JPH0862619A - 複素誘電率傾斜型空間光変調素子 - Google Patents

複素誘電率傾斜型空間光変調素子

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JPH0862619A
JPH0862619A JP20174494A JP20174494A JPH0862619A JP H0862619 A JPH0862619 A JP H0862619A JP 20174494 A JP20174494 A JP 20174494A JP 20174494 A JP20174494 A JP 20174494A JP H0862619 A JPH0862619 A JP H0862619A
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JP
Japan
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film
layer
liquid crystal
spatial light
complex
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JP20174494A
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Inventor
Kuniharu Takizawa
國治 滝沢
Hiroshi Kikuchi
宏 菊池
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Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は素子自体の解像度を大幅に向上させ
て、素子自体や各光学系を大型化することなく、高精細
画像を表示し、これによって投射型ディスプレィや画像
処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コストを
増大させることなく画像の高精細化を達成する。 【構成】 第1透明電極3、光導電層4、光吸収層5、
誘電体多層膜ミラー6、光変調層7および第2透明電極
8を積層して形成される空間光変調素子において、前記
光変調層7の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層膜
ミラー6の複素誘電率の絶対値よりも、大きくならない
ように、これら光変調層7の複素誘電率と、誘電体多層
膜ミラー6の複素誘電率とを設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は第1透明電極、光導電
層、光吸収層、誘電体多層膜ミラー、光変調層および第
2透明電極を積層した空間光変調素子、もしくは第1透
明電極、光導電層、誘電体多層膜ミラー、光変調層およ
び第2透明電極を積層した空間光変調素子に係わり、特
に前記光変調層の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多
層膜ミラーの複素誘電率の絶対値よりも、大きくならな
いように、これら光変調層の複素誘電率と、誘電体多層
膜ミラーの複素誘電率とを設定することにより、書込み
光の形式で入射される画像やデータパターンのような2
次元情報を取り込むとともに、入射された読み出し光に
基づき、前記2次元情報を高精細に表示する複素誘電率
傾斜型空間光変調素子に関する。
【0002】[発明の概要]本発明は第1透明電極、光
導電層、光吸収層、誘電体多層膜ミラー、光変調層およ
び第2透明電極を積層した空間光変調素子、もしくは第
1透明電極、光導電層、誘電体多層膜ミラー、光変調層
および第2透明電極を積層した空間光変調素子に関する
もので、特に前記光変調層の複素誘電率の絶対値が、前
記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率の絶対値よりも、大
きくならないように、これら光変調層の複素誘電率と、
誘電体多層膜ミラーの複素誘電率とを設定することによ
り、高い解像度を持つ画像を表示できるようにしたもの
である。
【0003】
【従来の技術】書込み光の形式で入射される画像やデー
タパターンのような2次元情報を取り込むとともに、入
射された読み出し光に基づき、前記2次元情報を高精細
に表示する空間光変調素子として、従来、米国特許N
o.4127322号に示す素子や文献(Rodony D.Ste
rling, Robert D.Te Kolste, Joseph M.Haggerty, Thom
asC.Borah and William P.Bleha: “Video-rate liquid
-crystal light-valve using an amorphous silicon ph
otoconductor"SID 90 Digest pp.327-329(1990))に示
す素子が知られている。
【0004】同特許明細書および同文献で示されている
空間光変調素子は図11に示す如くファイバープレート
基板101と、第1透明電極102と、光導電層103
と、光吸収層104と、誘電体多層膜ミラー105と、
第1配向層106と、ネマチック液晶層107と、第2
配向層108と、第2透明電極109と、石英基板11
0とを順次、密着積層して形成した素子であり、交流電
源111によって第1透明電極102と、第2透明電極
109との間に交流電圧を印加した状態で、ファイバー
プレート基板101側に光情報を含む書込み光112を
入射させることにより、前記光導電層103の抵抗値を
変化させてシール層113で密封されたネマチック液晶
層107に光情報を2次元的に書込み、石英基板110
側に入射される読み出し光114によって前記ネマチッ
ク液晶層107に書き込まれている情報を読み出し、こ
れを表示光115として出射させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の空間光変調素子においては、次に述べるような
問題があった。
【0006】すなわち、光導電層103および光吸収層
104、誘電体多層膜ミラー105、ネマチック液晶層
107が全て薄膜で構成されているにもかかわらず、空
間光変調素子の解像度が低い。
【0007】例えば、前記文献では、この文献内の図6
に示されるように、空間光変調素子を構成する光導電層
103上の1mm幅の間に、光情報として白黒1組の格
子を書込み、かつ第1配向層106、ネマチック液晶層
107、第2配向層108によって構成される液晶光変
調層116のネマチック液晶層107から読み出すこと
ができる格子数の最大値を限界解像度として定義し、こ
れをlp(line pairs)/mmと表わすとき、その限界
解像度を30lp/mm程度以上にすることが難しい。
このため、2インチ以上の対角長を持つ大型の空間光変
調素子にしなければ、高精細画像を表示することができ
ないという問題があった。
【0008】さらに、このように、空間光変調素子を大
型化すると、この空間光変調素子に画像を書き込む光学
系やこの空間光変調素子から画像を読み出す光学系も大
型化してしまうので、空間光変調素子を用いた投射型デ
ィスプレィや画像処理装置全体が大型化してしまうとと
もに、製作コストが増大してしまうという問題があっ
た。
【0009】本発明は上記の事情に鑑み、素子自体の解
像度を大幅に向上させて、素子自体や各光学系を大型化
することなく、高精細画像を表示することができ、これ
によって投射型ディスプレィや画像処理装置自体を大型
化することなく、かつ製作コストを増大させることな
く、画像の高精細化を達成することができる複素誘電率
傾斜型空間光変調素子を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明は、請求項1の複素誘電率傾斜型空間光変調
素子では、第1透明電極、光導電層、光吸収層、誘電体
多層膜ミラー、光変調層および第2透明電極を積層して
形成され、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間
に繰り返し電圧を印加しながら、前記第1透明電極側か
ら入射された書込み光に基づき、前記光導電層のインピ
ーダンスを変化させて前記光変調層の状態を変化させ、
前記第2透明電極側から入射された読み出し光を前記光
変調層によって2次元的に変調しながら、誘電体多層膜
ミラーによって反射して前記第2透明電極側から出射さ
せる空間光変調素子において、前記光変調層の複素誘電
率の絶対値が、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率の
絶対値よりも、大きくならないように、前記光変調層の
複素誘電率と、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率と
を設定することを特徴としている。
【0011】また、請求項2の複素誘電率傾斜型空間光
変調素子では、第1透明電極、光導電層、誘電体多層膜
ミラー、光変調層および第2透明電極を積層して形成さ
れ、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に繰り
返し電圧を印加しながら、前記第1透明電極側から入射
された書込み光に基づき、前記光導電層のインピーダン
スを変化させて前記光変調層の状態を変化させ、前記第
2透明電極側から入射された読み出し光を前記光変調層
によって2次元的に変調しながら、誘電体多層膜ミラー
によって反射して前記第2透明電極側から出射させる空
間光変調素子において、前記光変調層の複素誘電率の絶
対値が、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率の絶対値
よりも、大きくならないように、前記光変調層の複素誘
電率と、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率とを設定
することを特徴としている。
【0012】また、請求項3では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、
コレステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によっ
て構成される群のいずれか1つ以上の液晶を選択して用
いることを特徴としている。
【0013】また、請求項4では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、
コレステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によっ
て構成される群のいずれか1つ以上の液晶の常光屈折
率、異常光屈折率または前記液晶がランダムに配向した
際の屈折率のいずれかと同等の屈折率を持つ樹脂中に前
記液晶を分散させた液晶・樹脂複合体、または前記液晶
中に前記樹脂を分散させた液晶・樹脂複合体のいずれか
一方を用いることを特徴としている。
【0014】また、請求項5では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、LiNbO3 、LiTa
3 、KDP、DKDP、ADP、KTP、KNb
3 、Srx Ba1-x Nb2 6 、GaAs、InP、
GaP結晶によって構成される群から選択された1つ以
上の電気光学結晶を用いることを特徴としている。
【0015】また、請求項6では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、珪素、ゲルマニウム、炭素に
よって構成される群のいずれか1つ以上の元素からなる
アモルファス膜を用いることを特徴としている。
【0016】また、請求項7では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、アモルファスシリコン膜、水
素化アモルファスシリコン膜、アモルファスシリコンカ
ーバイト膜、水素化アモルファスシリコンカーバイト
膜、アモルファスセレン膜、アモルファスSeAs膜、
アモルファスZnS膜、アモルファスCdS膜、アモル
ファスCdSe膜によって構成される群のいずれか1つ
以上の膜を用いることを特徴としている。
【0017】また、請求項8では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、GaAs結晶、GaP結晶、
Bi12SiO20結晶、Bi12GeO20結晶によって構成
される群から選択された1つ以上の結晶を用いることを
特徴としている。
【0018】また、請求項9では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、フタロシアニン系顔料、アゾ
系顔料、多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン
系顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ系顔料、チオ
インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、アゾレーキ系顔
料、チアピリリウム系色素、キナクリドン系顔料、シア
ニン系色素、ピロル系顔料、ポルフィリン系顔料、アン
タントン系顔料、スクアリリウム色素、アズレニウム色
素、ZnO、TiO、CdSあるいはCdSeを樹脂中
に分散させた材料を用いることを特徴としている。
【0019】また、請求項10では、請求項1、2のい
ずれかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光吸収層として、CdTe膜、ダイヤモンドラ
イクカーボン膜、珪素と炭素とゲルマニウムとから実質
的に構成されたアモルファス膜によって構成される群か
ら選択された1つ以上の膜を用いることを特徴としてい
る。
【0020】また、請求項11では、請求項1に記載の
複素誘電率傾斜型空間光変調素子において、前記光吸収
層として、無機顔料、有機顔料、カーボン、染料によっ
て構成される群から選択された1つ以上の材料を樹脂中
に分散させた樹脂複合体を用いることを特徴としてい
る。
【0021】また、請求項12では、請求項1に記載の
複素誘電率傾斜型空間光変調素子において、前記誘電体
多層膜ミラーとして、SiO2 膜、TiO2 膜、HfO
2 膜、Ta2 5 膜、ZnS膜、Al2 3 膜、Na2
AlF6 膜、MgF2 膜、LaF3 膜、GdF3 膜、S
mF3 膜、CeF3 膜、ZrO2 膜、CeO2 膜によっ
て構成される群から選択された2つ以上の膜を積層した
多層膜を用いることを特徴としている。
【0022】
【作用】上記の構成において、請求項1の複素誘電率傾
斜型空間光変調素子では、第1透明電極、光導電層、光
吸収層、誘電体多層膜ミラー、光変調層および第2透明
電極を積層して形成され、前記第1透明電極と前記第2
透明電極との間に繰り返し電圧を印加しながら、前記第
1透明電極側から入射された書込み光に基づき、前記光
導電層のインピーダンスを変化させて前記光変調層の状
態を変化させ、前記第2透明電極側から入射された読み
出し光を前記光変調層によって2次元的に変調しなが
ら、誘電体多層膜ミラーによって反射して前記第2透明
電極側から出射させる空間光変調素子において、前記光
変調層の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層膜ミラ
ーの複素誘電率の絶対値よりも、大きくならないよう
に、前記光変調層の複素誘電率と、前記誘電体多層膜ミ
ラーの複素誘電率とを設定することにより、素子自体の
解像度を大幅に向上させて、素子自体や各光学系を大型
化することなく、高精細画像を表示し、これによって投
射型ディスプレィや画像処理装置自体を大型化すること
なく、かつ製作コストを増大させることなく画像の高精
細化を達成する。
【0023】また、請求項2の複素誘電率傾斜型空間光
変調素子では、第1透明電極、光導電層、誘電体多層膜
ミラー、光変調層および第2透明電極を積層して形成さ
れ、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に繰り
返し電圧を印加しながら、前記第1透明電極側から入射
された書込み光に基づき、前記光導電層のインピーダン
スを変化させて前記光変調層の状態を変化させ、前記第
2透明電極側から入射された読み出し光を前記光変調層
によって2次元的に変調しながら、誘電体多層膜ミラー
によって反射して前記第2透明電極側から出射させる空
間光変調素子において、前記光変調層の複素誘電率の絶
対値が、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率の絶対値
よりも、大きくならないように、前記光変調層の複素誘
電率と、前記誘電体多層膜ミラーの複素誘電率とを設定
することにより、素子自体の解像度を大幅に向上させ
て、素子自体や各光学系を大型化することなく、高精細
画像を表示し、これによって投射型ディスプレィや画像
処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コストを
増大させることなく画像の高精細化を達成する。
【0024】また、請求項3では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、
コレステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によっ
て構成される群のいずれか1つ以上の液晶を選択して用
いることにより、素子を構成する各要素を特定し、現存
する材料によって請求項1、2に示す効果を得る。
【0025】また、請求項4では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、
コレステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によっ
て構成される群のいずれか1つ以上の液晶の常光屈折
率、異常光屈折率または前記液晶がランダムに配向した
際の屈折率のいずれかと同等の屈折率を持つ樹脂中に前
記液晶を分散させた液晶・樹脂複合体、または前記液晶
中に前記樹脂を分散させた液晶・樹脂複合体のいずれか
一方を用いることにより、素子を構成する各要素を特定
し、現存する材料によって請求項1、2に示す効果を得
る。
【0026】また、請求項5では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光変調層として、LiNbO3 、LiTa
3 、KDP、DKDP、ADP、KTP、KNb
3 、Srx Ba1-x Nb2 6 、GaAs、InP、
GaP結晶によって構成される群から選択された1つ以
上の電気光学結晶を用いることにより、素子を構成する
各要素を特定し、現存する材料によって請求項1、2に
示す効果を得る。
【0027】また、請求項6では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、珪素、ゲルマニウム、炭素に
よって構成される群のいずれか1つ以上の元素からなる
アモルファス膜を用いることにより、素子を構成する各
要素を特定し、現存する材料によって請求項1、2に示
す効果を得る。
【0028】また、請求項7では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、アモルファスシリコン膜、水
素化アモルファスシリコン膜、アモルファスシリコンカ
ーバイト膜、水素化アモルファスシリコンカーバイト
膜、アモルファスセレン膜、アモルファスSeAs膜、
アモルファスZnS膜、アモルファスCdS膜、アモル
ファスCdSe膜によって構成される群のいずれか1つ
以上の膜を用いることにより、素子を構成する各要素を
特定し、現存する材料によって請求項1、2に示す効果
を得る。
【0029】また、請求項8では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、GaAs結晶、GaP結晶、
Bi12SiO20結晶、Bi12GeO20結晶によって構成
される群から選択された1つ以上の結晶を用いることに
より、素子を構成する各要素を特定し、現存する材料に
よって請求項1、2に示す効果を得る。
【0030】また、請求項9では、請求項1、2のいず
れかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光導電層として、フタロシアニン系顔料、アゾ
系顔料、多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン
系顔料、アントラキノン系顔料、インジゴ系顔料、チオ
インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、アゾレーキ系顔
料、チアピリリウム系色素、キナクリドン系顔料、シア
ニン系色素、ピロル系顔料、ポルフィリン系顔料、アン
タントン系顔料、スクアリリウム色素、アズレニウム色
素、ZnO、TiO、CdSあるいはCdSeを樹脂中
に分散させた材料を用いることにより、素子を構成する
各要素を特定し、現存する材料によって請求項1、2に
示す効果を得る。
【0031】また、請求項10では、請求項1、2のい
ずれかに記載の複素誘電率傾斜型空間光変調素子におい
て、前記光吸収層として、CdTe膜、ダイヤモンドラ
イクカーボン膜、珪素と炭素とゲルマニウムとから実質
的に構成されたアモルファス膜によって構成される群か
ら選択された1つ以上の膜を用いることにより、素子を
構成する各要素を特定し、現存する材料によって請求項
1、2に示す効果を得る。
【0032】また、請求項11では、請求項1に記載の
複素誘電率傾斜型空間光変調素子において、前記光吸収
層として、無機顔料、有機顔料、カーボン、染料によっ
て構成される群から選択された1つ以上の材料を樹脂中
に分散させた樹脂複合体を用いることにより、素子を構
成する各要素を特定し、現存する材料によって請求項
1、2に示す効果を得る。
【0033】また、請求項12では、請求項1に記載の
複素誘電率傾斜型空間光変調素子において、前記誘電体
多層膜ミラーとして、SiO2 膜、TiO2 膜、HfO
2 膜、Ta2 5 膜、ZnS膜、Al2 3 膜、Na2
AlF6 膜、MgF2 膜、LaF3 膜、GdF3 膜、S
mF3 膜、CeF3 膜、ZrO2 膜、CeO2 膜によっ
て構成される群から選択された2つ以上の膜を積層した
多層膜を用いることにより、素子を構成する各要素を特
定し、現存する材料によって請求項1、2に示す効果を
得る。
【0034】
【実施例】
《基本原理の説明》まず、従来から知られている空間光
変調素子の解像度がなぜ低いのか、その原因を考えたと
ころ、ネマチック液晶層107の特性と、誘電体多層膜
ミラー105の特性とが適正な値に設定されていないた
めではないかという結論に達した。
【0035】例えば、米国特許No.4127322号
では、空間光変調素子の製作に関する部分で、空間光変
調素子を製作するとき、光導電層103、光吸収層10
4、誘電体多層膜ミラー105およびネマチック液晶層
107が以下に示す層厚を有することを主条件にしてい
る。
【0036】まず、光導電層103の厚さを2〜20μ
mにする(同特許明細書の8ページ第8行目から第14
行目までの記述内容)。
【0037】また、光吸収層104の厚さを1〜4μm
にする(同特許明細書の8ページ第59行目から第63
行目までの記述内容)。
【0038】また、誘電体多層膜ミラー105の厚さを
1.54μmにする(同特許明細書の9ページ第30行
目から第35行目までの記述内容)。
【0039】また、ネマチック液晶層107の厚さを1
〜12μmにする(同特許明細書の10ページ第1行目
から第4行目までの記述内容)。
【0040】さらに、米国特許No.4127322号
では、空間光変調素子を構成する光導電層103、光吸
収層104、誘電体多層膜ミラー105およびネマチッ
ク液晶層107が以下に示すシート抵抗あるいは比抵抗
を有することを主たる条件の他の1つにしている。
【0041】まず、光を照射しない状態(暗状態)にお
いて、光導電層103のシート抵抗をネマチック液晶層
107のシート抵抗とほぼ同じにする(同特許明細書の
7ページ第68行目から8ページの第4行目までの記述
内容)。
【0042】また、暗状態にある光導電層103の比抵
抗を約1010Ωcmにする(同特許明細書の8ページ第
8行目から第14行目までの記述内容)。
【0043】また、光吸収層104の比抵抗を約108
Ωcmにする(同特許明細書の8ページ第59行目から
第63行目までの記述内容)。
【0044】また、誘電体多層膜ミラー105のシート
抵抗を1010Ω/□以上にする(同特許明細書の9ペー
ジ第15行目から第20行目までの記述内容)。
【0045】しかしながら、一般的には、液晶光変調層
116に液晶を用いる空間光変調素子を交流電圧で駆動
するため、空間光変調素子を構成する光導電層103、
光吸収層104、誘電体多層膜ミラー105および液晶
光変調層116などのシート抵抗もしくは比抵抗だけを
電気的パラメータとする同特許明細書の素子設計法は、
明らかに間違っている。
【0046】したがって、交流電圧で駆動される空間光
変調素子の設計には、これら各層の比抵抗、誘電率およ
び駆動電圧の周波数を含む複素誘電率を電気的パラメー
タとして、前記各層の電気的特性を適正に定めることが
必要である。特に、高解像度の空間光変調素子を設計す
るためには、読み出し光114を制御する液晶光変調層
116およびこの液晶光変調層116に接する誘電体多
層膜ミラー105の複素誘電率を適正に定めなければな
らない。
【0047】以下では、米国特許No.4127322
号に記載された空間光変調素子の実施例を用いて、上述
した空間光変調素子のネマチック液晶層107の複素誘
電率の絶対値と、誘電体多層膜ミラー105の複素誘電
率の絶対値とを求め、上述した空間光変調素子の解像度
が低い理由を、数値的に明らかにする。
【0048】まず、米国特許No.4127322号に
記載された空間光変調素子の条件を整理すると、空間光
変調素子を構成する光導電層103、光吸収層104、
誘電体多層膜ミラー105およびネマチック液晶層10
7は、表1に示す厚さ、シート抵抗および比抵抗を有す
る。
【0049】
【表1】 次に、米国特許No.4127322号に記載された空
間光変調素子を構成する光導電層103、光吸収層10
4、誘電体多層膜ミラー105およびネマチック液晶1
07の比誘電率を定める。
【0050】まず、上記特許明細書には、空間光変調素
子の代表的な構成例として、光導電層103にCdS膜
を、光吸収層104にCdTe膜を、誘電体多層膜ミラ
ー105にTiO2 /SiO2 多層膜を、それぞれ用い
たものが示されている。これらの材料の比誘電率は、米
国特許No.4127322号の明細書には、記載され
ていないが、一般には、表1に示す値を有している。た
だし、この表1には、TiO2 単結晶のC軸方向の比誘
電率(εe )と、C軸に垂直な方向の比誘電率(εo
および溶融水晶の比誘電率(εc )とを記載している。
これらの数値は、文献によって多少の差異があるが、何
れも一般的に良く知られた値である。
【0051】そして、誘電体多層膜ミラー105を構成
するSiO2 膜の比誘電率(ε2 )および屈折率
(n2 )は、溶融水晶の比誘電率および屈折率とほぼ等
価であり、それぞれ、 ε2 ≒εc =4.1 …(1) n2 ≒1.46 …(2) で与えられる。
【0052】一方、誘電体多層膜ミラー105を構成す
るTiO2 膜は、多結晶性を持つと考えられるため、そ
の比誘電率ε1 および屈折率n1 は、それぞれ、 ε1 =(2εo +εe )/3 …(3) n1 =(2no +ne )/3 …(4) として差し支えない。ただし、no およびne は、Ti
2 単結晶の常光屈折率と異常光屈折率であり、それぞ
れ、no =2.65、ne =2.96である。これらの
値と表1に示す各値とにより、TiO2 膜の比誘電率ε
1 および屈折率n1 は、 ε1 =148.9 …(5) n1 =2.75 …(6) となる。
【0053】そして、誘電体多層膜ミラー105は、N
を1より大きい正の整数とすると、N+1層のTiO2
と、N層のSiO2 とが交互に積層されて形成されてい
ることから、印加電界方向の誘電体多層膜ミラー105
の見かけの誘電率εM および比抵抗ρM は、それぞれ次
式で与えられる。
【0054】
【数1】 εM =α{(N+1)n2 +Nn1 }(A+B)-1 ×{1+(ωα)2 -1 …(7) ρM ={1+(ωα)2 }(A+B) ×{(N+1)n2 +Nn1 -1 …(8) 但し、 α=εV {ε1 ρ1 A+ε2 ρ2 B}(A+B)-1 …(9) A={ρ1 (N+1)n2 }{1+(ωεV ε1 ρ1 2 -1 …(10) B=ρ2 Nn1 {1+(ωεV ε2 ρ2 2 -1 …(11) である。ここで、εV は真空中の誘電率であり、またρ
1 およびρ2 は、TiO2 膜およびSiO2 膜の比抵抗
であり、さらにωは空間光変調素子を駆動する交流電圧
の角周波数である。
【0055】そして、前記(7)式および(8)式か
ら、誘電体多層膜ミラー105の複素誘電率εZMは、 εZM=εM +(jωρM -1 …(12) で与えられる。ただし、jはj2 =−1で表される虚数
単位である。
【0056】ここで、この(12)式を整理すれば、誘
電体多層膜ミラー105の複素誘電率の絶対値|εZM
は、
【数2】 |εZM|={εM 2 +(ωρM -20.5 …(13) となる。
【0057】一方、ネマチック液晶層107は、液晶分
子の長軸方向と、それに直交する短軸方向で異なる比誘
電率を持つ。しかしながら、上記特許明細書には、ネマ
チック液晶の比誘電率も記載されていないため、ここで
は、ネマチック液晶の代表的な値を採用し、液晶分子の
長軸方向の比誘電率ε11として、値“15”を用い、ま
た短軸方向の比誘電率ε12として、値“5”を用いるこ
とにした。
【0058】そして、ネマチック液晶層107の比誘電
率をεL 、比抵抗をρL とすると、このネマチック液晶
層107の複素誘電率εZLは、 εZL=εV εL +(jωρL -1 …(14) となり、その絶対値は、
【数3】 |εZL|={(εV εL 2 +(ωρL -20.5 …(15) で与えられる。
【0059】ここで、前記(13)式および(15)式
の両辺を真空の誘電率εV で割ったものを、複素比誘電
率の絶対値|εZCM |、|εZCL |と定義すると、これ
ら複素比誘電率|εZCM |および|εZCL |は、それぞ
れ、 |εZCM |=|εZM|/εV …(16) |εZCL |=|εZL|/εV …(17) で与えられる。
【0060】そして、前記(1)式から(17)式を用
いると、米国特許No.4127322号に記載された
空間光変調素子を構成するネマチック液晶層107およ
び誘電体多層膜ミラー105の複素比誘電率の絶対値を
容易に導出することができる。
【0061】一例として、9層のTiO2 膜と、8層の
SiO2 膜を1層ごとに、交互に積層した誘電体多層膜
ミラー105の複素比誘電率の絶対値と、ネマチック液
晶層107の複素比誘電率の絶対値とを求める。ただ
し、TiO2 膜と、SiO2 膜との比抵抗であるρ1
よびρ2 は、109 〜5×1010Ωcmの範囲に属し、
同じ値を持つものとする。また、ネマチック液晶層10
7の比誘電率εL と、比抵抗ρL とを、εL =15、ρ
L =5×108 〜1010Ωcmとする。これらの条件
は、表1に示す米国特許No.4127322号に記載
された空間光変調素子の各構成要素の諸条件を十分に満
足している。
【0062】ここで、上記の範囲に属するいくつかの値
と、表1に示す値とを(1)式から(17)式に代入し
て誘電体多層膜ミラー105の複素比誘電率の絶対値
と、ネマチック液晶層107との複素比誘電率の絶対値
とを計算した結果、表2から表5が得られた。ただし、
これら表2〜表5では、駆動電圧の周波数fとして、1
0〜104 Hzを使用し、計算に用いたρ1 、ρ2 、ε
L 、ρL および計算から求めたρM も併せて示してあ
る。
【0063】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】 これらの表2〜表5に掲示されていたρ1 、ρ2
εL 、ρL および計算から求めたρM の値から明らかな
ように、計算によって決定された誘電体多層膜ミラー1
05の比抵抗ρM は、米国特許No.4127322号
に記載された空間光変調素子の構成要素である誘電体多
層膜ミラー105の比抵抗の範囲(表1)を十分に満た
している。
【0064】そして、これらの表2〜表5に示す結果を
見ると、ネマチック液晶層107の複素比誘電率の絶対
値|εZCL |は、誘電体多層膜ミラー105の複素比誘
電率の絶対値|εZCM |よりも大きいことが分かる。
【0065】すなわち、表2〜表5に掲示されていたρ
1 、ρ2 、εL 、ρL および計算から求めたρM などの
値は、米国特許No.4127322号に記載された空
間光変調素子の構成条件を十分に満たしているが、これ
らの条件を満たす空間光変調素子では、ネマチック液晶
層107の複素比誘電率の絶対値|εZCL |が誘電体多
層膜ミラー105の複素比誘電率の絶対値|εZCM |よ
りも大きくなる。
【0066】このため、米国特許No.4127322
号に記載された空間光変調素子では、光導電効果で発生
した光導電層103の電荷から出発した電気力線が、誘
電体多層膜ミラー105を通りネマチック液晶層107
に入るときに屈折して大きく広がることになる。ただ
し、この場合、第1配向層106が誘電体多層膜ミラー
105およびネマチック液晶層107に比べて非常に薄
いため、これを無視しても差し支えないことから、誘電
体多層膜ミラー105と、ネマチック液晶層107との
間に挿入される第1配向層106の効果は、考慮してい
ない。
【0067】以上述べたことから明らかなように、表2
〜表5までの結果は、表1の条件で製作された空間光変
調素子では、ネマチック液晶層107の複素誘電率と、
誘電体多層膜ミラー105の複素誘電率との不整合のた
め、ネマチック液晶層107で解像度が大幅に低下して
しまうことを示している。
【0068】また、一般に、ネマチック液晶層107中
にある液晶の誘電率は誘電体多層膜ミラー105を構成
する低屈折率層(米国特許No.4127322号に記
載された空間光変調素子では、SiO2 膜がこれに相当
する)の誘電率よりも大きいため、ネマチック液晶層1
07と、誘電体多層膜ミラー105の比抵抗だけを定め
た空間光変調素子(米国特許No.4127322号に
記載された空間光変調素子)では、上記の不整合が多く
の場合で成立することになり、この空間光変調素子の解
像度を向上させることが困難である。
【0069】これらのことから、これら光導電層10
3、光吸収層104、誘電体多層膜ミラー105および
ネマチック液晶107の特性をいろいろの値に変更して
空間光変調素子の解像度を測定したところ、前記ネマチ
ック液晶層107によって構成される液晶光変調層11
6の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層膜ミラー1
05の複素誘電率の絶対値よりも、大きくならないよう
に、これら液晶光変調層116の複素誘電率と、誘電体
多層膜ミラー105の複素誘電率とを設定することによ
り、空間光変調素子の解像度を高くすることができるこ
とが判った。
【0070】《第1実施例の説明》図1は上述した基本
原理に基づく、本発明による複素誘電率傾斜型空間光変
調素子の第1実施例を示す構造図である。
【0071】<第1実施例の全体構成の説明>この図に
示す複素誘電率傾斜型空間光変調素子1は第1透明基板
2と、第1透明電極3と、光導電層4と、光吸収層5
と、誘電体多層膜ミラー6と、光変調層7と、第2透明
電極8と、第1反射防止膜9と、第2透明基板10と、
第2反射防止膜11とを順次、密着積層して形成した素
子であり、交流電源12によって第1透明電極3と、第
2透明電極8との間に交流電圧を印加した状態で、第1
透明基板2側に書込み光13を入射させることにより、
光導電層4の抵抗値を変化させて光変調層7に光情報を
2次元的に書込み、第2反射防止膜11側に読み出し光
14を入射させることにより、前記光変調層7に書き込
まれている情報を読み出し、これを表示光15として外
部に出射する。
【0072】<交流電源12の説明>前記交流電源12
は予め設定されている所定電圧値以上の電圧値を持つ交
流電圧、すなわち光変調層7を構成する液晶・樹脂複合
体19(図2、3、4参照)中にある液晶分子の長軸を
印加電界の方向と一致させるのに必要な交流電圧の実効
値よりも大きな実効値を持つ交流電圧値、例えば10〜
200V程度の電圧値を持つ交流電圧を生成し、これを
前記第1透明電極3と、第2透明電極8とに印加する。
【0073】<第1透明基板2の説明>また、前記第1
透明基板2はこの複素誘電率傾斜型空間光変調素子1の
基板となる平板状のガラス基板などによって構成されて
おり、その一面と光導電層4の一面との間に前記第1透
明電極3が挿入される。
【0074】<第1透明電極3の説明>第1透明電極3
は前記光導電層4の一面と、前記第1透明基板2の一面
との間に、例えばIn2 3 に5%のSnを添加して形
成した厚さ0.05μmのITO透明電極膜であり、前
記交流電源12から供給される交流電圧に基づいて前記
光導電層4に電圧を印加する。
【0075】<光導電層4の説明>光導電層4は珪素、
ゲルマニウム、炭素によって構成される群から選択され
た1つ以上の元素からなるアモルファス膜、アモルファ
スシリコン膜、水素化アモルファスシリコン膜、アモル
ファスシリコンカーバイト膜、水素化アモルファスシリ
コンカーバイト膜など、光照射によってインピーダンス
が大幅に変化する材料によって構成され、その一面に前
記光吸収層5が積層される。
【0076】また、光導電層4として、上述した材料以
外にも、例えばアモルファスセレン膜、アモルファスS
eAs膜、アモルファスZnS膜、アモルファスCdS
膜あるいはアモルファスCdSe膜なども使用すること
ができる。さらに、光導電層4として、GaAs結晶、
GaP結晶、Bi12SiO20結晶、あるいはBi12Ge
20結晶など、光照射によりインピーダンスが大幅に変
化する結晶も適している。
【0077】そのほか、光導電層4として、光導電物質
からなる粒子を樹脂中に分散した分散型光導電膜を用い
ることもできる。この場合、分散型光導電膜に用いる光
導電材料としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔
料、多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔
料、アントラキノン系顔料、インジゴ系顔料、チオイン
ジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、アゾレーキ系顔料、
チアピリリウム系色素、キナクリドン系顔料、シアニン
系色素、ピロル系顔料、ポルフィリン系顔料、アンタン
トン系顔料、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、
ZnO、TiO、CdS、あるいはCdSeなどを使用
することができる。
【0078】<光吸収層5の説明>光吸収層5はCdT
e膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、珪素と炭素とゲ
ルマニウムとから実質的に構成されたアモルファス膜に
よって構成される群から選択された1つ以上の膜、ある
いは無機顔料、有機顔料、カーボン、染料によって構成
される群から選択された1つ以上の材料を樹脂中に分散
させた樹脂複合体などで構成され、特に書込み光13や
読み出し光14を吸収しても、その比抵抗の変化が少な
く、かつ読み出し光14を特に強く吸収する材料によっ
て構成され、その一面に誘電体多層膜ミラー6が積層さ
れる。
【0079】<誘電体多層膜ミラー6の説明>誘電体多
層膜ミラー6はSiO2 膜、TiO2 膜、HfO2 膜、
Ta2 5 膜、ZnS膜、Al2 3 膜、Na2 AlF
6 膜、MgF2 膜、LaF3 膜、GdF3 膜、SmF3
膜、CeF3 膜、ZrO2 膜およびCeO2 膜によって
構成される群から、その複素誘電率の絶対値が光変調層
7の複素誘電率の絶対値よりも、少なくとも、小さくな
らないように選択された2つ以上の膜を積層した多層膜
によって構成され、その一面に前記光変調層7が積層さ
れる。
【0080】<光変調層7の説明>光変調層7は図2に
示す如くネマチック液晶、コレステリック液晶、スメク
チック液晶あるいはこれら各液晶の混合物によって構成
される群から選択された1つ以上の液晶17と、この液
晶17の常光屈折率、異常光屈折率または前記液晶17
がランダムに配向した際の屈折率のいずれかと同等な屈
折率を持ち、前記液晶17が分散される透明樹脂18と
によって構成される液晶・樹脂複合体19、または図3
に示す如く前記液晶17中に前記透明樹脂18を分散さ
せた液晶・樹脂複合体19を備えており、第1透明基板
2側から書込み光13が入射され、これが第1透明電極
3を透過して光導電層4に入射し、この光導電層4のイ
ンピーダンスが変化して光変調層7に印加される電界の
変化が変化したとき、液晶17の屈折率が変化する。そ
して、第2反射防止膜11側から読み出し光14が入射
され、これが第2透明基板10、第1反射防止膜9、第
2透明電極8を透過して入射したとき、液晶17の屈折
率に応じてこれを2次元的に変調した後、透過光を誘電
体多層膜ミラー6によって反射させ、表示光15として
出射する。
【0081】この場合、液晶・樹脂複合体19が、その
構成要素である液晶17の常光屈折率または異常光屈折
率と、透明樹脂18の屈折率とがほぼ一致している液晶
・樹脂複合体19である場合には、液晶・樹脂複合体1
9に電界が印加されていないとき、液晶17の屈折率
と、透明樹脂18の屈折率とが食い違うことから、この
液晶・樹脂複合体19に読み出し光14が入射したと
き、これが液晶・樹脂複合体19中で散乱し、また前記
液晶・樹脂複合体19に十分大きな電界が印加されてい
るとき、液晶17の屈折率と、透明樹脂18の屈折率と
がほぼ一致することから、この液晶・樹脂複合体19に
読み出し光14が入射したとき、これが液晶・樹脂複合
体19で散乱されることなく、透過する。
【0082】また、液晶・樹脂複合体19が、その構成
要素である液晶17がランダムに配向した際の屈折率
と、透明樹脂18の屈折率とがほぼ一致している液晶・
樹脂複合体19である場合には、液晶・樹脂複合体19
に電界が印加されていないとき、液晶17の屈折率と、
透明樹脂18の屈折率とが一致していることから、前記
液晶・樹脂複合体19に読み出し光14が入射したと
き、これがそのまま透過し、また前記液晶・樹脂複合体
19に十分大きな電界が印加されているとき、液晶17
の屈折率と、透明樹脂18の屈折率とが食い違うことか
ら、この液晶・樹脂複合体19に書込み光14が入射し
たとき、これが液晶・樹脂複合体19で散乱される。
【0083】このように、この第1実施例では、これら
両方の液晶・樹脂複合体19を使用することができる。
しかし、これらの各液晶・樹脂複合体19のうち、前者
の液晶・樹脂複合体19のように、液晶17の常光屈折
率または異常光屈折率と、透明樹脂18の屈折率とがほ
ぼ一致しているタイプを使用する方が望ましい。これ
は、液晶17がランダムに配向した際の屈折率と、透明
樹脂18の屈折率とがほぼ一致しているタイプの液晶・
樹脂複合体19では、液晶・樹脂複合体19全面の各部
分をマクロ的に見ると、各部分毎に、液晶17のランダ
ムな状態が異なり、光透過状態時にムラがあるように見
えるためである。これに対し、液晶17の常光屈折率ま
たは異常光屈折率と、透明樹脂18の屈折率とが一致し
ているタイプの液晶・樹脂複合体19では、電界が印加
されて液晶分子が一定の方向に配列された状態で、光透
過状態になるため、ランダム配向時に偏った配向をして
いても、ほぼ均一に光を透過することになる。また、電
界が印加されていない状態では、液晶17の分子が透明
樹脂18の壁面に配列し、ランダムに配向しているとき
と、実質的に同じ状態になる。この状態は、光散乱状態
であり、光透過状態とは異なり、わずかに屈折率がずれ
ていても、目立ち難い。したがって、光変調層7とし
て、このタイプの液晶・樹脂複合体19を使用した空間
光変調素子では、ムラになって認識されることはほとん
どない。
【0084】特に、これらの中でも、液晶17の常光屈
折率と、透明樹脂18の屈折率とがほぼ一致しているタ
イプの液晶・樹脂複合体19がその性能上、最適であ
る。
【0085】そして、この液晶・樹脂複合体19は液晶
17と、透明樹脂18を構成する材料とを混ぜ合わせて
溶液状またはラテックス状にしておいて、これを光硬
化、熱硬化、溶媒除去による硬化、反応硬化等により、
透明樹脂18と液晶17とを分離させて、図2に示すよ
うに透明樹脂18中に液晶17が粒子状に分散した状
態、もしくは図4に示すように透明樹脂18中に液晶1
7が連通状に分散した状態、あるいは図3に示すように
前記液晶17中に透明樹脂18が分散した状態にするこ
とにより、製作される。
【0086】この場合、光硬化または熱硬化タイプの透
明樹脂18は密閉系内で硬化させることができるため、
素子製作上、このタイプの透明樹脂18を使用すること
が好ましい。特に、光硬化タイプの透明樹脂18は短時
間で硬化させることができるとともに、一旦硬化した後
では、熱による影響を受け難いので、これを使用するこ
とが好ましい。
【0087】具体的な製法としては、従来のツイステッ
ドネマチック液晶と同様に、シール材を用いてセルを形
成し、注入口から液晶17となる未硬化のネマチック液
晶と、透明樹脂18となる樹脂前駆体(樹脂が硬化する
前の状態、ここでは、例えばモノマーあるいはオリゴマ
ー等の状態の総称として用いる)を封入した後、硬化さ
せることもできる。
【0088】また、本発明の液晶・樹脂複合体19の場
合、シール材を用いずに、例えば第1透明基板2上に第
1透明電極3、光導電層4、光吸収層5および誘電体多
層膜ミラー6を重ねて密着し、その上に未硬化の前記樹
脂前駆体と液晶17との混合物を塗布し、さらに第2透
明電極8、第1反射防止膜9、第2透明基板10、第2
反射防止膜11を積層後、光照射等により前記樹脂前駆
体を硬化させて、液晶・樹脂複合体19を有する複素誘
電率傾斜型空間光変調素子1を形成することもできる。
勿論、その後、周囲にシール材を塗布しても良い。この
製法によれば、単に未硬化の液晶17と、前記樹脂前駆
体との混合物をロールコート、スピンコート、印刷、デ
ィスペンサーによる塗布等で供給すれば良く、注入工程
が簡単であることから、生産性を大幅に向上させること
ができる。
【0089】また、これら未硬化の樹脂前駆体と、液晶
17との混合物には、基板間隙制御用のセラミック粒
子、プラスチック粒子、ガラス粒子、ガラス繊維等のス
ペーサ、顔料、色素、粘度調整剤、その他、本発明の性
能に悪影響を与えない添加剤を添加しても良い。
【0090】<第2透明基板10の説明>また、第2透
明基板10はこの複素誘電率傾斜型空間光変調素子1の
基板となる平板状のガラス基板などによって構成され、
その一面に第1反射防止膜9が積層されるとともに、そ
の他面に第2反射防止膜11が積層される。
【0091】<第2反射防止膜11の説明>第2反射防
止膜11はSiO2 膜、TiO2 膜、HfO2 膜、Ta
2 5 膜、ZnS膜、Na2 AlF6 膜、MgF2 膜、
CeF3 膜、ZrO2 膜、CeO2膜によって構成され
る群から選択された1つ以上の膜を積層した多層膜によ
って構成される。
【0092】<第1反射防止膜9の説明>また、第1反
射防止膜9はSiO2 膜、TiO2 膜、HfO2 膜、T
2 5膜、ZnS膜、Na2 AlF6 膜、MgF
2 膜、CeF3 膜、ZrO2 膜、CeO2 膜によって構
成される群から選択された1つ以上の膜を積層した多層
膜によって構成され、その一面に第2透明電極8が積層
される。
【0093】<第2透明電極8の説明>第2透明電極8
は前記第1反射防止膜9上に、例えばIn2 3 に5%
のSnを添加して形成した厚さ0.05μmのITO透
明電極膜であり、前記交流電源12から供給される交流
電圧に基づいて前記光変調層7に電界を印加する。
【0094】このように、この第1実施例においては、
光変調層7の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層膜
ミラー6の複素誘電率の絶対値よりも、大きくならない
ように、前記光変調層7の複素誘電率と、前記誘電体多
層膜ミラー6の複素誘電率とを設定するようにしたの
で、素子自体の解像度を大幅に向上させて、素子自体や
各光学系を大型化することなく、高精細画像を表示する
ことができ、これによって投射型ディスプレィや画像処
理装置自体を大型化することなく、かつ製作コストを増
大させることなく、画像の高精細化を達成することがで
きる。
【0095】また、この第1実施例においては、第1、
第2反射防止膜9、11を使用するようにしているが、
これら第1、第2反射防止膜9、11のいずれか一方、
あるいは両方を削除しても、この第1実施例と同様な効
果を得ることができる。
【0096】また、この第1実施例においては、第2透
明電極8と第2透明基板10との間に、第1反射防止膜
9を配置するようにしているが、第2透明電極8と第1
反射防止膜9とを入れ替えて、第1反射防止膜9と、第
2透明基板10との間に、第2透明電極8を配置するよ
うにしても、同様な効果を得ることができる。
【0097】《第2実施例の説明》図5は本発明による
複素誘電率傾斜型空間光変調素子の第2実施例を示す断
面図である。なお、この図において、図1の各部と同じ
部分には、同じ符号が付してある。
【0098】<第2実施例の全体構成の説明>この図に
示す複素誘電率傾斜型空間光変調素子1が図1に示す素
子と異なる点は、図1に示す複素誘電率傾斜型空間光変
調素子1から光吸収層5を除き、第1透明基板2と、第
1透明電極3と、光導電層4と、誘電体多層膜ミラー6
と、光変調層7と、第2透明電極8と、第1反射防止膜
9と、第2透明基板10と、第2反射防止膜11とを順
次、密着積層して形成したことである。
【0099】そして、交流電源12によって第1透明電
極3と、第2透明電極8との間に交流電圧を印加した状
態で、第1透明基板2側に書込み光13を入射させるこ
とにより、光導電層4の抵抗値を変化させて光変調層7
に光情報を2次元的に書込み、第2反射防止膜11側に
読み出し光14を入射させることにより、前記光変調層
7に書き込まれている情報を読み出し、これを表示光1
5として外部に出射する。
【0100】この場合、前記光導電層4と、前記光変調
層7の間に挿入される誘電体多層膜ミラー6の複素誘電
率の絶対値が、光変調層7の複素誘電率の絶対値より
も、少なくとも小さくならないように設定される。
【0101】このようにしても、上述した第1実施例と
同様に、素子自体の解像度を大幅に向上させて、素子自
体や各光学系を大型化することなく、高精細画像を表示
することができ、これによって投射型ディスプレィや画
像処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コスト
を増大させることなく画像の高精細化を達成することが
できる。
【0102】また、この第2実施例においては、第1、
第2反射防止膜9、11を使用するようにしているが、
これら第1、第2反射防止膜9、11のいずれか一方、
あるいは両方を削除しても、この第2実施例と同様な効
果を得ることができる。
【0103】また、この第2実施例においては、光変調
層7と、第1反射防止膜9との間に第2透明電極8を挿
入しているが、第1反射防止膜9と、第2透明電極8と
を入れ替えて、光変調層7と、第2透明電極8との間に
第1反射防止膜9を挿入するようにしても、同様な効果
を得ることができる。
【0104】《第3実施例の説明》図6は本発明による
複素誘電率傾斜型空間光変調素子の第3実施例を示す断
面図である。なお、この図において、図1の各部と同じ
部分には、同じ符号が付してある。
【0105】<第3実施例の全体構成の説明>この図に
示す複素誘電率傾斜型空間光変調素子1が図1に示す素
子と異なる点は、光変調層7として、ネマチック液晶、
コレステリック液晶、スメクチック液晶およびこれらの
ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液
晶の混合物によって構成される群から選択された1つ以
上の液晶を用いるとともに、誘電体多層膜ミラー6と光
変調層7との間に、液晶分子を配向させる第1配向層2
0を設け、さらに前記光変調層7と第2透明電極8との
間に、液晶分子を配向させる第2配向層21を設け、こ
れら第1透明基板2と、第1透明電極3と、光導電層4
と、光吸収層5と、誘電体多層膜ミラー6と、第1配向
層20と、光変調層7と、第2配向層21と、第2透明
電極8と、第1反射防止膜9と、第2透明基板10と、
第2反射防止膜11とを順次、密着積層して形成したこ
とである。
【0106】そして、交流電源12によって第1透明電
極3と、第2透明電極8との間に交流電圧を印加した状
態で、第1透明基板2側に書込み光13を入射させるこ
とにより、光導電層4の抵抗値を変化させて光変調層7
に光情報を2次元的に書込み、第2反射防止膜11側に
読み出し光14を入射させることにより、前記光変調層
7に書き込まれている情報を読み出し、これを表示光1
5として外部に出射する。
【0107】この場合、前記光導電層4と、前記光変調
層7の間に挿入される誘電体多層膜ミラー6の複素誘電
率の絶対値が、光変調層7の複素誘電率の絶対値より
も、少なくとも小さくならないように設定される。
【0108】このようにしても、上述した第1実施例と
同様に、素子自体の解像度を大幅に向上させて、素子自
体や各光学系を大型化することなく、高精細画像を表示
することができ、これによって投射型ディスプレィや画
像処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コスト
を増大させることなく画像の高精細化を達成することが
できる。
【0109】また、この第3実施例においては、第1、
第2反射防止膜9、11を使用するようにしているが、
これら第1、第2反射防止膜9、11のいずれか一方、
あるいは両方を削除しても、この第3実施例と同様な効
果を得ることができる。
【0110】また、この第3実施例においては、光変調
層7と、第1反射防止膜9との間に第2透明電極8を挿
入しているが、第1反射防止膜9と、第2透明電極8と
を入れ替えて、光変調層7と、第2透明電極8との間に
第1反射防止膜9を挿入するようにしても、同様な効果
を得ることができる。
【0111】《第4実施例の説明》図7は本発明による
複素誘電率傾斜型空間光変調素子の第4実施例を示す断
面図である。なお、この図において、図1の各部と同じ
部分には、同じ符号が付してある。
【0112】<第4実施例の全体構成の説明>この図に
示す複素誘電率傾斜型空間光変調素子1が図1に示す素
子と異なる点は、図1に示す複素誘電率傾斜型空間光変
調素子1から第1反射防止膜9と、第2透明基板10
と、第2反射防止膜11とを除くとともに、光変調層7
として、LiNbO3 、LiTaO3 、KDP、DKD
P、ADP、KTP、KNbO3、Srx Ba1-x Nb
2 6 、GaAs、InP、GaP結晶によって構成さ
れる群から選択された1つ以上の電気光学結晶を用い、
さらに光変調層7と、第2透明電極8との間に反射防止
膜22を挿入し、これら第1透明基板2と、第1透明電
極3と、光導電層4と、光吸収層5と、誘電体多層膜ミ
ラー6と、光変調層7と、反射防止膜22と、第2透明
電極8とを順次、密着積層して形成したことである。
【0113】そして、交流電源12によって第1透明電
極3と、第2透明電極8との間に交流電圧を印加した状
態で、第1透明基板2側に書込み光13を入射させるこ
とにより、光導電層4の抵抗値を変化させて光変調層7
に光情報を2次元的に書込み、第2透明電極8側に読み
出し光14を入射させることにより、前記光変調層7に
書き込まれている情報を読み出し、これを表示光15と
して外部に出射する。
【0114】この場合、前記光導電層4と、前記光変調
層7の間に挿入される誘電体多層膜ミラー6の複素誘電
率の絶対値が、光変調層7の複素誘電率の絶対値より
も、少なくとも小さくならないように設定される。
【0115】このようにしても、上述した第1実施例と
同様に、素子自体の解像度を大幅に向上させて、素子自
体や各光学系を大型化することなく、高精細画像を表示
することができ、これによって投射型ディスプレィや画
像処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コスト
を増大させることなく画像の高精細化を達成することが
できる。
【0116】また、この第4実施例においては、交流電
源12を使用して第1透明電極3と、第2透明電極8と
に交流電圧を印加するようにしているが、交流電源12
に代えて、直流電源を使用し、第1透明電極3と、第2
透明電極8とに直流電圧を印加するようにしても良い。
【0117】《第5実施例の説明》図8は本発明による
複素誘電率傾斜型空間光変調素子の第5実施例を示す断
面図である。なお、この図において、図1の各部と同じ
部分には、同じ符号が付してある。
【0118】<第5実施例の全体構成の説明>この図に
示す複素誘電率傾斜型空間光変調素子1が図1に示す素
子と異なる点は、図1に示す複素誘電率傾斜型空間光変
調素子1から第1反射防止膜9を除き、第2透明電極8
と光変調層7との間に反射防止膜23を挿入するととも
に、第2透明電極8、第2透明基板10および第2反射
防止膜11の形状を大きし、さらに光変調層7として、
LiNbO3 、LiTaO3 、KDP、DKDP、AD
P、KTP、KNbO3 、Srx Ba1-x Nb2 6
GaAs、InP、GaP結晶によって構成される群か
ら選択された1つ以上の電気光学結晶を用い、これら第
1透明基板2と、第1透明電極3と、光導電層4と、光
吸収層5と、誘電体多層膜ミラー6と、光変調層7と、
反射防止膜23と、第2透明電極8と、第2透明基板1
0と、第2反射防止膜11とを順次、密着積層して形成
したことである。
【0119】そして、交流電源12によって第1透明電
極3と、第2透明電極8との間に交流電圧を印加した状
態で、第1透明基板2側に書込み光13を入射させるこ
とにより、光導電層4の抵抗値を変化させて光変調層7
に光情報を2次元的に書込み、第2反射防止膜11側に
読み出し光14を入射させることにより、前記光変調層
7に書き込まれている情報を読み出し、これを表示光1
5として外部に出射する。
【0120】この場合、前記光導電層4と、前記光変調
層7の間に挿入される誘電体多層膜ミラー6の複素誘電
率の絶対値が、光変調層7の複素誘電率の絶対値より
も、少なくとも小さくならないように設定される。
【0121】このようにしても、上述した第1実施例と
同様に、素子自体の解像度を大幅に向上させて、素子自
体や各光学系を大型化することなく、高精細画像を表示
することができ、これによって投射型ディスプレィや画
像処理装置自体を大型化することなく、かつ製作コスト
を増大させることなく画像の高精細化を達成することが
できる。
【0122】また、この第5実施例においては、反射防
止膜23と、第2反射防止膜11とを使用するようにし
ているが、これら反射防止膜23、第2反射防止膜11
のいずれか一方、あるいは両方を削除しても、この第5
実施例と同様な効果を得ることができる。
【0123】さらに、この第5実施例においては、光変
調層7と、第2透明電極8との間に反射防止膜23を挿
入しているが、反射防止膜23と、第2透明電極8とを
入れ替えて、光変調層7と、反射防止膜23との間に第
2透明電極8を挿入するようにしても、同様な効果を得
ることができる。
【0124】《複素誘電率傾斜型空間光変調素子の動
作》次に、液晶17の常光屈折率と、透明樹脂18の屈
折率とがほぼ一致し、かつ図2の構成の液晶・樹脂複合
体19を光変調層7とする図1の複素誘電率傾斜型空間
光変調素子1を例にとり、本発明の複素誘電率傾斜型空
間変調素子の動作を説明する。
【0125】まず、書込み光13が無い場合には、複素
誘電率傾斜型空間光変調素子1に印加される電圧の大部
分が光導電層4に印加され、光変調層7である液晶・樹
脂複合体19に加わる電圧が小さいことから、透明樹脂
18の不規則な壁面に応じて、液晶17の分子が様々な
方向を向く。
【0126】このとき、液晶17がこの液晶17を囲む
透明樹脂18の屈折率と異なる屈折率を持つため、読み
出し光14が入射したとき、これが液晶・樹脂複合体1
9の中で散乱される。
【0127】次に、光導電層4側に書込み光13が入射
すると、書込み光13の強度に応じて光導電層4のイン
ピーダンスが減少し、液晶・樹脂複合体19に印加され
る電圧が増大する。そして、前記書込み光13の強度が
十分大きいとき、液晶分子の長軸が電界の印加方向を向
くことから、液晶・樹脂複合体19にほぼ垂直に入射し
た読み出し光14に対し、液晶17の中で、液晶17の
常光屈折率とほぼ同じ屈折率が与えられる。このとき、
液晶17の常光屈折率と、透明樹脂18の屈折率とが極
めて近いため、読み出し光14が散乱されずに、液晶・
樹脂複合体19中を直進し、誘電体多層膜ミラー6で反
射された後、再び液晶・樹脂複合体19を直進した後、
第2透明電極8、第1反射防止膜9、第2透明基板1
0、第2反射防止膜11を透過して複素誘電率傾斜型空
間光変調素子1の外に出射される。
【0128】《複素誘電率傾斜型空間光変調素子の使用
例》このように、本発明による複素誘電率傾斜型空間光
変調素子1は書込み光13の強度に応じて、読み出し光
14を散乱あるいは直進させるようにしているので、図
9に示す如く複素誘電率傾斜型空間光変調素子1と、レ
ンズ25と、アパーチャ26とを組み合わせ、散乱光を
アパーチャ26で遮断すれば、波長変換対象となる画像
や2次元パターンを含む書込み光13を複素誘電率傾斜
型空間光変調素子1の一面側に入射させながら、前記書
込み光13の波長と異なる波長を持つ読み出し光14を
前記複素誘電率傾斜型空間光変調素子1の他面側に入射
させることにより、前記書込み光13に含まれている画
像や2次元のデータパターンを読み出し光14の波長に
変換して、これを高いコントラスト比で表示することが
できる。
【0129】《複素誘電率傾斜型空間光変調素子の試作
例》次に、光導電層4として厚さ0.25mmのBi12
SiO20結晶板を用い、光吸収層5として厚さ1.3μ
mのダイヤモンドライクカーボン膜を用い、誘電体多層
膜ミラー6としてTiO2 膜とSiO2 膜とを交互に1
7層重ねた厚さ1.3μmの多層膜を用い、また光変調
層7で使用される液晶・樹脂複合体19として表6に示
す特性のネマチック液晶と、表7に示す特性の透明樹脂
前駆体とを1:1の重量比で混合した厚さ10μmの複
合膜を用い、第1透明電極3および第2透明電極8とし
てIn2 3 に5%のSnを添加した厚さ0.05μm
のITO透明電極膜を用い、さらに第1反射防止膜9と
してMgF2 膜を用い、第2反射防止膜11としてCe
3 膜およびZrO2 膜、MgF2 膜を用いた複素誘電
率傾斜型空間光変調素子1を例にとって、その作製方法
を詳細に述べる。
【0130】
【表6】
【表7】 まず、Bi12SiO20結晶から適当な厚さのウェハーを
切り出し、これを0.25mmの厚さに光学研磨して光
導電層4とした後、この光導電層4の一方の表面に厚さ
0.05μmのITO透明電極を蒸着して第1透明電極
3を形成する。Bi12SiO20結晶は厚いため、ここで
は第1透明基板2を省略している。
【0131】次に、メタンガスを原料としてプラズマC
VD法によりBi12SiO20結晶の他の表面に厚さ1.
3μmのダイヤモンドライクカーボン膜を形成してこれ
を光吸収層5とする。このとき得られたダイヤモンドラ
イクカーボン膜は、波長450nmの光に対して0.0
2%の透過率を示し、また、その比抵抗は2.2×10
8 Ωcmであった。
【0132】次に、イオンビームアシスト(IAD)法
を用いて前記ダイヤモンドライクカーボン膜上に、Ti
2 膜と、SiO2 膜とを交互に17層積層して厚さ
1.3μmの誘電体多層膜ミラー6を形成する。この場
合、IAD法は電子ビーム蒸着中において、蒸着膜を形
成する基板上に低エネルギーの酸素イオンを照射する成
膜法であり、低温で高屈折率・低光吸収特性を持つ薄膜
を作成することができる。そして、この誘電体多層膜ミ
ラー6を形成している最中において、基板に照射する酸
素イオンビームのエネルギーを変えることにより、誘電
体多層膜ミラー6の比抵抗を制御して、これを所望の値
にする。
【0133】上記の方法により、得られた誘電体多層膜
ミラー6は、交流電源12によって印加される交流電圧
の周波数fが300Hzのとき、1.31×107 Ωc
mから4.77×108 Ωcmの範囲の比抵抗を持ち、
かつ波長500〜590nmの光に対して、98%以上
の高反射率を示した。
【0134】次いで、第2透明基板10となるガラス基
板の前記光変調層7が積層される側に、電子ビーム蒸着
法によってMgF2 膜を形成してこれを第1反射防止膜
9とするとともに、前記ガラス基板の他方の面に、電子
ビーム蒸着法によってCeF3 膜、ZrO2 膜およびM
gF2 膜を形成してこれを第2反射防止膜11とした
後、前記第1反射防止膜9上に、In2 3 に5%のS
nを添加した厚さ0.05μmのITO層を形成してこ
れを第2透明電極8とする。
【0135】次に、表6に示す特性のネマチック液晶
と、表7に示す特性の透明樹脂前駆体とを1:1の重量
比で混合し、直径10μmのスペーサ球を適当量だけ加
えた後、この混合液を前記誘電体多層膜ミラー6と、前
記第1反射防止膜9、第2透明電極8および第2反射防
止膜11が積層されたガラス基板(第2透明基板10)
とで挟み、これに波長365nm、光強度20mW/c
2 の紫外線を照射して厚さ10μm、比抵抗2×10
10Ωcmの液晶・樹脂複合体19(光変調層7)を形成
して複素誘電率傾斜型空間光変調素子1を製作した。
【0136】《複素誘電率傾斜型空間光変調素子の画像
特性例》そして、上述したプロセスで作成された本発明
による複素誘電率傾斜型空間光変調素子1の性能と、従
来の空間光変調素子の性能とを比較するため、始めに2
群の空間光変調素子を評価した。
【0137】第1群は、第1透明電極3としてIn2
3 に5%のSnを添加した厚さ0.05μmのITO膜
を用い、光導電層4として厚さ0.25mmのBi12
iO20結晶板を用い、光吸収層5として厚さ1.3μ
m、比抵抗2.2×108 Ωcmのダイヤモンドライク
カーボン膜を用い、誘電体多層膜ミラー6としてIAD
法で作製したTiO2 膜とSiO2 膜とを交互に17層
だけ重ねた厚さ1.3μmの多層膜を用い、また光変調
層7となる液晶・樹脂複合体19として表6に示すネマ
チック液晶と、表7に示す透明樹脂前駆体とを1:1の
重量比で混合した厚さ10μmの液晶・樹脂複合膜を用
い、第2透明電極8としてIn2 3 に5%のSnを添
加した厚さ0.05μmのITO膜を用い、さらに第1
反射防止膜9としてMgF2 膜を用い、第2反射防止膜
11としてCeF3 膜、ZrO2 膜およびMgF2 膜を
用いた素子である。
【0138】一方、第2群は、第1群の空間光変調素子
から光吸収層5であるダイヤモンドライクカーボン膜を
除去した素子である。
【0139】両群とも、数個以上の空間光変調素子を有
し、駆動電圧の周波数がf=300Hzのとき、各空間
変調素子を構成する誘電体多層膜ミラー6が、1.31
×107 Ωcmから1.14×1010Ωcmの範囲内に
ある種々の比抵抗(ρM )と、56.00から6.44
1の比誘電率(εM )とを持つ。いずれも、空間光変調
素子を構成するBi12SiO20結晶板の入射面に垂直方
向の値である。これらの値と素子の駆動電圧の周波数
(f=300Hzとする)を(13)式と、(16)式
とに代入すると、各素子を構成する誘電体多層膜ミラー
6の複素比誘電率の絶対値(|εZCM |)は、表8およ
び表9に示すように、6.462から461.3の範囲
の値になる。
【0140】
【表8】
【表9】 さらに、光変調層7である液晶・樹脂複合体層は、f=
300Hzのとき、ρL =2×1010Ωcmの比抵抗
と、εL =9.5の比誘電率を持つ。これらの値と空間
光変調素子の駆動電圧の周波数(f=300Hzとす
る)を前記(15)式と、(17)式とに代入すると、
液晶・樹脂複合体層の複素比誘電率の絶対値(|εZCL
|)は、9.505となる。
【0141】両群の空間光変調素子においては、素子の
駆動電圧の周波数fが300Hzの場合、液晶・樹脂複
合体層の複素比誘電率の絶対値である|εZCL |=9.
505以上の複素比誘電率の絶対値を持つ誘電体多層膜
ミラー6で構成される空間光変調素子が本発明の複素誘
電率傾斜型空間光変調素子1に該当する。
【0142】これらの空間光変調素子を、図10に示す
光学系30内に設置してその画像特性を測定した。
【0143】この光学系30では、キセノンランプ31
および反射鏡32で構成される書込み用光源33によっ
て書込み光13を生成し、紫外線カットフィルタ34、
赤外線カットフィルタ35、400〜500nmの透過
帯域を持つカラーフィルタ36によって前記書込み光1
3を青色光に変換するとともに、レンズ37によって前
記青色光を並行光線にした後、これを解像度評価用パタ
ーン38に照射させ、レンズ39によって前記解像度評
価用パターン38を透過した書込み光(画像を含む青色
光)13を、80V(実効値)の電圧値および300H
zの繰り返し周波数を持つ矩形波電圧(交流電圧)が印
加されている測定用の空間光変調素子上に結像させる。
【0144】このとき、解像度評価用パターン38とし
て、USAF1951解像度チャートを使用し、レンズ
39を通して空間光変調素子の位置に結像したとき、1
00lp/mmまで認識することができた。
【0145】一方、キセノンランプ45および反射鏡4
6で構成される読み出し用光源47によって読み出し光
14を生成し、紫外線カットフィルタ48、赤外線カッ
トフィルタ49、500〜590nmの透過帯域を持つ
カラーフィルタ50によって前記読み出し光14を緑色
光に変換するとともに、レンズ51によって前記緑色光
を集光させながら、反射鏡52によって光路変更した
後、レンズ53によって前記読み出し光(緑色光)を空
間光変調素子に照射させる。
【0146】そして、レンズ53によってこの空間光変
調素子からの表示光15を取込み、これを集光させなが
ら、アパーチャ54によって前記表示光15に含まれて
いる散乱光を遮断し、表示画像のコントラスト比を向上
させた後、レンズ55によってスクリーン56上に対角
長2mのサイズに拡大投射させる。
【0147】以上述べた手順で、誘電体多層膜ミラー6
の複素比誘電率の絶対値(|εZCM|)が各々、異なる
各空間光変調素子の解像度を測定したところ、第1群の
各空間光変調素子について、表8に示す絶対値−解像度
特性を得ることができ、また第2群の各空間光変調素子
について、表9に示す絶対値−解像度特性を得ることが
できた。
【0148】これら表8および表9から明らかなよう
に、複素比誘電率の絶対値|εZCL |=9.505を持
つ液晶・樹脂複合体層と、この絶対値|εZCL |より大
きい複素比誘電率の絶対値|εZCM |を持つ誘電体多層
膜ミラー6で構成された本発明による複素誘電率傾斜型
空間光変調素子1は、高い解像度を示すが、前記絶対値
|εZCL |を有する液晶・樹脂複合体層と、絶対値|ε
ZCL |より小さな複素比誘電率の絶対値|εZCM |を持
つ誘電体多層膜ミラー6で構成された従来の空間光変調
素子は、低い解像度を示す。
【0149】特に、第2群を構成する各空間光変調素子
では、この傾向が一段と顕著になる。
【0150】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、請
求項1、2では、素子自体の解像度を大幅に向上させ
て、素子自体や各光学系を大型化することなく、高精細
画像を表示することができ、これによって投射型ディス
プレィや画像処理装置自体を大型化することなく、かつ
製作コストを増大させることなく画像の高精細化を達成
することができる。また、請求項3〜12では、素子を
構成する各要素を特定することにより、現存する材料に
よって請求項1、2に示す効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の第1実施例を示す構造図である。
【図2】図1に示す光変調層を構成する液晶・樹脂複合
体の一例を示す断面図である。
【図3】図1に示す光変調層を構成する液晶・樹脂複合
体の他の例を示す断面図である。
【図4】図1に示す光変調層を構成する液晶・樹脂複合
体の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の第2実施例を示す断面図である。
【図6】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の第3実施例を示す断面図である。
【図7】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の第4実施例を示す断面図である。
【図8】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の第5実施例を示す断面図である。
【図9】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素子
の使用例を示す構成図である。
【図10】本発明による複素誘電率傾斜型空間光変調素
子を含む複数の複素比誘電率の絶対値を持つ空間光変調
素子の画像特性を測定するときの光学系を示す構成図で
ある。
【図11】従来から知られている空間光変調素子の一例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 複素誘電率傾斜型空間光変調素子 2 第1透明基板 3 第1透明電極 4 光導電層 5 光吸収層 6 誘電体多層膜ミラー 7 光変調層 8 第2透明電極 9 第1反射防止膜 10 第2透明基板 11 第2反射防止膜 12 交流電源 13 書込み光 14 読み出し光 15 表示光 17 液晶 18 透明樹脂 19 液晶・樹脂複合体

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1透明電極、光導電層、光吸収層、誘
    電体多層膜ミラー、光変調層および第2透明電極を積層
    して形成され、前記第1透明電極と前記第2透明電極と
    の間に繰り返し電圧を印加しながら、前記第1透明電極
    側から入射された書込み光に基づき、前記光導電層のイ
    ンピーダンスを変化させて前記光変調層の状態を変化さ
    せ、前記第2透明電極側から入射された読み出し光を前
    記光変調層によって2次元的に変調しながら、誘電体多
    層膜ミラーによって反射して前記第2透明電極側から出
    射させる空間光変調素子において、 前記光変調層の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層
    膜ミラーの複素誘電率の絶対値よりも、大きくならない
    ように、前記光変調層の複素誘電率と、前記誘電体多層
    膜ミラーの複素誘電率とを設定する、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  2. 【請求項2】 第1透明電極、光導電層、誘電体多層膜
    ミラー、光変調層および第2透明電極を積層して形成さ
    れ、前記第1透明電極と前記第2透明電極との間に繰り
    返し電圧を印加しながら、前記第1透明電極側から入射
    された書込み光に基づき、前記光導電層のインピーダン
    スを変化させて前記光変調層の状態を変化させ、前記第
    2透明電極側から入射された読み出し光を前記光変調層
    によって2次元的に変調しながら、誘電体多層膜ミラー
    によって反射して前記第2透明電極側から出射させる空
    間光変調素子において、 前記光変調層の複素誘電率の絶対値が、前記誘電体多層
    膜ミラーの複素誘電率の絶対値よりも、大きくならない
    ように、前記光変調層の複素誘電率と、前記誘電体多層
    膜ミラーの複素誘電率とを設定する、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  3. 【請求項3】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリック
    液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、コレ
    ステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によって構
    成される群のいずれか1つ以上の液晶を選択して用い
    る、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  4. 【請求項4】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光変調層として、ネマチック液晶、コレステリック
    液晶、スメクチック液晶、これらネマチック液晶、コレ
    ステリック液晶、スメクチック液晶の混合物によって構
    成される群のいずれか1つ以上の液晶の常光屈折率、異
    常光屈折率または前記液晶がランダムに配向した際の屈
    折率のいずれかと同等の屈折率を持つ樹脂中に前記液晶
    を分散させた液晶・樹脂複合体、または前記液晶中に前
    記樹脂を分散させた液晶・樹脂複合体のいずれか一方を
    用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  5. 【請求項5】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光変調層として、LiNbO3 、LiTaO3 、K
    DP、DKDP、ADP、KTP、KNbO3 、Srx
    Ba1-x Nb2 6 、GaAs、InP、GaP結晶に
    よって構成される群から選択された1つ以上の電気光学
    結晶を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  6. 【請求項6】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光導電層として、珪素、ゲルマニウム、炭素によっ
    て構成される群のいずれか1つ以上の元素からなるアモ
    ルファス膜を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  7. 【請求項7】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光導電層として、アモルファスシリコン膜、水素化
    アモルファスシリコン膜、アモルファスシリコンカーバ
    イト膜、水素化アモルファスシリコンカーバイト膜、ア
    モルファスセレン膜、アモルファスSeAs膜、アモル
    ファスZnS膜、アモルファスCdS膜、アモルファス
    CdSe膜によって構成される群のいずれか1つ以上の
    膜を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  8. 【請求項8】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光導電層として、GaAs結晶、GaP結晶、Bi
    12SiO20結晶、Bi12GeO20結晶によって構成され
    る群から選択された1つ以上の結晶を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  9. 【請求項9】 請求項1、2のいずれかに記載の複素誘
    電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光導電層として、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔
    料、多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔
    料、アントラキノン系顔料、インジゴ系顔料、チオイン
    ジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、アゾレーキ系顔料、
    チアピリリウム系色素、キナクリドン系顔料、シアニン
    系色素、ピロル系顔料、ポルフィリン系顔料、アンタン
    トン系顔料、スクアリリウム色素、アズレニウム色素、
    ZnO、TiO、CdSあるいはCdSeを樹脂中に分
    散させた材料を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  10. 【請求項10】 請求項1、2のいずれかに記載の複素
    誘電率傾斜型空間光変調素子において、 前記光吸収層として、CdTe膜、ダイヤモンドライク
    カーボン膜、珪素と炭素とゲルマニウムとから実質的に
    構成されたアモルファス膜によって構成される群から選
    択された1つ以上の膜を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の複素誘電率傾斜型空
    間光変調素子において、 前記光吸収層として、無機顔料、有機顔料、カーボン、
    染料によって構成される群から選択された1つ以上の材
    料を樹脂中に分散させた樹脂複合体を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の複素誘電率傾斜型空
    間光変調素子において、 前記誘電体多層膜ミラーとして、SiO2 膜、TiO2
    膜、HfO2 膜、Ta2 5 膜、ZnS膜、Al2 3
    膜、Na2 AlF6 膜、MgF2 膜、LaF3膜、Gd
    3 膜、SmF3 膜、CeF3 膜、ZrO2 膜、CeO
    2 膜によって構成される群から選択された2つ以上の膜
    を積層した多層膜を用いる、 ことを特徴とする複素誘電率傾斜型空間光変調素子。
JP20174494A 1994-08-26 1994-08-26 複素誘電率傾斜型空間光変調素子 Pending JPH0862619A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115084813A (zh) * 2022-06-28 2022-09-20 上海交通大学 亚波长尺寸宽谱非互易发射/吸收器件构造方法及系统

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