JPH08501799A - アレルゲン特異的IgAモノクローナル抗体及びアレルギー治療のための関連物質 - Google Patents

アレルゲン特異的IgAモノクローナル抗体及びアレルギー治療のための関連物質

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JPH08501799A JP6515422A JP51542294A JPH08501799A JP H08501799 A JPH08501799 A JP H08501799A JP 6515422 A JP6515422 A JP 6515422A JP 51542294 A JP51542294 A JP 51542294A JP H08501799 A JPH08501799 A JP H08501799A
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Abstract

(57)【要約】 ブタクサ、家庭塵ダニ及び猫や犬のフケに含まれる主なアレルギー性タンパク質に特異的なヒトモノクローナルIgA又はIgG抗体を必須成分として含む医薬製剤が開示されている。また、生理学的な適合性を有するポリマーバックボーン又はマイクロビーズと、共有結合により結合された複数のアレルゲン特異的結合分子とを含む結合体も開示されている。適当な結合分子は、上述したようなアレルギー性タンパク質に特異的なIgG若しくはIgA又はそれらのF(ab')2断片、Fab断片若しくはFv断片であり得る。また、患者が感作されているアレルギー性分子に対して特異的な抗体又は結合体を含む医薬製剤を、鼻腔内表面、気管又は目のような、影響を受けている粘膜組織に対して投与することによる、アレルギー性鼻炎、喘息又は結膜炎を治療する方法も開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】 アレルゲン特異的IgAモノクローナル抗体及びアレルギー治療のための関連物 質 発明の分野 本発明は、アレルゲン特異的IgA及びIgGモノクローナル抗体並びに関連 物質並びに診断、アレルゲンの精製及びIgE媒介アレルギーの治療のための用 途に関する。 発明の背景 免疫グロブリンE(IgE)は1型過敏症の主な原因物質である。この型の過 敏症は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息及びアレルギー性結膜炎のような 多くの一般的な疾病症状として現れる。IgE媒介アレルギー患者における1型 過敏症のメカニズムは、アレルゲン特異的IgEが合成されるという事実に起因 する。IgEは血液中を循環し、循環液中の好塩基球上及び種々の組織中のマス ト細胞上にある高親和性IgEFcレセプター(FcεRI)に結合する。アレ ルゲンは吸入、接種又は経皮的に体内に侵入する。アレルゲン分子は、マスト細 胞及び好塩基球の表面上のIgEの結合部位(Fab)に結合し、その下のFc εRIを凝集させ、ヒスタミン及び他の薬理学的媒介物質の放出を引き起こし、 周知のアレルギー徴候を引き起こす。 局所的IgE媒介アレルギー反応に最もさらされやすい組織は鼻腔内表面(ア レルギー性鼻炎患者において)、気管内粘膜(アレルギー性喘息の患者において )及び目の血膜の粘膜表面(アレルギー性結膜炎の患者において)である。この 局所的感受性は、アレルゲンが吸入により気管を通して鼻腔内表面及び気管の粘 膜表面に捕獲されることに起因する。目及び耳もまた、アレルゲンの侵入にさら されやすく局所的アレルギー反応を起こしやすい。空気中に含まれるアレルゲン が目又は耳の湿った表面に接触し、粘膜組織により保持される。 マスト細胞は、外部環境にさらされる粘膜組織に多く存在する。粘膜上皮細胞 により吸収され、これらの細胞を通って間質に輸送されたアレルゲンは、循環液 中に入る前にマスト細胞上のIgEに結合する。 IgEは、不快で時々非常に重く命さえ脅かし得るが、体内に存在するIgE の量はごく僅かである。血清中のIgE濃度は、健常人よりもアトピー患者の方 が一般的に高いが、ほとんどのヒトにおいて体内のIgEの総量は1mg未満で あると見積もられる。従って、IgEにより媒介される免疫機構並びにマスト細 胞及び好塩基球の感作は、鋭敏な生物学的系であり、重大なアレルギー反応を誘 起するのにごく僅かの抗原/アレルゲンしか必要とされない。例えば、ハチの毒 に対して非常に敏感な人では、アレルギー性タンパク質はHymenoptera毒液中の マイナーな化学成分でしかないが、ハチの一刺しがアナフィラクティクショク又 は死さえ引き起こす。あるいは、例えば、少数の花粉粒子又は動物のフケ粒子は 、鼻腔内表面及び気管におけるアレルギー反応を引き起こすことができる。 通常の状態では、人の体内に侵入するアレルゲンは純粋な形態にはない。吸入 される花粉粒子、家塵ダニ及び動物のフケ中のアレルギー性分子は、粒子全体の 中では比較的マイナーな成分である。例えば、塵ダニ(Dermatophagoides ptero nyssinus)が多数住み着いている家財の主なアレルギー性タンパクである抗原P1 (Der p I)は、1グラムの塵中に約10〜20μg含まれる。Lau-Schadendor f,S.et al.,J.Allergy Clini.Immunol.87:41-47(1991)。アレルギー性 タンパク質は、ダニの糞便中に含まれるシステインプロテアーゼである。 診断や免疫治療に用いられるアレルギー性物質は、ほとんどの場合、草又は木 の花粉、家塵及び猫や犬のフケのようなアレルギー性物質の抽出物である。これ らの抽出物は粗雑であるので、世界保健機構のインターナショナル・ユニオン・ オブ・イムノロジカル・ソサエティは、アレルゲンの生産、包装及び予備試験の 標準を監督するアレルゲン標準化サブ委員会を設立した。多くのアレルギー性物 質にとって、標準試験は抽出物中の主なアレルギー性タンパク質を定量するため の分析である。 過去数年間、増大するアレルギー性物質から主なアレルギー性タンパク質を同 定し精製するより一層の努力が払われている。例えば、犬のフケから主なアレル ゲンCan f I(抗原13)が精製された。De Groot H.,et al.,Allergy Clin. Immunol.87:1056-1065(1991)。数ケ所のアカデミックな実験室では、抗原と して精製アレルゲンタンパク質を用いた、アレルゲン特異的IgE及びIgGの ための免疫化学的分析を提供している。Hamilton,R.G.及びAdkinson,Jr., N.f.in Manual of Clinical Laboratory Immunology,eds.Rose,N.r.et al. ,pp.689-701,4th ed.,American Society of Microbiology,Washington,D.C .(1992);Hamilton,R.G.及びAdkinso,Jr.,N.F.ibid.,pp.702-708。こ れらの精製アレルゲンタンパク質及びヒトアレルゲン特異的IgGのための免疫 化学的分析法の確立は、アレルゲンに特異的なB細胞クローン及びモノクローナ ル抗体の同定に有用である。 より最近、数種類の主なアレルギー性タンパク質をコードする遺伝子がクロー ニングされた。例えば、主なダニ抗原Der p IのcDNA(Chua,K.Y.et al., J.Exp.Med.167:175-182(1988))及び猫の唾液中の主なアレルゲンFel d I .(Morgenstrn,J.P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:9690-9694 (1991)がクローニングされている。これらの遺伝子のクローニングにより、そ れらの発現及び組換えタンパク質の生産が可能になった。 アレルゲン特異的IgEの生産がIgE媒介過敏症の主たる決定因子であるが 、これが唯一の因子ではない。アレルゲンにさらされてはいるが感作されていな い人は、該アレルゲンに特異的なIgGを生産することが知られている。これら のアレルゲン特異的IgGは、防護的なブロッキング抗体として作用するものと 信じられる。IgAに欠陥のある人達はIgE媒介アレルギーを起こしやすい。 このことは、気管の粘膜表面に分泌されたIgAが、捕獲されたアレルゲン粒子 又は分子を中和又はブロックし、組織内への侵入を阻害することを示唆している 。 広く用いられている脱感作免疫治療においては、患者は、長期間にわたり少量 のアレルゲンにより免疫される。患者の半数では、徴候を緩和するためにこの治 療が有効であるが、この作用のメカニズムはよくわかっていない。1つの仮説と して、治療によりIgGブロッキング抗体が誘起されるということが考えられる 。なぜなら、これらの効果体の濃度は、治療を受けている患者体内で高くなって いるからである。 アレルギーの治療はこの80年間ほとんど変わっていない。脱感作免疫治療は 、アレルギー性鼻炎患者にとっての主な治療法である。免疫活性を抑制するステ ロイドのような免疫抑制剤及びα−アルブテロールのような気管支拡張剤を用い た治療がアレルギー性喘息患者の主な治療法である。医学の進歩は、アレルギー 性 物質の分類の改良、患者のアレルゲンプロフィールを決定するための診断方法の 改良及び免疫治療のためのアレルゲン抽出物の管理及びライブラリーの拡張に限 定されてきた。研究サイドでは、アレルギー性物質中の主なアレルゲン分子成分 の同定及び単離に進歩があった。例えば、ブタクサ(秋の花粉症における最も重 要なアレルゲン)、家塵ダニ(アレルギー性喘息を引き起こす最も重要なアレル ゲン)及び猫や犬のフケや唾液中の主なタンパク質成分が同呈され単離されてい る。数種類の主なアレルゲンをコードする遺伝子もまたクローニングされている 。 細胞融合又はエプスタイン−バールウイルス(EBV)による形質転換を用い たヒトB細胞の不死化方法の開発により、目的の抗原特異性を有するヒトモノク ローナル抗体を同定することが可能になった。ヒトVH及びVLライブラリーを含 む組換えファージの構築、結合VH/VLの発現、及び抗原特異性を有する発現し た抗体断片のスクリーニングのより最近の開発により、目的の抗体種を同定する 強力な道具が加わった。さらに、遺伝子トランスフェクション及びミエローマ又 は他のセルライン中での抗体遺伝子の発現の改良により、ヒトモノクローナル抗 体を大量に生産することが可能になった。アレルギー治療のためにアレルゲン特 異的抗体を用いることは、有望で実行可能であると思われる。 発明の概要 本発明は、アレルゲン特異的IgA及びIgG、好ましくはモノクローナルI gA又はIgG、より好ましくはヒトモノクローナルIgA及びIgG、並びに 、これらの抗体を用いてアレルギー性分子が粘膜組織に侵入することを阻害する (「免疫排除」)ことによる、アレルギー性鼻炎、アレルギー性(外因性)喘息 及びアレルギー性結膜炎のようなIgE媒介アレルギー性疾患の治療を行う、上 記抗体の用途を包含する。IgAは粘液中のプロテアーゼによるタンパク分解に 対して抵抗性がより高いので、IgAがより好ましい。本発明はまた、ポリマバ ックボーン又はマイクロビーズに結合された、アレルゲン特異的IgA若しくは IgG又はF(ab')2、Fab若しくはFvのような上記抗体の抗原結合性断片をも包含 する。これらのポリマは非アレルギー性で無毒であり、適切に修飾することによ り多くの抗体分子を結合させることが可能である。適当なポリマの例としてデキ ストラン、アガロース及びセルロースを挙げることができる。好ましいマ イクロビーズはこれらのポリマーを架橋することにより製造することができる。 ポリマとの結合体は、結合していない抗体又はその断片と比較して、粘膜上皮細 胞によって吸収されにくく、また、粘膜の分泌物により洗い流されにくいのでよ り好ましい。 アレルゲン特異的IgA若しくはIgG又はそれらの関連構築物は、当該アレ ルゲンに対してアレルギー性の患者の粘膜組織に対して医薬溶液又は懸濁液の形 態で投与される。該溶液又は懸濁液は、水、保存剤、界面活性剤及び他の標準的 な成分を含むことができる。抗体は吸入された粒子から放出されるアレルギー性 タンパク質(又は標的となる他の分子)に結合する。この結合により、アレルゲ ンが粘膜上皮組織細胞により吸収されることが防止され、従って、アレルギー性 徴候が阻害される。 アレルゲン特異的IgA若しくはIgG又はそれらの関連構築物の好ましい医 薬製剤は、これらと生理学的緩衝液を含むものであり、これらは滴下器による投 与に適している。治療を行うべき鼻腔、目又は耳あたり約1〜2滴が投与される 。該溶液中の活性成分の濃度は、1mlあたり20ないし1000μg、すなわ ち1滴当たり約1〜50μgである。 活性成分はまた、気管の一番下の粘膜に届くように、計量目盛り付き吸入器に より投与される溶液の形態に製剤することも好ましい。濃度は上記と同様な範囲 であり、溶液は2〜4時間毎に投与することができる。この場合、所望ならば消 炎剤と共に投与してもよい。 アレルゲンIgA若しくはIgG又はこれらのポリマ若しくはマイクロビーズ との結合体はアレルギー性物質の製造にも用いることができる。アレルギー性物 質は、診断、及び脱感作免疫治療に用いることができる。本発明のアレルゲン特 異的物質をアフィニティカラム上に吸着させ、ブタクサ、家庭塵及び犬や猫のフ ケのようなアレルギー性物質の粗抽出物から特異的アレルゲンを精製するために 用いることができる。精製されたアレルゲンは、診断用途、すなわち、ある患者 がその特定のアレルゲンに対してアレルギーであるか否かを調べること、及び脱 感作免疫治療において、粗抽出物よりも良い抗原である。精製されたアレルゲン 特異的IgA及びIgG並びにそれらの結合体はまた、患者中のアレルゲン特異 的抗体の濃度を調べる診断分析における標準物質として用いることもできる。こ の分析は、その患者に脱感作免疫治療が有効であるか否かを決定するため、及び 該治療が成功しつつあるか否かを決定するために有用である。 本発明の物質が典型的に標的とするアレルゲンは、短ブタクサ(Ambrosia ela tor)中の主なアレルゲンであるAmb a I、家庭塵ダニ種(Dermatophagoides pte ronyssinus及びDermatophagoides farinae)からの主なアレルゲンであるDerp I 及びDer f I、家猫の唾液からの主なアレルゲンであるFel d I、家畜犬(Canis familiaris)のフケからの主なアレルゲンであるCan f Iを包含する。 これらのアレルゲンは、好ましくはモノクローナル抗体の標的とされる。モノ クローナル抗体は、当該アレルゲンに対して正常な感受性を有する患者又は当該 アレルゲンによる脱感作免疫治療を受けている患者からのB細胞により生産され る。これらのドナーからのB細胞は、NSO又はSp2/O細胞のようなミエロ ーマ細胞と融合することにより、又はEBVで形質転換することにより不死化さ れる。これらの不死化セルラインにより分泌される抗体は、ELISA又は同等 な免疫化学的分析により、目的のアレルゲンに対する特異的反応性がスクリーニ ングされる。抗体断片のVH及びVLもまた、後述する結合VH/VLライブラリー 発現及びスクリーニング方法により同定することができる。 本発明のIgA抗体を製造するために、所望の特異性を有する抗体のVH領域 をコードする領域を含むゲノムDNA断片が、ヒトα鎖の定常領域(CH1、C H2及びCH3)をコードする領域を含むゲノムDNA断片と連結される。VL のゲノム性DNA断片は、ヒトκ又はλ鎖のゲノムDNA断片と連結される。得 られた組換えDNA種を適当なプラスミドに導入し、これを用いてNSO又はS p2/Oのような非生産性ミエローマセルラインの細胞をトランスフェクトする 。上記複合DNA断片の構築、該DNAによる受容セルラインのトランスフェク ション及びアレルゲン/抗原に対して特異的なモノクローナルIgA抗体を生産 しているトランスフェクタントをスクリーニングするための方法は、キメラ抗体 を産生するトランスフェクトーマセルラインの調製方法と類似しており、周知で ある。 発明の詳細な説明 環境中に存在するアレルギー性分子の量及び生体中に存在するIgEの量が少 ないことから、アレルギー性分子が粘膜組織内に侵入することを防止又はブロッ クする特異的抗体を用いた治療は、少量の抗体を用いても有効に行えることが示 唆される。もっとも、アレルギー性分子は、これが粘膜組織内に入ることがうま く阻害されるように、アレルゲン特異的抗体と接触可能でなければならない。ア レルギー性タンパク質は、一旦粒子から放出されれば水溶液及び粘液に可溶であ る。粘膜は、粒子の内容物を消化し緩めることを助けるであろう加水分解酵素の 宿主を含む。いずれにせよ、粘膜上皮は、花粉やダニ粒子の全体を吸収するので はなく、これらから放出された可溶性のアレルギー性分子がアレルギー反応を引 き起こすことが推測される。 花粉粒子や家塵粒子が重大なアレルギー性タンパク質を粘液中に分泌するとい う仮説は容易に試験することができる。例えば、集めた家塵をインビトロで鼻の 分泌粘液と一緒に、種々の時間(1分〜30分)インキュベートする。次いでこ の混合物を遠心して粒子をペレット化する。上清中のDer p Iタンパク質の含量 を、Der p Iの標準的な免疫化学的分析(後述)により測定する。この濃度が高 いほど、本発明の治療がより有効であろう。 上記のように、アレルギーのヒトはアレルゲン物質に対するIgEを作るが、 このようなアレルゲン特異的IgEの濃度は極めて低い。従って、アレルゲン特 異的IgA又はIgG抗体を作るために、アレルゲン特異的IgEを発現するB 細胞クローンを単離し、VH及びVL遺伝子領域を単離し、これらの領域をIgA 又はIgGモノクローナル抗体の構築に用いることができる。また、キメラ抗体 を作るための従来の技術を用いることもできる。 しかしながら、アレルギー患者中のアレルゲン特異的IgEの濃度が低いので 、アレルゲン特異的IgEを産生するB細胞を単離することは困難である。しか しながら、上記のように、あるアレルギー性タンパク質により感作されている患 者は、アレルゲン特異的IgEのみならずアレルゲン特異的IgGも合成する。 アレルゲン特異的IgGの濃度はアレルゲン特異的IgEの濃度よりもはるかに 高い。Ishizaka,K.in A11ergy+ Principles and Practice,eds.Middleton, Jr.,E.,et al.,pp.52-70,3rd ed.,The C.V.Mosby Co.,St.Louis(1988 )。 Hamilton,R.G.及びAdkinson,Jr.N.F.により、Manual of Clinical Laborator y Immunology,eds.Rose,N.R.et al.,pp.702-708,4th ed.American Socie ty of Microbiology,Washington,D.C.(1992)において報告されているよう に、アレルゲンで繰り返し免疫されている、脱感作免疫治療を受けた患者中のア レルゲン特異的IgG濃度は、非免疫患者中のアレルゲン特異的IgG濃度より もはるかに高い。従って、アレルゲンで免疫されている患者は、アレルゲン特異 的IgGを産生するB細胞クローン及び/又は抗体遺伝子を単離するためのリン パ球を提供する論理的な供給源である。 アレルゲン特異的IgG産生B細胞クローンの実際的な供給源の1つは、ある アレルゲンに対して感受性を有し、該アレルゲンにより免疫されたことがある又 は免疫されつつある患者である。これらの患者は、彼らを治療しているアレルギ スト/医師により特定することができる。免疫による改善の程度は、その患者が 当該アレルゲン/免疫原に対するかなりの免疫応答を起こしたことを示している 。これらの患者中のアレルゲン特異的IgGの濃度は、アレルゲン特異的IgG のための分析方法を用いることにより定量することができる。Hamilton,R.G.及 びAdkinson,Jr.N.F.、Manual of Clinical Laboratory Immunology,eds.Ros e,N.R.et al.,pp.702-708,4th ed.American Society of Microbiology,Wa shington,D.C.(1992)参照。これらの患者からの末梢血は、それからアレル ゲン特異的IgGのVH及びVLをコードする遺伝子を単離することができる、ア レルゲン特異的IgG産生B細胞の供給源として用いることができる。 EBV形質転換若しくはミエローマ細胞(NSO細胞のような)との融合又は これらの組合せによるヒトB細胞の不死化のための確立された方法は、不死化細 胞を作るために用いることができる。B細胞クローンを作るためのEBV形質転 換方法は、最近、ステップ・バイ・ステップ形式にまとめられた。Tosato,G., Current Protocols in Immunology,eds.Coligan,J.E.et al.,§7.22.1,Jo hn Wiley and Sons,new York(1991)。同様に、ネズミ科動物又はヒトリンパ 球に対して用いることができる、ハイブリドーマを調製するためのステップ・バ イ・ステップ形式の操作方法はYokoyama,W.M.ibid.at §2.5に記載されてい る。これらの方法はまた、所望の抗原特異性を有する抗体を分泌している不死化 B細胞クローンをスクリーニングする方法、B細胞クローンの連続的サブクロー ニング及び抗体の生産のための方法をも記載している。実施例2には、アレルゲ ン特異的IgG及びIgAの検出及び測定のための酵素結合免疫吸着分析(EL ISA)の設計及び使用が記載されている。 アレルゲン特異的抗体をコードする遺伝子を同定し単離する別の方法としては 、「VH/VL結合ライブラリー」法を採用する方法がある。先ず、ドナーの末梢 血からB細胞を単離する。V領域の5’末端をカバーする縮重オリゴヌクレオチ ドプライマーを用いたポリメラーゼチェインリアクション(PCR)法によりVH 及びVLライブラリーを個々に調製する。次いで、VH断片及びVL断片が共に発 現されて抗体結合領域を形成するように、これら両断片を1つの発現ベクターに 組み込む。 ユニークなスクリーニング方法を用いる数種類の発現系が開発されている。バ クテリオファージλベクター中で結合VH/VLライブラリーを発現させ、これを 大腸菌コロニーの溶解物中にFab断片の形で表す方法が詳細に記載された。Ba rbas,C.F.及びLearner,R.A.,Methods:Companion Methods Enzymol.2:119- 124(1991)。抗原結合アフィニティマトリックスにより単離することができる VH/VLを、糸状ファージfdの表面上に発現させる方法がMcCafferty J.et a l.によりNature 348:552-554(1990)に記載された。 吸入された又は接触するアレルゲンを排除する生物学的効果を達成するために は、アレルゲン特異的IgAもIgGも良く機能する。しかしながら、粘膜表面 いおいてはIgAが主なアイソタイプであるので、粘膜に適用するための好まし いアレルゲン特異的抗体はIgAアイソタイプである。アレルゲン特異的IgG 抗体のVH及びVLのゲノムDNA断片を制限酵素を用いてクローニングする方法 、これらの断片をヒトα及びκ(又はλ)のゲノムDNA領域と連結する方法、 NSO又はSP2/Oのような非生産ミエローマ細胞に上記DNAをトランスフ ェクトする方法、アレルゲン特異的IgAを分泌するトランスフェクタントをス クリーニングする方法、及び安定な分泌者を選抜するための連続的クローニング 方法は、キメラ抗体を分泌するトランスフェクトーマを調製する方法と同様にし て行うことができる。これらの方法は、種々の研究者により詳細に記載されて おり、この分野において周知である。Morrison,S.L.et al.,Proc.Natl.Aca d.Sci U.S.A.81:6851-6855(1984);Liou,R.S.et al.,J.Immunol.143 :3967-3975(1989)参照。 IgAはモノマーの形態でもダイマーの形態でも存在する。循環液中のIgA はほとんどモノマーであり、一方、粘膜及び他の外部液中に分泌されるIgAは ほとんどダイマーである。ダイマーの形態は、さらにJ鎖(15000ダルトン )及び分泌成分(70000ダルトン)を有し、これらは両方ともIgA分子の α鎖に共有結合により結合されている。J鎖はIgAを生産する細胞と同一の細 胞により生産され、2個のIgAモノマー分子の間を架橋する。分泌成分は上皮 細胞により合成され、IgA−J鎖ダイマーが粘膜の上皮細胞を通過する間に、 IgA−J鎖ダイマーのFc領域に結合する。ダイマー性IgAはモノマー性I gAよりも粘液中で安定であるので、生体内での治療用途のためにはIgAダイ マーを用いることが好ましい。 ダイマー形態のIgAを製造するためには、組換えα及びκ(又はλ)鎖のた めの遺伝子と共にJ鎖をコードする遺伝子でもミエローマ宿主細胞をトランスフ ェクトしなければならない。そうすると、宿主細胞はダイマー性IgAを生産す るであろう。 モノマー性又はダイマー性ヒトモノクローナルIgA抗体は、おそらく粘膜表 面に導入することができる外来性抗体分子としては最もネイティブであり最も良 く許容できるものである。これらの分子は「免疫排除」機能を達成し、アレルギ ー性分子が粘膜組織に侵入することを防ぐものと予想される。外来性アレルギー 性分子とIgAにより形成される複合体は粘膜上皮細胞により吸収されないとい う性質を免疫系は進化により獲得した。鼻腔内表面上の免疫複合物は、鼻腔を通 した粘液排泄物が外に向って排除されるので、これにより排泄される。気管及び 気管支の気道上の免疫複合物及び他の吸入粒子は、口の中に排除されるであろう 。口に入った粘液は、唾液と混合され、嚥下され、胃腸管により消化されるであ ろう。 粘膜表面上の粘液からアレルギー性分子をよりよく吸着し排除し、複合化した アレルゲンが粘膜上皮細胞によって吸収されることを防止するために、アレルゲ ン特異的IgA又はF(ab')2、Fab若しくはFvのようなその抗原結合性部位をポリ マバックボーン又はマイクロビーズに結合することができる。アレルゲン特異的 IgG及びその断片もまたこのような結合体に用いることができる。好ましいポ リマはデキストラン、アガロース、セルロース及び、不活性で、非アレルギー性 で非免疫原性であることが知られている他のポリマ物質を包含する。化学的修飾 により活性部位を生成させると、ポリマバックボーンは多数の抗体分子を結合す るための部位を提供することができる。マイクロビーズは好ましくは0.1〜1 0μmの直径を有し、上記ポリマから成る。これらのマイクロビーズの懸濁液は 静かに振盪することにより均一にすることができるので、影響を受けた粘膜組織 に適用するのに好ましい。 アレルゲン特異的モノクローナル抗体を投与する形態は数種類の因子に依存す る。アレルゲン特異的製剤が適当か否かを決定するために、その特定のアレルゲ ンがその患者にとっての主なアレルギー誘起分子であるか否かを診断する必要が ある。患者が数種類のアレルギー性分子に対して感受性である場合には、これら のアレルゲンの1つずつに対してそれぞれ特異的な複数のIgAモノクローナル 抗体を含む製剤を用いることもできる。 上述のように、ほとんどの場合、粘膜表面に入るアレルゲンの量は極めて僅か である。しかしながら、分泌粘液は粘膜組織により定常的に排出される。このこ とから、アレルゲン特異的免疫グロブリン(IgA又はIgG)を含む溶液又は 懸濁液は、少量でよいが頻繁に投与すべきであることが示唆される。鼻腔内表面 、目又は耳に対する個々の適用において、鼻腔、目又は耳当たり1〜50μgの 免疫グロブリンで十分であると見積もられる。各患者の鼻又は目からの分泌の速 さに応じて、製剤を約2時間ないし6時間毎に投与することができる。アレルギ ー性喘息に関与する粘膜表面の面積ははるかに大きいので、喘息治療のためにこ れらの表面に適用される免疫グロブリンは、より多くの量が必要であろう。 製剤は、鼻腔内表面、目及び耳に対して、滴下器、好ましくは、鼻腔、目及び 耳に対して1〜2滴を配給することができる滴下器により投与することができる 。免疫グロブリンの濃度は20ないし1000μg/mlである。溶液は2〜5 mlのビンに入れて冷蔵庫中で保存できる。一旦開封すると、そのビンは1週間 以 内に使用するべきである。喘息治療のためには、ほぼ同濃度のアレルゲン特異的 免疫グロブリンを含む溶液又は懸濁液を、計量目盛り付き吸入器を用いて気道の 下部に投与することができる。 アレルゲン特異的IgA及びIgG並びにそれらのポリマ及びマイクロビーズ との結合体はまた、純粋で安全なアレルギー性物質の製造に用いることができる 。製造されるアレルギー性物質は種々の診断分析及び脱感作免疫治療に用いるこ とができる。アレルゲン特異的抗体は、ブタクサ、草及び木の花粉、猫や犬のフ ケのようなアレルギー性物質の粗抽出物からの、原因となる特異的アレルゲンを 精製するためのアフィニティカラム上へ吸着することができる。精製されたアレ ルゲンはアレルゲン抽出物を作るために用いることができる。精製されたアレル ゲンは診断分析及び脱感作免疫治療のためには粗抽出物よりも良い抗原である。 精製されたアレルゲン特異的IgA及びIgGはまた、免疫治療を受けている患 者の体内のアレルゲン特異的抗体を測定するための診断分析における標準として 用いることもできる。これらの分析は免疫治療の有効性をモニタする上で有用で ある。 実施例1:Der p Iに対して特異的なIgGを産生する血液ドナーの選択 家庭塵ダニに対して高い感受性を有する患者及びダニ抽出物による脱感作免疫 治療を受けた又は受けている患者は、アレルギークリニック、例えば、Thomas R .Woehler博士により経営される、テキサス州、ヒューストンにあるテキサスア レルギー喘息免疫学アソシエーツにおいて特定することができる。患者の血液サ ンプルの研究を行うためのプロトコールは、このクリニックを監督するインステ ィチューショナル・レビュー・ボードにより容認されている。患者からの血清が Der p Iに対して特異的なIgGを含むか否かの試験は、例えばDer p I特異的I gG分析を日常的に行っている、ジョン・ホプキンス・ユニバシティ・オブ・メ ディシン(メリーランド州ボルチモア)のレファレンス・ラボラトリ・フォア・ ダーマトロジー、アレルギー・アンド・クリニカル・イムノロジーにおいて行わ れるであろう。血清中のDer p I 異的IgGはまた、下記実施例2に記載したE LISAを用いて調べられる。 Der p I 特異的IgGの血清力価の高い患者を血液ドナーーとしてリクルート されるであろう。血液は、抗原特異的免疫グロブリン産生B細胞クローンを単離 するために用いられるであろう。 実施例2:Der p l 特異的IgG及びIgAのためのELISAの確立 オーストラリア国パークビルのコモンウェルス・シーラム・ラボラトリーズか ら購入した家ダニの試料から、ルーチンなPCR法によりDer p I のcDNAが クローニングされる。このcDNAの配列は出版されており、当業者に知られて いる。Chua, K.Y. et al., J. Exp. Med. 167: 175-182 (1988)。PCRのため のオリゴヌクレオチドプライマーの配列は、利用できるcDNA配列から容易に 設計することができる。数種類の市販のシステムの1つを用いることにより、c DNAを大量に発現させることができる。好ましい発現系は、昆虫のウイルスで あるバキュロウイルス (Autographa californica) の核多面体タンパク質遺伝子 から誘導された発現ベクターを用いる系である。このウイルスは、Sprodoptera frugiperdaからの昆虫細胞であるsf9細胞中で増殖させることができる。Luck ow,V.A.及びSummers, M.D. Virology 167:31 (1989)。この発現系は便利なキッ トにパッケージされており(商品名「Max Bac Baculovirus Express System」 ) 、インビトロジェン社(カリフォルニア州サンジエゴ)から市販されている。 十分な量のDer p I が調製された後、精製されたタンパク質は不死化B細胞ク ローン又はトランスフェクトーマの培養上清中のヒトIgG又はIgAを検出す 分析するELISAのための固相抗原として用いられるであろう。ELISAの 好ましい態様では、ビオチン標識抗ヒトIgGヤギIgG及び抗ヒトIgAヤギ IgG並びにセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合アビジンが用いられる。Harl ow, E. and Lane, D. Antibodies: A Laboratory Manual. pp.553-612,Cold Spr ing Harbor Laboratory (1988)。ELISAはまた、ヒト血清中のDerp I特異的 IgGを定量するために用いることもできる。 実施例3:Amb a I 特異的IgAの調製 1.患者末梢血リンパ球からのセルラインの確立 ブタクサ抽出物を包含するアレルゲンで免疫化されていた15人の患者から合 計16の血液試料を採取した。精製した末梢血リンパ球を先ずEBVによる形質 転換により不死化し、次いでマウスミエローマセルライン653と融合した。得 られたクローンからの培養上清は、プラスチックコートAmb a I タンパク質(Gr eer Laboratoryにより95%の純度に調製されたもの)及びセイヨウワサビペル オキシダーゼ結合抗ヒトIgG (Fc) ヤギ抗体を用いたELISAによりスク リーニングした。合計13のセルラインを増殖させ、サブクローニングによりさ らに特徴付けした。Amb a1特異的IgG4,κ抗体を分泌している単一の細胞サ ブクローンAL 16-5.2 を、組換えDNA技術によるIgA1へのクラス変更のた めに選んだ。 2.Al 16-5.2 のH鎖及びL鎖遣伝子のクローニング Al 16-5.2 細胞から全RNAを調製し、オリゴdTプライマーを用いて第1鎖 cDNAを調製した。該第1鎖cDNAを鋳型とし、5’及び3’κL鎖プライ マー(表1)を用いてPCRを行ったところ、予想したサイズの増幅バンドが得 られた。この増幅されたDNA断片を含む数種類のサブクローンのDNA配列を 決定した。このヌクレオチド配列及びその推定アミノ酸配列が配列番号1に示さ れている。 ヒトH鎖V遺伝子のリーダー領域又はフレームワーク領域から誘導されたオリ ゴヌクレオチドプライマーのセットを5’プライマーとして用い、ヒトCγ領域 から誘導されたオリゴヌクレオチドを3’プライマーとして用いてPCRを行う と、VHとして予想されるサイズのDNA断片は増幅されなかった。 AL 16-5.2 細胞のVH遺伝子を以下のようにしてアンコールド (anchored) P CRによりクローン化した。オリゴNotI-CG1(表1)をプライマーとして用いて AL16-5.2 の二本鎖cDNAを調製した。アニールしたアダプター(表1)をc DNAの5’末端及び3’末端の両方に加えた。3’からC領域までのアダプタ ーはNotI消化により除去した。消化物を鋳型とし、アダプタープライマーを 5’プライマーとし、CG2を3’プライマーとして(表1)PCRを行った。 次いでオリゴANCを5’プライマーとし、CG3を3’プライマーとして、反 応混合物について2回目のPCRを行った。500bpないし650bpの長さ のDNA断片を精製し、puc19にサブクローニングした。コロニーをγ−32 P標識オリゴCG4プローブ(表1)とハイブリダイズした。完全長cDNA 挿入物を含む陽性クローンのDNA配列を分析した。4種類のオリゴヌクレオチ ドNotI-CG1、CG2、CG3及びCG4は全て4種類のヒトIgGサブクラスの コンセンサス領域から誘導されたものであった。該VH遺伝子のヌクレオチド配 列及びその推定アミノ酸配列を配列番号2に示す。 AL 16-5.2の推定L鎖配列をヒトV領域配列と比較することにより、AL 16-5.2 のL鎖はヒトVKIIIサブグループに属することが示される。AL 16-5.2 H鎖配列 は、これがヒトVHIIIサブグループに属することを示している。 3.発現ベクターの構築 免疫グロブリンプロモーター、エンハンサーエレメント及び高生産ネズミ科動 物ハイブリドーマTB102細胞のH鎖部位から誘導されたリーダー配列を含む TB102ホローベクターにAL 16-5.2 のVK遺伝子を挿入した。ヒトCK領域及 びneo遺伝子を含むベクターに、プロモーター、エンハンサー及びTB102 H鎖部位のリーダー並びにAL 16-5.2 のVK遺伝子のコード領域を含むDNA断 片をクローニングし、κL鎖発現プラスミドpSV neo 16-5.2 VK-hCKを得た。同 様に、ヒトCγ1領域及びgpt遺伝子を含むベクター中にAL 16-5.2 のVH遺 伝子のコード配列及びTB102のフランキング配列を含むDNA断片をクロー ニングし、γH鎖発現プラスミドpSV2 gpt 16-5.2VH-h Cγ1を得た。 4.Amba1結合IgAを分泌するセルラインの生成 κL鎖及びγH鎖の発現ベクターの両方の直線化したプラスミドDNAをエレ クトロポレーションによりマウスミエローマNSO細胞に導入した。トランスフ ェクトした細胞は、κ及びγ鎖プラスミドDNAの取り込みを行うために、0. 15mg/mlのG418、0.1μg/mlのミコフェノール酸及び50μg /mlのキサンチンを含む培地中で増殖した。プラスチックコートAmb a1及びセ イヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgAヤギ抗体を用いたELISAに より、トランスフェクタントの培養上清中にAmb a1結合IgAが生産されている か否かを調べた。数種類のセルラインからの培養上清が、さらなる分析のための 精製IgAの調製に用いられるであろう。 表1 (A)L鎖及び(B)H鎖クローニングのための合成オリゴヌクレオチド プライマーの設計 なお、用語、表現及び実施例は例示のためのみであって限定的なものではなく 、当業者はここに記載した本発明の特定の具体例の多くの均等物を認識し、また ルーチンな実験を行うことにより確かめることができるであろう。このような全 ての均等物は下記請求の範囲に含まれることを意図する。 配列表 配列番号:1 配列の長さ:325 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:2 配列の長さ:376 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:3 配列の長さ:35 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:4 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:5 配列の長さ:16 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:6 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:7 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:9 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 配列番号:10 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/08 9358−4B // C12N 15/09 ZNA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AU,BB,BG,BR,CA,FI, HU,JP,KP,KR,LK,LU,MG,MN,M W,NO,PL,RO,SD

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.粘膜組織への投与に適した、アレルゲン特異的IgAの医薬懸濁液又は溶液 。 2.前記アレルゲンはAmb a I、Der p I、Der f I、Can f I又はFel d Iである 請求項1記載の医薬懸濁液又は溶液。 3.水及び保存料をさらに含む請求項1記載の医薬懸濁液又は溶液。 4.界面活性剤をさらに含む請求項3記載の医薬懸濁液又は溶液。 5.ポリマバックボーンと、共有結合により結合された複数のアレルゲン特異的 結合分子を含む結合体。 6.前記ポリマはデキストラン、アガロース又はセルロースである請求項5記載 の結合体。 7.前記アレルゲン結合分子はアレルゲン特異的IgA若しくはIgG又はこれ らのF(ab')2断片、Fab断片若しくはFv断片である請求項5記載の結合体。 8.前記アレルゲンは、Amb a I、Der p I、Der f I、Can f I又はFel d Iであ る請求項5記載の結合体。 9.ポリマバックボーンと、共有結合により結合された複数のアレルゲン特異的 結合分子を含む医薬製剤。 10.水、界面活性剤及び保存料をさらに含む請求項9記載の医薬製剤。
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