JPH08507637A - アルミニウムおよび硫黄の電気化学電池およびセル - Google Patents

アルミニウムおよび硫黄の電気化学電池およびセル

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Abstract

(57)【要約】 アルミニウム陰極(10)、水性硫黄陽極液(22)、および硫黄を還元できる第2の電極(26)からなる電池を提供する。多硫化物陽極(前記電池とともにまたは独立して使用する)には、周囲温度での固体の硫黄(24)、および固体の硫黄な直接アクセスできるように蓄電された陽極の電荷がある。10モル濃度を越える濃度のアルカリ性水酸化物(32)を含有する電解質中に浸漬したときにアルミニウム内に蓄電される大部分の陰極電荷を使用できる陰極(10)(前記電池とともにまたは独立して使用する)についても記載している。

Description

【発明の詳細な説明】 アルミニウムおよび硫黄の電気化学電池およびセル 従来技術 本発明は、半電池が電気化学的に接触している形式の電気化学電池に関するも のである。 エネルギー密度が高く、放電率が中程度から高い、費用効率のよい電池が社会 的に望まれている。そのような電池は、懐中電灯から電気自動車に至る用途に使 用することができる。 様々な金属/溶融硫黄の電池が紹介されており、その中でも主にナトリウム/ 硫黄電池に焦点が当てられている。硫黄の重量が軽いので、これらの系は電気化 学エネルギーの貯蔵にとっては魅力的である。しかしながら、必要条件である、 高温、腐食、熱サイクル、および電池の製造に関連する材料の制約のために上記 電池の開発が遅れている。一般的に、そのような電池は、300℃から350℃までの 範囲の温度で使用でき、ナトリウム、硫黄および反応生成物を液状に維持し、電 解質の導電率を適切なものとするように設計される。例えば、ニューヨークのマ グローヒル社出版のD.LindenのHand book of Batteries(1984)参照。 低温(室温)では、硫黄元素は、固体であり、絶縁体であり、高度に不溶性で ある。すなわち、硫黄元素は、低温では有用な陽極材料となることが期待されて いない。 1989年に、これに代わる低温硫黄電池が紹介された。リヒトの米国特許第4,82 8,942号参照。この特許をここに引用する。リヒトの米国特許第4,828,942号には 、塊で高濃度の還元性硫黄を収容できる電解質を用いた水性電池が記載されてい る。実際に、そのような電池は、水よりも還元性の大きい硫黄(塊で)を提供す る硫黄濃度を達成できるかもしれない。生成した電解質は、溶融硫黄電池のクー ロン容量と同様に大きいクーロン容量を保有するが、中くらいの温度で機能し、 導電性が大きい。飽和K24溶液と接触した過剰のK24(四硫化カリウム)を 含有するセル用に、最大体積電荷密度が、2.8×106C/kg(kg当たりの クーロン)の最大蓄電容量で表されている。この最大蓄電容量は固体のK24の 容量により制限される。室温の硫黄電解質により、電池用の導電性および可逆性 を有する、容量の大きい半電池貯蔵材料が得られる。 スズおよび還元性の高い硫黄のような上述した硫黄電池(リヒトの米国特許第 4,828,942号)と組み合わせる第2の半電池として選択したものは、一般的に電 池の電圧が小さくなってしまう(0.6ボルト以下)。例えば、リヒトのJ.Electr ochem.Soc.134:2137(1987)を参照。硫黄と、電池を完成するための第2の 半電池として選択した様々な代替物との間のエネルギー差は大きい。このように エネルギー差が大きいと、理論的にエネルギー貯蔵が大きくなる可能性があるが 、電池内の物質間で望ましくない化学反応が速まる可能性もある。 本発明の目的は、高エネルギー密度を達成できる安全で信頼性のある電池を提 供することにある。本発明の別の目的は、比較的安価な材料から作ることのでき る電池を提供することにある。 本発明のさらなる目的は、海水を含んでも差支えなく、それにより海水等に浸 したときにも作動する電池を提供することにある。 発明の概要 本発明の第1の発明は、2つの半電池(一方はアルミニウムに基づくものであ り、他方は硫黄に基づくものである)からなる電池(蓄電単電池)を提供する。 具体的には、一方の半電池には、第1の電気的中性のアルカリ性水溶液と接触す る位置にアルミニウムを含む陰極がある。他方の半電池は、1kg当たり少なく とも0.01モルの還元性硫黄、および多硫化物陰イオンを含有する第2の電気的中 性の水溶液を含む。第2の半電池にはさらに、第2の電気的中性の水溶液と電子 を伝達する接触を行なう位置に電流伝達電気触媒電極がある。いかなる理論にも 左右されず、電池の全体的な電気化学反応は下記に示した式(式I)のようであ る。 2Al+3S+3OH-+3H2O−−>2Al(OH)3+3HS- celi=1.8V したがって、本発明の第1の発明により、硫黄が溶液中で電気化学的に還元さ れ、一方固体のアルミニウムから同時に酸化的に放電する電池を提供する。本発 明の第1の発明による電池は、全体的な電池の放電に関して、下記の式(式II) に示すような、アルミニウムの酸化および硫黄の還元により表される。 2Al+3S−−>Al23 アルカリ性水溶液中において、アルミニウムと硫黄の化学的性質により、溶液 中には、Al(OH)4 -、S2、Sx2-(ここでx=2,3,4等)のような多 くの物質が生成される。しかしながら、この分析を簡単にするために、適切なア ルミニウムと多硫化物の半電池を下記の式(式IIIおよびIV)により表してもよ い。 Al+3OH-−−>Al(OH)3+3e- o=−2.3V vs SHE ここでSHEは標準水素電極に対する電圧 および 3S+3H2O+6e-−−>3HS-+3H2O Eo=−0.5V vs SHE 式Iにしたがって、アルミニウム/硫黄電池のファラデー容量(ナトリウム塩 および全ての反応体に基づく)は432Ah/kg(アンペア時間/キログラム) であり、理論的エネルギー密度は、 1.8ボルト×432Ah/kg=777Wh/kg(ワット時間/キログラム)であ る。この777Wh/kgというアルミニウム/硫黄電池のエネルギー密度は、そ れぞれ170、217、336および447Wh/kgの理論的エネルギー密度を有する、鉛 /酸電池、ニッケル/カドミウム電池、亜鉛/酸化マンガン電池、および亜鉛/ 酸化銀電池のような従来の水性電池と比較して優れている。カリウムよりも重量 の軽い陽イオンを使用することにより、アルミニウム/硫黄電池のエネルギー容 量をさらに改良してもよい。例えば、式Iにおいて水酸化カリウムの代わりに水 酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムを使用すると、理論的エネルギー密度がそ れぞれ893および1049Wh/kgまで大きくなる。 本発明の第2の発明は、第1の発明と同様の特徴を有する電池を提供する。こ こで、陰極(第2の半電池)は、アルミニウムの代わりに、リチウム、カルシウ ム、およびマグネシウムからなる群より選択される金属からなる。カルシウム、 マグネシウムおよびリチウムの陰極を用いると、理論的蓄電容量が比較的大きく なる。例えば、それらの理論的蓄電容量は、それぞれ80、132および232A分/g (アンペア分/グラム)である。これらの値は、ほとんどの従来の水性陽極材料 の理論的蓄電容量よりも実質的に大きい。例えば、鉛の蓄電容量は15.5A分/g であり、カドミウムの蓄電容量は28.8A分/gであり、亜鉛の蓄電容量は49.2A 分/gである。陰極は好ましくは、少なくとも99.9%の純度を有する上記金属の うち1つからなるか、または上記金属のうち1つを含む合金からなる。 本発明の第3の発明は、第1または第2の発明の電池を用いて、電池の陽極と 一方の接点との間、および電池の陰極と他方の接点との間を電気的に接触させる ことにより、2つの接点間に直流を生じさせる方法を提供するものである。多硫 化物陰イオンを還元し、陰極を酸化して、相補的レドックス物質を生成し、前記 2つの接点間に電流と電位を生じさせる。 本発明の上記3つの発明の好ましい実施態様においては、少なくとも1種類の 水溶液を固相のレドックス剤と接触させたままにする。例えば、第2の溶液を固 相の硫黄または固体の多硫化物塩と接触させる。第1の溶液を水酸化物塩と接触 させても差支えない。好ましくは、電気触媒電極は、多孔性ニッケルまたは多孔 性黄銅に付着した硫化コバルトのような多孔性物質からなる。あるいは、別の電 気触媒電極は、硫化物または多硫化物溶液に溶解しない金属、金属カルコゲニド (chalcogenide)または金属酸化物からなり、好ましい金属、金属カルコゲニド および金属酸化物としては、白金、パラジウム、ニッケル、銅、コバルト、マン ガン、タングステン、スチール、モリブデン、イリジウム、亜鉛、鉛、上記金属 の合金、上記金属の酸化物、および上記金属のカルコゲニドが挙げられる。電気 触媒電極材料に使用できる他の物質は炭素である。 本発明の上記3つの発明の別の実施態様においては、第2の水溶液はアルカリ 性であり(この水溶液は、下記に記載する陽イオンの水酸化物のような水酸化物 を含む)、この水溶液は、多硫化リンおよび多硫化ヒ素のような溶性多硫化化合 物を含む。この第2の水溶液はまた好ましくは、Li+、Na+、K+、Rb+、C s+、NH4 +、Mg2+、Ca2+、Ba2+およびAl3+からなる群より選択される 陽イオンを含有する多硫化物塩を含む。 また好ましくは、第1の水溶液は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 + 、Mg2+、Ca2+、Ba2+およびAl3+からなる群より選択される陽イオンを 含有する塩のような、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩の陰イオンを有する塩を含 有する。好ましくは、前記水溶液の少なくとも1つがO.001モー/cmから2モ ー/cmまでの範囲から選択される導電率を有し、前記水溶液の少なくとも1つ が海水を含む。第1の水溶液にはまた、水酸化インジウム、酸化ゲルマニウム、 スズ酸ナトリウム、酸化ガリウムおよびイミダゾールのような塩をさらに含ませ てもよい。好ましくは、陰極表面に水銀アマルガムを生じさせる前処理を行なう ことにより、陰極のクーロン効率を高める。 上述したように、アルミニウム(およびリチウムを含む他の金属)は、急速か つ電気よりも熱を放出すると予期される、濃縮水性アルカリ性またはアルカリ性 多硫化物電解質中で化学反応を行なう。したがって、これらの物質からは多硫化 物電池にとって有用な第2の半電池対が得られるとは思えない。しかしながら、 0価の硫黄とは異なり還元された硫黄は、アルミニウムまたは本発明による他の 陰極金属とは急速には反応しない。硫黄のこの特性により、液相中の適切な比率 の硫黄が還元されてアルミニウムまたは他の陰極金属との化学反応が避けられる 場合には、所望の電気化学反応により貯蔵したエネルギーを取り出すことができ る。望ましくない化学反応を避けるために、別々に、または組み合わせて使用で きる適切な方法としては、集電装置の近くに大きな多硫化物フラックス(flux) を維持すること、放電の前に固相中に多量の還元性硫黄を保持すること、分離器 または膜により多硫化物を単離することがある。効果的な電気触媒の表面を通し てまたはその近くに多硫化物を限定することにより、大きな多硫化物フラックス を保持できる。電流伝達電極を、使用できる硫黄の大部分がアルミニウム(また は他の陰極金属)との相互作用の前に還元されるような陽極コンパートメント内 に配置してもよい。電気触媒集電装置の陽極は、安定かつ軽量(例えば、硫化コ バルトのような薄膜金属硫化物)であるので、電圧とエネルギー密度の損失を最 小にしつつ固相から電流を伝達できる。 本発明の好ましい特徴の1つは、陽極液1kg当たり少なくとも0.01モルの還 元性硫黄を含有することにより、陽極の蓄電容量が大きいことである。電気触媒 電極にアクセスできるように還元性硫黄を配置する。この還元性硫黄は、多硫化 物塩、および/または固相多硫化物塩、および/または液体と接触した固相硫黄 を溶解させることにより形成する。多硫化物塩は、K24のような化学式MxS yの物質であり(ここで、Mは電荷z+の陽イオンである)、2y−zxが0よ りも大きい場合には還元性硫黄を含有している。多くの陽イオンが多硫化物塩を 形成する。そのようなMの例としては、Li(リチウム)、Na(ナトリウム) 、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、NH4(アンモニ ウム)、Ba(バリウム)、Sr(ストロンチウム)、およびCa(カルシウム )が挙げられる。 他の好ましい特徴において、アルミニウム電極は電池内の消費される陰極材料 および第2の電流伝達電極の両方を構成する。本発明の電池の陰極は、純粋なア ルミニウムであっても差支えない。このようなアルミニウムは、少なくとも99.9 %の純度で、またはアルミニウム合金として容易に入手できる。アルミニウム合 金は、陰極での電気化学反応が式Iに記載したように起きる組成を有している。 代表的な適切な合金の例としては、アルミニウム−マグネシウム、アルミニウム −スズ、アルミニウム−ガリウム、アルミニウム−インジウム、アルミニウム− インジウム−スズ、アルミニウム−マグネシウム−スズ、アルミニウム−マグネ シウム−スズ−ガリウム、等が挙げられる。アルミニウムを、陰極液、KOHま たはNaOH(水酸化ナトリウム)のような1モル濃度より大きい水性塩基を含 有する水性電解質、および最小量の(20重量パーセント未満)溶解硫黄中に浸漬 する。以下詳細に記載するように、高濃度の水性塩基はセルのエネルギー密度お よび導電率を大きくすることができ、溶液中に添加剤を入れて、セルの電位を大 きくし、分極の損失を減少し、アルミニウムが反応して水素を放出する派生的な 副反応の速度を減少させることができる。これらの添加剤の例としては、イミダ ゾール、インジウム、スズ、およびガリウム酸化金属塩(galliummetal oxide s alts)が挙げられる。 本発明の第4の発明は、体積電荷密度が非常に大きく、本発明の前記3つの硫 黄電池並びに他の電池に使用できる電気化学蓄電システムへの使用に適した電気 化学セルを提供する。このセルには、a)多硫化物陰イオンからなり、1kg当 たり少なくとも約0.01モルの還元性硫黄を含有する塩水溶液、b)前記塩水溶液 と接触しており、該塩水溶液の少なくとも1重量パーセントの量で存在する固体 の硫黄、およびc)前記塩水溶液とイオン電流を伝達する接触を行なうように位 置した電流伝達電気触媒電極がある。セル中の固体の硫黄は、硫黄が飽和した多 硫化物溶液中には溶解しない(例えば、0価の硫黄がほぼ飽和している1から4 モル濃度のK24溶液)。セルの還元性放電が始まると、長さの短い多硫化物が 生成される。 3S4 2-+2e-−−>4S3 2- 次いで、硫黄が溶解し、周りにある溶液と固相硫黄の還元が続けられる。 S3 2-+S−−>4S4 2- この固相/液相硫黄陽極には、蓄電容量が大きく、セルの電圧が高いという利点 がある。固相硫黄は、溶液中でより長い鎖の多硫化物を維持し、この多硫化物は 、陽極的に移行し、セルの電圧を最大限にする。固相硫黄を用いた理論的に最大 の蓄電容量は、固体のK24に可能な2.8×106C/kgの以前の限界よりも実質 的に大きい。この限界(全ての固体の硫黄が溶解し、水中で還元されるので)が 次式により与えられる。 S+H2O+2e-−−>HS-+OH- 本発明の第5の発明は、最高の濃度範囲のアルカリ性水酸化物中の電解質を用 いたアルミニウム電池を提供する(例えば、10モル濃度のアルカリ性水酸化物 )。具体的に言うと、第5の発明は、電気化学蓄電システムに使用する電気化学 半電池を特徴とし、この半電池(完全に充電した状態で)には、a)少なくとも 10モル濃度の[OH-]を含有する溶液中に浸漬されたアルミニウムを有し、陰 極の電気化学蓄電容量を増加させる添加剤を含有する陰極がある。好ましい添加 剤の例としては、水酸化インジウム、酸化ゲルマニウム、スズ酸ナトリウム、酸 化ガリウムおよびイミダゾールが挙げられる。驚くべきことに、このような水酸 化物 の濃度が大きいために、電解質の導電率が減少したにもかかわらず、性能が改良 される(溶液の導電率が6モル濃度のKOHよりも下がってしまう)。さらに、 水酸化物が過剰であると、アルカリ性溶液中でアルミニウムと水酸化物との望ま しくない派生的副反応の速度が増加してアルミン酸塩と水素が生成してしまうと いう予測にもかかわらず、上述したような改良が行なわれる。したがって、本発 明は、10モル濃度よりも大きいアルカリ性水酸化物の濃度を有する電解質にも使 用できるアルミニウム電池を提供する。 本発明の第4の発明を、本発明の最初の3つの発明の好ましい実施態様として 用いてもよく、本発明の第5の発明を、本発明の第1と第3の発明の好ましい実 施態様として用いてもよい。 他の特徴および利点は、以下の好ましい実施態様の記載と請求の範囲から明確 である。 図面の簡単な説明 第1図はアルカリ性水溶液中のアルミニウム/硫黄電池の概略図である。 第2図から第6図並びに表1および表2は以下に記載する実施例について記載 したものである。 実施例 第1図において、セル10は、アルミニウムと硫黄のレドックス対に基づいた電 気化学蓄電単電池である。具体的に言うと、半電池20には水溶液22が含まれてい る。水溶液22は、静止していても、半電池20中に流れ込んだり流れ出したりして もよく、放電の程度または開始条件に依存して、この水溶液22に過剰の固体S( 硫黄)24を含有させてもよい。水溶液22は電気触媒陽極26と接触している。陽極 26から調達される電子により、多硫化物陰イオンが硫化物およびより短い多硫化 物陰イオンに還元される。半電池20内の水溶液22は、半電池30内のKOH溶液32 と接触した状態を維持している。半電池20には、水溶液22と接触するように配置 された軽量の多孔性または平面の電気触媒陽極26がある。電気触媒陽極は、硫化 コバルトまたは硫化銅を含んでいる。例えば、薄い(0.001インチ)平面のスク リーンまたは孔あき黄銅上に、もしくはエルテック社(ニューヨーク)から販売 されているRETEC多孔性Ni(ニッケル)上にコバルトを電着させ、その 後、多硫化物溶液中で陰イオン処理および陽イオン処理を交互に行なうことによ り、軽量のポリ硫化コバルト電極を作成することができる。 アルミニウム電極34は半電池30内の溶液32と接触している。電極34内でアルミ ニウムが酸化される際に電子が放出される。本発明の電池の陰極は純粋なアルミ ニウムであっても差支えない。このような純粋なアルミニウムは、少なくとも99 .0%の純度か、またはアルミニウム合金として容易に入手できる。適切なアルミ ニウム合金は、ニューヨークのアルカン(ALCAN)から販売されているDF 5OVであり、これは、合計で1重量パーセント未満のマグネシウム、スズおよ びガリウムを含有している。これらの電解質に液相添加剤(例えば、イミダゾー ル、インジウム、スズ、およびガリウム酸化金属塩)を加えて、アルミニウムの 放電を改良または安定化しても差支えない。具体的には、10mモル濃度のIn( OH)3(水酸化インジウム)を13.5モル濃度のKOH溶液に加えた。K2S(硫 化カリウム)に硫黄を添加することにより、K24水溶液22を調製した。KOH のH2S(硫化水素)との質量監視反応(mass moniored reaction)によりK2S を調製した。 上記のごとく記載した反応は、電池反応体を放出し、所望の電気エネルギーで はなく熱を放出した。驚くべきことに、アルミニウムと硫黄との間の化学反応が 望ましくないにもかかわらず、リヒト等の米国特許第4,828,942号に記載されて いるもののような水性多硫化物セルを補足する陰極としてアルミニウムが適して いる。以下の工程のうちのすくなくとも1つを用いることにより、このような望 ましくない結果が避けられる。(i)溶解した硫黄が移動して陰極と接触する前 に、この硫黄を非反応性還元硫黄に転化する。(ii)大部分の硫黄を固相状態に 維持することにより陰極から硫黄を物理的に隔離する。(iii)陰極の近傍の方 に多硫化物イオンフラックスを制限する。(iv)陰極の近くの陰極液の層流また は陽極の近くの陽極液の層流により溶解した硫黄を陰極から隔離する。 第1の手段において、陽極液および陰極液を多孔性電気触媒陽極26により物理 的に分離する。放電中に、硫黄は陽極液室から陰極液室へと陽極26の多孔を通過 しながら非反応性還元硫黄に転化される。第2の手段において、セルが放電を開 始した際のみに溶性である固体硫黄24を、陽極液22と接触させ続け、アルミニウ ム陰極34とは接触させない。第3の手段において、陽イオン選択性膜28のような 分離装置が陽極液室から多硫化物陽イオンが排出されるのを防ぐ。適切な膜には 、セロファンまたはライポア(ニューヨーク)により市販されているパーミオン HD2291のような陽イオン選択性膜がある。あるいは、第4の手段において 、層内の層流が、アルミニウムおよび溶解硫黄を隔離する乱れていない流動が生 じる。 水溶液の導電率は0.001から2モー/cmまでの範囲である。この水溶液には 海水を含ませても差支えない。 上述したように、第1図に示した電池の水溶液は、静止していても、これらの 水溶液を含有する電池の仕切りが別々の流路の部分を形成するように配置されて いても差支えない。溶液を流す適切な配置がアンダーソンの米国特許第3,953,23 9号に示されている。各々の流路には、電解質溶液を貯蔵するリザーバおよび電 解質溶液を流路(パイプまたは管から作られる)に流し込むポンプがあっても差 支えない。溶液の温度を制御する熱交換器およびサーモスタット、溶液中に蓄積 する水素または他の気体を制御する気体分離器、アルミン酸塩または他の固体等 が蓄積するのを制御する固体分離器、および水溶液中の塩の濃度を制御する電解 質調節器のような、流路内に含まれる装置により、電解質の特徴を制御しても差 支えない。電池にはまた、セル内に溶液を流して分布させるマニホールドを備え 付けても差支えない。 以下の具体的な実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定 することを意図したものではない。 実施例1 第2図は、アルミニウム/硫黄電池に用いられる別々のアルミニウム半電池と 硫黄半電池への迅速なアクセシビリティ、およびこれら2種類の半電池に関する 最小の分極損失を示すグラフである。第2図の上側の角にあるグラフは、1mV /s(ミリボルト/秒)の掃引速度で0.001インチの黄銅上にある1cm2CoS (硫化コバルト)上の7.7モル濃度のK24の水溶液をポテンシオスタチック(p otentiostatic)還元したことを示すものである。第2図の下側の角にあるグラ フは、0.1mV/sで18モル濃度のKOHおよび10mモル濃度のIn(OH)3 の撹拌した水溶液中においてアルミニウムをガルバノスタチック(galvanostat ic)酸化したことを示すものである。測定した酸化分極は、99.999%のAlから なる陰極またはアルカンから得られる合金陰極AB50V(現在DH50V)の いずれかと同様である。上記合金は、99%を越えるアルミニウムからなり、マグ ネシウム、ガリウムおよびスズを含んでいる。 実施例2 この実施例は、硫黄の水溶液を含有するセル内のアルミニウム/硫黄電池およ びアルミニウム陰極の放電を示すものである。第3図は、アルミニウムからK2 S水溶液(K2S水溶液は、KHS(硫化カリウム水素)およびKOHを等モル 含む溶液と同意のものとして記載した)中に実質的に放電してもよいが、K24 水溶液中には連続して放電してはいけないことを示している。表示した各々の曲 線において、25℃で表示の電解質1ml中に25オームの抵抗器を用いて3cm2 のアルミニウムから放電した。第4図は、第1図に示したアルミニウム/硫黄電 池の放電した電流と体積電荷密度が大きいことを示している。多硫化物電解質に は、7.7モル濃度のK24を18ml含んでいた。陰極電解質は、18モル濃度のK OHおよび10mモル濃度のIn(OH)3の溶液32mlからなるものであった。 容量のパーセントは、陰極液中に得られるKOHと同等のものに対して生成され たクーロンを比較することにより測定した。2つの電解質の間のイオン的接触は 、60cm2の多孔性CoS電気触媒陽極を通じて保持した。この陽極には、多孔 性の0.001インチ厚の黄銅の2枚の平行な板上に形成された薄いCoSの膜があ る。陰極は60cm2のAB50Bアルミニウムのシートからなる。 実施例3 第5図および表1は、小さなアルミニウム/硫黄電池の放電を説明するもので ある。第5図は、陰極液添加剤を加えること、および/またはアルミニウム陰極 を合金にすることの、25℃で縮小型矩形アルミニウム/硫黄セルの放電容量への 影響を示している。この実施例において、電解質にスズ酸ナトリウム(Na2S nO3)を加えたことにより、99.999%のアルミニウムまたはAB50Vアルカ ンアルミニウムのいずれかからなる陰極の容量が改良された。電解質にスズ酸ナ トリウムを加えることにより、99.999%のアルミニウム陰極を用いたセルにおい て放電電圧が増加したが、合金陰極を用いたセルにおいては電圧が減少した。セ ルには、18モル濃度のKOH陰極液(10mモル濃度のNa2SnO3を含むものと 含まないもの)0.9ml中に浸漬した1.5cm×2cm(6cm2)のアルミニウ ム陰極および7.7モル濃度のK24陽極液0.5ml中に浸漬した1.5cm×2cm (3cm2)のCoS改質黄銅陽極があり、ライポアHD2291膜により各々 の側が隔てられている。15オームの抵抗でセルに放電させた(約10mA/cm2 (ミリアンペア/cm2))。陰極液中で得られるKOHの同等物に対して生成 されたクーロンを比較することにより容量のパーセントを測定した。放電の電流 密度が大きいほど容量が改良されることが分かった。 表1は、様々な小型のアルミニウム/硫黄電池の放電結果を列記し、10モル濃 度よりも濃縮されたアルカリ性水酸化物溶液中で高クーロン効率までアルミニウ ム陰極を連続的に放電させてもよいことを示している。アルカリ性溶液中でアル ミニウムは水酸化物と化学的に反応する。この望ましくない派生的な副反応の速 度は、過剰の水酸化物を含有する電解質中で大きくなると予測されている。予期 せぬことに、表1に列記したように、約10mA/cm2で放電したアルミニウム /硫黄の小型セルにおいて、陰極液KOHのクーロン変換効率は、5.4および18 モル濃度のKOH中で、それぞれ39%から45%に上昇し、一方で、アルミニウム 利用効率は60%より大きく上昇した。このことは、水酸化物の濃度が非常に濃い と、放電中の容易な電子の移送に影響を与えることなく、陰極での分解を妨げる 陰極酸化物の上側層の形成を促進させることを示唆している。 酸化ガリウム添加剤を加えたセル中において、測定した開回路アルミニウム/ 硫黄セル電位が1.37Vの最高値に達する。しかしながら、酸化ガリウムにより活 性化されたアルミニウム表面は、急激な水素の発生、過剰な熱の発生、およびア ルミニウムとKOHのクーロン使用効率が小さいこと(約5%)のために抑制さ れてしまう。表1はまた、In(OH)3添加剤を加えると、アルミニウム利用 効率が60%より大きくなることを示している。99.999%のアルミニウム陰極をア マルガム化することにより(放電前に1モル濃度のHNO3および50mmのHg (NO32(硝酸水銀)の溶液中に300秒間に亘りアルミニウムを浸漬すること による)、100%に近いクーロン効率を達成したが、分極損失が4倍となって 70(mV)(cm2)/mAを越えるほどになる。イミダゾールもまた利用効率 を改良することが分かった。 表1に示すように、18モル濃度のKOHおよび10mモル濃度のNa2SnO3電 解質の溶液中に浸漬した99.999%の純粋なアルミニウム陰極またはMg/Sn/ Gaアルミニウム合金のいずれかにとって、クローン変換効率は同様であった。 In(OH)3電解質中で合金は特に安定化されていた。18モル濃度のKOHお よび10mモル濃度のIn(OH)3の溶液O.92ml中に浸漬した合金のアルミニ ウム利用効率は、45℃での67%から20℃での80%まで上昇した。陰極放電の程度 はまた水酸化物利用効率に影響する。18モル濃度のKOHおよび10mモル濃度の In(OH)3の溶液を含有する陰極区画を容積で0.25mlから1.84mlに増加 させた(理論的容量を2,400クーロンに増加することによる)。アルミニウム合 金陰極を使うことにより、陰極容量の増加とともに、KOHの利用がファラデー 変換効率にして46%から79%に上昇し、アルミニウム利用効率が80%を越えた。 実施例4 第6図は、約0.05L(リットル)の内部材料を含有する大型のアルミニウム/ 硫黄電池の放電中の温度の影響を示している。第6図はまた、温度を上昇させる ことによりセル電圧が増加し、放電時間が減少することを説明している。7.7モ ル濃度のK24陽極液0.018Lおよび18モル濃度のKOHおよび10mモル濃度の In(OH)3陰極液0.032Lを含有する矩形のセルに関して、20、25、30および 45℃で1.03オーム以上の電気抵抗でセルから放電させた。60cm2のAB50V のアルカンアルミニウム陰極の各々の側を60cm2のライポアHD2291膜お よび60cm2の薄膜CoS陽極により隔てた。第6図の挿入図は20、35および55 ℃でのセルの分極を示すものである。 表2は、20℃での従来の水性電池に匹敵するアルミニウム/硫黄電池の放電時 間が延長したことを示すものである。アルミニウム/硫黄セルは、矩形のセル内 に、7.7モル濃度のK24陽極液0.018Lおよび18モル濃度のKOHおよび10mモ ル濃度のIn(OH)3の溶液0.032Lを含有している。従来のセルの放電データ はD.LindenのHandbook of Batteriesから得たものである。 実施例5 この実施例は、多硫化物陽極内で固体の硫黄中に貯蔵させた陽極電荷に直接ア クセスする能力を説明するものであり、またアルミニウム/硫黄電池内のエネル ギー密度を測定するものである。第6図には、発生した陽極電荷の大部分が、陽 極室中に浸漬された固体の硫黄に起因するアルミニウム/硫黄電池の放電データ がある。陽極室は、7.4g(0.0037L)の固体の硫黄と、3.5gのH2Oおよび4.6 gのK24を含有する0.0006リットルの7.7モル濃度のK24陽極液と、K22 4陽極液と、1つの60cm2の薄膜CoS電極とを含んでいる。1.03オームの抵 抗を加えて45℃でセルを放電させた。このセルは、30.9gのH2O、30.4gのK OHおよび0.08gのIn(OH)3を含有する18モル濃度のKOH、10ミリモル 濃度のIn(OH)30.040リットル中に浸漬された1つの面を有する60cm2の AB50Vアルカンアルミニウム陰極を有する。陰極は一方の側が、陽極室と接 触している60cm2のライポアHD2291膜により隔てられている。接点を除 いたCoS電極の質量は2.1gであり、消費したアルミニウムの質量は5.7gであ り、膜の質量は0.35gである。放電中に発生した43,400クーロンは、KOHに基 づいて83%の変換効率を、K24に基づいて72%の変換効率を、消費したアルミ ニウムに基づいて71%の変換効率を示し、10.3Whを達成した。セル成分の質量 と比較すると、このことは、水を除いた物質に基づいて200Wh/kgのエネル ギー密度(「水活性化」セルを模範とする)および全体の物質に基づいて120W h/kgのエネルギー密度を示し、さらにより多くの固体の硫黄(10gまでの硫 黄)を含有するセルにおいて、さらに20%のエネルギー密度が追加されたことが 明らかであった。放電中に、固体のAl(OH)3(水酸化アルミニウム)の厚 膜が、セルの性能には影響を与えないアルミニウムの表面に発生した。これらの エネルギー密度は、ニッケル/カドミウム電池と鉛/マンガン電池について測定 したエネルギー密度35Wh/kg、アルカリ性電池(亜鉛/酸化マンガン)につ いて測定したエネルギー密度95Wh/kg、および亜鉛/酸化銀電池について測 定したエネルギー密度130Wh/kgより優れている。 本発明を詳細に記載したが、本発明の精神から逸脱することなく本発明を変更 してもよいことが当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は記載し た具体的な実施態様に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲に より決定されるものである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 互いに電気化学的に接触するように配置された第1と第2の2つの半電池 からなる蓄電単電池であって、 前記第1の半電池が、電気的に中性の第1のアルカリ性水溶液と接触するよ うに配置されたアルミニウムからなる陰極を有し、 前記第2の半電池が、前記蓄電単電池を完全に充電したときにkg当たり少 なくとも0.01モルの還元性硫黄を含有する、多硫化物陰イオンを含む電気的に中 性の第2の水溶液と、該第2の水溶液と電子を伝達する接触を行なうように配置 された電流を伝達する電気触媒電極とを有することを特徴とする蓄電単電池。 2. 前記陰極が99.9%の純粋なアルミニウムまたはアルミニウム合金であるこ とを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 3. 前記水溶液のうち少なくとも一方が、固相のレドックス剤と接触している ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 4. 前記固相レドックス剤が、固相の硫黄、固体の多硫化物塩、および水酸化 物塩からなる群より選択される材料からなることを特徴とする請求の範囲第3項 記載の蓄電単電池。 5. 前記電気触媒電極が多孔性材料からなることを特徴とする請求の範囲第1 項記載の蓄電単電池。 6. 前記電気触媒電極が、多孔性ニッケルまたは多孔性黄銅に付着してなる硫 化コバルトからなることを特徴とする請求の範囲第5項記載の蓄電単電池。 7. 前記電気触媒電極が、金属、金属カルコゲニドまたは金属酸化物からなり 、前記第2の水溶液には溶解しないことを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄 電単電池。 8. 前記電気触媒電極が、白金、パラジウム、ニッケル、銅、コバルト、マン ガン、タングステン、スチール、モリブデン、イリジウム、亜鉛、鉛、これら金 属の合金、これら金属の酸化物およびこれら金属のカルコゲニドからなる群より 選択される材料からなることを特徴とする請求の範囲第7項記載の蓄電単 電池。 9. 前記電気触媒電極が炭素電極であることを特徴とする請求の範囲第1項記 載の蓄電単電池。 10. 前記第2の水溶液が、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 +、M g2+、Ca2+、Ba2+およびAl3+からなる群より選択される陽イオンを含有す る多硫化物塩を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 11. 前記第2の水溶液が溶性多硫化物化合物を含むアルカリ性溶液であるこ とを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 12. 前記溶性多硫化物化合物が多硫化リンおよび多硫化ヒ素であることを特 徴とする請求の範囲第11項記載の蓄電単電池。 13. 前記第1の水溶液が水酸化物化合物を含むことを特徴とする請求の範囲 第1項記載の蓄電単電池。 14. 前記水酸化物化合物が、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、NH4 +、 Mg2+、Ca2+、Ba2+およびAl3+からなる群より選択される陽イオンを含有 することを特徴とする請求の範囲第13項記載の蓄電単電池。 15. 前記第1の水溶液が、ハロゲン化物、硝酸塩、または硫酸塩の陰イオン を有する塩を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 16. 前記塩が、Li+、Na+、K+、Rb+、CS+、NH4 +、Mg2+、Ca2 + 、Ba2+およびAl3+からなる群より選択される陽イオンを含有することを特 徴とする請求の範囲第15項記載の蓄電単電池。 17. 前記水溶液のうちの少なくとも一方が、0.001モー/cmから2モー/ cmまでの範囲から選択される導電率を有することを特徴とする請求の範囲第1 項記載の蓄電単電池。 18. 前記水溶液のうちの少なくとも一方が海水を含むことを特徴とする請求 の範囲第1項記載の蓄電単電池。 19. 前記第1の水溶液が添加剤を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記 載の蓄電単電池。 20. 前記添加剤が、水酸化インジウム、水酸化ゲルマニウム、スズ酸ナトリ ウム、酸化ガリウムおよびイミダゾールからなる群より選択されることを特徴と する請求の範囲第19項記載の蓄電単電池。 21. 前記陰極の表面を前処理して該陰極のクーロン効率を高めることを特徴 とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 22. 前記陰極の表面が、アマルガム化されたHgからなることを特徴とする 請求の範囲第21項記載の蓄電単電池。 23. 前記電気触媒電極が前記第1の水溶液と前記第2の水溶液との間に配置 されて、前記多硫化物陰イオンの大部分を還元し、前記第2の半電池の前記多硫 化物陰イオンと前記陰極との間の化学的反応性物質の伝達を妨げることを特徴と する請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 24. 前記電気触媒電極が多孔性であり、前記第1の水溶液を前記第2の水溶 液から隔てて前記第2の半電池の前記多硫化物陰イオンと前記陰極との間で化学 的に活性な物質の伝達を妨げることを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単 電池。 25. 前記電気触媒電極の領域において層流を発生させて、前記領域に前記多 硫化物陰イオンを閉じ込めて、前記多硫化物陰イオンを前記陰極に伝達する前に 該多硫化物陰イオンの還元を促進する手段を有することを特徴とする請求の範囲 第1項記載の蓄電単電池。 26. 前記第1の水溶液を前記レドックス物質から隔てるように配置されるこ とにより、前記第2の半電池の前記多硫化物陰イオンと前記陰極との間で化学的 に活性な物質の伝達を妨げる膜を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載 の蓄電単電池。 27. 前記膜がイオンを通してイオン電流伝達に影響を与えることを特徴とす る請求の範囲第27項記載の蓄電単電池。 28. 前記第2の半電池が前記第2の水溶液と接触した固体の硫黄を含み、該 固体の硫黄が前記第2の水溶液に対して少なくとも1重量パーセントの量で含ま れることを特徴とする請求の範囲第1項記載の蓄電単電池。 29. 前記第1の水溶液が、少なくとも10モル濃度の[OH-]および前記陰 極の電気化学蓄電容量を大きくする添加剤を含むことを特徴とする請求の範囲 第1項記載の蓄電単電池。 30. 前記添加剤が、水酸化インジウム、水酸化ゲルマニウム、スズ酸ナトリ ウム、酸化ガリウムおよびイミダゾールからなる群より選択されることを特徴と する請求の範囲第29項記載の蓄電単電池。 31. 互いに電気化学的に接触するように配置された第1と第2の2つの半電 池からなる蓄電単電池であって、 前記第1の半電池が、電気的に中性の第1のアルカリ性水溶液と接触するよ うに配置された金属からなる陰極を有し、ここで該金属が、リチウム、カルシウ ム、およびマグネシウムからなる群より選択され、 前記第2の半電池が、前記蓄電単電池を完全に充電したときにkg当たり少 なくとも0.01モルの還元性硫黄を含有する、多硫化物陰イオンを含む電気的に中 性の第2の水溶液と、該第2の水溶液と電子を伝達する接触を行なうように配置 された電流を伝達する電気触媒電極とを有することを特徴とする蓄電単電池。 32. 前記陰極が、少なくとも99.9%の純度を有するリチウムまたはリチウム 合金からなることを特徴とする請求の範囲第31項記載の蓄電単電池。 33. 前記陰極が、少なくとも99.9%の純度を有するカルシウムまたはカルシ ウム合金からなることを特徴とする請求の範囲第31項記載の蓄電単電池。 34. 前記陰極が、少なくとも99.9%の純度を有するマグネシウムまたはマグ ネシウム合金からなることを特徴とする請求の範囲第31項記載の蓄電単電池。 35. 第1の接点と第2の接点との間に直流を発生させる方法であって、 請求の範囲第1項または第31項記載の蓄電単電池を用意し、 前記第1の接点と前記第2の接点とを電気的に接触させ、 前記多硫化物陰イオンを還元し、前記陰極を酸化することにより、相補的な レドックス物質を生成し、前記第1の接点と前記第2の接点との間に電流と電位 を発生させることを特徴とする方法。 36. 電気化学蓄電システムに使用する電気化学半電池であって、 a) 多硫化物陰イオンを含み、kg当たり少なくとも約0.01モルの還元性 硫黄を含有する塩水溶液、 b) 該塩水溶液と接触し、該塩水溶液に対して少なくとも1重量パーセン トの量で含まれる固体の硫黄、および c) 前記塩水溶液とイオン電流を伝達する接触を行なうように配置された 電流を伝達する電気触媒電極 からなることを特徴とする電気化学半電池。 37. 電気化学蓄電システムに使用する電気化学半電池であって、完全に充電 した状態のときに、 a) 少なくとも10モル濃度の[OH-]および陰イオンの電気化学蓄電容 量を大きくする添加剤を含有する溶液中に浸漬されたアルミニウムからなる陰極 、からなることを特徴とする電気化学半電池。 38. 前記添加剤が、水酸化インジウム、酸化ゲルマニウム、スズ酸ナトリウ ム、酸化ガリウムおよびイミダゾールからなる群より選択されることを特徴とす る請求の範囲第37項記載の電気化学半電池。
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