JPH0854905A - 適応制御装置 - Google Patents

適応制御装置

Info

Publication number
JPH0854905A
JPH0854905A JP18620894A JP18620894A JPH0854905A JP H0854905 A JPH0854905 A JP H0854905A JP 18620894 A JP18620894 A JP 18620894A JP 18620894 A JP18620894 A JP 18620894A JP H0854905 A JPH0854905 A JP H0854905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
input
term
control
setting means
controlled object
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18620894A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Ishida
明 石田
Taku Shimomura
卓 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP18620894A priority Critical patent/JPH0854905A/ja
Publication of JPH0854905A publication Critical patent/JPH0854905A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】制御対象の変動や外乱の影響を低減し、規範モ
デルに出力を追従させる適応制御装置を提供する。 【構成】規範モデル設定手段11により、制御対象16
の出力yが追従するべき目標値ymを算出する。このy
mとyとの偏差eを希望の応答特性で0に収束させる仕
様を収束仕様設定手段12により設定し、この仕様に対
し制御対象16の入力配分行列の公称値となる入力推定
ゲインを推定ゲイン設定手段13で設定する。これら収
束仕様設定手段12と推定ゲイン設定手段13と、入力
演算最終部に設置したタイムディレイループ14で構成
される制御入力算出手段15により、制御対象の変動や
入力外乱の影響を低減する制御入力を算出し、この制御
入力を制御入力算出手段15より制御対象16へ入力す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、未知の外乱が入る場合
や、制御対象自体のゲインなどの特性が変動する場合に
対しても、安定に規範モデルに追従制御できる適応制御
装置に関するもので、たとえば、自動車の四輪操舵制御
装置に有効である。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の制御(特にエンジンの制
御)のように、プラントの動特性が時々刻々変動するよ
うな系に対し、制御対象の出力を目標値に追従させるた
めの様々な制御則や方法が考案されている。
【0003】たとえば、制御対象の出力を規範モデルの
出力に追従させるモデル規範型適応制御などが提案され
ており、制御対象のパラメータが未知である場合や、動
作環境の変化によりパラメータが変動するような場合に
は、制御対象のパラメータを同定しながら制御を行って
いる。
【0004】特開平2−201607号公報に示されて
いるように、ニューラルネットワークにより、未知部分
の同定を行い、その結果に基づき適応制御則のゲインを
チューニングする制御方法がある。
【0005】また、微小時刻L 前の既知項と状態微分値
により未知項と外乱を推定するタイム・ディレイ・コン
トロール(TDC)(Youcef-Toumi、K. and Ito.O. "A
Time Delay Controller for Systems with Unknown Dy
namics" Transaction of ASME、Journal of Dynamic Sy
stems、Measurement and Control、Vol.112 、March19
90. )なども提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法では、ニューラルネットワークの初期学習に時間がか
かり、また、ニューラルネットの演算時間が長く、それ
に伴い制御周期が長くなってしまう。
【0007】また、ニューラルネットワークで制御ゲイ
ンを変更する場合、安定性を常に確保する方法はない。
また、TDCを実装するとき、ディジタル制御系へ離散
化した場合、時刻kの制御入力を算出するのに時刻kの
状態が必要となり、因果律に反した制御則となる。
【0008】また、前記TDCでは、制御対象の分母多
項式を求める必要があり、実装する上で必ずしも簡単な
制御則とはならない。しかも、制御対象にゼロ点がある
場合の制御則は導かれていないと言う問題があった。
【0009】そこで、本発明は、制御対象に未知の変動
項が存在する場合でも、簡便な方法で、規範モデルに追
従し、常に安定性を確保することができる制御則をもっ
た適応制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の適応制御装置は、モデル化された既知項と
モデル化できない未知項と入力項と外乱で表されたn次
の制御対象に対し、規範モデルを与える規範モデル設定
手段と、規範モデルの状態と前記制御対象の状態との偏
差をゼロに収束させる仕様を設定する収束仕様設定手段
と、入力項の入力配分行列と同符号の入力項推定ゲイン
を設定する推定ゲイン設定手段を有する制御入力算定手
段を備え、前記収束仕様を満足するために、従来のTime
Delay Control(以下TDC)では、連続時間系におい
て、未知項と外乱のみを微小時間L 前の既知項で推定し
ていたのに対し、本発明のModifiedTDC(以下MTD
C)では、サンプリング周期L のサンプル値系と考え、
入力演算最終部にタイムディレイループを設置すること
により、制御対象の既知項と未知項と外乱を微小時間前
の状態の微分値と入力項とから推定することができ、制
御対象の状態の微分値および前記規範モデルのパラメー
タおよび前記収束仕様設定手段で設定されるパラメータ
および前記入力項推定ゲインを用いて制御入力量を算出
するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】また、前記MTDCのタイムディレイルー
プをハイゲイン積分器で置き換えた積分型MTDCを用
い、MTDCとほぼ同等の制御性能を保持したまま、制
御に必要な微分信号の階数を1階減らすことができ、ノ
イズの影響を低減することができる構成としたものであ
る。
【0012】また、2次以下の制御対象に対し、制御ゲ
イン設定手段により、規範モデルに良好に追従するPI
Dゲインを明確に設定することができる構成としたもの
である。
【0013】さらに、ゼロ点付加手段を設けて、入力項
推定ゲインに制御対象のゼロ点を付加することにより、
ゼロ点を有する制御対象に対しても、制御対象の出力が
ゼロ点を付加する前の規範モデルの出力に良好に追従す
ることができる構成にしたものである。
【0014】
【作用】上記構成により、タイムディレイループを入力
演算最終部に挿入することにより、外乱や未知変動の影
響を除去することができ、ロバスト性の高い追従制御を
行うことができる。また、タイムディレイループをハイ
ゲイン積分器で置き換えることにより、状態の微分信号
の階数を1階減らすことができ、次数が2次以下の制御
対象において、実装が容易な制御系を構成することがで
きる。さらに、規範モデルに制御対象のゼロ点を付加す
ることにより、ゼロ点の影響を除去することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。図1に本発明の第1の実施例における適応制御装
置の構成図を示す。モデル化された既知項とモデル化で
きない未知項と入力項と外乱で表わされるn次の制御対
象に対し、まず、規範モデル設定手段11により、制御
対象16の出力yが追従するべき目標値ymを算出す
る。そして、前記ymとyとの偏差eを希望の応答特性
でゼロに収束させる仕様を収束仕様設定手段12により
設定し、この仕様に対し制御対象16の入力配分行列の
公称値となる入力推定ゲインを推定ゲイン設定手段13
により設定する。これら収束仕様手段12と、推定ゲイ
ン設定手段13と最終部に設置されたタイムディレイル
ープ14で構成される制御入力算出手段15により、制
御対象の変動や入力外乱の影響を低減する制御入力を算
出し、この制御入力を制御入力算出手段15より制御対
象16へ入力する。
【0016】図2に本発明の第2の実施例における適応
制御装置の構成図を示す。同様にn次の制御対象に対
し、規範モデル設定手段11により、制御対象16の出
力yが追従するべき目標値ymを算出する。そして、前
記ymとyとの偏差eを希望の応答特性でゼロに収束さ
せる仕様を収束仕様設定手段12により設定し、この仕
様に対し、制御対象16の入力配分行列の公称値となる
入力推定ゲインを推定ゲイン設定手段13により設定す
る。これら収束仕様設定手段12と、推定ゲイン設定手
段13と、最終部に設置されたハイゲイン積分器21で
構成された制御入力算出手段22により、制御対象の変
動や入力外乱の影響を低減する制御入力を算出し、この
制御入力を制御入力算出手段22より制御対象16へ入
力する。
【0017】図3に本発明の第3の実施例における適応
制御装置の構成図を示す。モデル化された既知項とモデ
ル化されない未知項と入力項と外乱で表された1次また
は2次の制御対象に対し、規範モデル設定手段11によ
り、制御対象16の出力yが追従するべき目標値ymを
算出する。そして、前記ymとyとの偏差eを希望の応
答特性でゼロに収束させる仕様を収束仕様設定手段12
により設定し、この仕様に対し、制御対象16の入力配
分行列の公称値となる入力推定ゲインを推定ゲイン設定
手段13により設定し、この入力推定ゲインを用いて、
制御対象の変動や入力外乱の影響を低減する制御入力を
算出するPIDゲインを制御ゲイン設定手段31により
決定する。そして、これら収束仕様設定手段12と推定
ゲイン設定手段13と制御ゲイン設定手段31で構成さ
れた制御入力算出手段32により算出された制御入力を
制御入力算出手段32より制御対象16へ入力する。
【0018】図4に本発明の第4の実施例における適応
制御装置の構成図を示す。規範モデル設定手段11によ
り、制御対象16の出力yが追従するべき目標値ymを
算出する。そして、前記ymとyとの偏差eを希望の応
答特性でゼロに収束させる仕様を収束仕様設定手段12
により設定し、この仕様に対し制御対象16の入力配分
行列の公称値となる入力推定ゲインを推定ゲイン設定手
段13により設定し、前記入力推定ゲインに、ゼロ点付
加手段41により制御対象16の分子多項式を付加す
る。これら収束仕様設定手段12と、推定ゲイン設定手
段13と、ゼロ点付加手段14と、最終部に設置された
ハイゲイン積分器21で構成された制御入力算出手段4
2により、制御対象の変動や入力外乱の影響を低減する
制御入力を算出し、この制御入力を制御入力算出手段4
2より制御対象16へ入力する。なお、ここでハイゲイ
ン積分器21の代りに図1に示すタイムディレイループ
14を用いてもよい。
【0019】以下、演算器内のアルゴリズムに付いて説
明する。(1)式によって表現できる制御対象16を考
える。
【0020】
【数1】
【0021】ただし、B(t)は入力配分行列、u
(t)は制御対象への入力とする。このとき、疑似逆行
列B+ =( BT B) -1T は常に存在する。次に、規範
モデル設定手段11により、パラメータAm 、Bm を設
定し、(2)式のような規範モデルを与える。
【0022】
【数2】
【0023】エラーベクトルは(3)式で定義できる。
【0024】
【数3】
【0025】収束仕様設定手段12により、この追従誤
差を以下のダイナミックスで速やかに0に収束させる仕
様、すなわちパラメータKを設定する。
【0026】
【数4】
【0027】このとき、次の(5)式のマッチング条件
が成立するものとする。
【0028】
【数5】
【0029】ここで、Ae はエラーシステムマトリクス
であり、Kはエラーフィードバックゲインである。よっ
て、エラーフィードバックゲインKを適正に選ぶことに
より、希望するエラーダイナミックスにすることができ
る。
【0030】ここで、まず、従来のTDC制御則を導
く。(1)式を未知の部分と既知の部分とに分けると次
の(6)式となる。
【0031】
【数6】
【0032】ここで、L を微小な時間遅れ( 0 < L <<
1 )とし、以下の(7)式のように推定する。
【0033】
【数7】
【0034】(6)式、(7)式より未知項h+dは次
の(8)式で推定される。
【0035】
【数8】
【0036】このとき、制御則が以下の(9)式で与え
られる。
【0037】
【数9】
【0038】(9)式が、従来のTDC制御則で導かれ
る制御入力である。ここで、(9)式の微小時間L は、
できるだけ小さな値を取ることが望ましく、今L=0 を考
えると、(9)式は次の(10)式で与えられる。
【0039】
【数10】
【0040】上式の一入力一出力系での等価ブロック図
を図5に示す。この図5の破線部分のループはill-cond
ition ループとなっているため、これを解消する方法と
して、次の2つの方法を考える。
【0041】第1の方法は、ループ内に遅れ時間要素
(タイムディレイループ14)を挿入する(図6)もの
である。第2の方法は、ループ内に一次遅れ要素を挿入
しループを積分要素(ハイゲイン積分器21)に等価変
換する(図7)ものである。
【0042】以下、上記の第1の方法をMTDC制御
則、第2の方法を積分型MTDC制御則と呼ぶこととす
る。ここで、MTDC制御則は従来のTDC制御則と以
下のような関係がある。
【0043】TDC制御則である(9)式において、サ
ンプリング周期L のサンプル値系を考えると、右辺の時
刻はすべて微小時間L だけ遅れると考えた方が自然であ
る。このように考えた場合、(9)式はMTDCの制御
則と等価となり、制御入力算出手段15での制御対象1
6への入力uは次の(11)式で求められる。
【0044】
【数11】
【0045】TDC制御則(9)式では、(8)式のよ
うに、未知項と外乱のみを推定していたがMTDC制御
則では次の(12)式のように、未知項h+dだけでな
く既知項fも推定したことと等価となる。
【0046】
【数12】
【0047】これにより、入力配分行列Bのパラメータ
以外は求める必要は無くなる。また、入力配分行列Bも
変動するため、推定ゲイン設定手段13により、上式中
のBを入力項推定ゲイン
【0048】
【外1】
【0049】で置き換えて制御入力を算出する。次に、
MTDC制御系の構造解析を行い、マッチング条件
(5)式を満たすことを確認する。
【0050】制御対象として、モデル変動を含む、次の
ゼロ点を持たない可制御正準系を考える。
【0051】
【数13】
【0052】ここで、Axの項は既知項と考えられ、モ
デル変動の部分は未知項と考えられる。規範モデルも同
様に次のゼロ点を持たない可制御正準系で与える。
【0053】
【数14】
【0054】さらに、誤差フィードバック行列Kを次の
(15)式のように与える。
【0055】
【数15】
【0056】これら、(13)式〜(15)式の制御対
象、規範モデル、誤差フィードバック行列の組合せは、
TDCのマッチング条件(5)式を満たしている。次
に、MTDC制御則の等価変換に付いて説明する。
【0057】(13)式〜(15)式のもとで、制御入
力を算出するMTDC制御則(10)式は次の(16)
式のように等価変換できる。
【0058】
【数16】
【0059】微分演算子S を用いると、次の(17)式
のようになる。
【0060】
【数17】
【0061】また、制御対象(13)式と規範モデル
(14)式は次の(18)式のように変形できる。
【0062】
【数18】
【0063】(17)式をラプラス変換し、制御則に含
まれるb を公称値
【0064】
【外2】
【0065】で表すと、(19)式のようになる。
【0066】
【数19】
【0067】そして、MTDC制御系の等価ブロック図
は図6のようになる。ここで、
【0068】
【数20】
【0069】である。次に積分型MTDC制御系に付い
て説明する。ここで、サンプリング周期L のサンプル値
系と考えると、(17)式は次の(20)式で表せる。
【0070】
【数21】
【0071】L を微小にとることから、次の(21)式
を得る。
【0072】
【数22】
【0073】上式はMTDC制御則(17)式から見れ
ば近似であるが、これを新たな制御則と考え、積分型M
TDC制御則と以下呼ぶ。この積分型MTDC制御系の
等価ブロックを図7に示す。
【0074】ここで、図7は図6の破線内を1/LSで置き
換えたものと見なせるが、eLS
【0075】
【数23】
【0076】の右辺第2項までで近似したものと考える
ことができる。以上MTDC制御系(図6)と積分型M
TDC制御系(図7)の導出を行ったが、以下各々の追
従性と外乱除去特性に付いて説明する。
【0077】まず、MTDC制御系(図6)では、出力
yは、規範モデルym 、入力外乱dによって、次の(2
3)式のように書ける。
【0078】
【数24】
【0079】同様に、積分型MTDC制御系(図7)で
は次の(24)式で与えられる。
【0080】
【数25】
【0081】(23)式、(24)式は、ともにL を微
小に取ることにより、制御対象のモデル変動に関わら
ず、y(t) をym(t)に近づけることができ、同時に入力
外乱dのyへの影響も低減できることを示している。
【0082】同様に、入力の漸近特性を評価すると、M
TDC、積分型MTDCの入力特性はそれぞれ次の(2
5)式、(26)式で与えられる。
【0083】
【数26】
【0084】
【数27】
【0085】(25)式、(26)式はともに、Lを微
小に取ることにより、制御対象のモデル変動に関わら
ず、u(t)が
【0086】
【数28】
【0087】に近づくことを示している。以下、積分型
MTDC制御系に付いて、安定性の解析を行う。まず、
制御対象のモデル変動を次の(27)式のように与え
る。
【0088】
【数29】
【0089】ただし、
【0090】
【外3】
【0091】はb と必ず同符号を取るものとする。この
変動のもとで積分型MTDC制御系の安定性を保証する
Lの上限Lmaxを導出する。(24)式、(26)式の分
母は、閉ループ系の特性多項式なので、これをA C1(S)
と表し、次の(28)式のように定義する。
【0092】
【数30】
【0093】AC1(S) の係数An+1 、・・・ 、A0 は、
【0094】
【数31】
【0095】を用いて次の(29)式(pの1次多項
式)のように書ける。
【0096】
【数32】
【0097】これより、規範モデルと誤差フィードバッ
ク行列の係数の和を十分大きく選び、L を微小にとっ
て、例えばp=10-2程度のオーダーとなるように設定す
ると、制御対象のモデル変動△Aの影響は1/100 に抑え
られ、動特性に殆ど影響しないことが分かる。
【0098】ただし、最高次の係数An+1 には定数項が
含まれないため、pが微小であっても高周波域でこの項
の影響が現れる。以下この系の安定性に関して説明す
る。AC1(S) のHurwitz行列をHn+1 とすると、(3
0)式のようになる。
【0099】
【数33】
【0100】行列Mのi次主座小行列式を△iM) で表
すと、閉ループ系で安定であるための必要十分条件が次
式で与えられる。 (条件1)Ai >0 0 ≦i ≦n+1 (条件2)n が奇数の時 △i (An+1 n+1 )>0
(i=3 、5 、・・・ 、n) n が偶数の時 △i (An+1 n+1 )>0 (i=2 、4 、
・・・ 、n) fin+1( p)=△i (An+1 n+1 )はpについてのi
次多項式であり、i=3、5 、・・・ 、n またはi=2 、4 、・
・・ 、n に対応する全てのfin+1( p) が正となるp>0
を求めなければならない。この様な解が0 <p<p
max の範囲に必ず存在するための十分条件は (条件3)fin+1( p)>0 (n が奇数の時i=3 、5 、・・
・ 、n ;n が偶数の時i=2 、4 、・・・ 、n )である。
【0101】一方、追従誤差方程式(4)式の特性多項
式Amk(S) に対するHurwitz行列は次の(31)式とな
る。
【0102】
【数34】
【0103】上式より、条件3の左辺が次の(32)式
で与えれる。
【0104】
【数35】
【0105】また規範モデル(2)式自身も安定で無け
ればならない。同様に、特性多項式Am(S)のHurwitz行
列は次の(33)式となる。
【0106】
【数36】
【0107】よって、規範モデル(2)式が安定となる
必要十分条件は次式で与えれる。 (条件4) a mi>0 0 ≦i ≦n-1 (条件5) n が奇数の時 △i (Amn)>0 (i=2 、
4 、・・・ 、n -1) n が偶数の時 △i (Amn)>0 i=3 、5 、・・・ 、n
-1) 以上、条件1〜5を同時に満足するように規範モデル、
誤差フィードバック行列を決定すれば、pに対する安定
性の条件pmax がKharitonov の定理を用いて計算され
る。これより、L max は次の(34)式で与えられる。
【0108】
【数37】
【0109】これより、微小時間L が
【0110】
【数38】
【0111】となるように決定すれば、積分型MTDC
制御系(図7)の安定性が保証される。以上により、n
次の制御対象に対して、制御対象の変動や外乱の影響を
低減し、規範モデルに出力を追従させる制御系の構成
は、I- P- D- D2 …Dn-1 のコントローラとなるこ
とを示した。
【0112】以下、具体的な適用例として車両の四輪操
舵制御装置に関して説明する。2自由度系の車両モデル
は以下の(36)式で表される。
【0113】
【数39】
【0114】ここで、 Y:ヨーレート β: 横滑り角 θr:後輪舵角 θf:前
輪舵角 lr:車両重心点と後車軸間との距離 lf: 車両重心点と
前車軸間との距離 kr:後輪に働くコーナリングフォース kf: 前輪に働く
コーナリングフォース I:ヨーイング慣性モーメント m:車両の慣性質量 V:
車速 である。
【0115】(36)式より、次の(37)式が得られ
る。
【0116】
【数40】
【0117】上式を展開し、逆ラプラス変換すると、次
の(38)式のようになる。
【0118】
【数41】
【0119】上式において係数a 、b 、d は車速V の関
数である。また、ヨーレートの規範モデルを以下の(3
9)式で与える。
【0120】
【数42】
【0121】ここで、Y0 は2輪モデルでβ(S)/θf(S)
=0(β:横滑り角)とした時に導出される定常ヨーレー
トゲインであり次の(40)式で表される。
【0122】
【数43】
【0123】(38)式、(39)式より従来のTDC
制御則で制御則を導くと以下のようになる。まず、(3
8)式において、車速Vの関数項を未知項とし、既知項
と入力項で以下の(41)式のように推定する。
【0124】
【数44】
【0125】これより、(9)式で与えられる従来TD
C制御則は、次の(42)式のようになる。
【0126】
【数45】
【0127】これに対し、本発明の積分型MTDC制御
則では、(17)式〜(21)式より、次の(43)式
が得られる。
【0128】
【数46】
【0129】上式をサンプリング周期L で離散化する
と、次の(44)式のようになる。
【0130】
【数47】
【0131】従来のTDC制御則(42)式ではヨーレ
ートの2階微分値が必要であったが、積分型MTDC制
御則(44)式では、1階微分値しか必要でなく、ノイ
ズによる後輪の振動を低減することができる。また、こ
のように制御対象の次数が2次の場合は、PID制御と
等価となり、規範モデル追従に関し、外乱やモデル変動
に対してロバストとなるPIDゲインを明確に与えるこ
とができる。
【0132】次に、ゼロ点を有する場合の制御系構成方
法に付いて説明する。(38)式に示されるように、四
輪操舵システムは、制御対象に1次の分子多項式(cS
−d)を有しており、ゼロ点を持つシステムである。そ
こで、この1次の分子多項式(cS−d)を(17)式
のbと置き換えることにより、次の(45)式が得られ
る。
【0133】
【数48】
【0134】今、エラーフィードバックゲインをゼロと
考えると、コントローラC(S) は次の(46)式で与え
られる。
【0135】
【数49】
【0136】これを、状態空間表現に直すと、次の(4
7)式となる。
【0137】
【数50】
【0138】上記パラメータ中、車速Vに依存するパラ
メータはγのみであり、たとえば車速のマップなどで与
える。このように、制御対象のゼロ点を考慮することに
より、過渡的な追従性能を向上することが可能となる。
【0139】
【発明の効果】本発明のMTDCでは、サンプリング周
期L のサンプル値系と考えることにより、既知項も推定
し、制御則そのものを非常に簡単化することができた。
また、これにより従来できなかった等価変換が可能とな
り、より簡単で明解な制御系の構成を得ることができ、
解析が容易になり、実装も簡単に行うことができる。さ
らに、MTDCのタイムディレイループをハイゲイン積
分器で置き換えた積分型MTDCでは、MTDCとほぼ
同等の制御性能を保持したまま、制御に必要な微分信号
の階数を1階減らすことができ、ノイズの影響を低減す
ることができる。
【0140】また、積分型MTDCについては、安定性
の解析が厳密に行えることができ、n 次の制御対象の符
号変化を伴う変動に対し、安定性を保証するL の上限 L
maxの計算手順を与えることができた。
【0141】また、積分型MTDCはコントローラの次
数が1次下がるため、2次の制御対象に対してはPID
制御器と等価となる。一般にPID制御器はそのパラメ
ータの設定に明解な指針がなく、いくつかの経験則を頼
りに試行錯誤的にチューニングを行っているが、本発明
の積分型MTDC制御器のパラメータは、制御対象の規
範モデルへの追従という観点から自動的に決定され、し
かも制御対象の変動や外乱の影響を低減する機能を備え
ている。その意味において、2次の積分型MTDC設計
法は、PID制御器に対する有力なパラメータ設定法と
言える。
【0142】さらに、制御対象にゼロ点がある場合、従
来のTDCでは過渡的な応答に対して追従性が劣化する
と言う問題があったが、ゼロ点付加手段により応答性の
改善を行うことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における適応制御装置の
ブロック構成図
【図2】本発明の第2の実施例における適応制御装置の
ブロック構成図
【図3】本発明の第3の実施例における適応制御装置の
ブロック構成図
【図4】本発明の第4の実施例における適応制御装置の
ブロック構成図
【図5】従来のTDC制御系における適応制御装置の等
価ブロック図
【図6】本発明のMTDC制御系における適応制御装置
の等価ブロック図
【図7】本発明の積分型MTDC系における適応制御装
置の等価ブロック図
【符号の説明】
11 規範モデル設定手段 12 収束仕様設定手段 13 推定ゲイン設定手段 14 タイムディレイループ 15 制御入力算出手段 16 制御対象 21 ハイゲイン積分器 22 制御入力算出手段 31 制御ゲイン設定手段 32 制御入力算出手段 41 ゼロ点体付加手段 42 制御入力算出手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モデル化された既知項とモデル化できな
    い未知項と入力項と外乱で表されたn次の制御対象に対
    し、規範モデルを与える規範モデル設定手段と、規範モ
    デルの状態と前記制御対象の状態との偏差をゼロに収束
    させる仕様を設定する収束仕様設定手段と、入力項の入
    力配分行列と同符号の入力項推定ゲインを設定する推定
    ゲイン設定手段とを有して、前記収束仕様を満足するた
    めに、制御対象の状態の微分値および前記規範モデルの
    パラメータおよび前記収束仕様設定手段で設定されるパ
    ラメータおよび前記入力項推定ゲインを用いて制御入力
    量を算出する制御入力算出手段を備え、入力演算最終部
    にタイムディレイループを設置したことを特徴とする適
    応制御装置。
  2. 【請求項2】 モデル化された既知項とモデル化できな
    い未知項と入力項と外乱で表されたn次の制御対象に対
    し、規範モデルを与える規範モデル設定手段と、規範モ
    デルの状態と前記制御対象の状態との偏差をゼロに収束
    させる仕様を設定する収束仕様設定手段と、入力項の入
    力配分行列と同符号の入力項推定ゲインを設定する推定
    ゲイン設定手段とを有して、前記収束仕様を満足するた
    めに、制御対象の状態の微分値および前記規範モデルの
    パラメータおよび前記収束仕様設定手段で設定されるパ
    ラメータおよび前記入力項推定ゲインを用いて制御入力
    量を算出する制御入力算出手段を備え、入力演算最終部
    に積分器を設置したことを特徴とする適応制御装置。
  3. 【請求項3】 モデル化された既知項とモデル化できな
    い未知項と入力項と外乱で表された1次または2次の制
    御対象に対し、規範モデルを与える規範モデル設定手段
    と、規範モデルの状態と前記制御対象の状態との偏差を
    ゼロに収束させる仕様を設定する収束仕様設定手段と、
    入力項の入力配分行列と同符号の入力項推定ゲインを設
    定する推定ゲイン設定手段と、前記収束仕様を満足する
    ために、制御対象の状態の微分値および前記規範モデル
    のパラメータおよび前記収束仕様設定手段で設定される
    パラメータおよび前記入力項推定ゲインを用いてPIま
    たはPID制御器の制御ゲインを設定する制御ゲイン設
    定手段とを有して、前記制御ゲイン設定手段で設定され
    た制御ゲインを用いてPIまたはPIDの制御入力量を
    算出する制御入力算出手段を備えたことを特徴とする適
    応制御装置。
  4. 【請求項4】 ゼロ点が存在する制御対象に対して、入
    力項推定ゲインに制御対象の分子モデルの関数を付加す
    るゼロ点付加手段を有することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の適応制御装置。
JP18620894A 1994-08-09 1994-08-09 適応制御装置 Pending JPH0854905A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18620894A JPH0854905A (ja) 1994-08-09 1994-08-09 適応制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18620894A JPH0854905A (ja) 1994-08-09 1994-08-09 適応制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0854905A true JPH0854905A (ja) 1996-02-27

Family

ID=16184267

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18620894A Pending JPH0854905A (ja) 1994-08-09 1994-08-09 適応制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0854905A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008186405A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Brother Ind Ltd 制御方法及び制御装置
CN102033491A (zh) * 2010-09-29 2011-04-27 北京控制工程研究所 一种基于特征模型的挠性卫星控制方法
CN111413866A (zh) * 2020-03-06 2020-07-14 大连理工大学 一种考虑时延的航空发动机分布式控制律设计及验证方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008186405A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Brother Ind Ltd 制御方法及び制御装置
CN102033491A (zh) * 2010-09-29 2011-04-27 北京控制工程研究所 一种基于特征模型的挠性卫星控制方法
CN111413866A (zh) * 2020-03-06 2020-07-14 大连理工大学 一种考虑时延的航空发动机分布式控制律设计及验证方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. Robust output-feedback based vehicle lateral motion control considering network-induced delay and tire force saturation
Ferrara et al. Optimization‐based adaptive sliding mode control with application to vehicle dynamics control
CN108445748B (zh) 一种基于事件触发机制的自适应航天器姿态跟踪控制方法
US5931887A (en) Brake control method based on a linear transfer function reference model
Kori et al. Extended state observer based robust control of wing rock motion
CN110687796B (zh) 基于神经网络的自适应有限时间命令滤波反步控制方法
Sheng et al. Fractional-order PI^ λ D PI λ D sliding mode control for Hypersonic vehicles with neural network disturbance compensator
CN107203138B (zh) 一种输入输出饱和的飞行器鲁棒控制方法
Mammar et al. Two-degree-of-freedom formulation of vehicle handling improvement by active steering
Ju et al. Fractional-order sliding mode control with a predefined-time observer for VTVL reusable launch vehicles under actuator faults and saturation constraints
An et al. Robust fixed-time tracking control for underactuated AUVs based on fixed-time disturbance observer
CN113110048A (zh) 采用hosm观测器的非线性系统输出反馈自适应控制系统和方法
Guo et al. Novel auxiliary saturation compensation design for neuroadaptive NTSM tracking control of high speed trains with actuator saturation
Luo et al. Event-triggered adaptive fuzzy control for automated vehicle steer-by-wire system with prescribed performance: Theoretical design and experiment implementation
Zhao et al. Observer-based discrete-time cascaded control for lateral stabilization of steer-by-wire vehicles with uncertainties and disturbances
CN112198888A (zh) 一种考虑无人机在机动平台自主起降的自适应pid控制方法
Niu et al. Consensus controller for heterogeneous multi-agent systems using output prediction
JPH0854905A (ja) 適応制御装置
Fritz et al. Automatic cruise control of a mechatronically steered vehicle convoy
CN114802202A (zh) 一种基于Lyapunov稳定性理论的车辆稳定性控制方法
Feiler et al. Adaptive speed control of a two-mass system
Van Nguyen Iterative learning control for autonomous driving vehicles
JPH06316273A (ja) 四輪操舵車の後輪操舵角制御装置
JP3198797B2 (ja) 車両運動制御装置
Zhu et al. Missile autopilot design based on a unified spectral theory for linear time-varying systems