【発明の詳細な説明】
化合物
発明の分野
本発明は血小板凝集を阻害する新規化合物、該化合物を含む医薬組成物および
該化合物の使用法に関する。
発明の背景
血小板の凝集は、主に、インテグリンと称される付着レセプターの一種である
フィブリノゲンレセプター、またはGPIIb−IIIa血小板レセプター複合体に
より媒介されると考えられている。インテグリンレセプターの天然のリガンドは
、Arg−Gly−Asp配列(一文字アミノ酸コードではRGD)を含有する蛋白質
であることが多いことが判明している。GPIIb−IIIaレセプターについての
天然のリガンドと考えられる、フォン・ウィルブランド(von Willebrand)因子
およびフィブリノゲンは、その一次構造においてRGD配列を有する。機能的に
は、これらの蛋白質は隣接する血小板上のGPIIb−IIIaレセプターと結合お
よび交差結合能を有し、それにより、血小板の凝集が生じる。
フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジンも、GPIIb−
IIIaと結合することが知られているRGD含有蛋白質である。フィブロネクチ
ンは、血漿中に見られ、細胞内マトリックスにおける構造蛋白質として機能する
。溝造蛋白質およびGPIIb−IIIaの結合は、血小板を損傷した血管壁に付着
させるように機能する。
ビトロネクチンに結合し、RGD配列を有する直線状および環状ペプチドが、
WO89/05150(PCTUS88/04403)に開示されている。EP
O275748は、GPIIb−IIIaレセプターと結合し、血小板凝集を阻害す
る直線状のテトラないしヘキサペプチドおよび環状ヘキサないしオクタペプチド
を開示している。その開示が出展明示により本明細書の一部とされる、他の直線
状および環状ペプチドは、EP−A0341915にて報告されている。しかし
、このような阻害剤のペプチド状構造は、薬剤デリバリー、代謝安定性および選
択性などにおいてしばしば問題を有する。天然のアミノ酸配列で構成されないフ
ィブリノゲンレセプターの阻害剤がEP−A0 372486、EP−A0 3
81 033およびEP−A0 478 363に開示されている。WO92/
07568(PCT/US91/08166)は、単環式7員環構造を形成する
ことによりRGD配列におけるγ−ターン構造を模倣したフィブリノゲンレセプ
ターアンタゴニストを開示している。しかし、in vivoおよびin vitroにて有効
な効果を有し、アミノ酸配列のペプチド骨格構造を有しない新規フィブリノゲン
レセプターアンタゴニスト(例、GPIIb−IIIa蛋白質の阻害物質)について
、なお要求がある。
本発明は、GPIIb−IIIaレセプターへの結合を阻害し、血小板凝集を阻害
する新規化合物を開示する。
発明の要約
一態様において、本発明は以下の式(I)に記載するような、5または6員環
からなる化合物を提供する。
本発明はまた、式(I)の化合物と、医薬上許容される担体とからなる、血小
板凝集または血餅形成を阻害する医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、有効量の式(I)の化合物を内服させることからなる、血小
板凝集の阻害を必要とする哺乳動物における血小板凝集阻害法を提供する。
別の態様において、本発明は、フィブリン溶解治療後の哺乳動物における動脈
または静脈の再閉塞の阻害法であって、有効量のフィブリン溶解剤および式(I
)の化合物を内服させることからなる阻害法を提供する。本発明はまた、卒中、
一過性虚血発作、心筋梗塞、またはアテローム性動脈硬化症の治療法を提供する
。
発明の詳細な記載
本発明は、血小板凝集を阻害する新規化合物を開示する。該新規化合物は5ま
たは6員環からなる。該5または6員環は、窒素、酸素および硫黄のようなヘテ
ロ原子を含有してもよい。該5または6員環系は、GPIIb−IIIaレセプター
と有利に相互作用し、5また6員環上の側鎖置換基がレセプターと有利に相互作
用するように配向すると考えられる。
特定の作用機構と結び付けるものではないが、これらの化合物は、フィブリノ
ゲンの血小板結合フィブリノゲンレセプタ−GPIIb−IIIaとの結合を阻害し
、推定RGD結合部位の拮抗作用を介して他の付着蛋白質と相互作用すると考え
られる。
本発明の化合物は、式(I):
[式中、
Aは−(CH2)t−、Het、ArまたはC3-7シクロアルキルであり、
DはR'R"N−、R'R"NR'N−、R'R"NR'NCO−、
R'NR'NC(=NR')−、R'ONR'C(=NR')−、R'R"NC(=NR
')、
R'R"NCO−、
Eは−CR'2−、−CR'2CR'2−、−CR'=CR'−、
−CR'=CR'−CR'2−、−(CR'2)3−、−CR'2CH(CH3)−、
−COCR'2−、−CH(OH)CR'2−または−CR'2COCR'2−であり、
Xは−CONR'−、−NR'CO−、−SO2NR'−、−NR'SO2−、−C
O−、−CH(OH)−、−SO2−、−OC(=O)−または−(CR'2)m−
であり、
Q1ないしQ6はいずれか可能な置換された5または6員環を形成し、それは飽
和または不飽和のいずれであり、所望によりO、SおよびNからなる群より選択
される2個までのヘテロ原子を含有してもよく、ここにSおよびNは、所望によ
り、酸化されていてもよく、
Yは−CO−、−CR'(OH)−、−SO2-、−CR'2−、−CONR'−、
−NR'CO−、SO2NR'または−NR'SO2−であり、
Gは−CR'2、−CR'2CR'2−または−CR'=CR'−であり、
MはHet、ArまたはC3-7シクロアルキルであり、その各々は置換されて
いないか、またはR3により置換されており、
Zは−OCR'2−、−NR'CR'2−、−CR'2CR'2−、
−CH(CH3)CR'2−、−CR'2−、−CR'=CR'−または
−C(CH3)=CH−であり、
R'は、各々、独立して水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4ア
ルキルまたはAr−C0-4アルキルであり、
R"は、各々、独立してR'、−C(O)R'または−C(O)OR15であり、
R2は存在しないか、またはC1-4アルキル、CO2R'、Z−CO2R'、C1-4
アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4アルキルチオ、CONR'R'、CN、CF3、ハ
ロまたはNR'R'として存在し、
R3はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、ヒドロキシ、ハ
ロ、CO2R'、Z−CO2R'、NR'R'、CN CONR'R'、CF3またはA
r−C0-4アルキルであり、
R14はR'、C(O)R'、CN、NO2、SO2R'またはC(O)OR15であ
り、
R15は、各々、独立してC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキ
ルまたはAr−C0-4アルキルであり、
Jは存在しないかまたはSまたはOとして存在し、
Tは存在しないかまたはN=CR’、COまたはOとして存在し、
mは1または2であり、
nは、各々、独立して0または1であり、および
tは、各々、独立して0ないし2を意味する]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。
本発明はまた、本発明の化合物の複合体またはプロドラッグを包含する。プロ
ドラッグは、in vivoで式(I)に係る活性な親薬剤を放出する共有結合したキ
ャリアーと考えられる。
本発明の化合物が1またはそれ以上のキラル中心を有する場合、特に記載しな
い限り、本発明は通常の技術により合成され、分割される各独自の非ラセミ化合
物を包含する。化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)お
よびトランス(E)異性体は共に本発明の範囲内にある。化合物が互変異性体形
性体で存在する場合、互変異性体は、各々、平衡状態であっても、適当なR’で
の置換により1つの形態にロックされていても、本発明に含まれると考えられる
。特に記載しない限り、いずれかある場合に置換基の意味するものは、いずれか
他の場合にその意味するものまたは他の置換基の意味するものとは別個独立して
いる。
式(I)に関して、適当には、Q1ないしQ6は、所望によりR2により置換さ
れていてもよく、以下のいずれか可能な組み合わせである:
Q1がCH、CまたはNであり;
Q2がCH、CまたはNであり;
Q3がCH2、CHR2、C(R2)2、CH、CR2、NH、NR2、N、Oまた
はSであり;
Q4がCH2、CHR2、C(R2)2、CH、CR2、NH、NR2、N、Oまた
はSであり;
Q5が存在しないかまたはCH2、CHR2、C(R2)2、CH、CR2、NH、
NR2、N、OまたはSとして存在し;
Q6がCH2、CHR2、C(R2)2、CH、CR2、NH、NR2、N、Oまた
はSである。
Q1ないしQ6が、所望により、R2により置換されていてもよい、本発明の代
表的な化合物は、式(II)−(XVII)により示される:
好ましくは、Q1ないしQ6は、所望により、R2により置換されていてもよく
、
である。
最も好ましくは、本発明の化合物は、
DがR'R"NC(=NR')、R'R"NCO−またはR'R"N−であり、
Aがフェニルであり、
Xが−CO−、−CH(OH)−、−SO2−、−CONR'−または
−NR'CO−であり、
Yが−CO−、−CH(OH)−、−SO2−、−CONR'−または
−NR'CO−であり、
Mがフェニルであり、
Zが−OCH2−、−NR'CH2−、−CH2CH2−または−CH=CH−で
あり、
R2が存在せず、
tが0ないし1であり、
nが、各々、独立して0であり、および
Q1ないしQ6が
本発明の化合物は以下のものを包含するが、限定されるものではない:
N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−オキシ酢酸−(R)
−プロリルベンゼン;
N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−オキシ酢酸−(R)
−Ψ−(R,S)−ヒドロキシメチループロリルベンゼン;
(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル)カルボニル}−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ]酢酸;
(R)−[4−{(1−[4−(アミノカルボニル)ベンゾイル]−2−ピ
ロリジニル)カルボニル}−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ]酢酸;
(R)−[4−{(1−[4−(アミノメチル)ベンゾイル]−2−ピロリ
ジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸;
(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸エチル;または
(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸エチル;
またはその医薬上許容される塩。
本発明の最も好ましい化合物は、N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイ
ル]−4−オキシ酢酸−(R)−プロリルベンゼンまたはその医薬上許容される
塩である。
本明細書において用いるC1-4アルキルは分枝または非分枝状の炭素鎖を意味
し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルお
よびt−ブチルを包含する。C1-6アルキルはさらに、ペンチル、n−ペンチル
、イソペンチル、ネオペンチルおよびヘキシルおよびその単純な脂肪族異性体を
包含する。C0-4アルキルはさらにアルキルが存在する必要がない(例えば共有
結合が存在する)ことも意味する。
本明細書において用いるAr、またはアリールは、フェニルまたはナフチル、
または1〜3個のR2基で置換されたフェニルまたはナフチルを意味する。特に
、R2はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、CF3、OH、
Cl、Br、I、F、CO2R’またはZ−CO2R’であり、ここにZおよびR
’は式(I)の記載と同意義である。
Het、またはヘテロサイクリルは、窒素、酸素および硫黄の群から選択され
る1〜3個のヘテロ原子を含有する、所望により置換されていてもよい5または
6員のモノ環式環、または9または10員のジ環式環を意味し、安定で、通常の
化学合成により利用可能である。代表的な複素環は、イミダゾール、ベンズイミ
ダゾール、ピロール、インドール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン
、ベンゾフラン、フラン、ベンゾピラン、ベンゾチオフェン、チオフェン、チア
ゾール、ベンゾチアゾール、インドリン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン
、ピロリジン、イソキノリン、ならびにテトラーおよびパーヒドローキノリンお
よびイソキノリンである。Het環上、R2から選択されるような3個までの置
換基の可能な組み合わせであり、化学合成により得ることができ、安定な組み合
わせは本発明の範囲に含まれる。
C3-7シクロアルキルは3〜7個の炭素原子を有する所望により置換されてい
てもよい炭素環系をいい、2個までの不飽和炭素−炭素結合を含有していてもよ
い。典型的なC3-7シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルおよびシクロ
ヘプチルである。通常の化学合成により得ることができ、安定な、シクロアルキ
ル環上のR2から選択されるような3個までの置換基のいずれの組み合わせも本
発明の範囲に含まれる。
本明細書にいうところの可能な置換5−または6−員環は、飽和または不飽和
の5−または6−員環であって、(i)所望により、R2により置換されていて
もよく、ここに該置換基は安定構造をもたらすいずれの原子またはヘテロ原子上
にあってもよく、(ii)N、OおよびSの群から選択される2個までのヘテロ原
子を含有し、ここにSおよびNは所望により酸化されていてもよく、(iii)安
定しており、化学の分野における当業者によって合成される5−または6−員環
をいう。可能な5員環の典型例は、シクロペンタン、シクロペンテン、フラン、
チオフェン、イミダゾール、ピロール、チアゾール、オキサゾール、ピロリジン
、ピロリンおよびピラゾールの一般的飽和および不飽和環である。可能な6−員
環の典型例は、シクロヘキサン、シキロヘキセン、ベンゼン、ピリジン、ピリミ
ジン、ピリダジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンおよびジヒ
ドロピリジンの一般的飽和および不飽和環である。
原子ならびに酸素および硫黄から選択される1個のヘテロ原子を含有し、安定な
構造が得られるようにいずれかの元素上で置換されていてもよい、飽和または不
飽和の、安定な5、6または7員単環式環、または7ないし10員の二環式環で
ある窒素ヘテロ環をいい、その窒素ヘテロ原子は所望により第四級化されていて
ゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン
、ピペラジン、モルホリン、ピリジン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロー
お
リジニル、テトラヒドロピリジニルまたはピペリジニルである。
t−Buは第3ブチル基をいい、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基、Fmo
cはフルオレニルメトキシカルボニル基、Phはフェニル基、Cbzはベンジルオ
キシカルボニル基、BrZはo−ブロモベンジルオキシカルボニル基、CIZは
o−
クロロベンジルオキシカルボニル基、Bzlはベンジル基、4−MBz1は4−メチル
ベンジル基、Meはメチル、Etはエチル、Acはアセチル、A1kはC1-4アルキル、Np
hは1−または2−ナフチル、cHexはシクロヘキシルをいう。
DCCはジシクロヘキシルカルボジイミド、DMAPはジメチルアミノピリジ
ン、DIEAはジイソプロピルエチルアミン、EDCはN−エチル−N’(ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミドをいう。HOBtは1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール、THFはテトラヒドロフラン、DIEAはジイソプロピルエチル
アミン、DMFはジメチルホルムアミド、NBSはN−ブロモ−スクシンイミド
、Pd/Cは炭素上パラジウム触媒、PPAは1−プロパンホスホン酸環状無水
物、DPPAはジフェニルホスホリルアジド、BOPはベンゾトリアゾール−1
−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェ
ート、HFはフッ化水素酸、TEAはトリエチルアミン、TFAはトリフルオロ
酢酸、PCCはクロロクロム酸ピリジニウムをいう。
式(I)の化合物は、一般に、式(XVIII)および式(XIX):
[式中、Q1−Q4、Y、G、M、Z−R、R1、R2、D、A、Eおよびnは、式
(I)において定義したとおりであり、反応性官能基はいずれも保護されている
;
L1およびL2は反応して−X−結合を形成できる基であり、ここにXは式(I
)における記載と同意義であるか、またはL1は水素であり、Q1は窒素であって
、L2はQ1窒素と反応し、ある種のX結合を形成しうる官能基を意味する]
で示される化合物を反応させて、その後、保護基を除去し、所望により医薬上許
容される塩を形成させることにより調製する。
L1およびL2の完全な一致は、形成される結合の部位に依存することは明らか
であろう。例えば、XがCONHである場合、L1は−NH2であり、L2はCO
OHまたはCOClであってもよい。同様に、XがNHCOである場合、L1は
−CO2HまたはCOClであり、L2は−NH2であってもよい。
特に、XがCOである場合、L1はHであり、Q1は窒素であって、L2はCO
OHまたはCOClである。
XがNR1SO2である場合、L1はSO2Clであり、L2は−NH2である。X
がSO2NHである場合、L1は−NH2−であり、L2はSO2Clである。この
ような塩化スルホニルの調製法は、例えばジャーナル・オブ・オーガニック・ケ
ミストリー(J.Org.Chem.),23,1257(1958)に開示されている。
本発明において用いるカップリング剤はペプチド結合を形成するのに用いるこ
とができる試薬を意味する。典型的なカップリング法は、カルボジイミド、活性
化無水物およびエステルおよびアシルハライドを用いる。EDC、DCC、DP
PA、PPA、BOP試薬、HOBt、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび塩
化オキサリルなどの試薬が典型的である。
ペプチド結合を形成するカップリング法は、一般に、当該分野において周知で
ある。ボダンスキー(Bodansky)ら、ザ・プラクティス・オブ・ペプチド・シン
セシス(THE PRACTICE 0F PEPTIDE SYNTHESIS),Springer-Ver1ag,ベルリン,
1984、アリ(Ali)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J
.Med.Chem.),29,984(1986)およびジャーナル・オブ・メディシナ
ル・ケミストリー,30,2291(1987)に示されるペプチド合成法が該
技術の一般例であり、その開示を出典明示により本明細書の一部とする。
アミドまたはペプチド結合を形成するための溶液合成は、アミド結合を形成す
るのに用いられる方法を利用して行われる。典型的には、アミンまたはアニリン
を遊離アミノ基を介して適当なカルボン酸基質に、適当なカルボジイミドカップ
リング剤、例えば N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用い
て、所望により触媒、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)お
よびジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に結合させる。他の方法、例
えば適宜保護した酸基質の遊離カルボキシルの活性化エステル、無水物または酸
ハロゲン化物を形成させ、その後、適宜保護したアミンの遊離アミンを、所望に
より塩基の存在下で反応させる方法もまた適当である。例えば、保護したBoc−
アミノ酸またはCbz−アミジノ安息香酸を、塩化メチレンまたはテトラヒドロフ
ラン(THF)などの無水溶媒中、N−メチルモルホリン、DMAPまたはトリ
アルキルアミンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルで処理して「活性化
無水物」を形成させ、これを続いて別の保護したアミノ酸またはアニリンの遊離
アミンと反応させる。
式(XIX)の化合物は、市販の物質から常套手段により調製される。Dは、一
般に、所望によりアルキル鎖を介して、Aに結合した塩基性官能基であり、必要
ならば、合成の間、保護される。例えば、式(XIX)または式(I)の化合物(
式中、Dは適宜置換されたR'R"N−、R"R'NC(=NR')、R'2N(R13
)C=N−、R"N=(R13)C−NR'−、R'2N(R'2N)C=N−またはR
"R'N(R'N=)C−NR'を意味する)は、EP−A0 372 486、E
P−A0 381 033またはEP−A0 478 363(その開示を出典
明示により本明細書の一部とする)に開示されている方法を含む常套手段により
調製される。
78 363に開示されている方法により調製される。
DがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X
−であり、XがOである化合物は、とりわけ、ジャーナル・オブ・オーガニック
・ケミストリー(J.0rg.Chem.),51,5047(1986)に開示されてい
る方法により調製される。
DがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X
−であり、XがN=CR'である化合物は、とりわけ、米国特許第3,714,2
53号およびヨーロピアン・ジャーナル・オブ・メディカル・ケミストリー−シ
ミー・
セラピューテックス(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Ther.),20,25(1985
)に開示されている方法により調製される。
DがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−
であり、XがC(O)である化合物は、とりわけ、米国特許第3,714,253
号およびカナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.),4
3,3103(1965)に開示されている方法により調製される。
DがR'ONR'C(=NR')−である化合物は、とりわけ、ジャーナル・オ
ブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J.Het.Chem.),16,1063(1
979)またはジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー,26,
125(1989)に開示されている方法により調製される。
DがR'2NR'NC(=NR')−である化合物は、シンセシス(Syn.),58
3(1974)に開示されているものを含む常套手段により調製される。
DがR'R"NR'N−である化合物は、とりわけ、ジャーナル・オブ・プラク
ティカル・ケミストリー(J.Prakt.Chem.),36,29(1967)に開示さ
れている方法により調製される。
DがR'R"NR'NCO−である化合物は、とりわけ、ビュレティン・オブ・
ケミカル・ソサイエティ・ジャパン(Bull.Chem.Soc.Jpn.),43,2257(
1970)に開示されている方法により調製される。
DがR"R'NC(=NR')Yであり、YがSである化合物は、とりわけ、ケ
ミカル・レターズ(Chem.Lett.),1379(1986)に開示されている方法
により調製される。
式(XIX)または式(I)の化合物(式中、DはR"R'NC(=NR’)Yで
あり、YはOを意味する)は日本国特許第2022751号に開示されているも
のを含む常套手段により調製される。
各合成フラグメントの側鎖の反応性官能基は当該分野において公知のように適
宜保護される。適当な保護基は、グリーン(Greene)、「有機化学における保護
基」(PR0TECTIVE GR0UPS IN ORGANIC CHEMISTRY),John Wiley and Sons,ニ
ューヨーク,1981)に開示されている。例えば、Boc、Cbz、フタロイルまた
はFmoc基はアミノまたはアミジノ基の保護に用いられる。α−アミノ基を保護す
る場合、一般に、Boc基が好ましい。t−Bu、cHexまたはベンジルエステルはカ
ルボキシル側鎖の保護に用いられる。ベンジル基または適宜置換されたベンジル
基(例、4−メトキシベンジルまたは2,4−ジメトキシ−ベンジル)を用い、
メルカプト基またはヒドロキシル基を保護する。イミダゾリル基の保護にはトシ
ル基が、グアニジノ基の保護にはトシルまたはニトロ基が用いられる。適宜置換
されたカルボベンジルオキシ基またはベンジル基もまた、ヒドロキシル基または
アミノ基について用いられる。カルボベンジルオキシまたはベンジル保護基の適
当な置換は、クロロ、ブロモ、ニトロまたはメチルでのオルトおよび/またはパ
ラ置換であり、保護基の反応性を修飾するために用いられる。Boc基を除いて、
アミノ基についての保護基は、最も好都合には、穏やかな酸処理によって除去さ
れないものである。これらの保護基は、当該分野において知られているように、
接触水素添加、ナトリウム/液体アンモニアまたはHF処理などの方法により除
去される。
アミノ基の修飾は、当該分野にて一般に公知のように、アルキル化、スルホニ
ル化、シアノ化またはアシル化により行われる。
スキームI
スキームIは、Q5が存在せず、Q1が窒素であり、Q2がCHであり、Q3、Q4
およびQ6がCH2であり、AおよびMが、各々、フェニルである化合物の調製
法を提供する。スキームIにおいて、R2'およびR3'、D'およびR*は、各々、
R2、R3、DおよびRを意味するか、またはその適当な先駆体であって、ここに
いずれの官能基も当該分野において知られているように保護されている。式(6
)において、Y'は−CH(OH)−および−CO−基を表す。
スキームIに従って、N−トリフルオロアセチル−D−プロリルクロリドのよ
うな適宜保護された式(I)のプロリルクロリドを、塩化アルミニウム、臭化ア
ルミニウム、四塩化チタンまたは三フッ化ホウ素、特に塩化アルミニウムのよう
なルイス酸触媒の存在下、塩化メチレンのような適当な溶媒中、アニソールのよ
うな式(2)の芳香族化合物と反応させる。その後、例えば、エタノールのよう
な適当な溶媒中、ホウ水素化ナトリウムを用い、式(3)の化合物のアミド結合
の還元と同時に、プロリンのN−保護基を脱保護し、式(4)の化合物を形成す
る。これらのプロリル化合物を、N−エチル−N’(ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミドのような適当なアミドカップリング剤の存在下、所望により1−
ヒドロキシベンゾトリアゾールのような触媒の存在下、ジメチルホルムアミドの
ような適当な溶媒中、適宜置換したD'−(CH2)t−A−カルボン酸化合物、
例えば、4−N−Cbz−アミジノ安息香酸とカップリングさせる。ついで、式(
5)の化合物を通常の化学技法を用い、例えば、Cbz-保護基が存在する場合、炭
素上パラジウムのような適当な触媒の存在下、水素を用いて、またはt−ブチル
エステルが存在する場合、塩化メチレンのような適当な溶媒中、トリフルオロ酢
酸を用いて脱保護する。
スキームIに基づいて、式(I)のプロリル化合物の代わりに、適宜保護し、
かつ置換したQ1ないしQ6ヘテロ環式またはヘテロアリール化合物を用いてもよ
いことがわかるであろう。従来の酸化剤、例えばジクロム酸ピリジニウム、およ
び還元剤、例えばホウ水素化ナトリウムにより、種々のスペーサーXおよびY基
の調製が可能である。
式(I)の化合物の酸付加塩は、親化合物および過剰量の酸、例えば塩酸、臭
化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸またはメタンスルホン酸
から適当な溶媒中、標準的方法で調製される。酢酸塩の形態が特に有用である。
ある種の化合物は、許容できる内部塩または双性イオンを形成する。カチオン性
塩は、親化合物を、適当なカチオンを含有する水酸化物、炭酸塩またはアルコキ
シドのような過剰のアルカリ試薬;または適当な有機アミンで処理することによ
り調製される。Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、NH4 +のようなカチオンは、
医薬上許容される塩において存在するカチオンの例である。
本発明は、式(I)の化合物および医薬上許容される担体からなる医薬組成物
を提供する。したがって、式(I)の化合物は医薬の製造において用いられる。
前記したように調製した式(I)の化合物の医薬組成物を非経口投与用に溶液ま
たは凍結乾燥粉末として処方してもよい。粉末は使用前に適当な希釈剤または他
の医薬上許容される担体を添加することにより復元される。液体処方は緩衝等張
水溶液であってもよい。適当な希釈剤の例は、通常の等張塩溶液、標準5%水中
デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウムまたはアンモニウム溶液である。この
ような処方は特に非経口投与に適しているが、経口投与用にも用いられ、また吸
入用の用量計量吸入器またはネブライザーに入れてもよい。ポリビニルピロリド
ン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マ
ンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムのような賦形剤を添加す
ることが望ましい。
また、これらの化合物は経口投与用にカプセル化、打錠化またはエマルジョン
またはシロップに調製される。医薬上許容される固体または液体担体を添加して
、組成物を強化または安定化させ、または組成物の調製を容易にする。固体担体
は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、ステアリン酸マグ
ネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天またはゼラチ
ンを包含する。液体担体は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、食塩水および
水を包含する。担体は、また、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン
酸グリセリルのような除放性物質を単独またはワックスと共に含有してもよい。
固体担体の量は変化するが、好ましくは、単位投与量当たり約20mg〜約1g
の間である。医薬調製物は、錠剤形の場合、粉砕、混合、顆粒化、および必要な
らば、圧縮化;またはハードゼラチンカプセル形の場合、粉砕、混合および充填
を含む通常の調剤技術に従って調製される。液体担体を用いる場合、調製物はシ
ロップ、エリキシル、エマルジョンまたは水性または非水性懸濁剤の形態である
。このような液体処方は、直接的に経口投与、またはソフトゼラチンカプセルに
充填して投与される。
経直腸投与の場合、本発明の化合物はまた、カカオ脂、グリセリン、ゼラチン
またはポリエチレングリコールのような賦形剤と組み合わせて、坐剤に成型して
もよい。
本発明は、また、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集および血餅形成を阻
害する方法であって、式(I)のペプチドおよび医薬上許容される担体を内部投
与することからなる阻害方法を提供する。このような療法についての適応症は、
急性心筋梗塞(AMI)、深静脈血栓症、肺塞栓症、解剖無尿症、一過性虚血発
作(TIA)、卒中および他の梗塞関連障害、および不安定アンギナを包含する
。分散性静脈内凝固(DIC)、敗血症、手術または感染性ショック、手術後お
よび分娩後外傷、心肺バイパス手術、不適合輸血、胎盤早期剥離、血栓症性血小
板減少性紫斑症(TTP)、ヘビ毒および免疫病のような慢性または急性の高凝
集
性症状はこのような治療に反応しやすい。加えて、本発明の化合物は、転移状態
の予防、免疫刺激を誘発する真菌性または細菌性感染症の予防または治療、骨吸
収が要因である病気の予防または治療において有用である。
本発明の化合物を患者に、血漿中の薬剤濃度が血小板凝集またはこのような他
の適応症を阻害するのに十分な濃度になるように経口または非経口投与する。本
発明の化合物を含有する医薬組成物を、約0.2〜約50mg/kgの用量で、
患者の症状に合うように投与する。急性療法の場合、非経口投与が好ましい。高
凝集の持久性症状の場合、化合物の5%水中デキストロースまたは生理食塩水中
静脈内注入液が最も有効であるが、筋肉内ボーラス注射でも十分である。
慢性であるが、重篤でない血小板凝集の症状の場合、カプセルまたは錠剤の経
口投与またはボーラス筋肉内注射が適当である。本発明の化合物を一日につき1
〜4回、約0.4〜約50mg/kgのレベルで投与して、一日用量が合計約0.
4〜約200mg/kg/日とする。
本発明はさらにフィブリン溶解療法後の動脈または静脈の再閉塞の阻害法であ
って、式(I)のペプチドおよびフィブリン溶解剤を内部投与することからなる
阻害法を提供する。フィブリン溶解療法におけるある種の化合物の投与は、再閉
塞を完全に防止するかまたは再閉塞までの時間を延長することが判明している。
本発明の内容において用いる場合、フィブリン溶解剤なる語は、天然または合
成製品のいずれであっても、フィブリン血餅の溶解を直接または間接的に生じさ
せる化合物を意味する。プラスミノーゲン活性化剤は周知の一群のフィブリン溶
解剤である。有用なプラスミノーゲン活性化剤は、例えば、アニストレプラーゼ
、ウロキナーゼ(UK)、プロ−ウロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ
(SK)、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、および化学的に修飾され
ているか、または1個またはそれ以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されて
いるか、または1個またはそれ以上の機能領域が付加、欠失もしくは1個のプラ
スミノーゲン活性化剤の活性部位を別のプラスミノーゲン活性化剤またはフィブ
リン結合分子のフィブリン結合領域と合するように変更されている変異体のよう
な、プラスミノーゲン活性化剤活性を保持する、その突然変異体または変異株を
包含する。他の例示的変異株は、1個またはそれ以上のグリコシル化部位が変更
されているtPA分子を包含する。プラスミノーゲン活性化剤のうち好ましいの
は、第一アミノ酸配列が成長因子領域でプラスミノーゲン活性化剤の血清半減期
が増加するように変更されているtPA変異株である。tPA成長因子変異株は
、例えば、ロビンソン(Robinson)ら、EP−A0 297 589およびブラ
ウン(Browne)ら、EP−A0 240 334に開示されている。他の変異株
は、ハイブリッドタンパク質、例えば、EP 0 028 489、EP 0
155 387およびEP 0 297 882(そのすべてを出典明示により
本明細書の一部とする)に開示されているものを包含する。アニストレプラーゼ
が本発明における使用に好ましいハイブリッドタンパク質である。フィブリン溶
解剤は、天然源から単離されるが、通常は遺伝子工学の伝統的方法により産生さ
れる。
tPA、SK、UKおよびpUKの有用な処方は、例えばEP−A 0 21
1 592、EP−A 0 092 182および米国特許第4,568,543
号(そのすべてを出典明示により本明細書の一部とする)に開示されている。典
型的には、フィブリン溶解剤は、緩衝等張水溶液、例えば、酢酸またはアジピン
酸ナトリウムまたはアンモニウム緩衝液(pH3.3〜5.5)に処方される。ポ
リビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレ
ン、グリコール、マンニトールおよび塩化ナトリウムのような別の賦形剤を添加
してもよい。このような組成物は凍結乾燥できる。
医薬組成物は、式(I)の化合物およびフィブリン溶解剤の両方を同一容器中
に処方してもよいが、別の容器内に処方するのが好ましい。両方の薬剤を溶液形
態にて提供する場合、同時投与用の注入/注射系に、またはタンデム装置中に含
めることができる。
このような療法の適応症は、心筋梗塞、深静脈血栓症、肺塞栓症、卒中および
他の梗塞関連障害を包含する。本発明の化合物をtPAまたは他のフィブリン溶
解剤の非経口投与の直前、同時、または直後に投与する。再灌流が、最大限、療
法後の再閉塞を阻害するように確立された後も、本発明に係る化合物での治療を
十分な期間続けるのが望ましいことが判明している。tPA、SK、UKまたは
pUKの有効用量は、0.5〜5mg/kgであり、ペプチドの有効用量は、約
0.1〜25mg/kgである。
阻害剤およびフィブリン溶解剤を同時または別々に都合よく投与する場合、1
個の容器、例えば、箱、カートンまたは他の容器、個別のビン、袋、バイアルま
たは他の容器であって、各々、前記の有効量の非経口投与用阻害剤および前記の
有効量の非経口投与用tPAまたは他のフィブリン溶解剤を入れたものからなる
キットが調製される。このようなキットは、例えば、別々の容器または同一の容
器に入れた両薬剤と、所望の凍結乾燥プラグと、復元用溶液の容器とからなって
いてもよい。この変形は、復元用溶液および凍結乾燥プラグを1個の容器の2つ
のチャンバーに含めるものであり、これを使用前に混合できる。このような装置
では、フィブリン溶解剤および本発明の化合物を別々に、2個の容器にパッケー
ジしたり、または粉末として一緒に凍結乾燥して1個の容器にて提供できる。
両薬剤を溶液形態にて提供する場合、これら薬剤は同時投与用の注入/注射系
またはタンデム装置に配合できる。例えば、血小板凝集阻害剤は、静脈内注射可
能な形態、またはチューブで一列に別の注入バッグ内のフィブリン溶解剤に連結
した注入バッグに入れてもよい。このような系を用いた場合、患者は、最初、ボ
ーラス型の阻害剤の注射または注入を受け、続いてフィブリン溶解剤の注入を受
けることができる。
本発明の化合物の薬理活性を、3H−SK&F107260(公知のRGD−
フィブリノゲン拮抗剤)のGPIIbIIIaレセプターとの結合を阻害する能力;i
n vitroで血小板凝集を阻害する能力およびin vivoで血栓形成を阻害する能力に
より評価する。
RGD−媒介GPIIb−IIIa結合の阻害
GPIIb−IIIaの精製
10ユニットの古い、洗浄したヒト血小板(赤十字より入手)を、3%オクチ
ルグルコシド、20mMトリス−HCl(pH7.4)、140mM NaCl
、
2mM CaCl2中、4℃で2時間、穏やかに攪拌するで溶解させた。その溶
解物を100,000gで1時間遠心分離に付した。得られた上清液を、20m
Mトリス−HCl(pH7.4)、100mM NaCl、2mM CaCl2
、1%オクチルグルコシド(緩衝液A)で予備平衡した、5mlのレンチル・レ
クチン・セファロース4Bカラム(E.Y.Labs)に加えた。2時間インキュベーシ
ョンした後、該カラムを冷緩衝液A(50ml)で洗浄した。レクチン保持GP
IIb−IIIaを10%デキストロース含有の緩衝液Aで溶出した。すべての操作
は4℃で行った。得られたGPIIb−IIIaは、SDSポリアクリルアミドゲル
電気泳動操作によれば、>95%純度であった。
GPIIb−IIIaのリポソームへの組み込み
ホスファチジルセリン(70%)およびホスファチジルコリン(30%)の混
合物(Avanti Po1ar Lipids)を、窒素流下、ガラス管壁に乾燥させた。精製し
たGPIIb−IIIaを最終濃度0.5mg/mLに希釈し、1:3(w:w)のタ
ンパク質:リン脂質の比にてリン脂質と混合した。該混合物を再び懸濁させ、バ
スソニケーターにて5分間超音波処理に付した。ついで、該混合物を、1000
倍過剰の50mMトリス−HCl(pH7.4)、100mM NaCl、2m
M CaCl2(2回交換)に対する12,000−14,000分子量カットオ
フ透析を用いて一夜透析した。GPIIb−IIIa含有リポソームを少し、12,
000gで15分間遠心分離に付し、約1mg/mLの最終タンパク質濃度で再
び透析緩衝液に懸濁させた。該リポソームを必要になるまで−70℃で貯蔵した
。
GPIIb−IIIaへの競合結合
フィブリノゲンレセプター(GPIIb−IIIa)に対する結合を、RGD−型
リガンドとして[3H]−SK&F−107260を用いる間接的競合結合法に
より検定した。該結合検定は、22μmの親水性デュラポアー(durapore)膜を
用い、96−ウェルの濾過プレート装置(ミリポール・コーポレイション(Mi11
ipore Corporation),Bedford,MA)にて行った。該ウェルを10μg
/mLのポリリシン(シグマ・ケミカル社(Sigma Chemica1 Co.),St.Louis,
MO.)0.2mLで、室温で1時間、プレコートし、非特異的結合を遮断した。
種々の濃度の非標識ベンザジアザピンを、四重試験にて該ウェルに加えた。
[3H]−SK&F−107260を4.5nMの最終濃度にて各ウェルに加え、
つづいて精製した血小板GPIIb−IIIa含有リポソーム1μgを加えた。混合
物を室温で1時間インキュベートした。GPIIb−IIIa結合[3H]−SK&F
−107260を、ミルポール濾過マニホールドを用いる濾過により非結合体よ
り分離し、つづいて氷冷緩衝液(2回、各0.2mL)で洗浄した。濾紙上に残
っている結合放射活性を、ベックマン・リキッド・シンチレーション・カウンタ
ー(Beckman Liquid Scinti1lation Counter)(Model LS680O)におけるレディ
ー・ソルブ(Ready Solve)(Beckman Instruction,Fullerton,CA)1.5mL
にて計数した(40%効率)。非特異的結合を2μMの非標識SK&F−107
260の存在下で測定し、それはサンプルに加えた全放射活性の0.14%未満
であった。すべてのデータは4重試験の平均である。本発明の化合物は[3H]
−SK&F−107260結合を約5nMないし約10μMの範囲のKiで阻害
する。
血小板凝集の阻害
血液を特定の実験を受けたことかない雑種成犬より収集した(凝固作用を抑制
するのにシトレート処理に付した)。血小板に富む血漿(PRP)を、150×
gで10分間、室温で遠心分離に付すことにより調製した。洗浄した血小板をP
RPを800×gで10分間遠心分離に付すことで調製した。こうして得られた
細胞ペレットを、Ca++不含Tyrode緩衝液(pH6.5)にて2回洗浄し、3×1
05細胞/mLの濃度で、1.8mM Ca++含有のTyrode緩衝液(pH7.4)
に再び懸濁させた。すべての血小板凝集の検定において、化合物をアゴニスト添
加の3分前に加えた。最終アゴニスト濃度は、トロンビン(0.1単位/ml)
およびADP(2mM)(シグマ社)であった。凝集をChrono−Log Lumi−Aggr
egometerにてモニター観察した。アゴニスト添加の5分後の光透過率を用い、式
:
[式中、CRはチャート読み、90はベースライン、10はPRPブランク読み
を意味する]
に従って凝集%を算定した。IC50を、[凝集の阻害%]対[化合物濃度]をプ
ロットすることにより測定した。化合物を200mMで検定し、逐次、2つのフ
ァクターで希釈し、適当な用量応答曲線を確立した。
本発明の化合物は、ADPで剌激されたヒト血小板の凝集を約0.1〜約40
μMのIC50で阻害する。
化合物の血漿中プロテアーゼに対する安定性を評価するために、化合物をアゴ
ニストの添加前にPRP中で3時間(3分ではなく)培養した。
血小板凝集のinvivo阻害
血栓形成のin vivo阻害を、エイケン(Aiken)ら、プロスタグランジンズ(Pr
ostaglandins),19,629(1980)に記載されている方法にしたがって
、麻酔したイヌにペプチドを注入し、全身性および血液学的効果を記録すること
により測定する。
以下の実施例は、本発明の範囲を何ら制限するものではなく、本発明の化合物
の調製法および使用を説明するものである。多くの他の具体例は、当業者には自
明であり容易に利用可能である。
実施例
実施例1
N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−オキシ酢酸−(R)−プ
ロリルベンゼン
a) N−トリフルオロアセチル−(2−および4−)−メトキシプロリルベン
ゼン
N−トリフルオロアセチル−D−プロリルクロリド(15.0g、69.5ミ
リモル)およびアニソール(7.56g、70ミリモル)の塩化メチレン(25
0
ml)中冷却(0℃)溶液を調製した。塩化アルミニウム(9.34g、70ミ
リモル)を塩化メチレン(25ml)中にて攪拌し、アルゴン流下、少しずつ加
えた。ついで、暗色混合物を6N塩酸(200ml)でクエンチし、層を分離し
、水層を100ml部の塩化メチレンで2回抽出し、得られた混合物を24時間
加熱還流し、ついで室温に冷却した。合した有機層を5%炭酸水素ナトリウム、
ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用
いて濃縮し、褐色油を得、それをクロマトグラフィー(シリカゲル、10%ヘキ
サン/塩化メチレン)により精製し、異性体の混合物(パラ/オルト、80/2
0)として標記化合物(10.9g、50%収率;MH+=301)を得た。
b) N−トリフルオロアセチル−4−ヒドロキシプロリルベンゼン
N−トリフルオロアセチル−(2−および4−)−メトキシプロリルベンゼン
(7.4g、24ミリモル)の塩化メチレン(175ml)中冷却(−78℃)
迅速攪拌溶液に、アルゴン流下、1M三フッ化ホウ素(30ml、30ミリモル
、塩化メチレン中)溶液を添加した。該溶液を室温にし、攪拌を塩化カルシウム
乾燥管の下3時間続けた。得られた懸濁液を氷(50ml)で希釈し、層を分離
した。水層をジエチルエーテルで2回抽出し、合した有機抽出液をブラインで洗
浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮して
白色固体を得た。ついで、所望の異性体(パラ)をクロマトグラフィー(シリカ
ゲル、2%メタノール/クロロホルム)により単離し、白色薄片の標記化合物(
3.68g、53%収率;MH+=287)を得た。
c) N−トリフルオロアセチル−4−[オキシ(t−ブチル)酢酸]プロリル
ベンゼン
N−トリフルオロアセチル−4−ヒドロキシプロリルベンゼン(720mg、
2.5ミリモル)、ブロモ酢酸t−ブチル(448mg、2.5ミリモル)およ
び炭酸カリウム(773mg、5.6ミリモル)のジメチルホルムアミド(25
ml)中混合物をアルゴン下3時間攪拌した。ついで反応混合物を等容量のジエ
チルエーテルおよび水(100ml)で希釈し、分離した。水相をジエチルエー
テルで2回抽出し、合した有機抽出液を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネ
シウム上で乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、油を得た。さら
に、ヘキサンで複数回トリチュレーションすることにより精製し、透明油として
標記化合物(950mg、95%収率;MH+=401)を得た。
d) 4−[オキシ(t−ブチル)アセタート]−(R)−Ψ−((R,S)−
ヒドロキシメチル)プロリルベンゼン
N−トリフルオロアセチル−4−[オキシ(t−ブチル)酢酸]プロリルベン
ゼン(3.90g、9.7ミリモル)のエタノール(45ml)中溶液をアルゴ
ン下で調製した。ホウ水素化ナトリウム(1.47g)38.89ミリモル)を
滴下した。1時間後、反応混合物を0℃に冷却し、アセトン(45ml)を注意
して添加した。添加終了後、該溶液を15分間室温とした。この時間経過後、反
応物をジエチルエーテルで希釈し、ブラインおよび飽和炭酸水素ナトリウムで洗
浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し
た。酢酸エチルでのトリチュレートにより最終精製に付し、白色固体として標記
化合物(2.9g、97%収率;MH+=307)を得た。
e) N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−
4−[オキシ(t−ブチル)アセタート]−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロ
キシメチル)プロリルベンゼン
ジメチルホルムアミド(50ml)中、4−[オキシ(t−ブチル)アセター
ト]−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)プロリルベンゼン(2.
0g、6.5ミリモル)からなる冷却(0℃)溶液に、アルゴン下、1−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール(0.97g、7.2ミリモル)、4−N−Cbz−アミジ
ノ安息香酸(2.12g、7.2ミリモル)および水可溶性カルボジイミド(N
−エチル−N'(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1.38g、7.2
ミリモル)を連続的に加えた。得られた溶液を室温で4時間攪拌し、その後、該
溶液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、得られた残渣を10%炭酸カ
リウム溶液で処理し、濾過し、中性になるまで水で洗浄した。そのワックス状物
を酢酸エチルに溶かし、5%クエン酸、5%炭酸水素ナトリウム溶液およびブラ
インで連続的に洗浄した。ロータリーエバポレーターで濃縮し、白色固体として
標記
化合物(2.17g、57%収率;MH+=587)を得た。
f) N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−
4−オキシ(t−ブチル)アセタート−(R)−プロリルベンゼン
N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−
[オキシ(t−ブチル)アセタート]−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシ
メチル)プロリルベンゼン(1.91g、3.4ミリモル)の塩化メチレン(60
ml)中冷却(0℃)攪拌溶液に、二クロム酸ピリジニウム(3.76g、10
ミリモル)を加えた。得られた暗色懸濁液を室温で4時間攪拌した。溶液を濃縮
過した。ついで、濾液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ロー
タリーエバポレーターを用いて濃縮した。クロロホルムより蒸発させ、ジエチル
エーテルでトリチュレートし、標記化合物(1.40g、75%)を得た;MH+
=585。
g) N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−オキシ酢酸−(R
)−プロリルベンゼン
N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−
オキシ(t−ブチル)アセタート−(R)−プロリルベンゼン(1.10g、1.
9ミリモル)、10%炭素上パラジウム(100mg)、1M塩酸/ジエチルエ
ーテル(1.9ml、1.9ミリモル)およびエタノール(35ml)からなる溶
液を50psiで1時間水素添加した。該混合物をセライトを介して濾過し、濃
縮して保護されていないアミジノエステルを得た。ついで、該エステルを20%
トリフルオロ酢酸/塩化メチレン(40ml)で1.5時間処理することにより
加水分解した。ロータリーエバポレーターで濃縮し、つづいてジエチルエーテル
でトリチュレートして不純生成物を得、それを高圧液体クロマトグラフィーに付
して精製し、(逆相シリカ、16%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ
酢酸)塩として標記化合物(620mg)収率83%)を得た;MH+=395
。元素分析:C21H21N3O5・C2HO2F3として、計算値(%):C,49.1
6;H,4.01;N,7.07;測定値(%):C,49.14;H,4.01;
N,7.07。
実施例2
N−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−オキシ酢酸−
(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)プロリルベンゼン
N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−
[オキシ(t−ブチル)アセタート]−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシ
メチル)プロリルベンゼン(150mg、0.26ミリモル)、10%炭素上パ
ラジウム(25mg)、1M塩酸/ジエチルエーテル溶液(0.3ml、0.3ミ
リモル)およびエタノール(10ml)からなる溶液を、50psiで1時間水
素添加した。該混合物をセライトを介して濾過し、濃縮して保護されていないア
ミジノエステルを得た。ついで、該エステルを20%トリフルオロ酢酸/塩化メ
チレン(15ml)で1.5時間処理することにより加水分解した。ロータリー
エバポレーターで濃縮し、つづいてジエチルエーテルでトリチュレートして白色
ワックス状物を得、それを高圧液体クロマトグラフィーカラムに付して精製し、
高圧液体クロマトグラフィー(逆相シリカ、16%アセトニトリル/水/0.1
%トリフルオロ酢酸)TFA塩として標記化合物(65mg、収率50%)を得
た;MH+=397。元素分析:C21H23N3O5・1.5C2HO2F3として、計
算値(%):C,49.92;H,4.45;N,7.28;測定値(%):C,
50.16;H,4.77;N,7.45。
実施例3
(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル)カルボニル}−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ]酢酸
a) 2−(2−フェニルエチル)アニソール
o−アニスアルデヒド(10g、74ミリモル)、塩化ベンジルトリフェニル
ホスホニウム(28.7g、74ミリモル)および塩化メチレン(100ml)
を500mLフラスコに入れた。これに、50%水酸化ナトリウム溶液(38.
7ml、740ミリモル)を室温にて20分間にわたって滴下した(発熱反応)
。添加終了後、攪拌をさらに30分間続けた。層を水/塩化メチレン(1/1)
で希釈し、分離した。水層を塩化メチレンで2回抽出し、合した有機層を硫酸マ
グネシウム上で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、白色ワックスを得
た。ヘキサンでトリチュレートし、固体不純物を濾過して精製し、濾液を濃縮し
、無色油としてビニル中間体(15.0g、96%)を得る。
ついで、該油をエタノール(40ml)に溶かし、10%炭素上パラジウム(
1g)で処理し、50psiで2時間水素添加した。触媒をセライトを介して濾
去し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、粗油を得た。フラッシュクロ
マトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)で精製し、標記化合物(13.24g
、収率84%)を得た;MH+=212。
b) N−トリフルオロアセチル−(4−および6)−プロリル−2−(2−フ
ェニルエチル)アニソール
N−トリフルオロアセチル−D−プロリルクロリド(14.43g、63ミリ
モル)、2−(2−フェニルエチル)アニソール(13.24g、63ミリモル
)の塩化メチレン(500ml)中冷却(0℃)溶液を調製した。塩化アルミニ
ウム(8.4g、63ミリモル)を塩化メチレン(25ml)中にてスラリー状
にし、アルゴン流下、少しずつ加えた。得られた混合物を24時間加熱還流し、
室温に冷却した。ついで、暗色混合物を6N塩酸溶液(200ml)でクエンチ
し、層を分離し、水層を100ml部の塩化メチレンで2回抽出した。合した有
機層を5%炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、褐色油を得、それをクロマトグラフィ
ー(シリカゲル、10%ヘキサン/塩化メチレン)に付して精製し、異性体の混
合物として標記化合物(12.55g、収率53%)を得た;MH+=405。
c) N−トリフルオロアセチル−4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)
フェノール
N−トリフルオロアセチル−(4−および6)−プロリル−2−(2−フェニ
ルエチル)アニソールを実施例1(b)の操作に従って脱保護し、白色固体とし
て標記化合物(収率77%)を得た;MH+=391。
d) N−トリフルオロアセチル−4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)
フェノキシ(t−ブチル)アセタート
N−トリフルオロアセチル−4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)フェ
ノールを実施例1(c)の操作に従ってO−アルキル化し、標記化合物(収率9
6%)を得た;MH+=505。
e) 4−プロリル−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)−2−(
2−フェニルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセタート
N−トリフルオロアセチル−4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)フェ
ノキシ(t−ブチル)アセタートを実施例1(d)の操作に従って脱保護し、粗
生成物を得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、ジエチルエーテル)により精
製し、ロータリーエバポレーターにより所望のフラクションを濃縮し、標記化合
物(収率93%)を得た;MH+=411。
f) N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−
4−プロリル−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)−2−(2−フ
ェニルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセタート
4−プロリル−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)−2−(2−
フェニルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセタートを実施例1(e)の操作
に従って4−Cbz−アミジノ安息香酸にカップリングさせ、明黄色固体として標
記化合物(収率86%)を得た;MH+=691。
g) N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−
4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセター
ト
N−カルボベンズオキシ−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−4−
プロリル−(R)−Ψ−((R,S)−ヒドロキシメチル)−2−(2−フェニ
ルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセタートを実施例1(f)の操作に従っ
て酸化し、わずかに不純な生成物を得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、3
%メタノール/クロロホルム)により精製し、所望のフラクションをロータリー
エバポレーターに付し、白色ワックス状物として標記化合物(収率62%)を得
た;MH+=689。
h) (R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2
−ピロリジニル)カルボニル}−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ]酢酸
N−カルボベンズオキシ−(R)[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]
−4−プロリル−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ(t−ブチル)アセタ
ートを実施例1(g)の操作に従って脱保護し、不純ワックス状物として所望の
化合物を得た。該生成物の一部をさらに高圧液体クロマトグラフィー(逆相シリ
カ、28%アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸)カラムにより精製
し、主成分として標記化合物を得た;MH+=499。
元素分析:C29H29N3O5・1.5C2HO2F3として、計算値(%):C,57.
31;H,4.58;N,6.27;測定値(%):C,57.10;H,4.60
;N,6.20。
実施例4
(R)−[4−{(1−[4−(アミノカルボニル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル)カルボニル}−2−(2−フェニルエチル)フェノキシ]酢酸
実施例3(h)の副成分をさらに高圧液体クロマトグラフィーにより単離し、
標記化合物を得た;MH+=500。元素分析:C29H28N2O6・C2HO2F3と
して、計算値(%):C,58.86;H,4.94;N,4.43;測定値(%)
:C,58.76;H,5.04;N,4.43。
実施例5
(R)−[4−{(1−[4−(アミノメチル)ベンゾイル]−
2−ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸
a) N−トリフルオロアセチル−(2−および4−)メトキシプロリルベンゼ
ン
アニソールを実施例1(a)の操作に従ってアシル化し、標記化合物を得た;
MH+=301。
b) N−トリフルオロアセチル−4−ヒドロキシプロリルベンゼン
N−トリフルオロアセチル−(2−および4−)メトキシプロリルベンゼンを
実施例1(b)の操作に従って脱保護し、白色固体として標記化合物(収率77
%)を得た;MH+=287。
c) N−t−ブチルカルバマート−4−ヒドロキシプロリルベンゼン
N−トリフルオロアセチル−4−ヒドロキシプロリルベンゼン(6.2g)2
1.3ミリモル)のメタノール(20ml)中溶液に、1N水酸化ナトリウム溶
液(25.6ml、25.6ミリモル)を加えた。得られた混合物を室温で2時
間攪拌し、ジ−tert−ブチルジカーボナート(1.09g、50ミリモル)を少
しずつ加え、得られた溶液を一夜攪拌した。該溶液をロータリーエバポレーター
により濃縮し、酢酸エチルに溶かし、5%クエン酸、水、ブラインで洗浄し、硫
酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して黄色油を得た。ヘキサンでトリチュレート
し、つづいて真空乾燥して白色ワックス状物として標記化合物(5.71g、収
率93%)を得た;MH+=291。
d) 4−ヒドロキシプロリルベンゼン
N−t−ブチルカルバマート−4−ヒドロキシプロリルベンゼン(2.73g
、7.3ミリモル)を20%トリフルオロ酢酸/塩化メチレン(25ml)で1
.5時間処理した。溶媒を除去し、残渣を塩化メチレンから2回蒸発させた。ジ
エチルエーテルでトリチュレートし、ついで真空下で乾燥し、トリフルオロ酢酸
塩として標記化合物(1.7g、収率81%)を得た;MH+=191。
e) (R)−[4−{[1−[4−[N−t−ブチルカルバマート(アミノメ
チル)]ベンゾイル]−2−ピロリジニル]カルボニル}フェノール
4−ヒドロキシプロリルベンゼン(4)(800mg、2.9ミリモル)のジ
メチルホルムアミド(25ml)中冷却(0℃)溶液に、pHが7.5になるま
でジイソプロピルエチルアミンを加えた。得られた系に、1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール(430mg、3.19ミリモル)、4−[N−t−ブチルカルバ
マート(アミノメチル)]安息香酸(800mg、3.19ミリモル)および水
溶
性カルボジイミド(N−エチル−N'(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド、611mg、3.19ミリモル)を連続的に加えた。得られた溶液を室温で
18時間攪拌した。該溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を酢酸エ
チルに溶かした。ついで、該溶液を5%炭酸水素ナトリウム溶液およびブライン
で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。濃縮し、つづいて酢酸エチル/ヘキ
サンから物質を沈殿させ、白色固体として標記化合物(1.15g、収率94%
)を得た;MH+=424。
f) (R)−[4−{[1−[4−[N−t−ブチルカルバマート(アミノメ
チル)]ベンゾイル]−2−ピロリジニル]カルボニル}フェノキシ]酢酸エチ
ル
(R)−[4−{[1−[4−[N−t−ブチルカルバマート(アミノメチル
)]ベンゾイル]−2−ピロリジニル]カルボニル}フェノールを実施例1(c
)の操作に従ってブロモ酢酸エチルでO−アルキル化し、白色固体として標記化
合物(1.05g、収率81%)を得た;MH+=510。
g) (R)−[4−{[1−[4−[(アミノメチル)]ベンゾイル]−2−
ピロリジニル]カルボニル}フェノキシ]酢酸エチル
(R)−[4−{[1−[4−[N−t−ブチルカルバマート(アミノメチル
)]ベンゾイル]−2−ピロリジニル]カルボニル}フェノキシ]酢酸エチルを
、実施例5(d)の操作に従ってN−脱保護した。得られた白色固体をさらにク
ロマトグラフィー(シリカゲル、8%メタノール/クロロホルム)により精製し
、トリフルオロ酢酸塩として標記化合物(789mg、収率73%)を得た;M
H+=410。元素分析:C23H26N2O5・C2HO2F3として、
計算値(%):C,60.8;H,7.17;N,3.90;測定値(%):C,
61.01;H,7.09;N,3.88。
h) (R)−[4−{(1−[4−(アミノメチル)ベンゾイル]−2−ピロ
リジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸
(R)−[4−{[1−[4−[(アミノメチル)]ベンゾイル]−2−ピロ
リジニル]カルボニル}フェノキシ]酢酸エチルのメタノール(10ml)中溶
液に、2N水酸化ナトリウム溶液(7.2ml、1.45ミリモル)を加えた。2
時間後、反応物を1N塩酸溶液で中和し、該溶液をロータリーエバポレーターで
濃縮した。クロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノール/クロロホルム
)に付して精製し、ついでその物質を非イオン性XAD−2吸収剤(水で平衡状
態とし、30%アセトニトリルで溶出)により脱塩し、標記化合物(60mg、
収率22%)を得た;MH+=382。元素分析:C21H22N2O5・1,5H2Oと
して、計算値(%):C,58.19;H,5.81;N,6.80;測定値(%
):C,58.30;H,5.62;N,6.80。
実施例6
(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−
2−ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]アセタート
a) 4−ヒドロキシプロリルベンゼン
標記化合物の調製を実施例5(a)〜5(d)の操作に従って実施した。
b) (R)−[4−{1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−
ピロリジニル}カルボニル]フェノール
4−ヒドロキシプロリルベンゼン(470mg、1.6ミリモル)のジメチル
ホルムアミド(25ml)中冷却(0℃)溶液に、pHが7.5になるまでジイソ
プロピルエチルアミンを加えた。得られた系に1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ル(243mg、1.8ミリモル)、4−N−Cbz-アミジノ安息香酸(536m
g、1.8ミリモル)および水溶性カルボジイミド(N−エチル−N'(ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド、343mg、1.8ミリモル)を連続的に加
えた。得られた溶液を室温で18時間攪拌した。該溶液をロータリーエバポレー
ターで濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶かした。ついで、該溶液を5%クエン酸、
5%炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し
た。濃縮し、つづいて該物質を酢酸エチル/ヘキサンから沈殿させ、白色固体と
して標記化合物(500mg、収率59%)を得た;MH+=473。(R)−[4−{(1−[N−カルボベンズオキシ−4−(アミノイミノメチル )ベンゾイル]−2−ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]アセタート
(R)−[4−{1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−ピロ
リジニル)カルボニル}フェノールを実施例5(f)の操作に従ってO−アルキ
ル化し、油として標記化合物(収率88%)を得た;MH+=555。(R)−[4−{(1−[4−(アミノイミノメチル)ベンゾイル]−2−ピロ リジニル)カルボニル}フェノキシ]アセタート
(R)−[4−{(1−[N−カルボベンズオキシ−4−(アミノイミノメチ
ル)ベンゾイル]−2−ピロリジニル)カルボニル}フェノキシ]酢酸エチルを
実施例5(g)の操作に従って脱保護し、白色不純固体を得た。クロマトグラフ
ィー(シリカゲル、10%メタノール/クロロホルム)により精製し、白色粉末
として標記化合物(収率24%)を得た;MH+=423。元素分析:C23H25
N3O5・2HClとして、計算値(%):C,48.77;H,5.52;N,7
.42;測定値(%):C,48.48;H,5.52;N,7.20。
実施例7
非経口投与単位組成物
滅菌乾燥粉末としての実施例1の化合物20mgを含有する調製物を以下のよ
うに調製する:化合物20mgを蒸留水15mlに溶かす。溶液を25mlの複
数回投与用アンプル中に滅菌条件下で濾過して凍結乾燥する。静脈内または筋肉
内投与用の5%水中デキストロース(D5W)20mlを添加することでその粉
末を復元する。それで投与量は注射容量により決定される。その後、この計量し
た投与単位をさらなる注射用D5Wに添加することで希釈を行ってもよく、また
は計量した容量をIV滴下注入または他の注射注入系のボトルまたはバッグのよ
うな、薬剤分配用の装置に加えてもよい。
実施例8
経口投与単位組成物
実施例1の化合物(50mg)をラクトース(75mg)およびステアリン酸
マグネシウム(5mg)と混合し、粉砕することにより経口投与用カプセルを調
製する。得られた粉末をスクリーンに付し、硬ゼラチンカプセルに充填する。
実施例9
経口投与単位組成物
シュークロース(20mg)、硫酸カルシウム・2水和物(150mg)およ
び実施例1の化合物(50mg)を10%ゼラチン溶液と混合し、造粒すること
により経口投与用錠剤を調製する。その湿式顆粒をスクリーンに付し、乾燥し、
澱粉(10mg)、タルク(5mg)およびステアリン酸(3mg)と混合して
打錠する。
前記の明細書の記載は本発明の製造および使用を説明する。しかしながら、本
発明は本明細書に記載のその具体例に限定されるものではなく、以下の請求の範
囲にあるすべての修飾を包含するものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),JP,US