JPH0855600A - イオン注入機及びこれに使用するイオンビーム中和器、並びに負電荷電子を正電荷イオンビーム内へ導入する方法 - Google Patents

イオン注入機及びこれに使用するイオンビーム中和器、並びに負電荷電子を正電荷イオンビーム内へ導入する方法

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JPH0855600A
JPH0855600A JP7189882A JP18988295A JPH0855600A JP H0855600 A JPH0855600 A JP H0855600A JP 7189882 A JP7189882 A JP 7189882A JP 18988295 A JP18988295 A JP 18988295A JP H0855600 A JPH0855600 A JP H0855600A
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electrons
electron
ion
filament
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JP7189882A
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Victor M Benveniste
マウリス ベンベニステ ビクター
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Eaton Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオンビームを中和し、ウェハの帯電を防止す
るようにしたイオンビーム中和器、及びこれ含むイオン
注入機を提供すること。 【解決手段】イオンビーム中和器(150) が、電子放出フ
ィラメント (210a〜210f) と、電子を電子源からイオン
ビーム(20)内へ誘導する電子デフレクタ(226) とを有し
ている。電源が、電子を発生するフィラメント (210a〜
210f) から離れる方向へ電子を加速するのに適した電位
のバイアスを加速グリッド(220) に加える。第2グリッ
ド(224) が定めた電界内を電子が通過する。電子は、第
2グリッドを通過して、第2グリッド(224) と放物線形
金属デフレクタ(226) との間の電界によって偏向され
る。これにより、イオンビームがウェハに衝突する前に
イオンビームを中和する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウェハを処
理する際に用いられるイオンビームを発生するイオン注
入機、特にイオンビームがウェハに衝突する前にイオン
ビームを中和するイオンビーム中和器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】イオン注入機の1つの使用法は、集積回
路を製造する工程中に後の処理を行うのに適した半導体
ウェハを形成するためにシリコンウェハをドーピング処
理することである。ウェハのドーピングに用いられた不
純物がイオン化し、イオンビームの形に成形できる場
合、イオンビームを用いて、イオンビームを制御濃度で
ウェハに衝突させることによってシリコンウェハのドー
ピングを行うことができる。
【0003】ウェハのイオン注入ドーピングに見られる
1つの問題は、ウェハの帯電の問題である。イオンビー
ムがウェハに衝突する時、ウェハ表面が正電荷に帯電す
る。帯電が不均一であって、ウェハ表面に大きな電界を
形成する可能性があることが多い。これらの電界によっ
てウェハが破損して、半導体材料として使用できなくな
ることがある。
【0004】幾つかの従来形の注入装置では、イオンビ
ームの空間電荷を中和するために電子シャワー装置が用
いられている。既存の電子シャワー装置は、高エネルギ
ー電子が金属表面に衝突した時に発生する二次電子放出
を利用している。金属表面から出た低エネルギー電子が
イオンビーム内に捕らえられるか、ウェハ表面に衝突す
るように誘導されることによって、直接的にウェハを中
和する。
【0005】金属表面からの二次放出によって得られる
電子の電流密度は、イオンビームと金属電子放出表面と
の間の電位差によって制限される。中和すると、イオン
ビームの電位が降下する。その時、放出表面から引き出
すことができる二次放出電子電流が減少する。帯電イオ
ンビームが電気絶縁ウェハ上へ誘導される場合、中和器
がウェハの帯電を防止するためには、電子電流がイオン
ビーム電流と同じでなければならない。ビーム電位が最
初に低い場合、イオンビーム電位が必要量の電子電流を
電子放出表面から引き出すことができる大きさになるま
で、ウェハが帯電する。
【0006】低電位イオンビームがウェハを帯電させる
ことがある。ビームの中心が正電位のままで、負電荷が
イオンビームの周囲に集中するために外側が負電位にな
るであろう。実際に、金属電子放出表面の空間電荷が、
イオンビーム経路に沿った残留ガスのイオン化から生じ
る低速イオンによって部分的に中和することがわかって
いる。その結果、その時は引き出される電子電流が高く
なることが理論的に予想され、実際に従来技術で低エネ
ルギー電子を生じるために残留ガス圧力を利用してい
る。
【0007】ファーレイ(Farley)の米国特許第4,804,83
7 号は、高エネルギー電子源を備えたビーム中和装置を
開示している。これらの電子は、イオン性ガスを包含す
る中和領域内を前後に偏向される。高エネルギー電子が
その領域を通る時、それらがガスをイオン化して、ビー
ム中和用の低エネルギー電子を発生する。ファーレイの
第4,804,837 号特許の開示内容は参考として本説明に含
まれる。ファーレイの第4,804,837 号特許に述べられて
いる目的は、イオンビームの領域内の電子がガス分子に
出会う時間を長くして、それによって二次電子の発生を
増加させることである。
【0008】イオンビームを「十分に」中和できない場
合、それはビーム内の正電荷イオンの相互反発によって
膨張すなわち拡大する傾向がある。この膨張領域を最小
限に抑えるため、電子シャワーの上流側に電子バリヤを
配置することができる。一般的なイオン注入室には支持
体が設けられ、それがシリコンウェハを円形経路で回転
させてイオンビーム内を通過させることによって、イオ
ンビームがウェハに、次に大地電位に保持されたウェハ
支持体に、続いて次のウェハに衝突していく。このた
め、ウェハがイオンビームを通過する時にイオンビーム
電位が急激に変動する。イオンビーム中和領域の上流側
に定電位開口板を設置することによって、このビーム電
位の変動が減少する。
【0009】イオンビームに沿って最小電位を発生する
負バイアスを掛けた開口を設置することによって、ビー
ム電位の変動が減少する。ビーム中和器からの電子はこ
の開口を通過できない。
【0010】抑制開口を用いることによって、望ましく
ない2つの結果が生じる。開口によって、ビーム電位を
急激に発散させる境界条件が持ち込まれる。これは、抑
制開口の下流側でビームの膨張を激化させる可能性があ
る。また、開口の領域の電界が、ビーム中和器から下流
に注入室の領域へ進む電子を偏向させる可能性がある。
これは、イオンビームの中心部に正電荷領域を、イオン
ビームの外周部に負電荷領域を発生するという望ましく
ない結果を生じる。言い換えると、イオンビームは広い
意味では中和されているが、ウェハ表面では、ウェハ中
心部で正電荷の増加が、外周付近では負電荷の増加が見
られる。この結果、大きい望ましくない電界が形成され
る。
【0011】ベンベニステ(Benveniste)の米国特許第5,
164,599 号は、別のビーム中和器を開示している。円筒
形電子源がイオンビームを取り囲んでいる。ビームの周
りに離設されたフィラメント列によって放出された電子
がビームを通過して、中和器の内向きの壁に衝突する。
ビームを中和する二次電子放出が生じる。ベンベニステ
の米国特許第5,164,599 号の開示内容は参考として本説
明に含まれる。本発明は、ファーレイ及びベンベニステ
特許に開示されている装置の変更例を提供する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】イオンビームがウェハ
に衝突する前にイオンビームを中和し、ウェハの帯電を
防止するようにしたイオンビーム中和器、及びこれ含む
イオン注入機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に従って構成され
たイオン注入機は、イオン源からのイオンで加工物を処
理する。イオン源から放出された正電荷イオンが成形さ
れて、注入部で加工物を処理するイオンビームを形成す
る。イオン注入部の上流側のビーム中和器に、内向きの
湾曲表面を備えて、電子をイオンビーム内へ誘導する導
電界形成用リフレクタが設けられている。電子源がリフ
レクタ付近の領域に中和電子を放出し、これがまずリフ
レクタに向かう方向へ加速されてから、リフレクタから
イオンビームに向かう方向へ偏向される。電源が、電子
源に対してリフレクタにバイアスを加えて、電子を電子
源から放出された後に進む軌道から、ほぼ平行な経路に
沿ってイオンビームに向かう方向へ移動させる経路へ偏
向させる。
【0014】ビーム中和器は、イオンビームによって捕
捉できる低エネルギー電子を大量に供給する。この電子
供給は、高エネルギー成分を含まず、低エネルギーで実
質的に非活動性である。
【0015】本発明の好適な実施例によれば、電子源
は、各端部同士をつないだ一連の電子放出フィラメント
で構成されている。そのようなフィラメントから出た電
子は、全方向へ放出され、グリッドによってフィラメン
トから離れる方向へ加速される。電子は外向きに移動し
て、電子中和領域を拡大する。次に、電子は、断面が放
物線形で中和器の長手方向に延在している細長いリフレ
クタによって反射される。
【0016】本発明の目的、利点及び特徴は、添付の図
面を参照した発明の好適な実施例についての以下の詳細
な説明から明らかになるであろう。
【0017】
【実施の形態】図1は、高圧ハウジング16によって支持
されたイオン源12及びビーム分析磁石14を備えたイオン
注入装置10を示している。イオン源12から出たイオンビ
ーム20は、ハウジング16を出てイオン注入室22に入る制
御移動経路に沿って進む。イオン源12からイオン注入室
22までのビーム移動経路に沿って、イオンビーム20は成
形、評価されて、所望注入エネルギーまで加速される。
【0018】分析磁石14は、適当な質量のイオンだけを
イオン注入室22に到達させる。ビーム20がハウジング16
から出る領域で、イオンビーム20は、高圧ハウジング16
を注入室22から隔離する電気絶縁材で構成された高圧絶
縁ブッシュ26を通過する。
【0019】イオン注入室22は、室22をイオンビーム20
に対して整合させることができる可動台28上に支持され
ている。イオンビーム20は、軸線42回りに回転可能に取
り付けられたウェハ支持体(構造体)40に衝突する。ウ
ェハ支持体40は、その外周上に多数のシリコンウェハを
支持しており、これらのウェハを円形経路に沿って移動
させる。イオンビーム20がウェハ移動経路に交わって、
イオンを各ウェハに衝突させ、これらのウェハにイオン
不純物を選択的に添加する。支持体40は、支持体40及び
ウェハを回転させるモータ50によって高速回転する。線
形駆動部52が、室22内で支持体40の前後方向の位置合わ
せを行うことによって、未処理ウェハをビーム経路内へ
移動させ、処理済みウェハを室22から引き出すことがで
きる。
【0020】従来形イオン注入装置に関するさらなる詳
細は、アームストロング(Armstrong) 他の米国特許第4,
672,210 号に記載されている。この特許の主題は参考と
して本説明に含まれる。
【0021】シリコンウェハが、ロボットアーム70によ
って真空ポート71からイオン注入室22内へ挿入される。
室22は、真空ポンプ72によって、イオンビーム経路の圧
力と同じ低圧まで脱気されている。ロボットアーム70は
ウェハをウェハ保管用カセット73との間で前後方向に移
送する。この移送を行う機構は従来より公知である。さ
らなるポンプ74、75が、イオン源12から注入室22までの
イオンビーム経路を脱気する。
【0022】イオン源12には、細長いほぼ楕円形の出口
開口を備えた高密度プラズマ室76が設けられている。イ
オン源12に関するさらなる詳細は、参考として本説明に
含まれるベンベニステ他の米国特許第5,026,997 号に開
示されている。イオンがプラズマ室76から出ると、それ
らは、出口開口のすぐ外側に配置されたイオン引出し電
極80によって形成された電界によって室76から離れる方
向に加速される。分析磁石14は、適正質量を有するイオ
ンを注入軌道に曲げる磁界を発生する。これらのイオン
は、分析磁石14を出てから、イオン注入室22まで続いた
移動経路に沿って加速される。高圧ハウジング16内に注
入機コントローラ82が配置されており、磁界巻線の電流
を制御することによって磁界強さを調節する。ここで、
イオン引出し電極80と分析磁石14は、ビーム形成手段を
構成する。
【0023】イオン源12は、注入に使用されるイオンと
は異なった質量のイオンを高い割合で発生する。これら
の望ましくないイオンも分析磁石14で曲げられるが、注
入軌道から離れる。例えば、重いイオンは大きい半径の
軌道を取り、注入に用いられるものより軽いイオンは、
もっと小さい半径の軌道を取る。
【0024】ビーム移動経路上の磁石14の下流側にファ
ラディーカップ(図示せず)が配置されている。ファラ
ディーカップは、イオンビーム20内へ移動して、イオン
を遮断してそれが注入室22に到達しないようにすること
ができる。ビームの準備中にファラディーカップを使用
して、イオンビーム電流を監視することができる。ファ
ラディーカップはまた、ウェハを室22に出し入れする時
等、イオン注入を中断する時にもイオンを遮断するため
に使用される。
【0025】磁石14から離れた後、イオンビーム20は、
高圧絶縁ブッシュ26の領域内に配置された四重極レンズ
112 によって集束される。四重極レンズ112 は、イオン
ビーム20内のイオンを互いに直角方向に偏向させて、凸
レンズが光線に対して持つ集束効果と同様にしてイオン
ビームを像面上に集束させる。四重極レンズ112 によっ
て十分に偏向、集束されないビーム20内のイオンは、イ
オンビームから出て、イオン注入室22に到達しない。像
面の領域に到達するイオンは、加速電極116 によって所
望の最終注入エネルギーまで加速される。
【0026】イオン注入中は、ファラディーカップはイ
オンビーム経路から後退しており、イオンビームは室22
に流入する直前にビーム中和器150 (図2及び図3)を
通過する。ビーム中和器150 は、イオンビーム電流と同
じ割合でイオンビーム内に低エネルギー電子を注入し
て、注入室22内でのウェハの帯電を最小限に抑える。イ
オン中和器150 付近では、ビーム20は、厚さが2イン
チ、幅が10インチに成形されている。
【0027】ビームの中和 ビーム中和器150 には、ビーム20に向き合ったほぼ平坦
なフレーム152 が設けられており、これは中和器150 の
両端部において連結具153 (図3参照)によって2つの
端部壁154 、155 に連結されている。フレーム152 は、
横部材159 によって分割された約12インチ長さ、約2イ
ンチ幅の矩形の開口156 、158 を設けている。低エネル
ギー電子が開口156 、158 から中和器150 を出て、ビー
ム20に入る。これらの電子は、ビームがイオン注入室22
に入る前にビームを中和できる十分な量で与えられる。
【0028】フレーム152 の開口156 、158 を横切る方
向にタングステンワイヤ160 (図2B)が張り渡されて
おり、これは電子がイオンビームへ進む途中に通過する
グリッド162a、162bを形成している。グリッド162a、16
2bの各々は、1本の長いワイヤをフレーム152 の一端部
から他端部まで前後に何回も張り渡して形成されてい
る。フレームの端部材164 、166 には、フレームの幅全
体に等間隔にノッチが設けられ、それにワイヤ160 がは
まっている。フレーム152 及びグリッド162a、162bは電
源200 によって大地電位に維持されている。この電源20
0 は、中和器150の内部に配置されてビーム20の中和用
の低エネルギー電子を発生する6本のフィラメント210a
〜210f(図4)に電気バイアスを加える。電子は、フィ
ラメント210a〜210fから熱イオン放出された後、フィラ
メント210a〜210fから離れる方向に加速され、電子がグ
リッド162a、162bを通って中和器150 を出る時の経路に
沿って偏向される。
【0029】電子の移動経路 図6に最もわかりやすく示されているように、中和器15
0 は、半円筒形の外壁162 の端部を端部壁154 、155 で
閉じて形成された内部を備えている。6本の細長いフィ
ラメント210a〜210fが、壁162 の長さの大部分に延在す
る一直線に沿って張設されて、中和器150 の中心領域に
電子を放出する。
【0030】電子がフィラメントから離れる時、それら
は、電源200 によって100 ボルトの電位に保持されてい
る第1小径グリッド220 によって一直線状のフィラメン
ト210a〜210fから離れる方向に加速される。この電位に
よって、フィラメント210 に接する領域に電界が発生
し、これによって電子がほぼ100 電子ボルトのエネルギ
ーまで加速して、フィラメント210 から離れるように半
径方向外向きに移動して、グリッド220 を通過する。
【0031】グリッド220 は、多数本の細長いワイヤを
中和器150 の長さ方向に前後に張り渡して構成するのが
最も好ましく、100 ボルト加速電位まで励起される。図
7は、グリッド220 用の4つのモリブデン支持部材222
の1つを示している。中和器150 の各端部は、中和器15
0 の中心線223 に沿って合体する2つのそのような支持
部材222 によって定められている。
【0032】電子が100 電子ボルトのエネルギーまで加
速されてグリッド220 を通過した後、それらは第1グリ
ッド220 とやはり100 ボルト電位のバイアスをかけた第
2グリッド224 とによって定められた領域に入る。支持
部材222 間の間隔を定める横板225 が、電子を直接的に
イオンビーム20に流入させようとする経路に沿ってフィ
ラメント210 を離れる電子を遮断する。2つのグリッド
220 、224 は、加速する導電界形成部材を構成し、これ
らのグリッド間の領域内では、100 電子ボルトエネルギ
ーの電子が遮断されない軌道に沿ってまっすぐに移動す
る。これによって、電子は外向きに広がって、広い電子
中和包絡線を形成する。第2グリッド224 が端部材222
間に延在する多数本のワイヤで形成されているため、電
子は第2グリッド224 に達した時にそれを通過する。
【0033】グリッド220 は、グリッド220 を形成して
いる多数本のワイヤを位置決めする多数のノッチ227
(図8C)を設けた支持部材222 の領域226 で支持され
ている。支持部材222 のV字形溝231 がノッチ227 を貫
通しており、向き合わせた支持部材222 間に前後に巻き
付けたワイヤを位置決めする。グリッド224 は、支持部
材222 の2つの端部領域228 、229 間の湾曲部分に沿っ
て延在しており、この部分にも同様なノッチ227 及びV
字形溝231 が設けられている。支持部材222 の各々は、
電源200 によって100 ボルトの電圧バイアスが加えられ
ている。
【0034】4つの支持部材222 が、2つの半割体に組
み付けられたグリッドアセンブリの一部を形成してい
る。グリッドを支持部材222 間に前後に張り渡す前に、
2つの支持部材を横板225 と、支持部材222 のタブ部分
233 に連結した横部材232 とによって連結する。横板の
各端部にねじ孔(図示せず)が設けられており、ソケッ
トヘッドねじを支持部材222 の座ぐり孔234 、235 に挿
入してから、横板225 にねじ込むことができるようにな
っている。横部材232 の各端部に1つのねじ孔が設けら
れている。ソケットヘッドねじを支持部材222 の座ぐり
孔236 に挿入してから、そのねじ孔にねじ込む。タング
ステンワイヤを前後方向に張り渡してグリッドを形成し
た後、グリッドアセンブリになる2つの半割体を合体さ
せて完全なアセンブリにする。
【0035】フィラメント210 から出た電子は、第2グ
リッド224 を通過した後、第2グリッド224 と、グリッ
ド220 、224 用の支持部材222 から電気的に絶縁され
た、約−5ボルトDC電位のバイアスが電源200 によっ
て加えられているリフレクタ226 との間の領域に入る。
グリッド220 、224 間の実質的に非加速移動領域を通過
した後、電子は強い電界の影響を受けて、リフレクタ22
6 から互いに平行な経路P(図14)に沿って反射され
る。電子は再び第2グリッド224 を通過する。電子は、
100 ボルトグリッド224 を再度通過した後、イオンビー
ム20に向かう方向へ移動し、やはり100 ボルトDCに維
持されている、支持部材222 に取り付けられた第3グリ
ッド230 を通過する。
【0036】グリッド230 を通過した電子は、接地グリ
ッド162a、162bの一方を通って中和器から離れ、イオン
ビーム20に入る。グリッド230 とグリッド162a、162b
は、電子を減速する導電手段を構成し、これらグリッド
間の空間内で、電子は100 電子ボルトからフィラメント
210a〜210fのバイアスに一致した低エネルギーまで減速
する。コントローラ240 は、フィラメント210a〜210fを
流れる電流を制御することによって、ビームを中和する
ための低エネルギー電子の広い包絡線の電流密度を調整
する。
【0037】フィラメントの取り付け フィラメント取り付けアセンブリ245 が、ビーム中和器
150 に沿った一直線上に6本のフィラメント210a〜210f
を支持している。6本のフィラメント210a〜210fの各々
は、壁162 のスロット246 を通って中和器150 の中央領
域に延出している一対の細長い金属の枝部材248a、248b
に取り付けられている。枝部材は6本のフィラメント21
0 を整合させて緊張させる。
【0038】枝部材は、枝部材を、従って電子放出フィ
ラメントを電気的に励起する第1及び第2バイアスプレ
ート260 、262 によって支持されている。2つのバイア
スプレート260 、262 は、プレート260 、262 の長手方
向に沿って6個の電気絶縁体264 (図10)によって物
理的に隔離されている。アセンブリ245 を形成するに
は、枝部材248aをバイアスプレート262 の長手方向に沿
って等間隔に形成された孔270 に挿入し、枝部材248bを
プレート260 に等間隔に形成された孔271 に挿入する。
次に、プレート260 、262 を電気絶縁支持部材272a、27
2bに連結する。タングステンワイヤを枝部材の端部の小
孔から2つの隣接枝部材に通して、その間に緊張状態に
張り渡してから、枝部材に巻き付ける。次に、枝部材及
びフィラメントを壁162 に挿入し、また絶縁支持部材27
2 に取り付けられた2つの金属プレート274 をビーム中
和器150 の2つの端部壁154 、155 に、プレート274 貫
通して端部壁154 、155 に入る連結具275 で接続するこ
とによって、アセンブリ245をビーム中和器に取り付け
る。
【0039】図10の第1及び第2バイアスプレートの
断面は、連結具276 によってバイアスプレート260 に取
付られた絶縁体264 を示している。バイアスプレート26
0 の両端部のねじ孔 278〜281 を、支持部材272a、272b
の対応の開口に整合させる。連結具 282〜285 を支持部
材272a、272bの開口に挿通させてから、離設された孔27
8〜281 にはめ込む。図10に示されているように、連
結具283 は、バイアスプレート262 と支持部材272aとの
間の小さいギャップ286 を渡っている。
【0040】まず、バイアスプレート260 を絶縁支持部
材272a、272bに取り付けてから、第2絶縁プレート262
をアセンブリ245 に取り付ける。連結具283 、285 を支
持部材272a、272bに挿通させてから、バイアスプレート
262 にはめ込む。6個の連結具290 を絶縁体264 の開口
291 にはめて、バイアスプレート260 の孔にねじ込む。
絶縁スペーサ292 が第1バイアスプレート260 を金属連
結具296 から離している。連結具290 を締め付けて、ス
ペーサ292 をバイアスプレート260 内のくぼみ294 に当
接させ、プレート260 から延出しているフィンガ296 を
絶縁体264 内の凹部298 に接触させる。これによって、
第2バイアスプレート262 は第1バイアスプレート260
に近接した位置に、但しその長手方向に絶縁空気ギャッ
プを維持しながら、維持される。連結具283 、284 を緩
めたり締め付けることによって、2つのバイアスプレー
ト260 、262 間の相対軸方向位置が調節される。これ
は、フィラメントアセンブリをイオンビーム中和器に挿
入する前に枝部材間に張り渡されたフィラメントを緊張
させたり、緩める。
【0041】ビーム中和器を通過したビーム20は、図5
及び図6に示されている方向へ進む。ビーム20からのイ
オンと接触することによって中和器が汚染されることを
防止するため、ガード300 がフレーム152 に取り付けら
れて、中和器の幅全体に延在している。イオン注入中
に、中和器150 が過熱することがある。入口管継手301
で中和器150 内に水を循環させて、導管302 を通って内
部通路154aを設けた端部壁154 へ送り、壁の内側の導管
303 (図6)に沿って流して導管304 及び管継手305 か
ら流出させる。
【0042】変更形のイオンビーム中和器300 が図15
に概略的に示されている。加工物を処理するためのほぼ
円形断面のイオンビーム20' が、図15の紙面に直交す
る方向に移動するように示されている。一直線状の電子
放出フィラメントが、ビーム20' ら離れた電子源位置S
に位置している。電子源が放出した電子は、電子源の電
子のエネルギーを100 電子ボルト程度まで増加させるた
めにほぼ100 ボルトの電位のバイアスが加えられた(一
般的に多数本のワイヤを中和器300 の長さ方向に前後に
張り渡して構成されている)2つの励起グリッド310 、
320 によって電子源Sから離れる方向に加速される。グ
リッド310 、320 を通過した後、電子は第2対のグリッ
ド330 、340 によって定められた領域で直線運動を行
う。これらのグリッド330 、340 にも100 ボルトレベル
のバイアスが加えられているので、グリッド間を移動す
る電子は、均一エネルギーで直線移動する。グリッド33
0 、340 通過した後、電子は負バイアスが加えられたリ
フレクタプレート345 、350によって発生した大きい電
界の影響を受ける。これらのリフレクタプレートによっ
て、電子はビーム20' に向かう方向へ偏向される。
【0043】電子源Sとビーム20' の中心Cとは、2つ
のリフレクタプレート345 、350 の位置に一致した楕円
の焦点位置にある。電子源Sのフィラメントから出た電
子は、一定の移動経路では2つの金属シールド360 、36
2 によって遮断される。シールド362 は、電子が電子源
Sを出てから直接的にビーム20' の領域内へ移動するこ
とを防止する。イオンビーム中和器300 には、図1に示
されている電源200 等の電源によって電気バイアスが加
えられた2つのさらなるグリッド264 、266 が設けられ
ている。グリッド264 は100 ボルトに維持され、グリッ
ド266 は接地されている。電子源Sには、多数のフィラ
メントがビーム20' の長手方向に沿って一直線上に並べ
られている。
【0044】以上に本発明の好適な実施例をある程度詳
細に説明してきたが、発明の特許請求の範囲内において
様々な変更を加えることができる。
【0045】
【有利な効果】本発明によれば、あるフィラメントに加
える電位を制御することによって、イオンビーム中和器
から放出されてビームの領域へ進む電子の密度を制御し
て、イオンビームが加工物に衝突する前にこのビームを
中和させることができる。
【0046】この結果、ウエハへの帯電が不均一であっ
て、ウェハ表面に大きな電界を形成することによってウ
ェハが破損して、半導体材料として使用できなくなるを
防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオン注入装置の概略図である。
【図2】図2Aは、イオンビームの平面から見たイオン
ビーム中和器を示す平面図であり、図2Bは、電子が中
和器から出てイオンビームに入ることができるようにす
るグリッドを示す、イオンビーム中和器の拡大平面図で
ある。
【図3】低エネルギー電子をイオンビームに注入するた
めの図2のイオンビーム中和器の一部破断立面図であ
る。
【図4】図2Aの4−4線に沿ったイオンビーム中和器
の断面図である。
【図5】図3の5−5線側から見たイオンビーム中和器
の端面図である。
【図6】図3の6−6線に沿ったイオンビーム中和器の
断面図である。
【図7】イオンビーム中和器内に支持された電子放出フ
ィラメントから電子を加速する電気励起グリッド用の4
つの支持部材のうちの1つの拡大立面図である。
【図8】図7の支持部材の構造の詳細を示す支持部材の
各領域A〜Dの拡大図である。
【図9】多数の細長い電子放出フィラメント用のフィラ
メント支持部材の平面図である。
【図10】図9のフィラメント支持部材の断面図であ
る。
【図11】フィラメント支持部材の一部破断側面図であ
る。
【図12】図10の11−11線に沿った断面図である。
【図13】フィラメント支持部材の端面図である。
【図14】電子がフィラメントから放出されて、フィラ
メントから加速され、イオンビーム内へ反射されるとこ
ろを示すイオンビーム中和器の概略図である。
【図15】本発明の変更実施例の概略図である。
【符号の説明】
10 イオン注入装置 12 イオン源 20 イオンビーム 150 イオンビーム中和器 210a〜210f 電子源 220 、224 、230 、162a、162b グリッド

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工物をイオンビームで処理するイオン
    注入機(10)であって、 (a) 加工物の処理に使用される正電荷イオンを放出する
    イオンビーム源(12)と、 (b) イオンビーム源を出たイオンからイオンビーム(20)
    を形成する構造体を有するビーム形成手段(80、14) と、 (c) 加工物をイオンビーム内に位置決めする構造体(40)
    を有する注入部(22)と、 (d) イオンビーム電流を監視して、加工物に衝突するイ
    オンの吸収線量を制限するコントローラ(82)とを有して
    おり、 さらに、 (i) 内向きに湾曲した表面を備えて、電子をイオンビー
    ム内へ反射する導電界形成リフレクタ(226) と、 (ii) リフレクタに向かって移動してイオンビームに向
    かう方向へ偏向される中和電子をリフレクタ付近の領域
    内へ放出する電子源 (210a〜210f) と、 (iii)電子源から出た電子を、それらが前記リフレクタ
    によってイオンビームに向かう方向へ反射される領域に
    達する前に、加速する導電界形成部材(220、224) と、 (iv) 電子がリフレクタから離れる方向へ反射された後
    で、それらがイオンビームに入る前に、電子を減速する
    導電手段(230、162a、162b) とを備えたビーム中和器(15
    0) を有することを特徴とするイオン注入機。
  2. 【請求項2】 さらに、ビーム中和器(150) は、電子源
    (210a〜210f) から放出された時に電子が進む軌道から
    電子をイオンビーム(20)内へ反射するため、電子源に対
    してリフレクタに電気バイアスを加える電源(200) を有
    することを特徴とする請求項1のイオン注入機。
  3. 【請求項3】 電子源 (210a〜210f) は、各端部同士を
    つないで整合されて、ビーム中和器(150) の軸方向長さ
    を定める多数の細長いフィラメント (210a〜210f) を有
    していることを特徴とする請求項1のイオン注入機。
  4. 【請求項4】 さらに、第1及び第2グリッド(220、22
    4) を有しており、第1グリッドには、電子源 (210a〜2
    10f) から離れる方向に電子を加速するように電気バイ
    アスが加えられ、第2グリッドには、電子がリフレクタ
    (226) に接近した時にイオンビーム(20)に向かう方向へ
    偏向される前に、ほぼ不偏向の電子移動ゾーンを定める
    ようにバイアスが加えられることを特徴とする請求項1
    のイオン注入機。
  5. 【請求項5】 イオン注入機に使用するイオンビーム中
    和器(150) であって、 (a) 制御電位に維持されて、ビーム内のイオンが通過す
    る時に電子をイオンビーム内へ反射する位置に支持して
    いる湾曲偏向表面を備えた金属本体(226) と、 (b) 金属本体に対して機械的に固定され、その金属本体
    から電気的に絶縁されている1つまたは複数の電子放出
    フィラメント (210a〜210f) と、 (c) 各フィラメントに対応して設けられて、そのフィラ
    メントから発生した一次電子を金属本体の湾曲偏向表面
    の一部分に向かう方向へ誘導する一次電子誘導手段(22
    0) と、 (d) 金属本体を1つまたは複数のフィラメントに対して
    位置決めする支持構造体(162、154、155) と、 (e) 電子放出フィラメントに金属本体に対して負電位の
    バイアスをかけ、電子を放出できるように十分にフィラ
    メントを加熱するための電流を発生するようにフィラメ
    ントに電位を加える電源(200) とを有しており、 (f) 前記金属本体は、イオンビームに向き合わせて、電
    子をイオンビーム内へ誘導し直す電界を発生するために
    ほぼ放物線形表面を備えていることを特徴とするイオン
    ビーム中和器。
  6. 【請求項6】 さらに、支持構造体(162、154、155) に
    は、熱を放散させるために冷却材を支持構造体に流す通
    路(154a)が形成されていることを特徴とする請求項5の
    イオンビーム中和器。
  7. 【請求項7】 イオン注入機に使用するイオンビーム中
    和器(150) であって、 (a) 各端部同士をつないで緊張状態で支持されている複
    数の軸方向に長いフィラメント (210a〜210f) と、 (b) 複数の軸方向に長いフィラメントの長手方向に沿っ
    て支持されて、フィラメントを部分的に包囲しており、
    フィラメントから放出された電子を、電子がフィラメン
    トを離れた後にイオンビーム(20)に入る反射経路に沿っ
    て誘導する円弧形の軸方向に長い電子リフレクタ(226)
    と、 (c) リフレクタの半径方向内側に湾曲グリッド部分を形
    成しており、この湾曲グリッド部分に設けられたギャッ
    プによって、フィラメントから放出された電子がグリッ
    ドとリフレクタとの間の領域に入ることができ、そこで
    電子はグリッドとリフレクタとの間に形成された電界に
    よって反射されるようになっている、第1導電グリッド
    (220) と、 (d) フィラメント、グリッド及びリフレクタを間隔を置
    いて支持し、移動する正電荷イオンのイオンビームに対
    して前記フィラメント、グリッド及びリフレクタを位置
    決めする支持部材(162、154、155) と、 (e) 軸方向に長いフィラメントに電子放出電流を発生さ
    せ、また電子リフレクタ及び導電グリッドにバイアスを
    かける電源(200) とを有することを特徴とするイオンビ
    ーム中和器。
  8. 【請求項8】 さらに、電源(200) によってバイアスが
    加えられた第2導電グリッド(224) が設けられて、細長
    いフィラメント (210a〜210f) から第1及び第2導電グ
    リッド(220、224) 間の領域へ進む電子を加速することを
    特徴とする請求項7のイオンビーム中和器。
  9. 【請求項9】 さらに、フィラメント (210a〜210f) は
    イオンビーム中和器のほぼ全長にわたって延在している
    ことを特徴とする請求項7のイオンビーム中和器。
  10. 【請求項10】 各フィラメント (210a〜210f) に対応
    して設けられて、そのフィラメントから放出された一次
    電子を電子リフレクタ(226) の内向き表面の一部分に向
    かう方向へ誘導する一次電子誘導手段(220) を有するこ
    とを特徴とする請求項7のイオンビーム中和器。
  11. 【請求項11】 細長い電子リフレクタ(226) は、リフ
    レクタの一端部から見た時に放物線形であることを特徴
    とする請求項7のイオンビーム中和器
  12. 【請求項12】 イオンビーム(20)で処理する加工物に
    イオンビームが達する前に、負電荷電子を正電荷イオン
    ビーム(20)内へ導入する方法であって、 (a) 一連の細長いフィラメント (210a〜210f) をイオン
    ビームの軸方向長さに沿って各端部同士をつないで整合
    させ、前記細長いフィラメントを励起することによって
    中和電子を放出させ、 (b) 電子がフィラメントから拡散方向に沿って加速され
    る間、電子が直接的にイオンビーム内へ移動することを
    禁止し、 (c) 電子がフィラメントから離れる方向に加速された
    後、電子が一定エネルギーで通過する制御電位の領域を
    形成し、 (d) 電子の経路上の、電子が比較的一定の電位の領域を
    離れる地点に湾曲電子デフレクタ(226) を位置決めし
    て、電子をほぼ平行な経路に沿ってイオンビームに向け
    て偏向させる電界を発生できるように湾曲デフレクタに
    バイアスをかけることによって電子をイオンビーム内へ
    偏向させる、各ステップを有することを特徴とする方
    法。
  13. 【請求項13】 さらに、制御電位の領域を形成するス
    テップは、離設してその間を電子が通過するようにグリ
    ッド(220、224) を位置決めし、離設グリッドに同一電位
    のバイアスをかけることによって実行されることを特徴
    とする請求項12の方法。
JP7189882A 1994-07-01 1995-07-03 イオン注入機及びこれに使用するイオンビーム中和器、並びに負電荷電子を正電荷イオンビーム内へ導入する方法 Pending JPH0855600A (ja)

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