JPH08508013A - 平滑筋細胞増殖の阻害についてのカルバゾリル−▲(4)▼−オキシプロパノールアミン化合物の使用および該化合物を用いる治療法 - Google Patents

平滑筋細胞増殖の阻害についてのカルバゾリル−▲(4)▼−オキシプロパノールアミン化合物の使用および該化合物を用いる治療法

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JPH08508013A JP6519937A JP51993794A JPH08508013A JP H08508013 A JPH08508013 A JP H08508013A JP 6519937 A JP6519937 A JP 6519937A JP 51993794 A JP51993794 A JP 51993794A JP H08508013 A JPH08508013 A JP H08508013A
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Abstract

(57)【要約】 平滑筋細胞の増殖を阻害するための、式(I): [式中、R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフトイルより選択されるアロイル;R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルおよびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキル;R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキル;R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素である場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表わすことができ;Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄;Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択され;R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスルフィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか;またはR5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する]で示される化合物またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物の新規使用、および該化合物を用いる治療法。この抗増殖性化合物の新規使用および該化合物を用いる治療法は、経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後の再発狭窄症を防止し、アテローム性動脈硬化症を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】 平滑筋細胞増殖の阻害についてのカルバゾリルー(4)−オキシプロパノールア ミン化合物の使用および該化合物を用いる治療法 発明の分野 本発明は平滑筋細胞の増殖を阻害するための式1のカルバゾリル−(4)−オ キシプロパノールアミン化合物、特にカルベジロール(carvedilol)の新規な医 学的使用に関する。特に、本発明は経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後の再発 狭窄症の防止、高血圧症に付随する血管肥大の進行の抑制、およびアテローム性 動脈硬化症の発病の防止にて有用な医薬組成物を製造するためのカルベジロール の新規使用を提供する。 [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表すことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数 1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジ ルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスル フィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか、または R5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する] 発明の背景 異常な血管平滑筋増殖は、心血管障害、例えばアテローム性動脈硬化症、高血 圧症および血管内操作と関連している。異常な血管平滑筋増殖は、経皮経管冠動 脈形成術(PTCA)の併発症である。PTCA後の血管平滑筋増殖に由来する 慢性再発狭窄症の発生率は、3ないし6カ月以内で40〜45%と高いことが報 告されている。カプロン・エル、ヒューデス・デイ、チャジャラ・エイ&ブルン バル・ピー(Capron,L.,Heudes,D.,Chajara,A.&Bruneval,P.)(1991)ジ ャーナル・オブ・カルジオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pha r-macol.),18,207−211;ボーラッサ・エム(Bourassa,M.)(19 92)ジャーナル・オブ・アメリカン・カレッジ・オブ・カルジオロジー(J.Am .Coll.Cardiol.),19,1410−1411。アンジオテンシンIIおよびノル エピネフリンを包含する数種の神経体液因子、ならびに血小板誘発増殖因子およ び塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF)を包含する増殖因子が、in vivoにおけ る血管再発狭窄症の発病と関連している。ボーラッサ・エムら、前掲;ポウェル ・ジェイ・エス、クロゼル・ジェイ・ピー、ミュラー・アール・ケイ・エム、ク ン・エッチ、ヘフチ・エフ、ホサン・エム&ボウムガルトナー・エッチ・アール (Powell,J.S.,Clozel,J.P.,Muller,R.K.M.,Kuhn,H.,Hefti,F.,Hosang,M.&Baum gartner,H.R.)(1989)サイエンス(Science),245,186−198 ;クロゼル・ジェイ・ピー、ヘス・ピー、ミカエル・シー、シーティンガー・ケ イ&ボウムガルトナー・エッチ・アール(Clozel,J.P.,Hess,P.,Michael,C.,Sch ietinger,K.&Baumgartner,H.R.)(1991)ハイパーテンション(Hyper- tension),18(Suppl.II),1155−1159;フィンガール・ジェイ、 サンダース・ケイ・エッチ&ホテブ・ゼット(Fingerle,J.,Sanders,K.H.&Fote v,Z)(1991)ベーシック・リサーチ・イン・カルジオロジー(Basic Res.C ardiol.),86,75−81;フォーニー−プレスコット・エム、ウェブ・ア ール・エル&レイディー・エム・エイ(Forney-Prescott,M.,Webb,R.L.&Reidy, M.A.)(1991)アメリカン・ジャーナル・オブ・パソロジー(Am.J.Pathol. ),139,1291−1296;カフマン・アール・エフ、ビーン・ジェイ・ エス、ジマーマン・ケイ・エム、ブラウン・アール・エフ&スタインバーグ・エ ム・アイ(Kauffman,R.F.,Bean,J.S.,Zimmerman,K.M.,Brown,R.F.&Steinberg,M .I.)(1991)ライフ・サイエンス(LifeSci.)49,223−228;ア ズマ・エッチ・ワイ&ハマサキ・エッチ(Azuma,H.Y.&Hamasaki,H)(1992 )ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Br.J.Pharmacol.) ,106,665−671;フェーンス・ジー・エイ・エイ、ライネス・イー・ ダブリュ、スプリュゲル・ケイ・エッチ、モタニ・エイ・エス、レイディー・エ ム・エイ&ロス・アール(Ferns,G.A.A.,Raines,E.W.,Sprugel,K.H,Motani,A.S .,Reidy,M.A.&Ross,R.)(1991)サイエンス(Science),253,112 9−1132;およびリンドナー・ブイ&レイディー・エム・エイ(Lindner,V. &Reidy M.A.)(1991)プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミ ー・オブ・サイエンシス(Proc.Natl Acad.Sci.)(USA),88,3739 −3743。 PTCAに伴う血管再閉塞の発生率が高いことにより、再発狭窄症のin vivo における動物実験の発達および再発狭窄症を防止する薬剤の研究が誘導された。 アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(A CE)阻害剤、α−アドレノセプターアンタゴニストおよび増殖因子抗体は、一 般に、かかる動物実験にて血管再発狭窄症をわずかに(10−50%)減少させ るにすぎなかった。ポウェル・ジェイ・エス(Powell,J.S.)ら、前掲;フィン ガール・ジェイ(Fingerle,J)、前掲;フォーニー−プレスコット・エム(Forn ey-Prescott,M.)ら、前掲;およびカフマン・アール・エフ(Kauffman, R.F.)ら、前掲。(再発狭窄症の動物実験にてほんのわずかな保護作用だけを示 した)ACE阻害剤を用いる臨床実験は、ヒトにおける血管造影的に限定される 再発狭窄症の防止において有意な効能を証明することができなかった。ポンパ・ ジェイ・ジェイ、カリフ・アール・エム&トポル・イー・ジェイ(Popma,J.J.,C aliff,R.M.&Topol,E.J.)(1991)サーキューレーション(Circulation), 84,1426−1436。特定の作用機構を有する薬剤によって得られる血管 再発狭窄症に対するこの限定されたまたは有意でない保護は、血管再発狭窄症を 基礎とする病態生理学の複雑性を反映しているようであり、種々の化学走性およ び有糸分裂促進性因子がこの血管壁損傷に対する応答に関連していると考えられ 、これら因子のうちたった1つの因子の作用を干渉することで、効果的な保護が 得られるとは証明されないであろう。 したがって、心血管障害、例えばアテローム性動脈硬化症および高血圧症に付 随するかまたはPTCA後の併発症に由来し、慢性再発狭窄症を誘起する血管肥 大に関連する平滑筋細胞の異常増殖を減少させるか、または防止する抗有糸分裂 剤が特に望ましい。 発明の要約 第一の態様において、本発明は、平滑筋細胞増殖の阻害についての抗有糸分裂 剤として、式Iのカルバゾリル−(4)−オキシプロパノールアミン化合物の新 規医学的使用を提供するものである。特に、本発明は、好ましくは、式I(式中 、R1は−H、R2は−H、R3は−H、R4は−H、XはO、Arはフェニル、R5 はオルト−OCH3およびR6は−Hである)の化合物についての新規使用を提供 するものであって、該化合物はカルベジロール(1−(カルバゾール−4−イル オキシ−3−[[2−(o−メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]−2−プロ パノール)またはその医薬上許容される塩としてよく知られており、該化合物は PTCA後の再発狭窄症の防止、高血圧症に付随する血管肥大の進行の抑制、お よびアテローム性動脈硬化症の発病の防止にて有用な医薬組成物を製造するのに 用いられる。 第二の態様にて、本発明はまた、哺乳動物における、PTCA後の再発狭窄症 の防止、高血圧症に付随する血管肥大の進行の抑制、およびアテローム性動脈硬 化症の発病の防止についての治療法であって、基本的に、式Iの化合物、好まし くは式I(式中、R1は−H、R2は−H、R3は−H、R4は−H、XはO、Ar はフェニル、R5はオルト−OCH3およびR6は−Hである)の化合物、すなわ ち、カルベジロール、またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される 有効量の化合物を、その治療を必要とする哺乳動物に、好ましくはヒトに内部投 与することからなる治療法を提供する。 発明の詳細な記載 米国特許第4,503,067号は、式I: [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表すことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素 数1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベン ジルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルス ルフィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか、または R5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する] で示されるカルバゾリルー(4)−オキシプロパノールアミン化合物およびその 医薬上許容される塩を開示する。 さらに、この特許は、式II: で示される構造を有する、カルベジロール[1−(カルバゾール−4−イルオキ シ−3−[[2−(o−メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]−2−プロパノ ール]としてより周知の、式Iの化合物を開示する。 これら化合物(そのうち、カルベジロールが典型例である)は、温和ないし中 程度の高血圧症の治療にて有用な、およびアンギナおよび鬱血性心不全(CHF )にて有用性を有する新規な多機能性薬剤である。カルベジロールは競合性β− アドレノセプターアンタゴニストおよび血管拡張剤として知られており、また高 濃度ではカルシウムチャネルアンタゴニストである。カルベジロールの血管拡張 作用は、主に、α1−アドレノセプター遮断に由来するものであり、それに対し て該薬剤のβ−アドレノセプター遮断活性は高血圧症の治療に用いられると反射 性頻拍を防止する。カルベジロールのこれらの多機能性は、哺乳動物、特にヒト における医薬の抗高血圧効能に、ならびにアンギナおよびCHFの治療における 有用性に関与している。ウィレット・アール・エヌ、ザウアーメルク・シー・エ フ&ルッホロ・アール・アール・ジュニア(Willette,R.N.,Sauermelch,C.F.& Ruffolo,R.R.,Jr)(1990)ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコ ロジー(Eur.J.Pharmacol.),176,237−240;ニコルス・エイ・ジェ イ、ゲライ・エム&ルッホロ・アール・アール・ジュニア(Nichols,A.J.,Gella i,M.&Ruffolo,R.R.,Jr)(1991)ファンダム・クリン・ファーマコール(F undam.Clin.Pharmacol.),5,25−38;ルッホロ・アール・アール・ジュ ニア、ゲライ・エム、ヒーブル・ジェイ・ピー、ウィレット・アール・エヌ&ニ コルス・エイ・ジェイ(Ruffolo,R.R.,Jr,Gellai,M.,Hieble,J.P.,Willette,R.N .&Nichols,A.J.)(1990)ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコ ロジー,38,S82−S88;ルッホロ・アール・アール・ジュニア、ボイル ・ディ・エイ、ベヌチ・アール・ピー&ルカル・エム・エイ(Ruffolo,R.R.,Jr, Boyle,D.A.,Venuti,R.P.&Lukas,M.A.)(1991)ドラッグス・オブ・ツデイ (Drugs of Today),27,465−492;およびユー・ティ・エル、チェン ・エッチ、リスコ・ピー・ジー、マックケンナ・ピー・ジェイ、フューエルスタ イン・アール、グー・ジェイ、リスコ・ケイ・エイ、ダビス・エル・エル&フュ ーエルスタイン・ジー(Yue,T.L.,Cheng,H.,Lysko,P.G.,Mckenna,P.J.,Feuer-st ein,R.,Gu,J.,Lysko,K.A.,Davis,L.L.&Feuerstein,G.)(1992)ジャーナ ル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラピューティッ クス(J.Pharmacol.Exp.Ther.),263,92−98を参照のこと。 カルベジロールの抗高血圧作用は、主に、他の抗高血圧剤に共通して伴う心拍 数において付随的な反射性変化を誘起することなく、全末梢血管耐性を減少させ ることにより媒介されるものである。ウィレット・アール・エヌ(Willette,R.N .)ら、前掲;ニコルス・エイ・ジェイ(Nichols,A.J.)ら、前掲;ルッホロ・ アール・アール・ジュニア、ゲライ・エム、ヒーブル・ジェイ・ピー、ウィレッ ト・アール・エヌ&ニコルス・エイ・ジェイ(Ruffolo,R.R.,Jr,Gellai,M.,Hieb le,J.P.,Willette,R.N.&Nichols,A.J.)(1990)ヨーロピアン・ジャーナ ル・オブ・ファーマコロジー,38,S82−S88。カルベシロールはまた、 ラット、イヌおよびブタの急性心筋梗塞の実験にて(ルッホロ・アール・アール ・ジュニア(Ruffolo,R.R.,Jr.)ら、ドラッグス・オブ・ツデイ(Drugs of Tod ay), 前掲)、あるいは、酸素遊離基開始の脂質過酸化を減少させる抗酸化作用の結果 として梗塞の大きさを著しく減少させる。ユー・ティ・エル(Yue,T.L.)ら、前 掲。 本発明者は、式Iの化合物、特にカルベジロールが、in vitroにて、培養され たラット大動脈の血管平滑筋細胞の有糸分裂促進剤の剌激増殖を遮断しうること を見いだした。これらの実験のうち最も衝撃的な観察は、該化合物、特にカルベ ジロールが、カルベジロールの場合、約1μMのIC50で、トロンビン、PDG F、表皮増殖因子(EGF)、アンジオテンシンIIおよびエンドセリン−1を包 含するいくつかの薬理学的に関係のない有糸分裂促進剤のこれら増殖作用を遮断 できることである。この作用は、他のβ−アドレノセプターアンタゴニスト、例 えばラベタロール、セリプロロールまたはソタロールによって共有されない作用 である。該化合物、特にカルベジロールは多くの有糸分裂促進性刺激剤の増殖作 用を阻害し、該化合物、特にカルベジロールの使用が平滑筋細胞の増殖を阻害し 、したがってかかる増殖による治療学的に望ましくない後遺症を防止するため、 本発明の化合物は特定の増殖因子アンタゴニストよりも明らかな利点を有するも のである。 本発明者はさらに、式Iの化合物、特にカルベジロールが、血管中の血管平滑 筋増殖に対して優れた保護効果を示すことを見いだした。さらに詳しくは、カル ベジロールを包含する式Iの化合物は、バルーン血管形成術により誘発される急 性損傷を受けた動脈にて、血管平滑筋細胞増殖、移動、および新内膜(neo-inti mal)増殖に対して強い阻害を誘起する。 そのために、本発明は、基本的に、式Iの化合物、好ましくは、カルベジロー ルまたはその医薬上許容される塩からなる群より選択される化合物についての使 用であって、哺乳動物、好ましくはヒトにおける平滑筋細胞の増殖および移動を 阻害することについての、特にPTCA生存患者の血管にて、血管形成術誘発の 新内膜増殖による再発狭窄症を防止することについての、アテローム性動脈硬化 症の発病の阻害についての、または高血圧症に付随する血管肥大の進行を抑制す ることについての使用を提供する。 本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒトにおける平滑筋細胞の増殖および移 動の阻害についての治療法、特に、PTCA生存患者の血管にて血管形成術誘発 の新内膜増殖による再発狭窄症を防止することについて;アテローム性動脈硬化 症の発病の阻害について;または高血圧症に付随する血管肥大の進行を抑制する ことについての治療法であって、有効量の請求項1に記載の化合物、好ましくは カルベジロール、またはその医薬上許容される塩からなる医薬組成物をその治療 を必要とする患者に内部投与することからなる治療法を提供する。 以下の実施例において説明するように、カルベジロールは、ラットの総頚動脈 実験にて、バルーン血管形成術誘発の新内膜平滑筋増殖、移動および血管狭窄に 対して十分な保護(すなわち、内膜の断面積が84%減少)を付与する。加えて 、カルベジロールは、in vitroにおける血管平滑筋細胞移動を有意に阻害し、広 範囲の種々の有糸分裂促進剤により媒介されるヒト血管平滑筋有糸分裂誘発を阻 害しており、そのことが、機構的解釈または作用理論により何ら制限されること なく、in vivoにおけるバルーン血管形成術後の血管再発狭窄症の著しい保護を 説明している。 カルベジロールの投与がカルシウムチャネルまたはアンジオテンシンIIレセプ ターに対して有意な効果を生じさせないと血行力学的実験が証明した限り、本発 明のカルベジロールの抗増殖性保護機構は、バルーン血管形成術に由来する狭窄 に関連する、カルシウムチャネルまたはアンジオテンシンIIレセプターの遮断に よるものではない。さらには、本発明に用いる動物実験に類似する実験にて、カ ルシウムチャネル遮断剤であるネフェジピンは、血管形成術後のウサギ大腿動脈 にて40%以下の保護を付与した。ジャクソン・シー・エル、ブッシュ・アール ・シー&ボイヤー・ディ・イー(Jackson,C.L.,Bush,R.C.&Bowyer,D.E.)(1 988)アテロースクラー(Artheroscler),69,115−122。 β−アドレノセプター遮断はカルベジロールが血管形成術に対する血管平滑筋 応答に拮抗して保護を付与する機構として除外できないが、これらのレセプター が平滑筋有糸分裂の媒介能を有するという証拠はない。しかし、対照的に、ノル エピネフリンの循環によるα1−アドレノセプター活性化が、血管形成術後の内 腔狭窄に関連しているかもしれないと示唆する証拠がある。しかし、α1−アド レノセプターアンタゴニストであるプラゾシン(1mg/kg、p.o.)は、ラ ット頚動脈血管形成後に観察される血管平滑筋増殖を16%だけ阻害するにすぎ ない。フィンガーレ・ジェイら、前掲。さらには、他の抗高血圧剤がカルベジロ ールで観察される血管再発狭窄症についての著しい効果を欠いている限りは、カ ルベジロールの低血圧作用が観察される抗増殖作用の一因となるとは考えられな い。加えて、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストであるロサルタン( losartan)の連続投与(同様の期間)は、本発明のラット実験にてカルベジロー ルで観察された全身性血圧の減少と同様の減少をもたらしたが、新内膜増殖にて 48%減少をもたらしたにすぎなかった。カウマン・アール・エフら、前掲。同 様に、他の数種の抗高血圧剤、例えばミノキシジルまたはヒドララジンを降圧等 用量にて投与しても血管再発狭窄症に対して有意な保護は得られなかった。ポウ エル・ジェイ・エス、ミュラー・アール・ケイ・エム&バウムガルトナー・エッ チ・アール(Powell,J.S.,Muller,R.K.M.&Baumgartner,H.R.)(1991)ジ ェイ・アム・コール・カルジオール(J.Am.Coll.Cardiol.),17,137B− 142B。 中平滑筋細胞の内膜への化学走性移動は、バルーン血管形成術後に新内膜が成 される病因論における重要な第1工程である。PDGFは平滑筋細胞移動および 増殖を促進するための鍵となる物質であると考えられる。フェーンス・ジー・エ イ・エイ(Ferns,G.A.A.)ら、前掲;ロス・アール(Ross,R.)(1986)ニ ューイングランド・ジャーナル・オブ・メジシン(N.Engl.J.Med.)314,4 88−500。本発明によれば、カルベジロールは、平滑筋増殖および抗酸化活 性の阻害について認められる効能と比較できるIC50値で、PDGFにより誘発 される平滑筋細胞移動を阻害する。機構的解釈または作用理論により何ら制限さ れることなく、カルベジロールのin vivoにおける筋内膜形成阻害能は、いくら か、血管平滑筋の中膜から内膜への物質移動を直接阻害することに関連し、また いくらか、マクロファージおよび単細胞が損傷部位に補充されることを阻害しう るカルベジロールの抗酸化活性によるかもしれない。酸化された低密度リポ蛋白 質 (LDL)はまた血管平滑筋にて化学走性であり、カルベジロールはLDLの酸 化を防止するため、このことはin vivoにおける新内膜形成の著しい阻害に寄与 する付加的な機構とすることができる。 カルベジロールの抗増殖および抗移動作用に至るまでの正確な分子的事象はさ らなる解明を待つ状態にあるが、本発明に係るカルベジロールの新規医学使用お よびカルベジロールを用いる治療法は、血管形成術後の新内膜形成および狭窄症 の動物実験にて著しい保護を付与する。カルベジロール誘起の保護の程度はc− mybアンチセンスオリゴヌクレオチド実験の報告と適合させているにすぎない 。シモンス・エム、エデルマン・イー・アール、デキーサー・ジェイ・エル、ラ ンガー・アール&ローゼンバーグ・アール・ディ(Simons,M.,Edelman,E.R.,Dek eyser,J.L.,Langer,R.&Rosenberg,R.D.)(1992)ネイチャー(Nature), 359,67−70。この保護は、抗狭窄効果が、都合よくは、従来の医学慣習 により一層柔順である全身性投与を用いて得られる本発明の使用および治療法と 異なり、アンチセンス構築物の損傷した血管面への直接的沈着によってのみ得ら れる。合計2mg/kgの一日用量を用いてカルベジロール誘発の再発狭窄症か らの保護の程度(84%まで)は、数種の動物実験にて他の化合物について報告 されている保護をはるかに超越している。 式Iの化合物は、都合よくは、米国特許第4,503,067号に記載に従って 調製してもよい。カルベジロールは、スミスクライン・ビーチャム・コーポレー イム株式会社(ドイツ)より入手可能である。 カルベジロールを包含する式Iの化合物の医薬組成物は、本発明に従って、医 学上許容される方法にて、好ましくは非経口的に患者に投与してもよい。非経口 投与の場合、医薬組成物は、アンプルのような適当な容器に貯蔵した滅菌注射液 体の形態であるか、または水性もしくは非水性液体懸濁液の形態である。医薬担 体、希釈体または賦形剤の特性および組成は、もちろん、意図する投与経路、例 えば静脈内または筋肉内注射であるかどうかに依存する。 本発明に従って用いるための式Iの化合物の医薬組成物は、溶液または非経口 投与用に凍結乾燥した粉末として処方してもよい。使用前に適当な希釈体または 他の医薬上許容される担体を添加することにより、粉末を復元してもよい。液体 処方は、一般に、緩衝化等張水溶液である。適当な希釈体は、例えば、標準等張 セイライン溶液、標準水中5%デキストロースまたは酢酸ナトリウムもしくはア ンモニウム緩衝溶液である。このような処方は、特に非経口投与に適しているが 、また経口投与に用いてもよく、または吸入用の計量吸入器またはネフライザー に充填してもよい。所望により、エタノール、ポリビニル−ピロリドン、ゼラチ ン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール 、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムのような賦形剤を添加してもよい。 また、これらの化合物は経口投与用にカプセル化、錠剤化またはエマルジョン もしくはシロップにて調製してもよい。医薬上許容される固体または液体担体を 加えて、組成物を強化または安定化してもよく、または組成物の調製を容易にし てもよい。液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、ゼラチン、セイライ ン、エタノールおよび水を包含する。固体担体は澱粉、ラクトース、硫酸カルシ ウム・二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク 、ペクチン、アカシア、寒天またはゼラチンを包含する。担体はまた、モノステ アリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような、単独のまたはワ ックスと一緒にした徐放性物質を包含する。固体担体の量は変化するが、好まし くは、投与単位当たり約20mg〜約1gである。医薬調製物は、必要とあれば 、錠剤形態のための粉砕、混合、顆粒化および圧縮;または硬ゼラチンカプセル 形態のための粉砕、混合および充填を包含する慣用的製薬技法を用いて製造され る。液体担体を用いる場合、調製物はシロップ、エリキシル、エマルジョンまた は水性もしくは非水性懸濁液の形態であってもよい。かかる液体処方を直接的に 経口投与してもよく、または軟ゼラチンカプセルに充填してもよい。 本発明に係る疾患の治療についてのヒトにおける投与量は、カルベジロールを 含め、式Iの化合物が約100mg/kgを越えるべきではない。PTCA後の 再閉塞を防止する場合、好ましい投与方法は、式Iの化合物、好ましくはカルベ ジロールを、単一投与にて、または3回までの複数投与にて、血管形成術の前、 中および後の6カ月までの間、約12.5mg/kg〜約100mg/kgにて 投与することであり;該投与量は約25mg/日であって、1日に3回であるこ とが最も好ましい。本発明の組成物に用いるのに実際に好ましい化合物の投与量 は、処方された個々の組成物、投与方法、個々の投与部位、治療すべき宿主、お よび治療すべき個々の疾患に従って変化するであろう。 式IIの化合物を含め、式Iの化合物を本発明に従って用いる場合、許容されな い毒物学的作用はないと考えられる。 以下の実施例において、温度はすべて摂氏(℃)である。特記しない限り、出 発物質はすべて市販されているものである。当業者であれば、さらに工夫するこ となく、前記の操作を用いて本発明をその十分な程度まで利用できると考えられ る。これらの実施例は本発明を説明するのに供するものであり、その範囲を限定 するものではない。下記に、発明者が留保していることについて請求の範囲に言 及する。 実施例 物質 ヒト表皮増殖因子および血小板誘導増殖因子A/Bをベーリンガー・マンハイ ム・コーポレイション(インディアナポリス、IN)より購入し:[3H]チミ ジン(比活性=110Ci/ミリモル;ニューイングランド・ヌクレアー(New England Nuclear、ボストン、MA)およびヒトトロンビンをシグマ(セントル イス、MO)より購入した。カルベジロールをベーリンガー・マンハイム(ドイ ツ)より入手した。カルベジロール溶液は、化合物(5mg)を滅菌蒸留水4. 7ml中酸-エタノール(100%エタノールと1M HClを等容量)0.3m lからなるビヒクルに溶かすことにより、各投与の直前に注射用に調製した。用 いる他のすべての化合物は供給源からの薬剤等級品であり、さらに精製すること なく用いた。統計 数値は平均値±S.E.Mとして表され、nは個々の群にて実験した動物の数ま たは独立した実験数を表す。統計学的比較を、p値<0.05(有意であると認 められる値)での偏差のワン−ウェイ分析(one-way analysis)を用いて行った 。血管平滑筋細胞の培養 移動実験にて用いるためのラット大動脈平滑筋の一次培養体を、オールスタイ ン・イー・エッチ、アルレッチ・エイ、ブライアン・エッチ、エリオット・ジェ イ・ディ&サン・シー・ピー(Ohlstein,E.H.,Arleth,A.,Bryan,H.,Elliott,J.D .&Sung,C.P.)(1992)ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジ ー(Eur.J.Pharmacol.),225,347−350に予め記載されている外移植 技法により調製した。DNA合成実験にて用いるための、ヒトはい動脈平滑筋細 胞(3継代)の低温保存一次培養体を、クローンティックス・コーポレーション (サンジエゴ、CA)より入手した。細胞を5%ウシ胎児血清、10ng/ml 表皮増殖因子、2ng/ml塩基性線維芽増殖因子、1μMデキサメタゾン、1 0μg/ml硫酸ゲンタミシン、および10ng/mlアンホテリシンB(クロ ーンティックス・コーポレーション)含有の修飾MCDB131処方にて増殖さ せた。DNA合成 ヒト血管平滑筋細胞を24ウェルのプレート(コーニング、NY)(2x104 細胞/cm2、6継代)に置き、全面成長するまで(3日間)増殖させた。つい で、血清含有培地を、インスリン(5μg/ml)、トランスフェリン(5μg /ml)および亜セレン酸ナトリウム(5ng/ml)含有のダルベッコ修飾イ ーグル培地(DMEM;ギブコ・ラボラトリース(Gibco Laboratories)、グラ ンド・アイランド、NY)と置き換えることにより細胞を48時間静止させた( G0)。48時間の静止期間中および期間経過後に一度、細胞を再び新たな培地 で満たした。カルベジロールを有糸分裂促進剤を添加する15分前に加え、さら に24時間インキュベーションした。DNA合成を、[3H]チミジンのTC A不溶性フラクションへの放射活性結合(4時間)を測定することによりDNA 分析を検定した。 実施例1 血管平滑筋の移動 血管平滑筋細胞増殖の検定操作は以前に記載されている;ヒダカ・ワイ、エダ ・ティ、ヨネモト・エム&カメイ・ティ(Hidaka,Y.,Eda,T.,Yonemoto,M.&Kame i,T.)(1992)アテロスクレル(Atheroscler.)95,87−94。簡単に は、ラット大動脈平滑筋細胞(3継代)を0.2%(w/v)ウシ血清アルブミ ン(シグマ)補足の血清不含DMEM中に懸濁させた(1x106細胞/ml) 。移動検定を、ポリカーボナート製8μm孔径膜を有するトランスウェル(Tran swell)(コスター(Coster)、ケンブリッジ、MA)細胞培養チャンバーを用 い、修飾ボイデン(Boyden)チャンバーにて行った。PDGFをDMEMに溶か し、カルベジロール配合のまたは不在の下部区画に置いた。ついで、血管平滑筋 細胞(5x105細胞)を上部区画に入れ、5%CO2含有の加湿雰囲気下、37 ℃で24時間インキュベーションした。上面にある非移動細胞を緩やかにこすり 落とし、PBSで3回洗浄した。フィルターをメタノールにて固定し、ギムサ( Giemsa)で染色させた。フィルター下面に移動した血管平滑筋細胞数/100x 高出力領域(HPF)を顕微鏡で測定した。フィルター当たり4HPFを計数し た。実験を二重反復試験または三重反復試験のいずれかで行った。 PDGFは、最大効果が1nMの濃度で得られる、ラット血管平滑筋細胞の移 動における濃度依存性増加を生じさせた。カルベジロールをPDGFを含む下部 チャンバーに入れた場合、移動応答が、濃度依存的に有意に阻害された(カルベ ジロールについてIC50が3μM)。 実施例2 ラット頚動脈のバルーン血管形成術 この実験にて用いる動物を2つの群;(a)血行力学的研究に用いる動物、お よび(b)頚動脈バルーン血管形成術後の新内膜増殖度の組織病理学的試験に用 いる動物の群に分割した。これらの主たる2つの群をさらにカルベジロール(1 mg/kg、i.p.、一日に2回;約5マイクロモル/kg/日)で処理する動 物と、対照に供せられる動物(等容量のカルベジロール・ビヒクルを受ける)に 細分割した。すべての動物を、血行力学的研究または頚動脈血管形成術(後者の 群には手術後の14日間カルベジロールまたはビヒクルを投与し、頚動脈の組織 学的処理のために、その時点で動物を殺した)を開始する3日前に、カルベジロ ールまたはビヒクルのいずれかで前処理した。 左総頚動脈バルーン血管形成術を、カルベジロールまたはビヒクルで3日間前 処理した、麻酔した(ナトリウム・ペントバルビタール;65mg/kg、i. p.)雄スプレーグ・ドーリー・ラット(380〜420g)にて無菌状態下で 行った。腹側中央線にて切開を行った後、左外頚動脈を同定し、総頚動脈分岐起 点の後ろに付着した組織をきれいにした。頚動脈の末梢部をきれいにする間に、 神経または付随する上頚神経節および交感神経索に対する損傷を回避するために 特に注意を払った。2−Fフォガーティー(Fogarty)動脈塞栓摘出用カテーテ ル(バクスター・ヘスルケアー・コーポレーション(Baxter Healthcare Corpo- ration),サンタアナ、CA)を左外頚動脈の内腔に挿入し、外頚動脈および総 頚動脈から下方に、該カテーテルの頂部が大動脈弓に隣接するような地点まで一 定距離(5cm)に導いた。正しい位置に置き、カテーテルを取り出す場合、バ ルーンが血管壁とわずかな抵抗を生じるのに十分な流体で膨張させた。バルーン を膨張させ、ついでカテーテルを一定速度(約2cm/秒)で外頚動脈における 挿入部位に隣接する地点まで引き抜いた。この操作を合計3回行い、ついでカテ ーテルを取り出し、傷口を閉鎖した。動物を、対で、12時間の明/暗サイクル で標準実験食を自由に摂取し、水を飲むことができる、プレキシガラスのケージ に収容した。 組織病理学的研究に用いるためにバルーン血管形成術を受けた14日後に、総 頚動脈をラットから摘出した。14日で明白な新内膜形成の範囲を組織学的に定 量した。ナトリウム・ペントバルビタールを過剰に投与した直後に、血管をもと の場所で一定圧(95〜100mmHg)の下に灌流固定した。大動脈弓から頚 動脈分岐まで伸びる、総頚動脈の全長(約5cm長)を、組織学的処理のために 取り出した。動脈断面(8μm)をこれらの動脈の3つのうち中央を含有するパ ラフィンブロックより切断し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色について処理 した。血管層(内膜、中膜および外膜)の断面積をバイオスキャン・オプティマ ス(Bioscan Optimus)(エドモンズ、WA)細胞画像システムを用いて測定し た。 実験はすべて、詳細には、アニマル・ケア・アンド・ユース・コミッティー、 スミスクライン・ビーチャム・ファーマシューティカルズおよびAALACのガ イドラインに従って行った。 カルベジロール処理は17日間の処理期間にわたって体重増加について効果を 有しなかった(手術の3日前のカルベジロール処理群とビヒクル処理群にて、3 80±6g(n=9)および377±6g(n=10)、およびバルーン血管形 成術の14日後で、各々、425±9gおよび416±7g)。カルベジロール (1mg/kg、i.p.;一日に2回、3日間)で処理したラットは、ビヒクル 処理群にて記録される休止平均動脈圧および心拍数(各々、125±3mmHg および360±21bpm;n=7)よりも著しく低い値(各々、102±5m mHgおよび305±9bpm;n=6)を有した。 左総頚動脈のバルーン血管形成術は、内膜:中膜の比率にてかなり有意な増加 、20倍増をもたらす、ビヒクル処理したラットにて著しい内膜の厚みを生じさ せた。血管形成操作に付されていない対側性右総頚動脈は、カルベジロールおよ びビヒクル処理ラットの両方にて正常であった;すなわち、内膜、中膜および外 膜の面積の間で違いは観察されず、これらの血管は同じ内膜:中膜比を有した。 血管形成術に付された頚動脈における新生内膜形成の程度はカルベジロール処理 により大いに減少し、内膜断面積にて84%減、内膜:中膜比にて同等の81% 減を誘起した。カルベジロール処理は中膜または外膜断面積を変化させなかった 。かくして、カルベジロール処理は、バルーン血管形成術後の血管壁の損傷に由 来する筋肉内膜増殖および移動に対して、著しく、かつかなり有意な保護を付与 し た。 実施例3 ヒト血管平滑筋有糸分裂誘発の阻害 カルベジロール(0.1〜10μM)は、培養したヒト肺動脈平滑筋細胞中、 PDGF(1nM)、EGF(1nM)、トロンビン(0.1U/ml)および ウシ胎児血清(1%)により刺激される有糸分裂誘発を濃度依存的に阻害した。 該増殖因子および血清により刺激される有糸分裂誘発に対するカルベジロールに ついてのIC50値は0.3〜2μMであった。この効果は完全に可逆的であり、 24時間のインキュベーション後にカルベジロールを培地より洗い落とした場合 でも、細胞は増殖刺激に対して十分な応答を回復した。 前記の説明は本発明の実施および使用方法を十分に開示するものである。しか し、本発明は前記した特定の具体例に限定されるものではなく、以下の請求の範 囲に含まれるあらゆる修飾を包含するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA, CZ,FI,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,M G,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD ,SK,UA,US,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物における平滑筋細胞の増殖および移動の阻害についての治療法で あって、基本的に、式I: [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表わすことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数 1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジ ルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスル フィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルを意味する] で示される化合物またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される有効 量の化合物を、その治療を必要とする哺乳動物に内部投与することを特徴とする 治療法。 2.哺乳動物がヒトである請求項1記載の治療法。 3.化合物がカルベジロールである請求項1記載の治療法。 4.経皮経管冠動脈形成術(PTCA)生存のヒト患者の治療法であって、請 求項1に記載の化合物よりなる有効量の医薬組成物をその治療を必要とする患者 に内部投与し、PTCA後の血管中の血管形成術誘発の新生内膜増殖による再発 狭窄症を防止することを特徴とする治療法。 5.医薬組成物が非経口投与に適している請求項4記載の治療法。 6.化合物がカルベジロールである請求項4記載の治療法。 7.ヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の進行の阻害についての治療法 であって、請求項1に記載の化合物よりなる有効量の医薬組成物をその治療を必 要とする患者に内部投与することを特徴とする治療法。 8.医薬組成物が非経口投与に適している請求項7記載の治療法。 9.化合物がカルベジロールである請求項7記載の治療法。 10.ヒト患者における高血圧症に付随する血管肥大の進行を抑制することにつ いての治療法であって、請求項1に記載の化合物よりなる有効量の医薬組成物を その治療を必要とする患者に内部投与することを特徴とする治療法。 11.医薬組成物が非経口投与に適している請求項10記載の治療法。 12.化合物がカルベジロールである請求項10記載の治療法。 13.哺乳動物における経皮経管冠動脈形成術(PTCA)後の再発狭窄症の防 止についての使用であって、基本的に、式I: [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表わすことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数 1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジ ルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスル フィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか;または R5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する] で示される化合物またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される化合 物の使用。 14.哺乳動物がヒトである請求項13記載の使用。 15.化合物がカルベジロールである請求項13記載の使用。 16.哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化症の防止についての使用であって 、基本的に、式I: [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表わすことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数 1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジ ルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスル フィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか;または R5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する] で示される化合物またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される化合 物の使用。 17.哺乳動物がヒトである請求項16記載の使用。 18.化合物がカルベジロールである請求項16記載の使用。 19.哺乳動物における高血圧症に付随する血管肥大を抑制することについての 使用であって、基本的に、式I: [式中、 R1は水素、炭素数1〜6の低級アルカノイルまたはベンゾイルおよびナフト イルより選択されるアロイルであり; R2は水素、炭素数1〜6の低級アルキルまたはベンジル、フェニルエチルお よびフェニルプロピルより選択されるアリールアルキルであり; R3は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであり; R4は水素または炭素数1〜6の低級アルキルであるか、またはXが酸素であ る場合、R4はR5と一緒になって−CH2−O−を表わすことができ; Xは原子価結合、−CH2、酸素または硫黄であり; Arはフェニル、ナフチル、インダニルおよびテトラヒドロナフチルから選択 され; R5およびR6は、個々に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、炭素数 1〜6の低級アルキル、CONH2基、炭素数1〜6の低級アルコキシ、ベンジ ルオキシ、炭素数1〜6の低級アルキルチオ、炭素数1〜6の低級アルキルスル フィニルおよび炭素数1〜6の低級アルキルスルホニルであるか;または R5およびR6は一緒になってメチレンジオキシを意味する] で示される化合物またはその医薬上許容される塩からなる群より選択される化合 物の使用。 20.哺乳動物がヒトである請求項19記載の使用。 21.化合物がカルベジロールである請求項19記載の使用。
JP6519937A 1993-03-05 1993-08-27 平滑筋細胞増殖の阻害についてのカルバゾリル−▲(4)▼−オキシプロパノールアミン化合物の使用および該化合物を用いる治療法 Pending JPH08508013A (ja)

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