【発明の詳細な説明】
耐摩耗性を示す硬質の複合多相反応焼結材料技術分野
本発明は、一般的には、第一金属のホウ素、炭素、窒素またはケイ素誘導体と
、第二金属の給源と、第三金属の鉄族金属または給源と、任意のホウ素、炭素、
窒素またはケイ素と、から成る混合物を不完全に反応させることで製造される生
成物に関する。本発明はまた上記生成物を製造する方法にも関する。本発明は更
に上記材料から成形される耐摩耗性製品にも関する。背景技術
コバルトで固めた炭化タングステンは、切削工具およびその他高い硬度が要求
される用途における使用で利用できることが幅広く知られている材料である。例
えば、研磨剤ウォータージェット切削用ノズルで炭化タングステン/コバルトが
用いられている。不幸なことに、コバルトは戦略上の材料である。このように、
これの価格および入手性は政治的要因を受け得る。とりわけ、このような考慮が
、炭化タングステン/コバルトの代替物を見付け出すことを目標とする多くの長
期プログラムの基礎になっている。
硬度の意味で炭化タングステン/コバルトよりも改良されているがダイアモン
ドよりも低コストである非戦略的材料が1種以上得られたならば、これは望まし
いものである。また、溶融炭化物の鋳込みを行うか或は熱プレス加工を用いたの
では製造不可能な、正味の形状に近い(near net)複合形状物を製造す
ることを可能にする方法が得られたならば、これも望ましいものである。発明の開示
本発明の1つの面は、硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の
製造で用いるに適切な材料であり、これは、AXと任意量のXと少なくとも1種
の他の反応体[これは、(a)BY、(b)Bの給源とCの給源、或は(c)B
の給源と高密度化促進量のE、から選択される]との粉末混和物の成分間で不完
全な反応が起こることで生成する本質的に充分に高密度化した多相の微細粒子複
合生成物で出来ており、ここでは、AXおよび該他の反応体(類)は各々ある融
点を示すがこのAXおよび該他の反応体(類)が示す融点の中で最も低い融点の
約3/4未満である高温および圧力下でこの不完全な反応を起こさせ、ここで、
上記生成物が示す粒子成長は最小限であり、そしてこの生成物は、少なくとも1
種の化合物AXを含んでいると共に、該他の反応体(類)の選択が(a)である
時の(A,B)XY、(A,B)Xおよび(A,B)Y、該他の反応体(類)の
選択が(b)である時の(A,B,C)X、(A,B)X,(A,C)Xおよび
(B,C)X、並びに該他の反応体(類)の選択が(c)である時の(A,B,
E)X、から選択されるいろいろなな化学量論を示す生成物である化合物を少な
くとも1種含んでおり、ここで、AおよびBは、チタン、ジルコニウム、ハフニ
ウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステン
から選択される異なる材料であり、XおよびYは、ホウ素、炭素、ケイ素および
窒素から選択される異なる材料であり、そしてEを、鉄、コバルトおよびニッケ
ルから選択する。
該他の反応体が(c)である場合、その不完全な反応が起こることで生成する
生成物は、望ましくはEを残存量でも含んでいない。言い換え
れば、Eの量は、望ましくは、化合物(A,B,E)Xと混和した時に残存する
であろう残存量よりも少ない。しかしながら、化合物(類)(A,B,E)Xを
生じさせる時にBの給源が完全に消費されなかった場合、この反応生成物はBの
給源をある量で含むことになるであろう。
該他の反応体が(b)である場合、そのBの給源、Cの給源またはその両方は
AXと化学的に同じでなくてもよい。言い換えれば、Bの給源はBY[ここで、
BYは本明細書で定義したのと同じである]であってもよい。Cの給源もまたC
Y[ここで、Yは本明細書で定義したのと同じである]またはCZ[ここで、Z
はXおよびYと同じ群から選択されるが、XまたはYのどちらかと異なっている
]であってもよい。Bの給源がBYであるか或はCの給源がCYまたはCZであ
る場合、そのいろいろな化学量論を示す生成物の上記リストは容易に拡張される
。
本発明の2番目の面は、硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品
の製造で用いるに適切な材料を製造する方法であり、この方法は、AXと任意量
のXと少なくとも1種の他の反応体[これは、(a)BY、(b)Bの給源とC
の給源、或は(c)Bの給源と高密度化促進量のE、から選択される]との粉末
混和物に、AXおよび該他の反応体(類)は各々ある融点を示すがこのAXおよ
び該他の反応体(類)が示す融点の中で最も低い融点の約3/4未満である温度
と、AXと該他の反応体(類)と任意のXとの間で不完全な反応が起こることで
生成する本質的に充分に高密度化した圧密生成物を生じさせるに充分な圧力を受
けさせることを含んでおり、ここで、上記生成物が示す粒子成長は最小限であり
、そしてこの生成物は、少なくとも1種の化合物AXを含んでいると共に、該他
の反応体(類)の選択が(a)である時の(A,B)
XY、(A,B)Xおよび(A,B)Y、該他の反応体(類)の選択が(b)で
ある時の(A,B,C)X、(A,B)X,(A,C)Xおよび(B,C)X、
並びに該他の反応体(類)の選択が(c)である時の(A,B,E)X、から選
択されるいろいろな化学量論を示す生成物である化合物を少なくとも1種含んで
おり、ここで、AおよびBは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム
、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択される異
なる材料であり、XおよびYは、ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選択され
る異なる材料であり、そしてEを、鉄、コバルトおよびニッケルから選択する。
1番目の面に従う説明をまたこの2番目の面にも適用する。
元素に関する言葉「高密度化促進量」は、その結果として生じる高密度化した
生成物が示す硬度および摩耗特性を本質的に低下させることなく、この元素が存
在していない時に上記生成物が高密度化する温度よりも低い温度で、AXと5B
の給源との間で不完全な反応が起こることで生成する生成物の本質的に完全な高
密度化をもたらすであろう量を意味している。
温度がその最も低い融点の3/4を越える場合、過剰な粒子成長がもたらされ
、そしてその反応は、AXと該他の反応体(類)とが完全に反応する所にまで追
いやられると考えている。その結果としてもたらされるものは望ましいものでな
いと考える。この圧密化した生成物は、1kgの荷重を用いて測定した時、適切
には少なくとも約1900kg/mm2のビッカース硬度を示す。このビッカー
ス硬度は有利には少なくとも約2200kg/mm2である。更に、この方法に
予備段階を1段階以上含めてもよく、例えばAXと該他の反応体(類)の粉末混
和物を成
形してこの混和物を成形生地品に変換する段階を含めてもよい。また、この方法
の高密度化段階後に仕上げ段階を1段階以上含めてもよい。
この1番目の面の材料を用いて耐摩耗性を示す製品を生じさせることができる
。適切な耐摩耗品には、ノズル類、例えばウォータージェット切削用ノズルまた
は混合用チューブ、研磨剤ブラスト用ノズル、水ブラスト用ノズル、スプレー乾
燥用ノズルおよび塗料噴霧用ノズルなど;オリフィス類、例えばチョークバルブ
およびフローメーター部品など;がい管類;ポンプおよびバルブの部品;タイル
類、スリーブ類、シュート類、チューブ類、並びに研磨材料、例えば石炭または
鉱物スラリーなどを取り扱う時に用いる部品;切削工具、例えばインデクサブル
インサート(indexable inserts)、エンドミル、ルータビッ
ト、リーマー、ドリル、のこぎりの刃、並びに適宜、金属、プラスチック、木製
品および合成品などの材料を機械加工または切削する時に用いられるナイフ類;
ダイス類、キャプスタン、ローラー、ガイド、パンチ、成形用工具、並びにワイ
ヤーの延伸、管の延伸、押し出し、鋳込み、織物製造およびその他硬度または耐
摩耗性が要求される操作で用いられる他の工具;粉末圧縮用ダイス;EDM電流
接触子およびガイド;スポーツ用品;並びに時計、コンピューター、銃およびジ
ャイロスコープ用の精密部品などが含まれる。適切な用途に関する上記リストは
単に説明の目的であり、可能な全用途を確定的に示すことを意図したものでない
。過度の実験を行うことなく他の用途も容易に明らかになるであろう。詳細な説明
本発明では材料AXを用い、ここで、Aをチタン、ジルコニウム、ハフニウム
、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよび
タングステンから選択し、そしてXを、ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選
択する。Aは、有利にはタングステン、ハフニウムまたはチタン、望ましくはタ
ングステンまたはハフニウム、好適にはタングステンである。Xは、有利には炭
素、ケイ素または窒素であり、望ましくは炭素である。このように、炭化タング
ステン(WC)が好適であり、これは商業的に入手可能な材料である。このWC
は、適切には約10μm以下、有利には約5μm以下、望ましくは1μm以下、
好適には0.4から0.8μmの平均粒子サイズを有している。この粒子サイズ
はできるだけ小さい方が望ましい。このようなサイズは必ずしも商業的に入手可
能であるとは限らない。このように、商業的に入手可能な粉末をそのまま使用し
なくてはならないか、或は可能ならば、摩滅または他の適切な方法でサイズを小
さくしてもよい。式AXで表される他の材料にとって許容され得る粒子サイズは
、炭化タングステンの粒子サイズに近く、過度の実験を行うことなく容易に決定
される。この材料AXは好適には粉末または粒子形態である。
本発明の1つの面において、本明細書で「E」と表示する鉄族金属の存在はこ
の不完全反応生成物の少なくとも一部の必要な成分である。言い換えれば、この
不完全反応生成物はいろいろな化学量論を示し、一般的には式(A,B,E)X
で表される。Eは鉄、コバルトおよびニッケルから成る群から選択される元素で
ある。好適にはEはコバルトである。
Eを高密度化促進量で用いると満足される結果が得られる。この量は、この不
完全反応生成物の本質的に完全な高密度化を促進するほど充分に高い量でなくて
はならない。この量はまた、この高密度化した生成物内の未反応材料としてそれ
が存在するのを本質的に排除するに充分なほど
低い量でなくてはならない。望ましくは、コバルトで結合させた古典的な炭化タ
ングステン硬質金属の意味でEを結合剤金属として用いるのを最小限にし、好適
にはその使用をなくすに充分なほどその量を低くする。この量は、AとBとXを
一緒にした重量を基準にして適切には0.01から2.0重量%である。
有利には、Eを存在させない時に必要とされる温度よりも100℃以上低い温
度で高密度化を起こさせる。加うるに、望ましくは、その高い方の温度で得られ
る硬度および耐摩耗性に相当する硬度と耐摩耗性を維持させることを、この高密
度化に伴わせる。この高密度化に必要とされる実際の温度およびEが示す効果は
、A、B、EおよびXの選択と共に変化する。説明として、AXが炭化タングス
テンでありそしてBの給源がMo2Cである複合体の場合、Eが存在していない
場合でも1400℃の如き低い温度で圧密化して理論密度に近い密度を生じ、そ
してEを適当量で用いると、より低い温度で圧密化が生じる。Mo2CをCr3C2
に置き換えると、理論密度を生じさせる圧密化温度が1500℃を越える温度
にまで高くなる。Eを高密度化促進量で用いると、この圧密化温度は1400℃
に下がるか或は更にそれ以下の温度にまで下がり、過剰な粒子成長が生じるなど
と言った危険が回避される。
本発明の他の面において、1種以上の助剤または結合用金属、例えば鉄族の金
属などを添加する必要はないと考えているが、結果として生じる組成物が示す物
性にそれらが悪影響を与えないことを条件として添加することも可能である。コ
バルトは必須成分ではないが、粉末混合物を生じさせる時用いる製粉用媒体また
はアトリター(attritor)用媒体にコバルトがある量で含まれていてこ
れが偶然に痕跡量で入り込
むことは不可避であると考えている。コバルトは、特に、混合炭化物を生じさせ
る時の補助となり、それによって、その組成物に応じて高密度化の温度を約14
00℃またはそれ以下にまで下げることが可能になる。しかしながら、高密度化
を完全に行うにとってコバルトは必須でないと考えている。完全な高密度化に近
付かせるか或はそれを達成するには、コバルトを存在させる必要なく、より高い
温度を用いるのみでよい。
本発明ではまたBの給源も用いる。Aと同様にBもチタン、ジルコニウム、ハ
フニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングス
テンから成る群から選択する。しかしながら、BはAと同じではない。言い換え
ると、Aがタングステンである場合、Bはタングステン以外の上記材料いずれか
であってもよい。本発明の特定な面において、他の面のB選択から異ならせてB
を選択するのが好ましい。反応体がAXとBの給源であるか或はAXとBの給源
とEである場合、Bは有利にはモリブデン、バナジウム、ジルコニウム、クロム
であり、そしてAがタングステンでない場合、Bは有利にはタングステンである
。Bは、望ましくはモリブデンまたはクロムであり、好適にはモリブデンである
。Bの給源がBYである場合、Bは望ましくはチタンである。反応体がAXとB
の給源とCの給源と任意量のXである場合、Bの給源は有利には炭化クロムまた
は炭化チタンである。Bの給源は好ましくは粉末または粒子形態である。
Bの給源には上述した金属が含まれると共にそれらのホウ素、炭素、ケイ素お
よび窒素誘導体が含まれる。Bの給源がBYである面以外の面において、Bの誘
導体(使用する場合)は望ましくは化学的にAXに一致している。即ち、Xが炭
素であるとすると、Bの給源は望ましくはB
の炭化物または次炭化物(subcarbide)である。説明として、モリブ
デンの給源にはモリブデン金属、炭化モリブデン(MoC)および次炭化モリブ
デン(Mo2C)が含まれる。Bが元素、例えばモリブデン金属などの粉末であ
る場合、望まれるならば、他のモリブデン給源、例えばMoCおよびMo2Cと
化学量論的に等しくするに必要とされる量に同じ量か或は望ましくはそれよりも
少ない量でX(この場合炭素)を加えてもよい。化学量論的等量よりも多い量で
加えることも可能であるが、未反応のX(この場合炭素)が残存量で残る可能性
があり、これが今度は、その結果として生じる高密度化した材料が示す物性、例
えばビッカース硬度などに悪影響を与える可能性がある。
モリブデンの好適な給源は次炭化物Mo2Cである。Mo2Cは、混合炭化物の
製造でモリブデンおよび炭素両方の給源として働くと考えている。あまり好適で
はないが1つの適切なモリブデン給源はモリブデン金属である。更にあまり好適
ではないが別の適切なモリブデン給源は炭化モリブデン(MoC)である。モリ
ブデンの2種以上の給源を組み合わせることでも満足される結果が得られる。こ
のモリブデン給源は好適には粉末または粒子形態である。
有利には、いろいろな化学量論を示す少なくとも1種の化合物が生成すること
を可能にするに充分な量でBの給源を用いる。この不完全反応の成分に応じて、
この化合物は(A,B)X、(A,B)Y、(A,B)XY、(A,B,E)X
、(A,B,E)Y、(A,C)X、(B,C)Xまたは(A,B,C)X[こ
こで、A、B、C、E、XおよびYは本明細書で定義する如くである]になるで
あろう。この量は、望ましくは、その反応生成物の物性または性能をこの反応生
成物が実際に利用できな
くなるほど低下させる多い量で残渣を残すことなく上記化合物(類)を生じさせ
るに充分な量である。この量はまた望ましくはAXが全部完全に反応するであろ
う量よりも少ない量である。上記量はBの給源に応じて変化するが、過度の実験
行うことなく容易に決定される。
例として、Bがモリブデンである場合、有利には、少なくとも1種のタングス
テン−モリブデン混合炭化物を生じさせるに充分な量でこのBの給源を用いる。
望ましくは、モリブデン含有量が約1重量%以上である最終組成物が得られるに
充分な量で、このモリブデンの給源を用いる。このモリブデンの給源がMo2C
である場合、この量は、Mo2CとWC出発材料の全重量を基準にして適切には
1から30重量%、望ましくは3から20重量%、好適には6から10重量%で
ある。
Bの給源がBYである場合、YとXは異なっているが、YをXと同じ群から選
択する。説明として、Xが炭素でYが窒素である場合、その不完全反応生成物は
炭窒化物、例えば(W、Mo)CNなどであり得る。
本発明ではまた別の面においてCの給源を含める。AおよびBと同じ群の元素
からCを選択するが、しかしながら、AとBとCが全部異なる元素であることを
条件とする。Bと同様に、Cの給源も元素状材料またはそれらのホウ素、炭素、
ケイ素または窒素誘導体であってもよい。ある用途において、このCの給源は望
ましくはAXおよびBの給源と化学的に一致している。言い換えると、Xは炭素
であり、そしてBとCの給源は両方とも金属の炭化物である。他の用途において
、このCの給源は、AXまたはBの給源または両方と一致している必要はない。
このように、このCの給源は、これがAXのみか或はAXとBYの両方と化学的
に異なっているかに応じて、CYまたはCZであってもよい。このCの給源
もまた望ましくは粉末の形態である。これを、未反応材料を過剰に多い量で残す
ことなく少なくとも1種の化合物(A,B,C)Xを生じさせるに充分な量で用
いる。言い換えれば、結果として生じる材料が示す望ましい特性を実質的に低く
しない限り、Cの給源をある残存量で存在させることも可能である。化合物(A
,B,C)Xが生じると同時に他の化合物、例えば(A,B)X、(A,C)X
および(B,C)Xなども生じる可能性がある。その結果として生じる材料を実
際に利用することができない地点にまで硬度などの如き物性を低下させるような
量は、過剰に多い量と見なす。
本発明の方法は、適切には、反応体の粉末混和物の間で不完全な反応が起こる
ことで生成する圧密化した生成物をもたらすに充分な高密度化条件をこれらの反
応体に受けさせることを含んでいる。この生成物は、少なくとも1種の化合物A
Xといろいろな化学量論を示す少なくとも1種の化合物を含んでいる。この後者
の化合物は、一般的には、上記粉末混和物で選択した成分に応じて、(A,B)
X、(A,B)Y、)A,B)XY、(A,B,E)X、(A,C)X、(B,
C)Xまたは(A,B,C)Xとして表される。この変数A、B、C、E、Xお
よびYは本明細書で定義する如くである。CZを経由してZを組み込むと、この
いろいろな化学量諭を示す化合物のリストに(A,B,C)XYおよび(A,B
,C)XYZなどの如き化合物が含まれるようにそのリストが広がる。粒子成長
を最小限にするようにこの高密度化条件を選択し、この条件には、温度をAXが
示す融点およびこの混和物に含まれている残りの成分(E以外)が示す融点の中
で低い方の融点の約3/4よりも低くするが感知できるほどの圧密化が起こらな
い温度よりも高くすることが含
まれる。この温度は、コバルトの如き鉄族金属を存在させる場合、Eが示す融点
を越えることになるかもしれない。しかしながら、Eが示す融点を越える温度は
必ずしも必要でないか、或は望ましくもない。この条件にはまた圧力を所望の高
密度化度合を達成するに充分な圧力にすることが含まれる。この反応生成物は好
適には本質的に完全に高密度化されている。
言葉「不完全反応」、「不完全反応生成物」および「不完全な反応が起こるこ
とで生成する生成物(類)」などを本明細書で用いる場合、これらは全部、該粉
末混和物に含めるAXと他の成分との反応を表しており、ここでは、AXの少な
くとも一部は上記他の成分と反応していない。その結果として、上記一部は、本
発明の多様な面に従って製造した生成物の中でその不完全反応生成物(類)[い
ろいろな化学量論を示す化合物(類)]および任意に少量の他の成分と混和して
いる。
Aがタングステンであり、BがモリブデンでありそしてXが炭素である場合の
高密度化条件は、有利には、1kgの荷重を用いて測定した時示すビッカース硬
度が少なくとも約2200kg/mm2である材料をもたらすに充分な条件であ
る。このビッカース硬度は望ましくは約2300kg/mm2以上であり、好適
には約2400kg/mm2以上である。高い硬度値が求められていない用途で
このような材料を用いる必要がある場合、容易に1900kg/mm2以下の如
き低いビッカース硬度値を達成することができる。このように低い値を達成する
1つの手段は、モリブデンの給源としてモリブデン金属を選択することである。
A、BおよびXでそれぞれ代わりにタングステン、モリブデンおよび炭素以外
の元素を用いるか、或はBの給源をBYにするか、或は反応体
EおよびCの1つ以上を用いる場合、その結果として生じる高密度化した材料は
約1000kg/mm2の如き低いビッカース硬度値を示し得る。しかしながら
、ビッカース硬度が1000kg/mm2の材料が示す耐摩耗性は、ビッカース
硬度が2400kg/mm2の材料が示すそれよりもずっと低くなるであろう。
しかしながら、化学的相溶性または他の理由から、このように硬度がより低い材
料でも特定の用途で例外的な利用性を示す可能性がある。
一般に均一な混和物が得られそしてその結果として生じる材料が示す物性に悪
影響が観察されない限り、数多くの通常混合方法のいずれか1つを用いてこの粉
末混和物を製造することができる。特に、混合を容易にする目的で硬質材料のボ
ールが用いられているアトリターを用いると、典型的には炭化タングステン/コ
バルト材料で作られているそのボールが混合中に摩滅してそれが少量その混和物
に加わるが、それでも満足される結果が得られる。反応生成物または最終材料の
中にコバルトが少量存在していたとしても、これは、その高密度化材料が示す物
性に悪影響を与えない。混合すべき材料と同じ材料から作られているボールを用
いる。反応体としてEを含める場合、そのアトリターまたは製粉用の媒体が摩耗
することでコバルトが加わるとしたならば、望ましくは、元素として添加するE
の量をその量だけ低くしてもよい。
出発材料であるAX、Bの給源、Cの給源、Eおよび任意量のXを混和物に変
換する前の形態は、有利には粒子または粉末の形態である。少なくとも硬度、摩
耗および未反応出発材料残存の意味で、小さい粒子の方が大きい粒子よりも有利
であると考えている。また、一般的には、小さい粒子の方が大きい粒子よりも混
合に必要な時間が短い。このように、
これらの粉末の平均粒子サイズを望ましくは約2μm未満にする。入手性などの
如き要因に応じて、より大きな粒子サイズも受け取ったまま使用しなくてはなら
ないか、或は必要ならば、使用に先立ってこれらにサイズ低下操作を受けさせて
もよい。
有利にはヘプタンなどの如き液体を補助として用いて、アトリター内で粉末の
混合を達成する。混合後の生地生成を容易にする目的で、この摩滅の最終段階を
行っている間にパラフィンワックスなどの如き結合剤を添加することができる。
望ましくは、この摩滅させた混合物を更に加工するに先立ってこれの乾燥を行う
。この摩滅させて乾燥させた混合物をふるいにかけるか或は分級して望まれない
凝集物または微細物を除去すると、特に満足される結果が得られる。
また、その摩滅させて乾燥させた後分級を受けさせた混合物をプレフォーム(
preform)に変える2番目の予備段階を本発明の方法に含めてもよい。粉
末金属産業またはセラミック産業で知られている技術を用いてプレフォームを製
造することができる。米国特許第4,446,100号およびModern C
eramic Engineering、6章、178−215頁(1982)
に上記技術が記述されている。
補強材、充填材、高密度化助剤、結合剤、滑剤、分散剤および凝集剤が1種以
上含まれていてもよい粒子状材料をプレフォームに変換する典型的な操作は、一
軸プレス加工、均衡プレス加工、スリップキャスティング、押し出し、射出成形
または同様な技術いずれかを用いてその粉末の形付けまたは成形を行って所望形
態にすることで始まる。次に、その結果として生じる製品の熱もしくは化学的脱
結合剤処理、前焼結、生地機械加工、再均衡プレス加工などを行うことによって
、高密度化のため
の調製を行う。その結果として生じる製品に保護被覆材を塗布することでその環
境と反応させないようにすることができる。極端な場合として、この製品を「缶
に詰める」か、或は浸透性を示さない容器の中に入れることで、大気を混入させ
ないで取り扱うことができるようにすることができる。高密度化のための調製を
行ったままの、その結果として生じる製品を、本明細書では「生地」と呼ぶ。
Bがモリブデンである場合、適切には約1600℃未満の温度で高密度化を実
施する。1600℃を越える温度、例えば1650℃の温度を用いるのは、密度
を高める意味であまり有利でない。しかしながら、このような温度を用いると、
粒子成長が助長されると言った重大な欠点がもたらされ、これは、硬度の如き実
際上の考慮においてその高密度化材料の性能に悪影響を与えると考えている。充
分な高密度化を達成することができないほど低すぎる温度は許容される温度でな
い。温度がこのモリブデン給源が示す溶融温度の約半分よりもずっと低い場合、
充分な高密度化を達成することができないと考えている。好適な3種のモリブデ
ン給源、即ちモリブデン金属、Mo2CおよびMoCの中でモリブデン金属が最
も低い融点を示し、2617℃で溶融する。このように、高密度化に適度な下限
温度は約1300℃である。鉄族金属の如き高密度化助剤を存在させない場合、
高密度化を1300℃の如き低い温度で行うには条件を最適にする必要がある。
このような条件には、非常に細かい粉末を用いて充分に混合することが含まれる
。この高密度化の温度範囲は望ましくは1350℃から1500℃である。AX
と他の反応体との他の組み合わせで用いるに適した温度範囲は過度の実験を行う
ことなく容易に決定される。
本分野の技術者に知られているいくつかの技術の1つを用いて、その生地に圧
力補助高密度化を受けさせるが、望ましくは、所望品をもたらす高温でその生地
に圧力を受けさせる。これらの技術には、熱プレス加工、熱均衡プレス加工(H
IP’ing)および迅速全方向圧縮(rapid omnidirectio
nal compaction)(ROC)などが含まれる。いろいろな成功度
でこれらの技術のいずれかを用いることができるが、生地に高密度化を受けさせ
る手段として、機械的に誘導した圧力、例えば鍛造プレスを用いて生じさせた圧
力などを利用したROC技術を用いると、特に適切な結果が得られる。
米国特許第4,744,943号の中のコラム5の13行からコラム6の33
行およびコラム7の21行からコラム10の40行に、この生地を満足される高
密度化品に変換する望ましい方法が記述されている。上記方法を用いた場合、そ
の圧力をかける時間は適切には約1時間以内である。この時間は好適には約30
分以内、望ましくは約1分以内、好ましくは約30秒以内である。結果として生
じる高密度化部品の回収を容易にする目的で、有利には、ガラス製のポケット流
体ダイス(glass pocket fluid die)または他の高密度
化用媒体の中に入れるに先立って、グラファイト箔または他の何らかの実質的に
不活性な材料の中にその生地を包み込む。
米国特許第4,081,272号にガラスカプセル封じHIP方法が開示され
ている。米国特許第3,622,313号にHIP方法が開示されている。この
ガラスカプセル封じ方法を用いる場合に望ましい修飾形には、高密度化を受けさ
せるべき部品が入っているガラス製カプセルの排気を行うことで粉末ガラスを用
いないことが含まれる。圧力をかけ
る時間を適切には1時間以内にする。
この上に記述した様式で製造される高密度化品は、いろいろな化学量論を示す
少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の化合物AXを主要成分として含んで
いる複合多相微細粒子複合体(complex,multi−phse,fin
e−grained composite)である。このいろいろな化学量論を
示す化合物は、その反応体の選択を反映した組成を示すことになるであろう。言
い換えれば、これは、その反応体がAXとBの給源とEである場合(A,B,E
)X、(A,B)Xまたは両方として表され、その反応体がAXとBYである場
合(A,B)XY、(A,B)X、(A,B)Yまたはそれらの混合物として表
され、そしてその反応体がAXおよびBとCの給源である場合(A,B,C)X
、(A,B)X、(A,C)X、(B,C)Xまたはそれらの混合物として表さ
れる。この反応体がAXとBXとCYであるか或はAXとBYとCZである場合
、そのいろいろな化学量論を示す化合物は上記の変形で表されることになるであ
ろう。説明として、Aがタングステンであり、BがモリブデンでありそしてXが
炭素である場合、その反応生成物は炭化タングステンを含むと共にタングステン
とモリブデンの混合炭化物(W、Mo)Cを少なくとも1種含むことになるであ
ろう。Bの給源および適宜EまたはCの給源がそのいろいろな化学量論を示す化
合物に充分に変化しない場合、この反応生成物はBの給源と適宜Cの給源をある
量で含むことになるであろう。この量は、相関関係を示す変数の多様性に応じて
、痕跡量の如き少ない量(約0.01重量%またはそれ以下)からずっと多い量
で変化することになるであろう。このような変数には、出発材料の選択、混合の
充分さおよび高密度化パラメーターな
どが含まれる。最後に、混合でアトリターを用いそしてその中に入っているボー
ルが出発材料と異なる材料、例えばコバルトなどで少なくとも部分的に作られて
いる場合、例えば追加的混合炭化物相の一部としてその材料がこの複合体の中に
組み込まれる可能性がある。
この高密度化品は、炭化タングステン/コバルトから生じさせた類似品に比較
して、驚くべきほど改良された硬度と耐摩耗性を示す。本発明の代表的な製品が
示すビッカース硬度は、1kgの荷重を用いて測定した時、適切には少なくとも
約2200kg/mm2である。このビッカース硬度は有利には少なくとも約2
300kg/mm2であり、望ましくは少なくとも約2400kg/mm2である
。上述したように、ある用途では、1900kg/mm2の位の低いビッカース
硬度値またはそれよりも低い値さえも許容され得る。また、上述したように、本
発明の方法を用いて容易にこのような硬度を達成することができる。Aがタング
ステンであり、BがモリブデンでありそしてXが炭素である製品は、ASTM
G65−80方法で測定した時、適切には少なくとも約500cm-3の耐擦り減
り摩耗性を示す。この耐擦り減り摩耗性は望ましくは少なくとも約550cm-3
である。この製品をASTM G76−83方法による測定で30度の角度で測
定した時に示す侵食摩耗率は、有利には研磨剤1g当たり約3x10-3mm3の
みである。この製品をASTM G76−83方法による測定で90度の角度で
測定した時に示す侵食摩耗率は、望ましくは研磨剤1g当たり約2x10-3mm3
のみである。摩耗率は低い方が明らかに望ましいが、現在利用できる装置を用
いてそのような率を測定するのは、不可能でないにしても極めて困難である。技
術者は、A、B、Xおよび適宜C、EおよびYで表される材
料に応じて硬度と耐摩耗性が変化することを理解するであろう。技術者は、耐摩
耗性は硬度に比例していて材料が柔らかくなると耐擦り減り摩耗性が500cm-3
未満になることを理解するであろう。これらの材料は極端な温度か或は化学的
攻撃性を示す環境下で用いるに適切であり得る。
この高密度化品は、適切には、微細粒子構造を有しており、平均粒子サイズは
約10μm未満である。この粒子サイズは有利には約5μm未満であり、望まし
くは約1μm未満である。
本発明の製品が示す密度は一般に理論密度の約85%以上である。この密度は
有利には理論密度の約90%以上、望ましくは約95%以上、好適には約100
%である。「理論密度」を本明細書で用いる場合、これは、出発成分の体積分率
と密度を基にして計算した値である。「高密度」を本明細書で用いる場合、これ
は、密度が少なくとも理論密度の約90%であることを表している。高密度化が
充分であることを示す別の尺度は、本発明の製品が示す間隙率である。適切には
、この間隙率を最低限にして最適な硬度を達成する。このように、この間隙率を
有利には粒子全体の体積を基準にして約5体積%未満にする。望ましくはこの間
隙率を約3体積%未満にし、好適には約1体積%未満にする。言葉「本質的に充
分に高密度化した」を本明細書で用いる場合、これは、密度が理論密度の99%
以上であること、或は間隙率が約1体積%未満であることのどちらかを意味して
いる。本発明の材料は、切削工具およびノズル、例えばウォータージェット切削
用ノズルなどの製造で用いるに特に有効である。発明の具体的な態様
以下に示す実施例および比較実験は本発明を説明するものであり、含蓄的また
はその他で、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。特に明
記しない限り、全ての部およびパーセントを重量で表しそして全ての温度を摂氏
度(℃)で表す。本発明の実施例をアラビア数字で表示する一方、比較実施例を
大文字で識別する。実施例1
−AXとして炭化タングステンを用いそしてBYとして窒化チタンを用
いた高密度化材料の製造
出発粉末は、炭化タングステン粉末(平均粒子サイズ0.8μm)が96.4
%で窒化チタン(平均粒子サイズ約1.5μm)が3.6%の混合物であった。
荷重が7キログラム(kg)の炭化タングステン−コバルト(WC−Co)製ボ
ールを用いてこの混合物に摩滅をヘプタンの存在下で4時間受けさせた。このア
トリター混合の最後の30分間、パラフィンワックスを結合剤として約2−3%
の量で加えた。
その結果として生じる混合物を乾燥させた後、20メッシュ(850μm)の
ふるいに通してふるい分けした。このふるいを通過した混合物を鋼製ツーリング
の中に入れて5,000ポンド/平方インチ(psi)(35MPa)で冷プレ
ス加工することにより、生地部品を製造した。次に、この冷プレス加工部品の冷
均衡プレス加工を30,000psi(210MPa)で行った。その結果とし
て得られる部品の脱ワックスを350℃の真空下で行った。次に、この生地をグ
ラファイト箔(Union Carbide製GRAPHOIL(商標))の中
に包み込み、ガラス製のポケット流体ダイスの中に入れるか或は均衡ダイスアセ
ンブリの中に入れ、窒素雰囲気下10℃/分の速度で予め1650℃にまで加熱
し、その温度で15分間保持した後、均衡プレス加工を120,0
00psi(830MPa)で10秒間行った。このプレス加工操作は、米国特
許第4,744,943号の中のコラム5の34行からコラム6の15行および
コラム9の51行からコラム10の13行、米国特許第4,428,909号の
中のコラム4の61行からコラム6の32行、並びに米国特許第4,656,0
02号の中のコラム4の41行からコラム5の6行に、より詳しく記述されてい
る。この流体ダイスを空気中で冷却してその部品を回収した後、砂吹き処理を受
けさせる。この部品の重量は25グラム(g)であり、その形状は直径が1.8
5cmで長さが1.19cmの筒状であった。
分析作業は、金属組織学、光顕微鏡、分析走査電子顕微鏡(ASEM)、電子
プローブ分析(EPA)、分析透過電子顕微鏡(ATEM)およびx線回折(X
RD)を用いることを伴っていた。SEM、ATEMおよび光顕微鏡下でミクロ
構造の観察を行った。XRDを用いて反応相の存在を測定した。EPAおよびA
TEMを用いて反応相の組成を測定した。BSE画像の立体学(stereol
ogy)を用いると共にATEMで粒子数を数えることによって、相の体積分率
を測定した。B.NorthがEngineering Applicatio
ns of Brittle Materialsの159頁(1985)に記
述している操作に従うビッカース高温硬度試験も、この部品に受けさせた。この
試験では1kgの荷重を用いると共に、種々の温度における打ち込み時間を10
秒にした。
回収した部品が示す物性は下記の通りであった:a)密度−14.54g/c
m3(理論値の99.7%);b)硬度(ロックウェル堅さA)−95.6;c
)ビッカース硬度−2602kg/mm2;およびd)
Palmqvistじん性−23.9kg/mm。この回収した部品を実施例1
と同様に測定した時の高温硬度は1200℃で10.74GPaであった。実施例2−4
−AXとして炭化タングステンを用いそしてBYとして窒化チタン
を用いた高密度化材料の製造
実施例2−4でも実施例1の方法を繰り返したが、但しここでは、荷重が3.
5kgのWC/Co製ボールが備わっている小型のアトリターを用い、予め加熱
する温度を1800℃にまで高めると共に加圧時間を30秒にし、そして表Iに
示すように圧力と加圧時間を変化させた。密度、硬度、ロックウェル堅さA、間
隙率(ASTM B−276−79)およびビッカース硬度も表Iに示す。
実施例5−6−AXとして炭化タングステンを用いそしてBYとして窒化タンタ
ルを用いた高密度化材料の製造
実施例5および6でも実施例1の方法を繰り返したが、但しここでは、組成物
を、実施例1と同じ炭化タングステンが89.6%で窒化タンタル(平均粒子サ
イズ約1μm)が10.4%の混合物に変え、そして表IIに示すように予熱温
度を変化させた。密度、硬度、ロックウェル堅
さAおよびビッカース硬度も表IIに示す。
窒化チタンおよび窒化タンタルの含有量を1から50パーセントの範囲にしそ
して予熱温度を1400℃から2000℃にした場合、加圧時間に加えて圧力レ
ベルを変化させても同様な結果が得られると期待される。また、他の材料組み合
わせ、例えば炭化ハフニウムと窒化チタン、窒化ジルコニウムまたは窒化タンタ
ルとの組み合わせおよび炭化タングステンと窒化ジルコニウムとの組み合わせな
どを用いた場合も同様な結果が得られると期待される。実施例7
−AXとして炭化タングステンを用い、Bの給源として炭化ジモリブデ
ンを用いそしてCの給源として二炭化トリクロムを用いた高密度化材料の製造
実施例1の方法を繰り返したが、但しここでは、予熱温度を1400℃に下げ
、実施例1と同じ炭化タングステンを94.7%、炭化ジモリブデン(Mo2C
)(平均粒子サイズ2μm)を3.1%そして炭化クロム(Cr3C2)(平均粒
子サイズ約48μm未満)を2.2%含んでいる粉末混和物を用いた。回収した
部品が示す物性を表IIIに示す。実施例8−9
−AXとして炭化タングステンを用い、Bの給源として炭化チタン
を用いそしてCの給源として炭化タンタルを用いた高密度化材
料の製造
実施例7の方法を繰り返したが、但しここでは、実施例2と同じアトリターを
用い、予熱温度を表IIIに示すように変化させ、そして実施例1と同じ炭化タ
ングステンを93.6%、炭化チタン(TiC)(平均粒子サイズ3.8μm)
を1.6%そして炭化タンタル(TaC)(平均粒子サイズ2μm)を4.8%
含んでいる粉末混和物を用いた。回収した部品が示す物性を実施例7で測定した
物性と一緒に表IIIに示す。
表IIIに示すデータはいくつかの観察を支持している。1番目として、実施
例7および8で示すように、高密度を達成するに必要とされる予熱温度はその組
成と共に変化する。2番目として、予熱温度を高くしても物性の実質的な向上は
少しも得られない可能性がある。実施例8および9を参照のこと。A、B、Cお
よびXの他の組み合わせ(これらは全て本明細書に開示した組み合わせである)
を用いても同様な結果が得られると期待される。A、BおよびCに共通のリスト
由来の1つまたは他の材料を加えることでも許容される結果が生じるであろう。
これらの高密度化材料は、本明細書に開示した他の材料と同様、多様な高摩耗用
途、例えばノズル、金属成形用ダイスおよび切削工具などで満足される結果を与
えると期待される。実施例10−12
−AXとして炭化タングステンを用い、Bの給源としてCr3
C2を用いそしてEとしてコバルトまたはニッケルを用いた高密度化材料の製造
実施例1の方法を繰り返したが、但しここでは、実施例2に記述した小型アト
リターを用い、最初ではなくアトリター混合スケジュールの中途でEを加えるよ
うにこのスケジュールを変更し、そして多様な組成物で予熱温度を変化させ、こ
れらを全部、関係する物性と一緒に表IVに示す。
表IVに示すデータは、鉄族金属をある量で加えることの有用性を実証してい
る。予熱温度を有意に下げることができ、その結果として生じる物性の損失はあ
ったとしても感知できるほどでない。その他A、B、EおよびXを変化させても
(これらは全部、本明細書に開示したものである)同様な結果が得られると期待
される。
本発明の材料は、本明細書の上に示したように、耐摩耗性または硬度または両
方が必要とされている幅広く多様な最終使用用途で有用性を示す。これらの材料
は特にノズル、例えば砂吹き用ノズルおよびウォータージェット切削用ノズルな
ど、摩耗ガイド、がい管類、粉末圧縮用ダイス、バルブ部品、ルータビット、切
削工具、エンドミル、インデクサブルインサート、ワイヤー延伸用ダイス部品な
どで有用性を示す。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年3月2日
【補正内容】
請求の範囲
1. 硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の製造で用いるに
適切な材料であって、これは、AXと、任意量のXと、(a)BY、(b)Bの
給源とCの給源、或は(c)高密度化した製品内の未反応材料として本質的に存
在させないような高密度化促進量のEとBの給源、から選択される少なくとも1
種の他の反応体と、を含んでいる粉末混和物の成分間で不完全な反応が起こるこ
とで生成する本質的に充分に高密度化した多相の微細粒子複合生成物を含んでお
り、ここでは、AXおよび該他の反応体(類)は各々ある融点を示すがこのAX
および該他の反応体(類)が示す融点の中で最も低い融点の約3/4未満である
高温および圧力下でこの不完全な反応を起こさせ、ここで、上記生成物は最小限
の粒子成長を示し、そしてこの生成物は、少なくとも1種の化合物AXを含んで
いると共に、該他の反応体(類)の選択が(a)である時の(A,B)XY、(
A,B)Xおよび(A,B)Y、該他の反応体(類)の選択が(b)である時の
(A,B,C)X、(A,B)X,(A,C)Xおよび(B,C)X、並びに該
他の反応体(類)の選択が(c)である時の(A,B,E)X、から選択される
いろいろな化学量論を示す生成物である化合物を少なくとも1種含んでおり、こ
こで、A、B、C、XおよびYは異なる材料であり、Aはチタン、バナジウム、
ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択される元素
であり、BおよびCはバナジウム、チタン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブ
デンおよびタングステンから選択される元素または元素含有材料であるが、但し
チタンが炭窒化チタンでなくそしてモリブデンが金属モリブデンまたはそれの合
金でないことを条件とし、XおよびY
を、ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選択し、そしてEを、鉄、コバルトお
よびニッケルから選択する、材料。
2. 該他の反応体がBの給源とCの給源であり、AXが炭化タングステンで
あり、そしてこのBとCの給源がそれぞれ炭化クロムと炭化モリブデンであるか
或は炭化チタンと炭化タンタルである請求の範囲1記載の材料。
3. 該他の反応体がBの給源と高密度化促進量のEであり、Aがタングステ
ンであり、Bがクロムまたはモリブデンであり、そしてEがコバルトである請求
の範囲1記載の材料。
4. 1kgの荷重を用いて測定した時示すビッカース硬度が少なくとも約2
000kg/mm2でありそして耐擦り減り摩耗性(ASTM G65)が少な
くとも約400cm-3である請求の範囲1または請求の範囲3記載の材料。
5. 該他の反応体がBYであり、Aがタングステンまたはチタンであり、B
がチタンまたはタンタルであり、Xが炭素でありそしてYが窒素である請求の範
囲1記載の材料。
6. 該反応生成物がまた未反応のBYを残存量で含んでいる請求の範囲5記
載の材料。
7. BYがAXとBYの全重量を基準にして1から50重量%の量で存在し
ている請求の範囲5または請求の範囲6記載の材料。
8. 1200℃の硬度が約5ギガパスカル以上である請求の範囲7記載の材
料。
9. 硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の製造で用いるに
適切な材料を製造する方法であって、AXと、任意量のXと、
(a)BY、(b)Bの給源とCの給源、或は(c)高密度化した製品内の未反
応材料として本質的に存在させないような高密度化促進量のEとBの給源、から
選択される少なくとも1種の他の反応体、を含んでいる粉末混和物に、AXおよ
び該他の反応体(類)は各々ある融点を示すがこのAXおよび該他の反応体(類
)が示す融点の中で最も低い融点の約3/4未満である温度と、AXと該他の反
応体(類)と任意のXとの間で不完全な反応が起こることで生成する本質的に充
分に高密度化した圧密生成物を生じさせるに充分な圧力を受けさせることを含ん
でおり、ここで、上記生成物は最小限の粒子成長を示し、そしてこの生成物は、
少なくとも1種の化合物AXを含んでいると共に、該他の反応体(類)の選択が
(a)である時の(A,B)XY、(A,B)Xおよび(A,B)Y、該他の反
応体(類)の選択が(b)である時の(A,B,C)X、(A,B)X,(A,
C)Xおよび(B,C)X、並びに該他の反応体(類)の選択が(c)である時
の(A,B,E)X、から選択されるいろいろな化学量論を示す生成物である化
合物を少なくとも1種含んでおり、ここで、A、B、C、XおよびYは異なる材
料であり、Aはチタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンお
よびタングステンから選択される元素であり、BおよびCはバナジウム、チタン
、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択される元
素または元素含有材料であるが、但しチタンが炭窒化チタンでなくそしてモリブ
デンが金属モリブデンまたはそれの合金でないことを条件とし、XおよびYを、
ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選択し、そしてEを、鉄、コバルトおよび
ニッケルから選択する、方法。
10. 該他の反応体がBの給源とCの給源であり、AXが炭化タン
グステンであり、そしてこのBとCの給源がそれぞれ炭化ジモリブデンと二炭化
トリクロムであるか或は炭化チタンと炭化タンタルである請求の範囲9記載の方
法。
11. 該他の反応体が(c)Bの給源と高密度化促進量のEであり、Aがタ
ングステンであり、Bがクロムまたはモリブデンであり、そしてEがコバルトで
ある請求の範囲9記載の方法。
12. 高密度化を受けさせるに先立って該混和物を約1600℃未満の温度
に加熱する請求の範囲11記載の方法。
13. Eの量が粉末混和物重量を基準にして約0.01から約2.0重量%
である請求の範囲11または請求の範囲12記載の方法。
14. 該他の反応体がBYであり、Aがタングステンまたはチタンであり、
Bがチタンまたはタンタルであり、Xが炭素でありそしてYが窒素である請求の
範囲9記載の方法。
15. 該粉末混和物がBYをAXとBYの全重量を基準にして約1から約5
0重量%の量で含んでいる請求の範囲14の方法。
16. 請求の範囲1−8いずれかの材料から製造された耐摩耗品。
17. 硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の製造で用いる
に適切な材料であって、これは、AXと任意量のXとBの給源とCの給源を含ん
でいる粉末混和物の成分間で不完全な反応が起こることで生成する本質的に充分
に高密度化した多相の微細粒子複合生成物を含んでおり、ここでは、AXおよび
他の反応体(類)は各々ある融点を示すがこのAXおよび該他の反応体(類)が
示す融点の中で最も低い融点の約3/4未満である高温および圧力下でこの不完
全な反応を起こさせ、ここで、上記生成物は最小限の粒子成長を示し、そしてこ
の生成物
は、少なくとも1種の化合物AXを含んでいると共に、(A,B,C)X、(A
,B)X,(A,C)Xおよび(B,C)Xから選択されるいろいろな化学量論
を示す生成物である化合物を少なくとも1種含んでおり、ここで、A、B、C、
Xは異なる材料であり、Aはチタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、
モリブデンおよびタングステンから選択される元素であり、BおよびCはバナジ
ウム、チタン、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから
選択される元素または元素含有材料であるが、但しチタンが炭窒化チタンでなく
そしてモリブデンが金属モリブデンまたはそれの合金でないことを条件とし、X
を、ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選択する、材料。
18. 硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の製造で用いる
に適切な材料であって、これは、AXと任意量のXとBYを含んでいる粉末混和
物の成分間で不完全な反応が起こることで生成する本質的に充分に高密度化した
多相の微細粒子複合生成物を含んでおり、ここでは、AXおよび他の反応体(類
)は各々ある融点を示すがこのAXおよび該他の反応体(類)が示す融点の中で
最も低い融点の約3/4未満である高温および圧力下でこの不完全な反応を起こ
させ、ここで、上記生成物は最小限の粒子成長を示し、そしてこの生成物は、少
なくとも1種の化合物AXを含んでいると共に、(A,B)XY、(A,B)X
および(A,B)Yから選択されるいろいろな化学量論を示す生成物である化合
物を少なくとも1種含んでおり、ここで、A、B、XおよびYは異なる材料であ
り、Aはチタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタ
ングステンから選択される元素であり、Bはバナジウム、チタン、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデンおよびタ
ングステンから選択される元素または元素含有材料であるが、但しチタンが炭窒
化チタンでないことを条件とし、そしてXおよびYを、ホウ素、ケイ素および窒
素から選択する、材料。
19. 硬度または耐摩耗性が高いことが要求されている製品の製造で用いる
に適切な材料であって、これは、AXと、任意量のXと、高密度化した製品内の
未反応材料として本質的に存在させないような高密度化促進量のEおよびBの給
源から選択される少なくとも1種の他の反応体、を含んでいる粉末混和物の成分
間で不完全な反応が起こることで生成する本質的に充分に高密度化した多相の微
細粒子複合生成物を含んでおり、ここでは、AXおよび該他の反応体(類)は各
々ある融点を示すがこのAXおよび該他の反応体(類)が示す融点の中で最も低
い融点の約3/4未満である高温および圧力下でこの不完全な反応を起こさせ、
ここで、上記生成物は最小限の粒子成長を示し、そしてこの生成物は、少なくと
も1種の化合物AXを含んでいると共に、(A,B,E)Xから選択されるいろ
いろな化学量論を示す生成物である化合物を少なくとも1種含んでおり、ここで
、A、B、EおよびXは異なる材料であり、Aはチタン、ジルコニウム、ハフニ
ウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステン
から選択される元素であり、Bはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウ
ム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンおよびタングステンから選択される
元素または元素含有材料であるが、但しモリブデンが金属モリブデンまたはそれ
らの合金でないことを条件とし、Xを、ホウ素、炭素、ケイ素および窒素から選
択し、そしてEを、鉄、コバルトおよびニッケルから選択する、材料。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C04B 35/58 105 D 7508−4G
106 Z 7508−4G
C22C 29/02 7356−4K
29/14 7356−4K
29/16 7356−4K
29/18 7356−4K
7508−4G C04B 35/56 P
(72)発明者 ボード, ジユリー・エル
アメリカ合衆国ミシガン州48640ミドラン
ド・サウスパターソン732