JPH0870275A - 移動無線システムに用いられる電力制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力制御が高速に、かつ効果的に実施される
移動無線システムに用いられる電力制御装置を提供す
る。 【解決手段】 第１局から送信されたデータを第２局か
ら返信し、その返信データに依存して送信手段の電力を
制御する制御手段を第１局に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、移動無線システム
に用いられる電力制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえばＣＤＭＡセルラ移動無線の分野
で、送信された高周波電力を閉ループ制御する公知の装
置は、受信電力を測定する手段と、測定値をしきい値と
比較する手段と、前記比較に基づいて補正信号を生成す
る手段と、補正信号を受信局から送信局に送出する手段
と、補正信号に応じて送信局で送信電力を制御する手段
とを有する。

【０００３】原理を図１に示す。ここで移動局２の送信
電力は、基地局４により制御される。移動局２は、結合
器／スプリッタおよびアンテナ２ａを介して現時点の電
力レベルで送信するものであり、発振器１６および送信
用増幅器１８を有している。信号は基地局４で受信され
て電力が測定される。（ダイオード６は、より複雑な電
力測定動作を表す。）電力は比較器８によりしきい値と
比較される。電力がしきい値を上回る場合、’ダウン’
信号が生成される。電力がしきい値未満の場合、’アッ
プ’信号が生成される。２重通信チャネルの他方の半分
のチャネルを介して、変調器１０、結合器／スプリッ
タ、およびアンテナ４ａにより、これらの信号は移動局
に返信されて受信され、前記移動局は復調器１２でその
信号を復調し、アキュムレータ１４でそれらを累算（ア
ップ信号に対して＋１、ダウン信号に対して−１の累
算）する。アキュムレータ１４の出力により増幅器１８
を制御し、対数関係に従って電力を直接制御する。

【０００４】前述の構成の重要な要素は、受信信号レベ
ルの測定である。電力制御の精度はこの測定値の精度に
よって決まる。このことは現存のシステムでは問題にな
らない。現存のシステムでは電力制御更新インターバル
は、データのいくつかの受信ビットに対応し、要求され
るビット誤り率は適度に低いので、受信信号の信号対ノ
イズ比は適度に高い。たとえば受信電力の平均化がコヒ
ーレントにまたは擬似コヒーレントに行われるのであれ
ば、信号のいくつかのビットにわたって受信電力を平均
する機能により、信号対雑音比の大きな増加が得られ
る。

【０００５】ここでビットレートが非常に低い場合を考
察する。実際には、送信されるビットレートが電力制御
による更新レートと等しく、要求される誤り率が適度に
高い場合を考察する。受信電力が受信局で測定される場
合、この測定は単一のビットに基づいて実施すれば良
い。信号対雑音比はそのビットでは恐らく０ｄＢと低い
ので、測定値はノイズにより非常に劣化する。

【０００６】図１に示したのとは異なり、急速なダウン
リンクの電力制御が必要になり、移動局が電力制御信号
情報を基地局に送信しなければならない状況の際に、こ
の劣化状況が生じることがある。この電力制御信号情報
の送信は、それ自体が電力制御されなければならない。
パケットタイプのデータ送信に対しては、非対称のトラ
ヒック伝送を許容することが必要条件とされることがあ
り、時折りデータトラヒックはダウンリンク上だけで伝
送される。この場合アップリンク上の送信の唯一の目的
はダウンリンクの電力制御であり、これらの電力制御の
ための電力制御信号のレートでの送信は、それ自体が電
力制御されなければならない。

【０００７】この状況に特有の難点は、特定のリンクに
アップリンクのデータトラヒックがない場合、そのアッ
プリンク上を伝送する任意の制御トラヒックによって生
じる干渉を最小にして、アップリンクで伝送する他の複
数のリンクに利用可能なトータルの通信路容量を最大に
しなければならないことである。実際に電力制御トラヒ
ックがアップリンク上の制御トラヒックだけである場
合、それを送信するのに用いられる送信レートを最小に
し非常に低いビットレートとして、できる限り多くの通
信路容量を利用しなければならない。電力制御情報の送
信に対して高速の電力制御を実施することによっての
み、このことを達成することができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、電力
制御が高速に、かつ効果的に実施される移動無線システ
ムに用いられる電力制御装置を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の課題は、第１局
と第２局とを具備し、前記第１局は、前記第２局にデー
タを送信し、かつ前記第２局からデータを受信し、前記
第２局は、前記第１局からデータを受信し、かつデータ
を送信し、前記第１局は、データソースと、データソー
スの変調手段と、前記データソースから得られたデータ
の送信手段と、前記第１局から前記第２局へ送信されて
前記第１局に返信されたデータに依存して、前記送信手
段の電力を制御する制御手段とを有する移動無線システ
ムに用いられる電力制御装置により達成される。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図２を
参照して説明する。図２は電力制御装置のブロック図で
ある。図２を参照すると、送信局２０および受信局２２
が示されている。送信局には、バッファ記憶装置２６と
変調回路２８の入力側とに接続されたデータソース２４
がある。バッファ記憶装置２６の出力側は、エクスクル
ーシブＯＲゲート３０の第１入力側に接続され、前記エ
クスクルーシブＯＲゲート３０はその第２入力側で、受
信データ回路３２を介して受信局からの入力データを受
信する。エクスクルーシブＯＲゲート３０の出力により
スイッチ３４を制御し、前記スイッチ３４は、アップス
テップ信号またはダウンステップ信号をアキュムレータ
３６の入力側に供給する。アキュムレータ３６の出力側
は、送信用増幅器３８を制御するように接続されてい
る。

【００１１】受信局２２には受信データ回路４０があ
り、前記受信データ回路４０は、変調回路４２の入力側
に接続され、前記変調回路４２の出力側は、送信用増幅
器４４に接続されている。

【００１２】以下の説明での混乱を避けるために、本明
細書に記載の発明により送信電力が制御される局を’送
信局’（第１局）と呼称し、他方で電力制御された送信
信号を受信し、送信局の電力制御に関する情報を提供す
る局を’受信局’（第２局）と呼称する。この用語は、
送信局が受信できず、受信局が送信できないことを意味
しない。

【００１３】基本原理は電力を測定するのでなく、受信
局２２に単にデータを復調させ、他方の方向に向かうリ
ンクを介して、このデータを送信局２０に返信すること
である。反方向のリンクを、電力制御される方向より効
果的に（つまり低い誤り率で）構成することができるも
のとする。

【００１４】送信局２０では、送信されたビットが受信
局から返信されたビットと比較され、これらのビット間
の同一性を確認し、受信局で誤って受信されたビットを
確認する。誤りが検出された場合は常に、送信電力はＵ
ｄＢの量だけ増加される。誤りが検出されない場合は常
に、送信電力はＤｄＢの量だけ低減される。

【００１５】安定状態では、中間期間の平均送信電力は
一定である。Ｎ個の信号ビットから成る時間間隔を考察
する。ビット誤り率をＢとする。期間Ｎにわたるアップ
ステップの平均の数はＮ・Ｂであり、誤りと関連した全
電力上昇はＵ・Ｎ・Ｂであったとする。これは同等の電
力低減によりキャンセルされたはずである。Ｎ・（１−
Ｂ）は誤りのなかったステップの平均の数であるから、
電力低減も以下の式で与えられる。

【００１６】Ｎ・Ｄ・（１−Ｂ） したがって、 Ｎ・Ｄ・（１−Ｂ）＝Ｕ・Ｎ・Ｂ Ｂについて解くと、 Ｂ＝Ｕ／（Ｕ＋Ｄ） したがって単純にＵ対Ｄの比を設定することにより、ビ
ット誤り率を直接制御することができる。

【００１７】Ｕの最適のステップサイズは、パスのフェ
ージング率の関数である。ゆっくりとフェージングする
パスに対しては、Ｕ（したがってＤ）は極めて小さくす
べきである。急速にフェージングするパスに対しては、
Ｕは大きくすべきである。送信局のビット誤り率の統計
上の測定値に応じてステップサイズを適合すべきであ
る。

【００１８】あるシステムに対してはこのデータの’返
信’により、さらに別の利点を提供することができる。
低いビットレートのリンクに対しては、位相のあいまい
さのため通常コヒーレントな復調を達成することができ
ず、前記位相のあいまいさは、基準キャリアにより任意
の判定方向で生じることがある。しかしデータが返信さ
れる場合、送信端は受信端でのバースト誤りを検出する
ことができ（消去（erasures）とは対照的に）、このこ
とは基準キャリアが反転されていることを意味する。こ
の場合、送信端は単純に送信信号を反転し、受信機側で
のデータの反転を’データソース側で’補償する。

【００１９】図２に示した装置は以下のように動作す
る。送信局２０は、変調回路２８によりデータソース２
４からのデータを変調して送信用増幅器に供給し、結合
器／スプリッタおよびアンテナ２０ａを介して現時点の
電力レベルで送信する。この信号は受信局で受信され、
再度変調されて送信用増幅器に供給され、送信用増幅器
４４、結合器／スプリッタ、およびアンテナ２２ａを介
して送信局２０の受信側に返信される。一般に２つの通
信方向は周波数により区分されるが、両方向での変調経
路、伝搬経路、復調経路を巡る遅延のため、データソー
スはバッファ記憶装置２６によりバッファされてから、
返信データと比較される。エクスクルーシブＯＲゲート
３０は比較を実施する。ビットが等しい場合は、その出
力はロー（０）であり、アキュムレータ３６の入力側に
は’−のダウンステップ’が供給される。ビットが異な
っている場合（このことは誤りを示す）、その出力はハ
イ（１）であり、アキュムレータの入力側には’＋のア
ップステップ’が供給される。アキュムレータの出力に
より、対数関数的に送信用増幅器３８の電力を制御す
る。

【００２０】本発明の範囲を逸脱することなく種々の変
形ができることは、当業者に明らかである。

【００２１】

【発明の効果】本発明により、電力制御が高速に、かつ
効果的に実施される移動無線システムに用いられる電力
制御装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の電力制御装置の原理を示すブロック図で
ある。

【図２】本発明による電力制御装置のブロック図であ
る。

【符号の説明】

２ 移動局 ４ 基地局 ６ 電力測定動作を表すダイオード ２０ 送信局 ２２ 受信局

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１局と第２局とを具備し、前記第１局
   は、前記第２局にデータを送信し、かつ前記第２局から
   データを受信し、前記第２局は、前記第１局からデータ
   を受信し、かつ前記第１局にデータを送信し、前記第１
   局は、データソースと、データソースの変調手段と、前
   記データソースから得られたデータ送信手段と、前記第
   １局から前記第２局へ送信されて前記第１局に返信され
   たデータに依存して、前記送信手段の電力を制御する制
   御手段とを有することを特徴とする移動無線システムに
   用いられる電力制御装置。
2. 【請求項２】 前記制御手段は、エクスクルーシブＯＲ
   ゲートを有し、前記エクスクルーシブＯＲゲートは、そ
   の第１入力側で前記データソースからのデータを受信
   し、その第２入力側で前記第２局から返信されたデータ
   を受信し、それらによる比較結果に応じてスイッチング
   手段を制御する出力信号を生成して、アキュムレータへ
   の入力信号を制御するように構成され、前記アキュムレ
   ータの出力は、対数関数的に送信手段を制御するのに用
   いられる請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 前記エクスクルーシブＯＲゲートが比較
   を実施した場合に、各入力側での入力ビットが等しいと
   出力はローであり、アキュムレータにダウンステップ信
   号が供給され、入力ビットが異なると、それは誤りを示
   し、前記エクスクルーシブＯＲゲートの出力はハイであ
   り、アキュムレータの入力側にアップステップ信号が供
   給される請求項２記載の装置。
4. 【請求項４】 前記第２局は、データ受信手段と、デー
   タ変調手段と、第１局へのデータ返信手段とを有する請
   求項１から３までのいずれか１項に記載の装置。
5. 【請求項５】 前記第１局は、前記第２局から返信され
   た基準キャリアの反転を示すデータのバースト誤りを検
   出するように構成され、バースト誤りが送信された場合
   にバースト誤りを補償するために、前記第１局はデータ
   を反転するように構成された手段を有する請求項1から
   ４までのいずれか1項に記載の装置。