JPH08507897A - 特性インピーダンスの修正をした音声信号ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 たとえば電力増幅器およびスピーカである電力源と負荷とを接続する音声信号ケーブルであって、複数の導電体（１、２）とこれら導電体を離す誘電体（３）との幾何学的配置は、前記ケーブルのキャパシタンスを上げ、かつ、インダクタンスを下げるように適合され、それと共に、前記ケーブルの特性インピーダンスを前記負荷のオーダと同じオーダ、典型的には２ないし１０オームに下げるケーブルである。好ましい実施例では、硬質の、帯状の、たとえば銅の正の導電体および負の導電体（１、２）を備える。２つの導電体は、前記ケーブルと実質的に同じ幅であり、たとえばポリエステルのフィルムである誘電材料（３）の薄い中間層と共にはさまれる。

Description

【発明の詳細な説明】 特性インピーダンスの修正をした音声信号ケーブル 技術分野 本発明は一般に音声ケーブルに関し、特に、新規の音声信号ケーブルであって その中の複数の導体とこれら導体を離す誘電体との幾何学的配置が、ケーブルの キャパシタンスを上げ、かつ、インダクタンスを下げるようになされ、それと共 にケーブルの特性インピーダンスを負荷のオーダ、典型的には２ないし１０オー ムと同じオーダに下げる新規の音声信号ケーブルに関する。 背景技術 高忠実度のステレオ技術が開発されてからずっと、マイクロホンと増幅器とス ピーカとの不完全さによる音響ひずみを減らすことに多大の努力が向けられてい る。構成部分が改良されるにつれ、信号が増幅器とスピーカとの間で損なわれる ことなく伝達されることがますます重要となっており、これはスピーカのケーブ ルの構造と径路選択とに特別の注意を必要とする。 スピーカのケーブルを含む最も慣用されているケーブルは、５０ないし１００ オームの範囲の比較的高い特性インピーダンスを有する。信号伝達ケーブルの特 性インピーダンスは長さから独立しているが、その構造と、導体相互の距離と、 導体間で使用される絶縁体の種類とに依存する。 これに関連して、慣用されているケーブルの特性インピーダンスが、ほとんど ２ないし８オームの範囲であるスピーカのインピーダンスよりはるかに高いこと は、慣用されているケーブルの重大な制限である。引き続く問題はインピーダン スの不整合によって反射し て聞こえることである。これは、ケーブルが長くなるにつれてますます音の質を 損なう。この種の信号ひずみが可聴フィールドの高い端では著しくなることを、 １０フィートの短いスピーカのケーブルで着手した測定が示している。 その結果生ずる忠実度の損失は、速い、過渡信号ではことのほか重要である。 前記速い、過渡信号は、増幅器におけるよりスピーカにおいて、より遅い立上り 時間によって損なわれる。多くの場合、いくつかのスピーカは、同じケーブルに 並列に接続され、その結果さらに負荷を下げ、インピーダンスの不整合を強める 。加えて、ケーブルが開放されているか、またはほとんど開放されている場合、 たとえば、高インピーダンスのヘッドホンに接続されている場合、その結果は厳 しい高周波リンギング（HF ringing）である。 前述の種類のひずみは、異なる周波数の信号成分間の位相関係を乱すことによ って、複合ステレオ音楽信号において活動し始める。その結果は、ケーブルの長 さが増すと音が放散され、明瞭性を減ずるようになることである。この効果は、 周知の信号のクリッピングと混同されるべきではない。 特にステレオ音では、忠実度は、たとえば交響楽団では、多くの楽器の中にあ る各楽器の位置を認めるために人の耳によって解釈される非常に小さな差に依存 する。この場合、位相ひずみはコンサートホールに出席している人々の印象を乱 すであろう。 大きな音声スピーカシステム、たとえば、シネマシステムでは、度々の周波数 調整がケーブル長さの差を補償し、したがって前述の位相及び周波数の依存性を 補うために個々のチャンネルに必要とされる。そのような調整は、スピーカのケ ーブルがスピーカの特性インピーダンスに整合するように設計されているならば 、必要ではな いだろう。 加えて、全ての音声増幅器は、増幅度及び出力の帯域幅を制御し、かつ、安定 するために負帰還を使用している。負荷のインピーダンスは、帰還ループが計算 され、所要の周波数応答のために微調整されるとき、考慮されなければならない 。正しい特性インピーダンスを持つスピーカのケーブルを使用することは、周波 数による負荷のインピーダンスの変動を大幅に減少するであろう。 慣用されている平行２線式ケーブルに関連する別の問題は、そのケーブルが導 体間の距離ゆえに近接する場に対して比較的開放していることである。この効果 は、ケーブルが互いにルートを決められているときのチャンネル間で誇張される かもしれないし、または近接する動力配線から拾い上げられる線周波数のうなり を誇張するかもしれない。記述した種類の効果は広範囲にわたるケーブル遮へい によって、または別々のルート決めによって避けることができるが、いずれの方 法も設備費のかなりな増加となる。 発明の開示 本発明は、前述の問題を実質的に除くことによってスピーカのケーブルを改良 する。加えて、本発明に従うケーブルは、慣用されているスピーカのケーブルよ りもはるかにコンパクトであり、設備し、かつ、隠すのが容易である。しかしな がら、その構造の結果、成端と、特殊化されたハードウエアの使用によって容易 になる接続とのための特別の手段が必要であり、その１つの実施例が次に記載さ れる。 本発明に従うスピーカのケーブルは、低い特性インピーダンス、典型的には１ ０オーム以下のインピーダンスを有し、インピーダンスの不整合に起因する信号 ひずみを有効に除く。加えて、ケーブル の幾何学的配置によって、近接する場に対して実質的に免疫であり、前述の効果 なくして動力配線に束ねることができ、または接してルートを決めることができ る。 本発明によれば、前記効果は、ケーブルにおいて慣用されている導体を、導電 材料の硬質のフォイルまたは条体、または導電材料の密に並列した多数のワイヤ からなる広い帯で置き換えることによって達成される。本発明に従う平行２線式 ケーブルの好ましい実施例は、２つのそのような帯からなる。これら２つの帯は 、たとえば、ポリエステルのフィルムのような適当な誘電材料の薄い中間層と共 に互いに密にはさまれており、適当な絶縁体の共通のシースによって覆われる。 この構造の効果は、慣用されているケーブルと比べて、容量の思いきった増加と 、インダクタンスの同時に起こる減少とであり、これは共に特性インピーダンス の所要の減少に寄与する。同時に、帯状導体の相互接近のゆえに、前記ケーブル は外部の場に対して実質的に免疫であり、ある人々が健康に有害であると考える 低周波数の磁場の発射が実質的に減少する。 図面の簡単な説明 本発明は図面を参照して以下に説明される。 図１ないし図４は、本発明に従うケーブルの実施例の斜視図である。 図５ないし図７は、本発明に従うケーブルと、慣用されている重いゲージの平 行２線式のスピーカのケーブルとの比較測定を示すグラフである。 図８はまた本発明に従うクランプであって、本発明の特別の平らなスピーカの ケーブルの便宜な成端と接続とを許容するクランプの分解斜視図である。 発明を実施する最良の態様 図１では、エレメント１、２は導電材料の平らな片を示している。これら片は 、たとえば、銅またはアルミニウムからなり、たとえばポリエステルのフィルム の誘電材料からなる幾分広い中間層３の各側面に配置されている。前記片の寸法 はシステムの要件に依存するが、オーディオ愛好家への適用のための良い例では 、0.375"の幅と0.010"の厚みとを有する銅の片であり、住宅向きのステレオシス テムにさかんに使用されている１２ゲージのワイヤとほとんど同じ導電断面積を 生ずる。 図１のケーブルは、外側の絶縁体を全く持たない、本発明に従うケーブルの最 も簡単な可能性のある実施例である。通常の低い信号電圧のために、ケーブルに 触る人への電気ショックの危険はなく、２側面への配置構造と、分離フィルムの 突出する外へりとによって、隣接する金属製の建物要素と接触することによって 引き起こされる短絡の機会もまたほとんどない。 図２は本発明に従うケーブルの別の実施例である。中間層３が１つの導電片２ のエッジの回りに折り畳まれ、すなわち折り返され、全体の回りに折り畳まれた 第２のフィルム片４が、１つの導電体の開放している領域を残して、または２つ の導電体１、２と分離フィルム３とを完全に囲んではさんでいる。前述のフィル ム層は、たとえば、押し出し成形した絶縁体で置き換えることもでき、これらが 本発明の範囲内であることは当然である。 図３は図２に示したものと同様な構造であるが、唯一の違いは、硬質の帯であ る導電体１、２が密に並列された多数のワイヤの帯で交換されていることである 。このケーブルは、絶縁体を剥ぎ、各リードのワイヤを交互にねじることによっ て、慣用されている方法 で成端することができる。 図４は広い、帯状の導電体を利用することの同じ基本原理に従うケーブルであ る。導電体は折り畳まれて長さ方向に伸び、相互に結合する関係で配列されてい る。この目的は、ケーブルの幅を減らすことによって設置の容易さを兼ね備える と共に、特性インピーダンスをさらに減少することである。別の変形は、ケーブ ルを伸長された中空のチューブに形成したり、充填材または空気のコアを同心的 に取り囲むように配置された筒状の導電体を使用したりすることである。 前述のケーブルの特性インピーダンスは、中間層の材料の誘電率と共に、導電 体の幅と、導電体相互の距離とに大きく依存するであろう。たとえば、0.375"の 幅の硬質の導電体と、0.003"の厚みのポリエステルのフィルムの中間層とを使用 することは、約４オームの特性インピーダンスを有するケーブルを作るであろう 。 図５は１２KHzの角形波を使用し、Ｉによって、すなわち４オームの特性イン ピーダンスを持つ本発明に従う２５フィートの長さのケーブルに４オームの負荷 を接続することによって伝達された測定結果と、ＩＩによって、すなわち１００ オームの特性インピーダンスを持つ慣用されている構造の同じ長さのケーブルに ４オームの負荷を接続することによって伝達された測定結果との比鮫を示してい る。Ａは増幅器での信号であり、Ｓはスピーカの端子での信号である。ＩＩは増 幅器での立上り区間の明確なスパイクと、スピーカの端子での著しいひずみとを 示している。これに対して、Ｉは全くひずみがなく、ルートの抵抗損失だけを示 している。 図６は同じ配置のものに２オームの負荷を加えた結果であり、慣用されている ケーブルの場合の増幅器とスピーカとの増大されたひ ずみを示しているが、新しいケーブルではひずみはない。 図７では、ＩＩは慣用されているケーブルの負荷のない状態であり、激しいＶ ＨＦリンギングを示している。ケーブルは混信に関連するアンテナのように作用 する。Ｉはインピーダンス修正ケーブルであり、短時間の、非常に減衰されたリ ンギングを示している。 図８は、本発明のケーブルの成端（termination）と接続とに適するクランプ の好ましい実施例である。クランプは、たとえば、適当な熱硬化性樹脂で射出成 形した非導電性の本体５であってケーブルより幾分広いスロット６を有する本体 ５と、穴８、９を有する金属片７と、金属のインサート１２とを備える。金属片 ７の穴８、９は、ねじ１０、１１を受け入れてねじ込ませ、インサート１２はス ロット６の底部にある凹み１３内に嵌っている。金属片７とインサート１２とは それぞれ鋭い突起１４を備え、これら突起１４は、ケーブル１５がスロット６内 に配置されたとき、ケーブル１５の各側面に対面する。短い長さの慣用されてい るケーブルがスピーカと増幅器とに接続のために使用される。 前記クランプは、本発明に従うケーブルのいずれかの端での、またはケーブル に沿うどこかの点での成端に適しており、さらに同時的な成端付きでまたは成端 なしで２つのケーブルを互いに接続するのに適している。次にその作用を説明す る。 ねじ１０、１１を緩め、ケーブル１５をクランプの一方側または他方側からス ロット６内に挿入する。または、中間の成端のために、１つのねじを緩め、金属 片７を開いてクランプをケーブルに引っ掛ける。接続されたワイヤを剥ぎ、一方 のリード１６を穴に挿入してインサート１２の背後に出現させ、他方のリード１ ７をねじ１０の頭部の背後に巻つける。ねじを締め付けると、金属片７が 外側の絶縁体を切り取ったケーブルの一方の側面と接触する。同時に、金属片７ と接続されたワイヤの一方のリードとの間の接触がねじ１０を介して達成される 。同時にまた、インサート１２が、ケーブルの反対の側面と接続されたワイヤの 他方のリードとの間の接触を達成し、成端はねじが十分に締め付けられるとき完 成する。 記載したクランプはまた、２つのケーブルを互いに接続するのに使用される。 ２つのケーブルを、それぞれの端部が互いに接触しないようにクランプに挿入す る。ここで、相互の接触は、金属片とインサートとにそれぞれ設けた２列の突起 によって達成され、所望の場合、同時的な成端が接続されたワイヤによってなさ れる。 オーディオ愛好家のための信号ケーブルの多くの製造者は、単位長さ当たりの 非常に低い容量の重要性を強調するが、キャパシタンスを他のケーブルより、た とえば１００倍高くしうることは新しいケーブルの非常に著しい特性である。新 しいケーブルでは、分布容量のインピーダンスとインダクタンスとは互いに打ち 消し合い、その結果は、純粋に抵抗負荷として増幅器に現れるケーブルである。 この事実はオシロスコープの画面から十分に明らかである。オシロスコープは、 図６に示した１対２の不整合比の場合においても、増幅器へのキックバックとス ピーカの端子でのひずみとの全体の減少を指示する。 高損失の誘電中間層の使用は、音の質の限界的な低下を犠牲にしてリンギング とキックバックとをさらに減衰するのに役立つであろうということは、本発明に 従うケーブルの別の特徴である。これは、たとえば、公衆住所システムの場合に おいても非常に適切である。前記公衆住所システムでは、多くのスピーカが１つ の同じケーブルのループに接続され、より一層理解できるメッセージを作るの に役立つであろう。 ケーブルの４つの異なる構造だけを図示し、かつ、説明したが、多くの修正や 変更が当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲内に入るその ような全ての修正や変更を含むことを請求の範囲において意図する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ たとえば電力増幅器である電力源と、たとえばスピーカである負荷とを接続 するケーブルであって、複数の導電体とこれら導電体を離す誘電体との幾何学的 配置は、前記ケーブルのキャパシタンスを上げ、かつ、インダクタンスを下げる ように適合され、それと共に、前記ケーブルの特性インピーダンスを前記負荷の オーダと同じオーダ、典型的には２ないし１０オームに下げる、ケーブル。 ２ 硬質の、帯状の、正の導電体および負の導電体であって、たとえばポリエス テルのフィルムである適当な誘電材料の薄い中間層と密な相互関係で重ね合せら れる正の導電体と負の導電体とを備える、請求項１に記載のリボン状のケーブル 。 ３ 帯状の、正の導電体と負の導電体であってそれぞれが密に並列されたワイヤ の列からなる正の導電体と負の導電体とを備え、これら導電体は、適当な誘電材 料の薄い中間層と密な相互関係で重ね合せられている、請求項１に記載のリボン 状のケーブル。 ４ 筒状の正の導電体と筒状の負の導電体とを備え、一方の導電体が他方の導電 体よりわずかに小さく形成され、前記２つの導電体は、適当な誘電材料の薄い中 間層と同心的に配置された、請求項１に記載のケーブル。 ５ たとえば誘電フィルムである適当な絶縁材料の、または押し出し成形されて 所定の位置となった熱硬化性樹脂の外側のシースを備 える、請求項２ないし４のいずれかに記載のケーブル。 ６ 請求項２、３または５に記載のケーブルの成端および接続のためのクランプ 装置であって、非導電性の本体（５）と、複数の導電性のエレメントであって鋭 い、絶縁体を突き通す突起（１４）を備え、前記ケーブルの相対する側面に接触 する導電性のエレメント（７、１２）と、これらエレメント（７、１２）を互い にしっかり固定し、同時に、慣用されている構造の接続されるワイヤの剥がされ た端部（１６、１７）への電気的接触を達成する手段（１０、１１）とを備える 、クランプ装置。