JP2019129044A - 一次電池 - Google Patents

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絵美 黒松
栄人 渡邉
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栄人 渡邉
忠司 掛谷
Tadashi Kakeya
忠司 掛谷
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Abstract

【課題】アルミニウムの利用率及び放電容量に優れる一次電池を提供する。【解決手段】本発明の一次電池は、正極と、負極活物質を含有する負極と、水系電解質とを備え、上記負極活物質が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、上記水系電解質が、第1化合物と、第2化合物と、上記第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンとを含有し、上記第1化合物が、グルコン酸類であり、上記第2化合物が、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物であり、上記水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が、0.35以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、一次電池に関する。
負極としてアルミニウムを使用する一次電池は、亜鉛を負極として用いる一次電池に比べ、高電圧、高容量、軽量化が期待できるため、古くから検討されている。例えば従来技術においては、少なくとも2種類の元素からなる金属間化合物と、アルミニウム及びアルミニウム合金のうち少なくとも一方とを含有する負極活物質とを含む負極、及び沃素成分を含有する電解液を具備することにより、放電中のガス発生量が低減され、放電持続時間が改善されたアルミニウム電池が開示されている。
特開2005−353315号公報
しかしながら、アルミニウムは両性元素であることから、酸にもアルカリにも弱く、水素の発生等の副反応を起こす傾向があるため、アルミニウムの利用率が低いという課題がある。高出力の電池へのニーズが増加している現在にあっては、よりアルミニウムの利用率及び放電容量を高めるとともに、放電容量に優れる電池が求められている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、アルミニウムの利用率が高く、放電容量に優れる一次電池を提供することである。
正極と、負極活物質を含有する負極と、水系電解質とを備え、上記負極活物質が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、上記水系電解質が、第1化合物と、第2化合物と、上記第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンとを含有し、上記第1化合物が、グルコン酸類であり、上記第2化合物が、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物であり、上記水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が、0.35以下である一次電池である。
本発明によれば、アルミニウムの利用率及び放電容量に優れる一次電池を提供することができる。
本発明の一態様に係る一次電池は、正極と、負極活物質を含有する負極と、水系電解質とを備え、上記負極活物質が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、上記水系電解質が、第1化合物と、第2化合物と、上記第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンとを含有し、上記第1化合物が、グルコン酸類であり、上記第2化合物が、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物であり、上記水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が、0.35以下である。
当該一次電池によれば、水系電解質の添加剤としてグルコン酸類にさらに特定の化合物を組み合わせることで、負極活物質におけるアルミニウムの利用率及び放電容量を高めることができる。この理由については定かでは無いが、以下の理由が推測される。水系電解質が、添加剤としてグルコン酸類と、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物とを含有することで、放電により負極から溶出されたアルミニウムがこれらの化合物と錯体を形成し、アルミニウムの溶解性が向上する。その結果、負極表面のアルミニウムの酸化物皮膜(Al)の生成が抑制されて負極表面の新生面が維持されるため、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量に優れる。
また、グルコン酸類は、負極表面に吸着して保護膜を形成すると考えられるが、吸着量が多いため、アルミニウムの溶解反応は、グルコン酸類が吸着していない部分に集中しやすい。そのため、グルコン酸類が吸着した部分の周囲においてアルミニウムの溶解反応が進行する結果、グルコン酸類の吸着した部分のアルミニウムが塊で脱落してしまい放電反応に寄与できないので、放電容量が低くなってしまうと推測される。ここで、グルコン酸に加えて、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物を電解質に添加することにより、グルコン酸の吸着を抑制することができ、アルミニウムの表面が均一に反応するため、塊で脱落するアルミニウムの割合が低下し、放電容量が増大するものと考えられる。
上記水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度としては、1mol/dm以上9mol/dm以下が好ましい。上記総濃度が、上記範囲であることで、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量をより高めることができる。
上記水系電解質の上記総濃度に対する上記第1化合物のモル濃度比としては、0.04以上0.20以下が好ましい。上記総濃度に対する上記第1化合物のモル濃度比が、上記範囲であることで、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量をより高めることができる。
本発明の一実施形態に係る一次電池について詳説する。
<一次電池>
本発明の一態様に係る一次電池は、正極と、負極活物質を含有する負極と、水系電解質とを備える。
[負極]
負極は、金属イオンを放出可能な負極活物質を含有する。上記負極活物質は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する。負極活物質がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有することで、セル電圧が高くなる。また、アルミニウム、又はアルミニウムと合金を形成する金属元素が、水系電解質中のグルコン酸又はグルコン酸塩と反応して容易に錯体化されて負極表面の新生面が現れやすくなることにより、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面の酸化被膜による初期の反応性の低さを改善でき、放電しやすくなる。
上記アルミニウムと合金を形成する金属元素としては、例えばZn、In、Bi、Sn、Si、Ga等が挙げられ、上記金属元素は1種以上であってもよい。これらの中ではSn、In、Gaが負極の反応電位を卑にできるという観点から好ましい。
上記アルミニウム合金の組成としては、高率放電に伴う過電圧の減少によるセル電圧の向上の観点から、例えばSnの含有量が0.5質量%以上5.0質量%以下のAl−Sn合金、Inの含有量が0.5質量%以上5.0質量%以下のAl−In合金等を挙げることができる。
[水系電解質]
上記水系電解質は、水等の水系溶媒に電解質塩を含有する。また、上記水系電解質は、添加剤として第1化合物であるグルコン酸類を含有し、さらに、第2化合物である分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物を含有する。水系電解質が、グルコン酸類と、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物とを含有することで、放電により負極から溶出されたアルミニウムがこれらの化合物と錯体を形成し、アルミニウムの溶解性が向上する。その結果、負極表面のアルミニウムの酸化物皮膜(Al)の生成が抑制されて負極表面の新生面が維持されるため、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量を高めることができる。
(電解質塩)
電解質塩としては、アルカリ金属化合物が好ましい。アルカリ金属化合物としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができるが、伝導度の観点からカリウム塩が好ましい。電解質塩としては、ハロゲン化物も好ましく、アルカリ金属ハロゲン化物がより好ましい。ハロゲン化物としては、フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩等を挙げることができるが、溶解度や電導度の観点から塩化物塩が好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、たとえば塩化カリウム等を用いることが好ましい。電解質塩として、アルカリ金属ハロゲン化物を用いた場合、電解質にはアルカリ金属イオンとハロゲン化物イオンとが含有される。
当該水系電解質における上記電解質塩の含有量は特に限定されないが、含有量の下限としては、0.1mol/dmが好ましく、0.2mol/dmがより好ましく、0.3mol/dmがさらに好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/dmが好ましく、2mol/dmがより好ましく、1.5mol/dmがさらに好ましい。
(第1化合物)
第1化合物は、グルコン酸類である。上記グルコン酸類とは、グルコン酸及びグルコン酸塩をいう。水系電解質におけるグルコン酸又はグルコン酸塩の含有量の下限としては、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量向上の観点から0.05mol/dmが好ましく、0.1mol/dmがより好ましい。上記含有量の上限としては、電解質の粘度上昇抑制の観点から5mol/dmが好ましく、2mol/dmがより好ましい。
(第2化合物)
第2化合物は、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物である。第2化合物としては、例えばクエン酸類、トリエチレングリコール、酢酸類、リンゴ酸類、エチレンジアミン四酢酸類又はこれらの組み合わせが挙げられる。
上記クエン酸類とは、クエン酸及びクエン酸塩をいう。また、クエン酸としては、無水クエン酸及びクエン酸水和物が含まれる。クエン酸塩としては、例えばクエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸三カルシウム、二クエン酸三マグネシウム、クエン酸三アンモニウム等が挙げられる。
上記酢酸類とは、酢酸及び酢酸塩をいう。酢酸塩としては、例えば酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
上記リンゴ酸類とは、リンゴ酸及びリンゴ酸塩をいう。リンゴ酸塩としては、例えばリンゴ酸二ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸リチウム、リンゴ酸カルシウム、リンゴ酸マグネシウム、リンゴ酸アンモニウム等が挙げられる。
エチレンジアミン四酢酸類とは、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAともいう。)及びエチレンジアミン四酢酸塩をいう。エチレンジアミン四酢酸塩としては、例えばEDTA3Na、EDTA3K、EDTA3Li、EDTA2Na・Ca、EDTA2Na・Mg、EDTANH等が挙げられる。
第2化合物としては、これらの中でもアルミニウムの錯体化をより向上できる観点から、クエン酸、クエン酸三カリウム、EDTA3Naが好ましい。
水系電解質における上記第2化合物の含有量の下限としては、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量向上の観点から0.05mol/dmが好ましく、0.1mol/dmがより好ましい。上記含有量の上限としては、電解質の粘度上昇抑制の観点から5mol/dmが好ましく、2mol/dmがより好ましい。
上記プロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度の上限としては、35mol/dmが好ましく、20mol/dmがより好ましく、15mol/dmがさらに好ましく、10mol/dmがよりさらに好ましく、9mol/dmが特に好ましい。上記総濃度の下限としては、0.3mol/dmが好ましく、0.5mol/dmがより好ましく、0.8mol/dmがさらに好ましく、1mol/dmがよりさらに好ましい。上記総濃度が上記の範囲であることで、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量をより高めることができる。
上記プロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンのモル濃度比の上限としては、0.35であり、0.30が好ましく、0.27がより好ましい。また、上記総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比の下限としては、0.05が好ましく、0.06がより好ましい。上記総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が、上記範囲であることで、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量を高めることができる。また、第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンとしては、無機物イオンが好ましく、ハロゲン化物イオンがさらに好ましい。
上記水系電解質の上記総濃度に対する上記第1化合物のモル濃度比の下限としては、0.04が好ましく、0.05がより好ましい。また、上記モル濃度比の上限としては、0.20が好ましく、0.17がより好ましく、0.15がさらに好ましい。上記第1化合物のモル濃度比が、上記範囲であることで、当該一次電池のアルミニウムの利用率及び放電容量をより高めることができる。
上記水系電解質のpHの下限としては、4が好ましく、5がより好ましい。上記pHの下限が上記範囲であることで、放電容量が大きくなる。一方、上記水系電解質のpHの上限としては、14が好ましく、13がより好ましい。上記pHの上限が上記範囲であることで、アルカリによるアルミニウムの腐食が抑制され放電容量が大きくなる。
上記水系電解質は、本発明の効果を阻害しない限り、上記水系溶媒、上記電解質塩、上記化合物以外の他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、一般的な一次電池の水系電解質に含有される各種添加剤を挙げることができる。但し、これらの他の成分の含有量としては、5質量%以下が好ましいこともあり、1質量%以下がより好ましいこともある。
上記水系電解質は、上記水系溶媒に上記電解質塩、上記化合物等を添加し、溶解させることにより得ることができる。
[正極]
正極は、正極活物質を含有する正極活物質層を有する。また、正極活物質である酸素を含む拡散層及び触媒層を有する空気極を正極としてもよい。さらに、正極は、正極基材を有していてもよい。
(正極活物質層)
上記正極活物質層に含有される正極活物質としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、導電性ポリマー、酸素などが挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化マンガン、二酸化鉛、酸化銀、酸化鉄等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば水酸化ニッケル等が挙げられる。金属硫化物としては、例えば二硫化鉄または二硫化コバルト等が挙げられる。導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等が挙げられる。
正極活物質層は、任意の成分として導電助剤、バインダー(結着剤)等を含む。また、正極活物質が酸素の場合、触媒を含有することが好ましい。
導電助剤としては、例えば天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、金属、金属酸化物、導電性セラミックス等が挙げられる。正極活物質中の導電剤の含有量としては、1質量%以上20質量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤の含有量を上記範囲とすることで、正極合剤層中の電子伝導性を十分に高めることができるとともに、正極反応を十分なものとすることができる。
バインダーとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアクリル酸等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子などが挙げられる。
(触媒層)
触媒は、正極が空気極である場合における酸素の還元反応を促進する。触媒としては還元可能な材料であればよく、例えば、活性炭等の炭素材料、白金、パラジウム、イリジウム等の非酸化物材料、フタロシアニン系化合物、ナフトシアニン系化合物、鉄ポルフィリン、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物、チタン、タンタル、ニオブ、タングステン及びジルコニウム又はこれらの組み合わせの金属を含むイリジウム酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物等の酸化物材料等が挙げられる。
(拡散層)
拡散層の材料としては、例えば天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、活性炭、金属、金属酸化物、導電性セラミックス等が挙げられる。拡散層中のこれらの材料の含有量としては、10質量%以上80質量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤の含有量を上記範囲とすることで、拡散層中の電子伝導性を十分に高めると共に酸素の流入を速やかとすることができるため、正極反応を十分なものとすることができる。また、拡散層は、上述のバインダーをさらに含む。
(正極基材)
正極基材は、導電性を有する基材である。正極基材の材質としては、例えば、ニッケル、クロム、鉄、チタン、銅等の金属又はそれらの合金、カーボン材料、窒化チタン等が挙げられる。
[セパレータ]
正極と負極の間には、正極および負極間において電子の移動を妨げるセパレータを配置することができる。セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも多孔質樹脂フィルムが好ましい。多孔質樹脂フィルムの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。また、これらの樹脂とアラミドやポリイミド等の樹脂とを複合した多孔質樹脂フィルムを用いてもよい。正極活物質が酸素である空気電池の場合、セパレータに水系電解質を含浸させることもできる。また、イオン交換膜をセパレータとして使用することもできる。なお、正極及び負極が接触しないように配置され、かつ正極及び負極との間に電解液を保持できる構造であれば必ずしもセパレータは必要とされるものではない。
以上のように、当該一次電池によれば、アルミニウムの利用率に優れるので、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される一次電池に好適に用いることができる。
[一次電池の製造方法]
一次電池の製造方法は特に限定されず、公知の方法を組み合わせて行うことができる。例えば負極及び正極を作製すること、これらの一対の電極(負極及び正極)を電池容器に収容すること、上記電池容器に上記水系電解質を注入すること、注入後、注入口を封止すること等によって、一次電池を得ることができる。上記負極としては、例えばアルミニウム合金からなる板状体を作製してもよい。また、上記正極としては、例えば正極基材の少なくとも一方の面側に、正極活物質層を積層することにより作製してもよい。この活物質層の積層は公知の方法で行うことができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(負極の作製)
負極活物質として粒状の純Alを99質量%、純Snを1質量%の割合で、アルミナルツボに量り取り、ガスバーナーを用いて融解させた。次に、融液を撹拌した後、融液を70mm×30mm×6mmの鋳型に流し入れ、Al合金のインゴットを作製した。電気炉を用いて得られたインゴットを600℃で1時間加熱した後、冷水に投入することにより急冷した。作製したインゴットから10mm×10mm×0.5mmの板状体を切り出し、#400のエメリーペーパーを用いて表面を研磨し、負極となるAl金属極を作製した。
(水系電解質の作製)
水系電解液として、電解質塩である1mol/dmのKClと、0.25mol/dmのクエン酸一水和物と、0.75mol/dmのグルコン酸カリウムとを含む混合溶媒を調製し、水系電解質を作製した。pHの調整は、5.00mol/dmのKOH水溶液を滴下することで行った。
(電池セルの作製)
H型のガラスセルに電極を配置した。試験極は、上記Al金属極を用いた。試験極の厚みは、0.5mmとした。また、参照極としてAg/AgCl、対極としてPt板を用いた。そして、上記ガラスセルに電解液を80mL注入することで電池セルを作製した。
[実施例2〜実施例18及び比較例1〜比較例10]
負極活物質の組成及び試験極の厚み、電解質塩及び添加剤の組成、並びに含有量を表1〜表5のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例18及び比較例1〜比較例10の電池セルを得た。なお、pHの調整は、5.00mol/dmのKOH水溶液又は1.00mol/dmのHCl水溶液を滴下することで行った。なお、以下の表中の「−」は、該当する成分を用いなかったことを示す。
[評価]
(放電容量測定)
上記実施例及び比較例の電池セルについて、5mA/cm、10mA/cm、25mA/cm、50mA/cm、100mA/cm、200mA/cm及び400mA/cmの電流密度で各5分間放電を行うことで高率放電特性を測定した。
また、高率放電特性において100mA/cmで放電した際の終端電位を放電電位とした。
放電容量は、高率放電特性を測定後、100mA/cmで放電電位が0Vvs.Ag/AgClとなるまで放電を行うことにより測定した。
(アルミニウムの利用率)
「アルミニウムの負極利用率」は、利用率Z(%)=(X/Y)×100で表される。ここで、Xは、放電容量(mAh/g)であり、Yは、アルミニウム又はアルミニウム合金の理論容量(mAh/g)である。実施例及び比較例の電池セルについて、アルミニウムの利用率(%)を算出した結果を表1〜表5に示す。
Figure 2019129044
表1は、Al−Sn電極において、水系電解質に対する第1化合物であるグルコン酸カリウム及び第2化合物であるクエン酸一水和物の添加の有無による影響を調べた結果を示す。
表1において、水系電解質の添加剤としてグルコン酸塩及びクエン酸を含有する実施例1〜実施例3は、添加剤としてグルコン酸塩のみを含有する比較例1及び又はクエン酸のみを含有する比較例2と比べてアルミニウムの利用率及び放電容量が優れていた。上記結果から、水系電解質の添加剤としてグルコン酸塩にクエン酸を組み合わせることにより、アルミニウムの利用率及び放電容量が向上することが示された。
Figure 2019129044
表2は、水系電解質における第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンの有無と、水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比とによる影響を調べた結果を示す。
表2において、上記総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が0.35以下である実施例4〜実施例6は、上記総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が0.35よりも大きい比較例3と比べてアルミニウムの利用率及び放電容量が優れていた。また、水系電解質に上記第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンを含有していない比較例4は、放電ができず、電池として機能しなかった。上記結果から、上記総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が0.35以下であり、かつ水系電解質に第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンを含有することにより、アルミニウムの利用率及び放電容量が向上することが示された。
Figure 2019129044
表3は、水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度による影響を調べた結果を示す。
表3において、上記総濃度が1mol/dm以上9mol/dm以下である実施例7〜実施例12は、アルミニウムの利用率及び放電容量が良好であることが示された。
Figure 2019129044
表4は、純Al電極において、第2化合物の添加の有無による影響を調べた結果を示す。
表4において、水系電解質の添加剤としてグルコン酸塩及びクエン酸を含有する実施例13は、添加剤としてグルコン酸塩のみを含有する比較例5と比べてアルミニウムの利用率及び放電容量が優れていた。上記結果から、純Al電極においても水系電解質の添加剤としてグルコン酸塩にクエン酸を組み合わせることにより、アルミニウムの利用率及び放電容量が向上することが示された。
Figure 2019129044
表5は、Al−Sn電極において、第2化合物としてクエン酸以外の化合物を添加した場合の影響を調べた結果を示す。
表5において、第2化合物として分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物であるクエン酸類、トリエチレングリコール、酢酸類、リンゴ酸類又はエチレンジアミン四酢酸類を含有する実施例14〜実施例18は、添加剤としてグルコン酸塩のみを含有する比較例6及び第2化合物として分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物以外の添加剤を含有する比較例7〜比較例10と比べてアルミニウムの利用率及び放電容量が優れていた。上記結果から、Al−Sn電極においても、水系電解質の添加剤としてグルコン酸塩に、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物を組み合わせることによってアルミニウムの利用率及び放電容量が向上することが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される高容量の一次電池に適用できる。

Claims (3)

  1. 正極と、
    負極活物質を含有する負極と、
    水系電解質と
    を備え、
    上記負極活物質が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、
    上記水系電解質が、第1化合物と、第2化合物と、上記第1化合物及び第2化合物を構成するアニオン並びに水酸化物イオンを除くアニオンとを含有し、
    上記第1化合物が、グルコン酸類であり、
    上記第2化合物が、分子中に1個以上4個以下の−OH基を有する化合物であり、
    上記水系電解質に含まれるプロトン及び水酸化物イオン以外のイオン並びに化合物の総濃度に対する上記アニオンのモル濃度比が、0.35以下である一次電池。
  2. 上記総濃度が、1mol/dm以上9mol/dm以下である請求項1の一次電池。
  3. 上記水系電解質の上記総濃度に対する上記第1化合物のモル濃度比が、0.04以上0.20以下である請求項1又は請求項2の一次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002298862A (ja) * 2001-03-29 2002-10-11 Toshiba Corp アルミニウム電池
JP2013247064A (ja) * 2012-05-29 2013-12-09 Sumitomo Chemical Co Ltd アルミニウム空気電池

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