JPH08538Y2 - ベーンポンプ - Google Patents

ベーンポンプ

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JPH08538Y2
JPH08538Y2 JP1990029932U JP2993290U JPH08538Y2 JP H08538 Y2 JPH08538 Y2 JP H08538Y2 JP 1990029932 U JP1990029932 U JP 1990029932U JP 2993290 U JP2993290 U JP 2993290U JP H08538 Y2 JPH08538 Y2 JP H08538Y2
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storage groove
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rotor
coil spring
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昌弘 井上
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Koyo Seiko Co Ltd
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はベーンポンプに関し、更に詳述すれば、カム
リングの内周面にベーンを押付けるべく、各ベーンと夫
々の収納溝の底部との間にコイルばねを介装してなるロ
ータを備えたベーンポンプに関する。
〔従来技術〕
ベーンポンプは、偏肉円筒状をなすカムリングを備え
たケーシングに、前記ロータを同軸回動自在に内嵌せし
めて構成され、ロータ本体の外周とカムリングの内周と
の間をロータのベーンで仕切り、仕切られた空間をポン
プ室として動作するようになっており、該ポンプ室への
導入油は、互いに相隣する2枚のベーン間に封止され、
ロータの回転に伴って回転せしめられることにより昇圧
せしめられる。ベーンポンプのロータは、公知の如く、
円柱形をなす本体部に、半径方向を深さ方向とする複数
本の収納溝を周方向に等配し、軸長方向全長に亘って形
成し、これらの収納溝の夫々に矩形平板状のベーンを摺
動自在に内挿し、各ベーンと夫々の収納溝の底部との間
にベーンを半径方向外向きに付勢するコイルばね等の付
勢手段を設けて構成されている。
第5図は従来のベーンポンプの要部拡大図、第6図は
第5図のVI-VI線による断面図であり、いずれもベーン
付勢用コイルばねの装着状態を示している。
図において、30は円柱体をなすロータ本体であり、偏
肉円筒状をなすカムリング31に同軸的に内嵌してある。
ロータ本体30には、前述した如く、複数本の収納溝30b,
30b…(第5図には1本のみ図示)が形成してあり、各
収納溝30bには、矩形平板状をなすベーン30aがこれに沿
って摺動自在に内挿してある。ベーン30aを付勢するコ
イルばね30cは、各ベーン30aの幅方向両側に夫々設けて
あり、これらは第6図に示す如く、長手方向一端部を収
納溝30b底部に形成された係止孔30eに夫々係止させ、ま
た他端部をベーン30aの基部に形成された切欠部30d,30d
に夫々係止させた態様にて、ベーン30aと収納溝30bとの
間に介装されている。
ところで、収納溝30bの形成はロータ本体30の焼結成
形時に同軸的に行い得るが、前記係止孔30eはその形成
態様上、ロータ本体30の成形後、細幅の前記収納溝30b
を通して行わざるを得ず、また複数の収納溝30b,30b…
夫々に各2個の係止孔30e,30eが必要であり、ロータ全
体では相当の形成個数となるため、これらの係止孔30e,
30e…の全てを十分な精度のもとで正しく形成するには
多大の加工工数を要するという難点があった。更にロー
タの組立の際には、収納溝30bの両側壁間の狭い間隙を
経て挿入されるコイルばね30cの一端部を、前記係止孔3
0eに正しく係止せしめる作業、及びこのコイルばね30c
の他端部を前記切欠部30dに挿入させつつ、ベーン30aを
収納溝30bに内挿する作業等の煩わしい作業が要求さ
れ、多大の組立工数を要するという難点があった。
以上の難点を解消すべく本願出願人等は、ベーン付勢
用コイルばねの装着を容易に、しかも確実になし得るベ
ーンポンプを、特開平1-167480号にて提案した。第7図
はこの発明におけるベーン付勢用コイルばねの装着状態
を示す断面図である。
この発明に係るベーンポンプは、細幅,薄肉の板材を
その長手方向の両端部を厚さ方向に略直角に屈曲せし
め、同方向に突出する一対の挾持部60,60を設けると共
に、保持体の他方側には長手方向中央から両側に振分け
た位置に一対の屈曲嵌合部61,61を形成し、この屈曲嵌
合部61,61にベーン30a付勢用のコイルばね30c,30cを外
嵌せしめてなるばね保持部材6を用いている。このよう
なばね保持部材6は前記挾持部60,60の突出側からベー
ン30aの収納溝に挿入され、これらの挾持部60,60にて、
ロータ本体30の軸長方向両側であって吐出孔44に面して
形成された凹部30hを挾持せしめることにより、ベーン3
0aの収納溝30b底部に固定されるようになっている。
このようなばね保持部材を用いた場合、第6図におけ
る係止孔30eの形成は不要となり、またコイルばね30c,3
0cを屈曲嵌合部61,61に外嵌せしめる作業は、ばね保持
部材の装着前に行い得るから、ロータの加工工数及び組
立工数の大幅な削減と、コイルばね30c,30cの確実な固
定とが可能となる。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところが、第7図に示すばね保持部材6においては、
これの製作時において、屈曲嵌合部61,61先端の屈曲部
に、割れ等の欠陥が生じることがあり、歩留りの低下を
招来する上、これの製作後において、前記屈曲部のスプ
リングバックにより、屈曲嵌合部61,61の根本部が徐々
に拡がる虞があり、該嵌合部61,61に外嵌されたコイル
ばね30c,30cの伸縮動作が阻害されて、組立後のベーン3
0a,30a…の進退動作に不都合が生じるという難点があっ
た。
また、コイルばね30cを嵌合部61に嵌合せしめ、該嵌
合部61に保持させる際には、コイルばね30cの伸縮動作
が阻害されることがなく、また、嵌合部61からの脱落の
虞がないように、両者間に適正な嵌合状態を実現するこ
とが要求されるが、この実現は、前述の構成のばね保持
部材6においては困難であり、前記嵌合の都度、嵌合部
61の形状修正が必要となる問題点がある。
さらに、第7図に示すばね保持部材においては、挾持
部60,60を固定するために収納溝30bの溝端面に形成され
ている凹部30hを利用するがこの凹部30hはばね保持部材
の固定を確実にするため第6図に示す如き本体の凹部30
hよりも若干深く、換言すればロータ本体30の半径方向
に長く形成される。
ところでロータ本体30,カムリング31,ベーン30aで区
分されるポンプ室40内の圧油は、一部はベーンに設けた
図示しない絞り孔を通じて相隣する他のポンプ室40に流
出する外、他の一部は吐出孔44,吐出チェック弁45,環状
溝46を通じて収納溝30bの底部に導入され、コイルばね3
0cをバックアップすると共に、ロータ本体30の軸長方向
両端面とサイドプレート32,33との間の間隙を経て漏出
し、針状ころ軸受,玉軸受等に対する潤滑作用を果たし
た後、油タンクに還流するようになっている。
換言すればロータ本体30の軸長方向両端面とサイドプ
レート32,33との間の間隙は圧油の漏出量を決定する重
要な機能を司っており、前述の如く凹部30hを深く、即
ち間隙の長さが短縮されることは圧油に対する流動抵抗
を変化させ、コイルばね30cのバックアップ力、更には
ポンプ室40の圧力等の油圧特性に影響を与えることとな
るという問題があった。
本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ベ
ーン付勢用のコイルばねを確実に、しかも容易に装着す
ることができ、装着後におけるコイルばねの伸縮動作が
阻害されることがない上、ロータ本体に対する固定のた
めの凹部を浅く、圧油の流動長の縮小を低減し得るよう
にしたベーンポンプを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本考案に係るベーンポンプは、円柱体の周面に、該円
柱体の軸方向に平行して形成された複数の収納溝30b,30
b…に摺動自在に内挿されたベーン30a,30a…を、該ベー
ン30aと前記収納溝30bの底部との間に介装されたコイル
ばね30cにより半径方向外向きに付勢してなるロータを
備えたベーンポンプにおいて、両端部が前記収納溝30b
の深さ方向へ折曲げられており、前記収納溝30bの底部
における長手方向の端面を挟持する挟持部50a,50a、前
記収納溝30bの底部長手方向中央部に当接する当接部、
及び該当接部から屈曲されて前記挟持部50a,50aに連な
るとともに、前記収納溝30bの底部に接近する方向の弾
性力を付与する弾性付与部71,71を備えた支持板50と、
前記コイルばね30cを外嵌保持すべく前記支持板50に立
設され、コイルばね30cの伸長長さより短寸の保持棒51
とからなり、前記収納溝30bの底部に固定されるばね保
持体5を具備することを特徴とする。
〔作用〕
本考案においては、ベーン付勢用コイルばね30cを保
持棒51に外嵌保持させてなるばね保持体5を、保持棒51
の先端をロータ本体の半径方向外側に向けた状態で、ロ
ータ本体の外周面に形成された収納溝30b内に挿入し、
ばね保持体5の当接部を収納溝30bの底部に当接させ、
挟持部50a,50aにより収納溝30bの底部における長手方向
の端面を挟持させて固定することにより、前記コイルば
ね30cを収納溝30b底部に容易に装着できる。更に、挟持
部50aの挟持力を大きくしたことにより、挟持部50aの長
さを短縮した分だけこれを係止させる収納溝の底部にお
ける長手方向の端面側の凹部も浅くなり、圧油の流動長
の短縮を低減することが可能となる。
〔実施例〕
以下本考案をその実施例を示す図面に基づいて詳述す
る。第1図は本考案に係るベーンポンプを用いて構成さ
れた4輪駆動車用の駆動連結装置の要部を示す縦断面
図、第2図は第1図のII-II線による拡大正断面図であ
る。
第1図及び第2図に示す駆動連結装置は、前輪から後
輪、又は後輪から前輪への駆動力の伝達を、前,後輪間
に生じる回転速度差に応じて行うものであり、前,後輪
の一方と連動回転する入力軸1に回転を拘束されたロー
タと、他方と連動回転する出力軸2に回転を拘束された
ケーシングとを備えてなるベーンポンプ3、これの作動
油を収納する油タンクT、並びにベーンポンプ3の吸込
油路及び吐出油路を一体的に構成してなる。この駆動連
結装置は、エンジンからの駆動力を前2輪に直接的に伝
達する構成の4輪駆動車においては、前,後輪間を連結
するプロペラシャフトの中途に装着して用いられ、この
場合、入力軸1がプロペラシャフトの前輪側の部分に相
当し、出力軸2が同じく後輪側の部分に相当する。
ベーンポンプ3のケーシングは、偏肉円筒状をなすカ
ムリング31と、該カムリング31を軸長方向両側から挾持
し、中抜き円板状なすサイドプレート32及び厚肉の中抜
き円板状をなすサイドプレート33と、サイドプレート32
のカムリング31と逆側にフランジ固定される円筒状の軸
封部材34とを、軸封部材34のフランジ部、サイドプレー
ト32及びカムリング31をこの順に貫通して、サイドプレ
ート33に形成された各別のねじ孔に螺合する複数の固定
ボルト35,35…により、同軸的に一体化させて構成され
ている。このケーシングは、前記出力軸2の端部に形成
された連結フランジ20を、複数本の固定ボルト21,21…
にて、サイドプレート33の外側面に固着せしめることに
より、出力軸2に同軸的に連結されており、出力軸2の
回転に連動して、その軸心回りに回転する。またケーシ
ングの外側には、サイドプレート33の外周面及び軸封部
材34の外周面にその一部を嵌合させ、第1図に示す如
く、カムリング31及びサイドプレート32,33の外側を囲
繞する態様にて、薄肉筒形の囲繞部材38が嵌着してあ
り、ベーンポンプ3の作動油は、囲繞部材38の内周と、
ケーシングの外周との間に環状をなして形成される油タ
ンクT内に封入されている。
一方、ベーンポンプ3のロータは、短寸円筒状をなす
ロータ本体30に、複数枚の平板状のベーン30a,30a…
を、半径方向への摺動自在に後述する如く装着して構成
されている。ロータ3の回転軸たるロータ軸36は、サイ
ドプレート32の中抜き部に内嵌固定された針状ころ軸受
32aと、サイドプレート33の中抜き部に内嵌固定された
玉軸受33aとにより支承され、ケーシングの軸心上に位
置しており、ロータ本体30は、両支承位置間にてロータ
軸36に外嵌され、これにスプライン結合させてある。前
記カムリング31の内周は、ロータ本体30の外周円よりも
やや大径の円に、複数個所(本実施例においては3個
所)の凹所を略当配に形成し、第2図に示す如き軸断面
形状を有しており、前述の如くロータ軸36に装着された
ロータ本体30は、両側をサイドプレート32,33にて挾持
された態様にて、カムリング31に内嵌され、ロータ本体
30の外周面とカムリング31の内周面との間には、前記凹
所の形成位置に、両面とサイドプレート32,33の側面と
にて囲繞され、変形三日月形の軸断面形状を有するポン
プ室40,40,40が形成されている。
前記ロータ軸36は、軸封部材34に内嵌固定されたオイ
ルシール34a及びXリング34bにてその外周を封止され、
該軸封部材34の外部に適長突出させてあり、この突出端
部に形成された連結フランジ37が、前記入力軸1の端部
に形成された連結フランジ10に、複数本の固定ボルト1
1,11…により同軸的に固着されている。即ち、ベーンポ
ンプ3のロータは、ロータ軸36及び連結フランジ37,10
を介して、入力軸1と同軸的に連結されており、該入力
軸1の回転に連動して、ケーシングの内部において回転
する。而して、入力軸1と出力軸2との間に回転速度差
が生じた場合、前者と連動するロータと後者と連動する
ケーシングとの間には、前記回転速度差に相当する速度
での相対回転が生じる。
ロータ本体30には、半径方向内向きに所定の深さ寸法
を有する複数本の収納溝30b,30b…が、周方向に等配を
なし、軸長方向の全長に亘って形成され、各収納溝30b
には、矩形平板状をなす前記ベーン30aが、該収納溝30b
の壁面に沿って摺動自在に内挿してある。収納溝30bの
底部と、ベーン30aの基部との間には、コイルばね30cが
介装してあり、前記ベーン30aには、このコイルばね30c
による付勢力と、収納溝30bの底部に後述する如く導入
される圧油の圧力とにより、ロータ本体30の半径方向に
外向きの押圧力が加えられるようになっている。
次にベーンポンプ3の吸込油路及び吐出油路の構成に
つき説明する。ポンプ室40,40,40の夫々には、これの周
方向両端に位置して、サイドプレート32側に開口する一
対の吸込口40a,40aと、サイドプレート33側に開口する
一対の吐出孔40b,40bとが、第2図に示す如く形成して
ある。第1図に示す如く各吸込口40aは、サイドプレー
ト32に装着され、ポンプ室40への流入のみを許容する吸
込チェック弁41と、これの装着位置に整合させて、軸封
部材34のフランジ部を軸長方向に貫通して形成された吸
込孔42とを介して、前記油タンクTに連通させてある。
また各吐出口40bは、「く」字状をなして半径方向内側
に折り返す態様にて、サイドプレート33に形成された吐
出孔44の一端が開口させてあり、該吐出孔44、及びこれ
の中途に装着され、ポンプ室40からの流出のみを許容す
る吐出チェック弁45を介して、ロータ本体30の側面に各
ベーン30a,30a…夫々の収納溝30b,30b…の底部を相互に
連通する態様にて形成された環状溝46に連通させてあ
る。また、この環状溝46は、ロータ本体30の両側面とサ
イドプレート32,33との間に介在するわずかな間隙を介
して、サイドプレート32,33の中抜き部に連通してお
り、更にこれらの中抜き部は、軸封部材34を半径方向に
貫通する還流孔47、又はサイドプレート33を半径方向に
貫通する還流孔48により、ケーシング外側の前記油タン
クTに連通させてある。即ち、ベーンポンプ3の吸込油
路は、前記吸込孔42及び吸込チェック弁41にて連通され
ており、この吐出油路は、前記吐出孔44、これの中途の
吐出チェック弁45、前記収納溝30b,30b…の底部、ロー
タ本体30両側の間隙、及び前記還流油路47,48にて構成
されている。
以上の如き構成のベーンポンプ3を備えてなる駆動連
結装置においては、旋回走行中、加,減速中、又は前,
後輪の一方が空転状態にある場合等、前,後輪間に回転
速度差が生じる走行状態にある場合、入力軸1を介して
前輪と連動回転するロータと、出力軸2を介して後輪と
連動回転するケーシングとの間に、前記回転速度差に相
当する速度にて相対回転が生じる。このように相対回転
が生じた場合、油タンクT内の油は、吸込孔42及び吸込
チェック弁41を経て、相対回転方向上流側に位置する吸
込口40aから各ポンプ室40内に導入される。この導入油
は、相隣するベーン30a,30a間に封止され、ロータ本体3
0の回転に伴って回転せしめられて昇圧し、各ポンプ室4
0内部に油圧が発生する。この発生油圧は、ロータ本体3
0の外周面とポンプ室40の内壁面との間に、前記相対回
転を抑止する方向に作用し、これにより、ロータとケー
シングとの間、即ち入力軸1と出力軸2との間に駆動力
の伝達がなされる。
ポンプ室40内部における昇圧の過程を更に詳述すれ
ば、相隣するベーン30a,30a間に封止された油は、その
一部が、ベーン30aの先端部近傍にこれを厚さ方向に貫
通する態様にて形成された極細径の絞り孔39を通過し
て、低圧側(相対回転方向上流側)に漏出して再度圧縮
される一方、残部は、相対回転方向下流側に位置する吐
出口40bから、前記吐出孔44に送出され、該吐出孔44、
吐出チェック弁45及び環状溝46を経て前記収納溝30b,30
b…の底部に導入される。この圧油は、各収納溝30bに内
挿されたベーン30aに半径方向外向きの押圧力を加える
と共に、ロータ本体30両側の前記間隙を経て、サイドプ
レート32,33の中抜き部に漏出し、針状ころ軸受32a及び
玉軸受33aの潤滑作用をなした後、還流孔47,48を経て油
タンクTに還流する。
各ポンプ室40内の油圧は、主として、前記絞り孔39及
びロータ本体30両側の間隙における通流抵抗に抗して発
生し、また、この通流抵抗の大小はこれらを通流する油
量の多少に対応し、更に、該油量の多少はロータとケー
シングとの間の相対回転速度の大小に対応する。従っ
て、ポンプ室40内部における発生油圧の高低は、入力軸
1と出力軸2との間の回転速度差、換言すれば、前,後
輪間の回転速度差の大小に対応することになり、前記回
転速度差に応じた駆動力が、前2輪から後2輪に配分さ
れ、4輪駆動状態が実現されるのである。
ベーンポンプ3を備えてなる駆動連結装置は以上の如
く動作し、これの駆動力の伝達特性は、ベーンポンプ3
における油圧発生特性に依存するから、ロータとケーシ
ングとの間の相対回転に応じて、各ポンプ室40における
確実な油圧の発生が要求される。ポンプ室40内部におけ
る油圧発生挙動は前述した如くであり、確実な油圧の発
生を実現するためには、ベーン30a,30a…をカムリング3
1の内周面に確実に押付け、相隣するベーン30a,30a間に
おける高い封止性能を実現することが重要である。前述
した如く、ベーン30aの押付け力は、これと収納溝30bの
底部との間に介装されたコイルばね30c,30cの付勢力
と、前記吐出孔44を経て収納溝30bに導入される油圧で
ある。ところが、後者は、ベーン30aの先端にポンプ室4
0内部において作用する油圧と打ち消し合うから、前記
封止性能の良否は、前者、即ちコイルばね30c,30cによ
る付勢状態の良否に主として依存する。従って、コイル
ばね30c,30c…が正しく装着されると共に、これらの伸
縮が阻害されることなくベーン30a,30a…の確実な押圧
が可能であるか否かは重要な課題である。本考案に係る
ベーンポンプ3は、この課題を解決すると共に、コイル
ばね30a,30c…の装着に要する手間の削減を図るべく、
コイルばね30c,30cを収納溝30bの底部において保持する
ばね保持体5を備えている。
第3図は、本考案の要部であるばね保持体5の側面図
であり、第4図は、コイルばね30cの装着状態を示す要
部拡大断面図である。
ばね保持体5は、これを収納溝30bの底部に支持させ
るための支持板50と、コイルばね30c,30cを各別に保持
するためのコイルばね30cの伸長長さより短寸である一
対の保持棒51,51とを備えてなる。支持板50は、細幅,
薄肉の板材を用いてなり、これの長手方向両端部は共
に、厚さ方向同側に図示の如く所定の曲率で内側に向け
て折り返し屈曲せしめて、ロータ本体30を挾持する挾持
部50a,50aが形成されている。この挾持部50a,50a間の長
さはロータ本体30に装着する前は第3図に一点鎖線で示
す如く、第4図の凹部30h,30h間の長さよりも若干短く
なるよう、支持板50中途部の両端部寄りの位置を挾持部
50a,50aが形成してある側に向けて湾曲せしめて弾性付
与部71,71とし、ロータ本体30に装着すると前記湾曲状
態が第3図の実線で示す如くに伸長されるようになって
いる。なお、弾性付与部71と71との間は収納溝30bの底
部に当接する当接部となっている。また、支持板50に
は、これらの長手段方向中心位置から両側に振り分け
て、該支持板50を厚さ方向に貫通する一対の貫通孔50b,
50bが形成されている。一方、前記保持棒51は、一端部
を半球形に成形してなる丸棒であり、これの他側には、
端部に向けて縮径する縮径部と、該縮径部の端部に連な
る小径部とが形成されている。
ばね保持体5は、第3図の左半部に示す如く、貫通孔
50b,50bの夫々に、保持棒51,51の小径部を支持板50の表
面(挾持部50a,50aの突出側と逆側の面)側から挿通せ
しめ、これの突出端部を支持板50の裏面側からかしめる
ことにより、第3図の右半部に示す如く、支持板50と保
持棒51,51とを、後者が前者上に略直角をなして立設さ
れた態様にて一体化させて構成されている。これに保持
させるコイルばね30c,30cは、図示の如く、軸長方向一
側の座部が他部よりも若干小径となるように成形されて
おり、この小径座部側から前記保持棒51に挿通せしめら
れ、前記座部を保持棒51の縮径部に嵌着させることによ
り、保持棒51に確実に保持されるようになっており、前
記挿通の後にコイルばね30c,30cが保持棒51から脱落す
る虞はない。また、保持棒51は丸棒であり、しかも先端
部が半球形に成形されているから、これへのコイルばね
30cの嵌装は容易に行い得る。また、前記コイルばね30c
両端の座部は共に、図示の如く2巻き以上としてある。
これにより、保持棒51への装着に際し、多くのコイルば
ね30c,30c…中から1個を取出す場合に、これに絡まっ
て不要なコイルばね30cが取出されることがなくなり、
コイルばね30c,30cの装着に要する時間を削減すること
が可能となる。
ばね保持体5は、保持棒51,51の夫々にコイルばね30
c,30cを保持させた状態で、第4図に示す如く、ロータ
本体30の収納溝30bの底部に装着される。この装着は、
支持板50側から収納溝30bに内挿され、該支持板50両側
の前記挾持部50a,50aにより、ロータ本体30両側面の前
記環状溝46,46の底面を挾持せしめることにより、収納
溝30bの底部に固定される。これにより、保持棒51,51及
びこれらに夫々装着されたコイルばね30c,30cは、収納
溝30bに沿って半径方向外向きに確実に固定される。ば
ね保持体5は、ばね鋼等、弾性に優れた材料製としてあ
り、前記挾持部50a,50aが十分な弾性を有するようにし
てある。従って、ばね保持体5を前述の如く収納溝30b
に内挿せしめ、挾持部50a,50a…先端を収納溝30bの底部
に当接させた後、支持板50を軽く押さえ込むことによ
り、支持板50の弾性付与部71,71により湾曲状態が伸長
し、挾持部50a,50aが押し広げられ、凹部30h,30hに係止
しロータ本体30を確実に挾持する。その後、ベーン30a
の基部に形成された2個所の切欠部30d,30dを、コイル
ばね30c,30cの先端部に夫々係合させつつ、ベーン30aを
収納溝30bに内挿せしめるだけでロータの組立てが終了
するから、ロータの組立てが確実に行える上、組立工数
が大幅に削減される。
また挾持部50a,50aの長さが第7図に示す場合に比較
して短縮される結果、ロータ本体30に形成すべき凹部30
h,30hの深さ、即ちロータ本体30のロータ本体の軸長方
向端部とサイドプレートとが対向している部分における
ロータ本体の径方向の長さが短縮せず、収納溝30bの溝
底からロータ本体30とサイドプレート32,33との間の間
隙を経て漏出する圧油の流動長の短縮を低減できる、換
言すれば、圧油の流動抵抗を十分に確保することができ
る。
更に、保持棒51,51は丸棒であり、円形断面を有して
いるから、コイルばね30c,30cが伸縮する際に、これが
保持棒51,51にて阻害される虞がなく、ベーン30aの押圧
が確実なものとなる。
なお、ばね保持体5の固定方法は本実施例に示すもの
に限らず、これを収納溝30bに内挿せしめた後、挾持部5
0a,50aを、環状溝46,46の底面に夫々ねじ止めする等、
他の固定手段を用いてもよいが、本実施例に示すもの
は、前記内挿の後、ばね保持体5を軽く押圧することに
より容易に固定状態が得られるという利点がある。
また、コイルばね30c,30cを保持する保持棒51,51は、
本実施例中に示す円形断面のものに限らず、断面形状を
円形に近づけた楕円形、多角形等、他の断面形状を有す
るものであってもよい。
更に、本実施例においては、4輪駆動車用の駆動連結
装置に用いるベーンポンプについて説明したが、本考案
の適用はこれに限定されないことは言うまでもない。
〔効果〕
以上詳述した如く本考案に係るベーンポンプにおいて
は、ベーンを付勢するコイルばねを保持するばね保持体
を、ロータ本体の収納溝に内挿して、その両端に設けた
挟持部により収納溝の底部における長手方向の端面を挟
持させて、ロータ本体にワンタッチで固定でき、組立工
数を大幅に削減できるとともに、挟持部により大きい挟
持力でばね保持体を固定できるから、挟持部の長さを短
縮できて、挟持部を位置させるロータ本体に形成すべき
凹部を浅くでき、ロータ本体の軸長方向の端面とサイド
プレートとの内隙を経て流出する圧油の流動長の短縮を
低減でき、圧油の流動抵抗を十分に確保することができ
る。更に、コイルばねは保持棒により伸縮が阻害され
ず、ベーンの押圧を確実なものとすることができる等の
優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係るベーンポンプを用いて構成した4
輪駆動車用の駆動連結装置の縦断面図、第2図は第1図
のII-II線による拡大横断面図、第3図は本考案の特徴
たるばね保持体の側面図、第4図は本考案に係るベーン
ポンプにおけるベーン付勢用コイルばねの装着状態を示
す図、第5図は従来のベーンポンプの要部拡大図、第6
図は従来のベーンポンプにおけるベーン付勢用コイルば
ねの装着状態を示す側面図、第7図は本出願人の既出願
に係るベーン付勢用コイルばねの装着状態を示す側面図
である。 3……ベーンポンプ、5……ばね保持体、30……ロータ
本体、30a……ベーン、30b……収納溝、30c……コイル
ばね、31……カムリング、32,33……サイドプレート、5
0……支持板、50a……挟持部、51……保持棒、71……弾
性付与部

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】円柱体の周面に、該円柱体の軸方向に平行
    して形成された複数の収納溝30b,30b…に摺動自在に内
    挿されたベーン30a,30a…を、該ベーン30aと前記収納溝
    30bの底部との間に介装されたコイルばね30cにより半径
    方向外向きに付勢してなるロータを備えたベーンポンプ
    において、 両端部が前記収納溝30bの深さ方向へ折曲げられてお
    り、前記収納溝30bの底部における長手方向の端面を挟
    持する挟持部50a,50a、前記収納溝30bの底部の長手方向
    中央部に当接する当接部、及び該当接部から屈曲されて
    前記挟持部50a,50aに連なるとともに、前記収納溝30bの
    底部に接近する方向の弾性力を付与する弾性付与部71,7
    1を備えた支持板50と、前記コイルばね30cを外嵌保持す
    べく前記支持板50に立設され、コイルばね30cの伸長長
    さより短寸の保持棒51とからなり、前記収納溝30bの底
    部に固定されるばね保持体5を具備することを特徴とす
    るベーンポンプ。
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