JPH086570A - 吸音材 - Google Patents

吸音材

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JPH086570A
JPH086570A JP6158169A JP15816994A JPH086570A JP H086570 A JPH086570 A JP H086570A JP 6158169 A JP6158169 A JP 6158169A JP 15816994 A JP15816994 A JP 15816994A JP H086570 A JPH086570 A JP H086570A
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Nobuhiko Narita
信彦 成田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期にわたって優れた吸音性能を発揮するこ
とができる吸音材を安価に提供する。 【構成】 共鳴器形成板2が、内部に多数の独立気泡2
2を有する独立気泡樹脂板21と、この独立気泡樹脂板
21の内面21bに被着された塗装膜23とからなり、
この共鳴器形成板2の音源側を向いた表面2cは前記独
立気泡22の一部が露出した露出気泡22’による粗面
をなし、前記共鳴室3a内を向いた内面2dは前記塗装
膜23による平滑面をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両等の騒音対策のた
めに用いられ、ヘルムホルツ共鳴器により音を共鳴吸収
する吸音材に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の吸音材に関する典型的な従来例
が、特開平4−225398号公報に開示されている。
すなわちこの吸音材は、音源側の表面に共鳴周波数が互
いに異なる多数のヘルムホルツ共鳴器が配置されてお
り、各ヘルムホルツ共鳴器が、その固有の周波数の音を
共鳴吸収するものである。また、このヘルムホルツ共鳴
器の音源側の壁体を吸音性材料、典型的には不織布ある
いは連続気泡プラスチックからなる多孔質層で覆うこと
によって、この壁体からの音の反射を低減し、吸音性を
向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例によれば、
次のような問題が指摘される。それは第一に、不織布あ
るいは連続気泡プラスチックからなる多孔質の吸音性材
料は、泥水や油脂類等による汚染に弱く、すなわち、こ
のような泥水や油脂類等の汚染物質の浸透によって不織
布の繊維間の間隙や連続気泡プラスチックの連続気泡が
塞がると、これら間隙や連続気泡による音圧の減衰効果
が損なわれてしまい、しかも内部に浸透した前記汚染物
が容易に排除されないので、初期の吸音性能を維持する
ことができないことである。また問題の第二は、ヘルム
ホルツ共鳴器を形成する壁体への不織布あるいは連続気
泡プラスチック等の被覆を、ラミネート加工により行う
必要があり、製造費が高くならざるを得ないことであ
る。
【0004】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その主な技術的課題とするところは、長期
にわたって優れた吸音性能を発揮することができる吸音
材を安価に提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術的課
題を有効に解決するため、取付板の音源側にヘルムホル
ツ共鳴器を画成する共鳴器形成板が、内部に多数の独立
気泡を有する独立気泡樹脂板と、この独立気泡樹脂板の
前記ヘルムホルツ共鳴器内を向いた内面に被着された塗
装膜とからなり、前記独立気泡樹脂板の前記音源側の表
面は前記独立気泡の一部が露出した露出気泡による粗面
をなし、前記塗装膜の表面は平滑な吸音材を提供するも
のである。上記技術的課題を有効に解決するための他の
手段としては、前記共鳴器形成板が、内部に多数の連続
気泡を有する連続気泡樹脂板と、この連続気泡樹脂板の
音源側の表面に被着された薄膜と、前記ヘルムホルツ共
鳴器内を向いた内面に被着された塗装膜とからなり、前
記薄膜の表面は粗面をなし、前記塗装膜の表面は平滑で
ある吸音材を提供するものである。上記技術的課題を有
効に解決するための更に他の手段としては、前記共鳴器
形成板が単板であって、その音源側を向いた表面が粗面
加工され、前記ヘルムホルツ共鳴器内を向いた内面が平
滑に形成された吸音材を提供するものである。
【0006】
【作用】ヘルムホルツ共鳴器を形成している共鳴器形成
板の音源側の表面に入射された音波は、一部は前記共鳴
器形成板の内部へ透過して減衰され、他は音源側へ反射
されるが、上記本発明の構成によれば、前記共鳴質形成
板の音源側表面が粗面をなすことによって、この粗面に
よる多数の凹部の内面で反射された音波がこの凹部内の
他の面へ入射されるので、音源側への反射率が低減され
る。一方、前記共鳴器形成板の内面が平滑面をなすこと
によって、この内面での音の反射率が高いため、音の閉
じ込め作用を有し、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴室におけ
る共鳴現象が有効に励起される。
【0007】特に、共鳴器形成板が独立気泡樹脂板ある
いは連続気泡樹脂板からなるものである場合は、内部の
独立気泡又は連続気泡によって共鳴器形成板のばね定数
が低いものとなるので、低周波数の音の入射によって容
易に振動変位して前記音を減衰し、共鳴器形成板の内部
では、音が独立気泡及びこの独立気泡間の樹脂膜を透過
することによって減衰する。また、連続気泡樹脂板に被
着した薄膜は、上述した粗面による音の反射低減作用の
ほか、連続気泡への異物の侵入を阻止するものである。
【0008】
【実施例】図1は、本発明に係る吸音材の一実施例を示
すもので、参照符号1は取付板、2はこの取付板1の音
源側となる面に取り付けられた共鳴器形成板である。共
鳴器形成板2は、互いに大きさの異なる多数の中空凸部
2aと、各中空凸部2aの頂部に開設された孔2bとを
有し、この共鳴器形成板2によって、取付板1の音源側
となる面に多数のヘルムホルツ共鳴器3が隣接して画成
されている。各ヘルムホルツ共鳴器3は、中空凸部2a
による共鳴室3aの容量と、孔2bの孔径(面積)及び
長さによって互いに異なる共鳴周波数を有するため、そ
れぞれ特定の周波数の音の入射によって共鳴振動が起こ
り、その音の共鳴吸収を行う。
【0009】各共鳴室3aを取り囲む共鳴器形成板2
は、その断面の一部を拡大した図2に示すように、極め
て多数の独立気泡22を有する独立気泡樹脂板21と、
その共鳴室3a側を向いた内面21bに被着された薄い
塗装膜23とからなる。共鳴器形成板2の音源側を向い
た表面2cは、独立気泡樹脂板21の音源側の表面21
aに一部が露出した露出気泡22’による粗面状態をな
す一方、共鳴室3a側を向いた内面2dは前記塗装膜2
3によって平滑に形成されている。
【0010】この実施例の吸音材によれば、独立気泡樹
脂板21の内部の独立気泡22によって共鳴器形成板2
のばね定数が低くなっており、低周波数の音波によって
容易に振動変位されるから、低周波数の音を有効に減衰
することができる。
【0011】また、この実施例の吸音材によれば、共鳴
器形成板2へ入射される音の反射を低減し、透過率を高
めるので、音の減衰機能を向上することができる。すな
わち、入射される音波の一部を追跡したシミュレーショ
ンを示す図3を参照すると、音波pは、独立気泡樹脂板
21の露出気泡22’の内面に入射された際に、その一
部p1 は独立気泡樹脂板21の内部に透過され、他は反
射されるが、その反射波p2 は前記露出気泡22’の湾
曲した内面の他の部分と交差するので、再度の樹脂材内
部への入射の機会を与えられ、ここで再び一部p3 が樹
脂材内部に透過され、他が反射波p4 となる。露出気泡
22’の形状や音波pの入射角によっては、更に前記反
射波p4 にも再度の入射の機会が与えられる。したがっ
て、音源側への反射音p’を低減することができる。
【0012】しかも、独立気泡樹脂板21の内部に透過
された音波は、露出気泡22’及び独立気泡22間の樹
脂材による可撓薄膜部21cを振動させることによっ
て、熱に変換されるので、高周波成分も有効に減衰され
る。
【0013】一方、共鳴器形成板2における共鳴室3a
側の内面2dは、図2に示すように、独立気泡樹脂板2
1の共鳴室3a側の内面21bにおける露出気泡22”
が塗装膜23によって覆われ、平滑面となっていること
から、共鳴室3a内へ入射された音の反射率が高く、し
たがって、共鳴室3aにおける共鳴現象が有効に励起さ
れる。
【0014】共鳴器形成板2(独立気泡樹脂板21)の
露出気泡22’は、連続気泡のように内部へ連続してい
るものではないので、泥水等が内部の独立気泡22に侵
入してこれを埋めてしまうことはなく、表面の露出気泡
22’への付着物は、水洗等により容易に除去されるの
で、初期の吸音性能を長期間維持することができる。ま
た、共鳴器形成板2の内面2dの平滑化は塗装によりな
されたものであるので、この吸音材の製造においてはラ
ミネート加工等のような工程が不要であり、安価に製造
することができる。
【0015】なお、本発明は、図示の実施例に限定され
るものではない。例えば、共鳴器形成板2としては、独
立気泡樹脂板21に代えて多数の連続気泡を有する独立
気泡樹脂板を用い、その音源側の表面に、微細な凹凸を
有する粗面化した薄膜を添着すると共に、共鳴室3a側
の表面を上記実施例のような塗装膜23によって平滑化
しても、上述と同様の効果が達成される。また、共鳴器
形成板2として、内部に気泡の存在しない中実の樹脂板
を用い、その音源側となる表面を粗面加工したものとす
れば、上述のような気泡によるばね定数の低下や気泡間
の可撓薄膜部による減衰は得られないが、入射音の反射
率の低減は有効に実現される。
【0016】
【発明の効果】本発明の吸音材によると、共鳴器形成板
の音源側表面における音の反射が低減されるので、共鳴
器形成板自体による音の減衰機能を向上することがで
き、特に共鳴器形成板が独立気泡樹脂板あるいは連続気
泡樹脂板である場合は、音の減衰が一層有効に行われ、
内部の気泡への泥水等の侵入が防止されているので性能
の劣化がなく、しかも安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸音材の一実施例を示す部分的な
断面図である。
【図2】上記実施例における共鳴器形成板の一部を拡大
して示す断面図である。
【図3】上記実施例における共鳴器形成板へ入射される
音波の一部を追跡して示す説明図である。
【符号の説明】
1 取付板 2 共鳴器形成板 2a 中空凸部 2b 孔 2c,21a 表面 2d,21b 内面 3 ヘルムホルツ共鳴器 3a 共鳴室 21 独立気泡樹脂板 21c 可撓薄膜部 22 独立気泡 22’,22” 露出気泡 23 塗装膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取付板(1)の音源側に添設された共鳴
    器形成板(2)によって共鳴周波数が互いに異なる多数
    のヘルムホルツ共鳴器(3)が隣接して画成された吸音
    材において、 前記共鳴器形成板(2)が、内部に多数の独立気泡(2
    2)を有する独立気泡樹脂板(21)と、この独立気泡
    樹脂板(21)の前記ヘルムホルツ共鳴器(3)内を向
    いた内面(21b)に被着された塗装膜(23)とから
    なり、前記独立気泡樹脂板(21)の前記音源側の表面
    (21a)は前記独立気泡(22)の一部が露出した露
    出気泡(22’)による粗面をなし、前記塗装膜(2
    3)の表面は平滑であることを特徴とする吸音材。
  2. 【請求項2】 取付板(1)の音源側に添設された共鳴
    器形成板(2)によって共鳴周波数が互いに異なる多数
    のヘルムホルツ共鳴器(3)が隣接して画成された吸音
    材において、 前記共鳴器形成板(2)が、内部に多数の連続気泡を有
    する連続気泡樹脂板と、この連続気泡樹脂板の音源側の
    表面に被着された薄膜と、前記ヘルムホルツ共鳴器
    (3)内を向いた内面に被着された塗装膜(23)とか
    らなり、前記薄膜の表面は粗面をなし、前記塗装膜(2
    3)の表面は平滑であることを特徴とする吸音材。
  3. 【請求項3】 取付板(1)の音源側に添設された共鳴
    器形成板(2)によって共鳴周波数が互いに異なる多数
    のヘルムホルツ共鳴器(3)が隣接して画成された吸音
    材において、 前記共鳴器形成板(2)が単板であって、その音源側を
    向いた表面(2c)が粗面加工され、前記ヘルムホルツ
    共鳴器(3)内を向いた内面(2d)が平滑に形成され
    たことを特徴とする吸音材。
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