JPH0857310A - 吸水剤およびその製造方法並びに吸水剤を含む吸収性物品 - Google Patents

吸水剤およびその製造方法並びに吸水剤を含む吸収性物品

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JPH0857310A
JPH0857310A JP7145010A JP14501095A JPH0857310A JP H0857310 A JPH0857310 A JP H0857310A JP 7145010 A JP7145010 A JP 7145010A JP 14501095 A JP14501095 A JP 14501095A JP H0857310 A JPH0857310 A JP H0857310A
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克之 和田
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Yoshihiko Masuda
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 吸水剤は、吸収開始から60分後の拡散吸収倍
率が25 g/g以上で、かつ、水可溶成分量が0を越え、7
重量%以下である。上記の吸水剤は、特定の3価以上の
アルコールと不飽和カルボン酸とのエステル化物からな
る所定の架橋剤主成分と、分子中に上記アルコール骨格
を2個以上有する高沸成分とを特定組成で含む架橋剤を
用い、該架橋剤および分散剤の存在下に、50モル%以上
が中和されたアクリル酸を主成分とする親水性不飽和単
量体を水溶液重合させて得られる吸水剤前駆体を、特定
条件下に表面架橋処理することにより得られる。上記の
拡散吸収倍率は、図1に示す測定装置を用いて測定され
る。 【効果】 拡散吸収倍率が高く、水可溶成分量が少な
く、しかも、長時間経過後の水性液体の戻り量が少な
く、非常に高い液拡散性や、長時間にわたって安定した
吸水量を保持する等の優れた性能を示す吸水剤を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、紙オムツ(使
い捨てオムツ)や生理用ナプキン、いわゆる失禁パット
等の衛生材料に好適に用いられる吸水剤、および、その
製造方法、並びに、吸水剤を含む吸収性物品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわ
ゆる失禁パット等の衛生材料には、その構成材として、
体液を吸収させることを目的とする吸水性樹脂が幅広く
利用されている。
【0003】上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリ
アクリル酸部分中和物架橋体(特開昭55-84304号公報、
特開昭 55-108407号公報、特開昭 55-133413号公報)、
澱粉−アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物
(特開昭46-43995号公報)、澱粉−アクリル酸グラフト
重合体の中和物(特開昭 51-125468号公報)、酢酸ビニ
ル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物(特開昭52
-14689号公報)、アクリロニトリル共重合体若しくはア
クリルアミド共重合体の加水分解物(特開昭53-15959号
公報)またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架
橋体(特開昭 58-154709号公報、特開昭 58-154710号公
報)等が知られている。
【0004】上記の吸水性樹脂が備えるべき特性として
は、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水量や吸水
速度、ゲル強度、水性液体を含んだ基材から水を吸い上
げる吸引力等が挙げられる。そして、従来より、これら
の吸収特性の中から種々の特定範囲の物性を複数併せ持
ち、紙オムツや生理用ナプキン等の衛生材料に用いられ
た場合に、優れた性能(吸水特性)を示す吸水性樹脂、
または、該吸水性樹脂を用いた吸収体や吸収性物品が種
々提案されている。例えば、特定のゲル容量や剪断弾性
率、抽出性重合体含量を組み合わせた吸水性樹脂(米国
特許第 4,654,039号)、吸水量や吸水速度、ゲル強度を
特定した吸水性樹脂、および、該吸水性樹脂を用いた紙
オムツや生理用ナプキン(特開昭 60-185550号公報、特
開昭 60-185551号公報、特開昭 60-185804号公報)、特
定の吸水量や吸水速度、ゲル安定性を有する吸水性樹脂
を用いた紙オムツ(特開昭 60-185805号公報)、吸水量
や吸引力、水可溶成分量を特定した吸水性樹脂を配した
吸水性物品(特開昭63-21902号公報)、吸水量や加圧下
の吸水量、ゲル破壊強度を特定した吸水性樹脂を含有す
る吸水性衛生用品(特開昭63-99861号公報)、吸水量や
加圧下の吸水速度を特定した吸水性樹脂を含有する紙オ
ムツ(特開平 2-34167号公報)、加圧下の吸水量や、そ
の粒径を特定した吸水性樹脂を含有する吸水剤(欧州特
許第 339,461号)、吸水速度や短時間での加圧下の吸水
量を特定した吸水性樹脂を特定量以上含有する吸水剤
(欧州特許第 443,627号)、負荷時の変形や吸い上げ指
数を特定した吸水性樹脂を特定量以上含有する吸水性複
合材料(欧州特許第 532,002号)等が知られている。
【0005】一方、近年、紙オムツや生理用ナプキン等
の衛生材料は、高機能化かつ薄型化が進み、衛生材料一
枚当たりの吸水性樹脂の使用量、または、主に吸水性樹
脂と親水性繊維とからなる吸収体における吸水性樹脂の
重量%(以下、樹脂濃度と称する)が増える傾向にあ
る。つまり、かさ比重の小さい親水性繊維を少なくし、
吸水性に優れ、かつ、かさ比重の大きい吸水性樹脂を多
くすることにより、吸収体における吸水性樹脂の比率を
高め、これにより吸水量を低下させることなく衛生材料
の薄型化を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発
明者等が、衛生材料の吸水量を増加させるために、例え
ば吸収体における樹脂濃度を増加させるべく種々検討し
た結果、従来よりも樹脂濃度を高くした吸収体を用い、
かつ、衛生材料からの水性液体の漏れ等の不都合を防止
するには、上述した吸水量や吸水速度、ゲル強度、吸引
力等の特性を制御するだけでは不充分であることが見い
出された。例えば、近年、特に注目されている、加圧下
の吸水量のみが非常に大きい吸水性樹脂においては、樹
脂濃度を高くすると、吸収体での液拡散性が極端に低下
する現象等が生じるという問題点を有している。
【0007】また、本願発明者等は、従来よりも樹脂濃
度を高くした吸収体の吸水特性に着目して種々検討した
結果、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した混合
物を吸収体として用いると、樹脂濃度が低い場合には一
定レベルの吸水特性を示すものの、樹脂濃度が40重量%
を越えると液拡散性が急激に低下し、吸収体の吸水量が
低下する現象や、長時間経過後の吸水能力が低下し、水
性液体の戻り量が増える現象等が生じることを見い出し
た。即ち、公知の吸水性樹脂と親水性繊維とを混合した
混合物を吸収体として用いると、上記の問題点が生じる
こととなる。
【0008】従って、本発明の目的は、上述した問題点
を解決し、例えば、衛生材料等に用いた場合に、樹脂濃
度や吸収体の構成等に殆ど左右されず、常に非常に高い
液拡散性や、長時間にわたって安定した吸水量を保持す
る等の優れた性能(吸水特性)を示すことができる吸水
剤、および、その製造方法、並びに、該吸水剤を含む吸
収性物品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく、吸水剤およびその製造方法、並びに、
該吸水剤を含む吸収性物品について鋭意検討した結果、
或る特定の組成からなる架橋剤を或る特定量用い、該架
橋剤および分散剤の存在下に、50モル%以上が中和され
たアクリル酸を主成分とする親水性不飽和単量体を水溶
液重合させて吸水剤前駆体を合成し、この吸水剤前駆体
を特定範囲の含水率、かつ、特定範囲の粒径に調整した
後、表面架橋剤の存在下に加熱処理する、という製造方
法により得られる吸水剤が、上記従来の吸水性樹脂が備
えていない優れた性能(吸水特性)、即ち、吸水性樹脂
の使用量が多い場合や、吸収体における樹脂濃度が高い
場合においても、吸収体の構成等に殆ど左右されず、非
常に高い液拡散性や、長時間にわたって安定した吸水量
を保持する等の優れた性能を備えていることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、請求項1記載の発明の吸水剤は、上
記の課題を解決するために、吸収開始から60分後の拡散
吸収倍率が25 g/g以上で、かつ、水可溶成分量が0を越
え、7重量%以下であることを特徴としている。
【0011】請求項2記載の発明の吸収性物品は、上記
の課題を解決するために、吸収開始から60分後の拡散吸
収倍率が25 g/g以上で、かつ、水可溶成分量が0を越
え、7重量%以下である吸水剤を含む吸収体を有するこ
とを特徴としている。
【0012】請求項3記載の発明の吸収性物品は、上記
の課題を解決するために、請求項2記載の吸収性物品に
おいて、上記吸収体が親水性繊維を含み、該吸収体にお
ける親水性繊維の割合が、0を越え、60重量%以下であ
ることを特徴としている。
【0013】また、請求項4記載の発明の吸水剤前駆体
の製造方法は、上記の課題を解決するために、50モル%
以上が中和されたアクリル酸を主成分とする親水性不飽
和単量体を、架橋剤および分散剤の存在下に水溶液重合
させる吸水剤前駆体の製造方法であって、上記架橋剤と
して、炭素数が6以下でかつ3価以上のアルコールと不
飽和カルボン酸とのエステル化物からなり、かつ、該3
価以上のアルコールの全ての水酸基が該不飽和カルボン
酸とエステル結合を形成した場合の化合物の分子量を1
として、この化合物の分子量に対する分子量の比が 0.7
以上、 1.3未満の範囲にある架橋剤主成分と、分子中に
上記アルコール骨格を2個以上有する高沸成分とからな
り、かつ、該架橋剤主成分と高沸成分との重量比が75/
25〜99/1の範囲内である架橋剤を、上記親水性不飽和
単量体に対して0.05モル%以上、0.5モル%以下の範囲
で用いることを特徴としている。
【0014】請求項5記載の発明の吸水剤前駆体の製造
方法は、上記の課題を解決するために、請求項4記載の
吸水剤前駆体の製造方法において、炭素数が6以下でか
つ3価以上のアルコールがトリメチロールプロパンであ
り、かつ、不飽和カルボン酸がアクリル酸であることを
特徴としている。
【0015】請求項6記載の発明の吸水剤の製造方法
は、上記の課題を解決するために、上記請求項4で得ら
れた吸水剤前駆体を、含水率が10%以下、かつ、平均粒
径が 200μm〜600 μmの範囲内で、しかも、粒径が 1
06μm未満の粒子の割合が10重量%以下となるように調
整した後、該吸水剤前駆体を表面架橋剤の存在下に加熱
処理することを特徴としている。
【0016】請求項7記載の発明の吸水剤の製造方法
は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の吸水
剤の製造方法において、上記表面架橋剤が、カルボキシ
ル基と反応可能な、溶解度パラメータ(SP値)が12.5
(cal/cm3)1/2以上の第一表面架橋剤、および、溶解度パ
ラメータが12.5(cal/cm3)1/2未満の第二表面架橋剤から
なり、かつ、上記加熱処理の処理温度が 160℃以上であ
ることを特徴としている。
【0017】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おける拡散吸収倍率とは、吸水性樹脂の坪量が高く、か
つ、外力によって樹脂粒子同士が密着している状態にお
ける水性液体の拡散力を加味した、吸水剤の吸水量を評
価するための新規な物性値である。上記の拡散吸収倍率
は、所定条件下での測定における、吸収開始から所定時
間後、例えば60分後の測定値から算出される。尚、拡散
吸収倍率の測定方法については、後段の実施例にて詳述
する。
【0018】拡散吸収倍率により、吸水剤、即ち、吸水
性樹脂の新たな特性を評価することができる。即ち、こ
の拡散吸収倍率により、吸水性樹脂が水性液体を樹脂層
方向(以下、横方向と称する)にどの程度均一に素早く
拡散させることができるか、また、吸水性樹脂全体とし
て実際にどの程度の吸水量を備えているかを評価するこ
とができる。水性液体の横方向への液拡散性は、水性液
体を多量に吸収する上において、特に重要な因子であ
る。そして、上記評価の結果から、例えば、主に吸水性
樹脂と親水性繊維とからなる吸収体、特に、吸水性樹脂
の重量%(以下、樹脂濃度と称する)が高い吸収体にお
ける吸水性樹脂の吸水挙動をも容易に予測することがで
きる。尚、吸収体の構成については後述する。
【0019】尚、上述した先行出願には、加圧下の吸水
量を評価している文献が多数見受けられる。しかしなが
ら、該吸水量の従来の評価は、樹脂層方向と直交する方
向(以下、縦方向と称する)についてのみ行われてい
る。このため、水性液体が横方向にどの程度均一に素早
く拡散するかについては、殆ど評価されていない。従っ
て、上記従来の評価の結果からは、例えば樹脂濃度が高
い吸収体を用いた紙オムツ等における、該吸収体の吸水
挙動を正確に予測することができない。
【0020】本発明における水可溶成分量とは、上記拡
散吸収倍率が優れた吸水性樹脂の場合に、長時間経過後
における水性液体の再拡散性や、一旦吸水した水性液体
を長時間保持する能力を評価するための物性値となる。
上記の水可溶成分量は、所定条件下での測定によって求
められる。尚、水可溶成分量の測定方法については、後
段の実施例にて詳述する。
【0021】拡散吸収倍率が優れていても、水可溶成分
量が本発明の範囲外である吸水性樹脂は、長時間経過後
の水性液体の戻り量が多くなる傾向にある。これに対
し、本発明における吸水剤、即ち、吸水性樹脂は、上記
の拡散吸収倍率および水可溶成分量の2つの物性値を両
方共満足しており、従って、優れた性能を備えている。
【0022】本発明の吸水剤は、拡散吸収倍率が25 g/g
以上で、かつ、水可溶成分量が7重量%以下である。拡
散吸収倍率が25 g/g未満の吸水剤、即ち、吸水性樹脂
は、樹脂濃度を高くした(高濃度の)吸収体における横
方向の液拡散性が劣り、吸収体の吸収容量が小さくな
る。拡散吸収倍率は、28 g/g以上がより好ましく、30 g
/g以上がさらに好ましく、32 g/g以上が最も好ましい。
また、拡散吸収倍率が25 g/g以上であっても、水可溶成
分量が7重量%を越える吸水性樹脂は、長時間経過後の
水性液体の戻り量が多くなる。水可溶成分量は、5重量
%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好まし
い。本発明においては、拡散吸収倍率は、所定条件下で
の測定における、吸収開始から60分後の測定値で定義さ
れるが、上記の拡散吸収倍率に加えて、さらに、吸収開
始から20分後の測定値から算出される拡散吸収倍率が15
g/g以上の吸水性樹脂が好ましく、20 g/g以上の吸水性
樹脂がより好ましい。
【0023】本発明の吸収性物品は、上記の優れた特性
を有する吸水剤をその吸収体として含むことが特徴であ
るが、該吸収体は、吸水剤の他に、必要に応じて親水性
繊維を含んでいてもよい。そして、吸収体が例えば吸水
剤と親水性繊維とからなる場合には、吸収体の構成とし
ては、例えば、吸水剤と親水性繊維とを均一に混合した
構成、層状に形成した親水性繊維間に吸水剤を挟持した
構成、吸水剤と親水性繊維とを均一に混合して層状に形
成し、この上に、層状に形成した親水性繊維を積層した
構成、吸水剤と親水性繊維とを均一に混合して層状に形
成し、これと、層状に形成した親水性繊維との間に吸水
剤を挟持した構成等が挙げられる。尚、吸収体の構成
は、上記例示の構成に限定されるものではない。
【0024】上記の親水性繊維としては、例えば、木材
から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミ
ケミカルパルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レー
ヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等が挙げられ
る。上記例示の繊維のうち、セルロース繊維が好まし
い。また、親水性繊維は、ポリアミドやポリエステル、
ポリオレフィン等の合成繊維を含有していてもよい。
尚、親水性繊維は、上記例示の繊維に限定されるもので
はない。
【0025】本発明の吸水剤が優れた特性を示すために
は、該吸収体における親水性繊維の割合が、0を越え、
60重量%以下であることが好ましく、20重量%以上、40
重量%以下であることがより好ましい。尚、該吸収体に
おける樹脂濃度が高ければ高いほど、本発明の吸水剤の
特性は顕著に現れるが、吸収体中に親水性繊維を如何な
る割合で含有していても、本発明の吸水剤は、その性能
を充分に発揮することができる。また、吸水剤の性能
は、前記した吸収体の構成には殆ど影響されない。
【0026】また、吸収体における親水性繊維の割合が
比較的少ない場合には、接着性バインダーを用いて吸収
体、つまり、親水性繊維同士を接着させてもよい。親水
性繊維同士を接着させることにより、吸水剤の使用前や
使用中における吸収体の強度や保形性を高めることがで
きる。
【0027】上記の接着性バインダーとしては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、1−ブテン−エチレン共重合体等のポリオレフィン
繊維等の熱融着繊維や接着性を有するエマルション等が
例示できる。これら接着性バインダーは、単独で用いて
もよく、また、2種類以上を混合して用いてもよい。親
水性繊維と接着性バインダーとの重量比は、50/50〜99
/1の範囲内が好ましく、70/30〜95/5の範囲内がよ
り好ましく、80/20〜95/5の範囲内がさらに好まし
い。
【0028】本発明にかかる吸水剤は、或る特定の組成
からなる架橋剤を或る特定量だけ用い、該架橋剤および
分散剤の存在下に、50モル%以上が中和されたアクリル
酸を主成分とする親水性不飽和単量体を水溶液重合させ
て得られる吸水剤前駆体を特定範囲の含水率、かつ、特
定範囲の粒径に調整した後、該吸水剤前駆体を表面架橋
剤の存在下に加熱処理する、という製造方法により得ら
れる。
【0029】本発明において原料として用いられる親水
性不飽和単量体は、その主成分がアクリル酸およびその
中和物である。そして、アクリル酸は、吸水剤の吸水特
性を向上させるために、その50モル%以上が、例えば、
アルカリ金属塩やアンモニウム塩、アミン塩等により中
和されていることが好ましい。さらに、吸水剤の吸水特
性をより一層向上させるために、アクリル酸の65モル%
〜80モル%程度の量が中和されていることがより好まし
い。
【0030】上記の親水性不飽和単量体は、必要に応じ
て、アクリル酸以外の不飽和単量体を含有していてもよ
い。アクリル酸以外の不飽和単量体としては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、メタクリ
ル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等
のアニオン性不飽和単量体およびその塩;アクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリル
アミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピ
ロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロ
イルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量
体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、および、これらの四級塩等のカチオン性不飽
和単量体等が挙げられる。これら他の不飽和単量体を用
いる場合は、主成分として用いるアクリル酸およびその
中和物との合計量に対して、50モル%未満で用いること
が好ましい。
【0031】本発明における架橋剤は、複数の官能基を
有する(以下、多官能と称する)アクリレートをはじめ
とする不飽和カルボン酸エステルのうち、炭素数が6以
下でかつ3価以上のアルコール(以下、3価以上のアル
コールと称する)と不飽和カルボン酸とのエステル化反
応、或いは、3価以上のアルコールと不飽和カルボン酸
エステルとのエステル交換反応により得られるものであ
る。ところが、上記3価以上のアルコールの全ての水酸
基が該不飽和カルボン酸とエステル結合を形成した不飽
和カルボン酸エステル、即ち、所望の不飽和カルボン酸
エステルを工業的スケールにおいて高選択率および高収
率で、かつ、安価に得ることは現時点では困難である。
そして、反応条件にもよるが、通常、工業的に上記の不
飽和カルボン酸エステル類を合成すると、所望の不飽和
カルボン酸エステルに加えて、分子中に該アルコール骨
格を2個以上有する高沸成分が多量に生成する。
【0032】そこで、本願発明者等は、工業的に入手可
能な不飽和カルボン酸エステル類、即ち、該高沸成分を
含有する不飽和カルボン酸エステル類を架橋剤として用
いて親水性不飽和単量体を水溶液重合させ、性能の優れ
た吸水性樹脂を得るべく、鋭意検討した。その結果、該
高沸成分を含有する不飽和カルボン酸エステル類を用い
て水溶液重合を行った場合には、吸水剤の拡散吸収倍率
が向上し難く、水可溶成分量も低減され難いことが判明
した。そこで、拡散吸収倍率や液拡散性等の性能に優
れ、しかも、水可溶成分量が低減された吸水性樹脂(つ
まり、吸水剤)を得るべく、さらに鋭意検討した。その
結果、分散剤の存在下に、高沸成分の含有量を特定の範
囲内に制御した架橋剤を、特定の使用量で用いた場合に
のみ、水可溶成分量が飛躍的に低減され、かつ、拡散吸
収倍率等の性能に優れた吸水剤が得られることを見い出
した。
【0033】即ち、本発明において用いられる架橋剤
は、炭素数が6以下でかつ3価以上のアルコールと不飽
和カルボン酸とのエステル化物からなり、かつ、該3価
以上のアルコールの全ての水酸基が該不飽和カルボン酸
とエステル結合を形成した場合の化合物の分子量を1と
して、この化合物の分子量に対する分子量の比が 0.7以
上、 1.3未満の範囲にある架橋剤主成分と、分子中に上
記アルコール骨格を2個以上有する高沸成分とからな
り、かつ、該架橋剤主成分と高沸成分との重量比が75/
25〜99/1の範囲内である架橋剤である。
【0034】本発明の架橋剤を調製する場合において用
いることができる3価以上のアルコールとしては、特に
限定されるものではないが、グリセリン、トリメチロー
ルエタン、テトラメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、テトラヒドロキシエタン、ペンタエリスリトー
ル等が好ましい。このうち、トリメチロールプロパンが
特に好ましい。また、架橋剤を調製する場合において用
いることができる不飽和カルボン酸としては、前述のカ
ルボキシル基を有する親水性不飽和単量体が挙げられる
が、とりわけ、アクリル酸が好ましい。
【0035】上述のように、架橋剤主成分としては、前
記3価以上のアルコールをアルコール成分とし、前記不
飽和カルボン酸を酸成分とする多官能不飽和カルボン酸
エステル類のうち、該3価以上のアルコールの全ての水
酸基が該不飽和カルボン酸とエステル結合を形成した場
合の化合物の分子量を1として、この化合物の分子量に
対する分子量の比が 0.7以上、 1.3未満の範囲にある化
合物が挙げられる。
【0036】例えば、3価以上のアルコールとしてトリ
メチロールプロパン、不飽和カルボン酸としてアクリル
酸を用いた場合の架橋剤主成分としては、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパン
ジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレー
トモノ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)等が
挙げられる。また、例えば、3価以上のアルコールとし
てグリセリン、不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用
いた場合の架橋剤主成分としては、グリセリントリアク
リート、グリセリンジアクリレート等が挙げられる。3
価以上のアルコールとしてトリメチロールエタン、不飽
和カルボン酸としてアクリル酸を用いた場合の架橋剤主
成分としては、トリメチロールエタントリアクリレー
ト、トリメチロールエタンジアクリレート等が挙げられ
る。3価以上のアルコールとしてテトラメチロールエタ
ン、不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用いた場合の
架橋剤主成分としては、テトラメチロールエタンテトラ
アクリレート、テトラメチロールエタントリアクリレー
ト等が挙げられる。3価以上のアルコールとしてテトラ
ヒドロキシエタン、不飽和カルボン酸としてアクリル酸
を用いた場合の架橋剤主成分としては、テトラヒドロキ
シエタンテトラアクリレート、テトラヒドロキシエタン
トリアクリレート等が挙げられる。3価以上のアルコー
ルとしてペンタエリスリトール、不飽和カルボン酸とし
てアクリル酸を用いた場合の架橋剤主成分としては、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリス
リトールトリアクリレート等が挙げられる。
【0037】上記の架橋剤が含有する高沸成分は、その
構造は複雑であるが、架橋剤主成分を合成する際に、副
生成物として得られる化合物である。例えば、3価以上
のアルコールとしてトリメチロールプロパン、不飽和カ
ルボン酸としてアクリル酸を用いた場合の高沸成分とし
ては、分子中にトリメチロールプロパン骨格を2個以上
有する縮合物、例えばトリメチロールプロパントリアク
リレートとトリメチロールプロパンジアクリレートとの
付加反応により生成する化合物、トリメチロールプロパ
ンジアクリレートの二量体、トリメチロールプロパンジ
アクリレートとトリメチロールプロパンモノアクリレー
トとの付加反応により生成する化合物等が挙げられる。
【0038】上記の架橋剤における架橋剤主成分と高沸
成分との重量比は、75/25〜99/1の範囲内であること
が必要であり、80/20〜90/10の範囲内がより好まし
い。架橋剤における架橋剤主成分と高沸成分との重量比
が75/25よりも小さい場合、即ち、架橋剤主成分および
高沸成分の合計に対する架橋剤主成分の割合が、75重量
%未満(つまり、高沸成分の割合が、25重量%を越え
る)の場合には、本発明における分散剤を用いても、拡
散吸収倍率や液拡散性等の性能に優れ、しかも、水可溶
成分量が低減された吸水剤を得ることができないため、
好ましくない。また、架橋剤主成分と高沸成分との重量
比が99/1よりも大きい架橋剤、即ち、架橋剤主成分お
よび高沸成分の合計に対する架橋剤主成分の割合が、99
重量%を越える(つまり、高沸成分の割合が、1重量%
未満の)架橋剤は、工業的に容易に入手することが困難
であるため、好ましくない。尚、架橋剤主成分の割合が
99重量%を越える架橋剤を用いても、架橋剤主成分の割
合が75重量%〜99重量%の架橋剤を用いた場合に比べ
て、顕著な効果は認められなかった。
【0039】架橋剤の使用量は、親水性不飽和単量体に
対して0.05モル%以上、 0.5モル%以下の範囲であり、
0.07モル%以上、 0.2モル%以下の範囲が好ましい。架
橋剤の使用量が0.05モル%よりも少ない場合、並びに、
0.5モル%よりも多い場合には、吸水剤の拡散吸収倍率
が低下したり、水可溶成分量が増加し、好ましくない。
尚、架橋剤の使用量は、炭素数が6以下でかつ3価以上
のアルコールをアルコール成分とし、不飽和カルボン酸
を酸成分とする多官能不飽和カルボン酸エステル類にお
いて、該3価以上のアルコールの全ての水酸基が該不飽
和カルボン酸とエステル結合を形成した場合の化合物、
即ち、架橋剤主成分の分子量に基づいて算出すればよ
い。
【0040】本発明において水溶液重合時に用いられる
分散剤は、架橋剤と相溶性があり、水に均一に溶解する
化合物が好ましく、また、一般に、工業的に入手可能な
化合物が望ましい。上記の分散剤としては、例えば、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンア
シルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等のノニオン性界
面活性剤;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルポリオキシエチレンサ
ルフェート塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオ
ン性界面活性剤;アルキル第四級アンモニウム塩、アル
キルアミン塩等のカチオン性界面活性剤;アルキルベタ
イン、レシチン等の両性界面活性剤;カルボキシル基を
有する親油性ポリマー、部分ケン化ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース等の高分子化合物等が挙げ
られる。上記例示の分散剤のうち、水溶性の界面活性剤
や水分散性の界面活性剤が好ましく、親水性油性バラン
ス(HLB:hydrophilic-lipophilic balance)が10以
上のノニオン性界面活性剤が最も好ましい。
【0041】分散剤の使用量は、架橋剤に対して1重量
%〜 100重量%の範囲内が好ましく、5重量%〜50重量
%の範囲内がより好ましい。また、分散剤の使用量は、
親水性不飽和単量体から得られる吸水性樹脂 100重量部
に対して 0.005重量部以上、0.5 重量部以下が好まし
い。
【0042】水溶液重合時における分散剤の混合方法
(添加方法)は、特に限定されるものではない。例え
ば、架橋剤と分散剤とを直接混合した後、この混合液
と、親水性不飽和単量体またはその水溶液とを混合して
もよい。または、架橋剤と分散剤の水溶液若しくは水分
散液とを混合した後、この混合液と、親水性不飽和単量
体またはその水溶液とを混合してもよい。または、架橋
剤と、分散剤と、親水性不飽和単量体またはその水溶液
の一部とを混合した後、この混合液と、親水性不飽和単
量体またはその水溶液の残りとを混合してもよい。また
は、架橋剤と、分散剤の水溶液若しくは水分散液と、親
水性不飽和単量体またはその水溶液の一部とを混合した
後、この混合液と、親水性不飽和単量体またはその水溶
液の残りとを混合してもよい。上記例示の混合方法のう
ち、架橋剤と、分散剤と、親水性不飽和単量体またはそ
の水溶液の一部とを混合した後、この混合液と、親水性
不飽和単量体またはその水溶液の残りとを混合する方法
が好ましい。また、架橋剤と、分散剤と、親水性不飽和
単量体としてのアクリル酸とを混合した後、この混合液
と、親水性不飽和単量体またはその水溶液の残り(つま
り、アクリル酸の中和物等)とを混合する方法がより好
ましい。
【0043】親水性不飽和単量体を架橋剤および分散剤
の存在下に水溶液重合させる際の、該水溶液における親
水性不飽和単量体の濃度は、25重量%以上、飽和濃度と
なる重量%以下が好ましく、30重量%以上、45重量%以
下がより好ましい。
【0044】また、重合開始時には、例えば、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’
−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジ
カル重合開始剤、或いは、紫外線や電子線等の活性エネ
ルギー線等を用いることができる。また、酸化性ラジカ
ル重合開始剤を用いる場合には、例えば、亜硫酸ナトリ
ウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコ
ルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合を行って
も良い。これら重合開始剤の使用量は、 0.001モル%〜
2モル%の範囲内が好ましく、0.01モル%〜 0.5モル%
の範囲内がより好ましい。
【0045】また、本発明にかかる吸水剤は、前記した
水溶液重合によって得られる吸水剤前駆体を、含水率が
10%以下、かつ、平均粒径が 200μm〜600 μmの範囲
内で、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割合が10重
量%以下となるように分級等の操作により調整した後、
該吸水剤前駆体を表面架橋剤の存在下に加熱処理するこ
とにより得られる。上記吸水剤前駆体は、所定形状に造
粒されていてもよく、また、球状、鱗片状、不定形破砕
状、顆粒状等の種々の形状であってもよい。さらに、吸
水剤前駆体は、1次粒子であってもよく、また、1次粒
子の造粒体であってもよい。尚、含水率が10%を越える
場合や、平均粒径が 200μm〜600 μmの範囲外である
場合、粒径が 106μm未満の粒子の割合が10重量%を越
える場合には、拡散吸収倍率等の性能に優れた吸水剤を
得ることができないため、好ましくない。
【0046】本発明における表面架橋剤は、カルボキシ
ル基と反応可能な化合物や、通常、該用途に用いられて
いる公知の表面架橋剤が好適である。上記の表面架橋剤
としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコー
ル、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4
−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シク
ロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノー
ル、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエ
チレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエ
リスリトール、ソルビトール等の2価以上のアルコール
化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロ
ールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシ
ドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチ
レンイミン等の多価アミン化合物;2,4−トリレンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の
多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキ
サゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3−ジオキ
ソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン
−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン
−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−
オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−
2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル
−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−
1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン
−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピク
ロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピク
ロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン等のシランカップリング剤;亜鉛やカ
ルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニ
ウム等の水酸化物または塩化物等の多価金属化合物等が
挙げられる。これら表面架橋剤は、単独で用いてもよ
く、また、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0047】特に、表面架橋剤が、溶解度パラメータ
(SP値)が互いに異なる第一表面架橋剤および第二表
面架橋剤を組み合わせてなる場合には、拡散吸収倍率が
さらに一層優れた吸水剤を得ることができる。尚、上記
の溶解度パラメータとは、化合物の極性を表すファクタ
ーとして一般に用いられる値である。本発明において
は、上記の溶解度パラメータに対して、ポリマーハンド
ブック第3版(WILEY INTERSCIENCE社発行) 527頁〜 5
39頁に記載されている溶媒の溶解度パラメータδ(cal/c
m3)1/2の値を適用することとする。また、上記の頁に記
載されていない溶媒の溶解度パラメータに関しては、該
ポリマーハンドブックの 524頁に記載されているSma
llの式に、同 525頁に記載されているHoyの凝集エ
ネルギー定数を代入して導かれる値を適用することとす
る。
【0048】上記の第一表面架橋剤は、カルボキシル基
と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2
上の化合物が好ましく、13.0(cal/cm3)1/2以上の化合物
がより好ましい。上記の第一表面架橋剤としては、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレ
ンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン)、
プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキ
ソラン−2−オン)等が挙げられるが、これら化合物に
限定されるものではない。これら第一表面架橋剤は、単
独で用いてもよく、また、2種類以上を混合して用いて
もよい。
【0049】上記の第二表面架橋剤は、カルボキシル基
と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)1/2
満の化合物が好ましく、 9.5(cal/cm3)1/2〜12.0(cal/c
m3)1 /2の範囲内の化合物がより好ましい。上記の第二表
面架橋剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオ
ール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエー
テル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリ
グリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,5−ジメ
チル−1,3−ジオキソラン−2−オン、エピクロロヒ
ドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられるが、これら
化合物に限定されるものではない。これら第二表面架橋
剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0050】本発明では、表面架橋剤として、上記第一
表面架橋剤の群より選ばれる1種類または2種類以上の
化合物、および、上記第二表面架橋剤の群より選ばれる
1種類または2種類以上の化合物を混合して用いること
が特に好ましい。
【0051】表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそ
れらの組み合わせ等にもよるが、吸水剤前駆体の固形分
100重量部に対して、 0.001重量部〜10重量部の範囲内
が好ましく、0.01重量部〜5重量部の範囲内がより好ま
しい。また、第一表面架橋剤と第二表面架橋剤とを混合
して用いる場合には、吸水剤前駆体の固形分 100重量部
に対して、第一表面架橋剤の使用量が0.01重量部〜5重
量部、第二表面架橋剤の使用量が 0.001重量部〜1重量
部の範囲内が好ましく、第一表面架橋剤の使用量が 0.1
重量部〜2重量部、第二表面架橋剤の使用量が 0.005重
量部〜 0.5重量部の範囲内がより好ましい。上記の表面
架橋剤を用いることにより、吸水剤前駆体、つまり、吸
水性樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くするこ
とができる。表面架橋剤の使用量が10重量部を越える場
合には、不経済となるばかりか、吸水剤における最適な
架橋構造を形成する上で、表面架橋剤の量が過剰となる
ため、好ましくない。また、表面架橋剤の使用量が 0.0
01重量部未満の場合には、吸水剤における拡散吸収倍率
等の性能を向上させる上で、その改良効果が得られ難い
ため、好ましくない。吸水剤前駆体と表面架橋剤とを混
合する際には、溶媒として水を用いることが好ましい。
水の使用量は、吸水剤前駆体の種類や粒径、含水率等に
もよるが、吸水剤前駆体の固形分 100重量部に対して、
0を越え、20重量部以下が好ましく、 0.5重量部〜10重
量部の範囲内がより好ましい。
【0052】また、吸水剤前駆体と表面架橋剤とを混合
する際には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒
を用いてもよい。上記の親水性有機溶媒としては、例え
ば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルア
ルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコー
ル等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;ジオ
キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−
ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキ
シド等のスルホキシド類等が挙げられる。親水性有機溶
媒の使用量は、吸水剤前駆体の種類や粒径、含水率等に
もよるが、吸水剤前駆体の固形分 100重量部に対して、
20重量部以下が好ましく、 0.1重量部〜10重量部の範囲
内がより好ましい。
【0053】そして、吸水剤前駆体と表面架橋剤とを混
合する際には、例えば、上記の親水性有機溶媒中に吸水
剤前駆体を分散させた後、表面架橋剤を混合してもよい
が、混合方法は、特に限定されるものではない。種々の
混合方法のうち、必要に応じて水および/または親水性
有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を、吸水剤前駆体に直
接、噴霧若しくは滴下して混合する方法が好ましい。ま
た、水を用いて混合する場合には、水に不溶な微粒子状
の粉体や、界面活性剤等を共存させてもよい。
【0054】吸水剤前駆体と表面架橋剤とを混合する際
に用いられる混合装置は、両者を均一かつ確実に混合す
るために、大きな混合力を備えていることが好ましい。
上記の混合装置としては、例えば、円筒型混合機、二重
壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スク
リュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、
気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニ
ーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が好適で
ある。
【0055】吸水剤前駆体と表面架橋剤とを混合した
後、加熱処理を行い、吸水剤前駆体の表面近傍を架橋さ
せる。上記加熱処理の処理温度は、用いる表面架橋剤に
もよるが、80℃以上、 250℃以下が好ましく、 120℃以
上、 230℃以下がより好ましい。また、第一表面架橋剤
と第二表面架橋剤とを組み合わせて用いる場合には、 1
60℃以上が好ましい。処理温度が80℃未満(第一および
第二表面架橋剤を用いる場合には 160℃未満)の場合に
は、均一な架橋構造が形成されず、従って、拡散吸収倍
率等の性能に優れた吸水剤を得ることができないため、
好ましくない。また、加熱処理に時間がかかるので、生
産性の低下を引き起こす。処理温度が 250℃を越える場
合には、吸水剤前駆体の劣化を引き起こし、従って、吸
水剤の性能が低下するため、好ましくない。
【0056】上記の加熱処理は、通常の乾燥機または加
熱炉を用いて行うことができる。上記の乾燥機として
は、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デス
ク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機
等が挙げられる。
【0057】以上の製造方法により得られる吸水剤は、
吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25 g/g以上で、か
つ、水可溶成分量が0を越え、7重量%以下である。こ
のため、上記の吸水剤は、上述したような優れた吸水特
性を備えている。本発明にかかる吸水剤が非常に優れた
拡散吸収倍率等の性能を示す原因は定かではないが、水
溶液重合時に、高沸成分の含有量を特定の範囲内に制御
した架橋剤を特定量用い、かつ、分散剤を用いることに
より、該高沸成分が反応系に均一に分散され、高沸成分
により阻害されていた架橋剤主成分の本来の架橋能力が
最大限に発揮されると共に、高沸成分による架橋反応も
効率的に行われ、これにより、水可溶成分量が飛躍的に
低減されるためではないかと推測される。
【0058】このため、上記の吸水剤は、上述したよう
な優れた吸水特性を備えている。従って、吸水剤は、例
えば、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パット
等の衛生材料等の吸収体に用いた場合に、吸水性樹脂の
使用量が多い場合、或いは、吸収体における樹脂濃度が
高い場合においても、吸収体の構成等に殆ど左右され
ず、拡散吸収倍率が高く、水可溶成分量が少なく、しか
も、長時間経過後の水性液体の戻り量が少なく、非常に
高い液拡散性や、長時間にわたって安定した吸水量を保
持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができ
る。
【0059】尚、上記の吸水剤にさらに消臭剤、香料、
各種の無機粉末、発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、
肥料、酸化剤、還元剤、水、塩類等を添加し、これによ
り、吸水剤に種々の機能を付与させてもよい。
【0060】
【作用】以上のように、上記構成の吸水剤は、吸水性樹
脂の使用量が多い場合、或いは、吸収体における樹脂濃
度が高い場合においても、吸収体の構成等に殆ど左右さ
れず、拡散吸収倍率が高く、水可溶成分量が少なく、し
かも、長時間経過後の水性液体の戻り量が少なく、非常
に高い液拡散性や、長時間にわたって安定した吸水量を
保持する等の優れた性能(吸水特性)を示すことができ
る。これにより、上述した優れた性能を示す吸収性物品
を提供することができる。上記の吸水剤は、例えば、高
機能化かつ薄型化が望まれている紙オムツや生理用ナプ
キン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等に特に好適に
用いることができる。また、上記の方法によれば、上述
した優れた性能を示す吸水剤を製造することができる。
【0061】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、吸水剤の諸性能は、以下の
方法で測定した。
【0062】(a)吸水倍率 吸水剤(または吸水剤前駆体) 0.2gを不織布製のティ
ーバッグ式袋(40mm×150 mm)に均一に入れ、 0.9重量
%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)中に浸漬した。
60分後にティーバッグ式袋を引き上げ、一定時間水切り
を行った後、ティーバッグ式袋の重量W1 (g)を測定
した。また、同様の操作を吸水剤を用いないで行い、そ
のときの重量W0 (g)を測定した。そして、これら重
量W1 ・W0 から、次式、 吸水倍率 (g/g)=(重量W1(g) −重量W0(g) )/吸
水剤の重量(g) に従って吸水倍率 (g/g)を算出した。
【0063】(b)水可溶成分量 吸水剤(または吸水剤前駆体) 0.500gを1000mlの脱イ
オン水中に分散させ、16時間攪拌した後、濾紙で濾過し
た。次に、得られた濾液50gを 100mlビーカにとり、該
濾液に 0.1N−水酸化ナトリウム水溶液1ml、 N/200−
メチルグリコールキトサン水溶液 10.00ml、および、
0.1%トルイジンブルー水溶液4滴を加えた。
【0064】次いで、上記ビーカの溶液を、 N/400−ポ
リビニル硫酸カリウム水溶液を用いてコロイド滴定し、
溶液の色が青色から赤紫色に変化した時点を滴定の終点
として滴定量A(ml)を求めた。また、濾液50gの代わ
りに脱イオン水50gを用いて同様の操作を行い、ブラン
ク滴定して滴定量B(ml)を求めた。そして、これら滴
定量A・Bと、吸水剤に供されたアクリル酸の中和率x
(モル%)とから、次式、 水可溶成分量(重量%)=(B(ml)−A(ml))×0.01×
〔72・(100−x) +94x〕/100 に従って水可溶成分量(重量%)を算出した。
【0065】(c)拡散吸収倍率 先ず、拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置について、
図1および図2を参照しながら、以下に簡単に説明す
る。
【0066】図1に示すように、測定装置は、天秤1
と、この天秤1上に載置された所定容量の容器2と、外
気吸入パイプ3と、導管4と、ガラスフィルタ6と、こ
のガラスフィルタ6上に載置された測定部5とからなっ
ている。上記の容器2は、その頂部に開口部2aを、そ
の側面部に開口部2bをそれぞれ有しており、開口部2
aに外気吸入パイプ3が嵌入される一方、開口部2bに
導管4が取り付けられている。また、容器2には、所定
量の生理食塩水12が入っている。外気吸入パイプ3の
下端部は、生理食塩水12中に没している。上記のガラ
スフィルタ6は、直径70mmに形成されている。そして、
容器2およびガラスフィルタ6は、導管4によって互い
に連通している。また、ガラスフィルタ6は、外気吸入
パイプ3の下端に対してごく僅かに高い位置に固定され
ている。
【0067】図2に示すように、上記の測定部5は、濾
紙7と、シート8と、支持円筒9と、この支持円筒9の
底部に貼着された金網10と、重り11とを有してい
る。そして、測定部5は、ガラスフィルタ6上に、濾紙
7、シート8、支持円筒9(つまり、金網10)がこの
順に載置されると共に、支持円筒9内部、即ち、金網1
0上に重り11が載置されてなっている。シート8は、
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、中央
部に直径18mmの開口部を有する厚さ 0.1mmのドーナツ状
に形成されている。支持円筒9は、内径60mmに形成され
ている。金網10は、ステンレスからなり、 400メッシ
ュ(目の大きさ38μm)に形成されている。そして、金
網10上に所定量の吸水剤が均一に撒布されるようにな
っている。重り11は、金網10、即ち、吸水剤に対し
て、20 g/cm2の荷重を均一に加えることができるよう
に、その重量が調整されている。
【0068】上記構成の測定装置を用いて拡散吸収倍率
を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0069】先ず、容器2に所定量の生理食塩水12を
入れる、容器2に外気吸入パイプ3を嵌入する、等の所
定の準備動作を行った。次に、ガラスフィルタ6上に濾
紙7を載置し、この濾紙7上にシート8を、その開口部
がガラスフィルタ6の中心部に位置するようにして載置
した。一方、これら載置動作に並行して、支持円筒9内
部、即ち、金網10上に吸水剤 1.5g(好ましくは、分
級等の操作により、粒径を 300μm〜 500μmに予め調
整した吸水剤 1.5g)を均一に撒布し、この吸水剤上に
重り11を載置した。
【0070】次いで、シート8上に、金網10、つま
り、吸水剤および重り11を載置した上記支持円筒9
を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部に一致する
ようにして載置した。
【0071】そして、シート8上に支持円筒9を載置し
た時点から、20分間、或いは、60分間にわたって吸水剤
が吸水した生理食塩水12の重量W2 (g)を、天秤1
を用いて測定した。尚、図3に示すように、生理食塩水
12は、シート8の開口部を通過した後、吸水剤の横方
向にほぼ均一に拡散しながら、吸水剤に吸水された。
【0072】そして、上記の重量W2 から、次式、 拡散吸収倍率 (g/g)=重量W2(g) /吸水剤の重量
(g) に従って、吸水開始から20分後、或いは、60分後の拡散
吸収倍率 (g/g)を算出した。
【0073】(d)加圧下の吸水倍率 先ず、加圧下の吸水倍率の測定に用いる測定装置につい
て、図4を参照しながら、以下に簡単に説明する。
【0074】図4に示すように、測定装置は、ビュレッ
ト21と、測定台22と、導管23と、測定台22上に
載置されたガラスフィルタ24と、このガラスフィルタ
24上に載置された測定部25とからなっている。上記
のビュレット21は、主管部21aと側管部21bとを
有する略T字管状に形成されている。主管部21aは、
その頂部に開口部21cを、その底部に開口部21dを
それぞれ有しており、開口部21cに栓26が嵌入され
る一方、開口部21dに導管23が取り付けられてい
る。また、側管部21bは、主管部21aの側面部中央
に突設されており、その先端部が上方に向かって開口さ
れている。上記の測定台22は、その上面部が直径70mm
に形成されている。そして、ビュレット21および測定
台22は、導管23によって互いに連通しており、これ
らビュレット21や測定台22、導管23、つまり、連
通部分には、所定量の人工尿20が入っている。尚、ビ
ュレット21の主管部21aには、目盛りが設けられて
いる。また、ビュレット21において、側管部21bに
おける液面20aの位置は、主管部21aにおける液面
20bの位置よりも所定高さだけ低くなっている。
【0075】上記の測定部25は、濾紙27と、支持円
筒28と、この支持円筒28の底部に貼着された不織布
29と、重り30とを有している。そして、測定部25
は、ガラスフィルタ24上に、濾紙27、支持円筒28
(つまり、不織布29)がこの順に載置されると共に、
支持円筒28内部、即ち、不織布29上に重り30が載
置されてなっている。ガラスフィルタ24は、直径70mm
に形成されている。支持円筒28は、内径55mmに形成さ
れている。また、測定台22は、測定部25を載置した
ときに、濾紙27の位置が、上記側管部21bにおける
液面20aの位置と等しくなるように設定されている。
そして、不織布29上に所定量の吸水剤が均一に撒布さ
れるようになっている。重り30は、不織布29、即
ち、吸水剤に対して、20 g/cm2の荷重を均一に加えるこ
とができるように、その重量が調整されている。
【0076】上記構成の測定装置を用いて加圧下の吸水
倍率を測定した。測定方法について以下に説明する。
【0077】先ず、所定量の人工尿(組成:尿素 1.9重
量%、NaCl 0.8重量%、CaCl2 0.1重量%、M
gSO4 0.1重量%)20を予め調製し、該人工尿20
を上記の連通部分に入れた。さらに、ビュレット21の
開口部21cに栓26をする、測定台22を所定の高さ
にセットする、等の所定の準備動作を行った。次に、該
測定台22の中央部に設置されたガラスフィルタ24上
に、濾紙27を載置した。一方、この載置動作に並行し
て、支持円筒28内部、即ち、不織布29上に吸水剤0.
20gを均一に撒布し、この吸水剤上に重り30を載置し
た。
【0078】次いで、濾紙27上に、不織布29、つま
り、吸水剤および重り30を載置した上記支持円筒28
を、その中心部がガラスフィルタ24の中心部に一致す
るようにして載置した。
【0079】そして、濾紙27上に支持円筒28を載置
した時点から、30分間にわたって吸水剤が吸水した人工
尿20の体積V1 (ml)を、ビュレット21の目盛りを
読むことにより測定した。そして、上記の体積V1
ら、次式、 加圧下の吸水倍率(ml/g)=体積V1(ml) /吸水剤の重
量(g) に従って、吸水開始から30分後の加圧下の吸水倍率(ml
/g)を算出した。
【0080】(e)吸収性物品の拡散吸収倍率 先ず、吸収性物品の拡散吸収倍率の測定に用いる測定装
置について、図5および図6を参照しながら、以下に簡
単に説明する。尚、説明の便宜上、前記拡散吸収倍率の
測定に用いる測定装置と同一の機能を有する構成には、
同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0081】図5に示すように、測定装置は、天秤1
と、容器2と、外気吸入パイプ3と、導管4と、直径 1
20mmに形成されたガラスフィルタ6と、このガラスフィ
ルタ6上に載置された測定部15とからなっている。図
6に示すように、上記の測定部15は、濾紙7と、シー
ト8と、支持角筒19と、重り11とを有している。
尚、前記の金網は有していない。
【0082】測定部15は、ガラスフィルタ6上に、濾
紙7、シート8、支持角筒19がこの順に載置されると
共に、支持角筒19内部に重り11が載置されてなって
いる。シート8は、ポリエチレンテレフタレートからな
り、中央部に12.5mm× 100mmの長方形の開口部を有する
厚さ 0.1mmの矩形状に形成されている。支持角筒19
は、内寸法が 100mm× 100mmに形成されている。そし
て、支持角筒19内部に所定の大きさの吸収性物品が載
置されるようになっている。測定装置のその他の構成
は、前記拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置と同一で
ある。
【0083】上記構成の測定装置を用いて吸収性物品の
拡散吸収倍率を測定した。測定方法について以下に説明
する。
【0084】先ず、吸収性物品を 100mm× 100mmの大き
さに形成した。また、所定の準備動作を行った。次に、
ガラスフィルタ6上に濾紙7を載置し、この濾紙7上に
シート8を、その開口部がガラスフィルタ6の中心部に
位置するようにして載置した。次いで、シート8上に支
持角筒19を、その中心部がガラスフィルタ6の中心部
に一致するようにして載置した。
【0085】その後、支持角筒19内部、即ち、シート
8上に吸収性物品を載置し、この吸収性物品上に重り1
1を載置した。尚、吸収性物品および重り11の載置動
作は、素早く行った。
【0086】そして、シート8上に吸収性物品を載置し
た時点から、60分間にわたって吸収性物品が吸水した生
理食塩水12の重量W3 (g)を、天秤1を用いて測定
した。尚、図7に示すように、生理食塩水12は、シー
ト8の開口部を通過した後、吸収性物品中を横方向にほ
ぼ均一に拡散しながら、吸収性物品に吸水された。
【0087】そして、上記の重量W3 から、次式、 吸収性物品の拡散吸収倍率 (g/g)=重量W3(g) /吸収
性物品の重量(g) に従って、吸水開始から60分後の、吸収性物品の拡散吸
収倍率 (g/g)を算出した。
【0088】また、実施例および比較例にて用いる架橋
剤は、以下に示す調製法を用いて調製した。
【0089】〔調製法1〕攪拌機、冷却管付き水分離
管、温度計、および空気吹きこみ管を取り付けた1L4
つ口フラスコに、トリメチロールプロパン 134g、アク
リル酸 238g、トルエン 170g、p−トルエンスルホン
酸24gおよびハイドロキノン 0.6gを加え、空気を吹き
込みながら上記フラスコを 130℃に加熱した。そして、
反応生成水をトルエンとの共沸脱水により系外へ留去し
つつ、所定時間、反応を行なった。
【0090】反応終了後、反応液を分液ロートに移し、
10重量%NaOH水 500g、5重量%NaOH水 300g
で未反応アクリル酸を中和、分層し、次いで各 500gの
水で洗液が中性になるまで数回洗浄した。その後、有機
層にヒドロキノンモノメチルエーテル0.06gを添加し、
減圧下でトルエンを留去することにより、反応生成物を
得た。
【0091】この反応生成物をガスクロマトグラフィー
(GC)、およびゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)を用いて分析した結果、架橋剤主成分に
相当するトリメチロールプロパントリアクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、および、トリメ
チロールプロパンジアクリレートモノ(β−アクリロイ
ルオキシプロピオネート)と、高沸成分に相当するトリ
メチロールプロパン骨格を2個以上有する化合物との重
量比が、84/16であった。即ち、上記の反応および操作
により、架橋剤主成分と高沸成分との重量比が84/16で
ある架橋剤Aを得た。
【0092】〔調製法2〕調製法1における反応時間よ
りも反応時間を長くした以外は、調製法1と同様の反応
および操作を行い、架橋剤主成分と高沸成分との重量比
が78/22である架橋剤Bを得た。
【0093】〔調製法3〕調製法1における反応時間よ
りも反応時間を短くした以外は、調製法1と同様の反応
および操作を行い、架橋剤主成分と高沸成分との重量比
が89/11である架橋剤Cを得た。
【0094】〔調製法4〕調製法2における反応時間よ
りもさらに反応時間を長くした以外は、調製法2と同様
の反応および操作を行い、架橋剤主成分と高沸成分との
重量比が72/28である比較用架橋剤を得た。
【0095】次に、上記の調製法1〜調製法4にて得ら
れた架橋剤を用いて親水性不飽和単量体を水溶液重合し
た。
【0096】〔実施例1〕親水性不飽和単量体としての
アクリル酸 414gに、架橋剤A 4.8gと、分散剤として
のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.0
gとを溶解させ、さらに、親水性不飽和単量体としての
アクリル酸ナトリウムの37重量%水溶液4382g、および
イオン交換水 551gを加えて反応液とした。次に、シグ
マ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステ
ンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器
に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系
を窒素ガス置換した。続いて、反応液を30℃に保持した
まま攪拌し、過硫酸ナトリウム2.40gおよびL−アスコ
ルビン酸0.12gを添加して重合を開始した。そして、重
合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。
【0097】得られた含水ゲル状重合体を細分すること
により細分化物とし、この細分化物を50メッシュの金網
上に広げ、 150℃で90分間熱風乾燥した。次いで、乾燥
物を振動ミルを用いて粉砕し、さらに20メッシュの金網
で分級することにより、含水率が4%、平均粒径が 350
μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割合が3
重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸水剤前駆
体を得た。得られた吸水剤前駆体の吸水倍率および水可
溶成分量(以下、単に結果と記す)を表1に合わせて記
載した。
【0098】〔実施例2〕実施例1における架橋剤Aに
代えて、架橋剤B 4.8gを用いた以外は、実施例1と同
様の反応および操作を行い、含水率が5%、平均粒径が
300μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割合
が6重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸水剤
前駆体を得た。得られた結果を表1に合わせて記載し
た。
【0099】〔実施例3〕実施例1における架橋剤Aに
代えて、架橋剤C 4.8gを用いた以外は、実施例1と同
様の反応および操作を行い、含水率が8%、平均粒径が
480μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割合
が 0.5重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸水
剤前駆体を得た。得られた結果を表1に合わせて記載し
た。
【0100】〔実施例4〕実施例1における架橋剤Aの
使用量を 4.8gから 6.8gに変更した以外は、実施例1
と同様の反応および操作を行い、含水率が5%、平均粒
径が 380μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の
割合が2重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸
水剤前駆体を得た。得られた結果を表1に合わせて記載
した。
【0101】〔実施例5〕実施例1における架橋剤Aの
使用量を 4.8gから13.6gに変更した以外は、実施例1
と同様の反応および操作を行い、含水率が4%、平均粒
径が 400μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の
割合が1重量%の不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸
水剤前駆体を得た。得られた結果を表1に合わせて記載
した。
【0102】〔実施例6〕親水性不飽和単量体としての
アクリル酸29gに、架橋剤A 6.8gと、分散剤としての
部分ケン化ポリビニルアルコール 2.3gとを溶解させ、
さらに、親水性不飽和単量体としてのアクリル酸ナトリ
ウムの37重量%水溶液4382g、親水性不飽和単量体とし
てのアクリル酸 385g、およびイオン交換水 283gを加
えて反応液とした。その後、実施例1と同様の反応およ
び操作を行い、含水率が8%、平均粒径が 520μmで、
しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割合が0重量%の
不定形破砕状の吸水性樹脂、即ち、吸水剤前駆体を得
た。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0103】〔比較例1〕実施例1における架橋剤Aに
代えて、比較用架橋剤 4.8gを用いた以外は、実施例1
と同様の反応および操作を行い、含水率が5%、平均粒
径が 340μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の
割合が5重量%の不定形破砕状の比較用吸水性樹脂、即
ち、比較用吸水剤前駆体を得た。得られた結果を表1に
合わせて記載した。
【0104】〔比較例2〕実施例1における分散剤とし
てのポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートを
用いない以外は、実施例1と同様の反応および操作を行
い、含水率が4%、平均粒径が 370μmで、しかも、粒
径が 106μm未満の粒子の割合が3重量%の不定形破砕
状の比較用吸水性樹脂、即ち、比較用吸水剤前駆体を得
た。得られた結果を表1に合わせて記載した。
【0105】〔比較例3〕実施例1における架橋剤Aの
使用量を 4.8gから 2.0gに変更した以外は、実施例1
と同様の反応および操作を行い、含水率が5%、平均粒
径が 390μmで、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の
割合が2重量%の不定形破砕状の比較用吸水性樹脂、即
ち、比較用吸水剤前駆体を得た。得られた結果を表1に
合わせて記載した。
【0106】
【表1】
【0107】〔実施例7〕実施例1で得られた吸水剤前
駆体 100重量部に、第一表面架橋剤としてのグリセリン
(SP値:δ=16.5(cal/cm3)1/2) 0.5重量部と、第二
表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル(SP値:δ=10.2(cal/cm3)1/2)0.1重量部
と、水3重量部と、イソプロピルアルコール1重量部と
からなる表面架橋剤を混合した。得られた混合物を 200
℃で40分間加熱処理することにより、吸水剤を得た。得
られた吸水剤の吸水倍率、水可溶成分量、拡散吸収倍
率、および、加圧下の吸水倍率(以下、単に結果と記
す)を表2に合わせて記載した。
【0108】〔実施例8・9〕実施例4・実施例5で得
られた吸水剤前駆体 100重量部をそれぞれ順に用いた以
外は、実施例7と同様の加熱処理を行い、それぞれ対応
する吸水剤を得た。得られた結果を表2に合わせて記載
した。
【0109】〔比較例4・5〕比較例1・比較例3で得
られた比較用吸水剤前駆体 100重量部をそれぞれ順に用
いた以外は、実施例7と同様の加熱処理を行い、それぞ
れ対応する比較用吸水剤を得た。得られた結果を表2に
合わせて記載した。
【0110】〔比較例6〕部分的に中和および架橋され
た澱粉−アクリル酸グラフト重合体(商品名:サンウエ
ットIM3900P;ヘキストセラニーズ株式会社製)
を比較用吸水剤とした。得られた結果を表2に合わせて
記載した。
【0111】〔比較例7〕部分的に中和および架橋され
たアクリル酸重合体(商品名:ダイヤウエットUS2−
45Z;三菱油化株式会社製)を比較用吸水剤とした。
得られた結果を表2に合わせて記載した。
【0112】〔比較例8〕部分的に中和および架橋され
たアクリル酸重合体(商品名:アクアキープSA−6
0;住友精化株式会社製)を比較用吸水剤とした。得ら
れた結果を表2に合わせて記載した。
【0113】〔比較例9〕株式会社ユニチャーム製のマ
ミーポコ(商品名)と称する紙オムツから高分子吸水剤
を取り出し、これを比較用吸水剤とした。得られた結果
を表2に合わせて記載した。
【0114】
【表2】
【0115】〔実施例10〕実施例7で得られた吸水剤
75重量部と、親水性繊維としての木材粉砕パルプ25重量
部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。得られた混合
物を 100mm× 100mmの大きさのウェブに成形した後、こ
のウェブを圧力2kg/cm2で1分間プレスすることによ
り、坪量が約 0.035 g/cm2の吸収体よりなる吸収性物品
を得た。得られた吸収性物品の拡散吸収倍率(以下、単
に結果と記す)を表3に合わせて記載した。
【0116】〔実施例11・12〕実施例10における
吸水剤に代えて、実施例8・実施例9で得られた吸水剤
をそれぞれ順に用いた以外は、実施例10と同様にして
吸収体を作成し、それぞれ対応する吸収性物品を得た。
得られた結果を表3に合わせて記載した。
【0117】〔比較例10〜15〕実施例10における
吸水剤に代えて、比較例4〜比較例9で得られた比較用
吸水剤をそれぞれ順に用いた以外は、実施例10と同様
にして吸収体を作成し、それぞれ対応する比較用吸収性
物品を得た。得られた結果を表3に合わせて記載した。
【0118】
【表3】
【0119】〔実施例13〕実施例7で得られた吸水剤
75重量部と、親水性繊維としての木材粉砕パルプ25重量
部とを、ミキサーを用いて乾式混合した。次いで、得ら
れた混合物を、 400メッシュ(目の大きさ38μm)に形
成されたワイヤースクリーン上にバッチ型空気抄造装置
を用いて空気抄造することにより、 120mm× 400mmの大
きさのウェブに成形した。さらに、このウェブを圧力2
kg/cm2で5秒間プレスすることにより、坪量が約 0.047
g/cm2の吸収体を得た。
【0120】続いて、液不透過性のポリプロピレンから
なり、いわゆるレッグギャザーを有するバックシート、
上記の吸収体、および、液透過性のポリプロピレンから
なるトップシートを、両面テープを用いてこの順に互い
に貼着すると共に、この貼着物に2つのいわゆるテープ
ファスナーを取り付けることにより、吸収性物品(つま
り、紙オムツ)を得た。この吸収性物品の重量は46gで
あった。
【0121】上記の吸収性物品を、いわゆるキューピー
人形(体長55cm、重量5kg)に装着し、該人形をうつ伏
せ状態にした後、吸収性物品と人形との間にチューブを
差込み、人体において排尿を行う位置に相当する位置
に、1回当たり50mlの生理食塩水を、20分間隔で合計 2
50ml注入した。そして、上記の人形を37℃にて16時間放
置した後、吸収性物品を取り外した。
【0122】取り外した吸収性物品における吸水部分の
中央部に、いわゆるキッチンタオル10枚を重ねて載置
し、これらキッチンタオルに10kgの荷重を1分間かけた
後、該キッチンタオルの吸水量、即ち、吸収性物品から
の生理食塩水の戻り量(g)を測定した。得られた結果
を表4に合わせて記載した。
【0123】〔実施例14・15〕実施例13における
吸水剤に代えて、実施例8・実施例9で得られた吸水剤
をそれぞれ順に用いた以外は、実施例13と同様の操作
を行い、それぞれ対応する吸収性物品を得た。そして、
これら吸収性物品からの生理食塩水の戻り量(g)を測
定した。得られた結果を表4に合わせて記載した。
【0124】〔比較例16・17〕実施例13における
吸水剤に代えて、比較例4・比較例5で得られた比較用
吸水剤をそれぞれ順に用いた以外は、実施例13と同様
の操作を行い、それぞれ対応する比較用吸収性物品を得
た。そして、これら比較用吸収性物品からの生理食塩水
の戻り量(g)を測定した。得られた結果を表4に合わ
せて記載した。
【0125】
【表4】
【0126】表1〜表4に記載された結果から明らかな
ように、本発明の吸水剤は、拡散吸収倍率が高く、水可
溶成分量が少なく、しかも、樹脂濃度が高い吸収体を用
いて得られる吸収性物品は、長時間経過後の水性液体の
戻り量が少なく、非常に高い液拡散性や、長時間にわた
って安定した吸水量を保持する等の優れた性能(吸水特
性)を示すことがわかる。
【0127】
【発明の効果】上記吸水剤は、吸水性樹脂の使用量が多
い場合、或いは、吸収体における樹脂濃度が高い場合に
おいても、吸収体の構成等に殆ど左右されず、拡散吸収
倍率が高く、水可溶成分量が少なく、しかも、長時間経
過後の水性液体の戻り量が少なく、非常に高い液拡散性
や、長時間にわたって安定した吸水量を保持する等の優
れた性能(吸水特性)を示すことができる。これによ
り、上述した優れた性能を示す吸収性物品を提供するこ
とができるという効果を奏する。上記の吸水剤は、例え
ば、高機能化かつ薄型化が望まれている紙オムツや生理
用ナプキン、いわゆる失禁パット等の衛生材料等に特に
好適に用いることができる。
【0128】また、本発明の吸水剤の製造方法によれ
ば、拡散吸収倍率が高く、水可溶成分量が少なく、しか
も、長時間経過後の水性液体の戻り量が少なく、非常に
高い液拡散性や、長時間にわたって安定した吸水量を保
持する等の優れた性能(吸水特性)を示す吸水剤を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における吸水剤が示す性能の一つである
拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面図で
ある。
【図2】上記測定装置の要部の断面図である。
【図3】上記測定装置において、生理食塩水の拡散方向
を説明する説明図である。
【図4】本発明における吸水剤が示す性能の一つである
加圧下の吸水倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面
図である。
【図5】本発明における吸収性物品が示す性能の一つで
ある拡散吸収倍率の測定に用いる測定装置の概略の断面
図である。
【図6】図5の測定装置の要部の断面図である。
【図7】図5の測定装置において、生理食塩水の拡散方
向を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 天秤 2 容器 3 外気吸入パイプ 4 導管 5 測定部 6 ガラスフィルタ 7 濾紙 8 シート 9 支持円筒 10 金網 11 重り 12 生理食塩水 15 測定部 19 支持角筒 20 人工尿 21 ビュレット 22 測定台 23 導管 24 ガラスフィルタ 25 測定部 27 濾紙 28 支持円筒 29 不織布 30 重り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 20/28 Z 20/30 C08F 220/06 8619−4J (72)発明者 増田 善彦 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒高分子研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25 g
    /g以上で、かつ、水可溶成分量が0を越え、7重量%以
    下であることを特徴とする吸水剤。
  2. 【請求項2】吸収開始から60分後の拡散吸収倍率が25 g
    /g以上で、かつ、水可溶成分量が0を越え、7重量%以
    下である吸水剤を含む吸収体を有することを特徴とする
    吸収性物品。
  3. 【請求項3】上記吸収体が親水性繊維を含み、該吸収体
    における親水性繊維の割合が、0を越え、60重量%以下
    であることを特徴とする請求項2記載の吸収性物品。
  4. 【請求項4】50モル%以上が中和されたアクリル酸を主
    成分とする親水性不飽和単量体を、架橋剤および分散剤
    の存在下に水溶液重合させる吸水剤前駆体の製造方法で
    あって、 上記架橋剤として、炭素数が6以下でかつ3価以上のア
    ルコールと不飽和カルボン酸とのエステル化物からな
    り、かつ、該3価以上のアルコールの全ての水酸基が該
    不飽和カルボン酸とエステル結合を形成した場合の化合
    物の分子量を1として、この化合物の分子量に対する分
    子量の比が 0.7以上、 1.3未満の範囲にある架橋剤主成
    分と、分子中に上記アルコール骨格を2個以上有する高
    沸成分とからなり、かつ、該架橋剤主成分と高沸成分と
    の重量比が75/25〜99/1の範囲内である架橋剤を、上
    記親水性不飽和単量体に対して0.05モル%以上、 0.5モ
    ル%以下の範囲で用いることを特徴とする吸水剤前駆体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】炭素数が6以下でかつ3価以上のアルコー
    ルがトリメチロールプロパンであり、かつ、不飽和カル
    ボン酸がアクリル酸であることを特徴とする請求項4記
    載の吸水剤前駆体の製造方法。
  6. 【請求項6】上記請求項4で得られた吸水剤前駆体を、
    含水率が10%以下、かつ、平均粒径が 200μm〜600 μ
    mの範囲内で、しかも、粒径が 106μm未満の粒子の割
    合が10重量%以下となるように調整した後、該吸水剤前
    駆体を表面架橋剤の存在下に加熱処理することを特徴と
    する吸水剤の製造方法。
  7. 【請求項7】上記表面架橋剤が、カルボキシル基と反応
    可能な、溶解度パラメータ(SP値)が12.5(cal/cm3)
    1/2以上の第一表面架橋剤、および、溶解度パラメータ
    が12.5(cal/cm3)1/2未満の第二表面架橋剤からなり、か
    つ、上記加熱処理の処理温度が160℃以上であることを
    特徴とする請求項6記載の吸水剤の製造方法。
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