融合細
胞)細胞株の培養液や、適当なハイブリドーマで免疫し
たマウス中に産生される腹水から得られる。ハイブリド
ーマ細胞株は、ウサギの場合と同様にして目的の抗体を
産生するようにあらかじめ誘導したマウスの脾臓細胞か
ら、手間のかかる方法で産生される。有用なモノクロー
ナル抗体を産生し同定するためのこの方法は特殊な操作
と装置が必要なため、経験のある人間が実施しなければ
ならない。この方法は、目的の抗体が既に予備評価され
ており、得られるハイブリドーマを使用する目的がはつ
きりしている場合に特に有効である。モノクローナル抗
体は、単一の均一な免疫グロブリンであり、非常に狭い
明瞭な特異性を有しており、製造バツチ毎に変化するこ
ともなく、大量に得られるため有用である。このモノク
ローナル抗体の特徴は、診断キツトの作成に特に有用で
ある。
農薬は分子量が小さいため、抗体の産生という点にお
いて問題がある。高分子と異なり遊離の農薬自身は分子
が小さすぎて、産生された抗体と結合することはできて
も、抗体産生を誘導することはできないため、低分子の
農薬は動物を免疫する前に担体蛋白に結合させておかな
くてはならない。この性質のため農薬は免疫学的用語で
「ハプテン」と規定できる。農薬部分は担体に共有結合
しており、普通担体としてはウシ血清アルブミン(BS
A)、卵白アルブミン(OA)、ヒト血清アルブミン(HS
A)、又はキーホールリンペツトへモシアニン(KLH)な
どの蛋白が用いられる。蛋白に結合した後のハプテンが
遊離の農薬と立体的及び電気的に類似している程度が、
測定の特異性と感度に影響する。担体蛋白として何を選
択するかは、測定の目的により異なり、ヒトの血清試料
の分析が目的の場合はHSAを使用するべきではない。
目的とする測定の特異性を得るためには、注意深く方
法を考えてハプテン結合体を作成しなければならない。
一般的に、担体蛋白との結合に用いられた部分よりも、
ハプテン中の結合点よりも遠い部分の方が抗体の特異性
に対する影響が強い。ハプテンと蛋白との係合にはほと
んど全ての安定な共有結合が使用できるが、通常はカル
ボジイミド試薬やその他のカルボキシル基活性化試薬を
用いて、蛋白のリジン残基とのアミド結合形成を利用し
ている。また目的の農薬の類似物又は代謝物で、結合を
形成しやすい構造を有するものは非常に有用である。さ
らにハプテンと担体との間にスペーサー分子(普通炭素
原子2から6個位の長さ)を挿入してもよい。各担体分
子に結合するハプテンの数を正確に決める場合もあるし
(最もよい方法は放射能標識ハプテンを用いる方法であ
り、やや精度が劣るがUV吸収法も使用できる)、ただ単
に動物を免疫して結合反応がうまくいつているかどうか
をみる場合もある。担体一分子当りの理想的なハプテン
の数について一致した見解はないが、蛋白の分子量各50
00から20,000ダルトンにつき1つのハプテンが最適であ
ると考える研究者が多い。このように結合体調製につい
て一定の規則はなく、いくつかの可能性のある方法を考
え、同時に実行するのが好ましい。結合体作成後に、ハ
プテンではなく担体蛋白に対する抗体による反応を除去
するため別のハプテン結合体が必要なこともあるため、
2つ以上の担体を用いて結合体を作成することが好まし
いことが多い。また同じハプテンの結合した異なる蛋白
に対して反応するということは、抗体が好ましい性質を
有しているという予備的な証拠となる。さらに、アフイ
ニテイーカラムを用いて抗体を精製する場合も別の結合
体が有用である。
動物の免疫には普通、まず体重1kgにつきフロイント
完全アジユバント中約1mgのハプテン結合体(「免疫
原」又は「抗原」)を皮下に数カ所投与する。フロイン
ト完全アジユバントには加熱により死滅させた細菌が含
まれており、動物の免疫反応を増強させる作用がある。
以後フロイント完全アジユバント中元々の免疫原の約20
%を用いて定期的に追加免疫する。一定期間の後(例え
ば各追加免疫の10日後、最初の投与から数えて4−8週
後)に、動物から血液を採取する。
測定法確立の方法の1つとして第2の抗体が文献に時
々登場する。後述するように多くの測定法ではアナライ
ト−抗体複合体を他の混合液から物理的に分離しなけれ
ばならない。その場合1つの有用な方法は最初(例えば
ウサギ)の免疫グロブリンの不変部分に対する、別の動
物種の第2抗体を用いることである。このような「第2
抗体」は、例えば「ヤギ抗ウサギ」又はGARと呼ばれて
おり、免疫関連試薬の販売会社から市販されている(こ
こにトレーサー分子が既に共有結合していることが多
い)。
動物から抗体を得た後は、これが目的の農薬の分析に
応用できるが否かを評価しなければならない。酵素が基
質に結合するように、免疫定量法では抗体が農薬に非共
有結合して複合体を形成することが最も重要である。免
疫定量法の他の工程は全てこの複合体の形成の程度を検
出又は定量するために存在する。この目的に対して種々
の方法が工夫されている。
1980年代の初期には固相免疫定量法が開発され、ほと
んど全ての測定で他の方法にとつて変わりつつある。従
つて以後は固相法についてのみ考察する。
固相法は、高いpHでのポリスチレン又はラテツクス表
面への蛋白−ハプテン結合体の吸着に依存している。こ
の非共有結合は、測定の間基本的に不可逆であり、免疫
反応に影響することなく選択された蛋白を固定化するの
に役立つ。固相としては多くの形が存在するが、最も頻
繁に用いられてるのは、多くの会社から市販されている
96穴のポリスチレン「マイクロタイター」プレートであ
る。各小穴の表面に目的の結合体を結合又は「被覆」し
た後、残りの結合部位をゼラチンやBSAのような不活性
蛋白によりブロツクする。プレートが変わると結合能が
変わるが、各プレートで96穴が使用できることと自動液
分注装置があるため、各プレートに標準物質を含めるこ
とが可能でありこの問題は解決される。次に固定した結
合体を一連の試薬溶液に反応させ、これらの液を各操作
毎に捨てることにより、固定化された蛋白に結合する分
子を他の物質から分離できる。さらに各穴に入る液量は
200−300μlであるため反応液量を少なくするとともに
単純化できる。このような改良とマイクロタイタープレ
ートの形の標準化により、プレート中の96穴を同時に処
理する装置の製造が可能になつた。このため各試料の量
が1ml以下で数十検体の試料について、例えば4重測定
が可能になつた。
最近の免疫定量法では、基本的に3種類の方法が用い
られるが、農薬の分析にはそのうち2種類のみが適用で
きると考えられる。この3つの方法とは、「サンドイツ
チ法」、「標準アナライト法」及び「第2抗体法」であ
る。各方法に不可欠の操作は目的のアナライトの既知量
を用いて検量線を作成することである。「サンドイツチ
法」にはアナライトを認識する2種類の抗体が必要であ
る:この2つは実際には同じ蛋白であつてもよく、一方
がトレーサー分子に結合している。サンドイツチ法の魅
力的な点は、測定完了後試料の穴の中に発現する信号
は、存在するアナライトの量に正比例することであり、
蛋白の競合的結合反応には依存しないことである。しか
しながら分子の小さい農薬の場合には、2つの抗体分子
が同時に1つの農薬分子に結合することは立体的に難し
く、農薬の分析にサンドイツチ法の適用は困難である。
「標準アナライト法」は概念としては第2抗体法より
簡単であり、放射免疫定量法(RIA)でほとんどいつも
使用される。ここでは農薬試料が、放射能標識されてい
るか又は酵素や螢光性トレーサーに共有結合している必
要がある。穴の表面に結合した一定数の抗体結合部位に
対して、標識農薬の一定の既知量と、未知試料中の遊離
の農薬を競合させる。(標識したもの及びしないものを
含めて)結合しなかつた農薬を洗い流すと、穴の中に残
存する標識物の量は元々未知試料中に存在した農薬の量
に反比例する。標準アナライトと非標識アナライトが同
じ結合部位に対して競合し、目的の濃度範囲で実際のア
ナライトの存在が標識物の結合を阻害するなら、原理上
標準アナライトと非標識アナライトは若干構造が異なつ
ていてもよい。PCBの場合は多くの類似構造が同時に分
析できることが目的のためこの方法が使用されてきた。
3種類の高も一般的な標準アナライトとしては、放射能
標識アナライト、アナライトに螢光物質又は酵素が共有
結合したものがある。
必要な第2抗体(酵素に共有結合したもの)が市販さ
れているため、酵素結合免疫吸着定量法(ELISA)など
の酵素免疫定量法(EIA)では、普通「第2抗体法」が
用いられる。この方法では、本来の免疫原として用いら
れた蛋白と異なる蛋白と農薬との結合体が、穴の表面に
被覆される(「被覆」又は「スクリーニング」抗原とよ
ばれる)。次に限定量の抗体結合部位に対して、この被
覆抗原中の一定量のハプテン部分が、未知試料中の遊離
の農薬分子と競合する。液相中の抗体と農薬の反応によ
り、固相の被覆抗原即ちスクリーニング抗原に抗体が結
合する反応が阻害される。従つて試験液中に高濃度の農
薬が存在する場合は、固相被覆抗原と反応する抗体の量
が減少し、逆に試験液中に存在する農薬の量が少ない場
合は、多量の抗体が固相被覆抗原に結合する。次に固相
に結合した抗体を、市販の標識第2抗体(農薬に特異的
な重鎖(heavy chain)の定常部分に対する抗体)を用
いて別の複合体を形成させることにより検出する。結合
しなかつた標識第2抗体を洗い流すと、各穴に残存して
いる標識物の量は未知試料中の農薬の量に反比例する。
全ての免疫定量法で未知試料中の農薬の量は、最終的
に検量線と比較して求めなければならない。測定法のタ
イプは、ハプテンに結合した標識物、抗体、又は第2抗
体の性質により異なる。数年前まで放射免疫定量法がも
つとも頻繁に用いられており、今日でもまだ広く使用さ
れている。普通農薬の14C−標識試料が入手可能である
が、これらの化合物は比活性を高くすることが困難であ
り、ピコグラム又はナノグラム量の農薬を正確に測定で
きない。農薬の免疫定量法の多くの競合結合法であるた
め、測定の検出限界は未知試料と競合する標識物の量に
依存し、従つて放射能標識の比活性に依存する。このた
め高感度免疫定量法の開発にはトリチウム又は125Iを使
用する必要がある。しかし多くの研究室で農薬の分析に
あたつて、このような比活性の高い放射能標識物の合
成、精製、使用及び廃棄の問題が放射免疫定量法を使用
するに際しての大きな障害となつている。
免疫定量法において放射免疫定量法の代替法として魅
力的な方法は酵素標識成分の使用である。測定の最終段
階に存在する酵素の量の定量的測定は、(酵素が容易に
定量できる生成物に変換可能な)過剰量の基質を添加す
ることが基本になつている。このために無色の基質に酵
素を作用させて、着色した生成物を得るという方法がし
ばしば使用されてきた。この典型的な例としては、アル
カリホスフアターゼ/p−ニトロフエニルリン酸、又は西
洋ワサビペルオキシダーゼ/o−フエニレンジアミンの組
合せがあるが、安定で定量の容易な生成物の得られる速
度の早い酵素/基質であれば、どのようなものでも使用
可能である。上記の2つの酵素は活性が高く、簡単な化
学的方法で種々の「第2抗体」に共有結合できるため一
般的に使用されている。螢光性フエノール(例えばβ−
ナフトール又は4−メチルウンベリフエロン)とガラク
トースとの結合体も、β−ガラクトシダーゼ標識物とと
もに使用され、酵素濃度に比例する螢光信号が得られ
る。一般的に西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリ
ホスフアターゼにより得られる着色物質は、試料が競合
する信号を出していない限り、普通の研究室の装置で測
定できる便利さがある。野外の試験キツトとしては、試
料が反応を検出するのに複雑な装置は不要であるという
のは当然ながら好ましいことである。ビオチン(ビタミ
ンH)とアビジン(卵白より得られるビオチン結合性蛋
白)との強固な結合を用いる、追加の非共有結合段階を
酵素標識物とともに使用する場合もある。この場合は例
えば、ビオチン標識第2抗体をアビジン酵素結合体と混
合し、最終的な酵素信号をさらに増幅している。しかし
農薬の分析にこの方法は特に報告されていない。
時々使用される第3のタイプの標識物は螢光標識であ
り、これは螢光性基質に作用する酵素標識物からは区別
される。この場合、ハプテン又は第2抗体は螢光性物質
(例えばフルオレセイン)に直接共有結合している。こ
の螢光標識物が放射能標識のように作用するが、最終的
な測定には励起と蛍光段階があるという点で異なる。妨
害反応が問題になる時、螢光法では放射能を使用するこ
となく感度を上昇させバツクグランドを低下させられる
可能性がある。しかし螢光測定用の装置は、酵素標識物
を用いる比色法の場合のように一般的ではない。いくつ
かの農薬について(主に専用のキツト開発用に)発表さ
れている螢光法の1つの応用は、螢光偏光法である。こ
の方法では、偏光励起光の螢光の光学的回転は抗体−農
薬複合体の形成量に相関する。しかしこの方法はあまり
広く用いられてはいない。
農薬の免疫定量法に対して魅力的な方法がもう1つあ
る。これは臨床診断への応用をめざしてある会社により
開発された専用の方法である。この方法はEMIT(酵素増
幅免疫定量法)と呼ばれ、標識アナライト法の1つの変
法である。この方法では酵素の活性部位の近くでアナラ
イトが酵素に共有結合しており、アナライトが抗体と結
合することにより酵素反応を立体的に阻害する。このハ
プテン−酵素結合体を試料及び抗体と均一溶液中でイン
キユベートし、基質を加えると結合していないハプテン
−酵素結合体のみが検出されるため、結合部分と未結合
の部分を分離する必要がない。従つて抗体のハプテン−
酵素結合体への阻害的結合を防ぐのに遊離の農薬が必要
なため、農薬を含む試料からのみ検出可能な酵素生成物
が得られる。
手間のかかる量に比較すると免疫定量法は極めて高感
度の方法である。多くの農薬は免疫定量法では、精製や
濃縮をせずに少量の水、尿、血清、又は抽出試料が直接
測定される。これは他の多くの機器分析法では最後の分
析段階の前に、何百mlもの試料を抽出、分別、そして濃
縮しなければならないとは極めて対照的である。直接的
な免疫定量法を用いた場合、農薬の免疫定量法について
報告それている典型的な検出限界は大体1−10ng/mlで
ある。この感度はほとんどの農薬については充分すぎる
ものであり、この濃度は抽出や濃縮操作を適用すること
によりさらに下げることも可能である。これらの方法は
おそらく実際の免疫定量法段階の前に多くの農薬の機器
分析に使用されているであろうが、このために多くの時
間を費やしていると思われる。
多くの免疫定量法の測定範囲は約2オーダー(例えば
1−100PPB)である。適当な濃度範囲以上の試料を分析
するときは、ほとんどの結合部位は占有されており余分
量の農薬による信号は検出不可能である。多くの場合、
最適化された免疫定量法はいくつかの農薬試料を直接分
析するのには感度が高すぎて、分析前に試料を希釈する
か、結合部位の総数を増加させて測定系の感度を低下さ
せるなど測定系を変更する必要がある。これらの問題は
競合結合法では当然起きることであり、この免疫定量法
に本質的である。支流中の農薬の濃度が数オーダーに渡
つて変化する場合には、最大の精度を得るための最適な
測定法に分類するために数回の免疫定量法を行うとい
う、層別法が有効である。免疫定量法は自動化が容易で
あり、他の全ての操作が充分研究されているならば、試
料の量を2倍にしたり5倍にしたりしても測定系にはそ
れほど負担にはならず、この層別法は容易である。
一般的に免疫定量法は目的のアナライトに対して非常
に選択性が高く、これが未精製の試料に対して直接適用
できる基礎となつている。文献ではこの選択性は、交差
反応性という点で評価されている。この考え方は、妨害
の可能性のある一群の物質の既知量により測定系に発現
される信号の強度を比較することである。この量は普通
約50%の応答を与える目的のアナライトの量である。目
的のアナライトに比較して他の化合物により得られる信
号の強度は、「%交差反応性」として表現される。又は
測定系で50%の反応を得るのに必要な各化合物の量によ
り、同じ概念を表現することもある(IC50と呼ばれ
る)。類似物質による交差反応性の程度を予測すること
は困難である。光学的エナンシヨマー(鏡像体)が存在
する場合、免疫定量法はそのエナンチヨマーを区別する
ことができる。他の市販の化合物が類似していることが
免疫定量法の使用に対して重大な問題になることもある
し、逆に他の類似物質の反応が有利な場合もある(例え
ば代謝物の分析や一群の類似化合物の分析の場合)。一
般的に不要な交差反応物質を除去するのにアフイニテイ
ーカラムによるポリクローナル抗体の精製が行われる。
この方法の最終的な方法は、完全に目的とする特異性を
有するように選択されたモノクローナル抗体の使用であ
る。
農薬や環境汚染物質に対して多くの免疫定量法が文献
に報告されているが、血清中のパラチオン(parathio
n)、パラオキソン(paraoxon)、又はパラコート(par
aquat)の免疫定量法のみが現実に広く使用されている
ようである。これにはいくつかの理由が考えられてい
る。1つは試験された化合物の多くは免疫定量法が利用
できるようになつた時期にあまり売れていなかつたた
め、大量に分析する必要がなかつたこと。またDDT,PCB,
ケトンなどの環境汚染物質は伝統的にガスクロマトグラ
フイーで測定されており、多くの化合物が一度で測定可
能であることである。この点において免疫定量法の選択
性は現実には短所となり、分析法の選択のための1つの
決定要因として考えるべきである。時間と試料の量とい
う点で免疫定量法は有利であり、測定の数が増えるほど
この長所が強調される。免疫定量法を使用できる程度に
まで開発するのに要する時間は、他の機器分析法を開発
する時間に比較すると明らに長い。ある免疫定量法が発
表されたとしても、それを別の研究室で使用可能な技術
に仕上げるには多大の時間が必要である。さらに酵素
(ELISA)や他の標識物の出現以前には、放射性同位元
素を使用しなければならないという点が免疫定量法の有
用性を制限していた。
免疫定量法により分析された農薬としては、アトラジ
ン(atrazine)、クロロスルフロン(chlorosulfuro
n)、シアナジン(cyanazine)、2,4−D、ジクロフオ
ツプ−メチル(diclofop−methyl)、ペンタロククフエ
ノール(pentachlorophenol)、2,4,5−T及びテルブト
リン(terbutryn)などがある。われわれの知る限りに
おいてα−ハロアセトアミド除草剤の免疫定量法は、本
発明以前には文献に報告されていない。またわれわれの
知る限りにおいては、α−ハロアセトアニリド(即ちア
ラクロール(alachlor)、メトラクロール(metolachlo
r)及びプロパクロール(propa−chlor))は、殺菌剤
メタラキシル(metalaxyl)を検出するための免疫定量
法において交差反応物質として1つの文献に現れてい
る。この系は、ダブリユー・エイチ・ニユウーサム(W.
H.Newcome)、ジヤーナルオブアグリカルチユラルアン
ドフツドケミストリー(J.Agri.Food Chem.)1985年、
第33巻、528−530頁に記載されている。
従つて本発明の目的は、α−ハロアセトアミド、特に
α−ハロアセトアニリド(代表的な市販品としてはアラ
クロール(alachlor)、アリドクロール(allidochlo
r)、アミドクロール(amidochlor)、ブタクロール(b
utachlor)、メタゾクロール(metazachlor)、メトラ
クロール(metolachlor)、プレチラクロール(pretila
chlor)及びプロパクロール(propachlor)がある)を
検出するための新規抗血清中の新規抗体を作成するため
の新規抗原を与えるELISA免疫定量法を提供することで
ある。
発明の要約 本発明の上記及び他の目的は、高分子担体に共有結合
したα−ハロアセトアミドハプテンよりなる抗原(ここ
では結合体と同義語として用いられる)を与え;宿主動
物(好ましくはウサギ)を免疫し、ここで該ハプテンに
特異的な抗体が作成され;宿主より抗血清を抽出し、そ
こから抗体を得て、第2抗体阻害法(例えば西洋ワサビ
ペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ウサギガンマグロブ
リン)を用いる固相分析法で該ハプテンを検出するため
に使用し、標準的な比色検量線からハプテンの存在又は
濃度を測定することよりなる、抗原のELISA免疫定量法
系により、達成されることが明らかになつた。
蛋白の結合した抗原を調製しそれに対する抗体を産生
するのに有用なα−ハロアセトアミドは、以下の式を有
するものである: (式中、Xはハロゲンであり;R1とR2は独立に、アルキ
ル、アルケニル、アルキニル、アルコキシアルキル、ポ
リアルコキシアルキル、アシル又はアシルアミドメチル
である8個以下の炭素原子を有するラジカル;又は10個
以下の炭素原子を有するアリール又はアリールアルキル
ラジカル;又は10個以下の環原子(このうち1−3個は
窒素、酸素及び/又はイオウ原子でもよい)を有する複
素環又は複素環メチルラジカル;又は1つ以上のアルキ
ル、ハロアルキル、アルケニル、ハロアルケニルで置換
された、又は5個以下の炭素原子、ハロゲン、ニトロ
基、又はシアノ基を有するアルコキシラジカルで置換さ
れた、上記のうち任意のラジカルである)。
特に興味のあるα−クロロアセトアニリドは以下の式
を有するものである: (式中、AはC1-4の直鎖又は分岐鎖アルキレニルラジカ
ルで、nはゼロ又は1であり;R3は水素、C1-5アルキル
又はハロアルキル;又はC1-6アシル又はアシルアミド;
又は10個以下の環原子(このうち1−3個は窒素、酸素
及び/又はイオウ原子でもよい)を有し、随時C1-5アル
キル又はアルコキシラジカルで置換された複素環又は複
素環メチルラジカル;又は−OR5ラジカル(ここでR5はC
1-6アルキル、ハロアルキル、又はアルコキシアルキル
ラジカルである)であり、R4はR5ラジカル、CF3、NO2
は5個以下の炭素原子を有するアルコキシラジカルであ
り、mは0−5である)。
好ましい高分子担体はヒト血清アルブミン(HSA)、
卵白アルブミン(OA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、
ヒツジガンマ免疫グロブリン(IgG)、又はキーホール
リンペツトヘモシアニンなどの血清蛋白である。試料中
に存在する可能性のある担体蛋白は避けなければならな
い(例えば卵白アルブミン結合体は卵白の分析には適当
な免疫原といえない)。
担体蛋白にハプテンを共有結合させ結合体(抗原)を
得るのに好適な方法は、N−アセチルホモシステインチ
オラクトン(AHT)又はS−アセチルメルカプト無水コ
ハク酸(AMSA)などの化合物を用いて蛋白のリジン残基
上に導入されたスルフヒドリル基を使用する方法であ
る。ハプテンの蛋白への結合にスルフヒドリル結合を使
用することの重要な点は、チオール基によりα−ハロゲ
ンが置換されて対応するチオイオエーテルが得られるこ
とである。この結合により構造の関連した化合物によ
る、ハプテンに対する抗体の特異性が上昇し、交差反応
性が減少した。
本発明の共有結合したハプテン−蛋白抗原は以下の式
で表される: (式中、RとR1はα−ハロアセトアミドで規定した物と
同じであり;Aはチオール化剤の残基であり;BはAに共有
結合した血清蛋白である)。
代表的かつ好ましい抗原構造は、上記式においてBは
BSA又はIgGであり、Aは以下のチオール基の1つである
ものである: さらに好ましいハプテン−蛋白抗原は、上記式におい
てRは−(A)−R3ラジカルでありR1はフエニル又は
置換フエニルラジカルであるα−クロロアセトアニリド
である。
特に好ましいハプテン−蛋白抗原は、上記式において
BはBSA又はIgGであり、AはAHT又はAMSA由来のチオー
ル残基であり、ハプテンは上記の市販のα−クロロアセ
トアニリド除草剤であるものである。
さらに好ましいハプテン−蛋白抗原は以下の実施例1
で図示したものである。
本発明は別の点で、野外のその場で試料中のα−ハロ
アセトアミドの存在及び量を測定するための免疫定量法
診断キツトに関する。
発明の詳細な説明 本発明により与えられるα−ハロアセトアミドの免疫
定量法系は、α−クロロアセトアニリド、即ちアラクロ
ール(alachlor)(α−クロロ−2′,6′−ジエチル−
N−メトキシメチルアセトアニリド)(これはイネ科植
物やいくつかの広葉樹植物の雑草に対する主要な発芽前
除草剤である)を参照して、実施例1に例示する。測定
に使用する全ての試薬は市販されているか、又は公知の
方法により得られる。
実施例1 結合体調製 ハプテン(14C標識アラクロール)をBSAとIgGに共有
結合させた。AHFとAMSAを用いて蛋白のリジン残基に導
入したSH基を、(アラクロールに関する)以下の式に従
い、チオール部分によるハプテン−塩素原子の置換によ
りチオエステル結合を形成させた(結合体の構造式は推
定である)。
蛋白(200mgBSA又はIgG)と25当量のAHT又はAMSAを、
0℃で、水(6ml)に溶解させた後、ジオキサン(1ml)
に溶解したハプテン(25当量)をゆつくり添加した。次
に炭酸緩衝液(1M、pH11)を添加してpHを11に調整して
反応混合液を0℃で15分撹拌した。22−25℃で2時間撹
拌した後、反応混合液を中和し、ハプテン−蛋白結合体
を、流水で24時間透析するか又はセフアデツクスG−25
ゲル濾過クロマトグラフイー(2X50cmカラムで0.2MのNa
Clを使用した)にかけて精製した。いずれの方法でも過
剰のハプテンとチオール化剤からハプテン−蛋白結合体
を効率よく分離できた。ハプテン−蛋白結合体の放射能
は液体シンチレーシヨンカウンターで計算した。BSAとI
gGの蛋白濃度は280nmのUV吸収と分子吸光係数(BSAは39
mM/cmで、IgGは188mM/cmである)から計算した。計算の
結果BAS1分子当り12分子のアラクロールとIgG1モル当り
19モルのアラクロールが蛋白に結合していた。このIgG
結合体をウサギの免疫に使用し、BAS結合体を抗血清の
スクリーニングに使用した。ハプテン−蛋白結合体は凍
結乾燥して−20℃に保存した。
抗体/抗血清の作成 アラクロールのIgG結合体(0.3mlのPBS中1mg)をフロイ
ント完全アジユバンド(1ml)中で乳化した後、雌のニ
ユージーランドホワイトウサギの皮内に注射した。フロ
イント完全アジユバンド中0.1から0.5mgの同じハプテン
を4−6週間間隔で追加免疫した。各追加免疫の1−2
週後耳静脈から全血(25ml)を採取し、4℃で一晩凝固
させ、遠心分離して血清を得た。血清を小バイアルに分
注して−20℃に保存した。またアラクロール−IgG結合
体は、モノクローナル抗体を得るのにも使用した。
免疫定量法 最初の追加免疫の後に血清について公知の「チエツカ
ーボード測定法」(“checkerboard assay")によりア
ラクロールに対する抗体の産生を調べた。炭酸緩衝液
(0.05mM、pH9.6)中アラクロール−BSA結合体(512ng/
0.1ml)を同じ緩衝液で連続希釈(1番から2番の順)
した。96穴のマイクロタイタープレート(横に8列と縦
に12列)中の初めに12列に、スクリーニング抗原溶液を
0.1ml(512ng/0.1ml)ピペツトで加えた。残りの7列に
はスクリーニング抗原の連続希釈したものを加えた。プ
レートをパラフイルムでカバーして4℃に保存した。翌
朝、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4の0.01Mリン酸緩衝
液、0.15MのNaCl;PBS)で3回洗浄して各穴の未結合ス
クリーニング抗原を除去した。穴の残りの活性部位はPB
S−8%脱脂粉乳溶液(NFDM、0.3ml)で22℃で1時間ブ
ロツクした。−20℃で保存しておいた血清を新たに溶解
し、PBS−T(0.02%ツイーン20溶液を含有するPBS)を
用いて連続希釈(1番から2番の順)した。最も濃度の
高い溶液から初めて、縦の第1列目の8個の穴に血清溶
液の0.1mlをピペツトを加えた。残りの穴には、連続希
釈した血清溶液を加えた。プレートにカバーして22℃で
1.5時間インキユベートした。PBS−Tで穴を3回洗浄し
た後、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ抗
ウサギガンマグロブリン(GAR−HRP)(新たに溶解し、
PBS−1%NFDMで4,000倍に希釈したもの)を0.1ml加え
た。最後にPBS−Tで洗浄した後(4回)、新たに溶解
したo−フエニレンジアミン(pDA)基質溶解(0.2ml、
0.05Mクエン酸と0.15Mリン酸二ナトリウム、pH5.0中0.0
4mg/ml pDAと0.01%H2O2)を各穴に加え、暗室で22℃で
30−60分インキユベートした。各穴に硫酸(4N、50μ
)を加えて反応を停止させ、各穴の最終吸光度(490n
m)を記録した。血清中にスクリーニング抗原を認識す
る抗体が存在する場合には、穴にスクリーニング抗原と
血清濃度に依存する吸光度の勾配が現れた。
このチエツカーボート定量法により、抗血清中にアラ
クロール−BSA結合体を認識する抗体の存在が証明さ
れ、以下の定量法で使用する、血清とスクリーニング抗
原濃度の最も感度のよい組合せが求められた。これはア
ラクロールについては、スクリーニング抗原は5ng/穴で
あり、7回目の採血後の血清については3,500倍希釈で
あつた。クリーニング抗原で被覆したプレートを乾燥状
態で−20℃で保存し、4月間安定に放置した。
阻害ELISAには、上記以外のもう1つの操作が必要で
ある。等量の希釈血清とアラクロール標準物質水溶液又
は未知試料を混合して、22℃で1時間プレインキユベー
トした。次にこの混合液(0.1ml/穴)をプレート上6重
穴測定で分析した。遊離のアラクロールが存在する場合
は、アラクロール−BSA結合体への抗体の結合が阻害さ
れ、490nmでの吸光度の発現が阻害された。遊離のアラ
クロールの量は発色の強度に間接的に比例していた。プ
レート上のアラクロール標準物質を基準にして未知水溶
液中のアラクロールの濃度を計算した。アラクロール標
準物質(脱イオン水中0、0.2、0.5、1.0、3.0、5.0、
8.0ppb)は1mlずつ−20℃に保存し、各測定毎に新たに
溶解した。
データの計算 アラクロールの阻害測定用の代表的な96穴プレートは
横に8列×縦に12列のものである。横の第1列目の最初
の6列はスクリーニング抗原で被覆し、バツクグランド
用の穴として使用した。残りの7列の最初の6列には上
記のアラクロール標準物質(0から8ppb)用とした。8
列中の残りの全ての穴は試料用とした。以下の計算で
は、バイオテツク(Bio−tek社)リーダーで測定した未
補正の吸光度を使用した。バツクグランド用の穴の6重
測定の中央値を計算し、標準物質と試料の中央値から差
し引いた。全ての中央値を、アラクロールの入つていな
い標準物質(0PPB)の中央値で割り、パーセント(%)
吸光度を求めた。次にY軸にアラクロール標準物質のパ
ーセント吸光度を、X軸にアラクロール濃度の対数値
(底10)をプロツトした。標準物質について双曲線が得
られ、この検量線を用いて未知試料中のアラクロール濃
度を計算した。
上記の計算には普通計算機を使用した。バイオテツク
リーダーの吸光度を直接デジタルバツクス(Digital−V
ax)コンピユウターフアイルに移し、RS1プログラムで
処理した。%吸光度のロジツト値を計算し(ロジツト%
吸光度=ln〔%吸光度/〔100−%吸光度〕〕)Y軸に
プロツトし、アラクロール濃度(ppb)の(自然)対数
をX軸にプロツトした。ロジツト関数によりデータが部
分的に線形化し、標準物質の点上を通る曲線が得られ
た。曲線の式から各試料のロジツト値を計算し、試料中
のアラクロールの濃度を求めた。
交差反応性試験 抗体に対する一連のアラクロール類似物質の反応性を
アラクロールと比較した。阻害ELISA法で吸光度の50%
阻害を示す濃度をIC50値と規定した(50%阻害濃度)。
アラクロールのIC50値(ピコモル/ml)を交差反応類似
物質のIC50値で割り、100を掛けて交差反応値を求め
た。
アフイニテイクロマトグラフイー 以下のようにしてウサギ血清のアフイニテイーカラム
を調製した。膨潤したプロテインA−アガロースゲル5m
lを含むカラムに5mlの抗血清を通してウサギIgGを精製
した。カラム溶出液の280nmの吸光度を追跡し、PBSで洗
浄して非結合蛋白を除去し、次にpH2.3の酢酸(0.58%
酢酸と0.15M NaCl)でIgGを溶出させた。IgGを含む画分
を集め中和した;280nmのUV吸収に基づき、5mlの血清か
ら約33mgのIgGが単離された。次にこれを凍結乾燥し−2
0℃で保存した。再使用可能なプロテインA−アガロー
スゲルカラムはPBS(0.02%アジ化ナトリウム含有)中
で4℃で保存した。
プロテインA精製IgGはアフイゲル−10支持体上に固
定化した。アフイゲル−10(5ml)はブフナーロート上
でイソプロピルアルコールで3回、冷蒸留水で3回洗浄
した後、ゲルを4℃でIgG溶液(0.1M HEPES緩衝液中3m
l、pH7.5)に添加した。4時間撹拌した後、ゲルを静か
に遠心分離しHEPES緩衝液(3X3ml)で洗浄した。ゲル上
の残りの活性部位は、ゲルを水(2ml)の中に再懸濁
し、エタノールアミンHCl(0.5ml、1M)を加えて混合液
を22℃で1時間撹拌して、ブロツクした。アフイニテイ
ーカラムは水溶液からアラクロールと他のアナライトを
吸収するのに有用であつた。アラクロールを結合させた
後カラムを水(2ml/分)で洗浄し結合していない物質を
除去し、75%メタノール水溶液でアラクロールを溶出さ
せた。このゲルアフイニテイーカラムは再使用が可能で
あり、PBS(0.02%アジ化ナトリウム含有)中4℃で保
存した。
結果と考察 14C標識ハプテンの使用によりアラクロールの蛋白に
対する結合が容易に証明された。チエツカーボード測定
法により免疫後1.5カ月後の血清を分析すると、アラク
ロール−IgGで免疫したウサギはアラクロール−BSAスク
リーニング抗原を認識する抗体を産生していることが証
明された。アラクロール抗体を産生しているウサギに4
−6週おきに追加免疫し、各免疫後10−14日後に採血し
た。チエツカーボード測定法と阻害ELISAにより、血清
試料中の抗体の抗体価と親和性を追跡した。以下の考察
中の抗体は全てこのウサギが産生したものである。アラ
クロールの阻害ELISA法の開発には第7回目に採血した
血清を使用した。
ハプテン−蛋白結合体の合成中、アラクロールはAMSA
を使用してIgGに、AHTを使用してBSAに結合させた。こ
の2つのハプテン−蛋白結合体はアラクロール部分のみ
が共通であるため、アラクロール−IgG結合体を用いて
作成した抗体でアラクロール−BSAと反応するものは、
アラクロール部分のみを認識し、結合試薬や担体蛋白は
認識しないものと考えられる。阻害ELISAでは、アラク
ロールの存在により抗体とアラクロール−BSA結合体の
反応は阻害されなかつたため、抗体のアラクロールに対
する特異性が確立されていることが証明された。7回目
採血の血清で測定した結果、アラクロール濃度が0.2か
ら8.0ppbの範囲で、対応する吸光度が80%から10%のと
き、アラクロール阻害ELISAは最も有効であつた。7種
のアラクロール標準物質の%吸光度は、異なる日及び異
なるプレートで実施した20回の異なる測定より求めた。
平均、標準偏差、変動係数(%C.V.)を計算し表1に要
約した。%C.V.は0.2ppbの4.2%から8.0ppbの18.6%の
範囲まであり、測定間の実験誤差を表していた。表1の
データに基づきアラクロール濃度の対数に対して平均%
吸光度をプロツトして検量線を求めた。
同じデータを用いてロジツト関数(上記)検量線を求
めた。%吸光度のロジツトをアラクロール濃度の対数に
対してプロツトして各点を通る線が得られた。この計算
と曲線あてはめはスピードと効率を考慮して計算機プロ
グラムを使用した。
環境試料中のアラクロール濃度を求めるため、アラク
ロールELISAを開発した。これまでの社内の研究で、ア
ラクロールは土壌や水中で2つの主要な代謝物(オキザ
ニル酸(oxanilic acid)とスルホン酸)に分解するこ
とがわかつている。これらの代謝物は環境水試料中に存
在することがわかつているため、これらのアラクロール
抗体に対する交差反応性を調べたが、いずれもほとんど
交差性を示さなかつた(2.5%未満)。阻害ELISAを用い
て、アラクロールと23種の類似物質に対する、ウサギの
3つの血清試料(4回目、6回目、7回目)の抗体の%
交差反応性を測定した。抗体に対するアラクロールの交
差反応性を100%とするとき、2,6−ジエチルアニリンと
α−クロロ−2′,6′−ジエチルアセトアニリドはほと
んど抗体と反応せず、抗原−抗体反応における3級アミ
ド構造の重要性を示していた。他のクロロアセトアニリ
ド除草剤(アセトクロール、ブタクロール、アミドクロ
ール、メトラクロール、及びプロパクロール)は抗体と
ほとんど反応しないか又は全く反応しなかつた。4回目
採血の抗体に対するアセトクロールの低い反応性(10
%)は、以後の採血の血液に対してはやや減少した。塩
素原子を含まないノルクロロ−アフアクロール(norchl
oro−alachlor)が22%の交差反応性を示したことは、
抗体との反応において塩素原子の存在が重要であること
を示している。
上記したようにアラクロール分子にチオエーテル結合
を介してIgGを結合して免疫原とした。従つて大きな交
差反応性を示すいくつのアラクロール類似物質はチオエ
ーテル基を含んでいたということはそれほど驚くべきこ
とではない。塩素の代わりにメチルスルフイド基を有す
る類似物質で最大(約2倍)の交差反応性(188%)が
得られた。しかしイオウをさらに酸化してスルホキシド
類似物やスルホン類似物にすると交差反応性はそれぞれ
15%と9%に低下した。アラクロールの2′−ヒドロキ
シエチル−スルホン類似物と、α−クロロ−2′,6′−
ジエチルアセトアニリドの2級アミドメチルスルフイド
類似物は全く交差反応性を示さなかつた。式 を有するメルカプツレート類似物は有意に反応し、これ
は第4回目血液の18%から第7回目血液の65%まで増加
した。対応するメチルエステルに陰イオン荷電がなくな
つたために反応性が89.7%まで増加した。上記メルカプ
ツレート中のイオンを酸化してS=O誘導体を作成する
か又は3級アミドを2級アミドメルカプツレートに変換
すると、抗体との反応性が著しく減少するか又は全くな
くなつた。アラクロールのチオ酢酸とグルタチオン結合
体はそれぞれ57.0%、27.5%の反応性を示した。
これらの交差反応性実験により、アラクロールの構造
において抗体との反応に寄与する官能基の重要性が証明
された。アラクロールのN−メトキシメチル−N−(2,
6−ジエチルフエニル)アセトアミド部分の構造を若干
変化させると、反応性が著しく低下した。アラクロール
分子の炭素2の位置にイオウ又は塩素が存在することが
反応性に重要であつた。しかしチオエーテル類似物のイ
オウ原子を酸化すると逆の効果も観察された。土壌及び
水中のアラクロールの2つの主要な代謝物(オキザニル
酸(oxanilic acid)とスルホン酸)は抗体とほとんど
反応しなかつた。従つてこれらは環境試料中でアラクロ
ールのELISA法を妨害しないと考えられる。
ウサギの第1回血液の血清から分離した抗体を用いて
アラクロールのアフイニテイーカラムを作成し、その分
離手段及び精製手段としての有用性を検討した。アラク
ロール−IgG結合体で免疫したウサギの血清中のIgGを、
プロテインA−アガロースカラムで精製した。次に精製
IgGをアフイゲル−10支持体上に固定させた。水溶液中
のアラクロール(14C標識)を2ml/分の速度でカラムに
通し、カラムを水で洗浄し75%メタノール水溶液で溶出
させた。洗浄液及び溶出液中の放射能を液体シンチレー
シヨンカウンターで計測した。その結果添加した放射性
アラクロールの約70%から80%がアフイニテイーカラム
に結合し、残りの洗浄液中に溶出した。カラムの能力は
1μg以下のためこれ以上のアラクロールはカラムに結
合しなかつた。添加した放射能の回収率は大体80%から
100%であつた。2番目の実験で、アラクロール(0.5μ
g)を溶かす水の量を1mlから100mlまで増加させた。0.
5μg/mlから0.5μg/50ml(0.5ppmから10ppbまでの溶液
ではアラクロールはカラムから有効に回収されたが、0.
5μg/100ml(5ppb)ではカラムからのアラクロールの抽
出効率は50%低下した。
アラクロールのアフイニテイーカラムに対する非特異
結合の可能性を排除するため、他の14C標識類似物につ
いて試験した。これらはアセトアニリド除草剤のブタク
ロール、アセトクロール、メトラクロール、プロパクロ
ールそして前記したアラクロールの代謝物であるメルカ
プツレートとそのメチルエステルである。アフイニテイ
ーカラムはブタクロールとアセトクロールを結合させた
が、メトラクロール、プロパクロール又はメルカプツレ
ートは結合しなかつた。メルカプツレートのメチルエス
テルについても結合が観察された。
アフイニテイーカラムがもう少し複雑な試料からアラ
クロールを抽出できるか否かを調べるため、ヒト尿中に
加えたアラクロールとその類似物について同様の実験を
行つた。その結果(表2)尿中であつてもアフイニテイ
ーカラムはアラクロールに対する結合特異性を示した。
放射能標識14Cアナライトをヒト尿中に加えた。アフ
イニテイーカラムは、アラクロール−IgG結合体で免疫
したウサギの第1回目採血の血清から調製した。
最後の実験では14Cアラクロールを経口投与したラツ
トの尿を用いた。放射能検出を用いる高速液体クロマト
グラフイー(HPLC/RAD)による分析の結果、ラツト尿中
にはアラクロールは含まれておらず、そのかわり約10種
類以上の代謝物が含まれていた。この尿に0.5μgの放
射能標識アラクロールを加えて、その混合液をアフイニ
テイーカラムに通した。
その結果、尿のみを流した場合放射能は抽出されなか
つたが、アラクロールを加えた尿では約30%の放射能が
カラムに結合した。アフイニテイーカラムのメタノール
溶出液の高速液体クロマトグラフイー分析によりアラク
ロールのみが検出され、カラムの洗浄液にはすべてのア
ラクロール代謝物と低濃度の非抽出アラクロールが含ま
れていた。この結果もまた、近接した動物の代謝物の存
在下でもアラクロールに対する抗体の特異性があること
を示していた。
上記実験により、免疫原としてアラクロール−IgG結
合体を使用して、ウサギにおいてアラクロールに対する
ポリクローナル抗体がうまく作成されたことが証明され
た。この抗体はアラクロールに対して特異的であり、EL
ISA法の開発に使用した。このELISA法の検量線の範囲は
アラクロール0.2から8.0ppbであり、その変動係数は4
%から19%であつた。この抗体は、アラクロールの土壌
及び水中の2つの主要な代謝物に対して反応性を示さな
かつたが、スルフイド類似物(これはアラクロールが土
壌及び水中で代謝されて低濃度で産生される可能性があ
る)とは強い反応性を示した。しかしこれが環境試料中
のアラクロールのELISA分析に問題となるか否かは不明
である。ヒト以外の動物の代謝物のいくつかもまた、抗
体と有意に反応した。環境中のこれらの代謝物の量は非
常に少ないか又はゼロであるため、これら代謝物による
アラクロールのELISA法に対する妨害はないと考えられ
る。この抗体はまたアフイニテイーカラムの調製にも有
用であり、水や尿からアラクロールを分離及び精製する
手段として利用できる可能性が示された。
実施例2 上記実験により、自然水中のスクリーニング試料のア
ラクロールの存在を調べるのにアラクロールELISAが有
効であることが示された。これを評価するために、いく
つかの環境水の試料をELISA法とGC/MS法で別々に分析し
た。これらの試料は春と夏にアメリカ合衆国の中西部と
東部地方の数カ所で集めた数百種類の川の水である。既
知量のアラクロールを添加した水試料を対照として加え
た。
ELISA法による分析から約80%はアラクロールの含量
が3ng/g未満であると予想された。この予想の99.7%は
正しいことが機器分析(GC/MS)から確認された。しか
しELISAの結果からアラクロールの含量が3ng/g以上と予
想された試料のうち46.2%のみがこの濃度であつた。こ
れらの多くはアラクロールを添加した試料である。閾値
の基準を変えてデータを解析しても、一貫してELISA法
は陰性試料を正確に測定していたが、選択した閾値以上
のアラクロールを含んでいたのは陽性とされた試料のわ
ずか30から50%であつた。
この現象と、他の農薬、金属塩、顆粒物質、又は可能
性のある反応機構との相関について調べてみたが、妨害
作用の本質について同定することはできなかつた。リン
酸緩衝液の代わりにトリス緩衝液を使用し、血清とGAR
−HRP希釈液中にツイーン20と脱脂粉乳を加えると、多
くの場合妨害の頻度が大きく減少したが、完全になくな
ることはなかつた。さらに方法を変更して、分析前に塩
化メチレンなどの有機溶媒でアラクロールを抽出し、選
ばれた試料を再測定するとELISAの偽陽性の結果は出な
くなつた。
全体としてこの実験結果からアラクロールELISA法は
自然水に適用して、アラクロールを含む可能性がありさ
らに分析が必要な試料を選択するのに使用できることが
証明された。わざとアラクロールを添加した試料以外に
免疫定量法で選択された試料は、全体のほんの一部であ
つたため、これは時間の大幅な節約になると考えられ
る。試験した閾値濃度にかかわらずこの方法で見逃され
た試料は0.5%未満であつた。しかし陽性試料中にアラ
クロールが存在するかどうかを確認するのに、2回目の
実験が必要であつた。最初の免疫定量法により多数の試
料が選択された場合には、これらの水試料を有機溶媒で
抽出してELISA法で再測定すれば選択性をさらに改良す
ることができる。
実施例3 上記したアラクロールの場合と同じ方法を用いて、ブ
タクロール(2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−
(ブトキシメチル)アセトアニリド)、アミドクロール
(2−クロロ−2′,6′−ジエチル−N−アセトアミド
メチルアセトアニリド)、及びメトラクロール(2−ク
ロロ−2′−エチル−6′−メチル−N−(2−メトキ
シ−1−メチルエチル)アセトアニリド)について、抗
体を作成した。AHTを用いて各14C標識クロロアセトアニ
リドをHSAに共有結合させ、AMSAを用いてヒツジIgGに共
有結合させた。計算の結果、蛋白(HSA又はIgG)1モル
につき11から31モルのハプテン(ブタクロール、アミド
クロール、又はメトラクロール)が結合していた。
ハプテン−IgG結合体を用いてウサギを免疫した。次
に対応するハプテン−BSA結合体を用いてチエツカーボ
ード測定をおこない、抗血清中に目的の抗体が存在する
かどうかを調べた。抗血清、ブタクロール−HSAスクリ
ーニング抗原、ブタクロールを使用して、ブタクロール
の阻害ELISAを組み立てた。アミドクロールとメトラク
ロールについても同様の測定法を組み立てた。すべての
阻害ELISA法で、遊離のハプテンの存在により抗体とス
クリーニング抗原との反応が阻害された。従つて抗血清
中の抗体は遊離ハプテンに対して特異的であることが証
明された。
DI水中で調製した各標準物質を使用して、ブタクロー
ル、アミドクロール、メトラクロールの阻害ELISAの感
度を試験した。最良の抗血清を使用して、ブタクロール
のELISAで8ppbのIC50が得られた。メトラクロールの最
良の抗血清でも8ppbのIC50が得られ、アミドクロール抗
血清では2ppbのIC50が得られた。スクリーニング抗原と
してブタクロール−HSAの代わりにアミドクロール−HSA
を使用して、アミドクロールELISAの感度を上昇させた
場合、0.2ppbのIC50が得られた。
アラクロール、アセトクロール、ブタクロール、アミ
ドクロール、メトラクロール、プロパクロールをDI水中
で10ppbと50ppbの濃度に調製した標準溶液を使用して、
ブタクロール、アミドクロール及びメトラクロールのEL
ISAの特異性を調べた。これらの濃度でブタクロール、
アミドクロール及びメトラクロールのELISAは、各遊離
のハプテンによつてのみ阻害され、他のクロロアセトア
ニリドによつては阻害されなかつた。
アラクロール、ブタクロール、アミドクロール及びメ
トラクロールに対する我々の実験結果はすべて非常によ
く似ていた。クロロアセトアニリドに対する抗体は、ク
ロロアセトアニリドと蛋白とのチオエーテル結合体でウ
サギを免疫することにより作成できる。これらのハプテ
ン−蛋白結合体から産生された抗体は遊離のハプテンに
のみ反応性を示し、他のクロロアセトアニリド除草剤と
は反応しなかつた。
本発明のELISA法によるα−ハロアセトアミドの定量
用の免疫診断定量キツトは: 1. α−ハロアセトアミドに特異的な抗体、 2. 固相に固定化されたα−ハロアセトアミド−蛋白結
合体、 3. 該抗体を認識し反応する抗免疫グロブリン酵素標識
試薬、及び該測定系において酵素の活性を停止及び測定
する方法(例えば、希硫酸又は炭酸停止緩衝液及びグリ
シン停止緩衝液及び比色測定)、 4. 既知量の適当なα−ハロアセトアミドを含有する標
準物質、 5. 試験液中の試薬を希釈するための緩衝液、及び 6. 溶液3の酵素用の基質液 よりなる。
この定量キツトは好ましくは以下の用に使用される: 試薬1を試薬5で希釈し、試薬4(又は試料)と室温
で反応させた後、この混合液を試薬2に加える。次に試
薬2の中の固相担体を5で洗浄し、試薬3を加える。試
薬2の中の固相担体を再び5で洗浄し、試薬6を加え
る。試料と標準物質の色の強度を比較して、α−ハロア
セトアミドの濃度が求められる。
上記したようにα−ハロアセトアミドクラスに代表的
な有名な市販の除草剤について、本発明の新規な免疫定
量法を説明したが、他のα−ハロアセトアミド(例えば
アリドクロール、メタゾクロール、プレチラクロール、
プロパクロールなど)を検出するために、当業者の能力
に応じて、結合体作成、高分子担体、及び他の出発物質
や試薬に関し、必要に応じて改変して同じ免疫定量法を
使用することは明らかに本発明の範囲内である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペギィ アン ウィンゼンバーガー アメリカ合衆国 ミズリー州 ハイ リッ ジ,ヒルズボロウ バレー パーク ロー ド 2516 (72)発明者 シンデイ ジョウ グロス アメリカ合衆国 ミズリー州 セント ル イス ,アレン アベニュー 3137 (72)発明者 デニス ケイス フラハーテイ アメリカ合衆国 ミズリー州 ボールウィ ン,オウク パス コート 270 (56)参考文献 J.Agric.Food Chem. 33(3),528−530,(1985)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハプテンのアセチル基のハロゲン部位を介
    しチオエーテル結合によって蛋白担体と結合しているハ
    プテンに対する抗体であって、該ハプテンが式 (式中、AはC1-4の直鎖又は分岐鎖アルキレニルラジカ
    ルで、mは1又は2であり、nはゼロ又は1であり、n
    がゼロである時、R3はC1-5のアルキル、ピラゾリルメチ
    ル又はアセタミドメチルであり、nが1である時、R3
    C1-5アルコキシである)のα−クロロアセトアニリドで
    ある抗体。
  2. 【請求項2】α−クロロアセトアニリドが、アセトクロ
    ール(acetochlor)、アラクロール(alachlor)、アミ
    ドクロール(amidochlor)、ブタクロール(butachlo
    r)、メトラクロール(metolachlor)、プレチラクロー
    ル(pretilachlor)、又はプロパクロール(propachlo
    r)である、請求項1に記載の抗体。
  3. 【請求項3】α−クロロアセトアニリドがアラクロール
    (alachlor)である請求項1に記載の抗体。
  4. 【請求項4】ハプテンが高分子担体と該ハプテンのアセ
    チル基のハロゲン部位を介してチオエーテル結合によっ
    て共有結合している結合体よりなる、請求項1から3ま
    でのいずれか1項に記載のハプテンに対する抗体を産生
    するための抗原。
  5. 【請求項5】高分子担体が蛋白であって蛋白はBSA、O
    A、HSA、IgG又はKLHである、請求項4に記載の抗原。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれか1項に記載のハプ
    テンに対する抗体を含有する抗血清。
  7. 【請求項7】請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体
    を用いELISA法により試料中のα−クロロアセトアミド
    を検出又は定量するための免疫化学的方法であって該α
    −クロロアセトアミドが式 (式中、AはC1-4直鎖又は分岐鎖アルキレニルラジカル
    であり、mは1又は2であり、nはゼロ又は1であり、
    nがゼロの時にR3はC1-5アルキル、ピラゾリルメチル又
    はアセタミドメチルであり、nが1の時にR3はC1-5アル
    コキシである)のα−クロロアセトアニリドである免疫
    化学的方法。
  8. 【請求項8】α−クロロアセトアニリドが、アセトクロ
    ール(acetochlor)、アラクロール(alachlor)、アミ
    ドクロール(amidochlor)、ブタクロール(butachlo
    r)、メトラクロール(metolachlor)、プレチラクロー
    ル(pretilachlor)、又はプロパクロール(propachlo
    r)である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】α−クロロアセトアニリドが、アラクロー
    ル(alachlor)である請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】ELISA法による、少なくとも1つのα−
    クロロアセトアニリドを含有する可能性のある試料の免
    疫化学的測定キットにおいて、 1.請求項1〜3のいずれか1項に記載のα−クロロアセ
    トアニリドに特異的な抗体、 2.固相に固定化されたα−クロロアセトアニリド−蛋白
    結合体、 3.該抗体を認識し反応する抗免疫グロブリン酵素標識試
    薬、及び測定系において酵素の活性を停止及び測定する
    ための試薬、例えば、希硫酸、炭酸停止緩衝液又はグリ
    シン停止緩衝液、及び比色測定用試薬、 4.既知量の適当なα−クロロアセトアニリドを含有する
    標準物質、 5.試験液中の試薬を希釈するための緩衝液、及び 6.溶液3の酵素用の基質液 よりなる、免疫化学的測定キット。
  11. 【請求項11】α−クロロアセトアニリドが、アセトク
    ロール(acetochlor)、アラクロール(alachlor)、ア
    ミドクロール(amidochlor)、ブタクロール(butachlo
    r)、メトラクロール(metolachlor)、プレチラクロー
    ル(pretilachlor)及びプロパクロール(propachlor)
    よりなる群から選ばれる、請求項第10項に記載のキッ
    ト。
  12. 【請求項12】α−クロロアセトアニリドがアラクロー
    ル(alachlor)である請求項第11項に記載のキット。
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