JPH085726B2 - セラミツク体と金属体との結合体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、セラミック体と金属体との結合体に関する
ものである。

「従来の技術」 エンジンの部品などの構造材料として、セラミック使
用の必要性は近時、ますます高まってきている。

しかしながら、現状では、金属に比較して複雑形状品
を一体的に製造することが難しく、コストがかかるなど
の問題から必要最小限の部分だけをセラミックスとして
金属との複合体とするのが通常である。

それでも熱膨脹係数などの物性の異なる金属とセラミ
ックスとの接合は難しい問題が多い。

従来よりセラミックスと金属との結合は、一般には焼
嵌め、ロウ付けなどが知られている。

「発明が解決しようとする問題点」 焼嵌めは、通常、金属とセラミックスの熱膨脹差を利
用して、金属側の大きな冷却時の収縮によりセラミック
体を締付けている。

この締付力のコントロールが大きな問題であり、焼嵌
め力が強すぎると、過大な圧縮に起因する剪断力により
セラミック体が破壊に至り、逆に焼嵌め力が弱いと結合
力が弱く、特に高温時の使用に耐えない。

また、ミクロンオーダーでの焼嵌め代の管理も難し
い。

さらに、ロウ付けは、セラミック接合面へのメタライ
ズ処理があり、工程が増える上にメタライズによるセラ
ミック体の強度低下も考えられ、また、高温での使用を
考えると、通常、ロウ材では熱負荷に耐えないという問
題もある。

「発明が解決しようとする手段」 そこで、本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
で、セラミック体の外周に円環状等の溝を刻設し、該溝
に対応するように金属体の端面内側に段部を形成し、該
金属体をセラミック体に外嵌めし、嵌め合わせたセラミ
ック体の外周面と金属体の段部との隙間に接合用金属体
を嵌め、該接合用金属体の開放面の上方から高周波加熱
用ワークコイル等の加熱手段により接合用金属体を融点
以上に加熱して流動化し、前記開放面を有する間隙にセ
ラミック体と金属体を結合保持するのに必要な最小限の
容量の接合用金属を介在させて構成し、セラミック体と
金属体との結合体としたものである。

「実施例」 第１図に示すように、柱状のセラミック体１の外周面
に円環状の溝２を刻設し、セラミック体１に金属体３を
外嵌めする。なお、金属体３の上端面でセラミック体１
の溝２に対応する内側には段部４を形成しておく。次い
で、セラミック体１の外周面と金属体３の段部４との間
に接合用金属体５を嵌める。

その後、接合用金属体５の上方に高周波加熱用ワーク
コイル６を配置し、このコイル６に通電して高周波によ
り接合用金属体５を加熱して流動化し、前記溝２内に接
合用金属を充填させる。

なお、接合用金属体５は、溝２を充填するに必要最小
限の容量に設定する。

また、特に接合用金属体５が、必要以上に加熱されぬ
ように断熱材７を介在するか、金属体３を冷却するのが
効果的である。

一方、接合用金属体５は、融点以上の温度にあっても
その表面張力により、溝２内に流動しない場合がある
が、その時には第２図に示すごとく、加熱手段となるワ
ークコイル６の下面を溶融金属体に押し付けて溝２へ強
制的に押し込むものとする。

その際、加熱用のワークコイル６下面には、無機接着
剤８などを介することで溶融金属に直接触れることを避
けなければならない。

具体的な実施例として、次の表のような結果を得た。

（具体的実施例） なお、接合力評価は、500℃の酸化雰囲気中で1tonの
抜き力をかけてテストをした。

以上の結果より、溶融金属体は硬度Hvが150〜200、熱
膨脹係数が９×10^-6/℃以下を示すものが好適であり、
具体的にはFe−Ni系でNi25〜43％を含有するものがよ
い。

但し、低温雰囲気で使用する用途によっては、より接
合条件の悪いアルミニウムなどでも十分に要求使用を満
足する。

なお、第３図に示すように、金属体３の段部４の内壁
に前記セラミック体１の溝２と同様な円環状等の溝９を
刻設しておくと、接合用金属体５を加熱流動化して該接
合用金属を双方の溝２および９に充填せしめることによ
り、より強固なセラミック体と金属体との結合体を得る
ことができる。

「発明の効果」 本発明のセラミック体と金属体との結合体は、セラミ
ック体の外周に刻設した溝を金属体の端面内側に形成し
た段部に対応させて前記セラミック体に金属体を外嵌め
し、該セラミック体の外周面と段部との間隙に嵌めた接
合用金属体を開放面から融点以上に加熱流動化し、前記
開放面を有する間隙にセラミック体と金属体を結合保持
するのに必要な最小容量の接合用金属を介在させたこと
からセラミック体と金属体を高温での熱負荷に十分に耐
える結合体とすることができ、接合したいセラミック体
および金属体とは別個に、接合部近傍だけに結合に必要
な最小容量の接合用金属体を配置したことによって、機
械的強度が大きい結合体を得ることができる。

本発明の結合体では、加熱流動化した接合用金属の熱
膨張が極めて小さく、セラミック材や金属材に必要な応
力をかけず、その割れや欠けなど、熱影響による欠陥が
極めて少なくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の具体的実施例の縦断面図、第２図は本
発明の他の具体的実施例の縦断面図で、第３図は本発明
のさらに別の具体的実施例の縦断面図である。 １……セラミック体 ２・９……溝 ３……金属体 ４……段部 ５……接合用金属体

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セラミック体の外周に刻設した溝を金属体
   の端面内側に形成した段部に対応させて前記セラミック
   体に金属体を外嵌めし、該セラミック体の外周面と段部
   との間隙に嵌めた接合用金属体を開放面から融点以上に
   加熱流動化し、前記開放面を有する間隙に結合力保持に
   必要な最小容量の接合用金属を介在させてセラミック体
   と金属体とを結合したことを特徴とするセラミック体と
   金属体との結合体。