JPH0859230A - 塩基性酢酸アルミニウム水溶液の製造方法 - Google Patents
塩基性酢酸アルミニウム水溶液の製造方法Info
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Abstract
塩基性酢酸アルミニウム水溶液を製造する方法を提案す
る。 【構成】 塩基性アルミニウム塩水溶液に含まれるアニ
オンを酢酸型アニオン交換樹脂によりイオン交換させ
る。
Description
た塩基性酢酸アルミニウム水溶液の製造方法に関する。
本発明の塩基性酢酸アルミニウム水溶液は、セラミック
バインダー、触媒原料、顔料や充填剤などの表面改質
剤、アルミナゾルやアルミナの製造原料あるいはアルミ
ナゾルの粘度調整剤などに好適に用いられる。
と酢酸の蒸気とを接触させることにより、塩基性酢酸ア
ルミニウムを製造する方法が開示されている。特公昭40
-5044 号には、アルミン酸カリウム水溶液と酢酸水溶液
から水溶性の塩基性酢酸アルミニウムを製造する方法が
開示されている。
11 版 339. には、水溶液中で調製すると最大の溶解度
をもった塩基性酢酸アルミニウム水溶液が得られるが、
次第に白濁しゲル化するとあり、保存安定性に優れた塩
基性酢酸アルミニウム水溶液は、安定化剤を含有してい
るのが一般的である。その安定化剤としては、尿素やチ
オ尿素( 上記のメルクインデックス 11 版 339.)、アジ
ピン酸やこはく酸の有機酸( 特開昭47-42600号) あるい
は異種の電解質〔グメリン(Gmelin)、35B 、299 頁〕な
どが知られている。さらには、カーク・オスマーの化学
技術辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Tech
nology) 第3版、第2巻、203 頁には、ほう酸を添加す
ることによって水溶性の塩基性酢酸アルミニウムを製造
する方法が記載されている。
法では、製造法自体が複雑であるのみならず得られた塩
基性酢酸アルミニウムは水溶性でない。特公昭40-5044
号の方法では、水溶性の塩基性酢酸アルミニウムが得ら
れるが、容易に除去できない大量の電解質が副生し、そ
れが用途によっては支障となる。尿素やチオ尿素、アジ
ピン酸やこはく酸の有機酸あるいはほう酸を安定化剤と
した塩基性酢酸アルミニウム水溶液については、水溶性
の塩基性酢酸アルミニウム自体の調製が容易でなく、同
時に、これらの安定化剤の存在が、塩基性酢酸アルミニ
ウムの用途を制約する問題がある。
使用しなくても長期保存安定性に優れた塩基性酢酸アル
ミニウム水溶液が簡便かつ効率的に製造できる方法を提
供するものである。
基性アルミニウム塩水溶液に含まれる酸根を酢酸型アニ
オン交換樹脂の酢酸イオンとイオン交換させることを特
徴とするAl(OH) X (CH3 COO)3-X (式中、
Xは0.9〜2.7の実数を示す)の化学組成で表示さ
れる保存安定性に優れた塩基性酢酸アルミニウム塩水溶
液の製造方法である。
使用される原料は、塩基性無機酸アルミニウム塩である
塩基性塩化アルミニウム水溶液、塩基性アミド硫酸アル
ミニウム水溶液、塩基性硫酸アルミニウム水溶液、塩基
性硝酸アルミニウム水溶液および塩基性燐酸アルミニウ
ム水溶液、並びに塩基性有機酸アルミニウム塩である塩
基性蟻酸アルミニウム水溶液および塩基性くえん酸アル
ミニウム水溶液から選ばれる。この中で、塩基性塩化ア
ルミニウム水溶液、塩基性アミド硫酸アルミニウム水溶
液および塩基性硝酸アルミニウム水溶液は、容易に調製
できるので、これらの水溶液が本発明の原料として特に
好ましく使用される。これらの水溶液は混合しても使用
できる。また塩基性塩化アルミニウム水溶液と塩基性ア
ミド硫酸アルミニウム水溶液は、工業用製品として市販
され容易に入手できるが、硫酸イオンを含有しないかま
たは少ないものが望ましい。ここで、塩基性塩化アルミ
ニウム水溶液とは、 Al(OH) x Cl3-x ( Xは0.9 〜2.7
の実数)の化学組成で示される水溶液で、Al(OH)2Cl 水
溶液やいわゆるポリ塩化アルミニウム水溶液[ Al(OH)x
Cl3-x ] Y ( 式中、Xは0.5 〜2.5 の実数、Yは20未満
の整数を示す) がよく知られている。塩基性アミド硫酸
アルミニウム水溶液と塩基性硝酸アルミニウム水溶液
は、それぞれ、Al(OH)x (NH2SO3)3-x と Al(OH) x (N
O3)3-x(ただし、Xは0.9 〜2.7 の実数) の化学組成で
表示される。これらの水溶液もポリ塩化アルミニウム水
溶液と同様に一部ポリマーとなっているが、便宜上、上
記の化学組成で表示した。原料であるいずれの塩基性ア
ルミニウム塩水溶液もポリマーを含有していてもよいが
コロイドでないものが望ましい。また、該原料水溶液の
塩基度は、30〜90%、好ましくは45〜90%である。ここ
で、塩基度とはアルミニウムイオンと結合した水酸基の
割合で、 Al(OH) x (NO3)3-xを例にすれば、(x/3) ×10
0 %を意味する。
は、通常、次のように調製される。強塩基性(II型)ア
ニオン交換樹脂をイオン交換カラムに充填し、純水にて
洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液を通液する。次
に、純水を通液し、pHがアルカリ性を示さなくなるまで
純水で洗浄する。さらに、酢酸水溶液を通液した後、酸
性を示さなくなるまで純水で洗浄すると、酢酸型アニオ
ン交換樹脂となる。
樹脂を充填したカラムに、 Al2O3換算濃度として、1 〜
30重量%好ましくは2〜25重量%の塩基性アルミニウム
塩水溶液を空間速度 1〜5 で通液すると、該原料水溶液
中の酸根は酢酸イオンと置換され、本発明の塩基性酢酸
アルミニウム水溶液が得られる。この場合、空間速度に
加えて、該原料水溶液に含まれる酸根をイオン交換する
に充分な交換容量をもった酢酸型アニオン交換樹脂を使
用することが重要であることは勿論である。また、原料
水溶液のAl2O3 換算濃度が大きくなるに従い、原料の粘
度が増加するので、空間速度をより小さくしてイオン交
換の操作を行う。また、上記のイオン交換操作時の温度
は、イオン交換樹脂の耐熱性から5〜80℃が好ましい。
このようにして、該原料水溶液の塩基度を保持したまま
で、その酸根のみがほぼ100%酢酸イオンにイオン交
換された塩基性酢酸アルミニウム水溶液が得られる。な
お、このように得られた塩基性酢酸アルミニウム水溶液
は、所望に応じてAl2O3 換算濃度として30重量%まで濃
縮することもできる。
により酢酸イオンにイオン交換するという簡単な操作の
みで、安定化剤を全く含まなくても、長期保存安定性の
良好な塩基性酢酸アルミニウム水溶液が得られるが、準
安定状態にしては余りにも安定であり、1年以上の長期
間でも白濁や沈殿は全く見られず高い保存安定性を有す
ることは全く予想外のことであった。
水溶液自体あるいは生成した塩基性酢酸アルミニウム水
溶液に白濁や沈殿を生ずる恐れがあり、30%未満の塩基
度では、塩基性塩である特徴が失われて用途が制約され
る。また、原料水溶液のAl2O 3 換算濃度が30重量%以上
では、イオン交換操作中または生成した塩基性酢酸アル
ミニウム水溶液に白濁や沈殿が生ずる恐れがあり、1 重
量%以下では効率的でなく実用性に乏しい。
説明する。 実施例1 市販の塩基性塩化アルミニウム水溶液( Al2O3 換算濃度
23.5 重量%、塩素イオン 8.15 重量%、塩基度83.3
%、 pH 4.0)を純水で希釈してAl2O3 換算濃度 5.0重量
%の塩基性塩化アルミニウム水溶液を調製した。この水
溶液を空間速度5にて酢酸型アニオン交換樹脂カラムに
通液して塩基性酢酸アルミニウム水溶液を得た後、Al2O
3 換算濃度約10重量%まで濃縮した。常圧濃縮液と減圧
濃縮液の分析結果を第1表に示した。得られた塩基性酢
酸アルミニウム水溶液の減圧乾燥品のX線回折により、
塩基性酢酸アルミニウムは無定形であることがわかっ
た。
表の分析値より、得られた塩基性酢酸アルミニウム水溶
液の塩基度は、常圧濃縮液と減圧濃縮液にて、それぞれ
86%と85%であると算出した。また、いずれの濃縮液も
密閉下60℃で90日経過後にて沈殿などが全く認めら
れず、長期保存安定性に優れた塩基性酢酸アルミニウム
水溶液であった。 実施例2 まず、塩基性硝酸アルミニウム水溶液を調製した。硝酸
アルミニウムAl(NO3)3・9H2O 187.5g を純水800gに溶解
した後、この水溶液を沸騰させ、約31g のアルミニウム
金属粉末を徐々に溶解・反応させた。得られた水溶液
は、Al2O3 換算濃度 7.80 重量%、硝酸イオン8.56重量
%を含み、塩基度87.3%の塩基性硝酸アルミニウム水溶
液であり、そのpHは4.99であった。実施例1と同様に酢
酸型アニオン交換樹脂を充填したカラムにこの水溶液を
通液して塩基性酢酸アルミニウム水溶液を得た。その分
析値は、Al2O3 5.81重量%および酢酸イオン 2.6重量%
であり、pHは5.84であった。分析値よりその塩基度は88
%と算出した。また、この塩基性酢酸アルミニウム水溶
液も保存安定性に優れていることを確認した。
14.5 重量%、塩素イオン 12.0 重量%、塩基度60.3
%、 pH 3.0)を希釈しないで空間速度3にて酢酸型アニ
オン交換樹脂カラムに通液して塩基性酢酸アルミニウム
水溶液を得た。その分析値は、Al2O3 11.8重量%および
酢酸イオン 16.3重量%であり、pHは3.7であった。分
析値よりその塩基度は60.2%と算出した。また、この塩
基性酢酸アルミニウム水溶液も長期保存安定性に優れて
いた。
算濃度24.2重量%、アミド硫酸イオン濃度33.4重量%、
塩基度48.9%、 pH 2.30) 希釈しないで空間速度1 にて
酢酸型アニオン交換樹脂カラムに通液して塩基性酢酸ア
ルミニウム水溶液を得た。その分析値は、Al2O3 20.2重
量%および酢酸イオン17.5重量%であり、pHは2.9 であ
った。分析値よりその塩基度は49.1%と算出した。ま
た、この塩基性酢酸アルミニウム水溶液も長期保存安定
性に優れていた。
ム水溶液は、安定化剤を全く含まずしかも常温で1年以
上も安定であるので、セラミックバインダー、触媒原料
のアルミナ源やアルミナバインダー、顔料・充填剤など
の表面改質剤、アルミナゾルの粘度調整剤などに広範囲
に利用できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 塩基性アルミニウム塩水溶液に含まれる
酸根を酢酸型アニオン交換樹脂の酢酸イオンとイオン交
換させることを特徴とするAl(OH)X (CH3 CO
O)3-X (式中、Xは0.9〜2.7 の実数を示す)の
化学組成で表示される保存安定性に優れた塩基性酢酸ア
ルミニウム水溶液の製造方法。 - 【請求項2】 塩基性アルミニウム塩水溶液が、塩基性
塩化アルミニウム水溶液、塩基性アミド硫酸アルミニウ
ム水溶液および塩基性硝酸アルミニウム水溶液から選ば
れる請求項1記載の塩基性酢酸アルミニウム水溶液の製
造方法。
Priority Applications (1)
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JP20195394A JP3644051B2 (ja) | 1994-08-26 | 1994-08-26 | 塩基性酢酸アルミニウム水溶液の製造方法 |
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