JPH08506258A - 人工肘補綴物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 尺骨要素（２）及び上腕骨要素３）を有し、尺骨要素のヘッド（２１）が２つの突起部（２２、２３）を備えた二股状に設計されており、上腕骨要素のヘッド（３１）が２つの突出フランジ（３２、３３）の間で回転可能なスピンドル（３４）を備えた移植可能な人工肘補綴物（１）。人工補綴物の関節要素は、尺骨要素のヘッド（２１）が上腕骨要素のスピンドル（３４）と係合するように構成することにより形成される。尺骨要素（２）の各突起部（２２、２３）には、該突起部（２２、２３）のそれぞれの盲孔（２６、２７）内に終端する溝（２４、２５）が設けられている。Ｃ形リングクリップ（４）が、肘関節の所望の移動自由度及び所定の移動間隙を維持しつつ尺骨要素のヘッド（２１、３１）と上腕骨要素とを連結する。クリップ（４）は、該クリップの弧（４３）とスピンドル（３４）との間に間隙（５）を設けてスピンドル（３４）を抱き込み且つ尺骨要素（２）にロックされる。クリップの端部（４１、４２）は尺骨要素の突起部（２２、２３）の溝（２４、２５）内に挿入され且つ盲孔（２６、２７）と係合する。これにより、尺骨要素（２）が上腕骨要素のスピンドル（３４）上でのグリップを消失することがないと同時に、実際の関節連結及び人工肘補綴物の機能的特徴のための生体環境における所望の遊びを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 人工肘補綴物 本発明は、損傷を受けた肘関節に移植するための尺骨要素及び上腕骨要素から なる人工肘補綴物であって、尺骨要素のヘッドが２つの突起部を備えた二股状に 設計されており、上腕骨要素のヘッドが、組織適合性のある強いプラスチック材 料からなり且つ２つの突出フランジの間で回転可能且つ交換可能なスプールすな わちスピンドルを備え、人工補綴物の関節要素が、上腕骨要素の回転可能なスピ ンドルと係合するように構成された尺骨要素のヘッドにより形成された人工肘補 綴物に関する。 多数の人工肘補綴物が文献で知られており、欧州特許ＥＰ−0 098 466には、 上腕骨要素に固定されるスピンドルが該スピンドルの切欠き部内の実質的に円筒 状の摺動片と係合し且つ該摺動片が尺骨要素に取り付けられた軸に固定される形 式の人工肘補綴物が開示されている。これにより、摺動片は、固定スピンドル内 で回転可能に取り付けられ、且つ、Ｃ形断面を有し、スピンドル上に押しつけら れるスリーブを介してスピンドルにロックされる。 また欧州特許ＥＰ−0 057には、上腕骨要素にスピンドル状要素が設けられ且 つ尺骨要素に二股状要素が設けられた同様な種類の人工肘補綴物が開示されてい る。この人工肘補綴物の目的は、関節要素の最適接合を達成し且つ最少の骨組織 除去量で安定性、低負荷及び易動性を確保することにある。 本願は、本発明者のうちの一人により１９７６年９月１４日に出願され且つ一 般的に知り得る状態に置かれることなく１９７７年１１月４日に取下げられたノ ルウェー国特許出願第76 3136号を基礎としている。このノルウェー国特許出願 には、第２人工補綴物の二股状部分と係合する回転可能なスピンドルすなわちス プールが示されており、この技術では、人工補綴物要素は、結合すべきこれらの 骨（すなわち上腕骨及び尺骨）の髄質腔に通常の方法で取り付けられる。この人 工補綴物は、後で実際に知られるようになり、本願では、本発明の基礎を形成す る従来技術の一例としてその全体を援用する。 この既知の人工補綴物は、幾つかのサイズの上腕骨要素と、共通関節要素を備 えた幾つかのサイズの尺骨要素とからなり、従って、各患者は個々の骨に最適の 要素サイズを選択できる。関節結合は自由であり、従ってこの人工補綴物は、良 好な靭帯及び筋肉腱に基づいて関節を所定位置に保持する。例えば破断及び怪我 により靭帯が充分でない場合には、人工補綴物が関節から抜け出ることがある。 従って本願の目的は、自由関節連結を閉塞（block）して、靭帯が不充分で且 つ人工補綴物が関節から抜け出る危険性がある場合にも使用できるいわゆる「半 拘束形」人工補綴物に変換することにより既知の人工補綴物を改変することにあ る。 上記目的は、本発明の人工肘補綴物であって、尺骨要素の各突起部には、該突 起部のそれぞれの盲孔内に終端する溝が設けられており、盲孔は尺骨要素の関節 中心に対して互いにほぼ直径方向に対向しており、人工肘補綴物が、肘関節の所 望の移動自由度及び所定の移動間隙を維持しつつ尺骨要素のヘッドと上腕骨要素 とを連結するように構成されたＣ形リングクリップを有し、クリップが、該クリ ップの弧と上腕骨要素のスピンドルとの間に間隙を設けてスピンドルを抱き込み 且つ尺骨要素にロックされ、クリップの端部は尺骨要素の突起部の溝内に挿入さ れ且つ盲孔と係合することを特徴とする人工肘補綴物により達成される。 以下、実施例に関連し且つ添付図面を参照して本発明による人工肘補綴物をよ り詳細に説明する。 第１Ａ図〜第１Ｃ図は、それぞれ、人工補綴物の尺骨要素のヘッドを後方、側 方及び上方から突起部の間の開口に向かって見たところを示す概略図である。 第２Ａ図〜第２Ｃ図は、それぞれ、平らな状態にある本発明のクリップを側方 、上方から見たところ、及びクリップがＣ形リング形状に曲げられた後の状態を 側方から見たところである。 第３ａ図及び第３ｂ図は、組み立てられ且つクリップが挿入された状態にある 本発明の人工肘補綴物を、それぞれ、尺骨要素の軸線に沿って側方及び後方から 見たところである。 第１Ｂ図を参照すると、尺骨要素２のヘッド２１が２つの突起部２２、２３を 備えた二股構造を形成しており且つ両突起部２２、２３の端部がフォークの弧の 直径を幾分超えて突出していることが理解されよう。各突起部２２、２３の外側 には溝２４、２５が形成されており、各溝は各突起部のボアすなわち盲孔２６、 ２７内に終端している。また、Ｃ形リングクリップ４の端部４１、４２が尺骨要 素のヘッド２１と如何にして係合するかを示す第３ａ図及び第３ｂ図において、 クリップの端部４１、４２は尺骨要素の突起部２２、２３の溝２４、２５内に挿 入されて該溝２４、２５と当接し且つ突起部の盲孔２６、２７と係合している。 第２Ａ図〜第２Ｃ図には、Ｃ形リングクリップ４がより詳細に示されている。 図示の例では、クリップ４は、例えばチタン合金からなる約４０mmの長さを有し 且つ通常１．５×３mmの断面を有する。クリップの端部４１、４２は、約５mmの 直径をもつ半円形シート要素を形成すべく伸長されている。クリップ４は第２Ｃ 図に示すようにＣ形リング状に曲げられ、Ｃ形リングの弧４３はクリップの僅か に幅広な部分からなると同時に、この部分と両端部４１、４２との間は、最適な 強度及び弾性を付与するため幾分幅狭に作られている。不必要な磨耗を防止する ため、クリップ４の弧４３の内側を研摩しておき、これらの面上でクリップ４を 上腕骨要素３のスピンドル３４と接触させることができる。人工補綴物をロック するとき、クリップ４の端部４１、４２が、第３ａ図及び第３ｂ図に示すように 尺骨要素２の突起部２２、２３の溝２４、２５内に挿入される。これらの溝は、 尺骨要素の関節中心に対して互いにほぼ直径方向に対向するように設けられてい る。クリップ４は上腕骨要素３に取り付けられたスピンドル３４上に通され、上 腕骨要素３を尺骨要素２にロックする。クリップの端部４１、４２は尺骨要素の 盲孔２６、２７内に係合する。各突起部２２、２３の溝２４、２５はクリップの 幅に等しい幅を有し、かくして、クリップ４が取り付けられた後、クリップは、 磨耗を引き起こす虞れのあるいかなる横方向移動をも生じさせることなく所定位 置に確実に保持される。クリップ４の弧４３は、スピンドル３４を備えた上腕骨 要素３と尺骨要素２との間の充分な易動性及び適当な弾性を確保できるように充 分幅広に作られ、クリップ４の端部４１、４２が尺骨要素の突起部２２、２３の 盲孔２６、２７と係合したときにクリップ４が確実に取り付けられるようにする 。これにより、尺骨要素２は上腕骨要素３に確実に取り付けられ且つ上腕骨要素 のスピンドル３４を固定グリップ状態に保持すると同時に、実際の関節連結及び 人 工補綴物の機能的特徴のための生体環境の点で幾分かの遊びを許容する。第３ａ 図及び第３ｂ図には、クリップ４が所定位置取り付けられた人工補綴物が示され ており、第３ａ図は、スピンドル３４とクリップの弧４３との間に間隙５が存在 すること及び尺骨要素２の突起部２２、２３の両端部がスピンドル３４の直径の 幾分先方に（例えば、この直径を約５mm超えて）突出していることを明瞭に示し ている。このことは、クリップ５が緩むことがなく且つ破壊しない限り脱落しな いことを意味する。クリップ４に作用するあらゆる引張り荷重は、実際にクリッ プの弧４３の中央を通って作用し、従ってこの引張り荷重はクリップを更に締め つけることを助けるに過ぎない。クリップの端部は、使用中に人工補綴物に作用 する力によって決してボアから押し出されることはない。 人工補綴物のクリップ及び他の金属要素は、人工補綴物の他の金属要素と同様 に組織適合性材料（好ましくはチタン合金）で作られ、従って人工補綴物は非常 に強く且つ耐久性に優れたものとなる（例えば、人工補綴物は数千キロニュート ンの引張り強度を有する）。 尺骨要素２及びクリップ４は、手術中の任意の時点で（実際の人工補綴物が骨 及び関節の所定位置に接着された後でも）、取り付けられるように設計されてい る。同様に、クリップは、クリップは後で不要であることが判明した場合には、 後で手術することにより容易に取り外すこともできる。 かくして、本発明により、靭帯が不充分な場合にも使用でき、このため人工補 綴物が関節から抜け出るあらゆる危険性をなくすことができる人工肘補綴物が提 供される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，Ｇ Ｂ，ＨＵ，ＪＰ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＵ，ＬＶ ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＬ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ， ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＫ，ＵＡ，ＵＳ，ＵＺ，Ｖ Ｎ 【要約の続き】 により、尺骨要素（２）が上腕骨要素のスピンドル（３ ４）上でのグリップを消失することがないと同時に、実 際の関節連結及び人工肘補綴物の機能的特徴のための生 体環境における所望の遊びを得ることができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．損傷を受けた肘関節に移植するための尺骨要素（２）及び上腕骨要素（３） からなる人工肘補綴物であって、尺骨要素のヘッド（２１）が２つの突起部（２ ２、２３）を備えた二股状に設計されており、上腕骨要素のヘッド（３１）が、 組織適合性のある強いプラスチック材料からなり且つ２つの突出フランジ（３２ 、３３）の間で回転可能且つ交換可能なスプールすなわちスピンドル（３４）を 備え、人工補綴物の関節要素が、上腕骨要素の回転可能なスピンドル（３４）と 係合するように構成された尺骨要素のヘッドにより形成された人工肘補綴物にお いて、 尺骨要素（２）の各突起部（２２、２３）には、該突起部（２２、２３）の それぞれの盲孔（２６、２７）内に終端する溝（２４、２５）が設けられており 、盲孔（２６、２７）は尺骨要素の関節中心に対して互いにほぼ直径方向に対向 しており、人工肘補綴物（１）が、肘関節の所望の移動自由度及び所定の移動間 隙を維持しつつ尺骨要素のヘッド（２１、３１）と上腕骨要素とを連結するよう に構成されたＣ形リングクリップ（４）を有し、クリップ（４）が、該クリップ の弧（４３）と上腕骨要素（３）のスピンドル（３４）との間に間隙（５）を設 けてスピンドル（３４）を抱き込み且つ尺骨要素の突起部（２２、２３）の溝（ ２４、２５）内に挿入され且つ盲孔（２６、２７）と係合するクリップの端部（ ４１、４２）により尺骨要素（２）にロックされることを特徴とする人工肘補綴 物。 ２．前記クリップ（４）が組織適合性材料好ましくはチタン合金で作られている ことを特徴とする請求の範囲第１項に記載の人工肘補綴物。 ３．前記クリップ（４）の端部（４１、４２）が、ほぼ半円形状の形状と、約５ mmの最大幅とを有するシート状の延長部として形成されていることを特徴とする 請求の範囲第２項に記載の人工肘補綴物。 ４．前記尺骨要素の突起部（２２、２３）の溝（２４、２５）が、クリップ（４ ）の弧（４３）とその端部（４１、４２）との間の幅に等しい幅を有することを 特徴とする請求の範囲第３項に記載の人工肘補綴物。 ５．前記人工肘補綴物が取り付けられるとき、尺骨要素のヘッド（２１）のホー ン（２２、２３）の各端部がスピンドル（３４）の直径を超えて、好ましくは約 ５mm突出することを特徴とする請求の範囲第４項に記載の人工肘補綴物。 ６．前記クリップ（４）が人工肘補綴物（１）の装着中又は装着後に、取付け又 は取外しできるように構成されていることを特徴とする請求の範囲第５項に記載 の人工肘補綴物。