JPH08503452A - タキサン類をバッカチン▲iii▼及び10−デアセチルバッカチン▲iii▼に転化する方法 - Google Patents
タキサン類をバッカチン▲iii▼及び10−デアセチルバッカチン▲iii▼に転化する方法Info
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Abstract
(57)【要約】
C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物を含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中で接触させることから成る上記式(II)(式中、R1=HまたはR1=COCH3)の化合物を製造する方法。
Description
【発明の詳細な説明】
タキサン類をバッカチンIII及び10−
デアセチルバッカチンIIIに転化する方法
本国際出願は米国特許第5,202,448号及び米国一部継続出願第07/
986,852号に基づく。
発明の分野
本発明は部分的に精製されたタキサン(taxane)混合物をバッカチン(baccat
in)III又は10−デアセチルバッカチンIIIに転化する方法に関する。具体的に
述べると、本発明はルイス酸の存在下で硼水素化物の還元性塩を使用して10−
デアセチルタキソール、セファロマニン(cephalomannine)、タキソール、その
他のタキサン類を関連バッカチン類に転化する方法に関する。
発明の背景
タキソール(1)
はウエスタン・イチイ(Western Yew)(Taxus brevifolia)に見いだされたジ
テルペノイドである。タキソールは臨床試験で優れた抗癌活性を示した。しかし
、タキソールは供給の少ない天然植物から抽出されるものであるので、それにつ
いて広範な試験を行うことは困難であった。タキサン類を含有する植物の減少を
避けるためにタキソールの全合成が試みられたが、これらの試みはこれまでのと
こ
ろは不成功に終わっている。しかし、バッカチンIII及び10−デアセチルバッ
カチンIII等の他の天然産タキサン類からのタキソールの半合成には重要な進歩
がなされた。バッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIをタキソールに
転化する方法として少なくとも3つの方法が報告されている。
バッカチンIII
の構造にはC−13位に側鎖がない、R1=COCH3であるタキソールの基本ジテル
ペノイド構造がある。10−デアセチルバッカチンIIIの構造はC−10位がR1
=Hであることを除けば上記構造と同様である。しかして、その基本ジテルペン
構造により、バッカチンIII、及び10−デアセチルバッカチンIIIのような他の
関連バッカチン類はタキソールを半合成する場合の重要な出発原材料である。バ
ッカチンIIIと10−デアセチルバッカチンIIIの意義はタキソールの抗癌試験が
更に行われればそれにつれて高まると予想される。かねてから、僅かに修飾され
たC−13側鎖を持つ水溶性のタキソール様化合物が抗癌剤として可溶性が小さ
い天然産タキソールよりも望ましいと思われている。このことはタキソール及び
第二、第三世代のタキソール様化合物を合成する出発原材料としてのバッカチン
III及び10−デアセチルバッカチンIIIについての未解決の需要を増大させるも
のである。
バッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIの現在の供給源はイングリ
ッシュ・イチイ(English Yew)(Taxus baccatta)等の、タキサン類を含有す
る天然植物からの抽出である。これら原材料の供給するものはバッカチンIIIで
ある。10−デアセチルタキソール、その他のタキサン類の10−デアセチルバ
ッカチンIIIへの転化は10−デアセチルバッカチンIIIの供給を増大させる実行
可能な方法である。
ミラー(Miller)は、セファロマニンは重炭酸ナトリウムの存在下におけるメ
タノリシスにより19%の収率でバッカチンIIIに転化されると報告した。ジャ ーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(Journal of Organic Chemistry)
、第46巻、第1469−1474頁(1984年)を参照されたい。純タキソ
ールからはバッカチンIIIが97%の収率で合成されることがマグリス(Magr
is)等により報告された。ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、第
51巻、第3239−3242頁(1986年)の“変性タキソール類、3.バ
ッカチンIIIの合成とアシル化”を参照されたい。マグリス等の方法によるバッ
カチンIIIの合成は次のようにして行われた:乾燥CH2Cl2(2.0 mL)中の純タキ
ソール試料100mgをBu4NBH4(50mg)と1時間反応させ、そしてその反応をA
cOH・0.5mLで停止させた。この混合物を10分間撹拌し、蒸発させ、そして
生成物を分取TLCで単離した。この方法は純タキソールからバッカチンIIIを
97%の収率で与えると報告された。
マグリス等の報文は、また、この同じ反応を純タキソールに代えて未精製のタ
キソール/セファロマニン混合物より成る出発原材料について行うと、バッカチ
ンIIIの収率は低下すると言う結果になることを示した。純タキソールのバッカ
チンIIIへの高収率での転化は純タキソールを利用できる実験室では極めて有用
である。しかし、粗製タキサン混合物(タキソール/セファロマニン、その他の
タキサン類を含有)をバッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIに高収
率で転化する方法の必要が存在する。
イチイ材からのタキソールの商業規模での抽出ではタキソール、10−デアセ
チルタキソール及びセファロマニンを含めて有意量のタキサン類が生成する。こ
れらの混合物は(タキソールの精製中に副生成物として捨てられる)有用なタキ
サン類を含有している。マグリス等の方法は、タキソール、10−デアセチルタ
キソール及びセファロマニンを低い割合で含有する部分的に精製された混合物を
バッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIに転化させるときに特に高
い収率が得られると言う結果は明らかにしていない。
タキソールを商業的な使用のために大規模に処理するに当たって、マグリス等
の収率を達成することに関連したコストは経済的には実行可能でない。マグリス
等の方法では高価な還元性塩である硼水素化テトラブチルアンモニウムが使用さ
れる。更に、この方法は0℃の温度で行われるもので、これは最終生成物に冷却
コストを付加する。ほとんどのタキサン抽出法は若干のタキソール、10−デア
セチルタキソール、セファロマニンと有意量の他の物質を含有する副生成物をも
たらす。従って、限定されるものではないが、タキソール、10−デアセチルタ
キソール及び/又はセファロマニンを含めてタキサン類のこれらの部分的に精製
された混合物をバッカチンIII及び/又は10−デアセチルバッカチンIIIに高収
率で転化する安価な方法の必要が残っている。
発明の概要
本発明の1つの目的はタキサン抽出法の部分的に精製された有機副生成物を1
0−デアセチルバッカチンIIIに転化することである。
本発明の1つの目的はタキサン抽出法の部分的に精製された有機副生成物をバ
ッカチンIIIに転化することである。
本発明のもう1つの目的は選択されたタキサン類をバッカチンIIIに転化する
方法を提供することである。
本発明の更に他の目的はバッカチンIIIを室温で高収率で製造する簡単な方法
を提供することである。
本発明の更に他の目的は10−デアセチルバッカチンIIIを室温で製造する簡
単な方法を提供することである。
本発明の更に他の目的はタキソール、セファロマニン、10−デアセチルタキ
ソール、その他の物質の部分的に精製された混合物をバッカチンIII又は10−
デアセチルバッカチンIIIに転化する安価な方法を提供することである。
この発明は、C−13位にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化
合物を含有する混合物を反応溶媒中、ルイス酸の存在下で少なくとも1種の硼水
素化物の還元性塩と接触させることによるバッカチンIII及び/又は10−デア
セチルバッカチンIIIの製造法を提供する。バッカチンIIIを得ようとする場合、
この混合物がタキソールを15〜50重量%含有するならば、好ましい反応溶媒
はテトラヒドロフラン(非極性のドナー溶媒)である。この混合物がタキソール
を50重量%含有するとき、好ましい反応溶媒はジクロロメタンである。この混
合物が15重量%未満のタキソールを含有するならば、反応溶媒はグライム(gl
yme)、ジグライム(diglyme)、トリグライム(triglyme)又はそれらに代えて
THFの群から選ばれる。好ましいルイス酸は塩化錫(II)又は塩化コバルト(
II)等の金属ハロゲン化物である。
この発明は、更に、C−13位にエステル結合を有する少なくとも1種のタキ
サン化合物成分を含有する混合物を溶媒として芳香族炭化水素、好ましくはトル
エンを用いて硼水素化物の還元性塩と接触させることによるバッカチンIIIの製
造法を提供する。更に、この発明はタキソールとC−13位にエステル結合を有
する少なくとも1種の他のタキサン化合物を含有する混合物を反応溶媒中で硼水
素化物の還元性塩と接触させることによるバッカチンIIIの製造法であって、上
記混合物中のタキソールがバッカチンIIIに転化されない上記の方法を提供する
。
上記のように、本発明は、C−13位にエステル結合を有する少なくとも1種
のタキサン化合物を含有する混合物を反応溶媒中、ルイス酸の存在下で少なくと
も1種の硼水素化物の還元性塩と接触させることによってバッカチンIIIのみな
らず10−デアセチルバッカチンIIIも製造する方法を提供するものである。1
0−デアセチルバッカチンIIIを製造するための好ましい反応溶媒はテトラヒド
ロフラン(非極性のドナー溶媒)である。トリグライムは10−デアセチルタキ
ソールの約3分の1を10−デアセチルバッカチンIIIに転化させた。グライム
は塩化コバルトの存在下で10−デアセチルバッカチンIIIを収率21%で与え
た。塩化メチレンは塩化錫の存在下で10−デアセチルバッカチンIIIを収率2
4%でもたらした。好ましいルイス酸は塩化錫(II)又は塩化コバルト(II)等
の金属ハロゲン化物である。
本発明は、更に、C−13位にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサ
ン化合物成分を含有する混合物をトリグライム反応溶媒中で硼水素化物の還元性
塩と接触させることによる10−デアセチルバッカチンIIIの製造法を提供する
。トリグライムの代わりにCH3(OCH2CH2)x OCH3(ただし、xは1〜5の整数に
等
しい)を含めてグライム族の化合物を用いることができるだろう。グライム及び
ジグライムがトリグライムの場合より少ない材料を10−デアセチルバッカチン
IIIに転化させると予想される。
本発明の説明
本発明はタキソール、10−デアセチルタキソール及びセファロマニンを含有
するタキサン類の部分的に精製された混合物をバッカチンIII及び10−デアセ
チルバッカチンIIIに高収率で転化する方法に関する。マグリス等の報文は、彼
等の方法がタキソールとセファロマニンを含有している部分的に精製されたタキ
サン混合物について実施されたことを報告したが、しかしこの混合物からのバッ
カチンIIIの収率は“良好”と報告されているだけであった。マグリス等の報文
は10−デアセチルタキソールを含有するタキサン混合物に対してマグリス等の
方法を使用するいかなる試みも報告しなかった。従って、本発明を比較する基準
として、マグリス等の方法をタキサン類の2つの別個の混合物について実施した
。1つの方法はバッカチンIIIを回収すべく実施され、第二の方法は10−デア
セチルバッカチンIIIを回収すべく実施された。バッカチンIIIに関する第一のマ
グリス等の方法はタキソールを高水準で含有するタキサン類の混合物に対して実
施された。この実験においては、マグリス等の方法をタキソール47%及びセフ
ァロマニン1.0%(HPLCで定量)を含有する部分的に精製された乾燥タキ
サン混合物51mgについて0℃で実施した。この方法は上記材料に対してジクロ
ロメタン中で還元性塩として硼水素化テトラブチルアンモニウムを用いて1時間
行われた。この混合物からのバッカチンIIIの収率は66.0%であった。これ
は有意な収率である。ただし、この収率は純タキソールからのバッカチンIIIの
収率97%よりは実質的に低い。この66%と言う収率が、従って、次のバッカ
チンIIIの例が比較可能な基準となる。
10−デアセチルバッカチンIIIに関するマグリス等の第二の方法は10−デ
アセチルタキソールをタキソール、セファロマニン、バッカチンIII及び10−
デアセチルバッカチンIIIと共に含有するタキサン類の混合物に対して実施され
た。この実験においては、マグリス等の方法をタキソール3.5%、セファロマ
ニン2.3%、10−デアセチルタキソール1.73%及び10−デアセチルバ
ッカチンIII・5.74%(HPLCで定量)を含有する部分的に精製された乾
燥タキサン混合物51mgについて0℃で実施した。この方法はこの材料に対して
ジクロロメタン中で還元性塩として硼水素化テトラブチルアンモニウムを用いて
16時間行われた。この混合物からの10−デアセチルバッカチンIIIの収率は
−375.00%であった。この負の収率は10−デアセチルタキソール1.2
1mgの分解のみならず、出発原材料中の10−デアセチルバッカチンIII・3mg
の分解をも示すものである。これは材料の有意の損失である。この−375.0
0%と言う収率が、従って、次の10−デアセチルバッカチンIIIの例が比較可
能な基準となる。
本発明の好ましい態様は若干のタキサン類を含有する混合物を反応溶媒中で化
学量論量よりは少なく、かつ化学量論量までの量のルイス酸の存在下で硼水素化
物の還元性塩と接触させることを含む。この好ましい方法においては、硼水素化
テトラブチルアンモニウムの使用は高コストと結び付くので硼水素化ナトリウム
が用いられる。この好ましいルイス酸は金属ハロゲン化物のような化合物である
。ルイス酸の使用可能性を調べる試験には2つの段階がある。第一は、ルイス酸
は強い求核試薬と共有結合しているべきであること、第二は、ルイス酸は硼水素
化物と反応してボラン類を生成させるべきではないことである。塩化マグネシウ
ム(これは強い求核試薬と共有結合するとは思われない)を試験したが、10−
デアセチルバッカチンIII又はバッカチンIIIの収率を向上させなかった。SnCl2
及びCoCl2等のより共有結合性の高いルイス酸はバッカチンIII及び10−デアセ
チルバッカチンIIIの収率をマグリス等の方法の基準収率より有意に向上させた
。
本発明の別の態様で使用される硼水素化物の還元性塩、反応溶媒及びルイス酸
のタイプはある種特定の材料を10−デアセチルバッカチンIIIに転化させると
共に、他のタキサン類もバッカチンIIIに転化させる商業的に実行可能な方法を
もたらすように選ばれている。
本発明の諸方法はタキサン混合物から室温で10−デアセチルバッカチンIII
及びバッカチンIIIをマグリス等の方法が0℃で生成させる基準より高い割合で
生成させる。本発明の方法では、部分的に精製されたタキサン類から形成された
出発原材料からのバッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIの収率を向
上させるべく色々な反応溶媒と色々なルイス酸が用いられる。
バッカチンIIIを製造する本発明の諸態様で使用される反応溶媒は出発原材料
中のタキソール水準に基づいて選ばれる。グライム(CH3OCH2CH2OCH3)はタキソ
ールが15%未満の出発原材料中で若干良好に働くが、ただしこの範囲ではテト
ラヒドロフラン(THF)も有用である。反応溶媒としてのTHFはタキソール
の純度が15%乃至45〜50%である出発原材料において好ましい。タキソー
ルの純度が45〜100%である出発原材料では、反応溶媒としてのジクロロメ
タンがバッカチンIIIを大量に生成させる。溶解性の問題はあるけれども、それ
にもかかわらず反応溶媒としてのトルエンは同じ45〜100%のタキソール純
度を有する出発原材料でジクロロメタンより実質的に高い収率でバッカチンIII
をもたらした。
本発明の1番目の態様においては、出発原材料を反応溶媒としてのトルエン及
び還元性硼水素化物塩としての硼水素化テトラブチルアンモニウムと混合するこ
とによってバッカチンIIIが収率76.7%で製造された。出発原材料はタキソ
ール47%、セファロマニン1.0%、その他の物質を含有していた。バッカチ
ンIIIは1週間の反応時間後に0℃において収率76.7%で転化されたのであ
る。バッカチンIIIのこの収率は、この反応においてトルエンが使用されたこと
と関連する、予想され、かつ現実となった溶解性問題にもかかわらず実現された
ものである。
本発明の2番目の態様においては、バッカチンIIIは硼水素化ナトリウムをジ
クロロメタン中でタキソール15.0%及びセファロマニン3.2%を含有する
出発原材料と0℃で接触させることによって製造された。反応16時間後にバッ
カチンIIIはHPLC分析で85.8%の収率で生成した。硼水素化ナトリウム
を使用した場合の硼水素化テトラブチルアンモニウムを使用した場合を越える利
点は、第一に経費の点である。前者のそれは1グラムにつき約$0.11である
が、他方後者のそれは1グラムにつき$1.00である。マグリス等の文献には
純タキソールをバッカチンIIIに転化させるために硼水素化ナトリウムを使用す
ることが記載されるけれども、この硼水素化物の還元性塩はプロパノールと共に
使用され、それはC−7位に所望とされないエピ化をもたらした。マグリス等は
この硼水素化ナトリウムを断念し、ジクロロメタンとの関連で更に高価な硼水素
化テトラブチルアンモニウムを使用して純タキソールからバッカチンIIIを97
%の収率で得たのである。
3番目の態様において、ジクロロメタン中の硼水素化テトラブチルアンモニウ
ムに対する10%(出発原材料中のタキソール基準)の塩化錫の添加は、0℃、
1時間でバッカチンIIIを121.7%の収率でもたらした。それは正に出発原
材料中のセファロマニン及びタキソール以外の材料が開裂してバッカチンIIIを
生成させたと思われる。ある種特定のタキソール化合物が糖、その他の生物学的
物質に結合し、これらがこの方法においてバッカチンIIIに転化されただろうと
推測される。
本発明の4番目の好ましい態様においては、バッカチンIIIは反応溶媒として
グライムを使用してタキソール3.5%及びセファロマニン2.3%を含有する
タキサン混合物の出発原材料を、塩化コバルトのペレット7%を含有する硼水素
化ナトリウム/塩化コバルトペレットと接触させることによって収率72%で製
造された。反応は室温で144時間行われた。
本発明の5番目の別の態様においては、タキサンの割合が同じである出発原材
料を使用するグライム中、塩化錫(0.1%)の存在下における硼水素化ナトリ
ウムとの同様の反応で室温、72時間後に66%と言うバッカチンIIIの収率が
もたらされた。
本発明の6番目の別の態様においては、同じ出発原材料から、THF中、塩化
錫(0.1%)(出発原材料中のタキソール含量基準)の存在下において、硼水
素化ナトリウムにより71%と言うバッカチンIIIの収率がもたらされた。
7番目の態様は硼水素化ナトリウムの還元性塩を使用し、種々の反応溶媒を試
験する方法に由来するものであった。エタノールを使用したときに驚くべき結果
が達成され、しかもこの反応は−30℃で行われた。即ち、この硼水素化物の還
元性塩はセファロマニンと他のある種のタキサン類を選択的に開裂させたが、タ
キソールを開裂させなかったのである。この反応によるバッカチンIIIの収率は
58%であったが、24時間後にもタキソールは100%残っていた。出発原材
料をタキサン類の混合物の存在下でバッカチンIIIに選択的に開裂させるこの反
応の能力は、タキサンの精製、抽出法において顕著な利用性を持つものである。
本発明の8番目の態様においては、出発原材料を反応溶媒としてのテトラヒド
ロフラン(THF)及び硼水素化物の還元性塩としての硼水素化ナトリウムと混
合することによって10−デアセチルバッカチンIIIが収率52%で製造された
。出発原材料はタキソール3.5%、セファロマニン2.3%、10−デアセチ
ルバッカチンIII・0.69%、10−デアセチルタキソール1.3%、その他
の物質を含有していた。72時間後に室温において52%の10−デアセチルバ
ッカチンIIIの収率が達成された。この同じ方法は高割合のタキソールをバッカ
チンIIIに転化させた。
本発明の9番目の態様においては、10−デアセチルバッカチンIII・0.6
9%及び10−デアセチルタキソール1.31%を含有する出発原材料をジクロ
ロメタンと0.1%のSnCl2中で室温において硼水素化ナトリウムと接触させる
ことによって10−デアセチルバッカチンIIIを製造した。反応120時間後に
10−デアセチルバッカチンIIIがHPLC分析で24%の収率で生成した。
10番目の態様においては、反応溶媒のCH3OCH2CH2OCH3(グライム)に7%(
出発原材料中のタキソール基準)の塩化コバルトを加え、硼水素化ナトリウムと
室温において144時間接触させた。この方法で10−デアセチルバッカチンII
Iが収率21%でもたらされた。10−デアセチルバッカチンIIIはまた0.1%
のSnCl2を使用した同様の実験においても低い正の収率で得られた。
本発明の11番目の好ましい態様においては、タキソール3.5%、セファロ
マニン2.3%、10−デアセチルバッカチンIII・0.69%及びデアセチル
タキソール1.3%を含有するタキサン混合物の出発原材料を反応溶媒のCH3(O
CH2CH2)3OCH3(トリグライム)中で硼水素化ナトリウムと接触させることによ
て10−デアセチルバッカチンIIIを37%の収率で製造した。反応は室温で1
44時間行われた。この反応は10−デアセチルタキソールの10−デアセチル
バッカチンIIIへの正の転化を与えるのにルイス酸の添加を要しなかった。事実
、10−デアセチルタキソールはその29%しか使用されなかったが、それでも
10−デアセチルバッカチンIIIには37%の増加があった。それは、正に
10−デアセチルタキソール以外の材料が開裂されて10−デアセチルバッカチ
ンIIIを生成させていると思われる。転化されているこれら他の化合物の具体的
な同定は現時点では達成されていない。
マグリス等の報文に認められるように、バッカチンIIIを形成する際に使用さ
れる硼水素化物類は水素化物イオンをエステルカルボニル基に送ることによって
エステルを還元していると考えられる。この文献は、反応性の硼水素化物の還元
性塩(特に、硼水素化テトラブチルアンモニウムが用いられる場合)がプロトン
系化合物と接触しているときにこれら反応のエステル開裂能の低下に対する解決
法を与えなかった。このことは、部分的に精製されたタキサン出発原材料には水
やアルコール等、種々のプロトン系化合物が見いだされるので、実質的な問題と
なる。これらプロトン系物質のあるものは植物材料(Taxus)中で自然に生成し
、またあるものは種々の抽出、精製工程で加えられる。更に、水酸化物及びアル
コキシドの塩基性イオンも存在し得る。これらの材料は所望とされないエピ化と
開裂を引き起こし、その結果バッカチンIIIの収率が実質的に低下する可能性が
出ると共に、同様に10−デアセチルバッカチンIIIと10−デアセチルタキソ
ールの両者の分解をもたらすと思われる。
出発原材料中のこれら望ましくない化合物の影響を打ち消すために、本発明の
好ましい態様は、反応に対して化学量論量より少なく、かつ化学量論量までのル
イス酸を添加することを含む。金属ハロゲン化物のSnCl2及びCoCl2がこの方法に
おいて特に有用なルイス酸であることが判明した。これら金属ハロゲン化物は酸
素アニオンの存在下において速やかに反応して金属酸化物を形成し、続いて非タ
キサン反応性のCl-アニオンを放出する。かくして、出発原材料の多くの望まし
くない成分は効果的に中和され、硼水素化物を、更に具体的には、混合物中のタ
キサン類と反応させる。
次の非限定的実施例は部分的に精製されたタキサン混合物または精製されたタ
キサン試料からバッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIを製造する特
定の方法を提供するものである。科学的、技術的用語は全てこの技術分野で通常
の技能を有するものが理解している通りの意味を有する。次の実施例においてH
PLCはスペクトラ・フィジックス8800ターナリー・ポンプ(Spectra
Physics 8800 Ternary Pump)、レオダイン(Reodyne)式ハンド・インゼク
ターのスペクトラ・フィジックスSP8780(自動試料採取器)、SP440
0クロムジェット(Chromjet)積分器及びスペクトラ(Spectra)−100(可
変式波長検出器)より成る装置で実施した。1H−NMRスペクトルはバリアン
(Varian)VXRの300S MHz分光器を用いて得た。元素分析はハッフマ
ン・ラボラトリー(Huffman Laboratories)〔コロラド州(Colorado)、ゴール
デン(Golden)〕によって行われた。本発明によって製造されたバッカチンIII
及び10−デアセチルバッカチンIIIを精製する方法は種々知られ、かつ当業者
によって理解されているものであり、従って実施例に与えられた精製法は単に例
として挙げられたものであって、本発明を限定しようとするものではない。例I
(従来の技術)
表Ia
例Iにおける反応条件は次の通りである。
反応溶媒 CH2Cl2
反応温度(℃) 0
反応時間 1時間
還元性塩 硼水素化テトラブチルアンモニウム
添加試薬 なし
47.04%のタキソールと1.04%のセファロマンニンを含む51mgのタ
キサン(出発原料)を25mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下で2.0
mLのジクロロメタン中に攪拌した。その溶液を氷浴中で0℃まで冷却した後、2
5mgの硼水素化テトラブチルアンモニウムを加えた。その混合物を1時間攪拌さ
せてから、反応を0.5mLのAcOHを加えることにより停止させた。
バッカチン(Baccatin) IIIを含む有機溶液を25mL/gの50体積%酢酸/H2
O の中へ注入した。その有機溶液を繰返し混和しない有機溶媒で抽出した。この
場合ジクロロメタンを使った。有機相を採集して無水硫酸ナトリウム上で乾燥さ
せた。有機相を真空で除くと粘稠な油を生成した。その残渣をシリカ上のフラッ
シュクロマトグラフィーにより窒素圧を用いジクロロメタン/5%メタノール
で溶出して精製した。選択された画分を減圧(20mmHg)下で蒸発乾固させた。
乾燥した有機物質をメタノール/H2O (80/20)の15%溶液から再結晶
させて、11.13mgのバッカチンIIIを66.03%の収率で得た。
表Ib
出発原料(mg) 51.000
%タキソール 47.040
タキソール重量(mg) 23.990
%セファロマンニン 1.040
セファロマンニン重量(mg) 0.530
バッカチンIIIの理論収量 16.481
(タキソールからの、mg)
バッカチンIIIの理論収量 0.374
(セファロマンニンからの、mg)
全理論収量(mg) 16.855
バッカチンIIIの実際収量(mg) 11.130
バッカチンIIIの収率% 67.532
(タキソールに関して)
バッカチンIIIの収率% 66.033
(タキソールとセファロマンニンに関して)
残留タキソール(mg) 11.710
消費されたタキソール% 51.189
残留セファロマンニン(mg) 0.000
消費されたセファロマンニン(mg) 100.000
その結果生成したバッカチンIIIは次の特徴を有し、融点およびC31H38O11
についての元素分析(Huffman Laboratories,Golden,Colorado により行なわ
れた)、製品明細事項は以前にバッカチンIIIについて報告されたものに一致し
た。
プロトン磁気共鳴スペクトル(300MHz;重水素化クロロホルム;化学シフ
トppm;結合定数J,Hz):1.11(s,6H),2.06(s,3H),2.25(s,3H),2.2
9(s,3
H),2.31(m,3H),2.57(m,1H),3.88(d,J=6.8,1H),4.15(d,J=8.3
,1H),4.31(d,J=8.3,1H),4.47(m,1H),4.90(t,J=8.1,1H),4.98
(dd;J=8.7,1.2;1H),5.62(d,J=7.1,1H),6.32(s,1H),7.49(t,J=
7.3,2H),7.61(td;J=7.7,1.2;1H),8.11(d,J=7.7,2H).
例 II
例IIにおける反応条件は以下の通りである。
表 II a
反応溶媒 トルエン
反応温度(℃) 0
反応時間 1週間
還元用塩 硼水素化テトラブチルアンモニウム
添加試薬 なし
出発原料は、タキススブレビホリア(Taxusbrevifolia)植物バイオマスから
のタキソールを抽出および精製する過程で採集された部分精製されたタキサンか
ら作られた。その出発原料はHPLCにより47.04%のタキソールと1.0
4%のセファロマンニンを含むと測定された。55mg量の出発原料を2.0mLの
トルエンと共に、磁気攪拌機を取り付けた250mLの丸底フラスコの中で窒素ガ
ス雰囲気の下で混合した。溶解が完了した後、その溶液を0℃に冷やした。硼水
素化テトラブチルアンモニウム(40mg)を加えて、その不均一混合物を攪拌さ
せた。その反応はTLCにより監視され、そして反応の遅いために、この反応は
一週間進行させられた。次の従来の技術の精製手順が用いられた。反応物を1ML
の50%酢酸/H2Oの中へ注ぎ込み、そしてガスの発生が止むまで攪拌させた。
その混合物を次に10mLの水と10mLの混和しない有機溶媒で希釈した。有機相
を3回抽出し、一緒に集め、真空で減量し、そしてジクロロメタン/5%メタノ
ールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。バッカチンIII
を含む画分を蒸発乾固させてから、メタノール/H2O(80:20)から再結晶
させた。13.95mgの収量は76.7%バッカチンIIIの収率を表わした。バ
ッカチンIIIのプロトンNMRと融点は従来文献に報告されている値と一致した
。
表II b
出発原料(mg) 51.000
%タキソール 47.040
タキソール重量(mg) 25.872
%セファロマンニン 1.040
セファロマンニン重量(mg) 0.572
バッカチンIIIの理論収量 17.774
(タキソールからの、mg)
バッカチンIIIの理論収量 0.403
(セファロマンニンからの、mg)
全理論収量(mg) 18.177
バッカチンIIIの実際収量(mg) 13.950
バッカチンIIIの収率% 78.487
(タキソールに関して)
バッカチンIIIの収率% 76.745
(タキソールとセファロマンニンに関して)
残留タキソール(mg) 2.370
消費されたタキソール% 90.840
残留セファロマンニン(mg) 0.249
消費されたセファロマンニン(mg) 56.469
トルエンは、それを無極性溶媒にする約2.3の誘電率を有する。タキソール
抽出工程で得られたタキサン類の部分精製された混合物はしばしば抽出工程の間
にH2Oとアルコールの付加のために極性物質を含む。それ故、当業者は、一部極
性の出発原料をトルエン中に溶解することに伴なう潜在的溶解度の問題のために
、トルエンを選択することをためらったであろう。それ故、トルエンに伴なう溶
解度の問題にも拘わらず、溶媒としてトルエンの使用が、反応を完結まで継続さ
せたとき、76.7%のバッカチンIIIの収率を結果としてもたらしたことは非
常に驚くべきことであった。その結果は基準とした操作手順よりも10%も高い
収
率を示す。同様に他の芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、1,3,5−メチル
ベンゼン、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジ
メチルベンゼン、は潜在的溶解性の問題を有するが、この操作手順においてはト
ルエンの代りにされることもできた。
例 III
例III における反応条件は次の通りである。
表 III a
反応溶媒 CH2Cl2
反応温度(℃) 0
反応時間 16時間
還元性塩 NaBH4
添加試薬 なし
商業的根拠においてタキサン反応における硼水素化テトラブチルアンモニウム
の使用は該硼水素化物の高価のために非常に望ましくない。硼水素化テトラブチ
ルアンモニウムの安価な代替品は硼水素化ナトリウムである。過去において硼水
素化ナトリウムはタキサン反応において回避されていた。何故ならばそれはタキ
ソールをバッカチンIII変換する反応においてイソプロピルアルコールと共に使
用されるとき、ジオール8のような望ましくない生成物、およびC−7ヒドロキ
シル基をエピマー化してバッカチンVを与えるような望ましくない反応がもたら
されたからである。これらの問題を避けるために、硼水素化ナトリウムとイソプ
ロピルアルコール溶媒が、ジクロロメタン中の硼水素化テトラブチルアンモニウ
ムと取り替えられた。
50.2mgのタキサン(出発原料)の乾燥混合物と2.0mLのジクロロメタン
から成る溶液を0℃に冷やした。その溶液を次に4.7mgの硼水素化ナトリウム
と混合した。反応物は0℃で16時間攪拌された。反応においてバッカチンIII
は次に例IおよびIIに示したように従来の方法により精製および採集された。生
成物のプロトンNMRと融点は以前文献に報告されたバッカチンIIIの値に一致
した。
表III b
出発原料(mg) 50.200
%タキソール 15.100
タキソール重量(mg) 7.701
%セファロマンニン 3.180
セファロマンニン重量(mg) 1.622
バッカチンIIIの理論収量 5.290
(タキソールからの、mg)
バッカチンIIIの理論収量(mg) 1.144
(セファロマンニンからの、mg)
全理論収量(mg) 6.434
バッカチンIIIの実際収量(mg) 5.520
バッカチンIIIの収率% 104.338
(タキソールに関して)
バッカチンIIIの収率% 85.792
(タキソールとセファロマンニンに関して)
残留タキソール(mg) 3.560
消費されたタキソール% 53.772
残留セファロマンニン(mg) 0.952
消費されたセファロマンニン% 41.300
例Iにおいて示したMagrisらの手順を高度に精製された出発原料(47%タキ
ソール)を用いて実施して僅かに66%のバッカチンIIIの収率を得た。対照的
に、例IIIの出発原料は僅かに15%のタキソールを含むものであったが、それ
でもバッカチンIIIの収率は85%であった。さらに、望ましからぬ生成物の実
質的な生産は起らなかった。
例 IV
例 IV における反応条件は次の通りである。
表 IV a
反応溶媒 CH2Cl2
反応温度(℃) 0
反応時間 1時間
還元性塩 硼水素化テトラブチルアンモニウム
添加試薬 SnCl2(10%)
50mg量の出発原料(47%タキソールを含む)を2.0mLのジクロロメタン
と共に、磁気攪拌機を取り付けた25mLのフラスコの中で窒素ガス雰囲気の下で
混合した。溶解が完了した後、反応物を氷浴の中で0℃に冷やした。次に2.5
mgの塩化スズ(出発原料のタキソール含量に基づき10モル%)と25mgの硼水
素化テトラブチルアンモニウムを反応物に加えた。反応物を1時間攪拌させてか
ら、次に10−25ml/gの50体積%の酢酸/水溶液の中へ注ぎ込んで反応を
停止させた。その混合物を混和しない有機溶媒で繰返し抽出した。この例で使用
された溶媒はジクロロメタンであった。有機相を集めて真空で減量した。この物
質をジクロロメタン/5%メタノール混合物で溶出するフラッシュクロマトグラ
フィーにより精製した。それらの画分を集めて真空で減量し、メタノール/水か
ら再結晶させた。結果はバッカチンIIIの121.0%の収率であった。採集さ
れたプロトンNMRおよび融点のデータはバッカチンIIIのそれらと一致した。
表 IV b
出発原料(mg) 50.000
%タキソール 47.040
タキソール重量(mg) 23.520
%セファロマンニン 1.040
セファロマンニン重量(mg) 0.520
バッカチンIIIの理論収量 16.158
(タキソールからの、mg)
バッカチンIIIの理論収量 0.367
(セファロマンニンからの、mg)
全理論収量(mg) 16.525
バッカチンIIIの実際収量(mg) 20.110
バッカチンIIIの収率% 124.459
(タキソールに関して)
バッカチンIIIの収率% 121.697
(タキソールとセファロマンニンに関して)
残留タキソール(mg) 7.450
消費されたタキソール% 68.325
残留セファロマンニン(mg) 0.000
消費されたセファロマンニン% 100.000
ジテルペノイド構造を有する種々のタキサンが従来文献に報告されている。セ
ファロマンニンまたはタキソールのC−13側鎖と異なりC−13側鎖を有する
タキサンがタキソール抽出工程から得られた混合物中に存在するだろうことは予
想される。異なるC−13側鎖を有するタキサンの一群は「結合タキサン」であ
る。これらのタキサンは糖類のような生化学分子に付着または「結合」されてい
ると思われる。少なくとも一つの既知の「結合タキサン」はワーキシロシルタキ
ソールである。前記の121%の収率は、出発原料のHPLC分析においてタキ
ソールまたはセファロマンニンであるとは見えないタキサン類の開裂からの結果
である。これらの同定されないタキサン類を開裂させる能力はバッカチンIIIの
収率において非常に望ましい増加を結果として生ぜしめる。
例 V
例Vにおける反応条件は次の通りである。
表 V a
出発原料(sm) 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5%
出発原料中のセファロマンニン 230 mg
出発原料中のセファロマンニン% 2.3%
還元性塩 NaBH4 10:1
添加試薬 SnCl2(0.1%)
タキソール(3.5%)セファロマンニン(2.3%)を含む10gのタキサ
ン(出発原料)を500mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下に200mL
のTHFの中へ攪拌して加えた。その混合物に硼水素化ナトリウムを出発原料に
基づき10:1の化学量論比に、および0.1%の塩化スズ(出発原料中のタキ
ソールのモル%に基づく)を加えた。反応を室温で72時間行わせた。この期間
の後、バッカチンIIIを含む有機溶液を次の方法で精製した。その有機溶液をグ
ラム当り10mLの50体積%酢酸/水の中へ注ぎ込んだ。次にその有機溶液を不
混和性の有機溶媒、この場合THF、で繰返し抽出した。有機相を集めて、無水
硫酸ナトリウムの上で乾燥してから、真空で蒸発させて粘稠な油にした。この油
をジクロロメタン/5%メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーに
より精製した。選択された画分を次に減圧(20mmHg)で蒸発乾固させた。その
乾燥有機物質を次にメタノール/水(80:20)の15%溶液から再結晶させ
た。171mgのバッカチンIIIが71%の収率で回収された。生成物の1HNMR
分析と融点は以前バッカチンIIIについて報告されたものと一致した。
表 V b
反応溶媒 THF
添加物 NaBH4
反応温度C 室温
反応時間 72 時間
バッカチンIIIの理論収量 241 mg
バッカチンIIIの実際収量(hplc) 171 mg
バッカチンIIIの収率 71 %
残留タキソール(hplc) 28 mg
残留タキソール% 8 %
残留セファロマンニン 42 mg
残留セファロマンニン% 18 %
対照的に、例Vに記載したものと同じ手順を同じタキソール/セファロマンニ
ン百分率を有する出発原料30gにより操作した。使用された溶媒はジクロロメ
タン(Magrisらの方法で使用されたように)であった。バッカチンIIIの収率は
、反応の完了を決定するためTLCにより分析すると、僅か36%、260mg(
10gの原料から得られた収率はこれより高い)に過ぎなかった。TLCに基づ
き、ジクロロメタン中の反応は72時間に対して120時間行なわれた。
例 VI
例VIにおける反応条件と出発原料は次の通りである。
表 VI a
出発原料 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5%
出発原料中のセファロマンニン 230 mg
出発原料中のセファロマンニン% 2.3%
還元性塩 NaBH4 10:1
添加試薬 SnCl2(0.1%)
タキソール(3.5%)とセファロマンニン(2.3%)を含む10gのタキ
サン出発原料を丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下に200mLのグライムの
中へ攪拌して加えた。硼水素化ナトリウム(出発原料に基づき10:lの化学量
論比)および(0.1%)塩化スズ(出発原料中のタキソールのモル百分率に基
づく)を反応物に添加した。反応を室温で72時間行なわせた。この期間の後、
バッカチンIIIを含む有機溶液を次の方法により精製した。その有機溶液をグラ
ム当り10−25mLの50体積%酢酸/H2O の中へ注ぎ込んだ。次にその有機溶
液を不混和性の有機溶媒、この場合グライム、で繰返し抽出した。有機相を集め
て、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥してから、真空で蒸発させて粘稠な油にした
。この油をジクロロメタン/5%メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラ
フィーにより精製した。選択された画分を次に減圧(20mmHg)で蒸発乾固させ
た。その乾燥有機物質を次にメタノール/水(80:20)の15%溶液中で再
結晶させた。159mgのバッカチンIIIが66%の収率で回収された。生成物の1
HNMR分析と融点はバッカチンIIIについて以前に文献に報告された値と一致
した。
表 VI b
反応溶媒 グライム
添加物 NaBH4
反応温度C 室温
反応時間 72 時間
バッカチンIIIの理論収量 241 mg
バッカチンIIIの実際収量(hplc) 159 mg
バッカチンIIIの収率% 66 %
残留タキソール(hplc) 19 mg
残留タキソール% 5 %
残留セファロマンニン 33 mg
残留セファロマンニン% 14 %
前記例VIと同じ反応がジグライム (高分子量の溶媒) を使用して行なわれ、そ
して52%の収率が得られた。対照的に、同じ反応を塩化スズを用いずトリグラ
イムを使って144時間行なった。この場合、収率は46%であった。再び、対
照に、0℃で行なわれかつ経済的に魅力のない基準のMagrisらの方法は、混合物
が47%タキソールである場合に66%の収率をもたらした。例VIの収率は、僅
かに3.5%タキソールである出発原料からのものである。反応が室温で反応溶
媒としてジクロロメタンを使用して120時間行なわれた場合に気づかれたよう
に、その結果は僅かに53%バッカチンIIIであった。グライムとTHFのよう
な無極性ドナー溶媒をルイス酸の存在で使用することは、ルイス酸の存在でCH2C
l2(無極性、非供与体溶媒)の使用よりも実質的に良好なバッカチンIIIの収率
を部分精製タキサン出発原料(50%以下のタキソールを含む)から結果として
もたらすように見える。
例 VII
例VII における反応条件および出発原料は次の通りである。
表 VII a
出発原料 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5%
出発原料中のセファロマンニン 230 mg
出発原料中のセファロマンニン% 2.3%
還元性塩 NaBH4(ペレット) 10:1
添加試薬 CoCl2 (7%)
タキソール(3.5%)とセファロマンニン(2.3%)を含む10gのタキ
サン出発原料を500mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下で200mLの
グライムの中へ攪拌して加えた。硼水素化ナトリウム(出発原料に基づき10:
1の化学量論比)および7%の塩化コバルト(出発原料中のタキソールのモル百
分率に基づく)をペレットの形で反応に加えた。反応を室温で144時間行なわ
せた。その144時間の後に、バッカチンIIIを含む有機溶液を次の方法により
精製した。反応混合物をグラム当り10mLの50体積%の酢酸/H2Oの中へ注い
だ。その有機溶液を次に不混和性の有機溶媒、この場合グライム、で繰返し抽出
した。有機相を集めて、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥した。その有機相を次に
真空で蒸発させて粘稠な油にした。この油をジクロロメタン/5%メタノールで
溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。選択された画分を次に
減圧(20mmHg)で蒸発乾固させた。その乾燥有機物質を次にメタノール/水(
80:20)の15%溶液中で再結晶させた。174mgのバッカチンIIIが72
%の収率で回収された。生成物のプロトンNMRおよび融点はバッカチンIIIに
ついて以前に報告された文献の値と一致した。
表 VII b
反応溶媒 グライム
添加物 NaBH4 /CoCl2 ペレット
反応温度C 室温
反応時間 144 時間
バッカチンIIIの理論収量 241 mg
バッカチンIIIの実際収量(hplc) 174 mg
バッカチンIIIの収率% 72 %
残留タキソール(hplc) 25 mg
残留タキソール% 7 %
残留セファロマンニン 45 mg
残留セファロマンニン% 20 %
例 VIII
Magrisらは硼水素化ナトリウムとイソプロピルアルコールはバッカチンIII、
バッカチンVおよびジオール8の望ましくない混合物を結果として生じると報告
したけれども、エタノールを溶媒として選択した。下に示すような操作手順がル
イス酸なしでかつエタノールを反応溶媒として行なわれたときに、驚くべき結果
が展開した。その結果は、−30℃において10:1の化学量論量の硼水素化ナ
トリウムはセファロマンニンおよびその他のタキサン類をタキソールを越えて分
裂させたことであった。例VIIIの反応条件および出発原料は次の通りである。
表 VIII a
出発原料(質量) 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5 %
出発原料中のセファロマンニン 230 mg
出発原料中のセファロマンニン% 2.3 %
反応溶媒 エタノール
添加物 NaBH4
反応温度C -30 ℃
反応時間 24 時間
還元性塩 NaBH4 10:l
添加試薬 なし
3.5%のタキソールと2.3%のセファロマンニンを含む10gのタキサン
出発原料を500mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下で200mLのエタ
ノールの中へ攪拌して加えた。その溶液を−30℃まで冷やしてから、10:1
の化学量論比の硼水素化ナトリウムを混合物に加えた。反応物を24時間攪拌さ
せた。その混合物を次にグラム溶液当り10−25mlの50体積%酢酸/H2Oの
中に注ぎ込んだ。その有機溶液を不混和性有機溶媒、この場合ジクロロメタン、
で繰返し抽出した。有機相を集めて、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させ、そし
て真空で蒸発させて粘稠な油にした。この油をジクロロメタン/5%メタノール
で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。選択された画分を次
に減圧(20mmHg)で蒸発乾固させた。その乾燥有機物質を80:20のメタノ
ール/水の15%溶液から再結晶させた。バッカチンIIIの58%収率がHPL
C分析により実現した。HPLC分析はまた、100%の残留タキソールが存在
することも示した。それ故バッカチンIIIの収量はセファロマンニンおよびその
他の非タキソールタキサンから来た。最終生成物の1HNMRと融点は以前にバ
ッカチンIIIについて報告されたものに一致した。
表 VIII b
バッカチンIIIの理論収量 241 mg
バッカチンIIIの実際収量(hplc) 140 mg
バッカチンIIIの収率% 58 %
残留タキソール(hplc) 350 mg
残留タキソール% 100 %
残留セファロマンニン 193 mg
残留セファロマンニン% 84 %
例 IX(従来の技術)
例IXにおける反応条件は次の通りである。
表 IX a
反応溶媒 CH2Cl2
反応温度(℃) 0
反応時間 16 時間
還元性塩 硼水素化テトラブチルアンモニウム
添加試薬 なし
47.04%のタキソール、1.04%のセファロマンニン、1.73%の1
0−デアセチルタキソール、5.7%の10−デアセチルバッカチンIIIを含む
69mgのタキサン(出発原料)を25mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の
下で2.0mLのジクロロメタンの中に攪拌して加えた。氷浴中で溶液を0℃に冷
やした後、25mgの硼水素化テトラブチルアンモニウムを加えた。その混合物を
1時間攪拌させてから、0.5mLのAcOHを加えることにより反応を停止させた。
10−デアセチルバッカチンIIIを含むと推定されるその有機溶液を25mL/
gの50体積%の酢酸/H2Oの中に注ぎ込んだ。その有機溶液を不混和性有機溶
媒で繰返して抽出した。この場合ジクロロメタンが使用された。有機相を集めて
無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させた。その有機相を真空で蒸発させて粘稠な油
を生成した。この残渣をシリカゲル上で窒素圧を用いジクロロメタン/5%メタ
ノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。選択された画
分を減圧(20mmHg)の下で蒸発乾固させた。
乾燥有機物質をメタノール/H2O(80/20)の15%溶液から再結晶させ
た。10−デアセチルバッカチンIIIは生成しなかった。実際上、3mgの10−
デアセチルバッカチンIIIが失なわれ、同様に0.6mgの10−デアセチルタキ
ソールが失なわれた。収率は負(−)の375.00%(マイナス)であった。
この収率は損失物質を考慮に入れている。
表 IX b
出発原料(mg) 69.0
10−デアセチルタキソール% 1.73
10―デアセチルタキソール重量(mg) 1.19
10−デアセチルバッカチンIII% 5.74
10−デアセチルバッカチンIII重量(mg) 3.96
10−デアセチルバッカチンIIIの理論収量(10−デア
セチルタキソールからの、mg) 0.800
10−デアセチルバッカチンIIIの実際の収量(mg) 0.96(-3.00)
10−デアセチルバッカチンIIIの収率%(10−デアセ
チルタキソールに関する) -375.00
残留10−デアセチルタキソール(mg) 0.520
消費された10−デアセチルタキソール% 56.300
例 X
例Xの反応条件は次の通りである。
表 Xa
出発原料(Sm) 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5 %
出発原料中の10−デアセチルタキソール 131 mg
出発原料中の10−デアセチルタキソール% 1.3 %
還元性塩 NaBH4 10:l
添加試薬 SnCl2(0.1%)
タキソール(3.5%)、10−デアセチルタキソール(1.3%)、10−
デアセチルバッカチンIII(0.6%)を含む)10gのタキサン(出発原料)
を500mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下で200mLのTHFの中に
攪拌して加えた。出発原料に基づき10:1の化学量論比の硼水素化ナトリウム
および0.1%の塩化スズ(出発原料中のタキソールのモル%に基づく)を前記
混合物に加えた。反応を室温で72時間行なわせた。この期間の後、バッカチン
IIIと10−デアセチルバッカチンIIIを含む有機溶媒を次の方法で精製した。そ
の有機溶液をグラム当り10mLの50体積%酢酸/H2Oの中に注ぎ込んだ。次に
その有機溶液を不混和性有機溶媒、この場合THF、で繰返し抽出した。有機相
を集め、無水硫酸ナトリウムの上で乾燥させ、そして真空で蒸発させ粘稠な油に
した。この油をジクロロメタン/5%メタノールで溶出するフラッシュクロマト
グラフィーにより精製した。選択された画分を次に減圧(20mmHg)の下で蒸発
乾固させた。乾燥有機物質を次にメタノールから再結晶させた。115mgの10
−デアセチルバッカチンIIIが回収され、52%収率となった。生成物の1HNM
R分析と融点は以前に10−デアセチルバッカチンIIIについて報告されたもの
に一致した。
表 Xb
反応溶媒 THF
添加物 NaBH4
反応温度C 室温
反応時間 72 時間
10−デアセチルバッカチンIIIの理論収量 88 mg
10−デアセチルバッカチンIIIの実際収量(hlpc) 115 mg
10−デアセチルバッカチンIIIの収率% 52 %
残留10−デアセチルタキソール(hplc) 10 mg
変換された10−デアセチルタキソール% 92 %
対照的に、例Xに記載の方法と同じ手順を、同じタキソールと10−デアセチ
ルタキソールの含有百分率を有する10gの出発原料について行なった。使用さ
れた反応溶媒はジクロロメタン(Magrisらの方法に使用されたように)であった
。10−デアセチルバッカチンIIIの収率は、TLCにより分析すると僅かに2
4%、90mgであった(より多量の原料からもたらされたより低い収率)。69
mgの残留10−デアセチルタキソールがあり、47%のデアセチルタキソールが
変換された。TLC分析に基づいて、ジクロロメタン中の反応は、72時間に対
して120時間行なわれた。
結果として生成した10−デアセチルバッカチンIIIは諸特性、融点およびC2 9
H35O10についての元素分析(Huffman Laboratories,Golden,Coloradoによ
りなされた)を測定された。生成物は以前に10−デアセチルバッカチンIIIに
ついて報告されたものに一致した。
プロトン核磁気共鳴スペクトル(300MHz;重水素化クロロホルム;化学シ
フトppm;結合定数J,Hzで):1.10(s,6H),1.74(s,3H),2.06(s,3H)
,2.29(s,3H),2.57(m,1H),4.00(d,J=7.0,1H),4.17(d,J=9.O,1H
),4.20(m,1H),4.32(d,J=9.0,1H),4.80(brt,1H),4.96(dd,J=8.
7,1.2;1H),5.24(s,1H),5.63(d,J=7.0,1H),7.49(t,J=7.32,2H)
,7.62(t,J=7.57,1H),8.11(d,J=7.32,2H).
例 XI
例XIにおける反応条件および出発原料は次の通りである。
表 XI a
出発原料(質量) 10 g
出発原料中のタキソール 350 mg
出発原料中のタキソール% 3.5 %
出発原料中の10−デアセチルタキソール 131 g
出発原料中の10−デアセチルタキソール% 1.3 %
還元性塩 NaBH4(ペレット)10:1
添加試薬 CoCl2(7%)
タキソール(3.5%)およびセファロマンニン(2.3%)を含む10gの
タキサン出発原料を500mLの丸底フラスコの中で窒素ガス雰囲気の下に200
mLのグライムの中に攪拌して加えた。硼水素化ナトリウム(出発原料に基づき1
0:1の化学量論比)および7%塩化コバルト(出発原料中のタキソールのモル
%に基づく)を、ペレットの形で、反応物に加えた。反応を室温で144時間行
なわせた。144時間後、10−デアセチルバッカチンIIIを含む溶液をそれか
ら次の方法で精製した。反応混合物をグラム当り10mLの50体積%酢酸/H2O
の中に注ぎ込んだ。その有機溶液を次に不混和性有機溶媒、この場合グライム、
で繰返し抽出した。有機相を集めてから、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。
有機相を次に真空で蒸発させて粘稠な油にした。その油をジクロロメタン/5%
メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。選択され
た画分を次に減圧(20mmHg)の下で蒸発乾固させた。乾燥有機物質を次にメタ
ノールから再結晶させた。87mgの10−デアセチルバッカチンIIIが回収され
て21%の収率になった。生成物のプロトンNMRおよび融点は10−デアセチ
ルバッカチンIIIについて以前に報告された文献の値に一致した。
表 XI b
反応溶媒 グライム
添加物 NaBH4/CoCl2ペレット
反応温度(℃) 室温
反応時間 144 時間
10−デアセチルバッカチンIIIの理論収量 88 mg
10−デアセチルバッカチンIIIの実際収量(pchl) 87 mg
10−デアセチルバッカチンIIIの収率% 21 %
残留10−デアセチルタキソール(hplc) 41 mg
変換された10−デアセチルタキソール% 69 %
どのルイス酸が好収量の10−デアセチルバッカチンIIIまたはバッカチンIII
を不完全精製のタキソールの混合物から生成物させるかを、不適切な実験なしで
決定するためには、次の二段階の試験を分析しなければならない。第一に、その
ルイス酸は強い求核性種、例えば、酸素陰イオン、と共有結合を作ることができ
なくてはならない。従って、塩化マグネシウムは特に好ましいルイス酸ではなか
ろう。第二に、そのルイス酸は硼水素化物還元性塩と反応してボラン(即ち、B2
H6)を形成してはならない。強い求核試薬と共有結合することができかつボラン
を生成する反応をしないルイス酸は本発明において使用されることができる。例
えば、SbCl3、ZnCl2、CuCl2、PbCl2、GeCl2、SnBr2、SnI2、およびCoBr2は前記
二段階試験の下で選択されるルイス酸であるだろう。
種々の実験は、10−デアセチルバッカチンIIIまたはバッカチンIIIの大規模
製造を行なうには0.1%より多いルイス酸を必要するだろうことを示す。さら
に、大量の出発原料が使用されるときには、反応をTLCにより密接に監視する
こと、および分裂反応が容易に起り得るように混合物がよく攪拌されていること
を確信できることが極めて重要である。
本発明は、不完全精製のタキサン混合物をバッカチンIII並びに10−デアセ
チルバッカチンに変換するために新しい高収率の方法を開示する。これらの方法
は結果として、当業者に既知の方法によりさらに精製を加えられた後に本質的に
純粋になるバッカチンIII及び10−デアセチルバッカチンIIIの高収率をもたら
す。結果として生じる化学種の特性評価は、その生成物の構造がバッカチンIII
または10−デアセチルバッカチンIIIであることを確認する。バッカチンIIIと
10−デアセチルバッカチンIIIの好収率に加えて、これらの方法は商業的に実
施可能であり、低コストで、そして室温で行なわれる。硼水素化ナトリウムおよ
び硼水素化テトラブチルアンモニウム以外の硼水素化物還元性塩の使用、および
その他のルイス酸の使用が本発明により予期される。
従って、本発明はこれまである程度の綿密さを本発明の方法に指向してきた。
しかし、本発明は、その修正または変更がここに含まれた発明概念から逸脱する
ことなしに本発明の方法に対してなされ得るように、従来の技術に照らして解さ
れる次の請求事項により定義されることは理解されるべきである。本発明が特定
的に記載したものの他にも実施されても良いことが理解される。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1993年12月28日
【補正内容】
請 求 の 範 囲
1.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物を
含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中でルイス酸の存
在で接触させることから成る式(I)
の化合物を製造する方法。
2.室温から−30℃までの範囲の温度で行なわれる請求項1に記載の方法。
3.硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項1に記載の方法。
4.硼水素化物還元性塩は硼水素化テトラブチルアンモニウムである請求項1
に記載の方法。
5.反応溶媒はCH3OCH2CH2OCH2,CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3,CH3OCH2CH2OCH2CH2
OCH2CH2OCH3,から成る群より選択される請求項1に記載の方法。
6.反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項1に記載の方法。
7.反応溶媒はジクロロメタンである請求項1に記載の方法。
8.該混合物は少なくとも15%−50%の、タキサノールであるタキサン類
を含みかつ反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項1に記載の方法。
9.該混合物は50重量%より多い、タキサノールであるタキサン類を含みか
つ反応溶媒はジクロロメタンである請求項1に記載の方法。
10.該混合物は15重量%未満の、タキサノールであるタキサン類を含みかつ
溶媒はCH3OCH2CH2OCH3,CH3O(CH2CH2O)CH3,CH3O(CH2CH2O)3CH3,から成る群よ
り選択される請求項1に記載の方法。
11.ルイス酸はハロゲン化金属である請求項1に記載の方法。
12.ハロゲン化金属は塩化スズである請求項11に記載の方法。
13.ハロゲン化金属は塩化コバルトである請求項12に記載の方法。
14.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物成
分を含む混合物を硼水素化物還元性塩と芳香族炭化水素中で接触させることから
成る式(I)
の化合物を製造する方法。
15.該芳香族炭化水素はトルエンである請求項14に記載の方法。
16.該硼水素化物還元性塩は硼水素化テトラブチルアンモニウムである請求項
14に記載の方法。
17.該方法は0℃の温度で実施される請求項14に記載の方法。
18.タキソールであるタキサン化合物と少なくとも1種の、タキソールでない
C−13の位置にエステル結合を有する他のタキサン化合物の混合物を硼水素化
物還元性塩と反応溶媒中で接触させることから成る式(I)
の化合物を製造する方法において、混合物中のタキソールであるタキサン化合物
は上記の定義のような式(I)に変換されないことを特徴とする式(I)の化合物
を製造する方法。
19.還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項18に記載の方法。
20.反応溶媒はエタノールである請求項19に記載の方法。
21.−30℃の温度で実施される請求項20に記載の方法。
22.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物を
含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中でルイス酸の存
在で接触させることから成る式(II)
の化合物を製造する方法。
23.硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項22に記載の方法
。
24.反応溶媒はCH3(OCH2CH2)x OCH3(式中、xは1から5までの整数である)
より選択される請求項22に記載の方法。
25.反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項22に記載の方法。
26.反応溶媒はジクロロメタンである請求項22に記載の方法。
27.ルイス酸はハロゲン化金属である請求項22に記載の方法。
28.ハロゲン化金属は塩化スズである請求項27に記載の方法。
29.ハロゲン化金属は塩化コバルトである請求項27に記載の方法。
30.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物成
分を含む混合物と硼水素化物還元性塩をトリグライム中で接触させることから成
る式(II)
の化合物を製造する方法。
31.該硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項30に記載の方
法。
32.該方法は22°−27℃の温度で実施される請求項30に記載の方法。
33.C−13の位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物
を含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中でルイス酸の
存在で接触させることから成る式
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,FI,HU,J
P,KR,NO,NZ
(72)発明者 エウォルド,ハーニタ エイ.
アメリカ合衆国 80203 コロラド州デン
バー,ナンバー 920,イー.セブンティ
ーンス アベニュー 300
(72)発明者 ヘンダーソン,ドニア エル.
アメリカ合衆国 80304 コロラド州ボウ
ルダー,ナンバー 595,ナインティーン
ス ストリート 4500
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物を 含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中でルイス酸の存 在で接触させることから成る式(1) の化合物を製造する方法。 2.室温から−30℃までの範囲の温度で行なわれる請求項1に記載の方法。 3.硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項1に記載の方法。 4.硼水素化物還元性塩は硼水素化テトラブチルアンモニウムである請求項1 に記載の方法。 5.反応溶媒はCH3OCH2CH2OCH2,CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3,CH3OCH2CH2OCH2CH2 OCH2CH2OCH3,から成る群より選択される請求項1に記載の方法。 6.反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項1に記載の方法。 7.反応溶媒はジクロロメタンである請求項1に記載の方法。 8.該混合物は少なくとも15%−50%の、タキサノールであるタキサン類 を含みかつ反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項1に記載の方法。 9.該混合物は50重量%より多い、タキサノールであるタキサン類を含みか つ反応溶媒はジクロロメタンである請求項1に記載の方法。 10.該混合物は15重量%未満の、タキサノールであるタキサン類を含みかつ 溶媒はCH3OCH2CH2OCH3,CH3O(CH2CH2O)CH3,CH3O(CH2CH2O)3CH3,から成る群よ り選択される請求項1に記載の方法。 11.ルイス酸はハロゲン化金属である請求項1に記載の方法。 12.ハロゲン化金属は塩化スズである請求項11に記載の方法。 13.ハロゲン化金属は塩化コバルトである請求項12に記載の方法。 14.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物成 分を含む混合物を硼水素化物還元性塩と芳香族炭化水素中で接触させることから 成る式(1) の化合物を製造する方法。 15.該芳香族炭化水素はトルエンである請求項14に記載の方法。 16.該硼水素化物還元性塩は硼水素化テトラブチルアンモニウムである請求項 14に記載の方法。 17.該方法は0℃の温度で実施される請求項14に記載の方法。 18.タキソールであるタキサン化合物と少なくとも1種の、タキソールでない C−13の位置にエステル結合を有する他のタキサン化合物の混合物を硼水素化 物還元性塩と反応溶媒中で接触させることから成る式(I) の化合物を製造する方法において、混合物中のタキソールであるタキサン化合物 は上記の定義のような式(I) に変換されないことを特徴とする式(I) の化合物 を製造する方法。 19.還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項18に記載の方法。 20.反応溶媒はエタノールである請求項19に記載の方法。 21.−30℃の温度で実施される請求項20に記載の方法。 22.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物を 含む混合物を少なくとも1種の硼水素化物還元性塩と反応溶媒中でルイス酸の存 在で接触させることから成る式(II) の化合物を製造する方法。 23.硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項22に記載の方法 。 24.反応溶媒はCH3(OCH2CH2)x OCH3(式中、xは1から5までの整数である )より選択される請求項22に記載の方法。 25.反応溶媒はテトラヒドロフランである請求項22に記載の方法。 26.反応溶媒はジクロロメタンである請求項22に記載の方法。 27.ルイス酸はハロゲン化金属である請求項22に記載の方法。 28.ハロゲン化金属は塩化スズである請求項27に記載の方法。 29.ハロゲン化金属は塩化コバルトである請求項27に記載の方法。 30.C−13位置にエステル結合を有する少なくとも1種のタキサン化合物成 分を含む混合物と硼水素化物還元性塩をトリグライム中で接触させることから成 る式(II) の化合物を製造する方法。 31.該硼水素化物還元性塩は硼水素化ナトリウムである請求項30に記載の方 法。 32.該方法は22゜−27℃の温度で実施される請求項30に記載の方法。
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