【発明の詳細な説明】
二環式フィブリノーゲン拮抗薬
発明の分野
本発明は、血小板凝集を阻害する新規二環式化合物、該化合物を含有する医薬
組成物および該化合物の使用方法に関する。
発明の背景
血小板凝集は、主に、インテグリンと称される接着受容体のファミリーの一員
であるフィブリノーゲン受容体またはGPIIb−IIIa血小板受容体複合体を介
して行われると思われる。インテグリン受容体の天然リガンドがしばしばArg−
Gly−Asp配列を含有するタンパクであることが判明した。GPIIb−IIIa受
容体についての天然リガンドであると考えられるフォンビルブラント因子および
フィブリノーゲンは、それらの一次構造においてArg−Gly−Asp(一文字アミ
ノ酸コードではRGD)配列を有する。機能的には、これらのタンパクは、隣接
する血小板上でGPIIb−IIIa受容体を結合し架橋結合することができ、これ
により、血小板を凝集させる。
フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびトロンボスポンジンは、GPIIb−
IIIaに結合することも示されているRGD含有タンパクである。フィブロネク
チンは、血漿中で、および、細胞内マトリックスにおける構造タンパクとして、
見られる。構造タンパクとGPIIb−IIIaとの間の結合は、損傷した血管壁に
血小板を接着させるように機能する。
ビトロネクチンに結合し、RGD配列を含有する直鎖状および環状のペプチド
は、WO 89/05150(PCT US88/04403)に開示されている。EP 0 275 748には、G
PIIb−IIIa受容体に結合し、血小板凝集を阻害する直鎖状のテトラ−ないし
ヘキサ−ペプチドおよび環状のヘキサ−ないしオクタ−ペプチドが開示されてい
る。他の直鎖状および環状ペプチドは、EP-A 0 341 915に開示されている(出典
明示により本明細書の一部とする)。しかしながら、かかる阻害薬のペプチド様
構造
は、しばしば、ドラッグデリバリー、代謝安定性および選択性などの問題を提起
する。天然アミノ酸配列からなっていないフィブリノーゲン受容体の阻害薬は、
EP-A 0 372 486、EP-A 0 381 033およびEP-A 0 478 363に開示されている。WO 9
2/07568(PCT/US91/08166)には、単環式7員環構造を形成することによりRG
D配列における立体配座的γ−回転によく似ているフィブリノーゲン受容体拮抗
薬が開示されている。しかしながら、有効なin vivoおよびin vitro効果を有し
、アミノ酸配列のペプチド主鎖構造を欠いている新規フィブリノーゲン受容体拮
抗薬(例えば、GPIIb−IIIaタンパクの阻害薬)が依然として必要とされて
いる。
本発明は、ベンゾアゼピンおよびベンゾジアゼピンを含む新規二環式化合物を
記載する。これらの化合物は、GPIIb−IIIa受容体を阻害し、血小板凝集を
阻害する。
発明の概要
1つの態様において、本発明は、式(I)において以下に記載するような芳香族
6員環に縮合した置換7員環からなる二環式化合物である。
本発明は、また、式(I)で示される化合物および医薬的に許容される担体から
なる血小板凝集または血餅形成を阻害するための医薬組成物でもある。
本発明は、さらに、式(I)で示される化合物の有効量を内部投与することから
なる、血小板凝集の阻害を必要とする哺乳動物における血小板凝集阻害方法であ
る。
もう1つの態様において、本発明は、有効量のフィブリン溶解薬および式(I)
で示される化合物を内部投与することからなる、フィブリン溶解治療に続いて哺
乳動物において動脈または静脈の再閉塞を阻害するための方法を提供するもので
ある。本発明は、また、発作、一過性脳虚血発作、または心筋梗塞の治療方法で
ある。
発明の詳細な説明
本発明は、血小板凝集を阻害する二環式化合物を記載する。新規二環式化合物
は、芳香族6員環に縮合した7員環からなり、該7員環上に窒素含有置換基およ
び該芳香族6員環上に好ましくは酸性部分を含有するかまたは酸性部分である脂
肪族置換基を有する。該7員環は、窒素、酸素および硫黄などのヘテロ原子を含
有してもよく、該芳香族6員環は、炭素環式であるか、または、窒素原子を2個
まで含有する。該縮合7−6環系は、GPIIb−IIIa受容体と好都合に相互に
作用すると思われ、7員環および芳香族6員環上の置換基側鎖を、該置換基側鎖
が受容体と好都合に相互に作用するように志向させると思われる。
作用の特異的なメカニズムに拘束されるつもりではないが、これらの化合物は
、フィブリノーゲンの血小板結合フィブリノーゲン受容体GPIIb−IIIaへの
結合を阻害すると思われ、推定のRGD結合部位の拮抗作用を介して他の接着タ
ンパクと相互に作用する。
本発明化合物は、式(I):
[式中、
A1〜A5は、所望により、O、SおよびN(ここで、SおよびNは、所望によ
り酸化されていてもよい)からなる群から選択されるヘテロ原子2個までを含有
していてもよい飽和または不飽和の利用可能な置換7員環を形成し;
D1〜D4は、所望により窒素原子2個までを含有していてもよい利用可能な置
換6員環を形成し;
Rは、R7、またはQ−C1-4アルキル、Q−C2-4アルケニル、Q−C2-4アル
キニル、Q−C1-4アルキルアミノもしくはQ−C1-4アルキルオキシ(所望によ
り、1個以上の=O、R11またはR7によって置換されていてもよい)からなる
群から選択される少なくとも1個の置換基であり;
R*は、H、Q−C1-6アルキル、Q−C1-6オキソアルキル、Q−C2-6アルケ
ニル、Q−C3-4オキソアルケニル、Q−C3-4オキソアルキニル、Q−C2-4ア
ルキニル、Q−C1-4アルキルアミノ、Q−C1-4アルキルオキシ、C3-6シクロ
アルキル、ArまたはHet(所望により1個以上のR11によって置換されていて
もよい)であり;
Qは、H、C3-6シクロアルキル、HetまたはArであり;
R6は、W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−であり;
R7は、−COR8、−COCR'2R9、−C(S)R8、−S(O)mOR'、
−S(O)mNR'R"、−PO(OR')、−PO(OR')2、−B(OR')2、−NO2
およびTetであり;
R8は、−OR'、−NR'R"、−NR'SO2R'、−NR'OR'、
−OCR'2C(O)OR'、−OCR'2OC(O)−R'、−OCR'2C(O)NR'2、
CF3またはAA1であり;
R9は、−OR'、−CN、−S(O)rR'、S(O)mNR'2、
−C(O)R'C(O)NR'2または−CO2R'であり;
R10は、H、C1-4アルキルまたは−NR'R"であり;
R11は、H、ハロ、−OR12、−CN、−NR'R12、−NO2、−CF3、
CF3S(O)r−、−CO2R'、−CONR'2、Q−C0-6アルキル−、
Q−C1-6オキソアルキル−、Q−C2-6アルケニル−、Q−C2-6アルキニル−
、Q−C0-6アルキルオキシ−、Q−C0-6アルキルアミノ−またはQ−C0-6ア
ルキル−S(O)r−であり;
R12は、R'、−C(O)R'、−C(O)NR'2、−C(O)OR15、−S(O)mR'
またはS(O)mNR'2であり;
R13は、R'、−CF3、−SR'または−OR'であり;
R14は、R'、C(O)R'、CN、NO2、SO2R'またはC(O)OR15であり
;
R15は、H、C1-6アルキルまたはAr−C0-4アルキルであり;
R'は、H、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル−C0-4アルキルまたは
Ar−C0-4アルキルであり;
R"は、R'、−C(O)R'または−C(O)OR15であり;
R"'は、R"またはAA2であり;
AA1は、アミノ基を介して結合し、所望により保護されていてもよいカルボ
キシル基を有するアミノ酸であり、AA2は、カルボキシル基を介して結合し、
所望により保護されていてもよいアミノ基を有するアミノ酸であり;
UおよびVは、存在しないか、または、CO、CR'2、C(=CR'2)、
S(O)n、O、NR'、CR'OR'、CR'(OR")CR'2、CR'2CR'(OR")、
C(O)CR'2、CR'2C(O)、CONR'、NR'CO、OC(O)、C(O)O、C
(S)O、OC(S)、C(S)NR'、NR'C(S)、S(O)nNR'、NR'S(O)n、
N=N、NR'NR'、NR'CR'2、NR'CR'2、CR'2O、OCR'2、C≡C
もしくはCR'=CR'であり(ただし、UおよびVは、同時に存在しないことは
ない);
Wは、R'R"'N−、R'R"NR'N−、R'R"NR'NCO−、
Xは、N=CR'、C(O)またはOであり;
Yは、存在しないか、または、SもしくはOであり;
Zは、(CH2)t、Het、ArまたはC3-7シクロアルキルであり;
mは、1または2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0または1であり;
qは、0〜3であり;
rは、0〜2であり;
sは、0〜2であり;
tは、0〜2である]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である。
本発明化合物の医薬的に許容される付加塩、複合体またはプロドラッグも本発
明に含まれる。プロドラッグは、in vivoで、式(I)で示される活性親薬物を放
出する共有結合担体であると考えられる。
本発明化合物が1個以上のキラル中心を有する場合、特記しない限り、本発明
は、慣用技術によって合成され分割される個々の固有の非ラセミ化合物を含む。
化合物が不飽和炭素−炭素二重結合を有する場合、シス(Z)異性体およびトラ
ンス(E)異性体は、共に、本発明の範囲内である。化合物が、ケト−エノール
形で存在する場合、各互変異性体形は、平衡状態で存在しようとR'との適当な
置換によって1つの形態でロックされようと、本発明の範囲内に含まれると考え
られる。特記しない限り、いずれの場合のいずれの置換基の意味も、その意味ま
たは、いずれの他の場合のいずれの他の置換基の意味からも独立している。
式(I)に関して、好適には、
A1は、CR1R1'、NR1、OまたはS(O)xであり;
A2は、CR2R2'またはNR2であり;
A3は、CR3R3'、CR3、NR3、N、OまたはS(O)xであり;
A4は、CR4R4'、CR4、NR4またはNであり;
A5は、CR5R5'、CR5、NR5、N、OまたはS(O)xであり;
D1−D4は、CR、CR*またはNであり;
R1およびR1'は、水素であるか、または、一緒になって=Oであり;
R2およびR2'は、水素であるか、または、一緒になって=Oであるか、また
は、R2がR6であり、R2'が存在しないかまたは水素として存在し;
R3およびR3'は、水素であるか、または、一緒になって=Oであるか、また
は、R3がR6であり、R3'が存在しないかまたは水素として存在し;
R4およびR4'は、水素であるか、または、R4がR9であり、R4'が存在しな
いかまたは水素として存在し;
R5およびR5'は、水素であるか、または、一緒になって=Oである。
さらに適切には、A1は、CR1R1'、NR1、OまたはSであり;A2は、
CR2R2'、NR2またはCR2であり;A3は、CR3R3'であり;A4は、
CR4R4'、CR4、NR4またはNであり;A5は、CR5R5'、CR5、NR5、
NまたはOであり;D1およびD4は、CHであり;D2は、CR*であり;D3は
、CRである。
好ましくは、A1は、CR1R1'、NR"またはSであり;A2は、CR2R2'ま
たはNR2であり;A3は、CR3R3'であり;A4は、CR4R4'またはNR4であ
り;A5は、CR5R5'である。
好適には、(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは、CO、CONR'、
NR'CO、CH2CHOH、CHOHCH2、CH2CH2、CH2O、OCH2、
CH=CH、C≡C、CH2CH=CH、(CH2)2O、CH2CONR'、
CONR'CH2、CH(NR'R")CONR'、CH2CH2NR'CO、
CONR'CHR'CH2、CH2NR'CO2CH2、CONR'CH2CO、
CONR'CH2CHOH、CH=CHCONR'、(CH2)3O、
NR'CO2CH=CHまたはSO2NR'CHR'CH2である。
1つの具体例では、A1は、C=Oであり、A2は、NR6であり、A3、A4お
よびA5は、CH2である。
もう1つの具体例では、A1は、NHであり、A2は、C=Oであり、A3は、
CHR6であり、A4は、NC(O)R1-6アルキルであり、R5は、CH2である。
さらに特定の具体例では、Zは、フェニル、6員Hetまたは(CH2)tであり;
(CR'R10)r−U−(CR'2)s−Vは、(CR'R10)r−U−または
−U−(CR'2)s(例えば、Vは、存在せず、sは、0であり、sおよびrのう
ち一方は、0である)(ここで、Uは、CH(NR'R")CONH、NR'CO、
CONR'、CR'=CR'、C≡C、O、COまたはCH2である)である。
本発明の代表的な化合物は、式(II)−(III):
の各々によって示される。
R6の特定の例は、
R"HNC(=NH)NH−(CH2)2−UおよびR"HN−(CH2)5−Uである(こ
こで、Eは、NまたはCHであり、R20は、水素、アミノ、モノ−もしくはジ−
C1-4アルキルアミノ、ヒドロキシまたはC1-4アルキルであり、Uは、
NR'CO、CONR'、(CH2)CO、CH=CH、CH2O、OCH2、CH2お
よび(CH2)2である)。
R6の好ましい例示は、
である(ここで、R'は、HまたはC1-4アルキルである)。
本発明の好ましい化合物は、
(R,S)−2−[(4−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒ
ドロ−8−[1−(1,2−ジカルボキシ)エチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼ
ピン−1−オン;
(R,S)−2−[(−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒド
ロ−8−[2−(1−カルボキシ−4−フェニル)ブチル]アミノ−1H−2−ベン
ゾアゼピン−1−オン;
(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3−(プロピル−3−グア
ニジン)−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ−1,4−ベンゾジアゼピン;
(−)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−
グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジオキシ酢酸−1,4−ベンゾジアゼピン;
および
(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−
グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジエチルエテリルオキシ−1,4−ベンゾジ
アゼピン;
またはその医薬的に許容される塩である。
式(I)の前記説明において、好ましくは、A1〜A5のうち1つだけは、R6に
よって置換されている。Wは、水素結合を形成する能力を有する窒素含有基を表
す。好ましくは、Wは、塩基性窒素部分である。R7は、水素結合を形成する能
力または金属カチオンとキレートを形成する能力を有する電子の非結合対を有す
る基を表す。好ましくは、R7は、酸性である。最短分子内路を介する10〜1
5(最も好ましくは、約13)の介在共有結合が基R7とWの末端塩基性窒素部
分との間の最適なスペーシングのためにこれらの基の間に存在するのが好ましく
、部分T、U、VおよびZならびにq、r、s、u、vおよびwによって表され
るアルキルスペーサーがそれに応じて選択されるのが好ましい。
本明細書では、ペプチドおよび化学技術の分野で一般的に用いられる略語およ
び記号を用いて本発明化合物を説明する。一般に、アミノ酸略語は、Eur.J.Bi
ochem.,158,9(1984)に開示されているようなIUPAC-IUB Joint Commission o
n Biochemical Nomenclatureに従う。
Argは、アルギニンを表し、MeArgは、Nα−メチル−アルギニンを表し、
HArgは、ホモアルギニンを表し、NArgは、ノルアルギニンを表し、
(Me2)Argは、N',N"−ジメチルアルギニンを表し、(Et2)Argは、N',N"−
ジエチルアルギニンを表し、Ornは、オルニチンを表す。これらの残基は、置換
基R6の好適な成分である。これらのアミノ酸のNα−置換誘導体も本発明にお
いて有用である。α−置換誘導体の代表的な製造方法は、U.S.特許第4,687,758
号;
Cheung et al.,Can.J.Chem.,55,906(1977);Freidinger et al.,J.Org
.Chem.,48,77(1982);およびShuman et al.,PEPTIDES: PROCEEDINGS OF T
HE 7TH AMERICAN PEPTIDE SYMPOSIUM,Rich,D.,Gross,E.,Eds,Pierce Chem
ical Co.,Rockford,I11.,617(1981)に開示されている(出典明示により本
明細書の一部とする)。
本明細書で用いる場合、C1-4アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むことを意味する
。C1-6アルキルは、さらに、ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペ
ンチルおよびヘキシルならびにそれらの単純な脂肪族異性体を含んでいる。C0- 4
アルキルおよびC0-6アルキルは、さらに、アルキル基が存在することを必要と
しないこと(例えば、共有結合が存在すること)も示す。
本明細書で用いる場合、C2-6アルケニルは、炭素−炭素単結合を炭素−炭素
二重結合に代えた炭素2ないし6個のアルキル基を意味する。C2-6アルケニル
としては、エチレン、1−プロペン、2−プロペン、1−ブテン、2−ブテン、
イソブテンならびに数種類の異性体ペンテンおよびヘキセンが挙げられる。シス
異性体およびトランス異性体は、共に、含まれる。
C2-6アルキニルは、1つの炭素−炭素単結合を炭素−炭素三重結合に代えた
炭素2ないし6個のアルキル基を意味する。C2-6アルキニルとしては、アセチ
レン、1−プロピン、2−プロピン、1−ブチン、2−ブチン、3−ブチンなら
びにペンチンおよびヘキシンの単純異性体が挙げられる。
C1-4オキソアルキルは、CH2基をC(O)またはカルボニル基に代えた炭素原
子4個までのアルキル基を表す。置換ホルミル、アセチル、1−プロパナル、2
−プロパノン、3−プロパナル、2−ブタノン、3−ブタノン、1−および4−
ブタナル基が代表的である。C1-6オキソアルキルとしては、さらに、カルボニ
ル基によって置換されている炭素5および6個の高類似物および異性体が挙げら
れる。C3-6オキソアルケニルおよびC3-6オキソアルキニルは、CH2基をC(O
)基に代えたC3-6アルケニルまたはC3-6アルキニル基を表す。C3-4オキソアル
ケニルとしては、1−オキソ−2−プロペニル、3−オキソ−1−プロペニル、
2−オキソ−3−ブテニルなどが挙げられる。
C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルまたはC1-6オキソアルキ
ル基の置換基、例えばR11は、安定な構造を生じるいずれの炭素原子上にあって
もよく、慣用の合成技術によって入手可能である。
Q−C1-6アルキルは、いずれかの位置において炭素−水素結合を炭素−Q結
合に代えたC1-6アルキル基を表す。Q−C2-6アルケニルおよびQ−C2-6アル
キニルは、C2-6アルケニルおよびC2-6アルキニルに関して同様の意味を有する
。
本明細書で用いる場合、Arまたはアリールは、フェニルもしくはナフチル、
または1〜3個のR11によって置換されているフェニルもしくはナフチルを意味
する。特に、R11は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、
トリフルオロアルキル、OH、F、Cl、BrまたはIであってよい。
Hetまたは複素環は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ
原子1〜3個を含有し、安定であり、かつ、慣用の化学合成によって入手可能で
ある、所望により置換されていてもよい5もしくは6員の単環式環、または、9
もしくは10員の二環式環を示す。複素環の例としては、ベンゾフリル、ベンゾ
イミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、イン
ドリン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロール、ピロリジン、テトラ
ヒドロピリジン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、キノリン、イソキノリン
、ならびにテトラ−およびパーヒドロ−キノリンおよびイソキノリンが挙げられ
る。ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジンおよびピリジンなどの窒素
1または2個を含有する6員環複素環は、Zについての好ましい複素環である。
化学合成によって入手可能であり、かつ、安定であるHet環上のR11から選択さ
れるような置換基3個までの利用可能な組合せは、本発明の範囲内である。ピペ
リジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジンおよびピリジンなどの窒素1または
2個を含有する6員の単環式環複素環は、Zについての好ましい複素環である。
C3-7シクロアルキルは、不飽和炭素−炭素結合を2個まで含有する炭素原子
3ないし7個の所望により置換されていてもよい炭素環式系を表す。C3-7シク
ロアルキルの典型例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シク
ロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプチルである
。慣用の化学合成によって入手可能であり、かつ、安定であるシクロアルキル環
上のR11から選択されるような置換基3個までの組合せは、本発明の範囲内であ
る。
本明細書で表すような利用可能な置換7員環は、(i)R6またはR9のような
置換基を5個まで有しており、該置換基が安定な構造を生じるいずれの原子また
はヘテロ原子上に存在してもよく、(ii)N、OおよびSからなる群から選択さ
れるヘテロ原子を2個まで含有しており、SおよびNが所望により酸化されてい
てもよく、(iii)安定であり、かつ、2つの隣接する環炭素原子を介してフェ
ニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリミジニル環に縮合した形
態で化学技術分野における当業者によって合成される、飽和または不飽和の7員
環である。利用可能な6員環の典型例は、シクロヘプタン、チエピン、オキサピ
ン、アゼピン、ジアゼピン、チアゼピン、オキサゼピン、ジオキセピン、オキサ
チエピン、およびジチエピンの一般的な飽和および不飽和環である。好ましくは
、7員環における2つの隣接原子は、同時にはヘテロ原子ではない。
本明細書で用いられる利用可能な置換芳香族6員環は、(i)RおよびR*か
ら選択されるような置換基を1〜3個有しており、(ii)所望により、窒素を2
個まで含有し、(iii)2つの隣接炭素原子を介して利用可能な置換7員環に縮
合し、(iv)安定であり、かつ、化学技術分野における当業者によって製造され
る、不飽和(例えば、芳香族)6員環である。利用可能な芳香族6員環の典型例
は、フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニルまたはピリミジニル環であ
る。入手可能な7員環および6員環の組合せによって形成される代表的な二環式
環は、1,2−ベンゾ−1−シクロヘプテン、1,2−ベンゾ−1,3−シクロヘ
プタジエンおよび1,2−ベンゾ−1,4−シクロヘプタジエン化合物;1−、2
−および3−ベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾアゼピンおよびテトラヒドロベン
ゾアゼピン化合物;1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、2,3−および2,4
−ベンゾジアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピンおよびテトラヒドロベンゾジア
ゼピン化合物;1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、2,1−、2,3−、2,
4−、2,5−、3,1−、3,2−および4,1−ベンゾオキサゼピン、ジヒドロ
ベンゾ
オキサゼピンおよびテトラベンゾオキサゼピン化合物;1,2−、1,3−、1,
4−、1,5−、2,1−、2,3−、2,5−、3,1−、3,2−および4,1−
ベンゾチアゼピン、ジヒドロベンゾチアゼピンおよびテトラヒドロベンゾチアゼ
ピン化合物;他の同様の飽和および不飽和の安定なピリドアゼピン、ピラゾアゼ
ピン、ピリダジン−アゼピン、ピリミジンアゼピン、モノ−およびジ−オキソ−
(例えば、スルホキシル、スルホニル)ベンゾチアゼピン、ベンゾジオキセピン
ならびにベンゾオキサチエピン化合物である。フェニルは、好ましい利用可能な
6員環であり、ジ−もしくはテトラヒドロアゼピン、ジアゼピン、チアゼピンお
よびオキサゼピンは、好ましい利用可能な7員環である。特に、好ましい環系は
、ベンゾアゼピンおよびベンゾジアゼピン系である。
A1〜A5、CR1R1'〜CR5R5'およびNR1〜NR5は、R1/R1'、
R2/R2'、R3/R3'、R4/R4'およびR5/R5'が環に対して二重結合した置
換基エキソ(例えば、=Oまたはアルキレン側鎖)を表す場合にCR1R1'〜C
R5R5'がsp2炭素原子を表すことを除いて、各々、隣接環原子に単一結合され
ている飽和sp3炭素原子および窒素原子であると解される。さらに、A1〜A5
に関して、CR1〜CR5およびNは、かかる配置により安定化合物が生成される
ことを条件に、環における隣接原子への環内二重結合によって連結される不飽和
sp2炭素または窒素原子を表すと解されるであろう。
原子1個および酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子を含有する、安定構造
を生じるいずれの原子上で置換されていてもよい、飽和または不飽和の安定な5
員、6員もしくは7員の単環式環または7員〜10員の二環式環であってよい窒
素複素環を示す。かかる環における窒素原子は、第4級窒素を生じるように置換
されていてもよい。該窒素複素環は、R20、例えば、H、C1-4アルコキシ、F
、Cl、Br、I、NO2、NR'2、OH、CO2R'、CONHR'、CF3、
Q−C0-4アルキル、Q−C1-4アルキル−S(O)u(例えば、uが0、1または
2である場合)または前記置換基のいずれかによって置換されているC1-4アル
ピロリン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾ
ール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピリ
ジン、ピリジニウム、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロ−およびヘキサヒド
ロ−アゼピン、キヌクリジン、キヌクリジニウム、キノリン、イソキノリン、な
らびにテトラ−およびパーヒドロ−キノリンおよびイソキノリンである。特に、
ましくは、4−ピリジル、4−(2−アミノ−ピリジル)、4−テトラヒドロピリ
ジル、4−ピペリジニルまたは4−ピペラジニルである。
本明細書で用いる場合、AA1は、所望により保護されていてもよいカルボキ
シル基を有するアミノ酸であり、該アミノ酸は、天然α−アミノ酸またはペニシ
ラミンのいずれであってもよい。非保護カルボキシル基は、遊離カルボン酸基で
ある。カルボキシルについての保護基は、例えば、カルボキシ基のOHをR8に
代えた場合に形成されるエステルまたはアミドである。AA2は、所望により保
護されていてもよいアミノ基を有する、前記と同様のアミノ酸である。アミノ保
護基は、例えば、アミノ基がR12によって置換されている場合に当該技術分野で
よく知られている。非保護アミノ基は、遊離NH2である。
C(O)は、酸素に二重結合した炭素(例えば、カルボニル)を示し、C(S)は
、硫黄に二重結合した炭素(例えば、チオカルボニル)を示す。
t−Buは、第3級ブチル基を表し、Bocは、t−ブチルオキシカルボニル基
を表し、Fmocは、フルオレニルメトキシカルボニル基を表し、Phは、フェニル
基を表し、Cbzは、ベンジルオキシカルボニル基を表し、BrZは、o−ブロモ
ベンジルオキシカルボニル基を表し、ClZは、o−クロロベンジルオキシカル
ボニル基を表し、Bzlは、ベンジル基を表し、4−MBzlは、4−メチルベンジ
ル基を表し、Meは、メチルを表し、Etは、エチルを表し、Acは、アセチルを
表し、Alkは、C1-4アルキルを表し、Nphは、1−または2−ナフチルを表し
、cHexは、シクロヘキシルを表す。MeArgは、Nα−メチルアルギニンである
。Tetは、5−テトラゾリルを表す。
DCCは、ジシクロヘキシルカルボジイミドを表し、DMAPは、ジメチルア
ミノピリジンを表し、DIEAは、ジイソプロピルエチルアミンを表し、EDC
は、N−エチル−N'(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドを表す。HO
Btは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを表し、THFは、テトラヒドロフ
ランを表し、DIEAは、ジイソプロピルエチルアミンを表し、DMFは、ジメ
チルホルムアミドを表し、NBSは、N−ブロモ−スクシンイミドを表し、Pd
/Cは、パラジウム−炭触媒を表し、PPAは、1−プロパンホスホン酸環状無
水物を表し、DPPAは、ジフェニルホスホリルアジドを表し、BOPは、ベン
ゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサ
フルオロホスファートを表し、HFは、フッ化水素酸を表し、TEAは、トリエ
チルアミンを表し、TFAは、トリフルオロ酢酸を表し、PCCは、クロロクロ
ム酸ピリジニウムを表す。
式(I)で示される化合物は、一般に、式(iv)で示される化合物を式(V)で示さ
れる化合物と反応させ:
[式中、D1〜D4およびA1〜A5、RおよびR*は、式(I)における定義と同じ
であり、いずれの反応性官能基も保護されており;
L1およびL2は、連結基−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−を形成するよ
うに反応する能力を有する官能基であり;
R6"は、W−(CR'2)q−Z−およびL2に結合する基
−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−のいずれかの部分であり、いずれの反応
性官能基も保護されている]、
次いで、いずれの保護基も除去し、所望により、医薬的に許容される塩を形成
することによって製造される。
L1およびL2の正確な定義は、形成される連結基の部分に依存するということ
が明らかであろう。該連結基−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−の一般的な
製造方法は、例えば、EP-A 0 372 486およびEP-A 0 381 033およびEP-A 0 478 3
63に開示されている(出典明示により本明細書の一部とする)。
例えば、VがCONHである場合、L1は、−NH2であり、L2は、OH(酸
における場合)またはCl(酸塩化物における場合)であり、R6"は、
W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−C(O)であり、いずれの官
能基も所望により保護されていてもよい。例えば、R6"は、(ベンジルオキシカ
ルボニル−アミジノ)ベンゾイル−または(Nα−Boc,Nguan−Tos)アルギニル
−である。L2がOHである場合、カップリング剤が用いられる。
同様に、VがNHCOである場合、L1は、−CO2HまたはCO−Clであり
、L2は、−NH2であり、R6"は、W-(CR'2)q-Z-(CR'R10)r−U−(CR'2
)s-である。例えば、R6"は、(ベンジルオキシカルボニル−アミジノ)フェニル
、(ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチルベンジル−または6−(ベンジルオ
キシカルボニルアミノ)ヘキシル−である。
VがNHSO2である場合、L1は、SO2Clであり、L2は、−NH2であり、
R6"は、前記と同様である。VがSO2NHである場合、L1は、−NH2であり
、L2は、SO2Clである。かかる塩化スルホニルを製造するための方法は、例
えば、J.Org.Chem.,23,1257(1958)に開示されている。
VがCH=CHである場合、L1は、−CHOであり、L2は、CH=P−Ph3
であり、R6"は、W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−である。
別法としては、L1は、CH=P−Ph3であり、L2は、CHOであり、例えば、
R6"は、W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s-1−CHOである。
VがCH2CH2である場合、VがCH=CHである好適に保護された化合物の
還元によって得られる。
VがCH2O、CH2NまたはC≡Cである場合、L1は、各々、−OH、
−NHまたは−C≡CHであり;L2は、−Brであり;R6"は、
W−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−である。例えば、R6"は、
(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−メチルベンジル−または2−(N−ベンジ
ル−4−ピペリジニル)−エチルである。同様に、UまたはVがOCH2、
NR'CH2または である場合、L1は、−CH2Brであり、L2は、各々、
−OH、−NHまたは−Hである。別法としては、UまたはVがC≡Cである場
合、L1は、Br、IまたはCF3SO3であり、L2は、C≡CHであり、カップ
リングは、パラジウムおよび塩基によって触媒される。
VがCHOHCH2である化合物は、J.Org.Chem.,54,1354(1989)に開示
された方法によって、VがCH=CHである好適に保護された化合物から製造さ
れる。
VがCH2CHOHである化合物は、Tet.Lett.,31,231(1990)に開示され
ているように、ホウ水素化(hydroboration)および塩基性酸化によって、Vが
CH=CHである好適に保護された化合物から得られる。
A1〜A5のうち2つが窒素である式(IV)で示される化合物は、ベンゾジアゼピ
ンであり、スキームIによって示される一般的な方法によって製造される。ベン
ゾジアゼピンの代表的な製造方法は、当該技術分野でよく知られている[例えば
、Hynes et al.,J.Het.Chem.,25:1173(1988);Muller et al.,Helv.Chi
m.Acta.,65:2118(1982);Mori,et al.,Heterocycles,16:1491(1981)]
。
スキームIは、A1がNHであり、A2がC=Oであり、A3がCHR6であり、
A4がNC(O)C1-6アルキルであり、A5がCH2である化合物の製造方法を提供
する。スキームIによると、1,2−ジクロロエタンなどの好適な溶媒中、式1
化合物を塩化アルミニウムなどのルイス酸と反応させ、次いで、臭化水素酸水溶
液と反応させることによって、式1化合物のメチレンアセタール基を式2の対応
するジオール化合物に転換させる。例えばブロモ酢酸エチルまたは4−ブロモ酪
酸エチルを用いるヒドロキシル基のアルキル化を、ジメチルホルムアミドなどの
好適な溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で生じさせて、式3化合物を得
、これを、pH6〜7で、シアノホウ水素化ナトリウムの存在下、適当に保護さ
れたアミンとの反応で還元的にアミノ化する。例えばジ炭酸ジ−tert−ブチルを
用いる式4化合物の第2級アミン官能性の保護により、式5 BOC誘導体を得
る。例えばパラジウム−硫酸バリウムなどの触媒の存在下での水素化を用いる式
5化合物におけるニトロ基のアミン基への還元に付随するベンジル保護基の除去
により、式6アミノ酸化合物を形成する。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−
3−エチルカルボジイミドなどのアミド形成剤の存在下、1−ヒドロキシベンゾ
トリアゾールおよびジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下、ジメチル
ホルムアミドなどの好適な溶媒中、式7オキソ−ベンゾジアゼピン環系が形成さ
れる。式7 1,4−ベンゾジアゼピン化合物の4−窒素上のBoc保護基を、例え
ば塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸を用いて、酸性条件下で除去する。例えば
ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で塩化アセチルを用いる式8化
合物の4−窒素のアセチル化により、式9化合物が得られる。アミノまたはカル
ボキシ基についての保護基のような保護基は、当該技術分野で知られている方法
によって選択的に除去される。例えば、窒素原子上のTOS基は、式9化合物を
フッ化水素と縮合させることによって除去されて、式(I)化合物でもある式10
化合物が得られ、水/メタノールなどの好適な溶媒系中、水酸化ナトリウムなど
の塩基を用いる鹸化によって、カルボン酸部分上のC1-6アルキルエステル基を
除去して、式(I)化合物でもある式11化合物が得られる。
スキームIIは、A1がC=Oであり、A2がNR6であり、A3、A4およびA5が
CH2である化合物の製造方法を提供する。したがって、スキームIIは、ベンゾ
アゼピン環系の製造方法を表している。一般に、該合成は、商業的に入手可能で
あるかまたは当該技術分野でよく知られているニトロ基などの、RおよびR*に
よって置換されているテトラロンまたはその前駆体を用いて開始される。スキー
ムIIによると、式12のテトラロンをリチウムビス(トリメチルシリル)アミドな
どの塩基で処理し、次いで、クロロギ酸メチルなどのクロロギ酸C1-4アルキル
と反応させて、対応するエノールカーボネートを得る。例えば硫化メチルを用い
る還元処理によるエノールカーボネートのオゾン分解により、式13開環中間体
を得る。pH6〜7で、シアノホウ水素化ナトリウムの存在下、1−tert−ブチ
ルオキシカルボニルアミノメチル−4−アミノメチルベンゼンなどのR6"−アミ
ン(ここで、R6"は、式(V)における定義と同じである)による式13化合物の
還元的アミノ化により、式14の化合物を得る。例えば水酸化ナトリウムなどの
塩基を用いて式14化合物のエステルを加水分解し、次いで、1−ヒドロキシベ
ンゾトリアゾールおよびN−メチルモルホリンなどの塩基の存在下、ジメチルホ
ルムアミドなどの好適な溶媒中、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス
(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートなどのペプチド−カ
ップリング剤と反応させることによって、環化を行い、アゼピン環を形成して、
式15化合物を得る。例えばパラジウム−炭などの触媒の存在下での水素添加を
用いるような式15化合物におけるニトロ基の還元により、式16アミノ化合物
が得られる。該アミン基をさらに合成させて、ベンゾアゼピン環上に所望のR−
置換基が得られる。例えば、式16アミンをジカルボン酸ジメチルアセチレンと
反応させて、対応するエナミンを得、次いで、式(I)化合物でもある式17a化
合物に還元する。さらに、式16アミンを3−ケト−5−フェニル−ペンタン酸
ベンジルなどのイミン形成試薬と反応させ、例えばトリアセトキシホウ水素化ナ
トリウムを用いて還元させて、式(I)化合物でもある式17bによって示される
化合物を得る。当該技術分野で知られている方法によってアミノ基またはカルボ
キシ基についての保護基などの保護基を選択的に除去して、式(I)化合物でもあ
る式18化合物を得る。
本明細書で用いる場合、カップリング剤は、ペプチド結合を形成するために用
いられる試薬を示す。典型的なカップリング法は、カルボジイミド、活性化無水
物およびエステルおよびハロゲン化アシルを用いる。EDC、DCC、DPPA
、PPA、BOP試薬、HOBt、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび塩化オ
キサリルなどの試薬が典型的である。
ペプチド結合を形成するためのカップリング法は、一般に当該技術分野でよく
知られている。Bodansky et al.,THE PRACTICE OF PEPTIDE SYNTHESIS,Spring
er-Verlag,Berlin,1984、Ali et al.in J.Med.Chem.,29,984(198
6)およびJ.Med.Chem.,30,2291(1987)に一般的に開示されているペプチド
合成方法は、一般に当該技術を説明している(出典明示により本明細書の一部と
する)。
アミドまたはペプチド結合の形成のための溶液合成法は、アミド結合を形成す
るために用いられる慣用的な方法を用いて行われる。典型的には、アミンまたは
アニリンを、その遊離アミノ基を介して、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)などの好適なカルボジイミドカップリング剤を用いて、所望によ
り1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびジメチルアミノピリジ
ン(DMAP)などの触媒の存在下、適当なカルボン酸基質にカップリングさせ
る。好適に保護された酸基質の遊離カルボキシルの活性化エステル、無水物また
は酸ハロゲン化物の形成などの他の方法、および、次の、所望により塩基の存在
下での好適に保護されたアミンの遊離アミンとの反応も好適である。例えば、保
護Boc−アミノ酸またはCbz−アミジノ安息香酸を、塩化メチレンまたはテトラ
ヒドロフラン(THF)などの無水溶媒中、N−メチルモルホリン、DMAPま
たはトリアルキルアミンなどの塩基の存在下、クロロギ酸イソブチルで処理して
、「活性化無水物」を形成し、次いで、第2の保護アミノ酸の遊離アミンまたは
アニリンと反応させる。
式(V)の化合物は、当該技術分野において知られている慣用的な方法によって
、商業的に入手可能な物質から製造される。Wは、一般的に、所望によりアルキ
ル鎖を介して、Zに結合される塩基性官能基であり、R6の合成の間保護されて
いるか、または−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−V−連結基が形成された後、
分子中に導入される。例えば、Wが好適に置換されたR'R"N−、
R"R'NC(=NR')、R'2N(R13)C=N−、R"N=(R13)C−NR'−、
R'2N(R'2N)C=N−またはR"R'N(R'N=)C−NR'である式(XII)また
は式(I)の化合物は、EP-A 0 372 486、EP-A 0 381 033またはEP-A 0 478 363に
開示されている方法を含む慣用的な方法によって製造される(出典明示により本
明細書の一部とする)。
いる方法によって製造される。
WがR'2N(R'2N)C=N−XまたはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−であ
り、XがOである化合物は、とりわけ、J.Org.Chem.,51,5047(1986)に開
示されている方法によって製造される。
WがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−で
あり、XがN=CR'である化合物は、とりわけ、米国特許3,714,253およびEur
.J.Med.Chem.-Chim.Ther.,20,25(1985)に開示されている方法によって
製造される。
WがR'2N(R'2N)C=N−X−またはR"R'N(R'N=)C−NR'−X−で
あり、XがC(O)である化合物は、とりわけ、米国特許3,714,253およびCan.J
.Chem.,43,3103(1965)に開示されている方法によって製造される。
WがR'ONR'C(=NR')−である化合物は、とりわけ、J.Het.Chem.,16
,1063(1979)またはJ.Het.Chem.,26,125(1989)に開示されている方法に
よって製造される。
WがR'2NR'NC(=NR')−である化合物は、Syn.,583(1974)に開示さ
れている方法を含む慣用的な方法によって製造される。
WがR'R"NR'N−である化合物は、とりわけ、J.Prakt.Chem.,36,29(
1967)に開示されている方法によって製造される。
WがR'R"NR'NCO−である化合物は、とりわけ、Bull.Chem.Soc.Jpn.
,43,2257(1970)に開示されている方法によって製造される。
WがR"R'NC(=NR')Yであり、YがSである化合物は、とりわけ、Chem
.Lett.,1379(1986)に開示されている方法によって製造される。
WがR"R'NC(=NR')Yであり、YがOである式(V)または式(I)で示さ
れる化合物は、日本国特許2022751に開示されている方法を含む慣用的な方法に
よって製造される。
式(V)の有用な中間体としては、式
W'−(CR'2)q−Z−(CR'R10)r−U−(CR'2)s−L2の化合物(ここで、Z
、R'、R"、R10、U、q、rおよびsは、式(I)についての定義と同じであり
;L2は、CHO、CO2R'、OH、Cl、Br、I、CH2−TまたはNR'R"で
あり、Tは、CF3SO3、OH、NHR"、Cl、BrまたはIであり;W'は、本
明細書に記載したように保護された反応性塩基性窒素基を有するWである)が挙
げられる。R'SO2、R'OCOおよびR'CO(例えば、Tos、Boc、Cbzまた
はアセチル)は、典型的な窒素保護基である。かかる中間体の特定の例は、以下
のとおりである:
[式中、Eは、NまたはCHであり、R20は、水素、アミノ、モノもしくはジ−
C1-4アルキルアミノ、ヒドロキシまたはC1-4アルキルである]。
各合成フラグメントの側鎖の反応性官能基は、当該技術分野で知られているよ
うに好適に保護される。好適な保護基は、Greene,PROTECTIVE GROUPS IN ORGAN
IC CHEMISTRY,John Wiley and Sons,New York,1981に開示されている。例え
ば、Boc、Cbz、フタロイルまたはFmoc基は、アミノ基またはアミジノ基の保
護のために用いられる。Boc基は、一般に、α−アミノ基の保護のために好
ましい。t−Bu、cHexまたはベンジルエステルは、側鎖カルボキシルの保護の
ために用いられる。ベンジル基または好適に置換されたベンジル基(例えば、4
−メトキシ−ベンジルまたは2,4−ジメトキシ−ベンジル)は、メルカプト基
またはヒドロキシル基を保護するために用いられる。トシル基は、イミダゾリル
基の保護のために用いられ、トシルもしくはニトロ基は、グアニジノ基の保護の
ために用いられる。好適に置換されたカルボベンジルオキシ基またはベンジル基
は、ヒドロキシル基またはアミノ基のためにも用いられる。カルボベンジルオキ
シまたはベンジル保護基の好適な置換は、クロロ、ブロモ、ニトロまたはメチル
とのオルトおよび/またはパラ置換であり、保護基の反応性を変えるために用い
られる。Boc基を除いては、アミノ部分のための保護基は、最も好都合には、緩
酸処理によっては除去されないものである。これらの保護基は、当該技術分野で
知られているような、接触水素添加、液体アンモニア中ナトリウムまたはHF処
理のような方法によって除去される。
特に二環式系の6員環上のアミノ基の修飾は、当該技術分野で一般知られてい
るようなアルキル化、スルホニル化、シアノ化またはアシル化によって行われる
。
本発明の化合物の酸付加塩は、標準的な方法で、好適な溶媒中、親化合物、お
よび過剰の、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸ま
たはメタンスルホン酸などの酸から製造される。酢酸塩形が特に有用である。当
該化合物には、許容される内部塩または双性イオンを形成するものもある。陽イ
オン塩は、親化合物を、適当な陽イオンを含有する過剰の、水酸化物、炭酸塩も
しくはアルコキシドなどのアルカリ試薬または適当な有機アミンで処理すること
によって製造される。Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++およびNH4+な
どの陽イオンは、医薬的に許容される塩中に存在する陽イオンの特定の例である
。
本発明は、式(I)で示される化合物および医薬的に許容される担体からなる医
薬組成物を提供するものである。したがって、式(I)で示される化合物は、医薬
品の調製において用いられる。前記に従って製造された式(I)で示される化合物
の医薬組成物は、非経口投与用溶液剤または凍結乾燥粉末として製剤化される。
粉末剤は、使用前に好適な希釈剤または他の医薬的に許容される担体の添加によ
っ
て再構成される。液体製剤は、緩衝等張水溶液である。好適な希釈剤の例は、通
常等張生理食塩水、標準的な水中5%デキストロースまたは緩衝酢酸ナトリウム
もしくはアンモニウム溶液である。かかる製剤は、非経口投与のために特に好適
であるが、経口投与のために用いられてもよく、あるいは、吹送法のための計量
投与量吸入器またはネブライザーに収容されてもよい。ポリビニルピロリドン、
ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アラビアガム、ポリエチレングリコール、マ
ンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムなどの賦形剤を添加する
のが望ましい。
別法としては、本発明化合物は、経口投与のために被包化され、錠剤化され、
または乳剤もしくはシロップ剤に調製されてもよい。医薬的に許容される固体ま
たは液体担体を添加して、組成物を増強もしくは安定化するか、または組成物の
調製を容易にすることができる。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫
酸カルシウム・二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸
、タルク、ペクチン、アラビアガム、寒天またはゼラチンが挙げられる。液体担
体としては、シロップ、落花生油、オリーブ油、生理食塩水および水が挙げられ
る。該担体としては、単独またはワックスと一緒に、モノステアリン酸グリセリ
ルまたはジステアリン酸グリセリルなどの持続放出型物質も挙げられる。固体担
体の量は、変動するが、好ましくは、投与単位当たり約20mg〜約1gであろう
。医薬調製物は、錠剤形については、粉砕し、混合し、顆粒化し、次いで所望に
より圧縮すること;ゼラチン硬カプセル形については、粉砕し、混合し、次いで
充填することを含む製薬の慣用技術に従って調製される。液体担体を用いる場合
、該調製物は、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤または水性もしくは非水性懸濁
液剤の形態であろう。かかる液体製剤は、直接経口投与されるか、または、ゼラ
チン軟カプセル中に充填される。
直腸投与のためには、本発明化合物は、ココアバター、グリセリン、ゼラチン
またはポリエチレングリコールなどの賦形剤と配合し、坐剤に成形してもよい。
本発明化合物は、in vitroで用いて、例えば、貯蔵のためにまたは診断もしく
は研究用途におけるようなex vivo操作のために、血液および血液製剤中の血小
板の凝集を阻害することができる。
本発明は、式(I)で示される化合物および医薬的に許容される担体の内部投与
からなる、哺乳動物、特にヒトにおける血小板凝集および血餅形成の阻害方法を
提供するものである。かかる治療についての適応症は、心筋梗塞(AMI)、深
静脈血栓、肺動脈塞栓症、解離性動脈瘤、一過性虚血発作(TIA)、発作およ
び他の梗塞関連障害、および不安定アンギナが挙げられる。汎発性血管内凝固症
候群(DIC)、敗血症、手術もしくは感染ショック、術後および分娩後外傷、
心肺バイパス手術、血液型不適合輸血、常位胎盤早期剥離、血栓性血小板減少性
紫斑病(TTP)、ヘビ毒および免疫疾患などの高凝集性(hyper-aggregability
)の慢性または急性症状は、かかる治療に反応しやすいと思われる。さらに、本
発明化合物は、転移性症状の予防、免疫刺激を誘発する真菌類感染または細菌感
染の予防または治療、鎌状赤血球病の治療、および骨吸収が因子である疾患の予
防または治療のための方法において有用である。
式(I)で示される化合物は、血漿中の薬物濃度が血小板凝集または他のかかる
適応症を阻害するのに充分であるような方法で患者に経口または非経口投与され
る。当該化合物を含有する医薬組成物は、患者の症状と矛盾がない方法で約0.
2〜約50mg/kgの投与量で投与される。急性の治療については、非経口投与が
好ましい。高凝集性の持続性の状態については、水または通常生理食塩水中5%
デキストロース中の該ペプチドの静脈内輸液が最も有効であるが、筋肉内ボーラ
ス注射でも充分である。
血小板凝集性の慢性であるが危険のない症状については、カプセル剤もしくは
錠剤の経口投与、またはボーラス筋肉内注射が適している。本発明化合物は、約
0.4〜約50mg/kgのレベルで1日1〜4回投与されて、合計日用量約0.4〜
約200mg/kg/日を達成する。
本発明は、さらに、式(I)で示される化合物およびフィブリン溶解剤の内部投
与からなる、フィブリン溶解治療後の動脈または静脈の再閉塞を阻害するための
方法を提供するものである。フィブリン溶解治療におけるペプチドの投与が再閉
塞を完全に予防するか、または、再閉塞の時間を遅延させることが判明した。
本発明に関して用いる場合、フィブリン溶解剤なる用語は、直接または間接的
にフィブリン血餅の溶解を生じる、天然生成物であろうが合成生成物であろうが
いずれの化合物をも意味するものである。プラスミノーゲン活性化因子は、フィ
ブリン溶解剤のよく知られているグループである。有用なプラスミノーゲン活性
化因子としては、例えば、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼ(UK)、プロウ
ロキナーゼ(pUK)、ストレプトキナーゼ(SK)、組織プラスミノーゲン活
性化因子(tPA)およびその突然変異体、または、化学的に修飾されたか、ま
たは1以上のアミノ酸が付加、欠失または置換されたか、またはあるプラスミノ
ーゲン活性化因子の活性部位を別のプラスミノーゲン活性化因子のフィブリン結
合ドメインまたはフィブリン結合分子と組み合わせることなどによって1以上の
機能性ドメインが付加、欠失または変性された変異体などのプラスミノーゲン活
性化因子活性を保持している変異体が挙げられる。他の例示的変異体としては、
1以上のグリコシル化部位が変性されたtPA分子が挙げられる。プラスミノー
ゲン活性化因子のうち、プラスミノーゲン活性化因子の血清半減期を増加させる
ように主要アミノ酸配列が成長因子ドメインにおいて変性されたtPAの変異体
が好ましい。tPA成長因子変異体は、例えば、Robinson et al.,EP-A 0 297 5
89およびBrowne et al.,EP-A 0 240 334に開示されている。他の変異体として
は、EP 0 028 489、EP 0 155 387およびEP 0 297 882に開示されているようなハ
イブリッドタンパクが挙げられる(出典明示により本明細書の一部とする)。ア
ニストレプラーゼは、本発明において使用するための好ましいハイブリッドタン
パクである。フィブリン溶解剤は、天然原料から単離されるが、一般的には遺伝
子工学の慣用的方法によって生成される。
tPA、SK、UKおよびpUKの有用な製剤は、例えば、EP-A 0 211 592、EP
-A 0 092 182およびU.S.特許4,568,543に開示されている(出典明示により本明
細書の一部とする)。典型的には、フィブリン溶解剤は、pH3.5〜5.5で緩
衝化された酢酸またはアジピン酸のナトリウム塩またはアンモニウム塩などの水
性緩衝等張溶液中で製剤化される。ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキ
シセルロース、アラビアガム、ポリエチレングリコール、マンニトールおよび塩
化ナトリウムなどのさらなる賦形剤を添加してもよい。かかる組成物は、凍結乾
燥させることもできる。
当該医薬組成物は、同一容器中で式(I)で示される化合物およびフィブリン溶
解剤の両方を用いて製剤化してもよいが、別々の容器中で製剤化するのが好まし
い。両方の薬物を溶液形態で提供する場合、該薬物は、同時投与のための輸液/
注射系に、または、縦列配置で収容することができる。
かかる治療のための適応症としては、心筋梗塞、深静脈血栓、肺動脈塞栓症、
発作および他の梗塞関連障害が挙げられる。式(I)で示される化合物は、tPA
または他のフィブリン溶解剤の非経口投与の直前、同時、または直後に投与され
る。再灌流が確立されて、治療後再閉塞を最大に阻害した後、充分な期間、ペプ
チドによる治療を続けるのが望ましいことが証明される。tPA、SK、UKま
たはpUKの有効投与量は、0.5〜5mg/kgであり、本発明化合物の有効投与量
は、約0.1〜25mg/kgである。
阻害薬およびフィブリン溶解剤の同時または別々の好都合な投与のために、ボ
ックス、カートンまたは他の容器のような単一の容器中、前記のような非経口投
与のための阻害薬の有効量、および前記のような非経口投与のためのtPAまた
は他のフィブリン溶解剤の有効量を各々有する個々のビン、バッグ、バイアルま
たは他の容器からなるキットを調製する。かかるキットは、例えば、所望により
凍結乾燥プラグとして、別々の容器または同一容器中、および再構成用溶液の容
器中の両方の薬物からなることができる。このバリエーションは、単一容器の2
つのチャンバー中に再構成用溶液および凍結乾燥プラグを含むことであり、使用
前に混合させることができる。かかる配置について、フィブリン溶解剤および本
発明化合物は、例えば2つの容器中に別々に包装されても、粉末として一緒に凍
結乾燥され、単一容器中で提供されてもよい。
両方の薬物が溶液形態で提供される場合、該薬物は、同時投与のための輸液/
注射系に、または、縦列配置で収容することができる。例えば、血小板凝集阻害
薬は、静脈内注射形態であるか、または、第2の輸液バッグ中のフィブリン溶解
剤にチュービングを介して直列に連結された輸液バッグ中にある。かかる系を用
いると、患者は、最初にペプチド阻害薬のボーラス型注射または輸液を受け、次
いで、フィブリン溶解剤の輸液を受けることができる。
本発明化合物の薬理活性は、公知のRGD−フィブリノーゲン拮抗薬である3
H−SK&F 107260のGPIIbIIIa受容体への結合を阻害する能力;in
vitroでの血小板凝集を阻害する能力、およびin vivoでの血栓形成を阻害する
能力によって評価される。
RGD媒介GPIIbIIIa結合の阻害
GPIIb−IIIaの精製
旧式の洗浄したヒト血小板(赤十字から入手)10ユニットを、3%オクチル
グルコシド、20mMトリス−HCl、pH7.4、140mM NaCl、2mM Ca
Cl2中、4℃で2時間、ゆっくりと撹拌することによって溶解させた。溶解物を
100,000gで1時間遠心分離に付した。得られた上清を、20mMトリス−
HCl、pH7.4、100mM NaCl、2mM CaCl2、1%オクチルグルコシド
(緩衝液A)で予備平衡化した5mLのレンチル・レクチン・セファロース4B
カラム(イー・ワイ・ラブズ(E.Y.Labs))に負荷した。2時間インキュベ
ートした後、該カラムを冷たい緩衝液A 50mLで洗浄した。レクチン保持GP
IIb−IIIaを、10%デキストロースを含有する緩衝液Aで溶離した。全工程
を4℃で行った。得られたGPIIb−IIIaは、SDSポリアクリルアミドゲル
電気泳動法によって示されるように純度>95%であった。
リポソームにおけるGPIIb−IIIaの取込み
ホスファチジルセリン(70%)およびホスファチジルコリン(30%)の混
合物(アバンチ・ポーラー・リビッズ(Avanti Polar Lipids))を、窒素流
下、ガラス管の壁に乾燥させた。精製したGPIIb−IIIaを最終濃度0.5mg/
mLに希釈し、1:3(w:w)のタンパク:リン脂質比でリン脂質と混合した
。該混合物を再懸濁させ、ソニケーター浴中で5分間超音波処理した。次いで、
該混合物を1000倍過剰の50mMトリス−HCl、 pH7.4、100mM Na
Cl、2mM CaCl2に対して、12,000−14,000分子量カットオフ透析
管を用いて、一晩、透析した(2つの変化)。GPIIb−IIIa含有リポソーム
を12,
000gで15分間遠心分離し、最終タンパク濃度約1mg/mLで透析緩衝液に再
懸濁させた。該リポソームは、必要になるまで−70℃で貯蔵した。
GPIIb−IIIaへの競合結合
フィブリノーゲン受容体(GPIIb−IIIa)への結合は、RGD型リガンド
として[3H]−SK&F−107260を用いる間接競合結合法によってアッセ
イした。結合アッセイは、0.22μm親水性デュラポア(durapore)膜を用いて
96ウエル濾過プレートアセンブリー(マサチューセッツ州ベッドフォードのミ
リポア・コーポレーション(Millipore Corporation))において行われた。
該ウエルを、室温で1時間、10μg/mLポリリジン(ミズーリ州セントルイス
のシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Co.))0.2mLでプレ
コーティングして、非特異的結合を遮断した。このウエルに種々の濃度の非標識
ベンゾアジアザピンを添加した(クアドルプリカートで)。各ウエルに[3H]−
SK&F−107260を最終濃度4.5nMで負荷し、精製した血小板GPIIb
−IIIa含有リポソーム1μgを添加した。該混合物を室温で1時間インキュベー
トした。ミリポア濾過マニホルドを用いて濾過し、次いで、氷冷緩衝液(0.2m
Lずつ2回)で洗浄することによって未結合物から分離した。フィルター上に残
っている結合放射能を、ベックマン液体シンチレーションカウンター(Beckman
Liquid Scintillation Counter)(Model LS6800)でレディ・ソル
ブ(Ready Solve)(カリフォルニア州フラートンのベックマン・インストゥ
ルメンツ(Beckman Instruments))1.5mL中で効率40%で計数した。非
特異的結合は、2μM非標識SK&F−107260の存在下で測定し、該試料
に添加した合計放射能の確実に0.14%未満であった。全データは、クアドル
プリカート測定の平均である。
競合結合データは、非線形最小二乗曲線適合法によって分析した。この方法は
、拮抗薬のIC50(平衡時に[3H]−SK&F−107260の特異的結合を
50%阻害する拮抗薬の濃度)を提供する。IC50は、チェンおよびプルゾフ
の方程式(Cheng and Prusoff equation):Ki=IC50/(1+L/Kd)[
式中、Lは、競合結合アッセイで用いた[3H]−SK&F−107260の濃度
(4.5nM)であり、Kdは、スキャッチャード分析により測定すると4.5nM
である[3H]−SK&F−107260の解離定数である]に基づく拮抗薬の平
衡解離定数(Ki)に関係する。本発明化合物は、約40μM〜約100μMの
範囲でKiを有する[3H]−SK&F−107260結合を阻害する。
血小板凝集の阻害
雑種成体のナイーブイヌから血液を回収した(凝集を阻害するためにクエン酸
処理した)。室温で10分間、150xgで遠心分離に付すことにより、血小板
に富む血漿PRPを調製した。800xgで10分間、PRPを遠心分離に付す
ことによって、洗浄血小板を調製した。このようにした得られた細胞ペレットを
、Ca++を含まないタイロード緩衝液(pH6.5)で2回洗浄し、1.8mM Ca+ +
を含有するタイロード緩衝液(pH7.4)中に3×105細胞/mlで再懸濁させ
た。血小板凝集の全アッセイにおいて、3分前に、作動薬にペプチドを添加した
。最終作動薬濃度は、トロンビン0.1ユニット/mlおよび2mM ADP(シグ
マ(Sigma))であった。クロノ−ログ・ルミ−アグリゴメーター(Chrono-L
ogLumi-Aggregometer)で凝集をモニターした。作動薬の添加の5分後、光透
過率を用いて、凝集%=[(90−CR)÷(90−10)]×100(式中、CRは
、チャート測定値であり、90は、基線であり、10は、PRPブランク値であ
る)の式に従って、凝集パーセントを算出した。[凝集の阻害%]対[ペプチドの濃
度]をプロットすることによって、IC50を測定した。ペプチドを200mMで
アッセイし、2のファクターで連続希釈して、好適な用量−応答曲線を確立した
。
血漿プロテアーゼに対する当該化合物の安定性を評価するために、当該化合物
を、作動薬の添加前に、PRP中で(3分よりもむしろ)3時間インキュベート
した。
血小板凝集のin vivo阻害
Aiken et al.,Prostaglandins,19,629(1980)に開示されている方法に従
って、麻酔したイヌへのペプチドの輸液の全身性効果および血流力学的効果を記
録することによって、血栓形成のin vivo阻害を示す。
以下の実施例は、如何なる場合も本発明の範囲を限定するものではなく、本発
明化合物の製造および使用方法を説明するためのものである。多くの他の具体例
は、当業者に容易に明白であり利用可能であろう。
実施例1
( +)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3− グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジエチルエテリルオキシ−1,4−ベンゾジ アザピンの製造
a)4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド
ジクロロエタン(150mL)中の塩化アルミニウム(55g、0.43mol)の
冷たい(−50℃)懸濁液に6−ニトロピペロナール(30g、0.15mol)の
ジクロロエタン(400mL)中溶液を室温で一度に添加した。次いで、該混合
物を0℃にし、この温度で1.5時間撹拌した。該懸濁液を冷水(1L)で希釈
し、酢酸エチルで抽出し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させた。熱酢酸エチル
/ヘキサン(2/1)から再結晶して、純粋な黄色固体を得た。次いで、該固体
を48%臭化水素酸水溶液と混合し、室温で48時間撹拌した。該混合物を濾過
し、該固体を水で洗浄し、加圧乾燥させ、次いで、真空乾燥させて、標記化合物
を得た(22.19g、80%)。MS(ES)m/e 184(m+H)+。
b)ビスエチル−2−ニトロ−4,5−ジオキシアセトアセテート−ベンズア
ルデヒド
ジメチルホルムアミド(25mL)中の4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロベン
ズアルデヒド(4.33g、24mmol)、炭酸カリウム(13.8g、0.1mol)、
ブロモ酢酸エチル(8.02g、48mmol)の混合物を、アルゴン下、室温で48
時間撹拌した。次いで、該懸濁液をジエチルエーテル/水(1/1、500mL
)中に注ぎ、得られた層を分離した。水性層をさらなるジエチルエーテルで抽出
し、エーテル層を合わせ、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ロータ
リー式エバポレーションによって濃縮して、固体を生成し、該固体をヘキサンと
一緒に粉砕し、濾過し、真空乾燥させて、標記化合物を得た(7.0g、84%)
。MS(ES)m/e 356(m+H)+。
c)N−(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジオキシアセトアセテートエチルエ
ステル)−D−Arg(tos)OBzl
メタノール(20mL)中のビスエチル−2−ニトロ−4,5−ジオキシアセト
アセテート−ベンズアルデヒド(2.66g、7.5mmol)の撹拌溶液に、酢酸ナ
トリウムにより予めpH6.0に調節したMeOH中のD−Arg(tos)OBzl(4.
18g、10mmol)の溶液を添加した。得られた溶液を室温で1.5時間撹拌し、
次いで、シアノホウ水素化ナトリウム(0.68g、10mmol)を添加した。18
時間後、該溶液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、5%重炭酸ナトリウム、
水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、クロマトグラフ
ィー(シリカゲル、クロロホルム中1〜4%メタノール)に付すことによって赤
色油状物を精製して、標記化合物を得た(5.3g、92%)。MS(ES)m/e
758(m+H)+。
d)N,N−(BOC)−(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジオキシアセトアセ
テートエチルエステル)−D−Arg(tos)OBzl
塩化メチレン(150mL)中のN−(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジオキ
シアセトアセテートエチルエステル)−D−Arg(tos)OBzl(5.0g、6.6mmo
l)、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(5.0g、23mmol)の溶液を48時間加熱還流
させた。該溶液をロータリー式エバポレーションにより濃縮し、クロマトグラフ
ィー(シリカゲル、35%ヘキサン/酢酸エチル)に付すことによって精製して
、標記化合物を得た(4.90g、89%)。MS(ES)m/e 858(m+H)+。
e)N,N−(BOC)−(ベンジル−2−アミノ−4,5−ジオキシアセトアセ
テートエチルエステル)−D−Arg(tos)OH
メタノール(100mL)中のN,N(BOC)(ベンジル−2−ニトロ−4,5−
ジオキシアセトアセテートエチルエステル)−D−Arg(tos)OBzl(4.2g、4
.9mmol)および5%パラジウム−硫酸バリウム(3g)の混合物を50psiで2
時
ー式エバポレーションによって濃縮して、白色固体として標記化合物を得た(3
.5g、96%)。MS(ES)m/e 738(m+H)+。
f)(−)−4−N−(BOC)−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジオキシアセテート−1,4−ベン
ゾジアザピンビスエチルエステル
アルゴン下、ジメチルホルムアミド(25mL)中のN,N−(BOC)−(ベン
ジル−2−アミノ−4,5−ジオキシアセトアセテートエチルエステル)−D−A
rg(tos)OH(4.8g、6.5mmol)、DIEA(0.84g、6.5mmol)、1−ヒ
ドロキシベンゾトラゾール・水和物(1.0g、7.4mmol)、1−(3−ジメチル
アミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(1.3g、6.8mmol)の
冷たい(0℃)溶液を調製した。次いで、該反応を18時間室温にした。溶媒の
大部分を除去し、得られた残留物を10%炭酸カリウムで処理した。固体沈殿物
を濾過し、水でよく洗浄し、真空乾燥させた。所望の生成物をクロマトグラフィ
ー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン、1/1)に付すことによって精製して
、標記化合物を得た(3.9g、83%)。MS(ES)m/e 720(m+H)+
。
g)(−)−4−N−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニ
ジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジオキシアセトアセテート−1,4−ベンゾジ
アザピンビスエチルエステル
(−)−4−N−(BOC)−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−
グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジオキシアセトアセテート−1,4−ベ
ンゾジアザピンビスエチルエステル(3.9g、5.4mmol)を塩化メチレン(6
0mL)中のトリフルオロ酢酸の20%溶液で処理した。1時間後、該溶液を濃
縮し、得られたワックスをジエチルエーテルと一緒に粉砕した。白色固体を濾過
し、次いで、真空乾燥させて、標記化合物をビストリフルオロ酢酸塩として得た
(4.2g、95%)。MS(ES)m/e 520(m+H)+。
h)(−)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジオキシアセトアセテート−1,4
−ベンゾジアザピンビスエチルエステル
ジメチルホルムアミド(40mL)中の(−)−4−N−1,3,5−トリヒドロ
−3(R)−(プロピル−3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−オキシアセ
トアセテート−1,4−ベンゾジアザピンビスエチルエステル(4.2g、5.4
mmol)の溶液をDIEAで、pHが7.0になるまで、処理した。次いで、塩化ア
セチル(0.426、6mmol)を添加し、さらにDIEAを用いてpHを8.0に
調整した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。該溶液をロータリー式エバ
ポレーションによって濃縮し、残留物を酢酸エチル中に取った。次いで、有機物
質を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を除去して、標記化合物
を得た(2.5g、70%)。MS(ES)m/e 662(m+H)+。
i)(+)−4−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−
グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジエチルエテリルオキシ−1,4−ベンゾジ
アザピン
標準的なフッ化水素(HF)反応条件下、−78℃で、(−)−4−N−アセチ
ル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニジン(tos))−2−
オキソ−7,8−ジオキシアセトアセテート−1,4−ベンゾジアザピンビスエチ
ルエステル(1.6g、2.4mmol)をフッ化水素(15mL)と縮合させた。次い
で、該溶液を90分間0℃に加温した。フッ化水素を真空除去し、得られたワッ
クスをジエチルエーテルと一緒に粉砕した。固体を濾過し、真空乾燥させ、水中
に取った。該溶液をジエチルエーテル、酢酸エチルで洗浄し、凍結乾燥させて、
標記化合物を白色粉末として得た(1.04g、82%):MS(ES)m/e 5
08(m+H)+。
実施例2
( −)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3− グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジオキシ酢酸−1,4−ベンゾジアザピンの 製造
メタノール(2.0mL)中の実施例1で製造した(+)−4−N−アセチル−1
,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニジン)−2−オキソ−7,
8−ジエチルエテリルオキシ−1,4−ベンゾジアザピン(100mg、0.2mmol
)の溶液を1N水酸化ナトリウム(0.4mL、0.4mmol)で処理した。1時間
後、該混合物をジエチルエーテル(10mL)で希釈し、濾過し、固体をジエチ
ルエーテルで洗浄した。次いで、該固体を乾燥させ、ジエチルエーテルと一緒に
粉砕
し、濾過し、真空乾燥させた。次いで、該物質を、非イオン性XAD−2吸収剤
(水で平衡化させ、30%アセトニトリルで溶離した)によって脱塩させて、標
記化合物を得た(80mg、88%)。MS(ES)m/e 452(m+H)+。
実施例3
( +)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3− グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ酸−1,4−ベンゾジアザ ピンの製造
a)ビスエチル−2−ニトロ−4,5−ジブチリルオキシ−ベンズアルデヒド
実施例1(b)の方法に従って、4,5−ジヒドロキシ−2−ニトロベンズア
ルデヒドを4−ブロモ酪酸エチルでO−アルキル化して、標記化合物を得た(6
3%)。MS(ES)m/e 412(m+H)+。
b)N−(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジブチリルオキシエチルエステル)
−D−Arg(tos)OBzl
実施例1(c)の方法に従って、ビスエチル−2−ニトロ−4,5−ジブチリ
ルオキシ−ベンズアルデヒドを還元的にアミノ化して、標記化合物を得た(82
%)。MS(ES)m/e 814(m+H)+。
c)N,N−(BOC)−(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジブチリルオキシエ
チルエステル)−D−Arg(tos)OBzl
実施例1(d)の方法に従って、N(ベンジル−2−ニトロ−4,5−ジブチリ
ルオキシエチルエステル)−D−Arg(tos)OBzlをN−保護して、標記化合物を
得た(95%)。MS(ES)m/e 914(m+H)+。
d)N,N−(BOC)−(ベンジル−2−アミノ−4,5−ジブチリルオキシエ
チルエステル)−D−Arg(tos)OH
実施例1(e)の方法に従って、N,N−(BOC)−(ベンジル−2−ニトロ−
4,5−ジブチリルオキシエチルエステル)−D−Arg(tos)OBzlを脱保護およ
び還元して、標記化合物を得た(77%)。MS(ES)m/e 794(m+H)+
。
e)(+)−4−N−(BOC)−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ−1,4−ベンゾ
ジアザピンビスエチルエステル
実施例1(f)の方法に従って、N,N−(BOC)−(ベンジル−2−アミノ−
4,5−ジブチリルオキシエチルエステル)−D−Arg(tos)OHを環化させて、
標記化合物を得た(定量的)。MS(ES)m/e 776(m+H)+。
f)(+)−4−N−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニ
ジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ−1,4−ベンゾジアザピン
ビスエチルエステル
実施例1(g)の方法に従って、(+)−4−N−(BOC)−1,3,5−トリヒ
ドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチ
リルオキシ−1,4−ベンゾジアザピンビスエチルエステルをN−脱保護した。
MS(ES)m/e 676(m+H)+。
g)(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ−1,4−ベンゾ
ジアザピンビスエチルエステル
実施例1(h)の方法に従って、(+)−4−N−1,3,5−トリヒドロ−3(
R)−(プロピル−3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキ
シ−1,4−ベンゾジアザピンビスエチルエステルをN−アセチル化して、標記
化合物を得た(30%)。MS(ES)m/e 662(m+H)+。
h)(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ−1,4−ベンゾジア
ザピン
実施例1(i)の方法に従って、(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒ
ドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニジン(tos))−2−オキソ−7,8−ジブチ
リルオキシ−1,4−ベンゾジアザピンビスエチルエステルをフッ化水素(HF)
脱保護して、標記化合物を得た(80%)。MS(ES)m/e 564(m+H)+
。
i)(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒドロ−3(R)−(プロピル−
3−グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジブチリルオキシ酸−1,4−ベンゾジ
アザピン
実施例2(a)の方法に従って、(+)−4−N−アセチル−1,3,5−トリヒ
ドロ−3(R)−(プロピル−3−グアニジン)−2−オキソ−7,8−ジブチリル
オキシ−1,4−ベンゾジアザピンを鹸化して、標記化合物を得た。MS(ES)
m/e 508(m+H)+。
実施例4
( R,S)−2−[(4−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒ ドロ−8−[1−(1,2−ジカルボキシ)エチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼ ピン−1−オンの製造
a)1−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル−4−アミノメチルベンゼ
ン
p−キシレンジアミン(10g、73.4mmol)を塩化メチレン(150mL)に
溶解させ、室温で、ジ炭酸ジ−tert−ブチル(5.36g、24.5mmol)で処理
し、50時間撹拌した。該反応をクロロホルムで希釈し、5%炭酸ナトリウムで
洗浄し、硫酸マグネシムで乾燥させ、濾過し、減圧下、蒸発させた。残留物を最
少量の1N塩酸水溶液(10mL)に溶解させ、ジエチルエーテルで2回洗浄し
た。水性層を1N水酸化ナトリウムで塩基性(pH10)にし、酢酸エチルで2
回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、蒸発させて、標記化合物3.
48g(60%)を得た。1H NMR(CDCl3,90MHz)δ1.48(s,9
H)、3.85(s,2H)、4.31(d,2H,J=7.5Hz)、5.07−5.47(
m,1H)、7.28(s,4H)。
b)1−ニトロ−3−カルボメトキシメチル−4−(プロパン−3−アルイル
)−ベンゼン
アルゴン下、−78℃で、テトラヒドロフラン(60mL)中の7−ニトロ−
1−テトラロン(3.0g、15.7mmol)の溶液をテトラヒドロフラン中1Mリ
チウムビス(トリメチルシリル)アミド16mLで処理し、45分間撹拌した。ク
ロロギ酸メチル(1.3mL)を添加し、該反応を室温で1時間撹拌した。次いで
、該反応を水でクエンチし、酢酸エチルで抽出して、粗製エノールカーボネート
を得た。メタノール:塩化メチレンの3:2混合物中のエノールカーボネートを
−78℃に冷却し、過剰のオゾンで(反応混合物がブルー色になるまで)処理し
た。過剰のオゾンを酸素で吹き払い、次いで、該反応を硫化メチル(4mL)で
処理し、ゆっくりと室温に加温し、18時間撹拌した。該反応を減圧下で蒸発さ
せ、フラッシュクロマトグラフィー(2×20cm、ヘキサン中20%酢酸エチル
)に付すことによって精製して、標記化合物1.33g(41%)を得た。1H N
MR(CDCl3,90MHz)δ 2.85(t,2H,J=7.5Hz)、3.58(t,
2H,J=7.5Hz)、4.00(s,3H)、7.60(d,1H,J=9.0Hz)、8.
36(d of d,1H,J=9.0,1.5Hz)、8.88(d,1H,J=1.5Hz)、
9.91(s,1H)。
c)1−ニトロ−3−カルボキシメチル−4−(3−(アミノメチル−(4−t
−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)−ベンジリ)プロピル)ベンゼン
乾燥メタノール(20mL)中の1−ニトロ−3−カルボメトキシメチル−4
−(プロパン−3−アルイル)−ベンゼン(460mg、2.0mmol)を、1−t−
ブチルオキシカルボニルアミノメチル−4−アミノメチルベンゼン(950mg、
4mmol)および酢酸(pH7)288μL(4mmol)、次いで、シアノホウ水素
化ナトリウム(126mg、2mmol)で室温で24時間処理した。次いで、該反応
を、減圧下、蒸発させて、クロロホルム中に取った。この溶液を5%炭酸ナトリ
ウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下、蒸発させた。該
残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3×20cm、クロロホルム中5%メタ
ノール)に付すことによって精製して、標記化合物440mg(48%)を得た。1
H NMR(CDCl3,90MHz)δ 1.40(s,9H)、1.73−2.10(
m,3H)、2.71(t,2H,J=7.5Hz)、3.20−3.05(m,2H)、3.
82(s,2H)、3.93(s,3H)、4.32(d,2H,J=6.0Hz)、4.87
−5.20(m,1H)、7.30(s,4H)、7.55(d,1H,J=9Hz)、8.3
0(d of d,1H,J=9.0,1.5Hz)、8.75(d,1H,J=1.5Hz)。
d)2−[(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)フェニル]メチル−
2,3,4,5−テトラヒドロ−8−ニトロ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オ
ン
1,4−ジオキサン(6.0mL)中の1−ニトロ−3−カルボキシメチル−4
−(3−(アミノメチル−(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)−ベン
ジリ)プロピル)ベンゼン(740mg、1.62mmol)を1N水酸化ナトリウム水
溶液3.5mLで、室温で1時間処理した。該反応を1N塩酸で酸性化し、10分
間撹拌した。該反応を、減圧下、蒸発させ、次いで、トルエンから蒸発させた。
残留物をジメチルホルムアミド(200mL)に溶解させ、0℃で、N−メチル
−モルホリン(1.07mL、9.72mL)、HOBt(437mg、3.24mmol)
およびベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニ
ウムヘキサフルオロホスフェート(1.43g、3.24mmol)で処理した。該反
応を室温まで徐々に加温し、2日間撹拌した。反応混合物を、減圧下、蒸発させ
、フラッシュクロマトグラフィー(2×20cm、ヘキサン中50〜75%酢酸エ
チル)に付すことによって精製して、標記化合物440mg(64%)を得た。1
H NMR(CDCl3,90MHz)δ 1.50(s,9H)、1.67−2.10(m
,2H)、2.82(t,2H J=7.5Hz)、3.20(t,2H,J=7.5Hz)、4
.35(d,2H,J=6Hz)、4.70−5.03(m,1H)、4.79(s,2H)、
7.27−7.40(m,5H)、8.27(d of d,1H,J=9.0,1.5Hz)、8
.67(d,1H,J=1.5Hz)。
e)2−[(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)フェニル]メチル−
2,3,4,5−テトラヒドロ−8−アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オ
ン
5%パラジウム−炭20mgを有する乾燥メタノール中の2−[(4−t−ブチル
オキシカルボニルアミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ
−8−ニトロ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン(200mg、0.471
を介して濾過し、減圧下、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(2×20
cm、クロロホルム中メタノール98:2)に付すことによって精製して、標記化
合物を得た(160mg、85%)。1H NMR(CDCl3,250MHz)δ1.
46(s,9H)、1.64−1.80(m,2H)、2.62(t,2H,J=7.1Hz)
、
3.17(t,2H,J=6.4Hz)、4.31(d,2H,J=5.8Hz)、4.74(s
,2H)、4.80−4.90(m,1H)、6.69(d of d,1H,J=6.0,2.5
Hz)、6.90(d,1H,6.0Hz)、7.06(d,1H,2.5Hz)、7.29(AB
,4H)。
f)(R,S)−2−[(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)フェニル
]メチル-2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[1−(1,2−ジメチルカルボキシ)
エチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン
乾燥メタノール(3mL)中の2−[(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノ
メチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8−アミノ−1H−2
−ベンゾアゼピン−1−オン(160mg、0.405mmol)およびジカルボン酸
ジメチルアセチレン(248μL、2.025mmol)の混合物を還流させながら
(76℃)1.5時間処理した。該反応を蒸発させ、ヘキサン中50−75−1
00%酢酸エチルを用いてシリカの層(4インチ)を介して濾過して、エナミン
200mgを得、該エナミンを、Pd−炭20mgを有する乾燥メタノールに溶解さ
を介して濾過し、減圧下、蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(
1×20cm、ヘキサン中40−60%酢酸エチル)に付すことによって精製して
、標記化合物200mg(75%)を得た。1H NMR(CDCl3,250MHz)δ
1.49(s,9H)、1.60−1.80(m,3H)、2.62(t,2H,J=6.6
Hz)、2.92(d,2H,J=6.0Hz)、3.15(t,2H,J=6.6Hz)、3.
70(s,3H)、3.79(s,3H)、4.31(d,2H,J=4.1Hz)、4.49(
t,1H,J=5.0Hz)、4.75(s,2H)、4.80−4.90(m,1H)、6.
68(d of d,1H,J=8.0,2.0Hz)、6.92(d,1H,J=8.0Hz)、
7.01(d,1H,J=2.0Hz)、7.21−7.38(m,4H)。
g)(R,S)−2−[(4−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テト
ラヒドロ−8−[1−(1,2−ジカルボキシ)エチル]アミノ−1H−2−ベンゾ
アゼピン−1−オン
1,4−ジオキサン(5mL)中の(R,S)−2−[(4−t−ブチルオキシカル
ボニルアミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[1−
(1,2−ジメチルカルボキシ)エチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−
オン(200mg、0.371mmol)の溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液1.86
mLで室温で2時間処理した。該反応混合物を1N塩酸で酸性化し、減圧下、蒸
発させ、次いで、トルエンから蒸発させた。残留塩化メチレン(2mL)をトリ
フルオロ酢酸(2mL)で処理し、室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物
を、減圧下、蒸発させ、トルエンから蒸発させた。残留物を逆相hplc[5μハミ
ルトン(Hamilton)PRP−1;21.5×250mmカラム;82:18(0.1
%トリフルオロ酢酸(水溶液):アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸)]
に付すことによって精製し、1%酢酸水溶液から凍結乾燥させた後、標記化合物
56mgを得た。MS(ES)m/e 412[M+H]+;HPLC k'3.47[5
/分、220nmでUV検出、80:20(0.1%トリフルオロ酢酸(水溶液):
アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸)];TLC Rf0.25(シリカゲ
ル、4:1:1 ブタノール:酢酸:水);1H NMR(CD3OD,250MH
z)δ1.69−1.80(m,2H)、2.52(t,2H,J=6.6Hz)、2.78(
t,2H,J=6.6Hz)、3.15(t,2H,J=6.6Hz)、4.02(s,2H)、
4.31−4.40(m,1H)、4.70(s,2H)、6.86−6.91(m,3H)、
7.31−7.41(m,4H);元素分析(C22H25N3O5・2.5C2HO2F3・2
水):理論値:C,44.27;H,4.33;N,5.74、測定値:C,44.52
;H,4.33;N,5.70。
実施例5
( R,S)−2−[(4−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒ ドロ−8−[2−(1−カルボキシ−4−フェニル)ブチル]アミノ−1H−2−ベ ンゾアゼピン−1−オンの製造
a)3−ケト−5−フェニル−ペンタン酸ベンジル
塩化メチレン中の塩化ヒドロシンナモイル(5.0mL、33.7mmol)の溶液
を2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(4.8g、33.3mmol)
およびピリジン(5.3mL)で処理し、室温で24時間撹拌した。該反応混合物
をクロロホルムで希釈し、1N塩酸(水溶液)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥させ、減圧下、蒸発させた。残留物を、ベンジルアルコール(11mL、
100mmol)を有する乾燥トルエン(250mL)に溶解させ、該混合物を12
7℃(浴温)で20時間、次いで、還流させながら48時間加熱した。該反応混
合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチル中に取った。この溶液を5%重炭酸ナトリ
ウム(水溶液)、1N塩酸(水溶液)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥さ
せ、減圧下、蒸発させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲ
ル、6×20cm、ヘキサン中12%酢酸エチル)に付すことによって精製して、
3−ケト−5−フェニル−ペンタン酸ベンジル6.12g(21.7mmol、64%
)を得た。
b)(R,S)−2−[(4−ブチルオキシカルボニル−アミノメチル)フェニル]
メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[2−(1−ベンジルカルボキシル−
4−フェニル)ブチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン
2−[(4−t−ブチルオキシカルボニルアミノメチル)フェニル]メチル−2,
3,4,5−テトラヒドロ−8−アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン(
103mg、0.26mmol)および3−ケト−5−フェニル−ペンタン酸ベンジル
(166mg、0.588mmol)の溶液を酢酸(89μL、1.56mmol)およびト
リアセトキシホウ水素化ナトリウム(165mg、0.78mmol)で処理し、室温
で42時間撹拌した。該反応混合物を酢酸エチルで希釈し、5%重炭酸ナトリウ
ム(水溶液)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。残留物をフ
ラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中30%酢酸エチル)に付
すことによって精製して、標記化合物83mg(0.125mmol、48%)を得た
。MS(ES)m/e 662(M+H)+。
c)(R,S)−2−[(4−ブチルオキシカルボニル−アミノメチル)フェニル]
メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[2−(1−カルボキシ−4−フェニ
ル)ブチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン
メタノール中の(R,S)−2−[(4−ブチルオキシカルボニル−アミノメチル)
フェニル]メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[2−(1−ベンジルカルボ
キシル−4−フェニル)ブチル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン(
83mg、0.125mmol)および5%パラジウム−炭20mgの溶液を水素で室
ドを介して濾過し、濾液を、減圧下、蒸発させた。残留物をフラッシュクロマト
グラフィー(シリカゲル、3×20cm、98:2:0.1 クロロホルム メタ
ノール 酢酸)に付すことによって精製して、標記化合物52.3mg(0.091
mmol、73%)を得た。MS(ES)m/e 572(M+H)+。
d)(R,S)−2−[(4−アミノメチル)フェニル]メチル−2,3,4,5−テト
ラヒドロ−8−[2−(1−カルボキシ−4−フェニル)ブチル]アミノ−1H−2
−ベンゾアゼピン−1−オン
(R,S)−2−[(4−ブチルオキシカルボニル−アミノメチル)フェニル]メチ
ル-2,3,4,5−テトラヒドロ−8−[2−(1−カルボキシ−4−フェニル)ブ
チル]アミノ−1H−2−ベンゾアゼピン−1−オン(52.3mg、0.091mmo
l)をトリフルオロ酢酸で室温で1時間処理した。該反応混合物を、減圧下、蒸
発させ、残留物をトルエンから蒸発させた。残留物を1%酢酸水溶液中に取り、
凍結乾燥させた。粗製生成物を、ハミルトンPRP-1カラム上での分取用Prep
mmカラム;流速=16.2mL/分;65:35(0.1%トリフルオロ酢酸(水
溶液):アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸)]に付すことによって精製
し、凍結乾燥させた後、生成物34mgを得た。MS(ES)m/e 472[M+
4.6×250mm、流速=1.5mL/分、220nmでUV検出、50:50(0.
1%トリフルオロ酢酸(水溶液):アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸)
]
6×250mm、流速=1.5mL/分、220nmでUV検出、(0.1%トリフル
オロ酢酸(水溶液):アセトニトリル中0.1%トリフルオロ酢酸)70:30
で開始して20分までに20:80となり、5分間維持し、5分以内に70:3
0に戻す勾配溶離]。
実施例6
非経口投与単位組成物
無菌乾燥粉末として実施例1の化合物20mgを含有する調製物を以下のとおり
調製する:化合物20mgを蒸留水15mLに溶解させる。該溶液を、無菌条件下
、25mLのマルチ投与アンプル中に濾過し、凍結乾燥させる。静脈内または筋
肉内注射のために、該粉末を、水中5%デキストロース(D5W)20mLの添
加によって再構成した。これにより、投与量は、注射容量によって決定される。
注射用D5Wのさらなる量にこの投与単位の計量された量を添加することによっ
て、連続希釈するか、または、計量された投与量を、IVドリップ輸液または他
の注射−輸液系のためのビンまたはバッグにおけるような投薬用の別のメカニズ
ムに添加してもよい。
実施例7
経口投与単位組成物
実施例1の化合物50mgをラクトース75mgおよびステアリン酸マグネシウム
5mgと混合し、粉砕することによって、経口投与用カプセルを調製する。得られ
た粉末をフルイにかけ、ゼラチン硬カプセル中に充填する。
実施例8
経口投与単位組成物
スクロース20mg、硫酸カルシウム・二水和物150mgおよび実施例1の化合
物50mgを10%ゼラチン溶液と混合し、顆粒化することによって、経口投与用
錠剤を調製する。湿顆粒をスクリーンにかけ、乾燥させ、デンプン10mg、タル
ク5mgおよびステアリン酸3mgと混合し、錠剤に圧縮する。
上記は、本発明の製造および使用についての説明である。しかしながら、本発
明は、本明細書に記載した正確な具体例に限定されず、全ての変更を以下の請求
の範囲の範囲内に包含する。