JPH08504219A - ポリアミノ酸超吸収剤 - Google Patents

ポリアミノ酸超吸収剤

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JPH08504219A JP5518368A JP51836893A JPH08504219A JP H08504219 A JPH08504219 A JP H08504219A JP 5518368 A JP5518368 A JP 5518368A JP 51836893 A JP51836893 A JP 51836893A JP H08504219 A JPH08504219 A JP H08504219A
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ドナシー,ジュリー
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ユニバーシティ オブ サウス アラバマ
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Abstract

(57)【要約】 実質的に不水溶性で、架橋されたポリペプチド類であって、グルタミン酸、アスパラギン酸、ホスホセリン、ホスホホモセリン、ホスホチロシン、ホスホトレオニン、ホスホアスパラギン、ホスホグルタミンのようなアミノ酸残基を15から85モル%含み、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、チロシンのようなアミノ酸残基を15から85モル%含み、かつ架橋度か、そのポリペプチドの重量の少なくとも20倍量の1%NaCl水溶液を吸収する能力を有する実質的に不水溶性のポリペプチドを生成させるに十分な程度であり、おむつ類その他の製品の超吸収剤として有用なポリペプチド。架橋ポリペプチドを温和なアルカリ加水分解することにより、その超吸収能か2から3倍に増加する。

Description

【発明の詳細な説明】 ポリアミノ酸超吸収剤 本願は1991年3月29日に出願された米国特許願第07/677,333 号の一部継続出願であり、この一部継続出願は本明細書の一部を構成するものと してここに援用される。技術分野 本発明は、大量の水および水性溶液類、特に生理塩類溶液を吸収する能力を有 する新規なポリペプチド類;および、それらのポリペプチド類を製造する方法に 関する。これらのポリマー類は、生理用品類、衛生用品類、保水剤類、脱水剤類 、ならびに各種化学薬品類の放出コントロール剤類を含む数多くの用途(ただし これらに限定されるものではない)に有用なものである。背景技術 一般に、超吸収性のポリマー類は、水溶性ポリマーをある方法、典型的には架 橋剤による方法によって水不溶性とした構造を持っており、純水中においてその ポリマーの重量の少なくとも20倍量の水を吸収する能力を付与されたものであ る。現在用いられている吸水性樹脂類には、でんぷん−アクリロニトリルのグラ フト重合体の加水分解物類、カルボキシメチルセルロース、ポリカルボン酸類、 アクリルアミド類、非架橋重合のポリマー混合物類、架橋されたポリアクリレー ト類、およびポリビニルアルコール類のようなその他の樹脂類(Mikita他 、米国特許第4,703,067号;Ofstead,R.F.,米国特許第4 ,771,089号;およびSiddall,J.H.他,米国特許第4,83 3,222号)がある。Brandtらはまた、米国再発行特許第32,649 号で、不飽和の重合可能な酸基を含んだモノマー類の重合体および架橋剤をベー スとした、ヒドロゲルを生成するポリマー組成物類を開示している。超吸収性の ポリマー類は元来多価陰イオン性であり、これらの荷電官能基の 水和作用が吸水特性をもたらすものである(Masuda,F.,“Super absorbent polymers−charasteristics a nd trends in development of applicat ions,”Chem.Econ.Enginer.Rev.,vol.15, pp.19−23(1983))。 このような樹脂類の1つの問題は、生理塩類溶液が存在する場合にその吸水容 量が大幅に減少することである。このことは、これらのポリマー類の用途がおむ つ類や身体の衛生用品類にあることを考えると、重要な問題点である。さらにこ れらの樹脂類の欠点として、ある場合にはその合成が煩雑であること、また別の ケースではその耐熱性が低く、劣化が早いということがある。 α−アミノ酸類の混合物は、150℃より高い温度で、熱的に重合させて類タ ンパク質にすることができる(FoxおよびHarada,Science,v ol.128,p.1214(1958))ならびにJ.Am.Chem.So c.,vol.82,pp.3745−3751(1959))。この合成では 、理由は明らかではないが、過剰のジカルボンアミノ酸の存在か必要である。し かしながら、210℃より高い温度では、それらのアミノ酸類が熱分解されてし まい、過剰のジカルボンアミノ酸の有用性が失われてしまう。アミノ酸類の共重 合の再現性が高いことは報告されている(FoxおよびWindsor,Int ernational Journal of QuantumChemist ry;Quantum Biology,vol. 11,pp.103−10 8(1984))。 しかしながら、熱重合の際に効率的にポリマーを架橋する特定のアミノ酸類を 、あるいは合成後の化学的架橋のためのサイトを提供するような特定のアミノ酸 類を組み入れた多価陰イオンポリマー類に関する報告はないし、またそのような ポリマー類を作る方法に関する報告もない。特に、大量の水を吸収する能力を有 する不水溶性の製品を生成させる条件に関する報告はまったくない。 したかって、超吸収剤として機能する新しい分子構造物が必要であり、またそ のような化合物を作る方法が必要とされている。発明の開示 したかって、本発明の1つの目的は、超吸収剤として機能する新しい物質を提 供することにある。 本発明のもう1つの目的は、そのような化合物類を合成する方法を提供するこ とにある。 本発明のもう1つの目的は、身体の衛生用品類用の超吸収剤として機能しうる 物質を提供することにある。 本発明のもう1つの目的は、保水剤として機能しうる物質を提供することにあ る。 本発明のもう1つの目的は、脱水剤として機能しうる物質を提供することにあ る。 本発明のもう1つの目的は、抽出される化合物類が少量しか含まれていない超 吸収性化合物類を作ることにある。 以下の詳細な説明で明らかになる本発明のこれらおよびその他の目的は、実質 的に不水溶性で架橋された、かつ基本的に15から85モル%のX残基群と15 から85モル%のY残基群で構成された新規なポリペプチド類を提供することに より達成された。ここで、Xはアスパラギン酸、グルタミン酸、硫黄、ならびに ホスホセリン、ホスホホモセリン、ホスホチロシン、ホスホトレオニン、ホスホ アスパラギンおよびホスホグルタミン(これらに限定されない)を含むリンをベ ースとした誘導体類で構成されるグループから選ばれ、 Yはリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、チロシン、そ の他のアミノ酸類で架橋用のサイトとして機能する側鎖を提供するもの、および それらの混合物で構成されるグループから選ばれ、そして、 そのポリペプチドの架橋度は、不水溶性のペプチドを生成させ、そのポリペプ チドの重量の少なくとも20倍量の塩類溶液を吸収する能力を付与するに十分な 程度のものであり、またその架橋は同一または異なるポリペプチド鎖の基の間が 架橋されたものである。発明を実施するための最良の形態 このように本発明は、不水溶性で、かつ、大量の水、生体液類、または生理塩 類溶液を吸収することができる新規なポリペプチド分子類を確定し、それらにつ いて詳説するものである。これらの物質は、好ましくはポリグルタミン酸あるい はポリアスパラギン酸のような多価陰イオン性のバックボーン(鎖状構造)を有 するものである。分子の残りの部分は、たとえばリシン残基群あるいは側鎖に架 橋用のサイトを提供するその他のアミノ酸類で構成されている。 好ましい具体例の1つとしては、Xがアスパラギン酸塩またはグルタミン酸塩 、特に好ましくはアスパラギン酸塩、最も好ましくは10から60のアミノ酸残 基を有するポリアスパラギン酸塩で;Yがリシン、アルギニン、アスパラギン、 グルタミン、セリン、またはトレオニン、特に好ましくはリシンであるものであ る。Xがアスパラギン酸の場合、好ましいアミノ酸組成は、リシンか15から2 5モル%、アスパラギン酸が75から85モル%のもの、より好ましくはリシン が17から20モル%でアスパラギン酸が80から83モル%のものである。 もう1つ別の好ましい具体例としては、Xかグルタミン酸塩で、Yがリシン、 アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、またはトレオニン、特に好ま しくはリシンであるものである。Xがグルタミン酸塩の場合、このペプチドの好 ましいアミノ酸組成は、リシンが50から80モル%、グルタミン酸が20から 50モル%のもの、最も好ましくはリシンか60から70モル%でグルタミン酸 が30から40モル%のものである。 本発明のポリペプチド類は、架橋されたもので不水溶性のものである。架橋度 は、それらの分子を不水溶性とするに十分で、かつポリペプチドの重量の少なく とも20倍量、好ましくは少なくとも30倍量、最も好ましくは少なくとも40 倍量の塩類溶液を吸収する能力を付与するのに十分なものとする。架橋はYのア ミノ基または水酸基群と、Xの陰イオン基群の間で行われる。架橋は同一のポリ マー基本構造または鎖部分に含まれるYとX残基群の基の間、もしくは異なるポ リマー鎖状構造に含まれるXおよびY残基群の基の間で起こりうると解釈される 。 比吸水性および架橋度は、これらのポリペプチドを合成するときの時間と温度 のパラメータを適切に選択することにより容易にコントロールすることができる 。本発明のこの点についてはより詳細に後述する。 上記のように、本発明のポリペプチド類は水や生体液類を吸収するのに有用で 、おむつ類や生理用ナプキン類などに工夫して使用することかできる。さらに、 本発明のポリペプチド類は、化学薬品の放出コントロール用にも使用することも できる。 本発明の超吸収性ポリペプチド類は、一段階の工程により簡便に製造すること ができる。ポリペプチド中に組み入れるアミノ酸類を、ポリペプチド中のアミノ 酸残基の比に対応する量だけフラスコの中にいれ、その混合物を190から25 0℃に加熱する。あるいは、1つまたはそれ以上のアミノ酸類の一部または全部 を、前重合されたポリペプチド類、例えば、ポリアスパラギン酸に置き換えても よい。本発明の製造方法の1つの利点は溶剤を全く必要としないことである。Y としてLysを組み入れる場合には、Lys−HClを使用するのがよい。特に 、反応混合物のpHが中性またはそれ以上の場合、Lysを添加するのにLys− HClの形で反応混合物に添加する必要がある。 上記のように、最終製品の吸水性および架橋度は、加熱工程の時間と温度を変 えることによって容易にコントロールすることができる。最適の温度と時間は、 出発原料の特定の組み合わせによりそれぞれ異なるものではあるが、概括的には 、温度を190から250℃、加熱を4から36時間とした場合によい結果が得 られる。特に、XがAspでYがLysのポリペプチド類の場合、温度は好まし くは210から230℃、最も好ましくは約220℃、時間は好ましくは12か ら24時間、最も好ましくは約18時間である。XがGluでYがLysの場合 、その混合物の加熱は、好ましくは温度215から225℃、最も好ましくは約 220℃、好ましくは4から8時間、最も好ましくは約6時間行う。あるいは混 合物の加熱を、好ましくは温度195から205℃)最も好ましくは約200℃ 、好ましくは18から30時間、最も好ましくは約24時間行う。 好ましい実施態様においては、上記の方法によって得られる架橋ポリペプチド を温和なアルカリ加水分解で処理する。温和なアルカリ加水分解においては、架 橋ポリペプチドを、pHが9から13、好ましくは11から12に保ち、温度が6 0から100℃、好ましくは80から95℃である水性溶液で0.5から3時間 、好ましくは1から2時間の間処理する。温和なアルカリ加水分解において用 いられる塩基は、所望のpHを有する水性溶液を生成することができるものであれ ば特に限定されない。好ましい塩基の例としては、水酸化ナトリウムと水酸化カ リウムが挙げられる。この塩基は水酸化アンモニウムやその他の求核性アミンで はないことが好ましい。 温和なアルカリ加水分解によって改良される理由についての説明としては、こ のような加水分解によって、ポリマーのカルボキシル基と第二級アミンとの間に 形成されたイミド環が開環するためであると考えられるが、この説明によって本 発明が限定されるものではない。イミド環は加熱処理の間に形成される。温和な アルカリ加水分解によるイミド環の開環は、下記式によって示される。 開環において、負電荷のカルボキシル基の幾らかが処理され、これによってポ リアミノ酸は驚くべき高い超吸収性を有するようになる。このように、本発明ポ リペプチドの超吸収性は、温和なアルカリ加水分解によって2ないし3倍向上す る。温和なアルカリ加水分解を含む方法によって製造されるポリペプチドは、以 下に記述するブルーデキストランアッセイによって測定したとき、ゲル体積で少 なくとも5、好ましくは少なくとも10の吸収能を有する。 Xがアスパラギン酸もしくはグルタミン酸を含有するか、またはYがリシンを 含有する超吸収性ポリペブチドの製造においては、温和なアルカリ加水分解処理 を行うことが特に好ましい。 本発明のその他の特徴は下記の実施例の説明によって明らかにするが、これら は本発明の説明のためのものであって本発明の限定を意図するものではない。 実施例 合成方法 : 例えば、ポリアスパラギン酸、遊離のアスパラギン酸塩、およびリシン−HC lの混合物をエルレンマイヤーフラスコに入れる。反応容器を部分的に220℃ (±2℃)に加熱した料理用油に浸す。反応容器中の酸素の除去ならびに炭化の 可能性を排除するために窒素を連続的に送り込む。反応は最長24時間、不溶性 の製品が生成されるまで続ける。この不溶物を蒸留水中に最長24時間懸濁させ 洗浄し、次いでろ過および300mlずつの蒸留水を用いて3回洗浄する。そして 最終生成物を、評価および貯蔵のために凍結乾燥する。方法 : ある種のポリペプチド類においては、十分な量の不溶性の生成物を得るために は、出発鎖状構造として熱重合ポリアスパラギン酸塩が必要とされることがある 。このポリアスパラギン酸塩鎖状構造は次のようにして作る; L−アスパラギン酸(500g)をパイレックスの焼成用皿に入れ、マッフル 炉中で240℃で、最長8時間、好ましくは6時間加熱する。これによりほぼ1 00%のアスパラギン酸が重合され、以後の精製操作も不要となる。平均分子量 6000ダルトン(ゲルパーミエーションにより測定、SikesおよびWhe eler,Chemical Aspects of Regulation of Mineralization,C.S.Sikes and A.P. Wheeler,eds.,Univ.ofSouth Alabama Pu blication Services,Mobile,AL(1988)に記 載の“Control of CaCO3Crystallization b y Polianionic−hydrophobic Polypeptid es”)のポリアスパラギン酸無水物分子が生成された。実施例1 ポリアスパラギン酸無水物(例、1.2313g、0.1モル)を、pH10の水懸濁に より、60℃で1時間加熱し、次いで10NのHClで中和することにより、ポ リアスパラギン酸に加水分解した。その間pH10に保つため、少量の10NNa OHを加えた。このポリアスパラギン酸溶液を150mlのエルレンマイヤーフラ スコに入れた。L−アスパラギン酸(例、0.8318g、0.05モル)およびリシン− HCl(例、0.5706g、0.025モル)を加えた。反応のためのアミノ酸類のモル 比は好ましくは、ポリアスパラギン酸塩:アスパラギン酸塩:リシン−HCl比 で4:2:1であった。反応容器を部分的に220℃(±2℃)に加熱した料理 用油に、最長24時間、最も好ましくは18時間浸した。酸素の除去ならびに炭 化の防止のために、窒素を連続的に反応容器中に送り込んだ。生成物はほぼ完全 に不溶性であり、この不溶物を蒸留水中に12時間から24時間懸濁させ、蒸留 水を用いて3回ろ過洗浄(それぞれ300mlずつ)し、凍結乾燥した。PICO −TAG分析システム(Waters,Millipore)を用いてアミノ酸 分析を行った。実施例2 L−グルタミン酸(例、0.7355g、0.01モル)およびリシン−HCl(例、2. 739g、0.03モル)を乾燥粉末の状態で混合し、150mlのエルレンマイヤーフ ラスコに入れた。gluとlys−HClの好ましいモル比は1:3であった。 反応容器は部分的に220℃(±2℃)の油浴に24時間浸した。反応させるた めに溶媒をグルタミン酸に加え溶解した。酸素の除去ならびに炭化の防止のため に、窒素を連続的に反応容器中に送り込んだ。水溶性および不水溶性両方の物質 が生成された。この不溶性の生成物を蒸留水中に12時間から24時間懸濁させ 、蒸留水を用いて3回ろ過洗浄(それぞれ300mlずつ)し、凍結乾燥した。吸水性の測定 : ポリマーの液体吸収性は、一定重量のポリマーをあらかじめ重量を測定した試 験管に取り、1時間そのポリマーを過剰の液体にさらして吸収・膨潤させ、次い で1300×gで15分間遠心分離することにより測定した。過剰の液体をピペ ットで除去し、試験管およびポリマーの重量を測定した。液体の吸収性は、ポリ マー単位グラム当たりに吸収された液体の質量で示される。この試験は純水およ び中性pHの1%NaCl溶液を用いて行われた。この手法による結果を表1に示 す。 抽出されるポリマー物質の測定 20mlの試験管にポリマー(100mg)を入れ、過剰の液体を加えてポリマー への吸収およびポリマーのゲル化をさせた。液体のサンプルは24時間の間のい ろいろな時点で採取した。これらのサンプルについて、アミノ酸分析手法を用い て、サンプル中の抽出ポリマ一物質を調べた。これらのサンプル中のすべてのペ プチド結合を分解し、遊離アミノ酸とするために、それぞれのサンプルを6NH Cl中で150℃、1時間加水分解した。これらの遊離アミノ酸類を誘導体にし 、PICO−TAG分析システム(Waters,Millipore)を用い て分析した。結果を表2に示す。 実施例3 L−アスパラギン酸をパイレックス皿中、240℃で6時間熱重合させ、ポリ アンヒドロアスパラギン酸を得た。これをpH10の水性溶液中、60℃で1時間 加水分解したのち、10NのHCLでpH7〜8に中和し、ポリアスパラギン酸塩 を得た。1リットルのエルレンマイヤーフラスコ中で、得られた溶液にL−アス パラギン酸とL−リジン−HCLを加えた(ポリアスパラギン酸塩の30重量% まで)。それぞれの量はポリアンヒドロアスパラギン酸か25g、L−アスパラ ギン酸が17.15g、L−リジン塩酸塩が11.75gであった。これは残基 モル比で2:1:1である。 フラスコを220℃の油浴で14時間加熱し、ポリアスパラギン酸塩鎖をリジ ン残基と架橋させた。不溶性の生成物を蒸留水に一夜懸濁し、蒸留水で3回(そ れぞれ300mlずつ)ろ過洗浄した後、凍結乾燥した。これにより、非アルカリ 加水分解物である超吸収剤を得た。 次に、この生成物を、pH10、温度80℃に保持し、少量の10NのNaOH を添加して1時間、温和なアルカリ加水分解処理した。また、加水分解の条件を pH12、温度95℃で2時間として処理した。次いで、ろ過洗浄し、凍結乾燥す ることにより、加水分解物である、改良された超吸収剤を得た。 非アルカリ加水分解物を目的とする合成でなければ、リシンで熱架橋した後に 、生成物をろ過洗浄や凍結乾燥を行う必要はない。アルカリ加水分解物を目的と する場合には、ポリアスパラギン酸塩鎖を熱架橋した後、直接アルカリ加水分解 を行うのが好ましい。ポリアミノ酸超吸収剤の吸水性の評価: ゲル体積の測定 標記の測定は、単に水を吸収する前後の超吸収剤の重量を測定するものである 。非アルカリ加水分解で得られたポリアミノ酸物質について、純水の吸水値は乾 燥ポリマー重量の50から90倍の範囲であった。この方法による1重量%Na Cl溶液の吸収値は30から50倍であった。 温和なアルカリ条件下で処理されたポリペプチドを、非アルカリ加水分解ポリ ペプチドと比較するため、Brandtらの方法(1988年、米国再発行特許 第32649号)を採用した。吸水性についてのブルーデキストランアッセイ: この方法は水分吸収過程においてブルーデキストラン(BD、分子量=2百万 d)が超吸収剤から排除されることを利用するものである。排除された(吸収さ れない)水分量は、超吸収剤の存在下、ブルーデキストラン中で濃縮されるため 、吸水量の指標となる。ブルーデキストランは617nmで分光測定する。 典型的なアッセイにおいては、二つの50mlビーカーのそれぞれに0.1から 0.15gの材料をはかりとる。それぞれに20mlの合成尿素(6.0gのNa Cl、0.18gのCaCl2・2H2O、0.36gのMgCl2・6H2O、1 重量%の水性Triton−X、および600mlの水)と、20mlのブルーデキ ストランストック(合成尿素中に0.03重量%のブルーデキストラン(シグマ ケミカル))とを加えた。ビーカー中のスラリーを1時間穏やかに磁気攪拌した 。次に、スラリーを沈澱させ、上澄みを集め、850×gで15分間遠心分離し た。合成尿素を比較として使用し、遠心分離された上澄みの吸光度(abs)を 617nmで読み取った。ゲル体積を下記の式によって算出した。 ポリアミノ酸超吸収剤の電荷密度の評価: 上述のように、アルカリ加水分解処理は、帯電していないイミド残基をアニオ ン性のカルボキシル化されたアスパラギン酸塩残基に転換することにより、超吸 収剤の性能を向上させると考えられる。これを確認するため、滴定可能なカルボ キシル基の数をアルカリ加水分解の前後で測定した。滴定は、pHの向かう方向に 応じ、1N NaOHまたは1N HClを用いて行った。材料1mgあたりの滴 定可能な基の数は、pH9.5および3.0の間の範囲で滴定を行うのに必要なH CEまたはNaOHの体積から求めた。較正曲線はアスパラギン酸塩とアクリレ ートモノマーを用いて作成した。 ブルーデキストランのゲル体積測定と滴定試験の結果を表3に示す。 上記の教示に照らせば、本発明に関わる多くの修正や変型が可能であることは 明らかである。したかって、本発明は、添付の請求の範囲内で、ここに特記した 以外の方法でも実施可能であることを了解されたい。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項 【提出日】1993年8月11日 【補正内容】 補正された請求の範囲 1.実質的に水不溶性で、架橋されたポリペプチドであって、基本的に50か ら81.2モル%のリジンと18.8から50モル%のグルタミン酸で構成され 、当該ポリペプチドは、ブルーデキストランアッセイによって求められるゲル体 積が少なくとも5であるポリペプチド。 2.基本的に18.8から33.1モル%のグルタミン酸と66.9から81 .2モル%のリジンで構成される請求項1記載のポリペプチド。 3.実質的に水不溶性で、架橋されたポリペプチドであって、基本的に75か ら85モル%のアスパラギン酸と15から25モル%のリジンで構成され、当該 ポリペプチドは、ブルーデキストランアッセイによって求められるゲル体積が少 なくとも5であり、約6000ドルトンの分子量を有するポリアスパラギン酸ブ ロックを少なくとも一以上含有するポリペプチド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 2/00 14/00 8318−4H C09K 3/00 N 9155−4H

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.実質的に水不溶性で、架橋されたポリペプチドであって、基本的に15 から85モル%のX残基群と15から85モル%のY残基群で構成され: Xはアスパラギン酸、グルタミン酸、ホスホセリン、ホスホホモセリン、ホス ホチロシン、ホスホトレオニン、ホスホアスパラギン、ホスホグルタミン、およ びそれらの混合物からなる群より選ばれ; Yはリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、チロシン、お よびそれらの混合物からなる群より選ばれ; かつ、そのポリペプチドが、ブルーデキストランアッセイによって求められる ゲル体積が少なくとも5であるポリペプチド。 2.Xがアスパラギン酸であり、Yがリシンである請求項1記載のポリペプ チド。 3.Xが75から85モル%存在し、Yが15から25モル%存在する請求 項2記載のポリペプチド。 4.ポリペプチド重量の少なくとも30倍量の1%NaCl水溶液を吸収す ることができる請求項2記載のポリペプチド。 5.Xがグルタミン酸であり、Yがリシンである請求項1記載のポリペプチ ド。 6.Yが50から80モル%存在し、Xが20から50モル%存在する請求 項5記載のポリペプチド。 7.ブルーデキストランアッセイによって求められるゲル体積が少なくとも 10である請求項1記載のポリペプチド。 8.次のステップを含む製造法により製造される、不水溶性で、架橋された ポリペプチド。 (i)XとYの混合物を、温度190から250℃で4から36時間加熱す る: ここで、Xはアスパラギン酸、ポリアスパラギン酸、グルタミン酸、ホスホセ リン、ホスホホモセリン、ホスホチロシン、ホスホトレオニン、ホスホアスパラ ギン、ホスホグルタミン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれ;Yはリ シン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、チロシン、およびそれ らの混合物からなる群より選ばれ;このXとYが、15から85モル%のX残基 群と15から85モル%のY残基群を含むポリペプチドを得るのに十分な量、前 記混合物中に存在し、架橋ポリペプチドを得; (ii)得られた架橋ポリペプチドを、pH9から13、温度60から100℃ に保ちながら0.5から3時間アルカリ加水分解する。 9.Xがアスパラギン酸またはポリアスパラギン酸であり、Yがリシンであ り、そして加熱が温度210から230℃で、12から24時間行われる請求項 8記載のポリペプチド。 10.Xがグルタミン酸であり、Yがリシンであり、そして加熱が温度21 5から225℃で、4時間から8時間行われる請求項8記載のポリペプチド。 11.Xがグルタミン酸であり、Yがリシンであり、そして加熱が温度19 5から205℃で、18から30時間行われる請求項8記載のポリペプチド。 12.ブルーデキストランアッセイによって求められるゲル体積が、少なく とも5である請求項8記載のポリペプチド。 13.ブルーデキストランアッセイによって求められるゲル体積が、少なく とも10である請求項8記載のポリペプチド。
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