【発明の詳細な説明】
4−アミノ−フルオロベンザミドおよび細胞毒性プロドラッグとしてのそれら
の使用
本発明は、プロドラッグ、治療におけるそれらの使用、およびそれらの製造方
法に関する。
何年もの間、癌の化学療法において有用な多くの細胞毒性化合物が見いだされ
てきた。かかる細胞毒性化合物の1つの重要なファミリーからのナイトロジェン
マスタード。一般的な細胞毒性化合物、特にナイトロジェンマスタードの臨床的
使用は、腫瘍細胞と正常細胞との間の細胞毒性効果における乏しい選択性のため
に制限されきた。
この問題を解消するための1つのアプローチは、細胞毒特性が親薬物のものと
比較して非常に低下する、細胞毒物の誘導体、しばしば、比較的簡単な誘導体で
あるいわゆるプロドラッグの研究を含んだ。治療下の患者にかかるプロドラッグ
を投与し、これによりプロドラッグが単に意図された作用部位の領域において細
胞毒物に転換されることについての多くの提案がなされた。
1つの特に有望なアプローチは、酵素の影響下で目的作用の部位で親ナイトロ
ジェンマスタードに転換され得るプロドラッグを形成させるための、ナイトロジ
ェンマスタードの、アミノ酸またはオリゴペプチドとの反応生成物への転換を含
む。このアプローチは、プロドラッグに関連する抗体/酵素コンジュゲートの利
用によって行われる。この抗体/酵素コンジュゲートは、腫瘍関連抗原に対する
抗体、および、プロドラッグを細胞毒物に転換する酵素から形成されるものであ
る。臨床的実践において、まず、この抗体/酵素コンジュゲートを患者に投与し
、治療されるべき腫瘍の領域に局在化させる。次いで、該患者にプロドラッグを
投与し、その結果、プロドラッグの細胞毒物への転換も、局在した酵素の影響下
で治療されるべき腫瘍の領域に局在化する。かかる系は、本発明者のWO−A−
88/07378に開示されており、現在、「抗体指向性酵素プロドラッグ治療
法」
(antibody-directed enzyme prodrug therapy)(ADEPT)と称されている
。
ADEPTにおいて使用することができる特異的なプロドラッグは、安息香酸
ナイトロジェンマスタードに基づくものである(WO−A−88/07378)
。細胞毒性安息香酸ナイトロジェンマスタードは、二官能性アルキル化剤であり
、α−アミノ酸(好ましいα−アミノ酸は、グルタミン酸である)との反応によ
りカルボキシル基をアミドに転換することによって、イオン化されたカルボキシ
ル基の活性化効果は、プロドラッグにおいて遮蔽される。比較的不活性なプロド
ラッグは、酵素カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)に結合したモノクロー
ナル抗体の前投与によって、腫瘍部位でその対応する安息香酸に活性化され得る
。安息香酸ナイトロジェンマスタードプロドラッグおよびそれらの細胞毒物は、
スプリンガー(Springer)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー
(J.Med.Chem.)(1990)33、677−681およびスプリンガーら、ア
ンチ−キャンサー・ドラッグ・デザイン(Anti−Cancer Drug Design)(199
1)6、467−479にも開示されている。
ADEPTにおいては腫瘍部で非常に反応性の薬物を放出することが望ましい
。したがって、高反応性を有するプロドラッグおよび対応する活性薬物を有する
ことが好都合であり、その結果、in vivoで高い効果が得られる。
本発明者は、ここで、一般式(A'):
[式中、R−NHは、α−アミノ酸R−NH2またはオリゴペプチドR−NH2の
残基であり、Mは、式:
(式中、YおよびLは、分子中で同一であっても異なっていてもよく、離
脱基である)
で示されるナイトロジェンマスタード基ある]
で示される2−および3−フルオロ環置換安息香酸ナイトロジェンマスタードお
よびその医薬的に許容される塩を合成した。F基は、−CONH−R基に対して
2位または3位にある。
本発明者は、これらの化合物が驚くべき反応性を有することを見いだした。フ
ッ素の強い誘導効果のために、環の2位または3位にあるフッ素は、アルキル化
部分の不活性化の原因であること、および、誘導効果は、2位におけるよりも3
位における方が大きいことが予想された。かくして、これにより、理論的には、
3−フルオロ化合物が2−フルオロ化合物よりも反応性ではないことが導かれる
であろう。しかしながら、本発明者は、2−フルオロプロドラッグおよびそれら
の対応する薬物は、予想されるように不活化されるが(すなわち、それらの非フ
ッ素化類似物よりも反応性ではない)、3−フルオロプロドラッグおよび薬物は
、非常に活性化される(すなわち、それらの非フッ素化類似物よりも非常に反応
性である)ことが見いだした。さらに、試験される2−フルオロプロドラッグは
全てではないが、3−フルオロは全て、CPG2に対して良好な基質である。
WO 93/08288には、2−および3−フルオロ環置換ナイトロジェン
マスタード化合物が開示されているが、これらの化合物は、本発明の安息香酸ナ
イトロジェンマスタードをベースとするプロドラッグの保護されたカルボキシル
基の代わりに−NH2を含有する。−NH2基を含有する該化合物は、非常に反応
性であり、3−フルオロ基の付加は、本発明化合物において3−フルオロ基が原
因である反応性の大きな増加とは対照的に、それらの反応性に対して有意な差を
生じない。
本発明は、式(A)
[式中、R−NHは、α−アミノ酸R−NH2またはオリゴペプチドR−NH2の
残基であり、Mは、式:
(式中、YおよびLは、分子中で同一であっても異なっていてもよく、離
脱基である)
で示されるナイトロジェンマスタード基である]
で示される3−フルオロベンザミドである化合物またはその医薬的に許容される
塩を提供するものである。
当該プロドラッグは、α−アミノ酸R−NH2またはオリゴペプチドR−NH2
の残基と安息香酸ナイトロジェンマスタードの残基との間のアミド結合の切断に
よって活性薬物に転換される。活性薬物は、式(B):
[式中、Mは、前記定義と同じである]
で示される。
当該プロドラッグは、治療によるヒトまたは動物体の治療方法、特に、癌の治
療方法における使用に適している。本発明は、本発明のプロドラッグを患者に投
与することを特徴とする、癌に罹っているヒトまたは動物の治療方法を含む。癌
は、白血病および充実性腫瘍(例えば、結腸直腸腫瘍および卵巣腫瘍)を含む、
新生細胞増殖がある疾患である。
当該プロドラッグは、治療されるべき腫瘍の領域において局在化したイムノグ
ロブリン/酵素コンジュゲートの酵素成分によって活性薬物に選択的に転換され
る。したがって、当該プロドラッグは、
(i)イムノグロブリンが腫瘍関連抗原について特異的であり、酵素がα−ア
ミノ酸R−NH2またはオリゴペプチドR−NH2の残基と安息香酸ナイトロジェ
ンマスタード残基との間のアミド結合を切断するイムノグロブリン/酵素コンジ
ュゲート;次いで、
(ii)当該プロドラッグ
の医薬的に有効な量を癌に罹っているヒトまたは動物に投与することを特徴とす
る方法において使用される。
好適なイムノグロブリンおよび酵素の例は、WO−A−88/07378に開
示されている。イムノグロブリンは、抗体または抗体の抗原結合部位の少なくと
も1つを含有する抗体のフラグメントである。該抗体は、好ましくは、モノクロ
ーナルであるが、ポリクローナルであってもよい。該抗体は、一般に、IgGク
ラスのものであるが、抗体の他のクラスが除外されるわけではない。抗体は、例
えば、EP−A−239 400においてウインター(Winter)によって開示さ
れているように、ヒューマナイズされていてもよい。抗体フラグメントは、一般
に、Fab'またはF(ab')2フラグメントである。酵素は、好ましくは、カルボキ
シペプチダーゼ(例えば、細菌性カルボキシペプチダーゼG2(CPG2))で
ある。
本発明のプロドラッグにおいて、基YおよびLは、分子中で同一であっても異
なっていてもよく、例えば、ハロ、メシルオキシまたは4−トシルオキシである
。好ましくは、YおよびLは、共に、メシルオキシであるか、YおよびLは、共
に、クロロであるか、または、Yは、メシルオキシであり、Lは、クロロである
。
アミノ酸またはオリゴペプチドR−NH2は、本発明のプロドラッグの基R−
NHが酵素の影響下でin vivoで除去されるように選択される。グルタミン酸お
よびアスパラギン酸は、好適なアミノ酸であるが、他のα−アミノカルボン酸も
有用である。該アミノ酸は、L立体配置であるのが好ましい。
本発明のプロドラッグの例は、
3−フルオロ−4−[ビスー[2−(メシルオキシ)エチル]アミノ]ベンゾイル
−L−グルタミン酸、
3−フルオロ−4−[(2−クロロエチル)[2−(メシルオキシ)エチル]ア
ミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸、
3−フルオロ−4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゾイル−L−グル
タミン酸、
およびそれらの医薬的に許容される塩である。
本発明のプロドラッグは、WO−A−88/07378、WO−A−90/0
2729およびWO−A−91/03460に開示されている方法と同様の方法
によって製造される。本発明の製造方法は、式(C):
[式中、Mは、前記定義と同じであり、R'−NHは、少なくとも1つの保護カ
ルボン酸基を含有するα−アミノ酸R'−NH2またはオリゴペプチドR'−NH2
の残基である]
で示される化合物を脱保護し、所望により、得られた前記式(A)で示される化
合物をその医薬的に許容される塩に転換することからなる。式(C)で示される
化合物は、新規であり、本発明の一部を形成する。
少なくとも1つの保護カルボン酸基は、例えば、エチルまたはtert−ブチル基
によって保護される。WO−A−88/07378には、本発明で使用されるエ
チル保護基を除去するための慣用方法が開示されている。これらの方法では、エ
チル保護基は、水酸化ナトリウムを用いてアルカリ加水分解し、次いで、塩酸を
使用して、得られたナトリウム塩を遊離カルボン酸に転換することによって除去
される。
好ましくは、保護基は、tert−ブチルである。WO−A−90/02729に
は、tert−ブチル保護基を除去するための好適な方法が開示されている。tert−
ブチルエステル基は、例えば、非水性媒質中、酸による処理によって、遊離カル
ボン酸基に転換され得る。トリフルオロ酢酸およびギ酸は、好適な酸である。
tert−ブチルエステル基の除去は、室温、例えば、15〜25℃で、トリフルオ
ロ酢酸と一緒に、実質的には非水性の溶液中に該tert−ブチルエステルを維持す
ることによって非常に簡単に行うことができる。加水分解されるべきtert−ブチ
ルエステル基と少なくとも同等の量のトリフルオロ酢酸を使用するのが望ましい
が、過剰割合のトリフルオロ酢酸および加水分解温度は、決定的ではなく、より
低い温度およびより少量のトリフルオロ酢酸は、tert−ブチルエステル基の全加
水分解を生じさせるのに必要な時間を延長させるだけである。非水性条件下での
tert−ブチルエステル基のトリフルオロ酢酸による加水分解は、ほとんど定量的
に(>80%)進行する。
式(C)で示される化合物は、式(D):
[式中、Xは、ヒドロキシまたはハロゲン(例えば、塩素)であり、Zは、前記
定義のナイトロジェンマスタード基への転換能を有する基(例えば、NO2)で
ある]
で示される化合物を、前記定義の保護α−アミノ酸R'−NH2またはオリゴペプ
チドR'−NH2と反応させ、次いで、基Zを(例えば、NH2を介して)前記定
義の基Mに転換させることによって得られる。
保護α−アミノ酸(例えば、t−ブチル化グルタミン酸またはアスパラギン酸
)およびオリゴペプチドは、商業的に[例えば、シグマ・ケミカル・カンパニー
・リミテッド(Sigma Chemical Company Limited)から]得られる。別法として
は、それらは、慣用手段によって製造される。例えば、グルタミン酸を酢酸t−
ブチルと反応させる。式(D)で示される化合物は、ジャックマン(Jackman)
ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)(199
0)33、3067−3071およびマーシャム(Marsham)ら、同書、307
2−3078の方法によって、市販の[例えば、オールドリッチ・ケミカル・
カンパニー・リミテッド(Aldrich Chemical Company Limited)から]3F、4
NO2トルエンから得られる。
式(C)で示される化合物の好ましい製造方法において、式(E):
[式中、R'−NHは、前記定義と同じである]
で示される化合物を、式:
A−SO2−B
[式中、Aは、メチルまたは4−トリル基であり、Bは、ハロゲン(例えば、塩
素)である]
で示される化合物と反応させる。該反応は、有機溶媒、例えば、ピリジン中で行
われるのが好適である。
式(E)で示される化合物は、好ましくは、溶媒、例えば、酢酸中で、式(F
):
[式中、R'−NH2は、前記定義と同じである]
で示される化合物を酸化エチレンと反応させることによって製造される。
式(F)で示される化合物は、好ましくは、式(G):
[式中、R'−NH2は、前記定義と同じである]
で示される化合物を反応させることによって製造される。該還元は、例えば、
Pd/C触媒の存在下でメタノール中のギ酸アンモニウムによるなどの式(G)で
示される化合物の触媒転移によって行われる。
式(G)で示される化合物は、式(D)で示される化合物を前記定義の式R'
−NH2で示されるα−アミノ酸またはオリゴペプチドと反応させることによっ
て得られる。該反応は、CH2Cl2などの溶媒中で行われる。
式(A)、(C)、(E)、(F)および(G)で示される化合物は、各々、
慣用手段、例えば、クロマトグラフィーおよび/または結晶化によって精製され
る。これらの化合物は、各々、塩の形で製造される。式(A)で示される化合物
の医薬的に許容される塩としては、塩基塩、例えば、アルカリ金属(例えば、ナ
トリウム)またはアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)から誘導されたも
の、およびアンモニウム塩;塩酸塩および酢酸塩を含む酸付加塩が挙げられる。
本発明は、本発明のプロドラッグおよび医薬的に許容される担体または希釈剤
からなる医薬組成物を含む。本発明は、また、本発明のプロドラッグまたは組成
物、および、イムノグロブリンが腫瘍関連抗原に対して特異的であり、酵素がα
−アミノ酸R−NH2またはオリゴペプチドR−NH2の残基と安息香酸ナイトロ
ジェンマスタード残基との間のアミド結合を切断するイムノグロブリン/酵素コ
ンジュゲートからなるキットも含む。
プロドラッグおよびイムノグロブリン/酵素コンジュゲートは、通常、非経口
的に、例えば、静脈内または腹腔内投与されるであろう。かくして、本発明の医
薬組成物は、通常、非経口(例えば、静脈内または腹腔内)投与に適するもので
ある。かかる組成物は、好都合には、当該プロドラッグおよび希釈剤としての等
張性生理食塩水または重炭酸塩を含有する。プロドラッグおよびコンジュゲート
の投与量は、最終的には、医師の自由裁量であり、該医師は、患者の年齢、体重
および状態などの因子を考慮する。プロドラッグおよびコンジュゲートの好適な
投与量は、バッグショー(Bagshawe)ら、アンチボディ,イムノコンジュゲーテ
ィズ,アンド・レイディオウファーマシューティカルズ(Antibody,Immunoconj
ugates,and Radiopharmaceuticals)(1991)、4、915−922に開示
されている。コンジュゲートの好適な投与量は、2000〜200,
000酵素単位/m2(例えば、20,000酵素単位/m2)であり、プロドラッ
グの好適な投与量は、20〜2000mg/m2(例えば、200mg/m2)である。
所望の治療の部位でコンジュゲートの最大濃度を確実にするためには、通常、
2つの成分の投与間隔を少なくとも4時間おくのが望ましい。厳密な治療法は、
標的とされるべき腫瘍の性質およびプロドラッグの性質を含む種々の因子によっ
て影響されるであろう。典型的な治療法は、0時間目にコンジュゲートを、24
時間目にガラクトシル化された透明化抗体(clearing antibody)を、次いで、
48時間目にプロドラッグを投与することである。透明化抗体を使用しない場合
、それは、通常、48時間以上後にプロドラッグを注射することができる。
以下の実施例は、本発明の説明に供する。以下の反応スキーム1および2は、
各々、実施例1および2の方法を概略記載する。
実施例1: 2−フルオロプロドラッグの合成を示す参考実施例
2−フルオロ,4−ニトロベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル( 1)
L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル・塩酸塩(5.0g、16.9mmol)のEt3
N(5.0ml、34.0mmol)中溶液に2−フルオロ,4−ニトロベンゾイルクロ
リド(3.5g、17.0mmol)のCH2Cl2(50ml)中溶液を滴下した。抽出
後処理により、油状物(1)を得た;収量(6.8g、94%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.40(s,9H,t−Bu)、1.43(s
,9H,t−Bu)、1.95(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.34
(t,2H,J=7.4Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、4.35(m,1H,C
H)、7.85(ddd,1H,JH-6,H-3=1.1,JH-6,F=7.1,J=H-6,H-5=
8.2Hz,H−6)、8.18(m,2H,H-3,H-5)、8.92(d,1H,J
=7.46Hz,NH);
19NMR(Me2SO−d6)δ−110.41(dd,JF,H-3〜JF,H-6=6.
96Hz);
質量分析(FAB)m/z([M+H+],18)、315(M−t-Bu2,100
);
元素分析(C20H27N2O7F−0.04CH2Cl2):理論値:C,55.99
;H,6.35;N,6.52;F,4.42;Cl,0.66、測定値:C,55.64
;H,6.08;N,6.41;F,4.44;Cl,0.31。(元素分析において注
目されるCH2Cl2の存在は、NMRによって確認された。)
2−フルオロ,4−アミノベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル( 2)
MeOH(60ml)中のニトロ化合物(1)(5.8g、13.6mmol)の、P
d/C(10%)上でのギ酸アンモニウム(4.5g、71.5mmol)による触媒
転移還元により、油状物としてアミン(2)を得た;収量(5.2g、96%)
。
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.38(s,9H,t−Bu)、1.41(s
,9H,t−Bu)、1.95(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.29
(t,2H,J=8.13Hz,CH 2CH2 CO2t−Bu)、4.31(m,1H,C
H)、5.98(s,2H,NH2)、6.30(dd,1H,JH-3,F=14.33H
z,H−3)、6.4
0(dd,1H,JH-5,H-6=8.57Hz,H−5)、7.42(dd,1H,JH-6, H-5
=8.70,JH-6,F=17.46Hz,H−6)、7.69(dd,1H,JH-N,H -C
6.75,JH-N,F=13.93Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−112.23(ddd);
質量分析(FAB)m/z(397[M+H+],100)、341(M−t−B
u,45);
元素分析(C20H29N2O5F−0.5MeOH):理論値:C,59.69;H,
7.58;N,6.79;F,4.61、測定値:C,59.84;H,7.48;N,7
.02;F,4.79。
2−フルオロ,4−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゾイル−L− グルタミン酸ジ−tert−ブチル(3)
HOAc(10ml)中のアミン(2)(1.6g、4.0mmol)を酸化エチレン
(13.0ml、260mmol)と一緒に室温で112時間攪拌した。該生成物をC
H2Cl2およびH2Oに分配した。有機相を分離し、H2Oで洗浄し、乾燥させ(
Na2SO4)、蒸発乾固させた。粗製油状物をシリカゲル上でクロマトグラフィ
ーに付して、EtOAc−CH2Cl2で溶離して、油状物(3)を得た;収量(
1.0g、49%)。
1N NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.42(s
,9H,t−Bu)、1.93(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.29
(t,2H,J=7.69Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.46(d,4H,
J=5.23Hz,(HOCH2 CH2)2)、3.55(t,4H,J=4.80Hz,
(HOCH 2CH2 )2)、4.34(m,1H,CH)、4.75(t,2H,J=4.
67Hz,(OH)2)、6.50(dd,1H,JH-3,F=17.09Hz,H−3)
、6.57(dd,1H,JH-5,H-6=8.97Hz,H−5)、7.33(dd,1H
,JH-6,F=9.1Hz,H−6)、7.69(dd,1H,JH-N,H-C=7.11,JH- N,F
=14.07Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−111.03(ddd);
質量分析(FAB)m/z(485[M+H+],4)、226(M−glutBu2,1
00);
元素分析(C24H37N2O7F−0.5EtOAc):理論値:C,59.07;
H,7.82;N,5.30;F,3.59、測定値:C,59.23;H,7.71;N
,5.20;F,3.32。(元素分析において注目されるEtOAcの存在は、N
MRによって確認された。)
2−フルオロ,4−[ビス(2−(メシルオキシ)エチル)アミノ]ベンゾイル −L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル(4)
2−フルオロ,4−[(2−クロロエチル)[2−(メシルオキシ)エチル)( 2−フルオロ)アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル(5)
2−フルオロ,4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゾイル−L−グル タミン酸ジ−tert-ブチル(6)
(3)(1.4g、2.9mmol)のピリジン(4.5ml)中溶液をメタンスルホ
ニルクロリド(0.9ml、1.8mmol)と一緒に0℃で20分間、次いで、80℃
で20分間攪拌した。該反応混合物をEtOAcおよびクエン酸(10%)に分
配した。有機相を分離し、H2Oで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発乾固
させた。濃縮物は、3つの反応生成物を含有しており、各々、エプスタイン(Ep
stein)試薬による陽性変色を生じた。該混合物をシリカゲル上でクロマトグラ
フィーに付した。最も遅い溶出は、固体の2−フルオロ,ビス[2−(メシルオキ
シ)エチル誘導体(4)であった;融点90〜92℃、収量(0.10g、5%
);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.38(s,9H,t−Bu)、1.42(s
,9H,t−Bu)、1.94(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.30
(t,2H,J=7.79Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.16(s,6H,
(CH3 SO3)2)、3.80(t,4H,J=5.21Hz,(CH3SO3CH 2C H2
)2)、4.33(t,5H,J=5.30Hz,(CH3SO 3CH2 CH2)2&C
H)、6.68(dd,2H,JH-5,H-6=8.14,JH-3,F=15.27Hz,H−
3,H−5)、7.54(dd,1H,JH-6,F=9.1Hz,H−6)、7.90(d
d,1H,JH-N,H-C=5.31,JH-N,F=12.52Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−100.52(dd);
質量分析(FAB)m/z(641[M+H+],12)、382(M−glutBu2,
100);
元素分析(C26H41N2O11FS2):理論値:C,48.73;H,6.45;N
,4.37;F,2.97;S,10.01、測定値:C,48.62;H,6.26;N
,4.32;F,2.73;S,10.09。
2番目の溶出は、油状物の2−フルオロ,(2−クロロエチル)[2−(メシル
オキシ)エチル]誘導体(5)であった;収量(0.58g、34%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.38(s,9H,t−Bu)、1.42(s
,9H,t−Bu)、1.93(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.30
(t,2H,J=7.82Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.15(s,3H,CH3
SO3)、3.77(s,4H,ClCH2CH2 )、3.82(t,2H,J=5
.18Hz,CH3SO3CH 2CH2 )、4.32(t,3H,J=5.17Hz,CH3
SO 3CH2 CH2&CH)、6.66(m,2H,H−3,H−5)、7.55(dd
,1H,JH-6,H-5=8.79,JH-6,F=9.2Hz,H−6)、7.89(dd,1H
,JH-N,H-C=5.64,JH-N,F=12.82Hz,NH);
19F NMR(Me2SO2−d6)δ−110.45(m);
質量分析(FAB)m/z(581[M+M+],14)、322(M−glutBu2,
100);
元素分析(C25H38N2O8FClS):理論値:C,51.67;H,6.59;
N,4.82;F,3.27;Cl,6.10;S,5.52、測定値:C,51.92;
H,6.53;N,4.82;F,3.16;Cl,6.06;S,5.48。
最も速い溶出は、固体の2−フルオロ,ビス(2−クロロエチル)誘導体(6
)であった;融点104〜106℃、収量(0.53g、34%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.38(s,9H,t−Bu)、1.42(s
,9H,t−Bu)、1.96(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.29
(t,2H,J=7.79Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.78(dt,8
H,J=5.29Hz(ClCH2CH2 )2)、4.35(m,1H,CH)、6.6
5(m,2H,H−3,H−5)、7.55(dd,1H,JH-6,H-5=9.1,JH-6,H -5
=9.4Hz,H−6)、7.88(dd,1H,JH-N,H-C=5.53,JH-N,F=
12.84Hz,NH)。
19F NMR(Me2SO−d6)δ−110.55(ddd,JF,H-N=11.2
6,JF,H-3=14.07、JF,H-6=16.32Hz);
質量分析(FAB)m/z(521[M+H+],16)、262(M−glutBu2,
100);
元素分析(C24H35N2O5Cl2):理論値:C,55.28;H,6.77;N,
5.37;F,3.64;Cl,13.60、測定値:C,55.43;H,6.82;
N,5.39;F,3.62;Cl,13.91。
二酸の製造−一般的な方法
化合物(4)(0.13g、0.20mmol)、(5)(0.21g、0.36mmol
)、または(6)(0.20g、0.38mmol)をTFA(4〜8%w/v)に懸
濁させ、室温で40分間攪拌した。減圧下、溶媒を除去し、残留油状物を酢酸エ
チル(1ml)で希釈し、蒸発させた。この後者の工程を5〜20回繰り返した。
(4)から純粋な生成物として化合物(7)、2−フルオロ,4−[ビス−[2−
(メシルオキシ)エチル]アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸を得た;収量(
0.12g、100%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ2.05(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2
.32(t,2H,J=7.61Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.16(s,6H,(C H3
SO3)2)、3.81(t,4H,J=4.98Hz,(CH3SO3CH 2CH2 )2
)、4.33(t,4H,J=5.30Hz,(CH3SO 3CH2 CH2)2)、4.4
1(t,1H,J=4.16Hz,CH)、6.69(m,2H,H−3,H−5)、7
.58(dd,1H,JH-6,F=9.1,JH-6,H-5=9.3Hz,H−6)、7.89(
dd,1H,JH-N,H-C=6.04,JH-N,F=12.08Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−110.35(ddd,JF,H,-3=14.5
2Hz);
質量分析(FAB)m/z(529[M+H+],12)、382(M-glu,100
);
予想された正確な質量:529.0961;測定値:+2.0ppm;
元素分析(C18H25N2O11FS2−0.40TFA−0.30EtOAc):理
論値:C,39.99;H,4.67;N,4.67;F,6.96;S,10.68、測
定
値:C,39.62;H,4.50;N,A.64;F,6.57;S,10.40。(元
素分析において注目されるEtOAcおよびTFAの存在は、NMRによって確
認された。)
本化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
同様に、(5)から油状物として化合物(8)、2−フルオロ,4−[(2−ク
ロロエチル)[2−(メシルオキシ)エチル]アミノ]ベンゾイル−L−グルタミ
ン酸を得た;収量(0.17g、92%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ2.02(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2
.32(t,2H,J=7.53Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.15(s,3H,C H3
SO3)、3.77(s,4H,ClCH2CH2 )、3.82(t,2H,J=5.
11Hz,CH3SO3CH 2CH2 )、4.32(t,2H,J=5.31Hz,CH3
SO 3CH2 CH2)、4.40(q,1H,J=4.54Hz,CH)、6.67(m,
H−3,H−5)、7.57(dd,1H,JH-6,F=9.1,JH-6,H-5=9.4Hz,
H−6)、7.88(dd,1H,JH-N,H-C=6.53,JH-N,F=13.06Hz,
NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−110.35(ddd,JF,H-3=16.1
9Hz);
質量分析(FAB)m/z(469[M+H+],8)、322(M−glu,100
);
予想された正確な質量:469.0847;測定値:+3.2ppm;
元素分析(C17H22N2O8FClS−0.26TFA−0.15EtOAc):
理論値:C,42.52;H,4.62;N,5.48;F,6.60;Cl,6.93;
S,6.27、測定値:C,42.12;H,4.68;N,5.13;F,6.20;C
l,6.67;S,6.0。(元素分析において注目されるEtOAcおよびTFA
の存在は、NMRによって確認された。)
この化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
同様に、(6)から油状物として化合物(9)、2−フルオロ,4−[ビス(2
−クロロエチル)アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸を得た;収量(0.17
g、97%);
1H NMR(MeSO−d6)δ1.98(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2.
3
3(t,2H,J=7.70Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.78(dt,8H,(C
lCH2CH2 )2)、4.41(m,1H,CH)、6.65(m,2H,H−3,H−
5)、7.58(dd,1H,JH-6,H-5=8.83,JH-6,F=9.1Hz,H−6)
、7.85(dd,1H,JH-N,H-C=5.53,JH-N,F=12.84Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−110.43(ddd,JF,H-3=15.2
7Hz);
質量分析(FAB)m/z(409[M+H+]3)、262(M−glu,100
);
予想された正確な質量:409.0733;測定値:+3.7ppm;
元素分析(C16H19N2O5FCl2−0.40TFA):理論値:C,44.36
;H,4.30;N,6.16;F,9.19;Cl,15.58、測定値:C,44.5
9;H,4.29;N,5.83;F,8.81;Cl,15.58。(元素分析におい
て注目されるTFAの存在は、NMRによって確認された。)
この化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
実施例2: 3−フルオロプロドラッグの合成
3−フルオロ,4−ニトロベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル( 13)
L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル・塩酸塩(20.0g、67.6mol)のE
t3N(19ml、136.0mmol)中溶液に3−フルオロ,4−ニトロベンゾイル
クロリド(13.8g、68.0mmol)のCH2Cl2(300ml)中溶液を滴下し
た。抽出処理により、油状物(13)を得た;収量(28.0g、97%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.40(s,9H,t−Bu)、1.42(s,
9H,t−Bu)、1.99(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.36(
t,2H,J=7.45Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、4.35(m,1H,C
H)、7.92(dd,1H,JH-6,H-5=7.56Hz,H−6)、8.01(dd,
1H,JH-2,F=11.97Hz,H−2)、8.29(dd,1H,JH-5,H-6=7.
83,JH-5,F=16.10Hz,H−5)、8.97(d,1H,J=7.42Hz,
NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−117.98(dd,JF,H-2=7.32、
JF,H-5=17.8Hz);
質量分析(Cl)m/z 427([M+H+],100);
元素分析(C20H27N2O7F−0.25CH2Cl2):理論値:C,54.33
;H,6.19;N,6.26;F,4.24;Cl,3.96、測定値:C,54.22
;H,6.38;N,6.05;F,4.34;Cl,4.15。(元素分析において注
目されるCH2Cl2の存在は、NMRによって確認された。)
3−フルオロ,4−アミノベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル( 14)
MeOH(60ml)中のニトロ化合物(13)(7.5g、17.5mmol)の、
Pd/C(10%)上でのギ酸アンモニウム(5.8g、91.6mmol)による触
媒転移還元により、油状物としてアミン(14)(6.9g、99%)を得た。
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.40(s
,9H,t−Bu)、1.97(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.31
(t,2H,J=7.44Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、4.28(m,1H,
CH)、5.71(s,2H,NH2)、6.77(dd,1H,JH-5,H-6=8.77,
JH-5,F=17.43Hz,H−5)、7.49(dd,1H,JH-6,H-5=8.32H
z,H−6)、7.56(dd,1H,JH-2,F=12.79Hz,H−2)、8.19
(d,1H,J=7.55Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−135.56(dd,JF,H-2=12.21
、JF,H-5=20.51Hz);
質量分析(FAB)m/z 396([M+H+],5}138(M−glu,100
);
元素分析(C20H29N2O5F):理論値:C,60.59;H,7.37;N,7.
07;F,4.79、測定値:C,60.50;H,7.34;N,7.09;F,4.6
9。
3−フルオロ,4−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゾイル−L− グルタミン酸ジ−tert−ブチル(15)
HOAc(30ml)中のアミン(14)(5.3g、13.4mmol)を酸化エチ
レン(60ml、1.2mmol)と一緒に室温で336時間攪拌した。溶媒をEtO
AcおよびH2Oに分配した。有機相を分離し、H2Oで洗浄し、乾燥させ
(Na2SO4)、蒸発乾固させた。粗製油状物をシリカゲル上でクロマトグラフ
ィーに付して、EtOAc−CH2Cl2で溶離して、純粋な油状物(15)を得
た;収量(3.3g、51%)。
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.41(s
,9H,t−Bu)、1.97(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.32
(t,2H,J=7.42Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.43(t,4H,
J=5.93Hz,(HOCH2 CH2)2)、3.54(d,4H,J=5.46Hz,
(HOCH 2CH2 )2)、4.31(m,1H,CH)、4.67(s,2H,(OH
)2)、6.99(dd,1H,JH-5,H-6=8.86,JH-5,F=17.84Hz,H−
5)、7.60(dd,2H,JH-6,H-5=9.56,JH-2,F=14.26Hz,H−
6,H−2)、8.30(d,1H,J=7.48Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−124.31(dd,JF,H-2=11.63,
JF,H-5=17.08Hz);
質量分析(FAB)m/z(485[M+H+],22)、226(M−glutBu,
100);
元素分析(C24H37N2O7F−1.1EtOAc):理論値:C,58.66;
H,7.94;N,4.82;F,3.27、測定値:C,58.31;H,7.83;N
,5.18;F,3.49。(元素分析において注目されるEtOAcの存在は、N
MRによって確認された。)
3−フルオロ,4−[ビス(2−(メシルオキシ)エチル)アミノ]ベンゾイル −L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル(16)
3−フルオロ,4−[(2−クロロエチル)[2−(メシルオキシ)エチル)( 2−フルオロ)アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸ジ−tert−ブチル(17 )
3−フルオロ,4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゾイル−L−グル タミン酸ジ−tert-ブチル(18)
(15)(0.67g、1.4mmol)のピリジン(3ml)中溶液をメタンスルホ
ニルクロリド(0.6ml、7.7mmol)と一緒に0℃で20分間、次いで、80℃
で15分間攪拌した。該反応混合物をEtOAcおよびクエン酸(10%)に分
配し
た。有機相を分離し、H2Oで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発乾固させ
た。濃縮物は、3つの反応生成物を含有しており、各々、エプスタイン試薬と陽
性の変色反応を生じた。該混合物をシリカゲル上でクロマトグラフィーに付した
。最も遅い溶出油状物は、油状物としての3−フルオロ,ビス[2−(メシルオキ
シ)エチル誘導体(16)であった;収量(0.31g、35%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.41(s
,9H,t−Bu)、1.98(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.32
(t,2H,J=7.42Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.12(s,6H,
(CH3SO3)2)、3.72(t,4H,J=5.41Hz,CH3SO3CH 2CH2
)2)、4.30(t,5H,J=5.32Hz,(CH3SO 3CH2 CH2)2&CH
)、7.16(dd,1H,JH-5,H-6=8.79,JH-5,F=8.8Hz,H−5)、
7.67(dd,2H,JH-2,F=13.81Hz,H−2,H−6)、8.43(d,
1H,J=7.56Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−122.69(dd);
質量分析(FAB)m/z(641[M+H+],15)、382(M−glutBu2,
100);
元素分析(C26H41N2O11FS2−0.6EtOAc):理論値:C,49.1
8;H,6.66;N,4.04;F,2.74;S,9.25、測定値:C,48.92
;H,6.59;N,4.00;F,2.85;S,8.93。(元素分析において注目
されるEtOAcの存在は、NMRによって確認された。)
2番目の溶出は、油状物としての3−フルオロ,(2−クロロエチル)[2−(
メシルオキシ)エチル]誘導体(17)であった;収量(0.29g、37%)。
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.41(s
,9H,t−Bu)、1.99(m,2H,CH2 CH2CO2−t−Bu)、2.32
(t,2H,J=7.37Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.12(s,3H,
CH3SO3)、3.71(S,6H,ClCH2CH2 +CH3SO3CH 2CH2 )、
4.30(t,3H,J=5.29Hz,CH3SO 3CH2 CH2+CH)、7.13(
dd,1H,JH-5,H-6=8.81,JH-5,F=9.0Hz,H−5)、7.66(dd,
2H,JH-2,F=14.58Hz,H−2,H−6)、8.41(d,1H,J=7.5
4Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−123.40(m);
質量分析(FAB)m/z(581[M+H+]30)、322(M−glutBu2,
100);
元素分析(C25H38N2O8FClS):理論値:C,51.67;H,6.59;
N,4.82;F,3.27;Cl,6.10;S,5.52、測定値:C,51.29;
H,6.60;N,4.56;F,3.18;Cl,5.74;S,5.29。
最も速い流出は、3−フルオロ,ビス(2−クロロエチル)誘導体(固体)(
18)であった;融点100〜103℃;収量(0.11g、15%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.39(s,9H,t−Bu)、1.41(s
,9H,t−Bu)、2.01(m,2H,CH 2CH2CO2−t−Bu)、2.33
(t,2H,J=7.34Hz,CH 2CH2 CO2−t−Bu)、3.72(s,8H,
(ClCH2CH2 )2)、4.32(m,1H,CH)、7.11(dd,1H,JH-5 ,H-6
=8.86,JH-5,F=9.1Hz,H−5)、7.65(m,2H,H−2,H−
6)、8.40(d,1H,J=7.35Hz,NH);
19F NMR(Me2SO-d6)δ−123.83(dd,JF,H-2=14.8Hz
);
質量分析(FAB)m/z(521[M+H+],19)、262(M−glutBu2,
100);
元素分析(C24H35N2O5Cl2−0.5H2O):理論値:C,54.34;H,
6.84;N,5.28;F,3.58;Cl,13.37、測定値:C,54.71;H
,6.61;N,5.31;F,3.64;Cl,13.54。
二酸の製造−一般的な方法
化合物(16)(0.10g、0.16mmol)、(17)(0.08g、0.13
mmol)、または(18)(0.06g、0.11mmol)をTFA(4%w/v)に
懸濁させ、室温で40分間攪拌した。酸を減圧下で除去し、残留油状物を酢酸エ
チル(1ml)で希釈し、蒸発させた。この後者の工程を5〜6回繰り返した。(16
)から純粋な生成物として化合物(19)、3−フルオロ,4−[ビス−[2
−メシルオキシ)エチル]アミノ]ベンゾイル-L-グルタミン酸を得た;収量(0
.09g、91%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ1.99(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2
.
35(t,2H,J=7.45Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.13(s,6H,(C H3
SO3)2)、3.72(t,4H,J=5.34Hz,(CH3SO3CH 2CH2 )2
)、4.31(t,4H,J=5.16Hz,(CH3SO 3CH2 CH2)2)、4.3
9(m,1H,CH)、7.16(dd,1H,JH-5,H-6=8.59,JH-5,F=18.
03Hz,H-5)、7.68(dd,JH-6,H-5=8.91,JH-2,F=15.29H
z,H−2,H−6)、8.45(d,1H,J=7.69Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−122.54(m);
質量分析(FAB)m/z(529[M+H+],45)、382(M-glu,100
);
予測された正確な質量:529.0961;測定値:+5.4ppm;
元素分析(C18H25N2O11FS2−0.22TFA−0.21EtOAc):理
論値:C,40.47;H,4.74;N,4.90;F,5.51;S,11.21、測
定値:C,40.87;H,4.76;N,4.75;F,5.85;S,10.98。(
元素分析において注目されるEtOAcおよびTFAの存在は、NMRによって
確認された。)
この化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
同様に、(17)から油状物として化合物(20)、3−フルオロ,4−[(2
−クロロエチル)[2−(メシルオキシ)エチル]アミノ]ベンゾイル−L−グル
タミン酸を得た;収量(0.06g、91%);
1H NMR(Me2SO−d5)δ2.00(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2
.35(t,2H,J=7.43Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.13(s,3H,C
H3SO3)、3.73(s,6H,ClCH2CH2 +CH3SO3CH 2CH2 )、4
.31(t,2H,J=5.40Hz,CH3SO 3CH2 CH2)、4.39(m,1H,
CH)、7.15(dd,1H,JH-5,H-6=8.81,JH-5,F=18.24Hz,H−
5)、7.68(dd,2H,JH-2,F=14.75Hz,H−2,H−6)、8.45
(d,1H,J=7.64Hz,NH);
19F NMR(Me2SO−d6)δ−123.19(dd,JF,H-2=11.46,
JF,H-5=14.12Hz);
質量分析(FAB)m/z(469[M+H+],10)、322(M-glu,100
);
予測された正確な質量:469.0847;測定値:+4.9ppm;
元素分析(C17H22N2O8FClS−0.20TFA−0.21EtOAc):
理論値:C,42.94;H,4.72;N,5.49;F,5.96;Cl,6.95;
S,6.28、測定値:C,43.34;H,4.79;N,5.16;F,5.95;C
l,6.82;S,5.89。(元素分析において注目されるEtOAcおよびTF
Aの存在は、NMRによって確認された。)
この化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
同様に、(18)から油状物として化合物(21)、3−フルオロ,4−[ビス
(2−クロロエチル)アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸を得た;収量(0.
05g、97%);
1H NMR(Me2SO−d6)δ2.00(m,2H,CH2 CH2CO2H)、2
.35(t,2H,J=7.48Hz,CH 2CH2 CO2H)、3.73(s,8H,(
ClCH2CH2 )2)、4.41(m,1H,CH)、7.12(dd,1H,JH-5,H -6
=8.78,JH-5,F=18.17Hz,H−5)、7.67(dd,2H,JH-2,F
=15.39Hz,H−2,H−6)、8.42(d,1H,J=7.22Hz,NH)
;
19F NMR(Me2SO−d6)δ−123.65(dd);
質量分析(FAB)m/z(409[M+H+],48)、262(M-glu,100
);
予想される正確な質量:409.0733;測定値:−0.7ppm;
元素分析(C16H19N2O5FCl2−0.18TFA−0.2EtOAc):理
論値:C,46.07;H,4.68;N,6.26;F,6.54;Cl,15.85、
測定値:C,46.29;H,4.80;N,5.99;F,6.29;Cl,15.99
。(元素分析において注目されるEtOAcおよびTFAの存在は、NMRによ
って確認された。)
この化合物は、エプスタインスプレイ試薬と陽性反応を生じた。
実施例3: プロドラッグの、CPG2基質としての作用能
プロドラッグの、CPG2についての基質としての作用能を試験した。
スプリンガー(Springer)ら、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー
(Eur.J.Cancer)(1991)27、1361−1366の開示に従って、
酵素反応速度を測定した。結果を第1表に示す。試験された全ての3−フルオロ
置換プロドラッグ(19、20および21)は、CPG2について良好な基質で
あることが判明した。2−フルオロ置換プロドラッグのうち、プロドラッグ(8
)および(9)は、良好な基質であったが、プロドラッグ(7)は、劣性な基質
であり、その結果、その反応速度を測定することが可能ではなかった。
実施例4:プロドラッグおよび活性薬物の反応性
プロドラッグおよび活性薬物の相対的な反応性を測定するために、該プロドラ
ッグおよび活性薬物の化学的半減期を測定した。
スプリンガー(Springer)ら、アンチキャンサー・ドラッグ・デザイン(Anti
cancer Drug Design)(1991)6 467−479に従って、NaOHに対
する滴定によって、pHスタットにおいて半減期を測定した。結果を第2表に示
す。3つの2−フルオロプロドラッグ(7、8および9)の全ておよびそれらに
対応する活性薬物(10、11および12)は、失活した。2−フルオロプロド
ラッグの化学的半減期は、長すぎてpHスタットにおいて測定することができな
かった。対照的に、3−フルオロプロドラッグ(19、20および21)および
対応する薬物(22、23および24)は、対応する非フッ素化類似物およひ2
−フルオロ類似物と比較して活性化された。
実施例5: CPG2を用いる場合または用いない場合の結腸直腸細胞系にお けるプロドラッグの細胞毒性
2−および3−フルオロプロドラッグ(7−9および19−21)、および非
フッ素化プロドラッグ26を、CPG2を用いる場合または用いない場合の結腸
直腸細胞系LS174Tにおけるそれらの細胞毒性を1時間測定することによっ
てプロドラッグ活性について試験した[トム(Tom)ら(1976)イン・ビト
ロ(In Vitro)12、180−181]。対応する活性薬物(10−12、22
−24および29)を、各々、同一条件下でスクリーンした。
結果を第3表に示す。3−フルオロプロドラッグ(19−21)の全ては、非
フッ素化プロドラッグ(26)と同様に実質的なプロドラッグ活性を示した。各
々の場合、プロドラッグは、800μMでさえ、完全に非細胞毒性であり、CP
G2によるその対応する薬物への転換により、細胞毒性が増大した。活性薬物2 2
−24および29の各々単独での細胞毒性は、各々、そのプロドラッグ+CP
G2(19−21および26)のものとは、有意には異ならなかった。2−フル
オロプロドッグの全ては、単独で、非毒性であったが、それらが、プロドラッグ
+CPG2試験で細胞毒性種に転換されなかったので、プロドラッグ活性を全く
示さなかった。これらのデータは、2−フルオロ活性薬物を使用する細胞毒性実
験についての良好な論証であった。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07C 231/02 C07C 231/02
309/73 7419−4H 309/73