JPH085662B2 - 耐水性無機バインダー - Google Patents
耐水性無機バインダーInfo
- Publication number
- JPH085662B2 JPH085662B2 JP14693792A JP14693792A JPH085662B2 JP H085662 B2 JPH085662 B2 JP H085662B2 JP 14693792 A JP14693792 A JP 14693792A JP 14693792 A JP14693792 A JP 14693792A JP H085662 B2 JPH085662 B2 JP H085662B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inorganic binder
- binder
- water
- resistant inorganic
- water resistance
- Prior art date
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- Expired - Lifetime
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- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は耐水性に優れた耐熱性の
無機バインダーに関する。本発明で使用した「バインダ
ー」とは、広い意味での物体と物体とを結合するための
媒体を示し、例えば接着剤、結合剤、塗料、充填剤、表
面被覆剤などが含まれる。
無機バインダーに関する。本発明で使用した「バインダ
ー」とは、広い意味での物体と物体とを結合するための
媒体を示し、例えば接着剤、結合剤、塗料、充填剤、表
面被覆剤などが含まれる。
【０００２】
【従来の技術】従来、ｎＳｉＯ2 ・Ｍ2 Ｏで示されるア
ルカリ金属ケイ酸塩（アルカリシリケート）の水溶液
が、紙、木材、セラミックス、ガラス、金属などの耐熱
性バインダーとして用いられてきたが、アルカリ金属の
種類によってバインダー特性に著しい差異があることが
知られている。
ルカリ金属ケイ酸塩（アルカリシリケート）の水溶液
が、紙、木材、セラミックス、ガラス、金属などの耐熱
性バインダーとして用いられてきたが、アルカリ金属の
種類によってバインダー特性に著しい差異があることが
知られている。
【０００３】例えば、接着性はＮａ＞Ｋ＞Ｌｉ、耐水性
はＬｉ＞Ｋ＞Ｎａの順になるといわれている。したがっ
て、この種のバインダーは、単独で使用すると、その接
着強度、耐水性等が使用目的に対して十分でないことが
多く、各種の添加剤の併用が提案されてきている。この
ような添加剤の例としては、酸化亜鉛や酸化チタンのよ
うな金属酸化物、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニ
ウムのような金属水酸化物、リン酸アルミニウムのよう
な金属リン酸塩などが知られている。
はＬｉ＞Ｋ＞Ｎａの順になるといわれている。したがっ
て、この種のバインダーは、単独で使用すると、その接
着強度、耐水性等が使用目的に対して十分でないことが
多く、各種の添加剤の併用が提案されてきている。この
ような添加剤の例としては、酸化亜鉛や酸化チタンのよ
うな金属酸化物、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニ
ウムのような金属水酸化物、リン酸アルミニウムのよう
な金属リン酸塩などが知られている。
【０００４】しかし、これらの硬化促進添加物による耐
水性向上効果は、いまだ十分ではなく、温水浸漬のよう
な過酷な条件下ではバインダーとしての機能が著しく低
下する。また、添加剤が加わることによるアルカリシリ
ケート水溶液の安定性が著しく低下し、添加剤添加後の
使用可能な時間が著しく短くなるという欠点がある。
水性向上効果は、いまだ十分ではなく、温水浸漬のよう
な過酷な条件下ではバインダーとしての機能が著しく低
下する。また、添加剤が加わることによるアルカリシリ
ケート水溶液の安定性が著しく低下し、添加剤添加後の
使用可能な時間が著しく短くなるという欠点がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解決すべく、強い接着力がありかつ耐水性が良好で保
存安定性のよい耐熱性無機バインダーを提供するため
に、ｎＳｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏとｎ′ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏの混
合比を種々検討した結果、保存安定性に優れた耐熱性無
機バインダーとしての接着性と耐水性とを両立させるた
めには、ある限られた範囲があるとの知見に基づいてな
された。
を解決すべく、強い接着力がありかつ耐水性が良好で保
存安定性のよい耐熱性無機バインダーを提供するため
に、ｎＳｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏとｎ′ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏの混
合比を種々検討した結果、保存安定性に優れた耐熱性無
機バインダーとしての接着性と耐水性とを両立させるた
めには、ある限られた範囲があるとの知見に基づいてな
された。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、一般式
ｎＳｉＯ2 ・Ｍ2 Ｏ（式中、Ｍ及びｎは前記の定義と同
じであり、一般にはｎ＝２〜４のものが好適）の水溶液
の混合物を無機バインダーとして用いたことにある。
ｎＳｉＯ2 ・Ｍ2 Ｏ（式中、Ｍ及びｎは前記の定義と同
じであり、一般にはｎ＝２〜４のものが好適）の水溶液
の混合物を無機バインダーとして用いたことにある。
【０００７】さらに詳しくは、本発明は、ｎ＝２〜４の
ｎＳｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏ（カリウムシリケート）水溶液と
ｎ′＝３〜７のｎ′ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏ（リチウムシリ
ケート）水溶液とを、ＳｉＯ2 換算の重量比で７０：３
０ないし１０：９０の範囲で混合した無機バインダーで
ある。カリウムシリケートの比率が７０：３０より増加
すると耐水性が著しく低下するし、リチウムシリケート
の比率が１０：９０より増加すると成膜性が低下しかつ
基材との接着力が弱くなることから、上記の範囲が好ま
しいと認められる。
ｎＳｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏ（カリウムシリケート）水溶液と
ｎ′＝３〜７のｎ′ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏ（リチウムシリ
ケート）水溶液とを、ＳｉＯ2 換算の重量比で７０：３
０ないし１０：９０の範囲で混合した無機バインダーで
ある。カリウムシリケートの比率が７０：３０より増加
すると耐水性が著しく低下するし、リチウムシリケート
の比率が１０：９０より増加すると成膜性が低下しかつ
基材との接着力が弱くなることから、上記の範囲が好ま
しいと認められる。
【０００８】本発明者はアルカリシリケートとして最も
一般的なナトリウムシリケート、カリウムシリケートあ
るいはリチウムシリケートとの種々な組み合わせを検討
した結果、これらのアルカリシリケートの混合範囲をど
のようにとっても耐水性の向上をはかることはできなか
った。
一般的なナトリウムシリケート、カリウムシリケートあ
るいはリチウムシリケートとの種々な組み合わせを検討
した結果、これらのアルカリシリケートの混合範囲をど
のようにとっても耐水性の向上をはかることはできなか
った。
【０００９】
【作用】本発明に係る無機バインダーは、耐熱性に優
れ、耐水性も著しく改善された保存安定性のよい水系バ
インダーであって、不燃性コーティング剤、耐熱接着剤
として、また、各種の骨材などの複合化による耐火性材
料のバインダーとして広く利用できる。
れ、耐水性も著しく改善された保存安定性のよい水系バ
インダーであって、不燃性コーティング剤、耐熱接着剤
として、また、各種の骨材などの複合化による耐火性材
料のバインダーとして広く利用できる。
【００１０】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるもので
はない。 実施例１ないし７ ＳｉＯ2 ２７wt％とＫ2 Ｏ１４％からなるモル比（ｎ）
が３．０のカリウムシリケート水溶液（Ｉ）とＳｉＯ2
１９．５wt％とＬｉ2 Ｏ２．４wt％からなるモル比４．
１のリチウムシリケート水溶液（II）とを、表１に示す
割合で混合した組成物No. １ないし７（実施例１ないし
７）と組成物No. ８を作成した。
明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるもので
はない。 実施例１ないし７ ＳｉＯ2 ２７wt％とＫ2 Ｏ１４％からなるモル比（ｎ）
が３．０のカリウムシリケート水溶液（Ｉ）とＳｉＯ2
１９．５wt％とＬｉ2 Ｏ２．４wt％からなるモル比４．
１のリチウムシリケート水溶液（II）とを、表１に示す
割合で混合した組成物No. １ないし７（実施例１ないし
７）と組成物No. ８を作成した。
【００１１】これらの組成物をガラス板に塗布して、室
温で１００時間乾燥して外観を検査した。また、これら
の組成物にこの組成物と同量の石英粉末を添加して室温
で１００時間、次いで８０℃で１時間乾燥した試片を８
０℃の温水に１時間浸漬して、塗膜が溶解するか否かの
耐水性テストを行った。その結果を表１に示す。
温で１００時間乾燥して外観を検査した。また、これら
の組成物にこの組成物と同量の石英粉末を添加して室温
で１００時間、次いで８０℃で１時間乾燥した試片を８
０℃の温水に１時間浸漬して、塗膜が溶解するか否かの
耐水性テストを行った。その結果を表１に示す。
【００１２】
【表１】
【００１３】すなわち、 アルカリシリケート組成物をガラス板上に塗布した
のち、室温で１００時間乾燥し、外観を検査した。その
結果、均一透明な組成物はガラス基板に強く付着してお
り、エンピツ硬さは６Ｈ以上であった。 アルカリシリケート組成物１００ｇに石英粉末１０
０ｇを加えたスラリーをガラス板上に塗布したのち、室
温で１００時間、次いで８０℃で１時間乾燥し、それを
８０℃の温水に１時間浸漬した。
のち、室温で１００時間乾燥し、外観を検査した。その
結果、均一透明な組成物はガラス基板に強く付着してお
り、エンピツ硬さは６Ｈ以上であった。 アルカリシリケート組成物１００ｇに石英粉末１０
０ｇを加えたスラリーをガラス板上に塗布したのち、室
温で１００時間、次いで８０℃で１時間乾燥し、それを
８０℃の温水に１時間浸漬した。
【００１４】表１の結果から明らかなように、３．０Ｓ
ｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏと４．１ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏの水溶液の
混合比がＳｉＯ2 に換算した重量比で７０：３０ないし
１０：９０の間に成膜性と耐水性のバランスのとれたバ
インダー組成があることが分かる。カリウムシリケート
またはリチウムシリケートの一方を、ナトリウムシリケ
ート（水ガラス、ＪｉＳ３号、３．１ＳｉＯ2 ・Ｎ
2 Ｏ）に代えて同様の実験を行ったところ、全組成範囲
で耐水性が不良であった。
ｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏと４．１ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏの水溶液の
混合比がＳｉＯ2 に換算した重量比で７０：３０ないし
１０：９０の間に成膜性と耐水性のバランスのとれたバ
インダー組成があることが分かる。カリウムシリケート
またはリチウムシリケートの一方を、ナトリウムシリケ
ート（水ガラス、ＪｉＳ３号、３．１ＳｉＯ2 ・Ｎ
2 Ｏ）に代えて同様の実験を行ったところ、全組成範囲
で耐水性が不良であった。
【００１５】また、表１の組成物No. ３（実施例３）の
薄膜を作成し、体積抵抗率と絶縁破壊電圧を測定したと
ころ、室温で１００時間乾燥したものでは１．７×１０
8 Ω・cm及び２．３８KV／mmであり、また、上記の室温
乾燥の後に１４０℃で１時間熱処理したものでは３．７
×１０13Ω・cm及び３．１８KV／mmであり、電気絶縁材
料としても優れた特性をもつことが分かった。
薄膜を作成し、体積抵抗率と絶縁破壊電圧を測定したと
ころ、室温で１００時間乾燥したものでは１．７×１０
8 Ω・cm及び２．３８KV／mmであり、また、上記の室温
乾燥の後に１４０℃で１時間熱処理したものでは３．７
×１０13Ω・cm及び３．１８KV／mmであり、電気絶縁材
料としても優れた特性をもつことが分かった。
【００１６】表１の組成物No. ２（実施例２）をマイカ
積層板（プリプレグ、厚さ約３０μm ）にスプレー・コ
ーティングした。このプリプレグを空気乾燥したのち３
２枚重ね合わせて、４００Kg／cm2 の圧力で２４０℃で
プレスし、厚さ約１mmのマイカ板を製造した。このマイ
カ板は、６００℃に加熱しても膨張及び／または剥離な
どの異常が発生せず、スチームに当てても異常を生じな
かった。従来、この目的に用いられていたシリコン樹脂
系バインダーでは耐熱性が４００℃までであり、耐スチ
ーム性も弱かった。
積層板（プリプレグ、厚さ約３０μm ）にスプレー・コ
ーティングした。このプリプレグを空気乾燥したのち３
２枚重ね合わせて、４００Kg／cm2 の圧力で２４０℃で
プレスし、厚さ約１mmのマイカ板を製造した。このマイ
カ板は、６００℃に加熱しても膨張及び／または剥離な
どの異常が発生せず、スチームに当てても異常を生じな
かった。従来、この目的に用いられていたシリコン樹脂
系バインダーでは耐熱性が４００℃までであり、耐スチ
ーム性も弱かった。
【００１７】表１の組成物No. ４（実施例４）を３７５
ｇとアルミナ・シリカ・ジルコニア混合微粉末６２５ｇ
とを混合してスラリーを作成し、これを容器に注入し
て、１００時間室温で乾燥して厚さ１cmの板状物とし、
これを８０℃で１０時間熱処理したあとガスバーナーで
赤熱したのち冷却したところ外観に何らの異常を認めな
かった。
ｇとアルミナ・シリカ・ジルコニア混合微粉末６２５ｇ
とを混合してスラリーを作成し、これを容器に注入し
て、１００時間室温で乾燥して厚さ１cmの板状物とし、
これを８０℃で１０時間熱処理したあとガスバーナーで
赤熱したのち冷却したところ外観に何らの異常を認めな
かった。
【００１８】表１の組成物No. ５（実施例５）を１００
ｇと石英微粉末及び石英粒との混合粉末８００ｇと蒸留
水１００ｇとを混合して箱型抵抗器用充填剤を作成し、
これを深さ５０mmのセラミック容器に注入して、２４時
間室温で乾燥し、次いで１８０℃／６０分で乾燥して、
車両用ヒューズ抵抗器の充填剤として利用した結果、 その後の如何なる過負荷テストでも発煙、臭気等が
なく、クラック・膨張等も発生せず、不燃性であった。 従来のアルカリシリケートに見られない耐水性の向
上があり、電気絶縁抵抗も良好であった。 稀釈用液は蒸留水又は水道水を利用できたので労務
管理面や人事管理面の効果も大であった。
ｇと石英微粉末及び石英粒との混合粉末８００ｇと蒸留
水１００ｇとを混合して箱型抵抗器用充填剤を作成し、
これを深さ５０mmのセラミック容器に注入して、２４時
間室温で乾燥し、次いで１８０℃／６０分で乾燥して、
車両用ヒューズ抵抗器の充填剤として利用した結果、 その後の如何なる過負荷テストでも発煙、臭気等が
なく、クラック・膨張等も発生せず、不燃性であった。 従来のアルカリシリケートに見られない耐水性の向
上があり、電気絶縁抵抗も良好であった。 稀釈用液は蒸留水又は水道水を利用できたので労務
管理面や人事管理面の効果も大であった。
【００１９】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明に係る無機バインダーは、耐熱性に優れ、耐水性
も著しく改善された保存安定性のよい水系バインダーで
あって、不燃性コーティング剤、耐熱接着剤として、ま
た、各種の骨材などの複合化による耐火性材料のバイン
ダーとして広く利用できるものである。
本発明に係る無機バインダーは、耐熱性に優れ、耐水性
も著しく改善された保存安定性のよい水系バインダーで
あって、不燃性コーティング剤、耐熱接着剤として、ま
た、各種の骨材などの複合化による耐火性材料のバイン
ダーとして広く利用できるものである。
Claims (1)
- 【請求項１】一般式ｎＳｉＯ2 ・Ｍ2 Ｏ（式中、ＭはＫ
またはＬｉを表す）で示されるアルカリ金属ケイ酸塩に
おいて、ｎＳｉＯ2 ・Ｋ2 Ｏ（式中ｎは２ないし４であ
る）とｎ′ＳｉＯ2 ・Ｌｉ2 Ｏ（式中ｎは３ないし７で
ある）の比が、ＳｉＯ2 換算で７０：３０ないし１０：
９０の範囲とした混合比のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液
からなる耐水性無機バインダー。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14693792A JPH085662B2 (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 耐水性無機バインダー |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14693792A JPH085662B2 (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 耐水性無機バインダー |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05311091A JPH05311091A (ja) | 1993-11-22 |
| JPH085662B2 true JPH085662B2 (ja) | 1996-01-24 |
Family
ID=15418948
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14693792A Expired - Lifetime JPH085662B2 (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 耐水性無機バインダー |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH085662B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH0718202A (ja) * | 1993-07-05 | 1995-01-20 | Agency Of Ind Science & Technol | アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を主剤とするコーティング材料及びバインダー |
| JP4698018B2 (ja) * | 2000-12-12 | 2011-06-08 | 日本碍子株式会社 | 接着体の製造方法、および接着剤 |
| US9017464B2 (en) * | 2012-11-09 | 2015-04-28 | Praxair S.T. Technology, Inc. | Chromium-free silicate-based ceramic compositions |
| EP3760807A1 (en) * | 2019-06-30 | 2021-01-06 | Pittsburgh Corning Europe NV | Inverted roof |
| CN111073359A (zh) * | 2019-12-30 | 2020-04-28 | 成都富思特新材料有限公司 | 一种无机涂料及其制备方法 |
-
1992
- 1992-05-13 JP JP14693792A patent/JPH085662B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05311091A (ja) | 1993-11-22 |
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