JPH08508301A - 光活性化可能ビオチン誘導体およびイムノアッセイでの干渉を軽減させるためのその使用 - Google Patents

光活性化可能ビオチン誘導体およびイムノアッセイでの干渉を軽減させるためのその使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、式I [式中、R=[(CH2)n-Om]q-[(CH2)r-Os]t-(CH2)pであり、ここでn,r=2,3;m,s=0,1;q+t=1〜4;p=1〜4であり、全てのCH2基の合計は10を越えず、そして単一または複数の置換基であるR1は水素、C1-C5-アルキル、NH2、COOH、F、ClまたはBrである]を有する新規な光活性化可能ビオチン誘導体、およびその製造、ストレプトアビジンを不活性化するためのその使用、イムノアッセイでの干渉を軽減させるための不活性化ストレプトアビジンの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 光活性化可能ビオチン誘導体およびイムノアッセイでの 干渉を軽減させるためのその使用 本発明は、新規な光活性化可能ビオチン誘導体、その製造、ストレプトアビジ ンまたはアビジンを不活性化するためのその使用、イムノアッセイでの干渉を軽 減させるための不活性化ストレプトアビジンの使用および不活性化ストレプトア ビジンを使用するアナライト(analyte)の検出方法に関する。 免疫学的検出方法は最近、非常に重要になってきている。それらは生物学的試 料中の薬物、ホルモン、タンパク質、感染性有機物および特に特異的抗体の存在 を迅速で正確に検出するために利用される。全ての免疫学的検出方法において、 第一の特異的結合パートナーである検出される物質(アナライト)およびアナラ イトと特異的に反応し結合する第二の特異的パートナーとの間の特異的結合反応 が起こる。アナライトと特異的アナライト結合パートナーは、一般に抗原と抗体 または抗体断片との複合体である、いわゆる特異的結合対を形成する。各反応に おいて1種以上のアナライトまたは結合パートナーをお互いに反応させることが 可能である。これらの特異的結合反応は種々の方法で検出される。一般に、特異 的結合反応に関与しているものの1種を標識する。慣用の標識方法には放射性同 位体、色原体、発蛍光団、酵素標識または次にもう1つの特異的結合対を形成す る物質(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン)が含まれる。不均一イムノア ッセイ(heterogeneous immunoassay)では結合パートナーの1つを固体 相に固定する。 イムノアッセイでの難しい問題は、イムノアッセイの特異的結合パートナーと 試料、該試料中に含まれる別の成分、そして場合により固定相との間の望ましく ない相互作用および非特異的結合反応が生じ得ることであろう。これらの相互作 用は一般にバックグラウンドシグナルの増加およびシグナルの散乱となり、ひい ては当該試験の感度と特異性を軽減させる。標識結合パートナーとの非特異的相 互作用および試験成分と試料成分との非特異的結合の両者はいずれも偽陽性の結 果を導くことになり、すなわちそのようなアナライトが存在しない場合でもアナ ライトの存在が間違って測定される。 イムノアッセイでのこれらの非特異的相互作用を軽減させる種々の試みがなさ れてきた。種々の炭水化物成分および種々のタンパク質、タンパク質混合物また はタンパク質画分並びにその加水分解物が、イムノアッセイでの試験成分とアナ ライトとの間の非特異的相互作用を軽減させることが以前から知られている(例 えば、Robertson et al.,Journal of Immun.Meth.26,1985,195;EP-A-260 903;US-A-4,931,385)。 タンパク質粗精製画分および粗精製加水分解物の使用は、その中に含まれる混 入物が試験を干渉し得る欠点を有する。さらに、酵素的に生産した加水分解物も その調製のために使用したプロテアーゼが混入し得る。また、切断過程の制御が 困難なのでその質も通常一定ではない。プロテアーゼの混入により試験成分が攻 撃され、そしてたとえ少量であっても試験の実施およびその安定性に否定的に影 響しうるであろう。 化学的に修飾したタンパク質、特にスクシニル化またはアセチル化タンパク質 の使用がイムノアッセイにおける非特異的相互作用を軽減させると記載されてい る(US-A-5,051,956;EP-A-0 525916)。しかしながら、これらの物質を用いて も、血清中の抗体の試験での偽陽性の結果の多くは避けられない。 EP-A-0 331 068 およびWO 91/06 559には、リウマチ因子のような特異的干渉 因子を軽減させるための重合免疫グロブリン、特にIgGの使用が記載されている 。しかしながら、非特異的な相互作用の全てを満足な方法で除外できるわけでは ない。さらに、ヒト抗体の試験での別の非特異的ヒト免疫グロブリン(単量体ま たは重合体抗体またはその断片)がブランク値の上昇を引き起こし得る。さらに 、ヒトおよび動物のIgGの産物は複雑で高価である。 それ故本発明の目的は、先行技術と比較して、イムノアッセイでの非特異的相 互作用の軽減を改善する新規な干渉軽減物質を提供することである。非特異的相 互作用とは、間違った結果を引き起こすであろう、その方法で使用する成分間の 全ての相互作用と理解されたい。干渉軽減物質により、特に抗体を分析する場合 の偽陽性分析結果が回避されなければならない。特に、イムノアッセイにおける 結合パートナーの1つとしてアビジンまたはストレプトアビジンを使用する場合 に干渉を回避することを目的とする。 この目的は、新規な光活性化可能ビオチン誘導体の使用により不活性化したア ビジンまたはストレプトアビジンにより達成される。意外にも、これらの物質を 使用することによりイムノアッセイ、特に結合パートナーとしてアビジンまたは ストレプトアビジンを使用するイムノアッセイでの干渉が軽減した。 本発明の主題は、式I [式中、R=[(CH2)n-Om]q-(CH2)r-Os]t-(CH2)pであり、 ここでn,r= 2,3;m,s=0,1;q+t=1〜4、p=1〜4であり、 全てのCH2基の合計は10を越えず、 そして単一または複数の置換基であるR1は水素、C1-C5-アルキル、NH2、COOH、F 、ClまたはBrである]の新規な光活性化可能ビオチン誘導体である。 Rとして鎖には以下の挿入が特に好ましい: -(CH2)3-O-(CH2)4-O-(CH2)3- -(CH2)2-O-(CH2)2-O-(CH2)2- -(CH2)4-10-、特に-(CH2)4-および-(CH2)8- 本発明のもう1つの主題は、ストレプトアビジンまたはアビジンを不活性化す るための本発明の光活性化可能ビオチン誘導体の使用である。ストレプトアビジ ンの不活性化は、本発明のビオチン誘導体をストレプトアビジンまたはアビジン と接触させることにより達成される。ストレプトアビジンとビオチンの非常に高 い結合親和性のために、ビオチンはストレプトアビジンと結合する。本発明のビ オチン誘導体によりビオチン結合部位が飽和された後、光反応を引き起こしビオ チンを活性中心に共有結合的に結合させる。この過程で、ビオチンの光活性化可 能基が活性中心の外側でストレプトアビジン分子のアミノ酸残基に結合し、ビオ チン を強力にそして共有結合的にストレプトアビジン受容体部位に結合させる。可能 な光源は、例えば、特に250〜450nmの範囲の波長の水銀蒸気ランプである。照射 時間は1分〜10時間、好ましくは5〜30分の間の範囲にできる。 アビジンまたはストレプトアビジンは天然に生じた精製タンパク質または組換 えアビジンまたはストレプトアビジン、または化学的に修飾したその誘導体と理 解されたい。 遊離のビオチンまたはカルボキシル基を介して共有結合しているビオチンと結 合できる天然の形態の全ての誘導体が使用できる。これらの誘導体はアルキルハ ロゲン化合物を用いたアルキル化、炭酸塩化物またはエステルを用いたアシル化 、過ヨウ素酸塩を用いる糖残基(側鎖)の酸化のような化学的な修飾を介して、 または例えば、酵素的または組換え方法によりプライマー配列内の個々のアミノ 酸またはアミノ酸群を欠失させることによっても得られる。(例えば、二官能リ ンカーによる)化学的結合により得られるストレプトアビジン/アビジン(スト レプトアビジンをアビジンと混合できる)のオリゴマーまたはポリマーを使用す ることもできる。 [式中、RおよびR1は上記の定義を有し、ここでR1はさらにNO2にでき、そしてビ オチンがストレプトアビジンまたはアビジンの 活性中心に結合しており、さらに活性中心の外側で共有結合を介してストレプト アビジンまたはアビジンに結合している]を有する本発明の不活性化アビジンま たはストレプトアビジンでもある。 光活性化可能ビオチン誘導体は既知である。EP-A-O 155 854およびEP-A-O 187 323には、アミン含有リンカーを介してビオチンに結合しているアジド置換フェ ニル/ニトロフェニルが記載されている。式 の光反応性ビオチン誘導体がBoehringer Mannheim社の生化学カタログ(Boehrin ger Mannheim Biochemical Catalog)のNo.1292633および1292641に記載されて いる。 しかしながら、これらのビオチン誘導体は、DNA/RNA分子、一般のタンパク質 及び炭水化物の標識のためにのみ記載されている。特にストレプトアビジンへの 結合は記載されておらず、ストレプトアビジン自身がビオチンによるフリーな標 識を不可能にならしめるビオチンに対する結合部位を有しているので、これらの 参考資料に記載されている標識の目的には不適当であろう。 本発明のもう1つの主題は、イムノアッセイにおける干渉を軽減させるための 本発明の不活性化アビジンまたはストレプトアビジンの使用である。イムノアッ セイにおける干渉を軽減させるための不活性化アビジンまたはストレプトアビジ ンは特に、アビジンまたはスレプトアビジンを結合成分の1つとして使用する場 合 のものである。このようなイムノアッセイは例えば、U.S.Don et al.,J.Histo chem.Cytochem.27(1979),1131-1139およびBayer and Wilchek,Analytical Biochemistry 171(1988),1-32により知られている。干渉は、例えば、ヒト 血清中で生じ得るアビジンまたはストレプトアビジンに対する抗体により引き起 こされ得る。しかしながら、本発明の干渉軽減試薬は、アビジンまたはストレプ トアビジンを使用しないイムノアッセイにおいても有利である。これらのイムノ アッセイでは、BSAまたはポリ-BSAのような別の分子に結合している不活性化ス トレプトアビジンの使用が特に有利であることが経験から示されている。 本発明のもう1つの主題は、 1.試料を a) 本発明の式IIの不活性化アビジンまたはスレプトアビジン、 b) 1個または数個のアナライトの特異的結合パートナーと接触させ、そ して 2.アナライトと特異的結合パートナーにより形成される複合体をアナライトの 存在の指標として測定することによる試料中のアナライトを測定するためのイム ノアッセイである。 可能なアナライトは、ハプテン、抗原または抗体のような少なくとも1種の特 異的結合パートナーと反応して1種の特異的複合体を形成する全ての物質である 。本発明方法は、特に抗体、さらに特に自己抗体の検出に適する。 試料は通常、血液、血漿、血清、唾液または尿のような体液である。 特異的結合パートナーは、特異的にアナライトと結合してそれと複合体を形成 できるいずれの生物学的または化学的結合パートナーにもできる。それらには抗 体、抗体断片、抗原、ハプテン、ホルモン、アビジン、ビオチンまたはその誘導 体が含まれる。本発明においては、アナライトの結合パートナーとして抗体また は抗原またはそれらの断片が好ましい。 アナライトと特異的結合パートナーの複合体を検出するために、当業者に知ら れている全ての通常の方法を使用できる。全ての結合パートナーが可溶形態で存 在する均一方法(homogenous method)、例えば、形成した複合体を比濁分析的 にもしくはネフェロ分析的に測定する沈殿法またはCEDIA、EMITまたはFPIA原理 によるイムノアッセイを使用できる。少なくとも1種の試薬が固体相に結合して いる不均一法(heterogeneous method)も適する。例として結合対の1つのパー トナーがラテックスに結合している凝集試験、例えば、サンドイッチ検定、特異 的抗体の検定のためのELISAまたは免疫検定も含まれる。沈殿法以外のこれらの 方法の全ては、少なくとも1つの特異的結合パートナーを標識する必要がある。 標識により例えば放射性同位体、化学発光、蛍光もしくは電気化学発光標識、ま たは金属ゾル粒子のような染色粒子または染色もしくは無染色ラテックスのよう な測定できる信号が直接に提供される。標識は、例えばペルオキシダーゼ、グル コースオキシダーゼ、β‐ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼのよ うな酵素標識のための間接的なシグナルも提供できる。 特に結合パートナーの1つがストレプトアビジンを介して固体相に結合してい る場合は、イムノアッセイを試験片またはバイオ センサーを使用しても実施できる。干渉はプラズモン共鳴に基づいたイムノアッ セイでも軽減できる。 しばしば、アナライトの検出方法の1種の試薬は、アビジンまたはストレプト アビジン/ビオチンのような特異的結合対を介して固体相に結合している。固体 相が他の種々の検出方法において普遍的に使用できることは有利である。特異的 結合対を介する標識をアッセイの成分を通して結合させることもできる。例えば 、酵素をアビジンまたはストレプトアビジンに結合させ、そして結合パートナー 、例えば抗体をビオチン化できる。このような検出方法の例は当業者には既知で ある。本発明の不活性化アビジンまたはストレプトアビジンは特にこれらの場合 に適する。 本方法を実施する場合に、アナライトをそれぞれの試験成分および活性化アビ ジンまたはストレプトアビジンとインキュベートし、その後イムノアッセイを実 施する。干渉軽減試薬の濃度は好ましくは0.0001〜1%(m/v)、特に好ましくは0 .01〜1%(m/v)の範囲である。 アナライトの検出方法の各反応成分が、試験セットまたは試験キットの形態で 有利に提供される。 従って、本発明の主題は、 a) 本発明の式IIの不活性化アビジンまたはストレプトアビジン、および b) 少なくとも1種のアナライトの特異的結合パートナーからを含む、 試料中のアナライトを検出するための試験キットである。 さらに、キットは緩衝液、洗浄剤、標識、酵素基質のような標 識の検出のための添加剤、固体相などの検出方法を実施するために必要な他の全 ての試薬も含むこともできる。好ましい方法では、干渉軽減試薬および1種また は数種のアナライトの結合パートナーを別々の容器で供給する。しかしながら、 干渉軽減試薬を1種または数種のアナライトの結合パートナーに直接添加するこ ともできる。 本発明のもう1つの主題は、式Iの光活性化可能ビオチン誘導体の製造法であ る。この方法は、既知の縮合技術によりビオチンがそのカルボキシル官能基を介 してジアミノ化合物の第一級または第二級アミノ基に結合するように実施する。 その後、遊離のアミノ官能基を、別の縮合反応または置換反応(例えば、芳香族 求核置換基)により光活性化可能基に結合させる。所望により合成の略図を提示 できる。実施例1 光活性化可能ビオチンの製造 ビオチン-[8-(4-アジドベンゾイル)アミノ-3,6-ジオキサオクチル]アミド(ビ オチン-DADOO-AB)(4)の合成 ビオチニル-1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン(ビオチン-DADOO、Boehring er Mannheim No.1112074)1.50g(4mmol)を攪拌しながら新たに蒸留したDMF 5 0mlに溶解する。その後、N-ヒドロキシスクシンイミジル-(4-アジドベンゾエー ト)(HSAB、Boehringer Mannheim No.1140051)1.04g(4mmol)およびトレチ ルアミン0.55ml(4mmol)を順次、上記溶液に添加し、20℃で2時間攪拌する。 その後、油ポンプの真空を適用しつつロータリーエバポレータで溶媒を除去する 。残った粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにかけて精製する。これを 達成するために、物質を40℃まで穏やかに加熱しつつ、最小量のクロロホルム/ メタノール2/1(V/V)に溶解し、その後、混合物をシリカゲル60カラム(4×60 cm、Merck社により製造されている)にかける。その後、クロロホルム/メタノ ール2/1(V/V)を用いて溶出を実施し、溶出物を50mlの画分に集める。その後、 純粋な生成物を含む画分を(以下に記載の系で)TLCにかけ測定し精製する。溶 媒をロータリーエバポレータで除去し、半固体の残留物をジイソプロピルエーテ ル約50mlで温浸する。微細結晶無色生成物を吸引し、真空乾燥キャビネットで一 夜乾燥する(0.1〜0.15バール/40℃) 収率: 1.24g(60% d.Th.) TLC: シリカゲル60(Merck)F254、 クロロホルム/メタノール2/1(V/V); Rf=0.711 H-NMR(100MHz/d6-DMSO):δ(ppm)=1.20〜1.65(m,6H);2.07(tr ,2H);2.60〜3.65(m、15H);4.05〜4. 20(m;2H);6.38(d,br,2H)、7.20(d,2 H)、7.62(tr,br,2H);7.91(d,2H);8. 53(tr,br,2H) UV(CH3OH): λ(max)=267nm IR(KBr): ν=2125cm-1 実施例2 ビオチンの製造 原理: ストレプトアビジンを光活性化可能ビオチン誘導体(例えば、ビオチン-DADOO -AB)と反応させ、遊離の非結合ビオチンを分離するために透析する。Hg蒸気ラ ンプ(350〜700nm)の照射により光反応を引き起こすと、ビオチンがストレプト アビジンの結合中心に共有的に結合される。 詳細な手順: PBS緩衝液pH7.5中のタンパク質濃度20mg/mlで、10倍モル量の過剰のビオチン- DADOO-AG試薬をストレプトアビジン1gに添加する(DMSO中のビオチン-DADOO-AB 原液25mg/mlを3.5ml)。試薬の添加が完了すれば、混合物を暗闇で25℃で2時間 攪拌する。 暗闇で500倍以上の体積のPBS緩衝液、pH7.5に対して透析(4℃で20時間)す ることにより遊離の非結合ビオチン誘導体を完全に分離する(検知不可)。溶液 の層の厚さを5cm以下にして、攪拌しながら混合物に20分間にわたってHg蒸気ラ ンプ(350〜700nm)を照射し、そして再び500倍以上の体積のPBS緩衝液、pH7.5 に対して透析する(4℃で16〜18時間)。実施例3 不活性化ストレプトアビジンの精製 原理: 不活性化ストレプトアビジンを、活性(ビオチン結合)が残存しているスレプ トアビジンから、残存する遊離のビオチンから、または(結合ポケットに結合し ているビオチンとは異なって)ストレプトアビジンの表面に近づけるようにその 表面に共有結合しているストレプトアビジンから、ウシ血清アルブミン/ビオチ ンおよび/またはスフェロシル(spherosil)基剤上のストレプトアビジン吸着 剤のクロマトグラフィーにかけることによって精製する。 詳細な手順: 反応混合物中のタンパク質10mgの部分に対して、PBS緩衝液pH7.5で平衡にした ストレプトアビジンスフェロシル吸着剤1mlを添加し室温で2時間攪拌する。ス トレプトアビジンをグルタルジアルデヒド活性化アミノスフェロシルに結合させ る慣用法により吸着剤を調製する。 懸濁液をカラムに移し、そしてカラム物質をPBS緩衝液、pH7.5で洗う。カラム の末端でタンパク質含有量をUVモニターによりA280 nmでモニターする。溶液に タンパク質が含まれなくなるまで洗浄を続ける。タンパク質を含有する溶出液を 画分として集める。 タンパク質10mgの各部分に対して、PBS緩衝液pH7.5で平衡にしたウシ血清アル ブミン/ビオチン(PSA-Bi)スフェロシル吸着剤1mlを、ストレプトアビジン吸 着剤のタンパク質を含有する 溶出液に添加する。その後、この混合液を室温で2時間攪拌する。吸着剤は、BS A-Biがグルタルジアルデヒド活性化アミノスフェロシルに結合するような慣用法 により調製する。懸濁液をカラムに移し、PBS緩衝液、pH7.5で洗う。カラムの末 端でタンパク質濃度をUVモニターによりA280 nmでモニターする。タンパク質を 含有する溶出液は生成物を含んでおり、画分として集める。生成物(不活性化ス トレプトアビジン)をタンパク質20mg/mlまで濃縮し充填後に凍結乾燥する。実施例4 ビオチン-[2-(4-アジドベンゾイル)アミノエチル]アミド(ビオチン-EDA-AB) 4aの合成 N-(4-アジドベンゾイル)エチレンジアミン 2a HSAB 1 2.6g(10mmol)をTHF 70mlに溶解し、氷上で冷却し攪拌しながらTHF 中のエチレンジアミン6.01g(100mmol)の溶液に滴下する。その後、氷浴を外 し、そして温度を室温にする。ロータリーエバポレータで溶媒を除去し、過剰の エチレンジアミンをできるかぎり高真空下で除去する。残留した粗生成物をシリ カゲル60の分取カラムクロマトグラフィー(Merck社製;4×68cmカラム、溶出 剤;酢酸エステル/氷酢酸/水6/3/1(V/V/V))にかけて精製する。相当する画分 を集め濃縮する。その後、生成物 2a を約100mlメタノールに取り、溶媒をロー タリーエバポレータで除去すると淡黄色の固体物質となる。 収率:2.92g(約2〜3当量のCH3COOHを含む) TLC;シリカゲル60 F254(Merck);酢酸エステル/氷酢酸/水6/3/1(v/v/v);Rf =0.49 ビオチン-[2-(4-アジドベンゾイル)アミノエチル]アミド4a 生成物 2a 1.03g(5mmol)を蒸留したDMF 40mlに懸濁し、そして20℃で攪拌 しながらトリエチルアミン1.4mlを添加する。その後、ビオチン-N-ヒドロキシス クシンイミドエステル(Boehringer Mannheim No.734250)3 1.17g(5mmol) を添加し、20℃でさらに3時間攪拌を続ける。その後、溶媒をロータリーエバポ レータ(油ポンプでの真空、50℃の湯浴)で除去し、そして濃縮した残留物を飽 和NaHCO3溶液で一夜温浸する。生成物 4a を吸 引し、水で洗いそして乾燥器で乾燥する。 収率:白色から黄色の粉末1.02g(理論値の47%) TLC:シリカゲル60 F254(Merck);酢酸エステル/メタノール3/1(V/V)+1%氷酢 酸; Rf=0.311 H-NMR(100MHz/d6-DMSO):δ(ppm)=1.20〜1.65(m,6H);2.08(tr, 2H);2.60〜3.45(m,7H);4.05〜4.20 (m,2H);6.40(d,br,2H)、7.20(d,2H) ;7.89(d,2H);7.90(tr,br,1H);8.49 (tr,br,1H) UV(CH3OH): λ(max)=268nm IR(KBr): ν=2117cm-1 実施例5 ビオチンー[2-(4-アジドベンゾイル)アミノヘキシルアミド(ビオチン-HMDA-A B)4bの合成 N-(4-アジドベンゾイル)ヘキサメチレンジアミン 2b HSAB 1 2.6g(10mmol)をTHF 70mlに溶解し、氷上で冷却し攪拌しながらTHF 中のヘキサメチレンジアミン11.62g(100mmol)の溶液に滴下する。その後、氷 浴を外し、温度を室温にする。溶媒をロータリーエバポレータで吸引し過剰のヘ キサメチレンジアミンをできるかぎり高真空下で除去する。残留した粗生成物を 水100mlで20分間温浸し、その後、乾燥器で一夜乾燥する。生成物 2b は淡黄色 から茶色の固体物質である。 収率:2.09g(理論値の80%) TLC:シリカゲル60 F254(Merck);酢酸エステル/氷酢酸/水6/3/1(V/V/V);Rf= 0.50 ビオチン-[2-(4-アジドベンゾイル)アミノヘキシル]アミドE 4b 生成物 2b 1.30g(5mmol)を蒸留したDMF 40mlに懸濁し、トリエチルアミン 1.4mlを20℃で攪拌しながら添加する。その後、ビオチン-N-ヒドロキシスクシン イミドエステル 3 1.71g(5mmol)を添加し20℃でさらに3時間攪拌を続ける 。その後、溶媒をロータリーエバポレータ(油ポンプでの真空、50℃の湯浴)で 除去し、そして濃縮した残留物を飽和NaHCO3溶液で一夜温浸する。生成物 4b を 吸引し、水で洗浄し乾燥器で乾燥する。 収率:1.71g(理論値の70%)白色から黄色の粉末 TLC:シリカゲル60 F254(Merck);酢酸エステル/メタノール 3/1(V/V)+3%氷酢酸エステル Rf=0.381 H-MNR(100MHz/d6-DMSO):δ(ppm)=1.20〜1.75(m,14H);2.06(tr ,2H);2.60〜 .40(m,7H);4.05〜4.20 (m;2H);6.39(d,br,2H);7.19(d,2H); 7.73(tr,br,1H);7.90(d,2H);8.44( tr,br,1H) UV(CH3OH): λ(max)=267nm IR(KBr): ν=2121cm-1 実施例6 N-[3-(4-アジドベンゾイル)アミノプロピル]-N-(3′-ビオチノイルアミノプ ロピル)-メチルアミンアセテートの合成4c(EP-A-0155 854による先行技術) N-(3-アミノプロピル)-N-[3′-(4-アジドベンゾイル)アミノプロピル]-メチ ルアミン2c HSAB 1 0.52g(2mmol)をTHF 20mlに溶解し、THF 15ml中のN,N-ビス-(3-ア ミノプロピル)メチルアミン0.52g(2mmol)の溶液に氷冷し攪拌しながら滴下 する。その後、氷浴を外し、温度を室温にする。溶媒をロータリーエバポレータ で吸引し、過剰のN,N-ビス-(3-アミノプロピル)メチルアミンをピストンを加 熱しながらできるかぎり高真空下で除去する。残留した粗生成物をエーテル100m lで20分間温浸し、その後シリカゲル60のカラムクロマトグラフィー(4×68cm ;溶出液:クロロホルム/メタノール/アンモニア2/2/1(V/V/V))にかけ精製す る。相当する画分を集め、溶媒を除去し、そして残留生成物 2c を高真空下でで 数時間乾燥する。 収率:380mg(理論値の66%)淡黄色から茶色の油 TLC:シリカゲル60 F254(Merck);クロロホルム/メタノール/アンモニア2/2/1 (V/V/V);Rf=0.82 N-[3-(4-アジドベンゾイル)アミノプロピル]-N-(3′-ビオチノイルアミノプ ロピル)-メチルアミンアセテート4c 生成物 2c 290mg(1mmol)を新たに蒸留したDMF25mlに溶解し、トリエチル アミン0.17mlおよびビオチンN-ヒドロキシスクシンイミドエステル 3 342mg(1 mmol)を添加する。溶液を20 ℃で1時間攪拌し、その後、高真空下で濃縮する。粗生成物をシリカゲル60のカ ラムクロマトグラフィー(6×45 cm;溶出液:酢酸エステル/氷酢酸/水5/5/2 (V/V/V))にかけ精製する。相当する画分を集め、ロータリーエバポレータで溶 媒混合物を除去する。油状の残留物をメタノールに溶解し、濃縮し、ジイシプロ ピルエーテルで温浸する。その後、生成物 4c を高真空下で少なくとも6時間乾 燥する。 収率:405mg(理論値の70%)粘性の淡黄色から茶色の油 TLC:シリカゲル60 F254(Merck);クロロホルム/メタノール/アンモニア5/5/2 (V/V/V);RF=0.38 実施例7 ビオチン(光活性化)-SAを用いたHCV試験での干渉の軽減 試験原理: ストレプトアビジン固体相を用いるツーステップサンドイッチ検定(エンジモン テスト(Enzymun-Test)(登録商標)アンチHIV(Anti-HIV)により提供されて いる手順と試薬) 工程1:ビオチン化ペプチド+試料 工程2:壁面結合抗体と抗-ヒトIgG POD複合体との反応 工程3:基質としてのABTS(登録商標)を用いる指示反応インキュベーション緩衝液: リン酸ナトリウム40mmol/l、pH7.4 NaCl 7.1g/l 保存剤 血漿診断基剤200g/l コアのNS4およびNS5領域からのHCVペピチド 実施例1および2による±不活性化ストレプトアビジン複合体緩衝液 : リン酸ナトリウム40mmol/l、pH7.4 NaCl 7.1g/l 保存剤 ウシ血清アルブミン1g/l ウシ IgG4g/l トリトン X 100 1g/l 抗-ヒト IgG POD 15U/Lインキュベーション時間 工程1:1時間(試料+インキュベーション緩衝液) 工程2:1時間(+抱合緩衝液) 工程3:1時間(ABTSとの基質反応)試料 : 3陰性血清試料(対照1) 6偽陽性抗-HCV陰性試料 3陽性抗-HCV試料(対照2)体積 : 試料20μl 他の全ての試薬、各500μl手順 16〜25℃でES600機器で実施基質測定 : 基質溶液をES600機器(Boehringer Mannheim GmbHにより製造)により422nmで測 定する 吸光度を表1に示す。 実施例8 種々の光活性化可能ビオチンを用いて不活性化した種々のストレプトアビジンの 比較 ストレプトアビジンを、実施例4、5および6に従って光活性化可能ビオチン を用いて不活性化する。結果の比較を実施例7に示す。Bi-HMD-(HS)ABおよびBi- DADOO(HS)ABを用いて調製したストレプトアビジン試薬は、先行技術によるビオ チン誘導体を用いて得られたストレプトアビジンと比較して、有意に、干渉を軽 減させる効果の増加を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ドニー,フレデリック ドイツ連邦共和国 ディー―82377 ペン ツベルグ イン デア アウ 10番地

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式I [式中、R=[(CH2)n-Om]q-[(CH2)r-Os]t-(CH2)pであり、 ここでn,r=2,3;m,s=0,1;q+t=1〜4;p=1〜4であり、 全てのCH2基の合計は10を越えず、 そして単一または複数の置換基であるR1は水素、C1-C5-アルキル、NH2、COOH、F 、ClまたはBrである]の光活性化可能ビオチン誘導体。 2.n=3、r=4、m,s=1、q,t=1、p=3であることを特徴とする、請求項1のビオチ ン誘導体。 3.n,r=2、m,s=1、q,t=1、p=2であることを特徴とする、請求項1のビオチン誘 導体。 4.n,r=2、m,s=0、q=1、t=0〜2、p=2であることを特徴とする、請求項1のビオ チン誘導体。 5.式II [式中、RおよびR1は請求項1〜4の意味を有し、ここでR1はNO2を意味すること もでき、そして ビオチンはストレプトアビジンまたはアビジンの活性中心に結合しており、さら に活性中心の外側で共有結合により結合している]不活性化アビジンまたはスト レプトアビジン。 6.ストレプトアビジンまたはアビジンを不活性化するための、請求項1〜4の いずれか一項の光活性化可能ビオチン誘導体の使用。 7.イムノアッセイでの干渉を軽減させるための、請求項5の不活性化ストレプ トアビジンの使用。 8.ストレプトアビジンをイムノアッセイでの結合パートナーとしても使用でき ることを特徴とする、請求項7の使用。 9.請求項5の不活性化ストレプトアビジンを含むことを特徴とする、イムノア ッセイでの干渉軽減試薬。 10.試料中のアナライトを免疫学的に測定する方法であって、 a) 試料を請求項5の不活性化ストレプトアビジンもしくはアビジン、または 請求項9の干渉を軽減させる試薬と接触させ、 b) 同時に、それに先立ってまたはその後、1種または数種のアナライトの特 異的結合パートナーと接触させ、そして c) アナライトと特異的結合パートナーにより形成され複合体をアナライトの 存在の指標として測定する、 工程を含む、該方法。 11.イムノアッセイの少なくとも1つの結合成分がアビジン/ビオチンまたはス トレプトアビジン/ビオチンを介して結合してい ることを特徴とする、請求項10の方法。 12.試料中のアナライトを測定するための試験キットであって、 a) 請求項5の不活性化ストレプトアビジンまたはアビジンまたは請求項9 の干渉軽減試薬、 b) 少なくとも1種のアナライトの特異的結合パートナーを含む、該キット 。 13.請求項1〜3のいずれか一項の光活性化可能ビオチン誘導体の製造法であっ て、式 NH2-R-NH2 を有するジアミノ化合物に、その一端にビオチンのカルボキシル基を、そして他 端に式 [式中、RおよびR1は請求項1〜4の意味を持つ]を有する光活性化可能基を結 合させることを特徴とする該方法。 14.使用するビオチン誘導体が請求項1〜4の化合物であることを特徴とする、 アビジンまたはストレプトアビジンをビオチン誘導体と接触させ、それを放射線 にさらすことにより結合させることによる、光活性化可能ビオチン誘導体を用い てストレプトアビジンまたはアビジンを不活性化する方法。
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