JPH0862010A - 計測装置 - Google Patents

計測装置

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JPH0862010A
JPH0862010A JP6219414A JP21941494A JPH0862010A JP H0862010 A JPH0862010 A JP H0862010A JP 6219414 A JP6219414 A JP 6219414A JP 21941494 A JP21941494 A JP 21941494A JP H0862010 A JPH0862010 A JP H0862010A
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バイトクス リマンタス
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真也 角野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 流量の計測を直流ドリフトがなく、また温度
補償を行った状態で行うことのできる流量センサーを提
供する。 【構成】 ダイヤモンド薄膜13上に形成された白金薄
膜よりなる測温抵抗体12と発熱体11とを有する。そ
して、発熱体11からのパルス状の加熱に対するダイヤ
モンド薄膜13の過渡応答特性を測温抵抗体12で検出
する。測温抵抗体で検出された過渡応答特性は、CPU
107において評価される。また別に流体の温度を測温
抵抗体111で検出する。そして、前記過渡応答特性と
前記流体の温度とを用いて、流体の温度を補償した流量
値を算出する。こうして流体の温度によらない流量値を
得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜材料が受ける流体
からの熱的な影響を定量的に評価する計測装置に関す
る。例えば、以下に示す項目の少なくとも一つのことを
行う装置に関する。 (1) 流体の流量または流速の計測。 (2) 流体の熱伝導率や比熱の計測。 (3) 流体の識別。 (4) 複数の流体の混合比の計測。 (5) 流体中に含まれる物質の濃度の計測(例えば湿度の
計測)。
【0002】
【従来の技術】流量を計測する装置(流量センサー)と
して、サーミスタを利用したものが知られている。これ
は、直接あるいは間接的に加熱されたサーミスタから流
体によって熱量が奪われることによって、サーミスタ部
分の温度が低下することを利用したものである。一般に
サーミスタ部分が流体に接していると、サーミスタ部分
から奪われる熱量は、流量(または流速)に依存するた
め、サーミスタからの出力と流量とはある相関関係を持
つ。このことを利用して、サーミスタの出力より、流量
を算出することができる。
【0003】流量とは、流体の流れのなかにある一定の
面積を持つ断面を考え、この断面を通って流れる流体の
体積または質量の時間に対する割合として定義される。
一般に流れる流体の体積の時間に対する割合を体積流量
(または容積流量)といい、流れる流体の質量の時間に
対する割合を質量流量という。
【0004】体積流量は、流体の断面積と流速との積で
決まる。例えば、内径rの円形パイプ内を流速vの流体
が流れているとするならば、vπr2 が体積流量にな
る。従って、流体の断面積が分かっているのならば、流
量と流速は同時に求めることができる。
【0005】また質量流量は、体積流量と流れる流体の
密度によって表される。例えば、内径rの円形パイプ内
を密度ρの流体が流速vで流れているとするならば、ρ
vπr2 が質量流量になる。
【0006】一般にサーミスタは、大きな負の温度係数
を有する半導体のことをいう。しかし、本来サーミスタ
とは、熱に敏感な抵抗体(Thermally Sensitive Resist
or)のことであり、特に温度係数の正負や材料によって
限定されるものではない。従って、正の温度係数を有す
る白金等の金属をサーミスタと称してもよい。
【0007】サーミスタのように、温度によって抵抗が
変化する材料を用いた素子を総称して、測温抵抗体や温
度感知素子、さらには感温素子や抵抗温度計という。ま
た、温度によって抵抗が変化する材料のことをサーミス
タ機能を有する材料ということもできる。以下において
は、温度によって抵抗が変化する材料のことを測温抵抗
体という。
【0008】薄膜の測温抵抗体を用いた流量計測装置
は、境界層質量流量計またはThermalMass-Flow Meters
of the Boundary-Type と称され、Senser A Comprehens
ive Survey Volume4(W.Gopel, J.Hesse, J.N.Zemel
著、VCH(Verlagsgesellschaft mbH) 社発行(1990))
の第328 頁 9.2.3以下にその詳細が記載されている。
【0009】上記文献にも記載されている測温抵抗体を
使用した代表的な流量計測装置の概要を図10に示す。
図10に示す構成は、測温抵抗体301と302、さら
には抵抗303と304で構成されたブリッジを有して
いる。
【0010】図10に示す構成においては、2つの測温
抵抗体301と302との温度差を一定に保つために、
2つの測温抵抗体の抵抗値が微妙に調整されたものを用
いる。例えば、測温抵抗体302の抵抗値を測温抵抗体
301の抵抗値の10倍程度としたものを用いる。
【0011】実際の動作に当たっては、バイアス電流を
流すことによって測温抵抗体301と302を加熱し、
またアンプ305からのフィードバックを掛けることに
より、測温抵抗体301と302との温度差が一定なも
のとなるようにする。即ち、アンプ305を用いた適当
なフィードバックを掛けることにより、測温抵抗体30
1、302、さらには抵抗体303、304で構成され
るブリッジのバランスが常にとれる状態とする。
【0012】測温抵抗体301(抵抗値R1 )と302
(抵抗値R2 )との抵抗値の温度依存特性が同じ場合に
は、流体の温度変化に対して(R1 /R2 )の値は変化
しない。従って、ブリッジのバランスは崩れない。この
結果、アンプ305から掛かるフィードバックの値も変
化しない。
【0013】一方、流体307の流量が変化した場合に
は、そのままでは(R1 /R2 )の値は流量に従って変
化する。そこで、2つの測温抵抗体の温度差が一定とな
るように適当なフィードバックを掛けることで、図10
に示すブリッジのバランスをとることができる。
【0014】この時、アンプ305を用いて掛けられる
フィードバックの値は、流量に依存したものとなる。ま
た前述のようにこの値は流体の温度には依存しない。従
って、アンプ305の出力を検出することで、流体30
7の流量を得ることができる。
【0015】図10に示すような構成においては、計測
感度とダイナミックレンジ、さらに温度補償機能を高め
るために、2つの測温抵抗体はかなりの高温に加熱され
る。一般には、2つの測温抵抗体の温度差は数10℃〜
100℃程度となるように設定される。
【0016】上記図10に示すような流量センサーは、
実用化する際において以下に示すような問題がある。 〔従来技術の問題点その1〕高い感度やダイナミックレ
ンジを得るためには、測温抵抗体を高い温度に加熱する
必要があるが、測温抵抗体を高い温度に加熱する構造と
した場合、素子の熱的安定性を高める必要から、構造が
複雑となり、生産コストが高くなる。 〔従来技術の問題点その2〕上記第1の問題点に関係し
て、大量生産する場合における特性のバラツキが生じ易
くなってしまう。特に微妙なDCバランスをとる必要か
ら、特性の差が生じ易く、作製における許容度が極めて
小さい。 〔従来技術の問題点その3〕直流の電圧を加えて測温抵
抗体を高い温度に加熱する場合、その消費電力が大きく
なってしまう。 〔従来技術の問題点その4〕計測値の絶対値が計測時間
の経過とともにドリフトしてしまうという原理的な問題
がある。
【0017】上記の第1および第2の問題点は、測温抵
抗体の微小な熱量の移動に対する応答性が悪いことに起
因して、・測温抵抗体をできるだけ高い温度に加熱し、
計測感度およびダイナミックレンジを確保する必要があ
る。・2つその測温抵抗体間の温度差をできるだけ大き
くして、計測感度およびダイナミックレンジを確保する
必要がある。といった構成を採る必要があるために生じ
るものと考えられる。
【0018】上記第1および第2の問題点は、測温抵抗
体の感度を高める程、顕著なものとなる。即ち、計測感
度を高めようとすると、顕在化する。これは基本的に解
決困難な問題である。
【0019】上記第3の問題点は、装置全体の消費電力
を小さくしようとする場合に重要となる。特に、バッテ
リーを電源として装置を駆動しようとする場合に大きな
問題となる。この消費電力の問題を解決する方法として
は、素子そのものを極めて小さく作り、その消費電力を
小さくする方法がある。しかし、熱的な動作を行わせる
場合、その形状を小さくすることは、素子の特性のバラ
ツキが生じ易くなる原因となり、実用性が大きく低下す
ることになる。
【0020】上記第4の問題点は、図10に示すような
構成において、流体307の流量値が一定であっても、
出力される流量値が、徐々に変動してしまうという現象
である。この現象は、図10に示すようなブリッジ回路
を採用した場合、相対的な感度を確保することができて
も、計測値の絶対値を確定することができないというこ
とに起因する。この変動は直流ドリフト成分として、流
量の計測値に表れてしまい、正確な流量計測を大きく阻
害してしまう。
【0021】この直流ドリフトの問題を解決する方法と
しては、複雑な補正回路を設けたり、デジタル処理を加
えることにより補正する方法等がある。しかしこれはコ
ストの上昇や装置の信頼性低下を招くことになるため、
実用的ではない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本明細書で開示する発
明は、比較的シンプルな構成で、以下の機能を少なくと
も一つ有する装置を提供することを課題とする。 (1) 直流ドリフトが無く、また温度の影響を受けずに、
また低消費電力でもって、高感度、高ダイナミックレン
ジの流量計測を行う。 (2) 直流ドリフトが無く、また温度の影響を受けずに流
体の識別を行う。 (3) 直流ドリフトが無く、また温度の影響を受けずに複
数の流体の混合比の計測を行う。 (4) 直流ドリフトが無く、温度の影響を受けずに流体中
に含まれる物質の濃度の計測(例えば湿度の計測)を行
う。
【0023】
【課題を解決するための手段】以下において本明細書で
開示する主要な発明の構成について説明する。なお、各
発明の構成において重複する構成要素はそれぞれ同じ内
容を示す。即ち、複数の発明の構成において、同じAと
いう構成要素が存在する場合、それらは同じ技術範囲、
同じ技術内容を有する。
【0024】また、本明細書で開示する発明を構成する
各構成要素は、本明細書中において説明する具体的な例
示に限定されるものではなく、各構成要素で規定される
機能を有するものであれば、他の構成要素に置換可能で
ある。
【0025】本明細書で開示する主要な構成の一つは、
流体に接すべく配置された薄膜材料と、該薄膜材料にパ
ルス状の加熱を行う手段と、該手段による加熱に従う前
記薄膜材料の応答特性を計測する手段と、前記流体の温
度に対応した出力を得る手段と、を有することを特徴と
する。
【0026】上記構成において、薄膜材料としては、ダ
イヤモンド薄膜、窒化アルミ薄膜、立方晶窒化ホウ素薄
膜、その他高熱伝導率を有し、かつ低比熱を有する薄膜
材料を挙げることができる。特にダイヤモンド薄膜や窒
素系の硬質薄膜を用いることは有効である。
【0027】本明細書で開示する発明における流体とし
ては、気体、液体、霧状流体(噴霧化された流体、また
は固体粉体を含む気体や液体)、さらには液晶のような
材料等の流動性を有する材料を挙げることができる。
【0028】パルス状の加熱(発熱)を行う手段として
は、薄膜材料に接して設けられた抵抗発熱体を挙げるこ
とができる。抵抗発熱体としては、各種金属薄膜を用い
ることができる。抵抗発熱体をパルス状に発熱させるに
は、適当なタイミングで抵抗発熱体に所定の電圧を加え
るまたは所定の電流を流せばよい。
【0029】また上記パルス状の加熱を行う手段とし
て、一導電型の半導体を用いるのでもよい。この場合、
薄膜材料として半導体材料を用い、その薄膜中またはそ
の薄膜表面に一導電型を付与する不純物イオンをドーピ
ングすることにより、抵抗体を形成すればよい。また上
記パルス状の加熱を行う手段として、当該薄膜材料上に
一導電型を有する半導体材料で抵抗発熱体を形成するの
でもよい。
【0030】パルス状の加熱に従う薄膜材料の応答特性
を計測する手段としては、薄膜材料に接した測温抵抗体
(例えば白金薄膜)の抵抗変化を適当な電子回路で計測
する方法を挙げることができる。この場合、薄膜材料の
応答特性は、パルス状の加熱に対する薄膜材料自身の温
度変化として測温抵抗体によって計測される。
【0031】上記測温抵抗体としては、一導電型を有す
る半導体材料を用いるのでもよい。この場合、当該薄膜
材料上に、一導電型を有する半導体材料を選択的に形成
し、測温抵抗体とすればよい。また当該薄膜材料を半導
体材料で構成し、この半導体よりなる薄膜材料中または
その表面に一導電型を付与する不純物イオンを注入し、
測温抵抗体を形成してもよい。
【0032】図5に実際にダイヤモンド薄膜に対してパ
ルス状の加熱を行った場合の応答特性(ダイヤモンド薄
膜の温度変化)を示す。図5に示されるのは、ダイヤモ
ンド薄膜がパルス状の加熱によって急速に加熱され、加
熱終了後に冷却していく様子である。図5に示す波形
は、ダイヤモンド薄膜に接して配置された白金薄膜の抵
抗変化(ダイヤモンド薄膜の温度変化に対応する)をバ
イアス電流の変化として出力し、さらにI/V変換を行
うことにより、電圧変化とし、それをオシロスコープに
表示したものである。
【0033】図5に示されているのは、パルス状の加熱
に対するダイヤモンド薄膜の過渡応答特性であると理解
することができる。この過渡応答特性は、例えば当該薄
膜材料に接して流れる流体の流量に依存している。従っ
て、この過渡応答特性を定量的に評価することによっ
て、当該薄膜材料に接して流れる流体の流量を算出する
ことができる。
【0034】なお、図5においては2つの応答波形が示
されているが、それぞれの応答波形は、同じパルス状の
加熱の条件において、流量を変えた場合のものである。
応答波形の大きい方は、流量がゼロの場合のものであ
り、応答波形の小さい方は、流量がある場合のものであ
る。
【0035】この2つの応答波形の違いは、以下のよう
に考えることによって理解することができる。即ち、流
量が存在する場合は、ダイヤモンド薄膜から流体に多く
熱量が奪われるので、パルス状の加熱に際して、ダイヤ
モンド薄膜が加熱されにくく、また冷却され易い。逆
に、流量が存在しない場合は、ダイヤモンド薄膜から流
体に熱量があまり奪われないので、パルス状の加熱に際
して、ダイヤモンド薄膜が加熱され易く、また冷却され
にくい。
【0036】このパルス状の加熱に対する薄膜材料の応
答特性は、応答特性を計測する手段において、(1)パ
ルス状の加熱前に当該薄膜材料の温度に対応するパラメ
ータを積算する動作と、(2)パルス状の加熱以後に当
該薄膜材料の温度に対応するパラメータを積算する動作
と、(3)前記2つの積算値の差を算出する動作と、が
行われることによって実行される。
【0037】この動作の具体的な例を図4を用いて説明
する。図4は図5に対応するものであり、薄膜材料の温
度に対応する測温抵抗体からの出力fの時間経過に対す
る変化である。この出力fとしては、薄膜材料に接して
配置された測温抵抗体の抵抗値の変化に対応するパラメ
ータである。一般的には、このfとして、測温抵抗体の
抵抗値の変化を、測温抵抗体を流れる電流値の変化とし
て検出し、さらにI/V変換を施すことにより電圧変化
とした値が用いられる。
【0038】まずパルス状の加熱が行われる以前である
0 からt0 +Δt0 の間において、出力fを積算す
る。この積算は、下記〔数式1〕で示される。この〔数
式1〕で計算される値は、図4の斜線部41の面積に対
応する。以上が上記(1)の動作に対応する。
【0039】
【数1】
【0040】次にt1 からt1 +Δt1 の時間の間に行
われるパルス状の加熱に従う薄膜材料の温度変化(42
で示されるように急速にその温度が上昇し、43で示さ
れるように冷却される)をt2 からt2 +Δt2 の時間
において積算する。この積算は、下記〔数式2〕で示さ
れる。以上が上記(2)の動作に対応する。
【0041】
【数2】
【0042】次に〔数式1〕の演算の結果と〔数式2〕
の演算の結果との差を下記〔数式3〕で示される数式に
従って算出する。この〔数式3〕の演算の結果は、図4
の斜線部44の面積に対応する。以上が上記(3)の動
作に相当する。
【0043】
【数3】
【0044】上記(1)〜(3)の動作を行うことで、
パルス状の加熱に対する薄膜材料の応答特性を正確に評
価することができる。即ち、(1)の動作を行うこと
で、パルス状の加熱が行われる毎に、常にパルス状の加
熱直前におけるダイヤモンド薄膜の温度を基準として確
定させることになるので、計測されるパルス状の加熱に
際する薄膜材料の過渡応答特性には、直流ドリフト成分
が含まれないものとすることができる。この過渡応答特
性の計測値は、図4の斜線部44で示される領域の面積
に対応する。
【0045】この過渡応答特性の評価結果(〔数式3〕
の演算結果)は、例えば流体の流量や流体の温度、さら
には流体の種類や不純物濃度に関する情報を含んでい
る。
【0046】「前記流体の温度に対応した出力を得る手
段」というのは、被計測対象である流体の温度を計測す
る機能を有する手段のことであり、例えば適当な温度計
として機能する手段である。具体的には、公知の測温抵
抗体(一般に各種サーミスタとして市販されている)を
用いることができる。
【0047】以上説明した構成の具体的な例を図1及び
図2に示す。図1及び図2において、13が流体202
に接すべく配置された薄膜材料(この場合は多結晶ダイ
ヤモンド薄膜)である。11がダイヤモンド薄膜13に
パルス状の加熱を行う手段(抵抗発熱体)であり、ここ
ではダイヤモンド薄膜表面に形成された白金薄膜で構成
されている。発熱体11から行われるパルス状の加熱に
対するダイヤモンド薄膜13の応答特性は、アンプ10
5で増幅され、A/Dコンバータ106でデジタル信号
に変換され、CPU107において処理される。
【0048】これらアンプ105、A/Dコンバータ1
06、CPU107は、ダイヤモンド薄膜13の応答特
性を計測する手段を構成しているといえる。そしてこの
CPU107において、〔数式1〕〜〔数式3〕に示す
ような演算が行われる。ここでは、応答特性を計測する
手段として、アンプ105、A/Dコンバータ106、
CPU107でなる構成を挙げたが、他に半導体メモリ
ーや必要とする構成を付加することができる。またこの
応答特性を計測する手段としては、図1及び図2に示す
構成と同様の機能を果たすことのできる構成を採用する
のでもよい。
【0049】なお111は流体に接した測温抵抗体であ
り、流体202の温度に対応した出力を得る手段を構成
している。この測温抵抗体111からの出力と、〔数式
3〕の結果とを用いて、CPU107において所定の演
算が行われ、流体の温度に対する温度補償が成された流
量計測値が算出される。
【0050】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、を有し、前記応答特性を評価する手
段は、流体および/または計測環境の温度に対する温度
補償機能を有することを特徴とする。
【0051】上記構成において、温度補償機能というの
は、目的とする計測を行う場合に、温度の影響を排除す
る機能、または温度の影響を受けない計測値を得る機
能、または温度の影響を受けた計測値を適性なものに補
正する機能、として定義することができる。
【0052】この温度補償機能の詳細については後述す
る。また、上記応答特性を評価する手段で行われる評価
方法(動作方法または動作形態)についても後述する。
【0053】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、該手段で計測された応答特性を評価
する手段と、を有し、前記パルス状の加熱を行う手段
は、流体および/または計測環境の温度に対応した温度
補償機能を有することを特徴とする。
【0054】上記構成において、パルス状の加熱を行う
手段が流体および/または計測環境の温度に対応した温
度補償機能を有するというのは、この加熱手段が温度の
影響に依らない、または温度の影響を大きく受けない応
答特性(パルス状の加熱に対する薄膜材料の過渡応答特
性)が得られるように加熱を行う機能を有するというこ
とを意味する。
【0055】このような温度補償機能の例としては、パ
ルス状の加熱(発熱)を行う手段としてコンスタンタン
等の温度による抵抗の変化の極力小さい材料を用いる例
を挙げることができる。このような温度による抵抗の変
化が極力小さい材料としては、その抵抗値の変化が使用
温度範囲内において、10ppm以下であることが好ま
しい。
【0056】このように温度に対する抵抗値の変化が極
力少ない材料をパルス状の加熱を行う手段として用いた
場合、パルス状の加熱に際して、流体の温度変化にほと
んど寄らずに一定の熱量で加熱を行うことができる。そ
して、流体の温度変化の影響を大きく低減して流量計測
を行うことができる。(この点については〔作用の項〕
で詳述する)
【0057】また流体の温度に寄らず、一定の熱量で薄
膜材料を加熱する方法としては、レーザー光を当該薄膜
材料に照射する方法を挙げることができる。この場合、
レーザー光の発振装置が温度変化の影響を受けない、ま
たは受けにくいものであるならば、常に一定の熱量をパ
ルス状の加熱に際して当該薄膜材料に供給することがで
きる。
【0058】また上記パルス状の加熱を行う手段が有す
る温度補償機能として、発熱体が発熱する熱量を流体お
よび/または計測環境の温度に従って変化させる構成を
挙げることができる。例えば、流体の温度を検出する測
温抵抗体からの出力を適当なゲイン調整を施して発熱体
にフィードバックさせ、発熱体からの発熱量を流体の温
度に対応させて変化させる構成や、流体の温度を検出す
る測温抵抗体からの出力に基づいて、CPUにおいて抵
抗発熱体に供給する電圧を決定し、この抵抗発熱体から
の発熱量を流体の温度に従って変化させる機能を挙げる
ことができる。
【0059】例えば、図11に示す構成のように、流体
に接した測温抵抗体111の出力を参照して発熱体11
を制御する電圧をCPU107において決定する構成を
挙げることができる。
【0060】上記構成は、前述の発熱体の発熱量または
発熱体からの薄膜材料へ供給する熱量を一定なものとす
るという構成と一件矛盾する。しかし、これらは温度補
償を行うための異なるアプローチであり、程度の差はあ
れ、共に効果が得られる構成である。なお、温度補償機
能としてより効果的なのは、後者の発熱体が発熱する熱
量を流体および/または計測環境の温度に従って変化さ
せる構成である。
【0061】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、前記流体の温度に対応した出力を得
る手段と、前記応答特性と前記流体の温度に対応した出
力とから前記流体に関する情報を得る手段と、を有する
ことを特徴とする。
【0062】上記構成において、「前記応答特性と前記
流体の温度に対応した出力とから前記流体に関する情報
を得る手段」というのは、流体の温度に対応した出力を
参照することで、温度補償がなされた形で流体に関する
情報を得る機能を有する。流体に関する情報としては、
流体の流量や流速に関するもの、流体の種類に関するも
の、2種類の流体が混合した流体の混合比に関するも
の、流体中の不純物の有無やその濃度に関するもの等を
挙げることができる。
【0063】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、を有し、前記パルス状の加熱を行う
手段は、流体および/または計測環境の温度変化に依存
せずに一定の熱量を供給する機能を有することを特徴と
する計測装置。
【0064】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、前記発熱体の発熱量を制御するパラ
メータを流体および/または計測環境の温度変化に対応
させて変化させる手段と、を有し、前記応答特性を計測
する手段は温度補償を行う機能を有することを特徴とす
る。
【0065】上記構成において、発熱体の発熱量を制御
するパラメータを流体および/または計測環境の温度変
化に対応させて変化させる手段としては、図8に示すよ
うな構成を挙げることができる。図8に示す構成におい
ては、白金薄膜よりなる抵抗発熱体811に供給する電
圧を同じく白金薄膜よりなる測温抵抗体804の抵抗値
の変化(この抵抗値の変化はブリッジ2の出力変化とな
る)によって制御する構成となっている。
【0066】測温抵抗体804は流体に接して配置され
たダイヤモンド薄膜805の表面に形成されており、流
体の温度に対応してその抵抗値が変化する。そしてその
抵抗変化は、ブリッジ2にアンバランスを生じさせる。
このブリッジ2のアンバランス(ブリッジ2の出力とい
うこととする)はアンプ812で電圧増幅され、ダイヤ
モンド薄膜809の表面に形成された発熱体811を駆
動する。この際、発熱体811に供給される電圧は、測
温抵抗体804が検出する流体の温度を反映したものと
なる。即ち、発熱体811には、流体の温度に対応した
電圧(発熱体811の発熱量を制御するパラメータ)が
供給されることとなる。
【0067】また図8に示す構成においては、CPU8
15によって、発熱体811からのパルス状の加熱に対
するダイヤモンド薄膜809の応答特性が計測される。
この応答特性の計測は、前述した図4に示す方法によ
る。さらにCPU815においては、この応答特性の計
測値(応答特性を定量的に評価した結果)と流体の温度
に対応した抵抗値変化を示す測温抵抗体819からの出
力とを用いて、流体の温度を補償した形で流量値の算出
がなされる。
【0068】また、発熱体の発熱量を制御するパラメー
タを流体および/または計測環境の温度変化に対応させ
て変化させる手段としては、図11及び図12に示す構
成を挙げることができる。図11及び図12に示す構成
においては、測温抵抗体111で検出される流体202
の温度と、メモリー1102に記憶されている情報とに
基づいて、CPU107によって、発熱体11に供給さ
れる電圧が制御される。
【0069】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、流体および/または計測環境の温度
に対する温度補償を行い前記応答特性から前記流体の流
量または流速を算出する手段と、を有することを特徴と
する。
【0070】上記構成における「流体および/または計
測環境の温度に対する温度補償を行い前記応答特性から
前記流体の流量または流速を算出する手段」としては、
図1に示す構成を挙げることができる。図1及び図2に
示す構成においては、ダイヤモンド薄膜13のパルス状
の加熱に対する応答特性の評価結果(前述した図4に示
す方法によってCPU107で行われる)と、流体20
2に接して配置された測温抵抗体111の抵抗変化とに
基づいて、CPU107において、流体202の温度を
補償した形で流体202の流量が算出される。
【0071】なお測温抵抗体111の代わりにまたはそ
れに加えて、計測環境の温度を検出するように別の測温
抵抗体を配置することで、計測環境の温度に対する補償
をも行う構成とすることもできる。
【0072】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、前記応答特性から前記流体の流量ま
たは流速を算出する手段と、を有し、前記流量または流
速を算出する手段は、流体および/または計測環境の温
度に対する温度補償機能を有することを特徴とする。
【0073】上記構成における「流量または流速を算出
する手段は、流体および/または計測環境の温度に対す
る温度補償機能を有する」という構成としては、例えば
図1及び図2に示す構成を挙げることができる。
【0074】図1及び図2に示す構成においては、CP
U107において、流体202の温度に対応した抵抗変
化を行う測温抵抗体111の抵抗変化と、発熱体11に
よるパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜13の応
答特性とに基づいて、流体202の温度を補償した形で
流体202の流量が算出される。
【0075】他の発明の構成は、流体に接すべく配置さ
れた薄膜材料と、該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手
段と、該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性
を計測する手段と、被計測パラメータが一定または概略
一定または一定の範囲内または概略一定の範囲内となる
ようにする手段と、を有することを特徴とする。
【0076】上記構成において、被計測パラメータとし
ては、流体の流量に関係するもの、流体の種類に関係す
るもの、流体に含まれる特定の成分の割合に関するも
の、2種類の流体の混合比に関するもの、流体を空気と
してその湿度に関するもの等を挙げることができる。
【0077】上記構成において、「被計測パラメータが
一定または概略一定の状態において、前記応答特性が一
定または概略一定または一定の範囲内または概略一定の
範囲内となるようにする手段」としては、図11に示す
構成を挙げることができる。図11においては、被計測
パラメータとして流体の流量が採用される。図11に示
す構成においては、少なくとも測温抵抗体111とCP
U107と半導体メモリー1102とでもって、上記手
段が構成されている。
【0078】半導体メモリーには、ダイヤモンド薄膜1
3に接して流れる流体の流量(被計測パラメータとな
る)が一定の値Fi (例えば流量0)の場合において、
発熱体11からのパルス状の加熱に際するダイヤモンド
薄膜の応答特性(図4の44で示される面積として評価
される)Si が一定となるような、測温抵抗体で検出さ
れる流体の温度Tn と発熱体11(抵抗発熱体)に供給
される電圧Vn との組み合わせが記憶されている。この
記憶内容は例えば下記表5で示される。
【0079】
【表5】
【0080】表5の意味するところは、測温抵抗体11
1が検出した流体の温度Tn に対して、対応する電圧V
n でもって、発熱体11を加熱すれば、所定の流量Fi
に対して常に一定の応答特性Si が得られるということ
である。
【0081】また別な見方をすれば、所定の流量に対し
て一定に応答特性を得るためには、表5に示されるよう
に流体の温度Ti の値に対応した電圧Vi で発熱体11
に電圧を供給すればよいということである。
【0082】即ち、表5に示されるデータに従って、発
熱体11を所定の電圧Vn で発熱させることによって、
流体の温度Tn に寄らずに、被計測パラメータが一定ま
たは概略一定の状態において、パルス状の加熱に対する
ダイヤモンド薄膜の応答特性を一定または概略一定とな
るようにすることができる。
【0083】この結果、パルス状の加熱に対するダイヤ
モンド薄膜の応答特性が流量に対応したものとなり、温
度補償を行った状態で流量の計測を行うことができる。
【0084】ここで例示する図11に示す構成において
は、Tn として流体の温度を使用している。しかし、計
測環境の温度の影響が支配的であるならば、Tn として
計測環境の温度を使用してもよい。また、流体の温度と
計測環境の両方の温度を用いてもよい。
【0085】ここでは、流体の温度変化に対して補償を
行う構成を挙げて説明を行った。しかし、補償の対象を
流体の温度ではなく、流体の圧力等の他のパラメータと
することも可能である。この場合、表5に示すようなデ
ータとして、流体の圧力等の他のパラメータの値(表5
のTi に対応する)に対して、どの様な値の電圧を発熱
体11に加えればよいかというデータを予め求め、半導
体メモリー1102に記憶させておけばよい。また測温
抵抗体111の代わりに圧力センサーを配置すればよ
い。
【0086】パルス状の加熱に対する薄膜材料の応答特
性を一定なものとする手段としては、パルス状の加熱を
行う手段の発熱量を制御する方法を挙げることができ
る。この方法の具体的な例としては、パルス状の加熱を
行う手段として、当該薄膜材料に接して配置された抵抗
発熱体を用い、この発熱体が発生する発熱量を加える電
圧を変化させることによって制御する例を挙げることが
できる。
【0087】また、パルス状の加熱に対する薄膜材料の
応答特性を一定なものとする手段としては、パルス状の
加熱を行う手段が当該薄膜材料に供給する熱量を変化さ
せるパラメータを制御する方法を挙げることができる。
【0088】このパラメータを制御する方法の1例とし
ては、パルス状の加熱を行う手段として、当該薄膜材料
に接して配置された抵抗発熱体を用い、この発熱体に供
給する電圧を制御する例を挙げることができる。
【0089】また上記パラメータを制御する方法の他の
例としては、パルス状の加熱を行う手段として、当該薄
膜材料にレーザー光を照射する手段を用い、このレーザ
ー光の照射エネルギー密度を制御する構成を挙げること
ができる。
【0090】以上説明した本明細書で開示する主要な発
明の構成において用いられる薄膜材料としては、気相法
(CVD法)で成膜されるダイヤモンド薄膜を用いるこ
とが最も好ましい。ダイヤモンド薄膜は他の諸材料に比
較して熱伝導率が高く、また比熱が小さいので、パルス
状の加熱に対して高感度に応答する。また、本明細書で
開示する発明に用いられる程度のダイヤモンド薄膜(即
ち、単結晶でなくてもよいという意味)の場合、その作
製方法が確立されており、産業的に大きな困難はないと
いう有用性がある。
【0091】後述の実施例で詳述するように、実際に本
明細書で開示する発明を用いて流量計測センサーを作製
した場合、ダイヤモンド薄膜を当該薄膜材料として用い
ることで、顕著な効果を得ることができる。
【0092】ダイヤモンド薄膜以外に利用できる材料と
しては、窒化アルミニウムや立方晶窒化ホウ素を用いる
ことが有用であるが、作製が困難であるという問題があ
る。また単結晶珪素や炭化珪素を用いることもできる
が、計測精度や流量を計測する場合の計測範囲(ダイナ
ミックレンジ)が狭くなるという難点がある。
【0093】本明細書で開示する発明において用いるこ
とのできるい薄膜材料としては、下記〔数式11〕で示
される時定数τが0.2 ミリ秒以下であることが望まし
い。この条件を満足することで、熱伝導率が1000
(Wm/K)の多結晶ダイヤモンド薄膜を用いた場合と
同程度以上の特性を有する流量計測装置を得ることがで
きる。
【0094】
【数11】
【0095】上記〔数式11〕で求められる時定数τ
は、薄膜の測温抵抗体センサーが熱的に応答する時間を
定量的に評価するためのパラメータであり、Sensors an
d Actuators,A21-A23(1990)425-430に記載されている計
算式である。
【0096】本発明者らの知見によれば、この〔数式1
1〕は薄膜材料が加熱に際してどれほどの時間で応答す
るかを示す目安として利用することができる。即ち、
〔数式11〕に示される時定数τが小さい程、薄膜材料
が加熱に対して速い速度で応答するものと理解すること
ができる。またこの時定数τが小さい程、周囲の熱的な
影響を受けやすいものと理解することができる。即ち、
この時定数τが小さい程、熱的に敏感であると考えるこ
とができる。
【0097】上記〔数式11〕で示される時定数が各種
材料においてどのような値をとるか調べたものを下記表
4に示す。
【0098】
【表4】
【0099】上記表4に示されるのは、各種薄膜材料の
300Kにおける物性値に基づいて、上記〔数式11〕
で示される時定数を計算した結果である。なお各材料の
物性値は、できる限り薄膜材料のものを用いている。な
お立法晶窒化ホウ素の物性値は、理想的な値であり、実
際に得られる値(実際に立法晶窒化ホウ素の薄膜を得る
ことは困難である)とは異なる値である。実際に得られ
る立法晶窒化ホウ素薄膜の時定数τはさらに大きなもの
になると考えられる。
【0100】後に実施例で詳述するように、本明細書で
開示する発明における薄膜材料として、ダイヤモンド薄
膜を用いた場合、流量センサーとして顕著な特性を得る
ことができることが判明している。ダイヤモンド薄膜を
用いた場合に顕著な特性を得ることができるのは、上記
〔数11〕によって算出される時定数τが、上記〔表
4〕に示されるように、他の薄膜材料に比較して顕著に
小さいことに起因するためであると考えられる。
【0101】即ち、〔表4〕に示される時定数が小さい
ということは、それだけ周囲の熱的な影響を受けやすい
ので、パルス状の加熱に対する薄膜材料の応答特性にこ
の周囲の熱的な影響が反映されやすく、例えば流量の微
小の変化がこの応答特性に正確に表れると考えることが
できる。
【0102】このことは、ジルコニウム等の薄膜材料を
用いて図4や図5に示すようなパルス状の加熱に対する
応答特性を観察した場合、流量の変化や温度の変化に対
する応答波形の変化の割合がダイヤモンド薄膜を用いた
場合に比較して小さい(即ち感度が低い)という実験事
実からも基礎付けられる。
【0103】以上のことより、表4に示される時定数が
小さい材料を用いた場合程、特性のよい流量センサーを
得ることができると結論される。例えば、CVD法で形
成された多結晶ダイヤモンド薄膜の場合の時定数τと同
程度以下の時定数τを有する薄膜材料を用いた場合、後
述の実施例で示す場合と同様な特性を得ることができ
る。
【0104】またこのことは、流量センサーに限らず、
ガスセンサー等においてもいえることである。
【0105】また、経済性等の観点から考えた場合、単
結晶シリコンや炭化珪素を用いることが有用である。こ
の場合、ダイヤモンド薄膜を用いた場合に比較して、計
測精度や感度が低下するというデメリットがあるが、作
製のし易さや材料の入手のし易さというメリットを得る
ことができる。
【0106】本発明者らの知見によれば、時定数τが2
ミリ秒以下である薄膜材料を用いることによって、ダイ
ヤモンド薄膜を用いた場合よりはその特性が低下する
が、十分実用性の高い流量センサーさらにはガスセンサ
ーを得ることができる。このような要求を満足する薄膜
材料としては、前述の表4から明らかなように、単結晶
シリコンや炭化珪素、さらには窒化アルミを用いること
ができる。このような材料を用いた場合には、ダイヤモ
ンド薄膜を用いた場合に次ぐ特性を有するセンサー(こ
こでいうセンサーは、流量センサーはガスセンサーをも
含む広義の意味を有する)を得ることができる。
【0107】以上述べたように、時定数τが2ミリ秒以
下、好ましくは0.2 ミリ秒以下の薄膜材料を用いること
で、高性能なセンサーを得ることができる。なお、薄膜
材料の応答特性を検出する手段として、当該薄膜材料に
接して配置された測温抵抗体を用いる場合には、薄膜材
料が半導体または絶縁体であることが望ましい。なお当
該薄膜材料として、半導体材料を用いた場合には、当該
薄膜材料中やその表面に発熱体や測温抵抗体を一導電型
を有する半導体層で形成することができる。
【0108】薄膜材料として導体を用い、パルス状の加
熱に対する応答特性を計測する手段として測温抵抗体を
用いた場合には、当該薄膜材料の表面に絶縁膜を形成す
る必要がある。しかし、当該薄膜材料の温度変化を測温
抵抗体以外の計測手段(例えばサーモグラフィのような
手段)で計測する場合には、当該薄膜材料としてそのま
ま導体を用いることができる。
【0109】
【作用】パルス状の加熱に従う薄膜材料の(過渡)応答
特性を評価することで、例えば流量の計測を行うことが
できる。薄膜材料を流体に接しさせた場合、流体と薄膜
材料の間には、流体の流量に従った熱的な相互作用が存
在する。この相互作用は薄膜材料に対してある熱的な影
響を与えている。例えば、流量が大きい場合には、一定
加熱後における薄膜材料の冷却が速く進みやすく、流量
が小さい場合には、一定加熱後における薄膜材料の冷却
は進みにくい。
【0110】薄膜材料に対して所定のパルス状の加熱を
行った場合、薄膜材料はパルス状の加熱に従って急速に
加熱され、そして冷却される。この場合、この加熱の状
態(薄膜材料の温度上昇の状態)と冷却の状態(薄膜材
料の温度下降の状態)は、例えば先の当該薄膜材料に接
して流れる流体の流量に大きく影響されることになる。
このパルス状の加熱に対する薄膜材料の加熱の状態と冷
却の状態は、薄膜材料のパルス状の加熱に対する過渡応
答特性ということができる。
【0111】この過渡応答特性は、パルス状の加熱を行
う直前における薄膜材料の温度からの変化分(当該薄膜
材料の温度変化分)のみが問題となるので、パルス状の
加熱直前における薄膜材料の温度(この温度は、少なか
らず変動している)の影響をほとんど受けない。
【0112】従ってこの過渡応答特性を評価すること
で、直流ドリフト成分を含まない計測値を得ることがで
きる。例えば、流量の計測において、直流ドリフト成分
が計測値に表れない計測値を得ることができる。
【0113】またこの過渡応答特性は、薄膜材料に衝突
する流体を構成する分子の数と速度とに関係するものと
理解することができる。従って、本明細書中における流
量とは、質量流量を意味するものと理解することができ
る。
【0114】また、パルス状の加熱を行う手段が有する
温度補償機能として、温度変化に対する抵抗変化の無い
材料(あるいはほとんどない材料(例:コンスタンタ
ン))を用いた場合、以下のような理由で温度補償を行
うことができる。なおここでは、温度によって流体の熱
的な性質が変化せず、また薄膜材料の熱的な性質も変化
しないものと仮定する。(現実には、流体の諸パラメー
タは温度によって変化するので、上記仮定を前提とした
考察は、近似的なものとなる)
【0115】この場合、加熱に要する電圧または電流、
そして電圧を加える時間または電流を流す時間を定めら
れたものとすれば、発熱体はおかれた環境の温度に依ら
ずほぼ一定の熱量を発熱することになる。従って、薄膜
材料には、パルス状の加熱に際して、流体の温度に依存
しない(またはほとんど依存しない)熱量が供給される
ことになる。
【0116】この場合、流量に変化がないのならば、薄
膜材料は流体の温度に対して常に一定の温度差を有する
温度まで加熱されることになる。勿論これは、薄膜材料
に供給される熱量が決まっていれば、薄膜材料の比熱と
質量と形状とで薄膜材料の到達温度(加熱される温度)
が決まると考えた場合に成り立つ近似である。
【0117】この場合、パルス状の加熱に対する薄膜材
料の応答特性は、流体の温度には大きく依存しておら
ず、流体の流量に依存したものとなる。よってパルス状
の加熱に対する薄膜材料の応答特性を評価することによ
って、流体の温度の影響を大きく低減させて、流量値の
計測を行うことができる。即ち、温度補償を行いつつ流
量の計測を行うことができる。なお、以上の議論は、前
述の仮定(流体の諸パラメータが温度によって変化しな
いという仮定)に基づくものであり、完全な温度補償が
行えるものでない。また、実際には、CPUの動作速
度、回路を構成する抵抗の抵抗値、アンプの特性等々も
温度によって変化するので、さらに高い精度で計測を行
う場合には、その影響をも補償する必要がある。
【0118】一方、パルス状の加熱を行う手段が有する
温度補償機能として、発熱体が発熱する熱量を流体およ
び/または計測環境の温度に従って変化させる構成を挙
げることができる。この場合、流体の温度の変化に従う
諸パラメータ(粘性や密度や熱伝導率等)や温度変化に
対する回路の諸定数の変化の影響をある程度補償するこ
とができる。ここでいう回路の所定数とは、CPUの動
作速度や抵抗の抵抗値、さらにはアンプのゲイン等のこ
とをいう。
【0119】この構成の場合、流体および/または計測
環境の温度変化に対する流体のパラメータの変化と回路
の諸定数の値の変化に対応して、パルス状の加熱に際し
て薄膜材料に供給される熱量を変化させる。即ち、流量
一定の条件において、流体の温度および/または計測環
境の温度変化に対して、図4,図5に示す応答特性の波
形の面積が一定なものとなるように、発熱体に加える電
圧や電流を制御する。すると、前述の諸パラメータの変
化の影響が図4,図5に示す応答特性に表れない、また
はその影響を極力小さくできる状況を実現することがで
きる。
【0120】また図1及び図2に示すように、流体20
2の温度を測温抵抗体111で検出し、このデータと、
ダイヤモンド薄膜13の発熱体11によるパルス状の加
熱に従う応答特性をCPU107において、図4に示す
方法によって評価したデータとを用いることによって、
流体202の温度を補償した形で流体202の流量を算
出することができる。
【0121】また被計測パラメータ(例えば流量)一定
の条件において、流体および/または計測環境の温度の
変化に対して、図4の面積44で示されるようなパルス
状の加熱に対する薄膜材料の応答特性を、一定または概
略一定または一定の範囲内または概略一定の範囲内とす
ることによって、前記応答特性を流体および/または計
測環境の温度に依らない、またはその影響を大きく排除
したものとすることができる。
【0122】この結果、前記応答特性を被計測パラメー
タに対応したものとすることができる。そして例えば、
精度の高い温度補償を行いつつ流量の計測を行うことが
できる。
【0123】また、本明細書で開示される発明に用いら
れる薄膜材料としては、下記〔数式11〕で示される時
定数が5ms以下、好ましくは1ms以下の薄膜材料を
用いることが有用である。このような薄膜材料を用いる
ことで、高感度、高ダイナミックレンジを有するセンサ
ー(例えば流量センサー)を得ることができる。特に、
薄膜材料として、上記時定数τが1ms以下の材料を用
いることで、 ・極めて広いダイナミックレンジを有する。 ・極めて高い感度を有する。 ・消費電力を低く抑えることができる。 といった有意性を有するセンサー(例えば流量センサ
ー)を得ることができる。
【0124】
【実施例】
〔実施例1〕図3に本明細書で開示する発明を実施する
場合に必要とされる流量計測素子(基本的なセンサーユ
ニット)の一例を示す。図3において、13は有磁場マ
イクロ波CVD法を用いて気相合成した5μm厚で3×
5mmの大きさを有する多結晶ダイヤモンド薄膜であ
る。12はスパッタリング法で形成された0.1μm厚
の白金の測温抵抗体である。11は同じくスパッタリン
グ法で形成された0.1μm厚の白金の発熱抵抗体であ
る。10と15がそれらの電極であり、17はボンディ
ング用の金ワイヤである。18はダイヤモンド薄膜13
を保持するテフロン製の基体である。測温抵抗体12と
発熱体11とは、その抵抗が異なるだけである。ここで
は、測温抵抗体12の抵抗が約1KΩ、発熱体11の抵
抗が約100Ωである。
【0125】図3に示す流量計測素子は、ダイヤモンド
薄膜13がテフロンの基体18に保持された構成を有し
ている。これは、ダイヤモンド薄膜13が流体以外とは
熱的に絶縁されるようにするためである。このように当
該薄膜材料(この場合はダイヤモンド薄膜)を熱的に絶
縁して保持することによって、当該薄膜材料から流体以
外に熱が流失しない構造とすることができ、流体と薄膜
材料の熱的な相互作用を正確に評価することができる。
【0126】以下にダイヤモンド薄膜を作製する方法を
示す。ここで示すダイヤモンド薄膜の作製法は、高密度
プラズマを用いた気相合成方法である。ここでは、有磁
場マイクロ波プラズマCVD法を用いてダイヤモンド薄
膜を作製する例を示す。有磁場マイクロ波プラズマCV
D法は、強力な磁場とマイクロ波の相互作用を用いてダ
イヤモンド薄膜の気相合成を行う方法である。
【0127】成膜条件を以下に示す。 基板温度 800℃ 反応圧力 0.25Torr マイクロ波電力 4KW(2.45GHz) 反応ガス CH3 OH:H2 =1:4 成膜時間 10時間 膜厚 5μm 基板 単結晶シリコンウエハー 上記の条件で単結晶シリコンウエハー上に気相合成され
るダイヤモンド薄膜は多結晶構造を有している。またこ
の多結晶ダイヤモンド薄膜の熱伝導率は1000(W/
mK)程度である。
【0128】ここでは、有磁場マイクロ波CVD法を用
いた例を示したが、他の気相合成法を用いてダイヤモン
ド薄膜を得てもよい。また気相合成法以外の方法を用い
てダイヤモンド薄膜を得るのでもよい。またダイヤモン
ド薄膜中の不純物濃度は極力小さくした方がよい。これ
は、ダイヤモンド薄膜中の不純物濃度が小さい程、その
比熱が小さく、またその熱伝導率が大きいからである。
【0129】以下において、図3に示す流量計測素子を
用いた流量計測システムを示す。図1にシステム全体の
ブロック図を示す。また図2にシステム全体の概略の構
成を示す。図1は図2に示すシステム全体の概要のブロ
ック図を示すものである。図1及び図2において、1
2、102、103、104で示される抵抗体はブリッ
ジ回路を構成している。抵抗体12と102とは、それ
ぞれダイヤモンド薄膜13、101の表面に形成された
白金薄膜で構成されている。また抵抗体102は抵抗体
(測温抵抗体)12とほぼ同様の抵抗値を有している。
【0130】ダイヤモンド薄膜13と101とは共に流
体に接して配置されている。またダイヤモンド薄膜13
と111とは同一の成膜法で形成され、同一の寸法を有
している。また、抵抗体103と104とは、温度変化
に対して抵抗変化の極力小さい材料で構成されている。
【0131】102で示される測温抵抗体がダイヤモン
ド薄膜101の表面に形成されているのは、流体および
/または計測環境の温度が大きく変化した場合に、ブリ
ッジ回路のDCバランスが大きく変化しないようにする
ためである。
【0132】ブリッジ回路の出力は、アンプ105で増
幅され、A/Dコンバータ106に入力される。A/D
コンバータ106でデジタル信号に変換された信号はC
PU107に入力される。一方、CPU107には、D
/Aコンバータ110によってデジタル信号に変換され
た測温抵抗体111からの出力が入力される。測温抵抗
体111は、流体の温度を計測するためのものであり、
流体に接するように配置されている。なお、測温抵抗体
111が加熱されないように抵抗体112と113の抵
抗値を選択することにより、測温抵抗体111からの出
力は、流体の流量にほとんど依存しない(実用上流量へ
の依存性は無視できる)状態とすることができる。即
ち、測温抵抗体111を流体202の温度を検出する手
段として機能させることができる。
【0133】CPU107においては、A/Dコンバー
タ106からの出力とA/Dコンバータ110からの出
力とに基づいて、後述する所定の演算処理が行われる。
CPUからの出力はLCDよりなる表示装置109に表
示される。またCPU107によって制御されるスイッ
チ108によって発熱体11には所定の電圧または電流
が所定のタイミングでもって供給される。
【0134】本実施例においては、パルス状の加熱に際
して、発熱体11に加えられる電圧は3Vであり、その
通電時間は0.2 秒である。なお、発熱体からの加熱によ
ってダイヤモンド薄膜の温度は20K程度の温度上昇を
するものと試算される。
【0135】本実施例においては、CPU107に加え
てA/Dコンバンータ110と106、さらにスイッチ
108を備えた点線114で示される1チップの集積回
路を用いている。本実施例では、集積回路114とし
て、Texas Instruments 社のマイクロプロセッサーであ
るTSS400AFWを用いている。このマイクロプロ
セッサーは、各種センサー用に利用できるものであっ
て、各種D/Aコンバータやスイッチング機能を有して
いる。
【0136】CPU107で処理された出力は、外付け
されたLCD109に表示される。ここではLCD10
9に出力を表示する例を示すが、CPU107からの出
力を、適当なメモリーに記憶させたり、装置外部に出力
する構成としてもよい。
【0137】図2に示すように、ダイタモンド薄膜13
と101の一方の面はパイプ201内を流れる流体(例
えば窒素流体)202に直接触れる構成となっている。
また測温抵抗体111も流体202に直接触れるように
配置されている。
【0138】測温抵抗体111はパイプ201内を流れ
る流体に最初の触れるように配置されている。これは、
流体の温度を正確に計測するためである。また測温抵抗
体111は、テフロン等の熱的に絶縁性の高い材料20
に保持されている。図1および図2においては、ブリッ
ジ回路に供給される電圧(VCCで示される)と測温抵抗
体111に供給される電圧とを同じものとしているが、
これは必要とする電圧とすればよい。
【0139】(動作方法について)以下に図1および図
2に示すシムテムを用いて、パイプ201内を流れる流
体202(ここでは窒素ガス流体)の流量を計測する場
合の例を示す。以下に示す動作は全てCPU107によ
って制御されて行われる。以下の動作の説明は図4を用
いて行う。図4の縦軸に示すのは、アンプ105からの
出力(電圧出力)であり、横軸は経過時間を示す。
【0140】(1)CPU107において、アンプ10
5からの出力fをt0からt0+Δt0の間において積算す
る。この演算はCPU107において行われる。この演
算は下記の数式1に示される演算を行うことと等価であ
る。
【0141】
【数1】
【0142】上記演算によって得られる値S0 は、図4
の斜線41で示される面積に対応する。上記(1)で示
される動作は、計測値の基準点を確定するために行われ
る。ここでは、Δt0 =0.1 秒として上記演算を行う。
【0143】(2)CPU107からの指令により、ス
イッチ108が動作し発熱体11に対して電流を流し、
発熱体11をt1とt1+Δt1との間において加熱する。こ
こではΔt1=0.2 秒としてこの加熱を行う。
【0144】上記(2)の動作過程によってダイヤモン
ド薄膜13は急速に加熱され、そして流体202によっ
て急速に冷却される。このダイヤモンド薄膜の温度変化
(パルス状の加熱に対する応答特性)は、測温抵抗体1
2の抵抗値の変化として検出される。測温抵抗体12の
抵抗値の変化は、ブリッジ回路からの出力変化となり、
アンプ105、A/Dコンバータ106を経てCPU1
07に入力される。即ち、発熱体11からのパルス状の
加熱に対するダイヤモンド薄膜101の応答特性は、ブ
リッジ回路の出力としてCPU107に入力される。
【0145】発熱体11の加熱に従ってアンプ105の
出力fは、図4の42で示されるように変化する。さら
に、加熱後の冷却(ダイヤモンド薄膜の冷却)に従って
アンプ105の出力fは、図4の43で示されるように
変化する。この様子を図5に示す。図5は、アンプ10
5の出力をオシロスコープに接続し、その出力変化をオ
シロスコープの画面に表示した際の表示写真である。
【0146】(3)上記(2)の動作過程における加熱
に従うアンプ105からの出力fをt2からt2+Δt2の間
において積算する。ここでt1<t2とする。これは、t1
t2とすると、アンプ105からの出力fにノイズが現れ
るからである。またここではt2=0.4 秒とする。ここで
行われる演算は、下記の数式2で示される計算を実行す
るのと等価である。
【0147】
【数2】
【0148】(4)下記数3で示される演算をCPU1
07において行う。この演算によって、図4の斜線部4
4で示される部分の面積に対応する値Sが得られる。こ
の値Sは、発熱体11からのパルス状の加熱に対するダ
イヤモンド薄膜13の応答特性が定量的に示されたもの
であると理解することができる。
【0149】
【数3】
【0150】(5)CPU107において、上記(4)
の動作過程において得られた値Sと測温抵抗体111か
らの出力とに基づいて、後述する算出方法に基づいて流
量の算出を行う。
【0151】以上(1)〜(5)に示した動作は、4秒
間を1サイクルとして行われる。即ち、4秒間に1回の
割合で、流量の算出が行われることになる。
【0152】以上示したΔt0、Δt1、Δt2の諸パラメー
タの値は、実施態様に合わせて変更可能である。上記
(1)〜(5)に示すような動作をさせる場合には、Δ
t1の値を50ms以上(上限は特にないが、長くすると動作
間隔が長くなり、消費電力の増大を招く)とすることが
できる。またΔt2の値は、Δt1以上の長さを有すること
が望ましい。なお、Δt0の値は任意に決めることができ
るが、計測精度の向上のためには、100ms 以上とするこ
とが望ましい。
【0153】(CPUにおいて行われる演算について)
以下において前述(5)の動作過程においてCPUにお
いて行われる演算方法について説明する。
【0154】前述した(1)〜(5)の動作過程を経て
算出される値Sは、流量と流体の温度とにほぼ依存す
る。従って、流量値をY、流体の温度をT、とすると適
当な関数Lを用いて下記の〔数式4〕に示される関数関
係が得られる。
【0155】
【数4】
【0156】ここで、Tの値は測温抵抗体111からの
出力によって得ることができる。従って、関数Lの形を
予め求めておけば、数式3で示される演算結果Sを用い
て、流体の温度に依存しない流量値Yを得ることができ
る。
【0157】以下に図1、図2に示す構成を用いて、窒
素流量の計測を行った場合の例を示す。
【0158】以下において、Sを前述した動作方法によ
って処理した出力(図4の斜線44で示す面積に対応す
る)値とする。この出力Sは、流量に関する情報を含ん
だものである。また、Tを測温抵抗体111の出力(そ
の抵抗値の変化に対応する)とする。また必要に応じて
これらパラメータには、適当な下付添字を付けるものと
する。
【0159】まず、流量0の状態において、測温抵抗体
111からの出力T0iとSとの関係を求める。この関係
は、図4で示されるような、発熱体11からのパルス状
の加熱に対するダイヤモンド薄膜13の応答特性と、測
温抵抗体111で検出される流体の温度との関係を示す
ものといえる。このT0iとSとの関係は、下記〔数式
5〕で示されるような関数となる。具体的な関数の形は
適当なデータ処理ソフトを用いて求めればよい。
【0160】
【数5】
【0161】そして、流量の計測において〔数式1〕〜
〔数式3〕を用いて図4に示す方法によって得られた値
Sを、上記〔数式5〕で求めた関数A(Ti )を用いて
下記の〔数式6〕に示すように規格化(normalize) す
る。
【0162】
【数6】
【0163】上記〔数式6〕において、Ti で示すパラ
メータは、測温抵抗体111からの出力に対応する。ま
たSnormは、規格化された計測値を示すものである。
【0164】上記〔数式6〕で求められたSnormの値と
実際の流量値(公正されたマスフローセンサ等で計測さ
れる)Fとの関係を適当な関数B(Snorm)を用いて、
下記〔数式7〕で示す関数関係として求める。
【0165】
【数7】
【0166】上記〔数式7〕で示される関数B
(Snorm)を用いることによって、流量の計測値が算出
される。
【0167】図6に示すのは、関数関数B(Snorm)を
用いて算出された計測値が公正されたマスフローメータ
ーによって計測された実際の流量値Pに対してどれほど
の公差を有しているからを調べた結果である。図6に示
すのは、下記〔数式8〕に示す計算式を用いて、縦軸に
示すErrorで示される公差と横軸に示す流量(リットル
/時)との関係を求めたデータである。
【0168】
【数8】
【0169】図6には、流体の温度がマイナス20℃、
マイナス10℃、0℃、10℃、40℃、55℃、70
℃の場合のプロット点が全て示されている。図6には、
一部公差が悪化している範囲があるものの、およそ50
(リットル/時)〜1800(リットル/時)の流量範
囲に渡って、±1.5 %以内の公差で温度補償を行いつつ
正確な流量計測を行えることが示されている。なお、マ
スフローメータによって計測されるのは質量流量であ
り、正確には単位としてKg/h等を用いることが必要
であるが、ここでは一般に実施に当たって慣用されてい
るリットル/時を用いることとする。
【0170】前述のように、本実施例において発熱体1
1に加えられる電圧は3Vであり、またその電圧が発熱
体11に加えられる時間も4秒間の1動作サイクル中0.
2 秒間である。これは、極めて低い消費電力で動作させ
ることができることを意味している。実際の動作に当た
っては、集積回路114で消費される消費電力が存在す
るのであるが、最も電力を消費する発熱体11の駆動消
費電力を上記のように極めて低いものとし、図6に示す
ような高感度、高ダイナミックレンジを有する特性が得
られることは産業利用上極めて有意義なことである。
【0171】実施に当たって、〔数式5〕や〔数式7〕
で示される関数A(Ti )やB(Snorm)は、別に配置
された半導体メモリー(図示せず)に記憶させればよ
い。また関数の具体的な形は、CPUの能力やメモリー
の容量、さらには計測精度に鑑みて、適時設定すること
ができる。
【0172】〔実施例2〕本実施例は、図1及び図2に
示す構成を利用した流量の計測方法において、測温抵抗
体111からの出力Tとアンプ105からの出力をCP
U107において図4に示す方法によって処理した出力
S(この出力Sは、ダイヤモンド薄膜13のパルス状の
加熱に対する応答特性を反映している)とに1対1に対
応する流量値Yを求める方法に関する。
【0173】本実施例においては、(T,S)の値に対
応したYを計測範囲内において必要とする組み合わせで
求め、その対応データ(対応表)をメモリー(図1,図
2には図示せず)に記憶させ、その対応データに基づい
て計測値Yを求めるものである。この対応データの一例
を下記表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】メモリー中には、予め求めておいた上記表
1に示されるTとSそれぞれの値に対応したY(流量
値)の値が記憶される。実際の計測においては、TとS
の値が求められ、表1に示す対応データに基づいてYの
値が求められる。この演算はCPU107または他に外
付けされたCPUにおいて行われる。上記表1は、下記
〔数式4〕の関数Lを示したものであると見ることがで
きる。
【0176】
【数4】
【0177】上記表1において使用される諸パラメータ
の分解能は、必要とする計測精度に合わせて決めればよ
い。
【0178】本実施例の構成を採用した場合、温度補償
を高い精度で行いつつ、流量の計測を行うことができ
る。しかし、CPUへの負担が増大することや、大きな
メモリー容量を使用しなくてはならないという欠点があ
る。
【0179】〔実施例3〕本実施例は、図1及び図2に
示す構成にさらに計測環境の温度を計測する測温抵抗体
(図示せず)を設け、計測環境の温度による影響を補償
しうる構成とした例である。本実施例の構成を実現する
には、実施例2で示した表1のパラメータ(表1の場合
はTとSが計測されるパラメータである)に加えて、計
測環境周囲の温度を示すパラメータを加えればよい。こ
の場合、予め別に設けたメモリーに下記表2に示すよう
な対応データを記憶させておけばよい。
【0180】表2に示されるような対応データは、でき
うる限り多数の組合せを用意することが、計測精度を高
める上では有用である。
【0181】
【表2】
【0182】ここで、T1iが流体の温度に対応するパラ
メータであり、T2jが計測環境の温度に対応するパラメ
ータである。またSは図4に示す方法を用いて処理され
た出力である。そしてYが対応する流量値である。な
お、表2をより正確に記すならば、3次元直交座標にお
いて、T1i、T2j、Sk を各座標成分として、(T1i
2j、Sk )で決まる一点を流量値Yn に対応させる必
要がある。
【0183】本実施例の場合は、各パラメータと流量の
計測値Yとの関係が適当な関数Lを用いて下記〔数式
9〕で示される。
【0184】
【数9】
【0185】本実施例のような構成は、計測環境の温度
によって計測した流量値が影響を受けることを低減ある
いは防ぐことができる。しかし、パラメータの組み合わ
せが指数関数的に増えるので、扱うデータ量が膨大なも
のとなるという欠点がある。
【0186】〔実施例4〕本実施例は、図1および図2
に示す構成において、流体の湿度を検出するセンサーを
追加し、流体の湿度による流量値への影響を補償する構
成に関する。
【0187】本実施例の構成は、例えば空調システムの
ダクト内を流れる流体(普通は空気)の流量を計測する
システムに利用することができる。
【0188】本実施例の構成を実現するには、図1およ
び図2に示す構成に、流体の湿度を計測するセンサーを
追加し、その出力HがCPU107に入力されるように
すればよい。そして、流体の温度を反映したサーミスタ
111からの出力Tと図4に示す方法で算出された出力
Sと湿度センサー(図示せず)からの出力Hとに基づい
て、流量値Yを求めればよい。
【0189】本実施例は、下記の〔数式10〕に示す関
数関係を用い、パラメータT,S,Hに基づいて流量値
Yを求めるものである。
【0190】
【数10】
【0191】ここで、上記〔数式10〕における関数L
は、適当な具体的なものを求めるのでもよく、また下記
表3に示すような対応関係に基づくものでもよい。な
お、下記表3に示すデータは、その組み合わせがなるべ
く多くなるようにした方が計測精度を高くすることがで
きる。
【0192】
【表3】
【0193】〔実施例5〕本発明人らの知見によれば、
本明細書で開示する発明の構成において、パルス状の加
熱に際して薄膜材料に供給される熱量を一定なものとす
ることによって、このパルス状の加熱に対するダイヤモ
ンド薄膜の熱的な応答特性を流体の温度にあまり大きな
影響を受けないで、流量に対応したものとできることが
結論される。
【0194】このことは以下のように考えることによっ
て結論される。即ち、ダイヤモンド薄膜の比熱が温度に
対して変化しないと仮定した場合において、ダイヤモン
ド薄膜の温度は周囲の流体の温度とほぼ一定と見なすこ
とができる。この状態で、ダイヤモンド薄膜に流体の温
度に依らず一定の熱量ΔQを供給した場合を考える。こ
の場合、ダイヤモンド薄膜の温度上昇分は、ダイヤモン
ド薄膜の比熱cと質量mを用いて、ΔQ/mcで示され
る。
【0195】流体の温度が変化した場合、流体の熱的な
パラメータ(例えば熱伝導率)が変化するので、加熱さ
れたダイヤモンド薄膜から流体に逃げて行く単位時間当
たりの熱量は当然変化する。しかしながら、流体の温度
が±50℃程度の範囲で変化した場合は、その範囲の温
度変化が、パルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜の
温度変化(応答特性)に与える影響は数パーセント程度
であると考えられる。
【0196】即ち、ダイヤモンド薄膜に供給される熱量
(パルス状の加熱に際して供給される熱量)を流体の温
度に依らず一定なものとした場合、この熱量の供給に対
するダイヤモンド薄膜の応答特性は、流体の温度の影響
をそれほど大きく受けないということになる。
【0197】一般に白金を用いた発熱体は、流体の温度
によって大きくその抵抗値が変化してしまう。従って温
度変化によって、発熱量も大きく変化してしまう。例え
ば、1℃の温度変化に対して1000ppmの抵抗変化
を示す白金薄膜を発熱体として用いた場合には、100
℃の温度変化で10%の抵抗変化を示すことになる。従
って、定電圧駆動を考えた場合で、10%の発熱量の変
動が生じることになる。
【0198】そこで、本実施例に示す構成においては、
発熱体として温度による抵抗値の変化が極力小さいもの
を用いることによって、流体の温度に影響されにくい流
量計測を実現するものである。具体的には、発熱体とし
てコンスタンタンを材料としたものを用い、発熱体から
の発熱量が流体の温度によって変化しないような構成を
採用するものである。コンスタンタンは、Niが45
%、Cuが55%の合金であり、温度変化に対する抵抗
値の変化が極めて小さい材料である。
【0199】素子の構造は図3に示すものと発熱体を除
いて同様であり、全体のシステムの構成も図1および図
2に示すものと同様である。またその動作方法も実施例
1で示したものと同様である。また本明細書の他の実施
例における発熱体を本実施例に示すようなコンスタンタ
ンとすることは有効である。
【0200】発熱体としてコンスタンタンを用いた場合
であっても、図1の111で示されるような温度補償用
の測温抵抗体(流体の温度を計測する手段)を用いるこ
とは非常に有用である。流体の温度が変化すると、流体
の比熱や動粘性率等の諸特性も変化する。従って、流量
の計測値はこれら熱的な諸パラメータの変化の影響を受
けたものとなってしまう。また、温度によってCPUの
動作速度やアンプのゲイン等も変化し、その変化は計測
値に影響を与える。従って、これら流体の熱的物性の変
化や回路の所定数の変化に依らずに流量を算出するに
は、流体の温度に関する情報に基づいて、その影響を取
り除くことが有効である。
【0201】本実施例では、メタルマスクを配置したダ
イヤモンド薄膜上にコンスタンタンを蒸着法を用いて選
択的に成膜し、所定のパターンにコンスタンタンの薄膜
を形成する。蒸着は、NiとCuとを材料として行う。
【0202】本実施例に示す構成を採用した場合、発熱
体が発生する熱量(当該薄膜材料に供給する熱量)が温
度に寄らないものになる。従って、CPUやアンプの特
性の温度依存性が顕著に表れてくることになる。そこ
で、計測値の温度依存性をさらに低減させるためには、
CPUやアンプの特性が流体および/または計測環境の
温度によって、影響を受けないようにする工夫が必要が
ある。
【0203】本実施例ではコンスタンタンを発熱体とし
て用いた例を示した。コンスタンタン以外には、マンガ
ニン等の温度変化に対する抵抗変化の極めて低い材料を
用いることができる。このような材料としては、使用す
る温度範囲において、その抵抗値の変化が10ppm以
下であるような材料を用いることが望ましい。
【0204】〔実施例6〕本実施例は、図1および図2
に示す構成において、ダイヤモンド薄膜13に対してパ
ルス状の加熱を行う手段として、レーザー光の照射によ
る方法を採用した例である。図7に本実施例の構成を示
す。図7に示すのは、図2に示す構成における発熱体1
1の代わりに、スイッチ108によって制御されるレー
ザー発振装置600を備えた例である。図7において、
図2と同じ符号である部分は図2と同じ箇所を示す。
【0205】ここでレーザー発振装置600として、温
度変化によってその出力が極力変化しないものを用いる
ことで、流体および/または計測環境の温度変化に影響
されずに常に一定の熱量をダイヤモンド薄膜に対して与
えることができる。レーザー発振装置600としては、
赤色のレーザー光や赤外光のレーザー光を発振するもの
を用いればよい。ダイヤモンド薄膜13としてCVD法
で形成された多結晶ダイヤモンド薄膜を用いた場合に
は、結晶粒界に赤外光が吸収されるので、赤外光の照射
によって加熱することができる。
【0206】動作方法は、実施例1に示したのと同様で
ある。即ち、発熱体をジュール加熱する代わりに、所定
の時間においてレーザー発振装置600からレーザー光
をダイヤモンド薄膜13に対して照射すればよい。
【0207】〔実施例7〕本実施例は、温度計測センサ
ーからの出力をアナログ的にフィードバックさせ、この
フィードバックされた出力を基に流量計測センサーの発
熱体に供給する電圧を制御し、流体および/または計測
環境に依存しない(またはその依存性を大きく低減させ
た)流量計測を行う構成に関する。
【0208】本実施例においては、図3に示すようなセ
ンサー素子を最低で2つ用いる。そしてそれぞれのセン
サーを2つのブリッジ回路に組み込み、一方のブリッジ
回路に組み込まれたセンサーの発熱体に供給する電圧を
他方のブリッジ回路の出力を利用して制御する。
【0209】図8に本実施例の構成の概略を示す。図8
において、ブリッジ1には、ダイヤモンド薄膜809上
に形成された発熱体811と測温抵抗体810を有する
センサーが配置されている。このセンサーは、ダイヤモ
ンド薄膜の一方の面が流体に接する構成を有している。
このセンサーの構成は図3に示すものと同様である。即
ち、ダイヤモンド薄膜809の一方の面上には、白金薄
膜で構成される発熱体811と同じく白金薄膜で構成さ
れる測温抵抗体810が形成されている。
【0210】抵抗807と808は、温度変化に対する
抵抗変化の小さいものを用いることが好ましい。ブリッ
ジ1を構成する一つの抵抗体806は、809と同様な
ダイヤモンド薄膜805上に形成された白金薄膜で構成
されている。この白金薄膜で構成される抵抗体806の
抵抗値は、測温抵抗体810と同程度であることが望ま
しい。
【0211】ダイヤモンド薄膜805にはもう一つの抵
抗体804が白金薄膜によって構成されている。この抵
抗体804を構成する白金薄膜は、温度に対する抵抗値
の変化の特性が、発熱体811(白金薄膜で構成され
る)と同じ(あるいはそれにできる限り近い)特性を有
している必要がある。
【0212】抵抗体804は、温度変化に対する抵抗値
の変化が極力小さい抵抗体801〜803とでブリッジ
2を構成している。ブリッジ2の出力はアンプ812で
増幅される。そしてアンプ812の出力は発熱体811
を駆動する。ブリッジ1の出力は、アンプ813で増幅
され、アンプ813で増幅された信号はA/Dコンバー
タ814でデジタル信号に変換され、さらにCPU81
5に入力される。
【0213】CPU815は、A/Dコンバータ814
からのデジタル信号を所定の手順に従って処理する。一
方、測温抵抗体819は被計測流体に接しており、流体
の温度に対応した抵抗値となる。そして測温抵抗体81
9と適当な抵抗818と820で構成された回路から
は、流体の温度に対応した値が出力され、その出力はA
/Dコンバータ817によりデジタル信号に変換され、
さらにCPU815に入力される。CPU815では、
ブリッジ1からの出力と測温抵抗体819からの出力と
を所定の計算方法に従って演算処理し、ダイヤモンド薄
膜809に接して流れている流体の流量を算出する。そ
して、CPU815で算出された流量値(または流量値
に対応した値)は、LCD816に表示される。またC
PU815は、ブリッジ1及びブリッジ2に供給する電
圧を制御する機能を有している。
【0214】図8に示すシステムを動作させる場合も基
本的に図4で示した動作方法と同様である。以下におい
てその動作方法を詳細に説明する。
【0215】(第1の動作)t0 とt0 +Δt0 との間
において、下記〔数式1〕で示される演算をCPU81
5において行う。
【0216】
【数1】
【0217】この第1の動作を実行することにより、動
作の基準点を確定する。
【0218】(第2の動作)t1 とt1 +Δt1 との間
において、V2 に所定の電圧を加える。この際、抵抗体
804の抵抗値に従ってブリッジ2の出力は変化する。
この抵抗体804の抵抗値は、流体の温度に依存する。
そして、この抵抗値804の抵抗値の変化に従ってブリ
ッジ2の出力は変化し、その出力はアンプ812で増幅
され発熱体811を駆動する。従って、発熱体811を
駆動するための電圧は、流体の温度に従って変化するこ
とになる。
【0219】この発熱体811のパルス状の発熱によっ
て、ダイヤモンド薄膜809は、図4のf(t)に示す
ような温度変化を示す。即ち、t1 とt1 +Δt1 との
間において急速に加熱され、その後急速に冷却されるこ
とになる。図4のf(t)で示されえるダイヤモンド薄
膜の温度変化は、ダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に
対する応答特性であると理解することができる。なお、
Δt1 は、50ms〜1s程度の間で選択すればよい。
【0220】(第3の動作)t2 とt2 +Δt2 との間
において、A/Dコンバータ814によってデジタル変
換されたアンプ813の出力をCPU815で積算す
る。この積算は、下記〔数式2〕に示される演算をCP
U815で行うことによって実行される。なおここで、
1 <t2 とする。
【0221】
【数2】
【0222】(第4の動作)上記(第1の動作)で得ら
れた値と上記(第3の動作)で得られた値との差をCP
U815において演算する。具体的には、下記〔数式
3〕で示す演算を行う。
【0223】
【数3】
【0224】(第5の動作)上記第4の動作の結果とA
/Dコンバータ817からの出力とに基づいて、CPU
815において所定の演算を行うことにより、ダイヤモ
ンド薄膜809に接する流体の流量を算出する。
【0225】上記第5の動作で行われる所定の演算は、
実施例2で示した方法と同様である。勿論、用いられる
関数の具体的な形が、実施例2の場合と異なることはい
うまでもない。
【0226】また、以上説明した第1の動作〜第5の動
作は、CPU815からの指令によって、予め決められ
た手順に従って行われる。なお、〔数式1〕〜〔数式
3〕に示すような必要とする数式は、図示しない半導体
メモリーに記憶させておけばよい。
【0227】ここで、流体の温度が徐々に高くなってい
く状況を考える。この場合、白金薄膜で構成された抵抗
体804の抵抗は、流体の温度に従って高くなる。する
とブリッジ2の出力は、それに従って大きくなる。この
出力は、アンプ812で電圧増幅され、発熱体811に
供給される。即ちこの発熱体811に供給される電圧
は、流体の温度の上昇に従ったものとなる。従って、流
体の温度の上昇分に対応した電圧が発熱体811に供給
されることになる。
【0228】一方、発熱体811の抵抗は流体の温度の
上昇につれて上昇する。従って、アンプ812のゲイン
を適時設定することにより、定電圧駆動を行った場合に
は、オームの法則(P=V2 /R)で示される発熱体の
発熱量Pを、流体の温度に寄らないほぼ一定な値、また
はそれほど大きく発熱量が変化しない構成とすることが
できる。
【0229】結果として、ダイヤモンド薄膜809に
は、流体の温度変化に大きく影響されない熱量が供給さ
れることになる。そして、発熱体811からのパルス状
の加熱に対するダイヤモンド薄膜809の応答特性(図
4のf(t)で示されるような)もまた流体の温度に大
きく依存しないものとすることができる。またはその応
答特性に対する流体の温度の影響を大きく低減させるこ
とができる。
【0230】図8に示す構成においては、抵抗体804
と発熱体811とを同一の材料、または同一の抵抗の温
度依存特性を有する材料で構成する必要がある。これ
は、流体の温度変化に対応した適正なフィードバックを
発熱体811に与える必要があるためである。
【0231】〔実施例8〕本実施例は、図8に示す構成
において、アンプ812のゲインを流体の温度に従って
適時可変する構成とし、流体の温度に従った電圧で発熱
体811を駆動するようにしたことを特徴とする。
【0232】アンプ812のゲインの可変は、流体の温
度の変化に従う諸パラメータ(粘性や密度や熱伝導率
等)や温度変化に対する回路の諸定数(回路を構成する
抵抗の抵抗値等)の変化の影響をある程度補償するよう
に設定する必要がある。
【0233】即ち、流量一定の条件において、流体の温
度および/または計測環境の温度に対して、図4,図5
に示す応答特性の波形の面積が一定なものとなるよう
に、アンプ812のゲインを可変させる必要がある。
【0234】このような構成を採用すると、流体および
/または計測環境の温度変化に起因する諸パラメータの
変化の影響が図4,図5に示す応答特性に表れない、ま
たはその影響を極力小さくできる状況を実現することが
できる。そして、図4や図5に示す応答波形を流体の温
度に寄らず、流量に従ったものとすることができる。
【0235】本実施例で示すようにアンプ812のゲイ
ンを流体および/または計測環境の温度変化に対応させ
て変化させるには、別に設けた流体および/または計測
環境の温度変化を検出する手段(図示せず)を容易し、
別に設けたCPU(図示せず)によってアンプ812の
ゲインを制御すればよい。即ち、流量一定の状態におい
て、流体の温度を変化させ、この際において図4、図5
に示す応答波形の面積(図4の44に対応)が一定とな
るように、アンプ812のゲインをCPUによって制御
すればよい。なおCPU815で行われる演算は、実施
例1で示したものと同様である。
【0236】このような構成とすることで、諸々のパラ
メータの温度依存性を排除した流量計測を行うことがで
きる。
【0237】また、図8に示す測温抵抗体819を併用
し、CPU815において実施例1に示したような温度
補償をさらに行う場合には、アンプ812のゲインの制
御をそれ程厳密に行わなくてもよい。これは、測温抵抗
体819による温度補償機能があるからである。なお、
流体および/または計測環境の温度変化に対するアンプ
812のゲインの設定を厳密に行う場合には、測温抵抗
体819は必ずしも必要なものではない。しかし、完全
な温度補償を行うことは、現実問題として困難であるの
で、本実施例に示す構成に加えて、測温抵抗体819を
用いた温度補償を併用し、さらに温度補償機能を高める
ことは実用上有用である。
【0238】〔実施例9〕本実施例のブロック図を図9
に示す。本実施例は、実施例1に示す構成の変形例であ
る。実施例1に示す構成においては、流体の温度を計測
する手段として、測温抵抗体111を別個に設ける構成
を採っている。しかし本実施例においては、ダイヤモン
ド薄膜101上に形成された白金薄膜102を測温抵抗
体として用い、この白金薄膜102の抵抗値変化から、
流体の温度を検出する構成としたものである。
【0239】測温抵抗体102は測温抵抗体12と同じ
材料、または同じか近い温度−抵抗特性(温度によって
変化する抵抗値の特性)を有する材料で構成されること
が必要である。本実施例においては、測温抵抗体12と
測温抵抗体102とは、スパッタ法で形成される白金薄
膜を用いており、同じ温度−抵抗特性を有している。勿
論、測温抵抗体12と測温抵抗体102とは、必要とさ
れる抵抗値を有するようにその寸法や膜厚を設定する必
要がある。なお、以上説明した以外の構成は図1に示す
ものと場合と同様であり、その動作方法も実施例1に示
すものと同じである。
【0240】〔実施例10〕本実施例は、ダイヤモンド
薄膜表面に配置された抵抗発熱体に供給する電圧を流体
の温度に従って変化させ、温度補償を行う構成に関す
る。図11および図12に本実施例の概略の構成を示
す。図11と図12は等価なものであり、図12に示す
のは、図11に示す構成をより具体的に示したものであ
る。図11および図12において、図1および図2にお
いて用いられるのと同じ符号は、実施例1において説明
したものと同一の構成要素を示す。またその詳細な説明
は図1および図2に示すものと同様である。また本実施
例においては、114で示される1チップの集積回路に
外付けのD/Aコンバータ1101とメモリー1102
を配置してある。集積回路114としては、実施例1と
同様にTexas Instruments 社のマイクロプロセッサーで
あるTSS400AFWを用いることができる。
【0241】図11および図12に示す構成は、メモリ
ー1102に記憶された下記表5に示すような対応関係
に基づいて、D/Aコンバータ1101によって発熱体
11に供給される電圧を制御することを特徴とする。特
にこの発熱体11に供給される電圧を流体の温度に対応
させて変化させることを特徴とする。
【0242】
【表5】
【0243】表5に示すのは、流体の一定の流量Fi
おいて、図4の応答波形の面積44の値Si が一定また
は概略一定または一定の範囲内または概略一定の範囲内
のものとなるようにするために必要な流体の温度Tn
値と発熱体11に供給する電圧Vn の値との組み合わせ
を示したものである。
【0244】換言すれば、表5に示す関係は、所定の流
量Vi (例えばVi =0)の状態において、図4の44
で示される応答波形の面積Si が一定または概略一定ま
たは一定の範囲内または概略一定の範囲内のものとなる
ようにした場合における、Tn で示される流体の温度
と、発熱体11に供給する電圧Vn との関係を示したも
のであるといえる。
【0245】表5に示すT1 ,T2 ・・・Tn として
は、計測範囲内においてなるべく多数細かく採った方が
計測精度を高くすることができる。
【0246】また流量Vi の値は、計測範囲内の任意の
値を選択することができる。しかし計測精度を向上させ
るためには、表5に示すような関係を、複数の流量の場
合において求めて置くことがより望ましい。例えば、表
5に示すような関係を流量Vi が0(リットル/時)、
10(リットル/時)、50(リットル/時)、100
(リットル/時)、500(リットル/時)、1000
(リットル/時)の場合と分割して複数求めることは、
計測精度を高めるためには非常に有効である。この場
合、表5に示す関係を複数の流量Vi の場合におい求め
ておき、メモリー1102に記憶させておくか、Vn
F(Tn )で示される関数関係を、複数の流量Vi の場
合におい求めておき、メモリー1102に記憶させてお
けばよい。
【0247】表5に示す関係を複数の流量の場合におい
て求めておくことが有効なのは以下の理由による。即
ち、流量が変化することによって、圧力等の影響によっ
て、表5に示す関係もわずかづつ変化する。従って、複
数に分割した流量範囲において、表5に示すような関係
を求めておくことで、計測精度を高めることができる。
【0248】図11および図12に示すような構成を動
作させるには、予めメモリー1101に上記表5に示す
ような関係を記憶させておく必要がある。なお、発熱体
11によるパルス状の加熱に対するダイヤモンド薄膜1
3の応答特性(図4に示される)を計測する具体的な方
法は、実施例1に示したものと同様である。
【0249】本実施例に示す構成を動作させるには以下
のようにすればよい。まず、流体に接して配置されてい
る測温抵抗体111が検出する流体202の温度Tn
従って、CPU107がメモリー1102に記憶された
上記表5に示すデータに基づき、対応する電圧Vn で発
熱体11を駆動すべくD/Aコンバータ1101に指令
を出す。そしてD/Aコンバータ1101によって発熱
体11にはTn に対応する電圧Vn が供給される。
【0250】表5に示すVn は、図4の44で示される
面積を一定または概略一定または一定の範囲内または概
略一定の範囲内とする場合において、所定の流体の温度
nに対応して必要とされる発熱体11を駆動するため
の電圧である。
【0251】従って、流体202の流量が変化しない場
合、図4の44で示される面積Siに対応する応答特性
は、流体の温度Tn に対して、一定または概略一定また
は一定の範囲内または概略一定の範囲内のものとなる。
【0252】即ち、図4の44で示される面積は、流体
202の温度に大きく影響されず、流体202の流量に
対応したものとなる。このように、発熱体11に供給す
る電圧を流体の温度に対応させて変化させることによっ
て、図4の44で示される面積Si で示される応答特性
(定量化した応答特性)を流体の流量に対応させたもの
とすることができる。そして、流体の温度に影響されな
い流量計測を行うことができる。
【0253】本実施例に示す構成を採用した場合、流体
および/または計測環境の温度変化に従う各種パラメー
タの変化の影響を全て含んだ形で補償することができる
で、極めて高い精度で流量の計測を行うことができる。
この各種パラメータには、流体の諸物性、回路の所定数
が全て含まれる。
【0254】例えば、実際に使用される環境において、
表5に示す関係を求めておくことで、流体の温度のみな
らず計測環境の温度をも補償する構成とすることができ
る。
【0255】なお、本実施例においては、ダイヤモンド
薄膜に対してパルス状の加熱を行う手段として、ダイヤ
モンド薄膜13に接して配置された抵抗発熱体を用い、
この抵抗発熱体に供給する電圧を制御する例を示した。
しかし、例えばダイヤモンド薄膜に対してパルス状の加
熱を行う手段として、レーザー光を照射する装置を利用
した場合には、レーザー光の照射強度を変化させるパラ
メータを流体の温度に従って制御する構成とすればよ
い。
【0256】〔実施例11〕本実施例は、実施例1に示
す構成をガスセンサーに利用した例である。本実施例で
示すガスセンサーは、例えば特定のガスの検出等に用い
ることができる。例えば人体に有害なガスの検出等に利
用することができる。
【0257】本実施例に示すガスセンサーの構成は、図
1に示すものと基本的に同一である。またその動作方法
も基本的に同一である。従って、図1に示す各構成要素
の説明は、特に断らない限り実施例1に示したものを参
照すればよい。図1に示す構成をガスセンサーとして利
用するには、ダイヤモンド薄膜13と101とを被計測
気体に接触させる必要がある。そして、ダイヤモンド薄
膜13と101とに接触する被計測気体の流れを一定な
ものとする必要がある。これは、気体の流れに変動があ
ると、流量の流れの影響が出力に表れてしまうからであ
る。また被計測気体の温度を検出するための測温抵抗体
111もなた被計測気体に接触させる必要がある。
【0258】動作方法は、実施例1に示したものと基本
的に同じである。図1に示す構成をガスセンサーとして
利用した場合、被計測気体中に含まれる特定のガスの濃
度によって、図4に示す応答波形の面積44が変化す
る。即ち、図4の44に示す応答波形の面積は、被計測
気体中の特定のガスの濃度に関する情報を含むことにな
る。従って、被計測気体中における特性のガスの濃度C
は、図4の44に示す応答波形の面積Sと測温抵抗体1
11で検出される被計測気体の温度Tとを用いて、C=
F(S,T)で示されることになる。
【0259】即ち、下記表6に示すような関係を予め求
めておき、メモリー(図1および図2には図示せず)に
記憶させておくことで、特定のガスの濃度Cmnを得るこ
とができる。
【0260】
【表6】
【0261】本実施例に示すような構成を採用すること
により、被計測気体の温度の影響を大きく低減させて特
性のガスの濃度計測や検出を行うことができる。
【0262】本実施例では、特定のガスの濃度を計測す
る場合の例を示したが、被計測気体を空気として、上記
表6におけるCi を湿度とすれば、空気中の湿度を計測
することができる。
【0263】〔実施例12〕本実施例は、図11に示す
構成を利用して、ガスセンサーを実現する場合の例を示
す。図11に示す構成をガスセンサーに利用する場合、
被計測気体をダイヤモンド薄膜13と101とに接しさ
せる必要がある。またダイヤモンド薄膜13と101と
に接する被計測気体の流量は、一定である必要がある。
また、測温抵抗体111も被計測気体に接しさせる必要
がある。
【0264】本実施例に示すガスセンサーを実現するに
は、所定の組成または所定の濃度のガスを含んだ被計測
気体にダイヤモンド薄膜13と101と測温抵抗体11
1とが接した状態において、発熱体11からのパルス状
の加熱に対するダイヤモンド薄膜13の応答特性(図4
の44で示される面積Si として評価される)が一定な
ものとなるような、測温抵抗体で検出される気体の温度
n と発熱体11にD/Aコンバータ1101から供給
される電圧Vn との組み合わせを求める必要がある。こ
のTn とVn との組み合わせを下記表7に示す。
【0265】
【表7】
【0266】表7に示すのは、図4の44で示されるダ
イヤモンド薄膜13の応答特性を一定なものとするため
には、所定の組成または所定の濃度のガスを含んだ温度
nの気体に対して、発熱体11に供給する電圧Vn
どのような値とすれば良いかを示したものといえる。な
おここで、nは任意の自然数とする。
【0267】換言すれば表7が意味するところは、測温
抵抗体111で検出される被計測気体の温度Tn に対し
て、Vn で示される電圧を発熱体11に供給すれば、所
定の組成または所定の濃度のガスを含んだ被計測気体に
対して、一定の応答特性を得ることができるということ
である。
【0268】実際の計測においては、測温抵抗体111
によって被計測気体の温度Tn を求め、このTn の値に
基づいて、CPU107において半導体メモリー110
2に記憶された表7に示す関係に基づいて、対応するV
n を求め、A/Dコンバータ1101からこのVn でも
って発熱体11に電圧が供給される。この結果得られる
応答特性Si は、被計測気体の温度の影響を受けない、
または受けにくいものとなる。
【0269】なお、nの数はできるだけ多くした方が計
測精度を高めることができる。また、被計測流体の組成
も1つだけではなく、計測範囲の中において複数の組成
を選び、その場合毎において、表7に示す関係を求めて
おくことは有効である。
【0270】本実施例に示す構成を採用することによっ
て、高い精度で温度補償を行いつつ特性のガスの濃度の
計測や検出を行うことができる。勿論、空気中の湿度の
計測を行うこともできる。
【0271】また、本実施例に示す構成は、異なる2つ
の気体の混合比を計測する場合にも利用することができ
る。この場合、被計測気体のガス濃度を2つの気体の混
合比に置き換えて考えればよい。
【0272】
【発明の効果】パルス状の加熱に対する薄膜材料の応答
特性を評価することによって、 ・ドリフトの無い計測値をシンプルな構成で得ることが
できる。 ・加熱をパルス状のものとすることで、消費電力を抑え
ることができる。 といった効果を得ることができる。
【0273】特に薄膜材料としてダイヤモンド薄膜を用
いた場合には、上記効果に加えて、 ・従来必要であったようなドリフト補正用の複雑な補正
回路を必要とせずに、高感度、高ダイナミックレンジの
流量計測を行うことができる。 ・パルス状の加熱の際に供給する熱量を少なくとするこ
とができ、さらに消費電力を少なくすることができる。
【0274】また、パルス状の加熱に際する薄膜材料の
応答特性と別に検出された流体および/または計測環境
の温度とを用いて、流量値を算出することで、流体およ
び/または計測環境の温度と影響されない流量計測を行
うことができる。
【0275】また、パルス状の加熱を行う手段に以下の
ような温度補償機能を有せしめることで、正確な流量計
測を行うことができる。 (1)流体および/または計測環境の温度によって発熱
量が変化しない、またはその変化の少ない手段を用いる
ことで、流体および/または計測環境の温度による流量
計測値の影響を低減することができる。 (2)パルス状の加熱を行う手段として、流体および/
または計測環境の温度に対応させて、発熱体を駆動する
パラメータ(例えば駆動電圧)を変化させることで、流
体および/または計測環境の温度による流量計測値の影
響を低減することができる。
【0276】また、被計測パラメータ(例えば流体の流
量)が一定の状態において、パルス状の加熱を行う手段
からの加熱に対する薄膜材料の応答特性を、流体および
/または計測環境の温度変化に対して一定なものとなる
ようにすることによって、流体および/または計測環境
の温度変化に対する温度補償を行いつつ、前記応答特性
から被計測パラメータの値を得ることができる。
【0277】また、以上述べた効果は、流量計測以外
に、 ・流体の熱伝導率や比熱の計測。 ・流体の識別。 ・複数の流体の混合比の計測。 ・流体中に含まれる物質の濃度の計測(例えば湿度の計
測) を行う場合においても得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図2】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
図。
【図3】 実施例の流量計測センサーの素子の構成を示
す図。
【図4】 ダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する
過渡応答特性を示す図。
【図5】 ダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する
過渡応答特性を示すオシロスコープの表示を示す図。
【図6】 実施例の流量計測センサーで計測した窒素流
体の流量と公差との関係を示す図。
【図7】 実施例の流量計測センサーの概略の構成を示
す図。
【図8】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図9】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図10】従来より公知の測温抵抗体を用いた流量計測
センサーの概略の構成を示す図。
【図11】実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図12】実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
図。
【符号の説明】
11 発熱体(白金薄膜) 12 測温抵抗体(白金薄膜) 13 ダイヤモンド薄膜 101 ダイヤモンド薄膜 102 測温抵抗体 103、104 抵抗体 105 アンプ 106 A/Dコンバータ 107 CPU 108 スイッチ 109 LCD(外部表示装置) 110 アンプ 111 測温抵抗体 112 抵抗体 113 抵抗体 114 1チップの集積回路 201 パイプ 202 流体 10、15 電極 17 ボンディングワイヤ 18、20 テフロン製の基体 19 流体 600 レーザー光発振装置 601 レーザー光 801〜803 抵抗体 804 測温抵抗体(白金薄膜) 805 ダイヤモンド薄膜 806 抵抗体(白金薄膜) 807、808 抵抗体 809 ダイヤモンド薄膜 810 測温抵抗体(白金薄膜) 811 発熱体(白金薄膜) 812、813 アンプ 814 A/Dコンバータ 815 CPU 816 LCD(表示装置) 817 A/Dコンバータ 818 抵抗体 819 測温抵抗体 820 抵抗体 301、302 測温抵抗体 303、304 抵抗体 305 アンプ 307 流体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図2】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
図。
【図3】 実施例の流量計測センサーの素子の構成を示
す図。
【図4】 ダイヤモンド薄膜のパルス状の加熱に対する
過渡応答特性を示す図。
【図5】 オシロ波形を示す写真。
【図6】 実施例の流量計測センサーで計測した窒素流
体の流量と公差との関係を示す図。
【図7】 実施例の流量計測センサーの概略の構成を示
す図。
【図8】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図9】 実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図10】従来より公知の測温抵抗体を用いた流量計測
センサーの概略の構成を示す図。
【図11】実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
ブロック図。
【図12】実施例の流量計測センサー概略の構成を示す
図。
【符号の説明】 11 発熱体(白金薄膜) 12 測温抵抗体(白金薄膜) 13 ダイヤモンド薄膜 101 ダイヤモンド薄膜 102 測温抵抗体 103、104 抵抗体 105 アンプ 106 A/Dコンバータ 107 CPU 108 スイッチ 109 LCD(外部表示装置) 110 アンプ 111 測温抵抗体 112 抵抗体 113 抵抗体 114 1チップの集積回路 201 パイプ 202 流体 10、15 電極 17 ボンディングワイヤ 18、20 テフロン製の基体 19 流体 600 レーザー光発振装置 601 レーザー光 801〜803 抵抗体 804 測温抵抗体(白金薄膜) 805 ダイヤモンド薄膜 806 抵抗体(白金薄膜) 807、808 抵抗体 809 ダイヤモンド薄膜 810 測温抵抗体(白金薄膜) 811 発熱体(白金薄膜) 812、813 アンプ 814 A/Dコンバータ 815 CPU 816 LCD(表示装置) 817 A/Dコンバータ 818 抵抗体 819 測温抵抗体 820 抵抗体 301、302 測温抵抗体 303、304 抵抗体 305 アンプ 307 流体

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 前記流体の温度に対応した出力を得る手段と、 を有することを特徴とする計測装置。
  2. 【請求項2】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 前記流体に接して配置された測温抵抗体と、 を有することを特徴とする計測装置。
  3. 【請求項3】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記応答特性を評価する手段は、流体および/または計
    測環境の温度に対する温度補償機能を有することを特徴
    とする計測装置。
  4. 【請求項4】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記パルス状の加熱を行う手段は、流体および/または
    計測環境の温度に対応した温度補償機能を有することを
    特徴とする計測装置。
  5. 【請求項5】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記パルス状の加熱を行う手段は、流体および/または
    計測環境の温度変化に対する抵抗変化が無視できる抵抗
    発熱体よりなることを特徴とする計測装置。
  6. 【請求項6】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記パルス状の加熱を行う手段は、流体および/または
    計測環境の温度変化に対する抵抗変化が10ppm以下
    の抵抗発熱体よりなることを特徴とする計測装置。
  7. 【請求項7】 流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記パルス状の加熱を行う手段は、流体および/または
    計測環境の温度変化に依らず概略一定の熱量を供給する
    機能を有することを特徴とする計測装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7において、 応答特性を計測する手段では、 パルス状の加熱前に当該薄膜材料の温度に対応するパラ
    メータを積算する動作と、 パルス状の加熱以後に当該薄膜材料の温度に対応するパ
    ラメータを積算する動作と、 前記2つの積算値の差を算出する動作と、 が行われることを特徴とする計測装置。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項7において、 薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が0.2 ミリ秒以下であることを特徴とする
    計測装置。
  10. 【請求項10】請求項1乃至請求項7において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が2ミリ秒以下であることを特徴とする計
    測装置。
  11. 【請求項11】請求項1乃至請求項7において、当該薄
    膜材料はダイヤモンド薄膜であることを特徴とする計測
    装置。
  12. 【請求項12】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 前記流体の温度に対応した出力を得る手段と、 前記応答特性と前記流体の温度に対応した出力とから前
    記流体に関する情報を得る手段と、 を有することを特徴とする計測装置。
  13. 【請求項13】請求項12において、流体に関する情報
    は流体の流量または流速に関するものであることを特徴
    とする計測装置。
  14. 【請求項14】請求項12において、流体に関する情報
    は流体の種類に関するものであることを特徴とする計測
    装置。
  15. 【請求項15】請求項12において、流体に関する情報
    は流体中の不純物または流体中の不純物濃度に関するも
    のであることを特徴とする計測装置。
  16. 【請求項16】請求項12において、薄膜材料の応答特
    性は薄膜材料の温度変化として計測されることを特徴と
    する計測装置。
  17. 【請求項17】請求項12において、 応答特性を計測する手段では、 パルス状の加熱前に当該薄膜材料の温度に対応するパラ
    メータを積算する動作と、 パルス状の加熱以後に当該薄膜材料の温度に対応するパ
    ラメータを積算する動作と、 前記2つの積算値の差を算出する動作と、 が行われることを特徴とする計測装置。
  18. 【請求項18】請求項12において、 薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が0.2 ミリ秒以下であることを特徴とする
    計測装置。
  19. 【請求項19】請求項12において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が2ミリ秒以下であることを特徴とする計
    測装置。
  20. 【請求項20】請求項12において、パルス状の加熱を
    行う手段は、温度変化に対して抵抗値の変化の無視でき
    る材料で構成された抵抗発熱体でなることを特徴とする
    計測装置。
  21. 【請求項21】請求項12において、パルス状の加熱を
    行う手段は、温度変化に対して抵抗値の変化が10pp
    m以下の材料で構成された抵抗体でなることを特徴とす
    る計測装置。
  22. 【請求項22】請求項12において、パルス状の加熱を
    行う手段は、レーザー光を照射する手段であることを特
    徴とする計測装置。
  23. 【請求項23】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 を有し、 前記パルス状の加熱を行う手段は、流体および/または
    計測環境の温度変化に依存せずに一定の熱量を供給する
    機能を有することを特徴とする計測装置。
  24. 【請求項24】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 前記発熱体の発熱量を制御するパラメータを流体および
    /または計測環境の温度変化に対応させて変化させる手
    段と、 を有し、 前記応答特性を計測する手段は温度補償を行う機能を有
    することを特徴とする計測装置。
  25. 【請求項25】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 流体および/または計測環境の温度に対する温度補償を
    行い前記応答特性から前記流体の流量または流速を算出
    する手段と、 を有することを特徴とする計測装置。
  26. 【請求項26】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 前記応答特性から前記流体の流量または流速を算出する
    手段と、 を有し、 前記流量または流速を算出する手段は、流体および/ま
    たは計測環境の温度に対する温度補償機能を有すること
    を特徴とする計測装置。
  27. 【請求項27】請求項23乃至請求項26において、 応答特性を計測する手段では、 パルス状の加熱前に当該薄膜材料の温度に対応するパラ
    メータを積算する動作と、 パルス状の加熱以後に当該薄膜材料の温度に対応するパ
    ラメータを積算する動作と、 前記2つの積算値の差を算出する動作と、 が行われることを特徴とする計測装置。
  28. 【請求項28】請求項23乃至請求項26において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が0.2 ミリ秒以下であることを特徴とする
    計測装置。
  29. 【請求項29】請求項23乃至請求項26において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が2ミリ秒以下であることを特徴とする計
    測装置。
  30. 【請求項30】請求項23乃至請求項26において、当
    該薄膜材料はダイヤモンド薄膜であることを特徴とする
    計測装置。
  31. 【請求項31】請求項23乃至請求項26において、パ
    ルス状の加熱を行う手段として、レーザー光を照射する
    手段を用いることを特徴とする計測装置。
  32. 【請求項32】請求項23乃至請求項26において、パ
    ルス状の加熱を行う手段として、温度変化に対して抵抗
    値が変化しない材料で構成された発熱体を用いることを
    特徴する計測装置。
  33. 【請求項33】請求項23乃至請求項26において、パ
    ルス状の加熱を行う手段は、温度変化に対して抵抗値の
    変化が10ppm以下の材料で構成された抵抗体でなる
    ことを特徴とする計測装置。
  34. 【請求項34】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の応答特性を計測
    する手段と、 被計測パラメータが一定または概略一定の状態におい
    て、前記応答特性が一定または概略一定または一定の範
    囲内または概略一定の範囲内となるようにする手段と、 を有することを特徴とする計測装置。
  35. 【請求項35】請求項34において、 薄膜材料はダイヤモンド薄膜であり、 パルス状の加熱を行う手段は前記ダイヤモンド薄膜に接
    して配置された抵抗発熱体であり、 応答特性を計測する手段は、前記ダイヤモンド薄膜に接
    して配置された測温抵抗体によって、パルス状の加熱に
    際するダイヤモンド薄膜の温度変化を計測する機能を有
    し、 被計測パラメータは流体の流量であり、 応答特性が一定または概略一定または一定の範囲内また
    は概略一定の範囲内となるようにする手段は、流量一定
    かつ前記応答特性が一定または概略一定または一定の範
    囲内または概略一定の範囲内となる条件における流体お
    よび/または計測環境の温度と前記抵抗発熱体に供給す
    る電圧との関係に基づいて、流体および/または計測環
    境の温度に対応した電圧を前記抵抗発熱体に供給する機
    能を有していることを特徴とする計測装置。
  36. 【請求項36】請求項34において、被計測パラメータ
    は流体の流量であることを特徴とする計測装置。
  37. 【請求項37】請求項34において、被計測パラメータ
    は流体に含まれる所定の成分に関するものであることを
    特徴とする計測装置。
  38. 【請求項38】請求項34において、 応答特性が一定または概略一定または一定の範囲内また
    は概略一定の範囲内となるようにする手段は、 パルス状の加熱を行う手段の発熱量を制御して、前記応
    答特性が一定または概略一定となるようにする機能を有
    することを特徴とする計測装置。
  39. 【請求項39】請求項34において、 応答特性を計測する手段では、 パルス状の加熱前に当該薄膜材料の温度に対応するパラ
    メータを積算する動作と、 パルス状の加熱以後に当該薄膜材料の温度に対応するパ
    ラメータを積算する動作と、 前記2つの積算値の差を算出する動作と、 が行われることを特徴とする計測装置。
  40. 【請求項40】請求項34において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が2ミリ秒以下であることを特徴とする計
    測装置。
  41. 【請求項41】請求項34において、 当該薄膜材料は、 300Kにおける熱伝導率をKS 、比熱をCS 、密度を
    ρS 、その寸法をL=1mm角として、 τ=(CS ρS 2 /KS π2 ) で示される値が0.2 ミリ秒以下であることを特徴とする
    計測装置。
  42. 【請求項42】請求項34において、 薄膜材料はダイヤモンド薄膜であることを特徴とする計
    測装置。
  43. 【請求項43】請求項34において、 応答特性が一定または概略一定または一定の範囲内また
    は概略一定の範囲内となるようにする手段は、 薄膜材料に対してパルス状の加熱を行う手段が当該薄膜
    材料に供給する熱量を変化させるパラメータを制御し
    て、前記応答特性を一定または概略一定または一定の範
    囲内または概略一定の範囲内なものとする機能を有する
    ことを特徴とする計測装置。
  44. 【請求項44】請求項43において、 パルス状の加熱を行う手段は抵抗発熱体であり、 熱量を変化させるパラメータは前記抵抗発熱体に加えら
    れる電圧であることを特徴とする計測装置。
  45. 【請求項45】流体に接すべく配置された薄膜材料と、 該薄膜材料にパルス状の加熱を行う手段と、 該手段による加熱に従う前記薄膜材料の温度変化を計測
    する手段と、 前記流体の温度に対応した出力を得る手段と、 を有することを特徴とする計測装置。
  46. 【請求項46】請求項45において、 薄膜材料は半導体材料であり、 パルス状の加熱を行う手段および/または温度変化を計
    測する手段は、前記薄膜材料中または前記薄膜材料の表
    面に形成された一導電型を有する半導体層であることを
    特徴とする計測装置。
  47. 【請求項47】請求項45において、 薄膜材料はダイヤモンド薄膜であることを特徴とする計
    測装置。
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