JPH08500415A - 傾斜軸受パッドを有する傾斜パッド型可変形状軸受およびその製造方法 - Google Patents

傾斜軸受パッドを有する傾斜パッド型可変形状軸受およびその製造方法

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JPH08500415A JP5519553A JP51955393A JPH08500415A JP H08500415 A JPH08500415 A JP H08500415A JP 5519553 A JP5519553 A JP 5519553A JP 51955393 A JP51955393 A JP 51955393A JP H08500415 A JPH08500415 A JP H08500415A
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Abstract

(57)【要約】 よりコストのかかる傾斜パッド型軸受の機能および性能を模する1部材の流体力学的軸受である。パッドは、1またはそれ以上のビーム状部材を含むことができる支持構造上の枢動のための単純な薄状ウエブに支持される。上記支持構造は、好ましくは主支持構造と、2次支持構造と、3次支持構造とを含む。上記ビームは、ねじりモードにおける変形またはねじれによってパッドの変形を許容する。上記軸受パッド支持構造は、流体減衰される部分を含むことができる。上記軸受は、軸パッド間の空間または支持構造内に潤滑剤吸収および開放材料を設けることによって自己潤滑型に形成することができる。上記軸受は、プラスチック、セラミック、粉状顆粒金属、複合物および金属を含む種々の材料で作成することができる。上記軸受は、2分割のカムのない金型を用いた単純な成形法、射出成形法、鋳造法、粉状金属ダイキャスティング法、押し出し形成法、放電加工法、またはレーザ加工法によって製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】傾斜軸受パッドを有する傾斜パッド型可変形状軸受およびその製造方法 「発明の分野」 本願発明は、軸と供給流体とを有する装置内に用いるための安定耐振動流体フ ィルム・ジャーナル軸受に関する。 「発明の背景」 本願発明は、流体力学的流体フィルム軸受に関する。このような軸受において は、軸のような回転する対象物がオイル、空気、あるいは水のような圧力上昇さ せられる流体を介して、静止状の軸受パッドによって支持される。このような流 体力学的軸受は、回転する対象物が動くとき、上記流体の頂部に沿って摺動しな いという事実による利点がある。そのかわり、上記回転する対象物と接触状態に ある上記の流体は、上記回転する対象物に対して粘性付着しており、上記流体の 全体高さにわたって流体分子間の滑りあるいはせん断力によって動きが伴わされ る。したがって、上記回転する対象物および上記流体の接触層が公知の速度で運 動すると、上記流体の厚み方向中間部での速度は、公知の比率によって次第に減 少し、やがて静止状軸受パッドに対して接触する流体が上記軸受パッドに粘着し て運動のない状態となる。軸受が回転する対象物を支持することによる荷重によ って、上記軸受パッドは上記回転する部材に対してわずかな角度で変形させられ 、上記流体は楔状をした開口部内に引き込まれ、上記荷重を支持するに十分な圧 力が流体フィルム内に生成させられる。このような事実は、船舶の流体タービン およびプロペラ軸用のスラスト軸受、ならびに、従前の流体力学的ジャーナル軸 受において利用されている。 スラスト軸受と、ラジアルあるいはジャーナル軸受の双方は、通常、軸心周り に間隔配置された軸支持パッドによって特性を与えられる。スラスト軸受とジャ ーナル軸受のいずれについても、上記パッドがその周りに間隔配置される軸線は 、支持されるべき軸の長手軸線と大略において一致する。このような軸線は、主 軸線と呼ぶことができる。 理想的な流体力学的軸受においては、流体力学的楔は、軸受パッド表面全体に わたって延び、流体フィルムは荷重を支持するにちょうど十分な厚みとなり、軸 受の主軸線と軸の軸線とが位置合わせされ、先行縁と後続縁とに隣接する軸受パ ッド表面の端部からの流体漏出が最小限となり、軸が回転を始めるとすぐに上記 流体フィルムが生成され、かつ、スラスト軸受の場合には、各軸受パッドに対す る荷重が均等となる。理想的な流体力学的軸受はいまだ達成されてはいないが、 上記の目的のそれぞれを実質的に達成する軸受は、流体力学的楔形態を最適化す るように設計されるべきであると言われている。 本願発明は、時には移動可能なパッド型軸受としても知られている流体力学的 軸受およびこれを作製する方法に関するものである。一般的に、このような軸受 は、相対的に動く部分の間に潤滑剤の楔状フィルムが形成されうるようにこのこ の軸受が変形することができるような手法によって取り付けられる。余分な流体 は、望ましくない摩擦と出力損失を引き起こすので、流体厚みは、好ましくは最 大荷重を支持するうえでちょうど十分なものとするべきである。このことは、上 記楔の形態が最適化されている場合においても当てはまる。本質的に、上記パッ ドは、このパッド表面の前方に位置する中心周りの枢動あるいは揺動をもって変 位し、かつ、軸受摩擦が上記楔を広げようとする。上記楔の形態が最適化される と、上記楔は、上記パッド面全体にわたって延びるようになる。さらに、上記楔 が可能な限り低速において、理想的には軸が回転を始めるとすぐに形成される。 いわゆる傾斜パッド型のラジアル軸受は、その類稀な安定性特性のゆえに、最 大の回転体動力学的安定性が求められる機械装置用として最も一般的に指定され る設計形状をもつ。上記傾斜パッド型ラジアル軸受が、高安定な軸受設計を追求 する場合に他のラジアル軸受を評価するための基準となっている。このような傾 斜パッド型軸受の流行は、初期組み込み用として、および、販売後の交換用とし ての双方について多くの応用が産業において見出されることによって証拠づけら れる。応用の範囲はターボチャージャやコンプレッサのような小型高速機械から 蒸気タービンや発電機のような非常に大きな装置までにわたっている。高い回転 体動力学的安定性は、パッドがその個々の枢動点周りに自由に傾斜する場合にお こる複合(Cross-coupled)剛性の低減によって得られる。このことは、伝統的 な固定幾何形状軸受が装備された装置において破壊的な分数周波振動を誘発する 不安定化剪断オイルフィルム力を減少させる。非常に多くの機械装置がこのよう なタイプの軸受誘発による不安定性の影響を受けやすいため、良質の傾斜パッド 型軸受が強く望まれる。 多くの変形部分と製造公差のために、この傾斜パッドの設計はまた最も複雑で あり、かつジャーナル軸受形状全体としての製造が困難である。また軸受を造り あげるために要求される高度に機械加工される部品の数において上記設計の複雑 さが明らかである。シェル、枢動部、およびパッドの組立て体において隙間公差 がさらに必要であり、許容しうるラジアル方向の軸隙間を生み出すべく、高度な 製造上の精度が求められる。高いラジアル荷重のもとでのパッド枢動摩擦はまた 、早期の磨耗、あるいは疲労破壊さえ引き起こし、これが隙間を広げかつ回転体 動力学的にアンバランスな応答を増大させる。これらの要件の全てが傾斜パッド 型軸受のひとつを製造する場合に複合し、設計、製造および材料に最大限の注意 が求められる。 厳密な許容公差の必要性それ自体は、公知のラジアルパッド型軸受においても 明らかである。なぜなら、流体力学的楔を形成するべく軸受パッドの適正な変形 を許容するように軸受と支持対象回転物との間に正確に規定された隙間を設ける ことが必要であると考えられてきたからである。厳密な許容公差の要件は、ガス 潤滑軸受の製造において特に厄介である。ガス潤滑軸受についての他の問題は、 高速における流体フィルムの喪失である。このような問題は、ガス潤滑型流体力 学的軸受の使用を制限してきた。 さらに、軸が中心に維持されることが必須である応用において用いることがで きる流体力学的ラジアル軸受の必要がなお存在する。現状において、軸がラジア ル方向のエンベロープ内で浮動することが許されない応用においては、たとえば 、機械的シールにおいては、回転要素軸受が用いられる。回転要素型の軸受にお いては、軸のセンタリングは問題ではない。なぜなら、軸はハウジングに対して 固 体接触することにより効果的に保持されるからである。しかしながら、伝統的な 流体力学的軸受においては、軸はラジアルエンベロープとして知られる空隙を介 してハウジングから離脱させられるとともに、作動においてこの軸は流体フィル ム上に支持される。このように、伝統的な流体力学的軸受においては、軸と軸受 表面との間の空隙のために、軸の中心は、作動中浮動傾向をもつ。たとえば機械 的シールの場合、このような軸の動きは、機械的シールの機能を無くしてしまう 「軸消耗(Shaft run-out)」として知られる問題を引き起こす。普通に用いら れる傾斜パッド型軸受に対する代替品もまたこれまでに提案されてきた。 このような企ての焦点は、より複雑な傾斜パッド型軸受の性能に匹敵する簡単 な軸受構造を提供しようとすることであった。たとえば、「潤滑・その原理と実 際(Lubrication: lts Principles and Practice)」の180−181ページにおいて 、ミッシェルはパッドが環状部材上に弾性的に枢動可能に支持されて一体部品を 構成している多パッド型軸受について検討している。パッドを支持するネック部 の周方向の寸法が上記ネック部のラジアル方向寸法の少なくとも2倍の寸法とな っているために、上記文献に示された設計は、きわめて剛なものである。 トランプラー氏に対する米国特許第3,107,955号明細書には、パッド 表面の前方に位置する中心周りの枢動あるいは揺動をもって変位するビーム支持 された軸受パッドを持つ軸受の一例が開示されている。この軸受は、多くの従来 技術の軸受のように、二次元モデルのパッドの変形にのみ基づいたものである。 したがって、最適な楔形態が達成されない。 ホール氏に対する米国特許第2,137,487号明細書には、流体力学的に 変形可能なパッド型軸受が示されており、この軸受は、球面に沿ってそのパッド が摺動することにより、流体力学的楔が形成されるようになされる。多くの場合 に、パッドは固定されてしまい、かつ、対応する楔が形成されえない。グリーン 氏に対する米国特許第3,930,691号明細書では、汚染および劣化の対象 となるエラストマによる揺動が提案されている。 エトシオン氏に対する米国特許第4,099,799号明細書では、一体性の ない片持ち部材で支持された弾性パッド型ガス軸受が開示されている。この軸受 には、パッド表面と回転軸との間に潤滑楔を生成するために、矩形の片持ちビー ム上に支持されたパッドが用いられている。 アイドに対する米国特許第4,496,251号明細書には、相対的に運動す る部材間に潤滑剤の楔状フィルムが形成されるようにウェプ状帯状部をもって変 形するパッドが示されている。三つの間隔をあけられた帯状部が用いられている ために、必然的に変形容易性が制限され、かつ単純な傾斜動が妨げられる。 米国特許第4,515,486号明細書には、多数の軸受パッドを含み、その それぞれがエラストメリックな材料によって分離されるとともに、互いに接着さ れた表面部材と支持部材とを持つ流体力学的スラストおよびジャーナル軸受が開 示されている。 米国特許第4,526,482号明細書には、主として、潤滑手法の応用を意 図した流体力学的軸受が開示されている。すなわち、この軸受は、流体内で作動 するように設計されている。この流体力学的軸受には、荷重担持表面に中央部分 が設けられており、この中央部分は軸受のその他の部分よりもより変形容易とな っており、これが荷重のもとで変形して、高荷重を担持するべく流体の圧力ポケ ットを形成するようになっている。 アイドに対する米国特許第4,676,668号明細書には、軸受パッドを、 3方向への変形容易性を与える少なくとも一つの脚部によって支持部材から間隔 をあけて配置することができるということが示されている。動きの平面における 変形容易性を与えるために、上記脚部は、上記パッド表面の前方において円錐の 頂点あるいは交点をもつ円錐形状を形成するように内側に向けて角度をつけられ ている。各脚部は、心振れを補償するための望まれる動きの方向について、比較 的小さな断面係数を持っている。これらの教示は、ジャーナル軸受とスラスト軸 受の双方に適用可能である。この特許の開示には、当技術分野における著しい利 点が表れてはいるが、幾つかの欠点もある。このような欠点の一つには、支持構 造および軸受パッドにパッド表面の変形を禁止する剛性があるという点がある。 さらに、上記の軸受構造は、単一部材とはなっていない。 上記の最後の二つの特許は、スラスト軸受とジャーナル軸受との間の固有かつ 顕著な相違に関わらず、流体力学的なジャーナル軸受と流体力学的なスラスト軸 受の間にある概念的な類似性が存在するということを示していることから、特に 興味深いものである。 本願は、部分的には、流体力学的スラスト軸受に関している。このような軸受 における流体力学的楔が最適化されると、周方向に間隔配置される軸受のそれぞ れに作用する荷重が実質的に均等化される。 現在のところ、最も広く用いられている流体力学的なスラスト軸受は、いわゆ るキングスバリー・シュータイプの軸受である。傾斜パッド型ラジアル軸受のよ うに、このシュータイプのキングスバリー軸受は、枢動させられるシューと、軸 とともに回転し、上記のシューに荷重を与えるスラストカラーと、上記シューを 支持するためのベースリングと、内部的な軸受要素を包含するとともに支持する ハウジングあるいは取り付け体と、潤滑系と、冷却系とを含む複雑な構造によっ て特徴づけられている。このような複雑な構造の結果として、上記キングスバリ ー・シュータイプの軸受は、象徴的にきわめて高価なものとなる。 上記の複雑なキングスバリー・シュータイプの軸受に代わるものとしては、図 19および図20に示される一体型の台座状軸受がある。このような軸受は、他 の軸受の中で、深井戸ポンプに採用されてきている。この比較的単純な構造は、 明確な寸法が重要であるとは考えられてこなかったために、砂型鋳造あるいはそ の他の大雑把な製造技術によって典型的には形成されている。図19および20 に示されているように、この軸受は、周方向に延びる厚みを持った内側突起38 PAを持つ平坦なベース36PAと、上記ベースから横断して延びる複数の剛な 脚部34PAと、各剛な脚部上に中心づけられたスラストパッド32PAとによ って構造的に特徴づけられている。 図20Aは、矢印Lの方向への対向するスラストランナーの動きに応答する図 19および図20の軸受の変形を模式的に示している。図20Aにおいて、(大 きく強調して描かれた)変形後の位置は実線で描かれており、変形前の位置は仮 想線で描かれている。図20Aの曲線PDは、上記パッドの表面上の圧力分布を 描いている。荷重のもとで、上記スラストパッドは図20Aに示されているよう に剛な脚部の周囲を傘状となって変形する。このような傘状の変形によって、部 分的な流体力学的楔のみが形成される。その結果、図20Aに示されているよう に、パッドの表面上の圧力分布は不均等なものとなる。したがって、上記の軸受 は、スラストパッド面全体にわたって流体力学的な楔が形成される軸受と比較し て、流体力学的な利点が少なくなる。さらには、上記脚部の剛性と、平坦な変形 不可能なベースとが、楔形態を最適化するに必要な変形を妨げる。上述のことは 、図19および図20に示されるタイプの軸受が、キングスバリー軸受に比べて 格段に安価であるにもかかわらず、上記シュータイプの軸受に対して効果が少な く、その結果、商業的な成功を収めることができなかった理由を説明していると いうことができる。 本願の発明者はまた、図19および図20に示される軸受とキングスバリー・ シュータイプの軸受の双方における中央枢支の性質が、軸受を効果のないものと することに寄与してしまっているということを見出した。上記の剛な中央枢支の ゆえに、キングスバリー・シュータイプの軸受も、図19および図20に示され る軸受も、楔形態を最適化するべく6自由度で変形することができないというこ とにもまた留意するべきである。このように、ある例においては、従来の軸受が 6自由度で動くことができるが、このような軸受は、6自由度に基づいて形成さ れておらず、あるいは、そのように設計されてはいないために、その結果として の性能能力は制限されたものとなるのである。 従来技術の流体力学的軸受は、しばしば、流体フィルムの破壊を引き起こす流 体漏れに悩まされている。ラジアル軸受においては、上記の漏れは主として軸受 パッド表面の軸方向端部において起こる。スラスト軸受においては、上記の漏れ は主として流体に作用する遠心力の結果として、パッド表面の外側周方向外周部 において起こる。楔の形態が最適化されると、流体漏れは最小となる。 今日の近代的なターボ機械、特に高速かつ低軸受荷重で作動するターボ機械の 多くは、回転体動力学的な不安定性を防止するべく、傾斜パッド型ジャーナル軸 受の優れた安定性特性が必要である。これまで、傾斜パッド型軸受の設計の複雑 性が、コストとサイズが重要である多くの小型、大量の応用における当該軸受の 使用を妨げてきた。 「発明の要約」 本願発明は、パッド型軸受およびその製造方法を開示する。この軸受は、多部 品設計による複雑性なしに従前の傾斜パッド型軸受の多くの回転体動力学的利点 を提供する。好ましくは一体構造とされるこのパッド型軸受は、厚肉の壁をもっ たチューブ材あるいは円筒状ジャーナル部材からなる単一の部材から、変形容易 なジャーナルまたはスラストパッドおよび支承構造を規定するべく小さな溝およ びスリット、孔あるいは切り込みを軸受壁を貫通するようにしてあるいはこの軸 受壁上に機械加工をしあるいは形成することによって得ることができる。上記パ ッドおよび支承構造は、軸が回転するときパッド表面と軸との間に形成される先 細状の楔の形態を最適化するように設計される。このことは、パッド形状を修正 し、支承構造を修正し、あるいはその双方を修正することによって成すことがで きる。具体的には、上記パッドは荷重のもとで所望の変形を達成するように溝、 切り込み、レール、および凹部を含むように修正することができる。上記支承構 造は、上記流体力学的楔の形態を最適化するようにパッドを6自由度の動き(す なわち、+x、−x、+y、−y、+zおよび−z方向の動き)と上記x、yお よびz軸周りの回転をしうるように支持するべく設計することができる。 本願発明の軸受は、常に最適な流体楔の形成を確保するべく6の自由度に匹敵 する変形を行わせるように、三次元的に設計することができる。より詳しくは、 流体力学的軸受は、流体楔が次のいくつかの特性をもっているとき最も効果的に 作動することが発見されている。すなわち、流体楔はパッド面全体にわたって延 在するべきこと、流体楔は常に適正な厚みをもつべきこと、流体楔は流体漏れを 最小にするように形成されるべきこと、流体楔は軸受の主軸線が軸の軸線に対し て同一軸線上となるか、または実質的に平行となるように軸の位置ずれを補償す るべきこと、および、流体楔は、一般的には低速回転において軸がパッド面に接 触する結果として起こる楔形成面に対する損傷を防止するために、可能な限り低 速において形成されるべきことである。さらには、スラスト軸受の場合は、間隔 をあけて配置された各軸受パッドにかかる荷重を均等とするべきである。 流体フィルムの厚みに関していえば、最適な厚みは、荷重の大きさに応じて変 化することに留意するべきである。高いまたは重い荷重が作用している場合には 、この荷重を十分に支持するために比較的厚い流体フィルムが望ましい。しかし ながら、より厚い流体フィルムは、摩擦と動力損失を増大させる。したがって、 軸受は、最大の荷重下において軸を支持するに必要な最小厚みをもつように設計 するのが望ましい。 上記支承構造は、好ましくは一体構造(単一部材)であり、ハウジングに連結 された支持基根、ビーム、および/または膜状体を含む。上記ハウジングは、ジ ャーナル軸受の場合にはこの軸受の半径方向最外周部によって規定される場合が あるが、スラスト軸受の場合にはこのハウジングはその内部に上記の軸受が組み 込まれる態様をもつ。 本発明者は、高速での応用などの多くの特定の応用において、軸または回転体 と、流体力学的潤滑剤フィルムと、軸受とを含む系全体の動的な変形性を検査し 評価する必要があることを見出した。有限要素モデルを用いたこのような系のコ ンピュータ解析において、軸受全体を作動荷重下で形状が変化する一つの完全な 変形性のある部材として取扱う必要があることがわかった。基本構造に機械加工 を施して変形性を加減することにより、広い作動範囲にわたって安定した低摩擦 作動が行われる軸受特性が達成される。軸受の性能特性に対して実質的に影響を 及ぼす多くの変数が発見された。これらのうち最も重要な変数は、軸受に孔、ス リットあるいは切り込み、および溝を設けることによって規定されるパッドおよ びその支持部材の形状、大きさ、位置および材料特性(たとえば弾性率等)であ る。上記支持部材の形状は、特に重要であることが判明した。また、上記の変形 しうる部材を流体で背面支持する構造を設けることにより、高度な減衰機能が達 成され、これが系の安定性をさらに高める。ある例においては、この減衰機能は 、軸受のケーシングとハウジングの間に油膜が存在する場合に発生する二次的な 圧搾フィルムによる減衰機能の代替となる。 本願発明者はまた、ガスまたは空気潤滑式の変形パッド型軸受においては、荷 重または回転速度がガスフィルムの支承能力を超える場合があることを見出した 。このような場合には、液体溜めあるいは液体浴を設けることなしに、液体潤滑 剤を先細状流体楔内に導入することが必要である。本願発明はまた、必要時に液 体 潤滑剤を供給することによってこの問題を解決した軸受を提供している。 本願発明の軸受の特定の応用には、電動モータ、ファン、ターボチャージャ、 内燃機関、船外機、および圧縮機/膨張機が含まれる。試験速度は300,000r.p.m を超過した。上記切り込み、溝および開口は、流体力学的な潤滑のために先細状 の楔を形成するべく上記軸受パッドを変形させることができることに加え、パッ ドそれ自体を、たとえば平坦化することによって変形および形状変化させること ができるということに留意するべきである。このことは、とりわけ軸受の偏位量 を変更することによって作動性能を改善する。 上記軸受は、金属、粉状金属、プラスチック、セラミックあるいはこれらの混 合物で形成することができる。少量での製造においては、この軸受は、より大き な溝あるいは開口をするべくブランクに対して端面削り、旋盤加工、およびフラ イス加工をされ、より小さな溝はウォータジェット加工、放電加工、あるいはレ ーザ加工法によって形成され、かつ、所望の特性を得るべく上記軸受を調整して 全体的な設計の変形性を与える。上記の調整は、本質的には振動を消失させる剛 性を変更する。単一型軸受の大量生産は、好ましくは射出成形法、押し出し成形 法、粉状金属ダイキャスティング法、インベストメント鋳造法、あるいはその他 の類似の製造法によって達成される。本願発明の一つの側面によれば、中程度の 量の軸受は、機械加工とインベストメント鋳造法とを結合した新規な方法にした がって製造される。本願発明はまた、単純な2分割金型で成形しうるように、隠 れた開口を含まない簡便に型成形可能な軸受を企図している。一般的には、本願 発明の軸受は、他の競合する軸受の数分の1のコストで製造することができる。 本質的に荷重の方向に方向づけられた支持構造をもつ従前のパッド型軸受とは 異なり、本願発明は、特にジャーナル軸受におけるより小さなエンベロープ(す なわちジャーナル軸受において半径方向内側ジャーナル表面と半径方向外側ジャ ーナル表面との間の距離)内での比眉しうる変形、先細状の楔形状を形成するた めのあらゆる方向(すなわち、6自由度)への軸受パッドの変形、性能を改善す るためのパッドそれ自体の形状変化(たとえば平坦化)、安定性を改善するため の膜状体減衰系の形成、および、支持される部材または軸の芯ずれを補償し、か つスラスト軸受において軸受パッド間での荷重の平均化、を配慮した方向付けを 行うことができる。これらの特性の全ては、最適な流体力学的楔の形成に貢献す る。 孔、溝、切り込み、あるいはスリットの態様は多くあるが、主として二つの変 形モードがある。すなわち、その一つは、ほぼ荷重の方向に曲がりモードで1ま たはそれ以上の帯状部あるいは膜状部が変形するというものであり、もう一つは 、ジャーナル軸受の長手方向軸線に沿って軸受パッドから離れる方向へのビーム あるいは膜状部のねじり変形によるものである。曲がりモードでの変形の度合い は、一部には、支承構造の半径方向についての剛性の関数である。軸受パッドそ れ自体、パッドの下方に内向きの切り込みを設けたり、パッドの縁にアンダーカ ットを設けたりすることにより、荷重のもとで異なる形態をとるように変形する モードをとることができる。いずれの場合についても、切り込みは、荷重のもと で所定の形態をとることになるように特定の形態に形成される。また、特定の帯 状部または膜状部を潤滑流体によって取り囲み、あるいは背後から押さえること により、設計に減衰要素を付加することができる。 ジャーナル軸受およびスラスト軸受に対して同様の切り込みを用いることがで きる。最適な性能のためにどのような変形が必要であるかによって切り込みの形 態が決められる。しかしながら、ジャーナル軸受とスラスト軸受とは非常に異な った機能をもつので、それぞれの軸受の望ましい性能には固有の相違が存在し、 したがって、望ましい変形も異なる。したがって、本願発明のジャーナル軸受と スラスト軸受との間には一般的な概念的類似性があるが、大きな概念的相違およ びあきらかな構造的相違がある。 本願発明の一つの実施例は、形状が変化することができ、かつあらゆる方向に 動くことができる(すなわち6自由度で動けるように支持されている)パッドを 含んでいる。そしてこの軸受はまた、組み込み型減衰系をもつことができるとと もに、好ましくは、大量の経済的製造のために一体的あるいは単一部材からなる 構造となっている。本願発明のジャーナル軸受はまた、比較的小さなエンベロー プ(すなわち、ハウジング外径とパッド内径との間の領域)内に組み込むことが できる。 本願発明の軸受は、6自由度をもってこの軸受が変形するように設計すること ができるが、このような変形容易性は常に必須かつ望ましいものではない。より 安定性が求められる応用に対しては、上記軸受パッドは6より少ない自由度で支 持することができる。 本願発明による一つの軸受は、固体の青銅塊から放電加工(EDM)法によっ て機械加工された中心枢動パッドから構成される。支承構造は、過大応力負荷を 起こすことなく軸荷重を支持するに十分なラジアル方向の剛性をもって上記パッ ドを支持するとともに、傾斜パッド性能を示すべく十分な回転方向(傾斜方向) 変形容易性を与える幅狭の単一ウエブを含んでいる。 個々の応用に対する支承構造の形態を最適化することにより、高応力が防止さ れるとともに、寿命が延長される。変形部分の不存在は、枢動部の磨耗をなくす るとともに、耐久性は、パッドの枢動接触応力を排除することに関係している。 製造公差は、最終的な軸受孔を除き、完全に排除され、したがって、製造過程が 簡略化される。EDM製造法は少量の応用について効率的かつ正確である一方、 大量の応用については、鋳造、引き抜き、あるいは鍛造がよい。 パッドを支持する単一の帯状部を用いて一部材設計において変形しやすいパッ ドの幾何形状を得るためには、上記帯状部は回転軸によって与えられる荷重によ り上記パッドが回転するに十分な変形性をもつ必要がある。このような特性、す なわち変形容易な回転は、本願発明を他の流体フィルム軸受から区別する。荷重 のもとで変形しかつ回転するというこのようなパッドの能力により、変形パッド 軸受におけるように複合剛性(cross coupling stiffness)を0に近づけること ができるようになる。上記ウエブの寸法は、特定の応用において与えられる荷重 に依存するとともに、具体的な応用および軸受の材質的な構造に依存して変わる 他の変数に依存する。特定の応用における回転剛性の値は、安定性解析から決定 される。この安定性解析では、回転変形容易性が傾斜パッド型軸受に匹敵する性 能を与える範囲に至るまで、上記剛性が変化させられる。傾斜パッド型軸受は傾 斜し、かつ軸ジャーナル周りに対称なオイルフィルム内に圧力を生成する。本願 発明の軸受もまた傾斜はするが、この傾斜は標準的な傾斜パッド型軸受における ような回転動によるものではない。本願発明の軸受における傾斜は、パッドを回 転あるいは傾斜動させ、かつ与えられる荷重に適用させるウエブ部分の変形容易 性によるものである。具体的な寸法は具体的な応用に依存するが、上記帯状部は 、概して周方向に広いよりも半径方向に長くするべきである。 本願発明の軸受設計から利用しうる望ましい他の特徴は、得ることのできる予 負荷の範囲がより狭いということである。傾斜パッド型軸受は許容公差において 非常に不利であり、したがって、予負荷の範囲が広くなってしまう。この範囲は 、軸受寸法が減じられるほど広くなる。本願発明の一部材軸受はしかしながら、 厳密な許容公差をもって製造することができる。このことは、構成要素の互いの 位置が一部材設計において固定されているという事実による。したがって、許容 公差は付加的なものではない。 本願発明によれば、軸受パッドとこれに支承される軸部分との間の隙間を無く すように軸受を寸法づけると同時に、パッド支承構造を軸受のラジアル方向(ジ ャーナル軸受の場合)あるいは軸方向(スラスト軸受の場合)の剛性が支持流体 の対応する流体フィルム剛性よりも小さくなるように寸法づけることによって、 軸受パッドとこれに支承されるべき軸部分との間の厳密な公差が必要とされない ようにすることができる。軸受パッド全体あるいはその一部を軸に接触するよう にあらかじめバイアスさせておくこともできる。たとえば、大きな変形容易性を もった軸受の場合、軸に対して軸受パッド全体が接触するトルクをあらかじめ与 えておくのが望ましい。一方、ある場合には、軸受パッドの後続縁のみが軸に接 触して流体力学的楔が形成されるようにするのが望ましい。このように、本願発 明の軸受は、軸に対して取付けられたとき、軸に干渉する態様となるように設計 することができる。 一つの例において、軸受が軸表面に強制的に装着されたとき、軸受パッド支承 構造がわずかに変形して先細状の楔空間を形成し、こうして組立てられた静的な 状態においてパッドの後続縁が軸と接触する。このように静的に負荷が与えられ た楔が形成されるように設計された軸受の場合、流体フィルムの剛性によって、 軸が回転を始めるとその瞬間にパッドと軸との間の適正な空隙が形成される。な ぜならば、流体フィルムが上記の楔に入り込むとともに、流体圧を生成し、この 流体圧が軸とパッドとを分離させるからである。特に、比較的剛性の高い流体は 、比較的変形性のあるビーム支持構造を、この支持構造の剛性が流体フィルムの 剛 性と等しくなるまで変形させる。このように軸の回転にともなって瞬間的に流体 フィルムが形成されることは、軸受パッドの表面を、低速において軸とパッドと が直接接触すると起こる損傷から保護する。 上述したタイプの干渉取付け型軸受は、非常に大きな機械加工公差を許容する 。たとえば、流体楔の顕著な影響を維持しつつ設計するために、比較的に大きな (たとえば、0.003インチ)の干渉代の変更が許される。このことは、ガス潤滑 軸受の場合に特に重要である。ガス潤滑軸受の場合は、軸受形状の変更には適正 な作動のためにきわめて正確な機械加工が要求されるからである。本願発明は、 機械加工における要件を緩和する。 本願発明は、干渉接触型の応用に対して特によく適合する特定の支承構造を提 供する。このような支承構造は、荷重のもとでの適正な支持と、無負荷時での後 続縁接触の双方を与えることが必要である。これを達成するために、上記後続縁 に作用する荷重によって生成されるモーメントが上記パッドを軸から離す方向に 回転させるように作用しなければならない。このような手法によって設計される 軸受は、軸を正確に中心に位置させるとともに作動開始までこの軸を正規位置に 保持するべく用いることができる。 本願発明はまた、改良された変形可能な幾何形状をもつパッド型軸受に関し、 この軸受は、作動速度範囲にわたって現状の軸受よりもよりよい軸センタリング を行うことができるとともに、良好な回転体動力学的安定性を維持することもで きる。具体的には、本願発明は、伝統的な軸受における安定性特性が維持される とともに、より良好な軸センタリング特性も与えられる新たな軸受設計を提供す る。 この軸受構造は、1991年10月30日に出願された本願出願人による先の 米国特許出願第07/785,005号に記載された形式の変形パッド型軸受で ある。軸受パッドの少なくとも幾つかには支承構造が設けられており、この支承 構造は軸を無負荷状態において適正な中心位置に維持するべく上記軸受パッドを 上記軸に接触させ得るものである。上記軸に接触するこれらの軸受パッドは、無 負荷状態においてこの軸を適正な中心位置に維持する。この片持ち型のセンタリ ングパッドは0隙間から始まり、ある速度において、流体力学的な圧力のもとで より大きな作動隙間に広がる。より大きな中央枢支パッドはその枢動回転剛性が 低く、かつラジアル方向の剛性が高くなり、アンバランスな応答を減ずるととも に安定性を維持する。このような軸受構造を検討することにより、単一の帯状部 によって支持されるパッドを含むこのような一部材のジャーナル軸受は、多部材 設計のコストと複雑性なしに傾斜パッド型軸受に匹敵する有利な回転体動力学的 安定性が得られるという事実がわかった。ジャーナルラジアル荷重とパッド傾斜 動の双方から上記帯状部に引き起こされる応力は、材料の疲労限界に対して充分 に低く、したがって長寿命が得られる。このことは主に、作動中上記パッドによ る傾斜振動が非常に小さく、これによって引き起こされる応力がとるにとらない 値に制限されるという理由による。 同様にして、本願発明のスラスト軸受は、静的に負荷が与えられた流体楔を形 成するように設計することができる。すなわち、本願発明のスラスト軸受は、軸 受パッドの内側周縁部が軸から離れ、後続縁が軸に向かうように軸受パッドがバ イアスされるように設計することができる。この構成によれば、静的負荷状態に おいて、軸受パッドは、ラジアル方向について(軸心から外側方向に向かうほど )軸に向けて傾斜する。そして、この軸受パッドは、先行縁から後続縁にかけて 軸に向けて傾斜する。このようにして最適な楔形状に近い静的な負荷状態での楔 が形成され、パッドと軸との間の適正な空隙が軸の回転と同時に生成される。 流体の剛性とスプリング特性との間の関係はまた、ラジアル・スラスト複合型 軸受組立体を提供するべく用いることができる。このような組立体は、スプリン グによって軸ランナに向けて接触するように押圧される単純な連続状の円錐軸受 表面を含むことができる。バネ係数は、荷重のもとで軸受が上記ランナ表面から 離れるように動くとともに、軸が流体フィルム上に支持されるように選択される 。 本願発明の軸受においては、軸を位置づけ、かつ軸の心振れを調整するととも にパッド間の荷重を平均化する能力をパッドに与えるために、パッドの動きを軸 に向けて指向させることもできる。もちろん、本願発明は、ラジアル、スラスト 、あるいはラジアル・スラスト複合型のどの軸受にも適用することができ、軸受 の形状によって一方向用あるいは双方向用とすることができるのはもちろんのこ とである。すなわち、軸受支承構造が軸受パッドの軸受ラジアル方向の中心線に 対 して対称であるならば、この軸受は、双方向用の軸受、すなわち、軸を同一態様 において2方向に回転支持することができる軸受である。しかしながら、軸受支 承構造が軸受パッドの中心線に関して非対称であるならば、この軸受は軸を一方 向に回転支持しているとき、反対方向の回転をする場合に対して異なった変形を する。ジャーナルまたはラジアル軸受とスラスト軸受とのいずれの場合について も、主軸線は、この軸受が形成される元の円筒ブランクの中心線である。 本願発明の軸受におけるその他の重要な側面によれば、軸受パッドは流体力学 的流体を保持するような変形が得られるように支持することができ、これにより 、流体漏れの問題をなくすことができる。ラジアルまたはジャーナル軸受につい ていえば、支承構造は、負荷作用時において、この軸受パッドが流体保持ポケッ トを形成するように変形するように設計される。一般的には、このような支持構 造は、主支持部を軸受パッドの軸方向両端部に連結するとともに、軸受パッドの 中央部を直接支持しないこと、すなわち中央部はラジアル方向外方に自由に変形 できるようにすること、によって達成される。スラスト軸受に関しては、遠心力 の作用による漏れを防止するために負荷時において軸受の内周に向かって傾斜す るようにパッドを支持することができる。一般的には、主支持構造が軸受パッド を支持するパッド支持面が軸受内周部よりも軸受外周部に近い位置に設けられた 時に達成される。主支持構造が2またはそれ以上のラジアル方向に離れたビーム をもつ場合、支承構造の全体は、軸受パッドがその内端部において変形を起こす ように設計されねばならない。さらに、軸受パッドがラジアル方向に離れた複数 のビームによって支持され、かつこれらのビーム間の領域が直接的に支持されて いない場合、軸受パッドは、凹状の流体保持溝を形成するように変形する。 要約すれば、本願発明は、公知の軸受に対して著しく優れた性能をもつととも に、競合する軸受の製造コストの数分の1で製造しうる、ラジアル、スラストお よびラジアル・スラスト複合型流体力学軸受なのである。 本願発明によれば、本願発明の軸受を製造するための幾つかの方法もまた企図 されている。特定の製造方法の選択は、製造するべき特定の軸受の量および使用 される材料に大部分依存する。少量生産の応用、あるいは試験および/または金 型の製造等のためのプロトタイプを作製することが望まれる場合には、上記軸受 は、好ましくは厚肉チューブあるいはその他のジャーナルのような金属円筒ブラ ンクから製造され、この金属ブランクは、半径方向および/または対向状の孔ま たは溝を設けるべく機械加工され、かつ、数値制御放電加工法、数値制御レーザ 加工法、あるいは数値制御ウォータジェット加工法のいずれかを介して半径方向 の切り込みまたはスリットが形成される。中程度の製造量の場合には、本願発明 の軸受は、好ましくは本願発明によるインベストメント鋳造法を用いて製造され る。大量の応用の場合は、本願発明の軸受は、プラスチック、セラミック、粉状 および非粉状金属、およびこれらの混合物のような様々な材料を用いて製造する ことができる。大量の応用の場合、射出成形法、鋳造法、粉状金属ダイキャステ ィング法、および押し出し成形法を含む多くの製造法を経済的に採用することが できる。本願発明の軸受は、容易に型成形可能な形状に形成することができる。 「図面の簡単な説明」 本願発明の詳細は、次の添付図面に基づいて後述される。 図1Aは、本願発明による傾斜動パッド軸受の側面図である。 図1Bは、本願発明による他の傾斜動パッド軸受の側面図である。 図1Cは、本願発明による流体力学的軸受の側面図である。 図1Dは、荷重のもとでのパッドの傾斜動を示一つの傾斜支持軸受の側面図で ある。 図1Eは、従来技術の傾斜パッド型軸受のパッドの側面図である。 図2は、図1に示された例にしたがって作製された単一パッドの模式図である 。 図2Aは、本願発明の一形態を具体化するジャーナル軸受を部分的に示す断面 図である。 図3は、図2の軸受パッドの端面図であり、負荷状態での支承構造に対するパ ッドの方向を合わせ示している。 図4は、本願発明にしたがって作製されたジャーナル軸受の第2の実施例の部 分断面図である。 図5は、図4の単一パッドを部分的に断面で示す図である。 図5Aは、図4の軸受を改変したものの一部分の斜視図である。 図5Bは、図4に示される軸受の改変した形態の斜視図である。 図6は、図4の軸受の端面図である。 図7は、ビームのねじり変形を拡大して示す概略図である。 図8は、本願発明の特徴が組み込まれ、かつ二つのビームを含む軸受の例を示 す、ジャーナル軸受の断面図である。 図9は、支承構造の変形なしにパッド表面の部分的な変形を大きく強調して示 す、図1のパッドの端面図である。 図10は、負荷時における支承構造に対するパッドの方向を示す、図8のパッ ドの端面図である。 図10Aは、パッド面の部分的な変形を大きく強調して示す、図8のパッドの 断面図である。 図11Aおよび図11Bは、機械加工前の円筒ジャーナル部材あるいはブラン クの断面図である。 図12Aおよび図12Bは、機械加工されたジャーナル部材あるいはブランク の断面図である。 図13Aおよび図13Bは、さらに機械加工されたジャーナル部材あるいはブ ランクの断面図である。 図14Aおよび図14Bは、機械加工されたジャーナル部材あるいはブランク の変更例の断面図である。 図14Cおよび図14Dは、図14Aおよび図14Bの機械加工されたジャー ナル部材あるいはブランクから構成された軸受の断面図である。 図15は、軸受パッドが設けられたビームをもつスラスト軸受の頂面図である 。 図16は、図15のスラスト軸受の部分断面側面図である。 図17は、図15のスラスト軸受の底面図である。 図18は、図15のスラスト軸受の一部分の斜視図である。 図19は、従来例のスラスト軸受の頂面図である。 図20は、図19の従来例のスラスト軸受の断面図である。 図20Aは、図19および図20に示される従来例のスラスト軸受のセグメン トを模式的に示す図であり、軸受パッドの表面全体にわたる圧力分布を示してい る。 図21は、二つの脚状支持体をもつ、本願発明にしたがうスラスト軸受の頂面 図である。 図22は、図21のスラスト軸受の一部断面側面図である。 図23は、図21の軸受の底面図である。 図23Aは、図21の軸受の改変例の底面図である。 図24は、図21の軸受のセグメントの斜視図である。 図25は、本願発明にしたがうその他の軸受の一部断面側面図である。 図26は、本願発明にしたがうさらに他の軸受の一部断面側面図である。 図27は、本願発明にしたがうさらに他の軸受構造の一部断面側面図である。 図28は、図27の軸受構造の断面図である。 図29は、本願発明にしたがうさらに他の軸受構造の一部断面側面図である。 図29Aは、本願発明にしたがうさらに他のスラスト軸受構造の断面図である 。 図29Bは、図30Bに示された線に沿う断面図である。 図30は、図29の軸受構造の頂面断面図である。 図30Aは、図29Aの軸受の頂面図である。 図30Bは、図29Aの軸受の底面図である。 図31は、本願発明にしたがうその他のジャーナル軸受構造の側面図である。 図31Aは、図31に示された軸受の一部分の半径方向断面図である。 図32は、本願発明にしたがうその他のジャーナル軸受構造の側面図である。 図32Aは、図32の軸受の半径方向断面図である。 図32Bは、図32の軸受の斜視図である。 図33は、本願発明にしたがうさらに他のジャーナル軸受構造の側面図である 。 図33Aは、図33の軸受の外周の一部の詳細図である。 図33Bは、図33の軸受の断面図である。 図33Cは、図33のさらに他の断面図である。 図34は、本願発明にしたがうその他のジャーナル軸受の側面図である。 図34Aは、図34の軸受の外周の一部の詳細図である。 図34Bは、図34の軸受の断面図である。 図34Cは、図34の軸受の他の断面図である。 図34Dは、図34の軸受のその他の断面図である。 図35は、本願発明にしたがうラジアル・スラスト複合型軸受の側面図である 。 図35Aは、図35の軸受の断面図である。 図35Bは、図35の軸受の他の断面図である。 図36は、本願発明にしたがうラジアル・スラスト複合型軸受の他の例の側面 図である。 図37は、図36の軸受の概略的断面図であり、軸受パッドに作用する力を示 している。 図38Aは、本願発明にしたがう容易に型成形可能なスラスト軸受の頂面図で ある。 図38Bは、図38Aの軸受の底面図である。 図38Cは、図38Aに示された線に沿って切断した断面図である。 図38Dは、図38Aないし図38Cに示された軸受の変形例を示す底面図で ある。 図39Aは、本願発明にしたがう型成形容易なスラスト軸受の他の例の頂面図 である。 図39Bは、図39Aの軸受の底面図である。 図39Cは、図39Aおよび図39Bの軸受における軸受パッド用支承構造を 示す部分断面図である。 図40は、本願発明にしたがう自己潤滑式軸受の側面図である。 図40Aは、図40の軸受の断面図である。 図41は、本願発明にしたがう自己潤滑式のラジアル・スラスト複合型軸受の 側面図である。 図41Aは、図41の軸受の断面図である。 図42Aは、扇形に形成されたスラストパッドの斜視図であり、頂面、側面お よび端面視の方向を示す矢印が併せ示されている。 図42Bは、ジャーナル軸受パッドの斜視図であり、頂面、側面および端面視 の方向を示す矢印が併せ示されている。 図42Cは、ラジアル/スラスト複合型軸受パッドの斜視図であり、頂面、側 面および端面視の方向を示す矢印が併せ示されている。 図42Dは、円形スラストパッドの斜視図である。 図43Aは、両端に半径方向に延びる切り込みが設けられたスラストパッドの 頂面図である。 図43Bは、両端に半径方向に延びる切り込みが設けられたジャーナル軸受パ ッドの側面図である。 図43Cは、図43Bのジャーナル軸受パッドの頂面図である。 図43Dは、両端に半径方向に延びる切り込みが設けられたラジアル/スラス ト複合型軸受パッドの端面図である。 図43Eは、図43Dのラジアル/スラスト複合型軸受パッドの頂面図である 。 図44Aは、テーパを付けられた端縁部をもつスラストパッドの側面図である 。 図44Bは、テーパを付けられた端縁部をもつジャーナル軸受パッドの側面図 である。 図44Cは、テーパを付けられた側縁部をもつラジアル/スラスト複合型軸受 パッドの側面図である。 図44Dは、図44Cのラジアル/スラスト複合型軸受パッドの側面図である 。 図45Aは、側縁レールが設けられたスラストパッドの端面図である。 図45Bは、軸方向の端部に側縁レールが設けられたジャーナルまたはラジア ル軸受パッドの端部斜視図である。 図45Cは、側縁レールが設けられたラジアル/スラスト複合型軸受パッドの 端面図である。 図46Aは、側縁近傍の底而に形成された溝をもつスラスト軸受パッドの側面 図である。 図46Bは、側部近傍の底面に形成された溝をもつラジアルまたはジャーナル 軸受パッドの側面図である。 図46Cは、側縁近傍の底面に形成された溝をもつラジアル/スラスト複合型 軸受パッドの側面図である。 図47Aは、個々のパッドがパッド規定溝によって規定されている、スラスト 軸受の頂面図である。 図47Bは、図47A中に示された線に沿う、図47Aのスラスト軸受の断面 図である。 図47Cは、個々のパッドがパッド規定溝によって規定されている、ラジアル またはジャーナル軸受の側面図である。 図48Aは、仮想線で示される底面凹部が形成されたスラスト軸受パッドの頂 面図である。 図48Bは、図48Aのスラスト軸受パッドの側面図である。 図48Cは、仮想線で示される底面凹部が形成されたラジアル軸受パッドの側 面図である。 図49Aは、仮想線で示される各端部の底面凹部が形成されたスラスト軸受パ ッドの頂面図である。 図49Bは、図49Aのスラスト軸受パッドの側面図であり、上記底面凹部が 仮想線で示されている。 図49Cは、仮想線で示されているように各端部近傍に形成された底面凹部を もつラジアルまたはジャーナル軸受パッドの側面図である。 図50Aは、スラストあるいはラジアル/スラスト複合型軸受の頂面図である 。 図50Bは、図50Aのスラスト軸受あるいはラジアル/スラスト複合型軸受 の底面図である。 図50Cは、図50A中に示された線に沿う断面図である。 図51Aは、ラジアル軸受のための軸受パッドの頂面図である。 図51Bは、図51Aの軸受パッドの側面図である。 図51Cは、図51Aの軸受パッドの底面図である。 図52Aは、本願発明に従うスラスト軸受の底面図である。 図52Bは、図52A中に示された線に沿う、図52Aのスラスト軸受の部分 の断面図である。 図52Cは、図52Aのスラスト軸受の頂面図である。 図53Aは、本願発明に従う、連続状のラジアル/スラスト複合型の自動調節 軸受装置の部分断面側面図である。 図53Bは、図53Aのラジアル/スラスト複合型軸受の軸とランナに対する 軸受の関係を示す幾分模式化された斜視図である。 図53Cは、本願発明に従う、その他の連続状のラジアル/スラスト複合型自 動調節軸受装置の部分断面側面図である。 図53Dは、軸と、ランナと、上記図53Cのラジアル/スラスト複合型軸受 との間の関係を示す幾分模式化された斜視図である。 「好ましい実施例の詳細な説明」 理解可能な方法において本願発明の軸受を説明するにあたり、軸受構造を、溝 、スリット、孔あるいは他の開口を円筒ブランクに設けることによって円筒ブラ ンクから形成されるものとして説明するのが望ましい。以下に述べるように、こ のことはしばしば、試作軸受を作成するための有用な技法である。しかしながら 、この円筒プランクに対する言及は、主として、本願発明の理解を助けることを 意図するものである。本願発明の多くの軸受は、円筒ブランクから作ることがで きるが、そのいずれもが上記のようにして製造される必要はないといことに留意 するべきである。実際のところ、軸受は様々な方法によって製造することができ 、その幾つかは以下に説明される。 本願発明は、パッドが6方向に自由に変形することができるように設計しうる 軸受構造を提供するものであるが、このような変形の自由度は常に必要とされな い。たとえば、図1Eに示されるような従前の傾斜軸受においては、個々のパッ ドは回転体と平行な軸線周りにのみ傾斜あるいは枢動する必要がある。公知の揺 子枢動パッドは、ほとんど0の回転方向枢動剛性をもつ。このような軸受は適正 な性能を提供するべく知られているが、これらは個々の応用にあてはめて作成す るには高価であるとともに困難である。もちろん、揺子枢動パッド型軸受よりも 著しく低廉である本願発明の軸受を用いることにより、性能および機能を再現す ることができる。 本願発明はまた、潤滑剤で満たされた環境内で傾斜パッド型軸受として作動す るように設計される一部材型軸受にも関する。特に、本願の発明者は、高価な多 部品揺子摺動パッド型軸受の性能が、各パッドが単一の薄いウエブ上に支持され た単一部材軸受において再現されるうることを発見した。このようなパッドの枢 動剛性は、支持ウエブの厚みによって決定される。このウエブ厚みが充分小さい と、図1Dに示すように、傾斜パッド挙動が得られる。 ウエブ厚みの効果は、典型的には、主応力と複合応力(cross-coupled stiffn ess)によって表される。複合応力は、傾斜動に対する抵抗の大きさとして考え ることができる技術用語である。傾斜剛性が低下すると、上記複合剛性は漸近的 に0に近づき、定義から、これが傾斜パッド挙動を生み出す。パッド傾斜剛性が 高いと、上記複合剛性が漸近的に高い(負の)固定幾何形状値に近づき、固定幾 何形状軸受の特性である非常に低い安定性をもたらす。上記主係数は、非対象の (不等の)固定幾何形状値から、パッド間に負荷が作用する4パッド傾斜パッド 型軸受の特性である対象(等しい)値にわずかに変化する。 概して、試験および結果により、本願発明の一部材傾斜パッド型軸受は、高い 傾斜剛性であれば固定幾何形状性能を示し、低い傾斜剛性においては傾斜パッド の可変幾何形状性能を示すということが判明した。中間的な剛性おいては、固定 幾何形状挙動から傾斜パッド挙動までの遷移的な性能を示す。このようにして、 ウエブ厚みは、軸負荷あるは傾斜応力によって過大応力負荷とならずに、傾斜パ ッド安定性を示すべく充分低く選択されるべきである。上記傾斜応力は低い。な ぜなら、作動中、パッドによる傾斜角度は非常に小さいからである。 本願発明の軸受設計から利用しうる他の望ましい特徴は予負荷の範囲を狭くす ることができるということである。傾斜パッド型軸受は許容公差において不利で あるため、広い範囲の予負荷が必要となる。この範囲は軸受寸法が減じられるに つれて増大する。本願発明の一部材軸受はしかしながら、厳格な許容公差で製造 することができる。このことは、構成要素の相互位置が一部材設計において固定 されているという事実によるものである。そのため、許容公差は付加的なもので はない。 図1Aは、本願発明による傾斜パッド型軸受の一つの形状を表している。この 軸受は流体で満たされた環境内で作動するように設計されている。作動において 、パッドは流体を圧力上昇させるように傾斜する。図に示されているように、こ の軸受には五つの間隔をあけられた軸受パッド31が含まれる。この軸受パッド の数は、もちろん、特定の応用に適するように変更することができる。上記軸受 パッド31は、それぞれ、単一の薄い帯状部37を介して軸受ハウジング30に 支持されている。示されているように、上記帯状部はその周方向幅を充分に越え る半径方向長さをもっている。 図示された実施例において、上記ウエブ37はパッド31の周方向についての 中心線上に設けられており、その結果、この軸受は、軸を時計方向または反時計 方向の双方のいずれの回転方向にも支持する。すなわち、この軸受は、2方向軸 受である。上記ウエブ37は上記パッドと上記軸受ハウジングとの間をほぼ半径 方向に延びている。この軸受は、放電加工(EDM)法を介して固体青銅塊を加 工することによって形成することができるが、この形成方法は必須ではない。本 願発明によれば、上記ウエブ37は、過大応力負荷をもたらすことなく軸負荷を 支持するに充分なラジアル方向剛性をもって上記パッドを支持する必要がある一 方、傾斜パッド性能を示すべく、充分な回転(傾斜)変形性を備えている。ウエ ブ厚みの許容可能な範囲は応用ごとに異なるが、本願の発明者は、上記ウエブ厚 みはこのウエブのラジアル方向長さよりも小さくする必要があることを見出した 。もしこのウエブが薄すぎると、このウエブは過大応力負荷状態となり、そして 軸受は破損してしまう。一方、このウエブが厚すぎると、パッドはもはや傾斜パ ッドとして機能せず、上記変遷範囲のパッドあるいは固定幾何形状パッドのいず れかとして機能する。もちろん、傾斜動の結果としての応力はまた、疲労破壊を 回避するべく耐久性限界内とする必要がある。この耐久性限界はそれ以下におい て無限回数サイクルが可能である許容可能な応力として定義される。性能に影響 を及ぼす他の要素としては、熱的影響とパッド表面変形とが含まれる。個々の応 用についての支承構造の形状の最適化により、高応力が排除され、長寿命がもた らされる。既に説明したように、傾斜角度が小さいことから、応力は最小化され る。変形部分をなくすことにより、枢動パッドの接触応力がなくなることにより 、枢動磨耗および耐久性の懸念が排除される。製造公差は最終的な軸受孔を除き 、完全に排除される。これにより、製造手順が簡略化される。少量の応用につい ては、EDM製造法が効率的かつ正確である。一方、大量の応用の場合は、本願 明細書に説明されているように、鋳造、成形、押し出し、あるいは鍛造により、 製造することができる。 図1Dおよび図1Eは、本願発明の傾斜パッド型軸受(図1D)の従前の傾斜 パッド構造(図1E)に対する傾斜パッド機能の比較を表している。これらの図 に示されているように、本願発明の単純な一部材傾斜パッド型軸受構造は、本質 的に従前の枢動軸受と同様にして枢動する。やはり、傾斜パッド軸受の性能をう まく再現するための重要な設計上の特徴は、適正なウエブ厚みを与えるというこ とである。 図1Aは、非常に単純でありかつ枢動パッド軸受の性能を簡単に再現するよう に設計された軸受を示しているということに留意するべきである。本願発明の教 示によればしかしながら、この軸受構造は、必要であるならば、さらなる変形性 を与えるべく修正することができる。軸の位置ずれを調整するべくパッドのねじ り能力を高めるように、上記ウエブの軸方向厚みを減じるべく、軸受のいずれか の側面に対向する溝を設けることができる。さらに、上記軸受ハウジングの外周 面に、パッドのラジアル方向の変形性を増大させるべく、溝あるいは突起を形成 することができ、その結果、パッドがラジアル方向に変形することができる。 図1Bは、本願発明による他の傾斜パッド型軸受を表している。この軸受構造 はわずかな例外の他は、図1Aに示されたものと近似している。第1に、上記ウ エブ37は、周方向に変位しており、その結果、この軸受は、事実上軸を一方向 にのみ回転支持するように設計されている。上記の支持は回転の各方向について 異なっているため、パッドの傾斜特性は変化し、かつ一方向についてのみ適正に 作動する。図1Bに示される軸受は、六つの周方向に間隔配置された軸受パッド 31を含んでいる。やはり、パッドのそれぞれは、ラジアル方向に延びる単一の 薄状ウエブ37によって支持されている。このウエブは軸受ハウジング30に支 持されている。やはり、上記ウエブ37は傾斜応力を回避するべく充分に厚いが 、固定幾何形状パッドとしてではなく、傾斜パッドとして上記パッドが傾斜する ように充分薄くなっていることが重要である。図に示されているように、上記帯 状部は、その周方向幅を越える長さをもっている。図1Bに示されている実施例 においては、上記軸受ハウジング30に半径方向に延びるオイル潤滑路30oが 設けられており、潤滑剤が軸受ハウジング内に流入するのを許容している。この オイル潤滑路30oは、好ましくは図1Bに示されているように、隣接するパッ ド間に配置される。 本願発明の他の側面によれば、作動中に引き起こされる小さなスラスト負荷を 支持するために、上記軸受ハウジング30上にテーパをつけられたスラストラン ド31Tが設けられる。これは、たとえば、この軸受が遊星ギヤ装置内に用いら れる場合に必要であろう。なぜなら、遊星ギヤ軸を位置づける場合に小さなスラ スト負荷が生じるからである。このスラストランド31Tは、好ましくは、軸受 に沿って周方向に離されている必要がある。図1Aの実施例のように、図1Bの 実施例には、単純な枢動型ウエブが含まれている。しかしながら、ここにおいて もやはり、本明細書に説明してあるように、上記支承構造は、付加的な変形性を 与えるために修正することができる。 次に図2、2Aおよび3を参照して説明すると、この図に示された構造は、ハ ウジング10と、周方向に配置され、かつそれぞれが上記ハウジング、ビーム1 4および基根部分126を含む支承構造によって支持された複数のパッド12を 規定するように形成された溝およびスリットをもつジャーナル軸受組立体の一部 分である。この軸受は、パッドの周方向中心線13a(図3)に関して非対称と なっている。 したがって、図示された軸受は、一方向ラジアル軸受、すなわち、軸を一方向 にのみ回転支持するラジアル軸受に適用される。図示された実施例において、軸 受は、軸5を図に矢印で示された反時計回り方向にのみ回転支持する。一方、も し、この軸受がパッドの中心線に関して対称であれば、この軸受は、軸5を時計 回り方向と反時計回り方向の双方向に回転支持することが可能となる。すなわち 、この場合、軸受は、双方向軸受となる。 各軸受パッド12は、先行縁15と後続縁17とを含んでいる。先行縁は、軸 が回転するとき、その外周の点が最初に近づく縁として定義される。同様に、後 続縁は、軸が回転するときその外周の点が周方向に遅れて近づく縁として定義さ れる。軸5が正しい方向に回転しているとき、軸の外周上の点は、流体フィルム 上を、上記先行縁から軸受パッドを横切り、そして上記後続縁から離れるように 移動する。最適な性能は、基根部16が軸受パッド12、すなわち荷重を、パッ ド12の軸受円周方向中心線13aと上記後続縁17との間の点16a(図3) 、好ましくは上記中心線13aにより近い点において支持する場合に得られる。 上記ビーム14はまた、上記先行縁と上記後続縁との間に位置する点14aを支 点として枢動するようになされるべきであり、このようなビーム14の変形の結 果、後続縁17は軸の中心方向に変形する。もちろん、上記の変形の程度は、特 に、ビームの形状および軸受に形成された溝あるいはスリットの長さに依存する 。 本願発明の理解を容易にするために、ジャーナル軸受あるいはスラスト軸受に 関連して説明するが、同様の軸受設計上の原理の幾つは、設計される軸受の形態 のいかんにかかわりなく適用される。たとえば、いずれのタイプの軸受も、流体 力学的楔の形成という原理のもとで作動する。さらに、ジャーナル軸受の主軸線 およびスラスト軸受の主軸線はともに、これら軸受が形成される元の円筒ブラン クの中心軸線である。パッドの軸受周方向についての中心線は、パッドの幾何学 中心と軸受の主軸線とを通ってラジアル方向に延びる線である。したがって、ス ラスト軸受あるいはジャーナル軸受のいずれであっても、それが中心軸線、すな わち主軸線に関して対称であれば、これらの軸受は双方向軸受となる。 スラスト軸受とジャーナルあるいはラジアル軸受との間には大きな相違がある 。その最も顕著な相違は、もちろん、それらが支承する軸の部位であり、したが って、軸受パッド支持体の方向および/または姿勢である。たとえば、ジャーナ ル軸受は、軸の外周部を支持するか、スラスト軸受は軸の眉部あるいは軸端部を 支持する。その他の相違は、上記の基本的な相違から派生する。たとえば、ラジ アルあるいはジャーナル軸受の場合、パッドが荷重の方向においてその荷重を支 持する。これに対してスラスト軸受の場合は、通常、すべてのパッドが荷重を分 担する。さらには、ジャーナル軸受は一般に、軸と軸受の径差によって本来的に 流体力学的楔を形成するが、スラスト軸受においてはこのような本来的な流体力 学的楔の形成はない。また、ジャーナルあるいはラジアル軸受は、回転の安定性 と荷重とを制御するが、スラスト軸受は、単に荷重を支持するだけである。また 、ジャーナル軸受の設計、特に流体力学的ジャーナル軸受の設計は、スラスト軸 受の設計よりもはるかに複雑であることに留意するべきである。それは、ジャー ナル軸受の場合、半径方向のエンベロープを制限する必要のために課せられる制 約による。このような相違に適応するために、スラスト軸受の形態は、ジャーナ ル軸受のそれとは幾分異なるものとなる。しかしながら、本明細書の開示事項か ら明らかなように、本明細書で説明される原理の多くは、スラスト軸受にもジャ ーナル軸受にも適用可能である。 次に、図2および図3を参照すると、パッド12は、それが(流体フィルムを 介して)支承する軸の半径あるいは外径の円弧と基本的に対応する凹円弧面13 をもっており、各パッドは、軸方向に延びる縁とラジアル方向に延びる縁とによ って規定されているのがわかる。上記軸方向に延びる縁は、先行縁と後続縁とを 含んでいる。図3において、ビームは、静的な状態(実線)および変形した状態 (仮想線)の双方が示されている。図1に示されているように、この支承構造の 基本的な構成は、壁面に設けられた小さなスリットあるいは切り込みによって達 成される。典型的には、これらのスリットあるいはラジアル方向に延びる切り込 みは0.002ないし0.125インチの幅をもっている。変形の度合いは、他 の要素も含むが、上記切り込みの長さを変更することによって変化させ得る。よ り長い切り込みは、より大きな変形を生み出すより長いモーメント腕を作ること ができる。そしてより短い切り込みは、変形性が乏しくかつより高い荷重支持能 力をもったビームを作る。上記切り込みあるいはスリットの長さの選択において は、共振を避けるための注意を払わなければならない。 ビーム14の端部を図に示すように位置させることにより、図9に仮想線で示 すように、連結点16aを中心とする下方向への変形が、パッド12の後続縁1 7の内側への変位をうみ、先行縁15の外側への変位をうみ、そして、パッド1 2をわずかに平坦化させる。かかる変形の結果として、流体が通過する上記パッ ド面13と軸5の外周面との間の隙間が楔状となり、よく知られた流体力学的支 承作用を生み出す。 理想的には、後続縁と軸間の間隔対先行縁と軸間の間隔の比は、1:2から1 :5である。換言すると、先行縁と軸間の間隔は、後続縁と軸間の間隔の2ない し5倍とするべきである。特定の適用のためのかかる理想的な間隔比あるいは楔 比を得るためには、一体要素の数、寸法、配置、形状および材料特性を含む適当 な変形変数を選択しなければならない。コンピュータに支援された有限要素分析 がかかる変数の最適値を選択する最も有効な手段であることがわかっている。コ ンピュータで支援された解析は、6方向全ての方向(6自由度)の運動を許容す る上述した形式の軸受において特に有用である。 流体力学的軸受の性能において考慮するべき最も重要なことは、支持されるべ き回転軸と軸受パッド表面との間の典型的には先細状の楔状をした空間の形状で ある。支持されるべき軸表面の形状は基本的に変化しないので、流体力学的軸受 の設計において考慮するべき最も重要な点は、荷重のもとでのパッド表面の形状 ということになる。荷重のもとでのパッド表面の形状は主として次の二つの要因 に依存する。すなわち、パッドそれ自体の形状と、パッド支承構造の構成および 位置である。このことを説明するために、様々な支承構造の設計がまず後述され 、次いで様々なパッドの設計について説明される。本明細書に開示される様々な 支承構造は、本明細書に開示されるどのパッド形状とともに使用することもでき るし、本明細書において用いられているパッド形状は、本明細書に開示されてい るどの支承構造とともに用いてもよいということを強調しておく必要がある。 図4および図5を参照すると、本願発明の特徴を組み込んだ軸受の第二の実施 例が示されている。この軸受は、軸受パッド32をもつ軸受ハウジングを規定す るためのスリットまたは切り込みが形成されており、上記軸受パッド32は、こ のパッドから実質的に単一の直線に沿って延びる一対のビーム部34a,34b をもつ支承構造によってハウジングに対して支持されている。さらに、このパッ ドには、パッド支持面34psのみにおいてビームによって支持されるように、 アンダーカットを施すことができる。図5を参照すると、ビーム34,34aは 、このビームのための片持ち支持体として機能する基根状ビーム端36,36a をもっているのがわかる。 図4から明らかなように、図5の斜視図には、パッド32の一部分のみが示さ れている。完全なパッドは、図4に示された軸受の変形例を示す図5aおよび図 5bに示されている。これらの図からわかるように、パッド支持面34psは、 先行縁35よりも後続縁37に近いところに位置している。この構造によると、 図7に示されるように、ビームの中間部分においてビームのねじれが起こり、図 示のようなねじれ撓みが起こる。ここにおいても、主たる変形性は、軸受ハウジ ング壁を貫通して形成された小さな切り込みあるいはスリットによって選べるの である。このような切り込みは、軸受パッドに対して6自由度(すなわち、パッ ドが、X、YおよびZ軸回りに回転することができるとともに、+X、−X、+ Y、−Y、+Zおよび−Z方向に変位することができる)を与え、流体力学的楔 の形成を最適化するように設計される。切り込みまたはスリットをビーム部34 a,34bを形成するように壁を貫通する手前で終わらせると、パッド32は、 図5Aに示されるように連続した円筒形の膜状部分34mによって支持されるこ とになる。この膜状部分は、その上にパッド32が支持される流体防振部材とし て機能する。切り込みは、図4における点AおよびBで終わらせる。上記膜状部 分の変形性と流体潤滑剤とが相まって、防振作用を変化させるとともにパッド3 2をハウジングから隔離するための手段が提供される。 図5Bに示されるように、ビームは、単に切り込みあるいはスリットを点Aお よびBから下方に延ばすことによって、図5に示す例よりも簡単に形成すること ができる。 この場合、軸受は単純な変形回転するように、すなわち、単一のラジアル方向 に延びるビーム上に支持されている。すでに述べたように、このような構造はあ る応用によく適合する。このような構造においては、充分な変形性を得るために 、ビームは幅広とするのではなく、ラジアル方向にわずかに長いということに留 意するべきである。 図8を参照すると、本願発明の特徴が組み込まれた軸受の他の実施例が示され ている。この例においては、ビーム支持構造上にビームを形成するように、内部 スリットあるいは切り込みが設けられている。より具体的には、この軸受には、 ビーム42,44によってハウジングに対して支持されるパッド40を規定する ように溝およびスリットあるいは切り込みが形成されている。パッド40は、支 持基根40a,40bにおいてビーム42,44に連結されている。そしてビー ムとハウジングとの連結は、支持基根46,48によってなされている。この場 合において、軸受は、軸受壁を貫通して形成された細幅の切り込みあるいはスリ ットによって形成される。パッド面の下に位置する切り込みあるいはスリット6 0は、荷重を受けてパッドが変形し、流体潤滑剤を導入するためのエアフォイル を形成するように付加的な変形性を付与する。このようにして、軸受パッドは、 二点支持によるビーム支持構成とした結果、ばね状膜として機能する。 図10Aは、荷重を受けた時のパッド40の変形の状態を示す。図に(誇張し て)示されるように、このパッドは、荷重を受けたときエアフォイル形に変形す るように形成し、かつ支持することができる。このエアフォイルは、軸受性能を 劇的に改善する。図から明らかなように、このパッドは、X、Y、およびZ軸線 周りに回転することができるとともに、X、Y、およびZ方向に変位することが できるのであり、6自由度を有している。ここにおいても、この構造は、最適な 流体力学的楔の形成を行うことができる。 図9には、荷重を受けて平坦化する場合のパッド40の固有の局部的変形が示 されている。このような変形は、図3および図10に示される支持構造の変形と 組み合わさるが、その変形の度合いが比較的小さいものである。かかる変形の組 合せの正味の結果として生じる形状は、図3および図10に示された形状に対し 、パッドの円弧状表面がわずかに平坦化したものとなる。 図31,図32Aは、本願発明によるジャーナル軸受の別の実施例を示してい る。この軸受構造は、双方向用軸受であるとの点で先に述べた軸受とは異なる。 すなわち、この軸受は、図31において時計回り方向用としても、反時計回り方 向用としても軸を支承することができる。この軸受は、軸受パッドが軸受の主軸 線606とパッドの幾何学的中心とを通る半径方向の線606aとして規定され る中心線に関して対称となっているので、双方向用軸受である。先に述べたジャ ーナル軸受の場合と同様に、図31および図31Aの軸受も、複数の円周方向に 間隔配置された軸受パッド632を規定するように、複数の細い半径方向および 円周方向のスリットが形成されている。 各軸受パッド632のための支持構造は、図8のジャーナル軸受の支持構造と 多少類似している。詳しくは、各軸受パッド632は、ビーム支持構造によって 二つのパッド支持面632psにおいて支持されている。各パッド支持面632 psにおいて軸受パッド632に連結されているビームのネットワークは、いず れも同一であり、対称構造を有するので、この軸受は、双方向用軸受となる。説 明を簡単にするために、ここでは、この軸受の一つのパッド支持面を支持するビ ームネットワークについてのみ説明するが、他のパッド支持面も同様に支持され ている。図31に示されるように、ほぼ半径方向に延びる第1ビーム640は、 軸受パッド632に対してパッド支持面632psにおいて連結されている。ほ ぼ円周方向に延びる第2ビーム642が第1ビーム640の半径方向外方端に連 結されており、ほぼ半径方向に延びる第3ビーム644が第2ビーム642から 半径方向内方へ延びており、ほぼ円周方向に延びる第4ビーム646が第3ビー ム644の半径方向内端部から延出している。さらに、ほぼ半径方向に延びる第 5ビーム648が、第4ビーム646から半径方向外方に延出し、支持構造のハ ウジング部分に連結されている。要約すると、図31に示される各軸受パッド6 32および軸受は、10個のビームと軸受ハウジングとによって支持されている 。さらに、後述するように、パッド支持構造のハウジング部に複数の半径方向の 溝を円周方向に間隔をおいて形成することにより、または、周方向に連続する溝 を形成することにより、この支持構造のハウジング部を複数のビームあるいは膜 状部材として機能するように設計することができる。図8の軸受と同様に、パッ ド面の下に形成された切り込みあるいはスリットは荷重を受けた場合に変形して 、潤滑剤を導入するためのエアフォイルを形成するように付加的な変形性を与え ることにもまた留意するべきである。このようにして、軸受パッドは、ビームに よって支持される2点支持構造としたことにより、ばね状膜として機能する。 図31Aは、図31の半径方向断面であり、第3ビーム644と、軸受パッド 632とハウジングとを示している。 図32、図32Aおよび図32Bは、本願発明にしたがうジャーナル軸受のさ らに別の実施例を示している。この軸受構造は、円筒ブランクに比較的大きな溝 および開口を形成することによって軸受パッドおよびその支持構造体が規定され ているという点においてすでに説明した各軸受構造とは異なっている。通常、こ の実施例の軸受は、すでに説明した各実施例の場合のように放電加工やそれに類 する技法によるよりもむしろ、円筒ブランクに切削加工を施すことによって形成 される。図32に示された軸受構造の一つの利点は、きわめて小さな軸受を必要 とする適用例において、軸受を製造することが容易であるということである。す なわち、図32、図32A、図32Bにおいては、軸受を形成するのに必要な切 り込みあるいは開口が軸受全体の大きさに対して比較的大きいので、これを正確 に形成することが容易だからである。これに対して、たとえば、図1、図4、お よび図8の軸受構造では、軸受全体の寸法に対して著しく小さい切り込みや開口 が必要とされるので、軸受全体の寸法を小さくするには、微小な切り込みを形成 しなければならず、この切り込みを正確な寸法に成形するのが困難である。さら に、大きな溝あるいは開口は、大きな切り込みが形成された軸受を型成形あるい は押し出し成形することを容易にし、そしてまた、強固な軸受パッド一次構造を 備えたきわめて大きな軸受を必要とする応用例にも適用することができる。 図32に示される軸受パッドはそのパッドの中心線706Aに関して対称とな っている。したがって、この軸受は双方向用軸受である。さらに、図32Bの斜 視図において最もよく表れているように、この軸受は、隠れた開口のない連続す る断面をもっている。したがって、この軸受は、容易に押し出し成形あるいは型 成形し得る。もちろん、パッド支持構造は、その断面において不連続部分を設け ることにより、たとえば半径方向に延びる円周方向の溝あるいは半径方向に延び る非対称の開口を設けることによって、支持構造を変更し、これによって軸受の 性能特性を変更することができる。なおこの軸受の主軸線は符号706で示され ている。 図32に示されるように、この軸受は、円周方向に間隔配置された複数の軸受 パッド732を有している。各軸受パッド732は、この軸受パッドにパッド支 持面で連結された半径方向に延びる一対の第1ビーム740を含む支持構造によ って支持されている。各第1ビームは、ほぼ円周方向に延びる第2ビーム742 によって支持されている。第2ビーム742は、ハウジングまたは支持基根74 4に対して片持ち状に連結されている。この軸受においては、ビーム740を主 支持構造と見ることができ、ビーム742を二次支持構造と見ることができる。 そして支持基根744を三次支持構造とみることができる。 図32において第2ビーム742は、支持構造のハウジング部分に複数の軸方 向に延びる円周方向に配された溝750を設けることによって規定されている。 双方向軸受としての対称性を維持するために、この溝750は、軸受パッド73 2が周方向に間隔をあけて配置されているのと同様にして、パッドの中心線70 6aに関して周方向に間隔が開けられている。当然のことながら、すでに説明し たどの軸受構造においても、同様な周方向に間隔を開けて配置された軸方向溝を 形成することができる。たとえば、すでに述べたように、このような溝は、図3 1および図31Aに示された軸受構造の外周面に、付加的なビーム状支持を提供 するために形成することができる。 図32Aは、図32に示された軸受の一部分の半径方向断面図である。この断 面図において、軸受パッド732および第1ビーム740が表れている。 図32Bは、図32の軸受の斜視図である。この図において軸受の外周は、外 周部の変曲状態を強調するために多少セグメント状に描かれているが、外周の変 曲部は、実際には連続的なものとなっている。 図33は、本願発明にしたがったジャーナル軸受構造の他の例を示している。 図32の軸受と同様に、この図33の軸受には、比較的大きな溝あるいは孔が形 成されている。とりわけ、等間隔に配置された半径方向に延びる複数の内周上に 設けられた溝が、周方向に間隔配置された軸受パッド832を規定している。こ の軸受パッド832は、さらに、軸方向に延びる一対の溝によっても規定されて いる。この一対の軸方向に延びる溝834,835は、図33B、および図33 Cに示されているように、円筒形のブランクの平面状の端面から対称的に切り込 まれて形成されている。この軸受支持構造は、上述した構造的特徴と、周方向に 間隔配置された対称的な複数の浅い孔838と、周方向に間隔配置された対称的 な深い孔837とによって規定される。上記のような「隠れた」孔837,83 8の存在により、図33の軸受構造は、押し出し成形することもできず、二つの 金型による型成形、すなわち、簡便な型成形をすることもできない。 図33Aに最もよく表れているように、上記の深い孔837は各軸受パッドの ための支承構造を規定するように軸方向溝836と交差させられている。このパ ッド支承構造はさらに、円筒形ブランクの外周から切り込まれた周溝839によ っても規定される。 図33ないし図33Cからわかるように、上述した構造部材を設けることによ り、軸受パッド832を直接支持するビーム840、すなわち主支持構造を含む 軸受パッド832のための支承構造が形成される。この支承構造は、さらに、孔 837および838によって一部規定された複数のビームからなる二次支持構造 と、二つの連続ビーム882からなる三次支持構造を含んでいる。孔837およ び838によって一部規定された複数のビームからなる二次支持構造が、ビーム 840を三次支持構造である連続ビーム882に連結している。 図33ないし図33Cに示された軸受の支承構造は、主軸線806から延ばさ れたパッド中心線に関して非対称であるので、この軸受は、一方向用の軸受であ る。さらに、図32の軸受のように、この軸受は、特に、きわめて小さな軸受が 求められる場合に相応しい。なぜなら、この軸受およびその支承構造を規定する 溝あるいは孔が比較的大きいために、これらをより製造しやすいからである。 図34および図34Aないし図34Dは、本願発明にしたがうジャーナル軸受 構造のさらに他の例を示している。図34の軸受構造は、その軸受パッドおよび パッド支承構造が図示されているような比較的大きな溝および孔によって規定さ れている点において、図33の構造と近似している。軸受パッド932のための 支承構造は、軸受パッド832のための支承構造と近似している。特に、軸受パ ッド932のそれぞれのための支承構造は同一であるとともに、この支承構造は 各軸受パッドに関して非対称である。したがって、図34に示された軸受は、方 向用の軸受である。さらに、この支持構造には「隠れた」開口が含まれているた め、この軸受は押し出し成形も、あるいは二つの金型による単純な型成形もでき ない。 図に示されているように、軸受支承構造は、主支持構造を含んでおり、この主 支持構造は、軸受パッド932に対して連結されるとともに対称配置された開口 942によって部分的に規定される一対のビーム状部材940を含んでいる。こ の軸受の外周に形成された浅い周溝は、一対の連続状ビーム要素980を含む三 次的な支持構造を規定している。ビーム940を連続ビーム980に連結するた めのビーム・膜ネットワーク960からなる二次支持体は、複数の対称的に配置 された大きな孔944と、複数の対称的に配置された小さな孔946と、複数の 非対称的に配置された小さな孔948とを形成することによって規定されている 。複数の非対称に配置された小さな孔948により、この支持構造は、いっそう 変形性が与えられ、上記の孔の方向にバイアスされ得る。 図15ないし図18は、本願発明にしたがった一体構造の流体力学的スラスト 軸受の例を示している。先に述べたように、本願発明にしたがうスラスト軸受は 、本願発明のジャーナル軸受と同様の特徴の幾つかを組み入れている。たとえば 、ジャーナル軸受のように、本願発明のスラスト軸受もこの軸受が形成される元 のブランクの中心軸線として規定される主軸線をもっている。また、軸受パッド は、上記主軸線からパッドの幾何学的中心を通って延びる中心線をもっている。 この スラスト軸受が上記半径方向に延びる中心線について対称であれば、この軸受は 双方向用軸受であり、この軸受が上記半径方向中心線について非対称であれば、 一方向用軸受である。しかしながら、ジャーナル軸受との機能上の相違からスラ スト軸受は幾分異なった形状をしている。たとえば、図15ないし図18に示さ れるスラスト軸受は、実質的に同一な形状の複数の軸受パッド132を含んでい る。図18は、軸受パッド132における外周線を分割する線CDMと半径線を 分割する線RDLとを示している。軸受パッド132のパッド面は、支承される べき軸の軸線および軸受の主軸線と直交する平面内に存在する。もちろん、この パッド面が負荷を受けて変形したり、この軸受が組み込まれた状態あるいは静的 な状態において軸に接触するようにわずかに歪んでいることが望まれる場合には 、軸受パッド面は幾分非平面となり、そして支承されるべき軸の軸線あるいは上 記主軸線に対して幾分歪んでいてもよい。 本願発明のスラスト軸受の設計において特に考慮するべき重要な点は、流体の 漏れの防止である。この目的は、パッド支承構造を、負荷時において軸受パッド の内側縁が下方向に撓み(図16参照)、外側縁が上方に撓むように設計するこ とにより、かなりの程度にまで達成される。本明細書に説明する全てのスラスト 軸受は、かかる方法によって設計されうる。たとえば、図16に示される軸受に おいては、軸受パッドの内側縁に対するよりも外側縁により近いパッド支持面1 34psにおいて、ビーム134がパッド132に対して接続されている。この ように、上記パッド支持面134psは図18に示される半径分割線RDLの半 径方向外側に位置している。したがって、この軸受は、負荷状態において軸受の 内側縁が下方向に撓むように設計されている。 作動において軸受パッドの内方縁が下方向に撓むことは、支承される軸から遠 ざかる方向に撓むことであり、軸受パッドの外方縁が上向きに撓むことは、上記 軸に向かって撓むことである。軸受パッドの撓みのこのような向きは、流体に遠 心力が作用する結果として生じることがある流体力学的流体の損失を防止する。 流体力学的流体の漏損は、軸受パッドを負荷時において軸受パッドが潤滑剤保 持ポケットを形成するように変形するように支持することにより、さらに減じら れる。一般に、そのような支持は、軸受パッドが半径方向または周方向に離れた 複数のビームによって支持され、かつ、各ビーム間の領域が直接的に支持されず に、この支持されないパッドの中央領域が流体保持チャンネルを形成するように 外側に変形する傾向をもつ場合に達成される。以下に説明する図29には、上記 のような半径方向に離れたビームをもつ軸受の一例が示されている。上記ビーム がさらに離れていれば、より大きな潤滑剤保持ポケットが得られる。同様にして 、ジャーナル軸受においても、軸方向あるいは周方向に離れたビーム支持体およ びこれらのビームの間の支持されない領域を設けることにより、潤滑剤保持チャ ンネルを形成することができる。 図15および図16に最もよく表れているように、各軸受パッド2は、その全 周にわたって面取り部132bが設けられている。この面取りの目的は、潤滑剤 の流入および流出損失を少なくすることである。 各軸受パッド132は、主支持体によって支持されており、この主支持体は、 図示例では、軸受パッド支持面134psにおいてパッドを支持するビーム状支 持部材134を含んでいる。各ビーム134は、ビームに支持されたビームある いは膜状部材136のような二次支持部によって支持されている。上記ビームあ るいは膜状体136は、一対のビーム状脚138a,138bのような三次支持 部材によって支持されている。 上記ビームあるいは膜状部136に孔または開口142を設けることにより、 連続的な膜状体136が複数のビーム136になる。孔または開口142が膜状 体136に設けられていない場合には、上記膜状体は連続的な膜状体として機能 することはもちろんである。場合によっては、内側のビーム状脚138は、短い 基根状ビームに置き換えてもよく、あるいは上記二次支持体が片持ち状に支持さ れるように三次支持体を規定するべく省略してもよい。結局、上記孔または開口 が主軸線に関して対称に配置されているために、この軸受は、上記主軸線に関し て対称であり、したがって、双方向用軸受である。 図15、図17および図18に示されるように、上記連続状の膜状体を分割し てこれを分離されたビームとるする孔または開口42は円形となっている。この ように円形の開口を用いると、軸受材料に対してかかる円形開口は容易にドリル 形成できることから、軸受プロトタイプを作製するのを容易化する。このことは 、 本明細書に説明するすべての軸受についていえることである。いったんこのよう な円形開口を設けると、この開口をビームあるいは膜状部材36を通過してさら に軸受パッド132の下方部まで延長し、ビーム状部材134を規定する場合に 有利である。すなわち、図15に表れているように、パッド支持面134psの 横断面およびビーム134の側壁が円弧状に表れているからである。 ビーム部材の形状は、製造上の都合によって左右され得るが、この形状はまた 、各個別の軸受の性能に影響を及ぼす。このように、図15ないし図18に示さ れるスラスト軸受を含む本明細書に説明する軸受の特定の形状は、主として試作 を容易に製造するようにすることに起因したものであるが、特定の応用において 優れた結果を生み出すこともまたわかっている。もちろん、パッド形状のいかな る変更も、たとえば、このパッドを支持するビームの曲げ特性あるいはねじり特 性を変更することになって軸受の性能特性に影響を及ぼす。このように、ビーム 、パッド、および膜状体の他の形状を考慮する場合、製造の容易性と、軸受性能 に対するビーム、パッド、あるいは膜状体の形状による効果とが考慮されねばな ない。 スラスト軸受の形状の他の例が図21ないし図30および図38ないし図39 に示されている。これらの図に示された軸受と図15ないし図18に示された軸 受構造との間の相違は、主として、主支持部、二次支持部および三次支持部の構 造の相違にある。 かかる他の軸受形状の一つが図21ないし図24に示されている。図21はこ の軸受の頂面図であり、図22はこの軸受の縦断面図であり、図23はこの軸受 の底面図であり、図24はこの軸受の斜視図である。この図21ないし図24に 示された軸受は、二つの重要な点を除き、図15ないし図18の軸受と近似して いる。第一に、図21ないし図24の軸受は、図15に示されるような垂直支持 ビームの代わりに角度を付けられたあるいは傾斜させられた支持ビーム134a を含んでいる。第二に、この軸受は、上記傾斜ビーム134を貫通する筒状開口 を形成するために支持ビーム136を貫通して延びる付加的な孔134を含んで おり、この孔は、支持ビームに長円状の開口を形成するようになっている。上記 長円状の開口はビームを一対の複雑な帯状体に分割しており、その帯状体の形状 は、図24の斜視図を参照することにより理解される。このような開口144を 設けて傾斜ビーム134aを複雑な帯状体に分割することは、図21ないし図2 4に示される軸受の支承構造に、図15ないし図18に示される軸受と比較して その変形性を著しく高めることになる。したがって、図21ないし図24の軸受 のパッド132は、図15ないし図18の軸受のパッド132よりもより小さな 荷重に応答して流体力学的楔を形成するように変形する。したがって、図21な いし図24に示される軸受は、軽荷重を支承するのによく適合しており、図15 ないし図18に示される軸受は、より大きな荷重を支持する場合によく適合して いることになる。さらに、ビーム134aのような角度をつけられたあるいは傾 斜させられた支持ビームを設けることは、複雑な帯状体にこのビームを分割する 開口を設けるにせよ設けないにせよ、パッドの垂直方向への変形性を増大させる 。なぜなら、垂直方向に付与された荷重は、ビームに対して軸受の中心あるいは 内径に向けた変形を引き起こす傾向をもつからであり、これにより、潤滑流体の 遠心力に起因する漏損を解消することができる。 図23Aは、図21ないし図24に示されたタイプの軸受の底面図であり、こ こにおいて、ビームあるいは膜状体336の変形性を高めるために、上記膜状体 あるいは支持ビーム136に付加的な孔146を形成してある。この図23aに 示されているように、上記孔136は、各軸受セグメントに関して非対称に形成 されている。このような孔を非対称に設けると、軸受におけるパッドが一方向に ついて他方向よりもより容易に変形することができるようになる。換言すると、 軸受パッドはパッド支承構造において非対称の開口を設けることにより、一方向 についてバイアスをかけられた恰好となる。もちろん、軸受パッドに対して一方 向についてバイアスをかける必要がある場合に、かかる非対称に配置された開口 を、本願発明のどの軸受構造に対しても設けることができる。また、このような 非対称の開口は、幾つかの選択された軸受パッドのみをバイアスさせるように設 けるのが望ましい場合もある。 図25は、本願発明にしたがうその他の軸受の縦断面を示している。この構造 によれば、軸受パッド132は、水平方向を動くビーム部134hにそれぞれ支 持されたパッド支持基根部134s上に支持されている。上記水平方向を向くビ ーム部134hはまた、逆方向に角度をつけられたビーム部134i上に支持さ れている。その他の点においては、この構造は、直前に説明した軸受の構造と近 似している。この構造によれば、軸受は、一方向については大きな変形性を獲得 することができるが、他方向については剛性が維持される。 上記と近似した構造が図26に示されている。図26に示された軸受と図25 に示された軸受との間の相違は、図26に示された軸受は、逆方向に角度を付け られたビーム部134iに代えて垂直ビーム部134Vを用いている点である。 これらの軸受は、その他の全ての点において近似している。図26の軸受におい て傾斜状のビームが存在しないことは、この軸受に垂直方向により高い剛性をも つ傾向を与えることになる。 図27および図28は、本願発明の軸受構造の他の実施例を示している。 これらの図に示されているように、この軸受は、複数個の軸受パッド321− 326(図28において仮想線で示す。)を含んでいる。各軸受パッド321− 326は、軸受支持構造のパッド支持面342に対して支持されている。この軸 受支持構造は、一対の入れ子状の截頭円錐体からなる主支持部をもっており、こ の主支持部は、割り状周縁膜状体360を含む二次支持部上に支持されている。 そして上記二次支持部は、一対の周縁ビーム382を含む三次支持部上に支持さ れている。上記各周縁ビーム380および382は、すでに説明した構造におけ るそれと近似している。膜状体360は、先に説明した構造とそれとは異なって いる。なぜなら、この膜状態360は、入れ子状の截頭円錐体を形成する軸受支 持構造の底部において形成された溝によって半径方向に分割されているからであ る。内側の截頭円錐体は外側の截頭円錐体に対して逆向きとなっており、両円錐 体の中心線はパッド支持面342の上方の点350において交差し、逆V字状の 断面を呈する。各截頭円錐体の中心線がパッド面の上方の点350において交差 するため、主支持構造は、上記パッド面の上方の点を中心として枢動するように 軸受パッドを支持する。これにより、適正な変形が確保される。 上記軸受パッドを支持する二つのビーム346および344は、同じ角度で互 いの方向を向いて角度をつけられてもよいし、異なった角度で互いの方向を向い て角度をつけられてもよいし、一方のビームに角度をつけて他方のビームに角度 をつけなくてもよいし、双方が同じ方向に角度をつけられてもよい。 もちろん、主支持構造におけるビームに与えるべき角度の変更は、軸受の撓み 特性に影響する。上記軸受支承構造に関して対称に配置された複数の孔または開 口420は、上記入れ子状の截頭円錐体あるいは逆V字型構造を複数の支持ビー ム344,346に分割し、上記入れ子状の截頭円錐体の頂点をパッド支持面3 42を規定するように分割している。したがって、たとえば、軸受パッド321 は、一対の複雑な支持ビーム344および346によってパッド支持面342に 支持される。この場合、上記一対の複雑な支持ビーム344および346は、互 いにテーパを付けられているのであり、かつ、上記入れ子状の截頭円錐体を貫通 して延びる円筒状開口によって規定される複雑な幾何学的形状をもっている。図 27に最もよく表れているように、ビーム344および346の中心線は、パッ ド面の上方の点350において交差しており、適正な枢動支持を確保している。 各ビーム344および346は、上記截頭円錐体を規定する溝によって分割され た周状膜状体360上に個別に支持されている。上記膜状体は、周状ビーム38 0,382によって支持されている。当然のことながら、上述したように、周状 ビーム380,382および周状膜状体360は、個別のビーム支持体を規定す るために周方向について分割することができる。 上記軸受支承構造に対する様々な改良が可能である。たとえば、この支承構造 の変形を、ビームの角度を変更することにより、あるいは各脚を規定する孔ある いは開口の位置を変更することにより、あるいはビームあるいは膜状体のいずれ かの長さを変更することにより、さらには、ビームまたは膜状体のいずれかの幅 または厚みを変更することによって、修正することできる。これらの複数の可能 性を図示するために、図27および図28には、各軸受パッド321ないし32 6に対してそれぞれ異なる支承構造を描いてある。これらのさまざまな支承構造 が、本願発明を図示する目的のために、一つの軸受において示されているという ことが理解されるべきである。通常の使用においては、各軸受パッド321ない し326が必ずしも同一である必要はないにせよ、一定の性能を確保するために 近似した支承構造をもつことになる。 軸受パッド322のための支承構造は、ビーム346を複数のビームあるいは 副ビーム346aおよび346bに分割するように上記ビーム346を貫通して 延びる孔あるいは開口422が設けられている点において軸受パッド321の支 承構造とは異なっている。もし、開口422のように、この開口の直径および位 置づけが上記ビームを完全に分離する態様となっている場合、かかるビームは分 離されたビームに分けられる。一方、上記開口がビームを部分的に分割するもの である場合(たとえば開口423)、このビームは副ビームに分けられる。図2 7に示されているように、図27において半径方向外方のビーム346が見えて いるように、ビーム346の側面において楕円状の開口を形成する。このような 構造によると、パッド322は、角度つけられた三つの帯状体あるいはビーム3 44、346aおよび346bによって支持されることになる。 軸受パッド223は、角度をつけられた四つのビームあるいは帯状体344a 、344b、346aおよび346bによって支持されている。この構造は、ビ ーム344とビーム346の双方を貫通して延び、かつ、パッド支持面342を 二つの部分に分ける孔あるいは開口423を設けることによって達成される。 ここに説明するすべての改良事項に関して、開口の大きさはビーム344およ び346を分離されたビームに分割するべき程度をもとにして選択されるべきこ とに留意するべきである。ある例においては、より大きな開口を用いてビームを 完全に分割することが望ましい。また、軸受パッド323のための支承体に関し て図示されているようなその他の例においては、ビームの側壁に沿ったある点に おいてこのビームを不完全に分割するのが望ましい。なお、図面にはビーム34 4および346を分割するために、軸受支承構造に一つの開口を設ける場合のみ が示されているが、ビーム344,346を三つあるいはそれ以上の副ビームに 分割するように図28において設けられてた開口422ないし426のような2 またはそれ以上の開口を設けることも可能であることに留意するべきである。通 常のように、採用されるべき支持体のタイプの決定は、所望の性能特性に依存す る。一般には、ビームを分離されたビームあるいは副ビームに分割することは、 支持構造をより変形性をもつものとする。軸受パッド342,324,326の ための支承構造のように、支承構造の一方向の変形性を他方向の変形性より大き くすることによって、その軸受パッドを所定方向にバイアスさせることができる 。 軸受パッド324のための支承構造は、開口424が内側支持ビーム346で はなく外側支持ビーム344を貫通して延びる開口424が設けられている点を 除き、軸受パッド322のための支承構造と近似している。したがって、軸受パ ッド322のように、軸受パッド324は、角度をつけられた三つの脚によって 支持されている。 軸受パッド325のための支承構造は、開口425を外側周縁ビーム38およ び周縁膜状体360を貫通して非対称の位置に設けられている点を除き、軸受パ ッド321のための支承構造と近似している。したがって、この軸受パッド32 5は、所定の方向、すなわち、この開口425を設けることによって生じる最も 大きな変形容易性が生じる方向にバイアスされている。 軸受パッド326のための支承構造は、ビーム346を分割する開口426が 軸受パッド326をより大きな変形容易性が生じる方向、すなわち、より小さく てより変形容易なビームの方向にバイアスするように非対称的に設けられている 点を除き、軸受パッド322のための支承構造と近似している。 もちろん、所望の性能特性を達成するために、図27,図28に示された支承 構造のいずれかを組み合わせて採用することができる。 図29および図30は、本願発明の軸受のさらに他の実施例を示している。こ れらの図に示されているように、この軸受は、複数の軸受パッド521−526 (これらの位置は図30に仮想線で示されている)を含んでいる。各軸受パッド 521−526は、軸受パッド支承構造に対して一体的に支持されている。概略 的にいうと、この軸受パッド支承構造は、少なくとも、内側周縁支持ビーム54 6および外側周縁支持ビーム544を含む主支持構造と、内側周縁膜状体362 を含む二次支持部と、外側周縁膜状体364、内側周縁支持ビーム382および 外側周縁支持ビーム380を含む三次支持部とを備えている。図29に最もよく 表れているように、上記周縁支持ビーム544,546は、軸受の底部から上記 軸受パッドに向けて延びる深い周状チャンネルによって部分的に規定されている 。これらの支持ビームはさらに、軸受パッド支承構造に関して対称的に配置され た複数の孔または開口によっても規定されており、これらの孔または開口は、上 記ビーム544,546を隣接した他のビームから分離している。したがって、 た とえば、軸受パッド521は、一対のビーム544,546によって支持され、 これら一対のビーム544,546は、ほぼ円弧状の側壁を有することになる。 先に述べたように、このビーム支承構造はまた、膜状体364,362および周 状ビーム380,382を備えている。 かかる軸受支承構造に対するさまざまな変更が可能である。複数のこのような 変更の可能性を図示するために、図29および図30には、各軸受パッド521 −526に対して異なる支承構造を描いてある。図27および図28の実施例に ついて先に説明したのと同様に、複数の支承構造が本願発明を図示する目的で単 一の軸受の図の中に示してある。通常の使用においては、各軸受パッド521− 526は、必ずしも同一である必要はないが、一様な性能を確保するために近似 した支承構造をもつことになる。 軸受パッド522のための支承構造は、ビーム546を複数のビーム546a および546bに分割するようにこの内側周状ビーム546を貫通して延びる孔 あるいは開口622を設けている点において、軸受パッド521のための支承構 造とは異なっている。このような構造をとる結果、上記パッド522は垂直方向 に延びる三つのビームあるいは帯状体544,546a,546bによって支持 されることになる。 軸受パッド523は、垂直方向に延びる四つのビームあるいは帯状体544a ,544b,546a,546bによって支持されている。この構造は、ビーム 544およびビーム546の双方を貫通して延びる孔あるいは開口623を設け ることによって達成される。このような変更の結果としてのより薄状のビームは 、軸受パッド522あるいは軸受パッド521のための支承構造よりも大きな変 形容易性を生み出す。 軸受パッド524は、垂直方向に延びる比較的薄状の五つのビームあるいは帯 状体によって支持されている。この構造は、内側ビーム546を二つのビームに 分割する孔あるいは開口624と、外側ビーム544を三つのビームに分割する ための二つの孔624を設けることによって達成される。 軸受パッド525のための支承構造は、外側ビーム544を非対称的に二つの ビームに分割する付加的な開口635を設けてある点を除き、軸受パッド522 のための支承構造と近似している。 軸受パッド526のための支承構造は、外側ビーム544の方が内側ビーム5 46よりもより大きく分割されている点を除き、軸受パッド522のための支承 構造と近似している。さらに、上記内側ビーム546をより変形容易とするよう に、この内側ビーム546の外周に溝が形成されるべく、上記開口626は上記 開口622よりも幾分大きくしてある。 当然のことながら、所望の性能特性を達成するために、図29および図30に 示された支承構造をどのように組み合わせてもよい。 図29A、図29B、図30Aおよび図30Bは、各軸受パッド521aを支 持するための構造として、図29および図30において軸受パッド521を支持 するために用いられた構造と非常に近似したものであるスラスト軸受の詳細を示 している。この軸受構造はしかしながら、周状ビーム544aおよび546aが 図29および図30に示された軸受の場合よりも厚みが減じられているとともに 垂直方向により短い点において異なっている。通常、ビームが短ければこれに比 較して長いビームよりもより剛性が高められ、ビームの厚みが小さければこれに 比較して厚みの大きいビームよりも剛性が小さくなる。さらに、ビーム544a はビーム546aよりも厚みが小さくなっているのに対し、図29および図30 に示された軸受においては、ビーム544およびビーム546は等しい厚みとな っている。このような半径方向の厚みの相違は、各ビーム544a,546aの 周方向の長さを規定する大きな開口620が、ビーム544aの周方向の幅がビ ーム546aのそれよりも著しく広くなるように配置されていることにより、補 償されている。結局、上記開口620は、図29および図30の軸受構造におけ る対応する開口620よりも相当に大きいということがいえる。もちろん、開口 が大きくなると、この開口によって規定される支承構造の変形容易性が高められ る。 図35ないし図37は、本願発明にしたがうスラストおよびラジアル複合型の 流体力学的軸受を示している。図35に示された軸受は、図34に示された軸受 に非常に近似しており、同様の部材に対して同一の参照符号を付してある。また 、図37の断面図に示されるように、図36および図37の軸受は、次の点を除 い て図4および図14Dに示されたラジアル軸受と幾分近似している。すなわち、 この図36および図37に示された軸受においては、軸受パッド1032および ビームおよび/または膜状体1034,1036,1038を含む軸受パッド支 承構造は、比較的大きなスリットおよび溝によって規定されている。しかしなが ら、このラジアル・スラスト軸受は、軸受パッド面1032psが主軸線100 6に対して傾斜している点において、ラジアル荷重のみを支承する軸受と相違し ている。このようにパッド面を傾斜させることにより、図35ないし図37の軸 受は、主軸線1006に沿う方向に作用する荷重と、この主軸線1006に対し て半径方向に作用する荷重の双方を支持する。この軸受の変形特性を選択的に調 整することができるようするために、図に示されているように、圧電素子100 を設けることができる。 上記のような傾斜したパッド支持面1032psによって支持されることがで きるように、軸には、上記パッド支持面の角度に対応した角度をつけられたラン ナを取付けなければならない。この軸受によって支承される軸方向荷重分および ラジアル方向荷重分は、上記パッド面1032psの角度に依存する。上記パッ ドが仮に主軸線1006に対してαの角度で傾斜しているとすると、上記軸受に 作用する軸方向荷重分は次式によって決定される。 軸方向荷重分=軸方向総荷重×sinα 同様にして、上記軸受に作用するラジアル方向荷重分は、次式によって決定さ れる。 ラジアル方向荷重分=ラジアル方向総荷重×cosα 図35に示される軸受のための支承構造は、図34に示される軸受のための支 承構造と近似している。 図36および図37に示される軸受のための支承構造は、軸受パッド1032 を支持するビーム1034をもつ間隔配置された軸受パッド1032のための主 支持構造と、連続的に形成することができる一対の周状ビーム1038を含む三 次支持構造とを備えている。二次支持構造は、ビーム1034をビーム1038 に対して連結するための膜状体1036あるいはビームネットワークを含んでい る。図36に最も明瞭に表れているように、複数の軸受パッド1032のそれぞ れのための支承構造は、非対称的である。したがって、図36および図37に示 された軸受は、一方向用軸受である。 一般的にいって、本明細書に説明したどの軸受構造も、図36および図37に 示されたタイプのラジアル・スラスト複合型軸受の設計において採用することが できる。もちろん、ラジアルおよびスラスト複合型の軸受特性を達成するために 、軸受パッド面は軸受主軸線に対して0゜から90゜の範囲で傾斜させられなけ ればならない。さらに、ラジアル方向および軸方向の双方の荷重に適用させる場 合には、当然ながら、軸受パッド支承構造の設計に影響を及ぼす。 過去においては、流体力学的軸受のパッド形状は、主として製造上の都合によ って決められてきた。スラスト軸受ついては、このことは、支持の面積を最大に するには扇形をしたパッドを、あるいは、−−−出願人の先行米国特許第4,676 ,668号の場合においては、−−製造コストの低減には円形パッドを伝統的に意 味してきた。ラジアル軸受については、単純な円筒断面形状をもつパッドが用い られてきた。多くの場合、このような伝統的なパッド形状を最適な結果を得るべ く支持することができる。しかしながら、本願の発明者は、従前のパッド形状を 修正することによって重要な性能特性が得られるということを発見した。その結 果、支承構造を単純化することができるし、ある場合においては、これを省略す ることさえできる。 典型的なスラストパッド形状の例が図42Aおよび図42Dに示されている。 図42Aは扇形をしたパッド132を示している。頂面視T、端面視E、および 側面視Sの方向がそれぞれ符号T、E、Sを付した矢印で示されている。ここに おても、後述するように、頂面視T、端面視E、および側面視Sのための方向が 矢印で示されている。そして、ラジアル/スラスト複合型パッド1032の一つ の形状が図42に示されている。矢印は、後述するように、頂面視T、端面視E 、および側面視Sの方向を表している。これらのパッド形状は全て、分断されな い 平面状の表面をもち、かつ一定のパッド厚みとなっていることに特徴づけられて いる。 伝統的なスラスト、ラジアル、およびラジアル/スラスト複合型パッド形状に 対する様々な修正事項については後述する。なお、パッドの形状に対するこれら のいかなる修正も組合せによりあるいは単独で用いることができるということに 留意するべきである。また、図示された特定のパッド形状以外の形状をもつパッ ドに対してもその修正が簡便に適用しうる。さらに、上記パッドは双方向の作動 を許容するために対称的に形成することもできるし、回転の方向に依存する異な る作動条件を与えるために非対称的に形成することもできる。後述する修正され たパッド形状は、適当な場合には本出願に説明されているものを含むいかなる支 承構造と組み合わせて用いることもできるし、適当な組合せにおいて用いられる 場合には、変形支承構造の必要を全くなくすこともできる。 一般的なパッド形状に対する第一の可能性ある修正が図43Aないし図43E に示されている。これらの図は、スラスト軸受(図43A)、ラジアル軸受(図 43Bおよび図43C)、および、ラジアル/スラスト軸受(図43Dおよび図 43E)に対して適用される場合の修正を示している。 この修正は、ある場合において、潤滑剤が導入される縁(先行縁)の長さを増 大させると軸受性能を改善することができるいうことが示された有限要素解析に 基づいている。より具体的には、この縁を延長すると、より多くの潤滑剤をパッ ド中心に向かわせることができる。このような効果を達成するために、上記先行 縁を延長するべくパッド表面に弧状の切り込みを設けることができる。このよう な弧状の切り込みは、スラスト軸受、ラジアル軸受、あるいはラジアル/スラス ト複合型軸受に設けることができる。このような弧状の切り込みを設けると、パ ッドの荷重支持表面が減少するということに留意する必要がある。このように、 潤滑剤が多くなれば荷重支持表面が減少するという交換条件が存在するのである 。 図43Aは、弧状切り込み132cが形成されたスラスト軸受パッド132の 頂面を示している。この図示された実施例において、上記切り込み132cは、 パッド132の各端縁部に設けられている。これは、図示されたパッドが双方向 用に意図されており、双方向において改良された結果が望まれているからである 。 もし単方向の作動で十分な場合には、上記の切り込みは、ひとつの単縁部にのみ 設けられるべきである。 図43Bおよび図43Cは、各単縁部に弧状切り込み32cが形成されたラジ アル軸受パッド32の側面図および頂面図をそれぞれ示している。やはり、上記 弧状切り込み32cを設けると、パッド中心に導入される潤滑剤の量が増大する と同時に、パッドの荷重支持表面面積が減じられる。各単縁部において弧状切り 込み32cが対称となっているため、図43Bおよび図43Cに示されているラ ジアル軸受もまた、双方向用である。 図43Dおよび図43Eは、円錐状にテーパを付けられたブロックとして模式 的に表されている角度をつけられた支承構造1037上に支持されたラジアル/ スラスト複合型の軸受パッド1032を示している。図43Dは断面図であり、 図43Eは頂面図である。ここにおいても、このパッドは対称的であり、そして 、このスラスト軸受パッドの各端縁部に弧状切り込み1032cが設けられてい て双方向作動するようになっている。 図44Aないし図44Dは、基本的にはパッド形状に対する他の可能性ある修 正を表している。具体的には、軸受パッドの先行縁にテーパ付けを行うと入口部 の曲げが増大するということがわかっている。これによって軸・パッド間の空間 により多くの潤滑剤が導入されるようになり、このことがパッドの荷重支持能力 を増大させる。コンピュータを用いる複雑な有限要素解析によって、最適な潤滑 剤流れを得るに必要とされる曲げの量が予測できる。 これらの図は、スラスト、ラジアル、およびラジアル/スラスト複合型軸受に おけるテーパ付けられた端縁部の使用を表している。具体的には、図44Aは、 図42AのS軸線に沿う側面視であり、各端縁部に形成されたテーパ部132t をもつスラスト軸受パッド132を表している。やはり、このテーパ部は、各端 部に設けられており、これによって双方向作動を許容する。図44Bは、双方向 作動を許容するべく各端縁部に形成されたテーパ部32tをもつラジアル軸受パ ッド32の側面図である。そして、図44Cおよび図44Dは、入口部の曲げ変 形性を増大させるべく各端縁部に設けられたテーパ部をもつラジアル/スラスト 複合型軸受パッド1032の端面図および側面図である。もちろん、単方向の作 動で十分な場合には、一方の端縁部のみ、すなわち、先行縁のみがテーパ付けら れるべきである。 パッド表面に潤滑剤を保持し、かつ端部からの漏れあるいは側部からの漏れを 最小にするチャンネル溝を形成するようにパッドが荷重のもとで変形するべく、 基本的なパッド形状はまた、このパッドの側縁部にレールを設けることによって 修正することもできる。 このようにして修正されるパッド形状の例が図45Aないし図45Cに示され ている。図45Aは、半径方向内側縁および外側縁に側縁レール132rが設け られたスラスト軸受パッド132の端面図である。荷重のもとでのこのパッドの 変形が、(大きく強調されて)想像線で示されている。この図からわかるように 、このパッドは潤滑剤保持チャンネルを形成するように荷重のもとで変形する。 図45Bは、軸方向の端縁部において側縁レール32rが設けられたラジアル またはジャーナル軸受パッドを示している。荷重のもとでのこのパッド変形は、 やはり大きく強調されており、想像線で示されている。この強調された例から明 らかなように、このパッドは荷重のもとで潤滑剤保持チャンネルを形成するよう に変形し、軸受の軸方向端部に沿う潤滑剤の漏れを防止する。 図45Cは、内側縁および外側縁において、レール1032rが形成されたラ ジアル/スラスト複合型軸受パッド1032を示している。荷重のもとでのこの パッドの変形が、(大きく強調されて)想像線で示されている。このように大き く強調された図から明らかなように、このパッドは荷重のもとで潤滑剤保持ポケ ットを形成するべく変形し、その結果、潤滑剤がパッド1032を半径方向外側 縁および内側縁から逃げなくなる。 図44Aないし図44Dを参照して上述したように、時には軸受パッドの先行 縁の入口部曲げ性を増大させることが望ましい。このような望ましい結果を達成 しあるいはこれをより高めるための他の修正された軸受パッド形状が図46Aな いし図46Cに示されている。具体的には、これらの図は、テーパをつけられた 先行縁に加えて、あるいはその代わりに、平坦な表面を維持しながら増大させら れた先行縁の曲げを起こすべく、先行縁近傍のパッドの下側の縁に溝を設けるこ とができるということを示している。図46Aは、双方向の作動を許容するべく 両端縁部近くの底面に形成された溝132gをもつスラストパッド132を示し ている。図46Bは各端縁部近くの外側表面に形成された溝32gをもつラジア ル軸受パッド32を示している。図46Cは、各端縁部近くの底面に形成された 溝1032gをもつラジアル/スラスト複合型軸受パッド1032を示している 。 流体力学的なパッドの設計において考慮するべきその他の点は、上記パッドそ れ自体を各パッドを規定する溝を単に設けることによって単一の部材から形成す ることができるということである。このことの例が図47Aないし図47Cに示 されている。図47Aおよび図47Dは、パッド規定溝132pを設けることに よって連続的な表面がどのようにして個々のスラストパッド132に分割できる かを示している。この場合、図47Aは頂面図であり、図47Bは図47中に示 された線に沿う側面図である。ラジアル/スラスト複合型軸受については、その 構造は図47Aに示される構造と本質的に同様である。図47Cは、半径方向内 側表面にパッド規定溝32pを設けることによって円筒体がどのようにして個々 のジャーナルパッド32に分割されるかを表している。 特定のパッド形状の設計において最終的に考慮することはパッドの底面に凹部 を設けるということである。具体的には、このような底面凹部を設けると、図4 5Aないし図45Cに示されたものと幾分似た手法においてチャンネル溝形成を 行うことができ、また、図44Aないし図44Dに示されるテーパを設けた構造 のようにして入口部曲げを許容することができる。単方向作動用に設計されたパ ッドに形成される底面凹部の例が図48Aないし図48Dに示されている。図4 8Aおよび図48Bはチャンネル溝の形成を行うべく底部凹部132bが形成さ れたスラスト軸受パッド132の頂面図および側面図である。低減されたパッド 面積はまた、底面に対する圧縮変形を可能とし、これは先細状の流体楔を発達さ せる。この修正はパッド132の一つの単縁部にのみ設けられているので、この パッドは単方向軸受に用いるために意図されている。図48Aおよび図48Bに 示されているパッド構造は、ラジアル/スラスト複合側軸受のために用うるもの と本質的に同様である。唯一の相違は、このパッドは、円錐状部分から形成され ていることである。 図48Cは、一方の端縁部にのみ底部凹部32bが設けられたラジアル軸受パ ッド32を示している。やはりこのパッドも単方向軸受である。 図49Aないし図49Cは、双方向の作動をしうるように軸受パッドの両端縁 部に底面凹部132bが設けられている点を除き、図48Aないし図48Cに示 されているものと同様の軸受パッド形状を示している。具体的には、図48Aお よび図49Bに示されているスラストまたはラジアル/スラスト複合側軸受パッ ド132は、各端縁部における底面凹部132bを含んでいる。図49Aないし 図49Bと図48Aないし図48Bとを比較すれば明らかなように、底面凹部は 各端縁部に上記の底面凹部を設けることができるように幾分小さめに調整されて いる。 同様に、図49Cにおいては、ラジアル軸受パッド32が各端縁部において底 面凹部32bを含んでいる。やはり、上記凹部は図48Cに示される単方向用軸 受において設けられる凹部よりも幾分短くなっている。 すでに述べたように、特定の応用のためのパッド形状の設計は、そのような応 用における要件に依存する。上述の幾つかの構造的な修正および考慮事項は、単 独で用いることもできるし、組合せて用いることもできる。図50Aないし図5 0C、および、図51Aないし図51Cは、これらの全ての特徴をいかにして単 一の軸受部に組み合わせることができるかを示している。このことは、上記の全 て特徴部をあらゆる設計において必要的に含ませればならないということを示し ているのではない。実際のところ、このようなことは稀に必要なだけである。し かしながら、所望であれば、これらの全ての特徴を単一の軸受部に組み合わせる ことも可能である。 図50Aは、軸受パッド132に先行縁の長さを延長するための弧状切り込み 132cが設けられたスラスト軸受あるいはラジアル/スラスト複合型軸受の頂 面図を示している。上記弧状切り込み132cは各単縁部に設けられており、双 方向の作動が可能となるようになっている。もちろん、所望であれば、上記の弧 状切り込み132cを一方の端縁部にのみ設けて単一方向の作動について最適な 結果をうるようにすることもできる。図50Aにおいて、個々のパッド132は 、パッド規定溝132pによって規定されている。 図50Bは、図50Aのスラスト軸受の底面図を示している。この図において 、 軸受パッドが底部レール132r、入口部曲げを増大させるための溝132g、 上記入口部曲げをさらに増大させるためのテーパ132t、および流体をさらに 取り入れるとともに入口部曲けを増大させるための底面凹部132rを含んでい ることがわかる。この場合、上記溝、テーパ、および凹部が一体となって所望の 変形を行わせる。 図50Cは、図50A内の指示線に沿う図50Aの軸受の断面図である。図5 0Cはまた、支承構造137上に組み付けられた軸受を示している。本願発明に したがえば本明細書で開示されているいかなる支承構造もが使用されうることを 示すために、上記支承構造は図面上箱のようにして模式的に示されている。上述 したように、適当なパッド設計を行うことにより、変形する支承構造の必要をな くすことも可能である。この場合、上記の支承構造をたとえばハウジング等の剛 体とすることができる。しかしながら、選択的には、上記の支承構造を、6自由 度で上記軸受パッドを支持するために主支持部、二次支持部、および三次支持部 をもつ、本明細書に開示されたどのタイプの変形する支承構造とすることもでき る。同様に、本明細書で説明した上記パッドの修正事項は、本明細書で開示され るどの軸受についての軸受パッドに対しても概ね個別にあるいは組合せによって 適用することができる。 図51Aは、先行縁の長さを延長するために各端縁部に形成された弧状切り込 み32cをもつジャーナルあるいはラジアル軸受パッド32の頂面図である。こ れにより、軸受パッド表面上を通過する潤滑剤の量を増加することができる。 図51Bは、図51Aの軸受パッド32の側面図である。この図から、パッド の頂面上に形成された弧状切り込み32c、パッドの底部の縁に形成されたテー パ32t、パッドの底面側に形成された底面凹部32b、パッドの底面側に形成 された溝32g、および、パッドの底面から半径方向外方に延びるレール32r を認めることができる。 図51Cは、図51Aおよび図51Bの軸受パッドの底面図であり、底部レー ル32r、溝32gおよび底面凹部32bが表れている。所望であれば、図51 Aないし図51Cに表されているタイプのパッドをもつ軸受を、図47Cに示さ れるようにパッド規定溝によって互いに分離させられたパッドをもつ単一部材か ら形成することができる。 その他の完全な軸受設計が図52Aないし図52Cに描かれている。これらの 図は、ワッシャ状のスラスト軸受を描いてあり、所望のパッド形状が薄いワッシ ャ状の円柱部材内に達成されている。図52Aは上記ワッシャ状軸受の底面図で あり、周方向に間隔配置された底面凹部32bおよび複数の周方向に間隔配置さ れたスラストパッド132を規定する溝132p(想像線)を示している。上記 溝132pおよび底面凹部132bの断面は、図52Bの断面図に最もよく表れ ている。この図に示されているように、上記溝132pおよび132dは非常に 浅状である。そして、図52Cは上記ワッシャ状スラスト軸受の頂面図であり、 周方向の間隔配置されたパッド規定溝132pが描かれており、かつ、底面凹部 132bが想像線で示されている。 上述したように、上記パッド規定溝132pは周方向に間隔配置された一連の 軸受パッド132を規定している。この底面凹部132bは上記パッド表面の下 切り込みを形成しており、この下切り込みの程度は、こうして下切り込みされた 軸受パッドの表面部分が先細状の楔と潤滑剤保持用チャンネル溝を形成するよう にわずかに下方へ変位することができるに十分な程度とされる。これらの変形が 集合して、一連の先細状の楔を形成することになり、その結果、軸ランナが圧力 上昇させられた流体フィルムの層の上に支持されることになる。さらに、上記底 面凹部132bの特質のために、潤滑剤がパッド表面状に保持され、このパッド の半径方向内側縁および外側縁から漏出しなくなる。有限要素解析によれば、十 分な荷重のもとでは、このような単純なワッシャは、変形する支承構造がなくと も、多パッド型流体力学的軸受として作動するように変形するであろうことを示 している。このように、図52Aないし図52Cに示されるタイプの単純なワッ シャ状軸受パッド形状は、剛な支承構造上に取付けることができ、それでもなお 満足する結果を得ることができる。もちろん、所望であれば、変形する支承構造 を用いることもできる。 本願発明の重要な側面は、機械加工可能な軸受形状、すなわち、標準的に使用 可能な機械加工技術を用いて単一の厚壁チューブ体あるいはこれに類する円筒状 ジャーナル部材を機械加工することによって製造することができる軸受形状を開 示することである。このような軸受は、孔、スリットおよび溝を設けることによ って単一の厚壁状チューブあるいはこれに類する円筒状ジャーナル部材から形成 されるという事実によって特徴づけられる。このような軸受の利点は、プロトタ イプの製造が容易であり、かつ、試験の後このようなプロトタイプを修正するこ とが容易であるということである。当然のことながら、たとえば型成形技術ある いは鋳造技術を用いて軸受を大量生産するべき場合には、異なった製造上の配慮 が各異なる形状に対してなされる。形状における変更が軸受性能に影響を及ぼす ということを認識しておくことが重要である。 製造において考慮するべき他の点は、型成形の容易性である。当然のことなが ら、本願発明の軸受構造のほとんどはある型成形技術によって型成形することが 可能である。しかしながら、ある形状のみが単純な二つの金型、すなわち、カム を含まない金型によって射出成形可能である。本願発明の軸受のその他の利点は 、単純な二つの金型を用いて射出成形することが可能な形状として規定される型 成形容易な形状をもって構成することができるということである。一つの容易に 型成形可能な形状とは、一般的には、成形にカムが要求される「隠れた」空隙が 存在しないということによって特徴づけられる。たとえば、ラジアル軸受につい ていえば、容易に型成形可能な形状には、内周および外周に半径方向に延びる溝 を含まず、かつ、連続する軸受方向断面を含んでいる。図32、図32Aおよび 図32Bに示される軸受は、容易に型成形可能なラジアルあるいはジャーナル軸 受の例である。 同様に、容易に型成形可能なスラスト軸受は、たとえば、頂面および底面のみ をみることによって全ての面が視認できるような単一のシームラインをもって型 成形しうるという事実によって特徴づけられる。 図38Aないし図38Cは、容易に金型成形しうるスラスト軸受を示している 。 この軸受は、周状に間隔配置された複数の軸受パッド132mと、上記各軸受パ ッド132mを支持する支持構造とをもっている。この支持構造は、周状ビーム 134mbおよび134maを含む主支持部と、半径方向に延びるビーム136 mを含む二次支持部と、基根状の一対のビーム138mを含む三次支持部とを含 んでいる。なお、図38Aないし図38Cにおいては、支承構造の寸法は、その 形状を明瞭化するために幾分変更してあることに留意するべきである。たとえば 、図38Cに示されるように、周状ビーム134maおよび134mbは、相当 厚みがあるように示してある。このようなビーム構造は、軸受パッド132mに 対する非常に剛性のある支持を与えることになるが、実際上、このような剛性の ある支持はおそらく必要がなくまたは望ましくはない。 図示された特定の成形容易なビーム構造は、種々に変更しうる。たとえば、周 状に間隔配置されたビームセグメント134maあるいは134mbのいずれか 一方または双方は、周状に連続するビーム要素として形成することもできる。加 えて、上記二次支持部には、各軸受パッド132m間に半径方向に延びる複数の ビームを含ませることもできる。さらに、上記主支持構造は、三つあるいはそれ 以上の周状ビームセグメントを含ませて構成し、各ビームセグメントがそれぞれ 一対の隣接する軸受パッドを連結するようにすることもでき、また、半径方向の 幅が異なる周状ビームセグメントを用いることもできる。さらに、基根状ビーム 部138mは、上記ビーム136の周方向に延びる端部に設ける以外に、その半 径方向に延びる縁に沿って配置することもできる。結局、本願発明にしたがうど の軸受についても同様に、軸受構造は、パッド支承構造における各要素の長さあ るいは厚みを変更することにより、この支承構造の撓み特性を変化させることが できる。 幾つかの可能性のある支承構造の構成を示すために、図38Dは、各軸受パッ ド321m−326mのそれぞれについて、互いに異なる支承構造を描いてある 。 特に、図38Dは、上記の変更例を示した底面図である。これらの種々の支承構 造は、本願発明を図示する目的のために、単一の軸受の図中に示されているに過 ぎないことを理解するべきである。通常の使用においては、上記軸受パッド32 1m−326mのそれぞれは、同一である必要はないにせよ、一様な性能を確保 するために近似した支承構造をもつことになる。 軸受パッド322mのための支承構造は、軸受パッド321mの外側の周縁部 に対する高い支持剛性を与えるためにこの軸受パッド面の裏側から楕円形状の突 起を形成している点において、軸受パッド132mのための支承構造とは異なっ ている。かかる構造により、軸受パッド321mは、その外側周縁部において非 常に高い剛性が得られる。 軸受パッド322mのための支承構造は、単一の大きな突起の代わりに上記軸 受パッドの外側周縁部近傍において二つのより小さな突起122mが軸受の底部 から延びている点を除き、パッド321のための支承構造と近似している。突起 120mのように、これらの二つの突起122mは、軸受パッド322mの外側 周縁部に対して剛性を与える。しかしながら、この構造は、上記各突起の間の支 持されていない領域において軸受の変形を許容する。 軸受パッド323mは、その主支持部において周方向に連続状に延びるビーム 134maを含む変更された支承構造によって支持されている。同様に、軸受パ ッド324mは、連続的に延びる内側の周状ビーム134mbを含んでいる。こ のような連続状のビームを設けると、軸受支承構造の剛性が高められる。 軸受パッド325のための支承構造は、内側ビーム134mbに大きな開口1 42mを設けるとともに、外側ビーム134maにより小さな開口144を設け ることによって変更されている。このような二つの開口を設けると、ビームの変 形容易性が高まる。もちろん、大きな開口を設ける方が小さな開口144を設け るよりもビームの変形容易性がより高まる。軸受パッド325mを所定の方向に バイアスさせるために、異なる寸法あるいは異なる数の開口を含ませることによ り、この支承構造をさらに変更することができる。 軸受パッド326mは、主支持部に一対のビームに代えて膜状体134mを含 むことによって変更された構造によって支持されている。図示した例においては 、上記膜状体の一つに軸受パッド326mを所定の方向にバイアスするための開 口146が設けられている。もちろん、このような開口146mを設けることは 必ずしも必要ないが、所望であればいくつかの開口を設けてもよい。 これらの図から明らかなように、型成形しうる軸受には、複雑な金型および/ または変位しうるカムを含む金型の使用を必要とする隠れた空腔は含まれていな い。特に、この軸受構造のそれぞれの表面は、図38Aの頂面図あるいは図38 Bの底面図において直接的に視認できるから、この軸受は、二つの金型を用いて 簡単に型成形することができる。より詳述すれば、第一の金型には、図38Aの 頂面図のみにおいて直接的に視認できる各表面が規定される。そして、第二の金 型には、図38Bの底面図においてのみ視認できる各表面が規定される。図38 Aおよび図38Bの双方において視認できる縁をもつ面は、いずれか一方または 双方の金型によって成形することができる。図示した軸受において、その型成形 の容易性は、二次支持部および三次支持部が各軸受パッドの間の空間に周状に配 置されているゆえに達成されるのである。図38Dにおいて一括して示されたさ まざまな変形例は、軸受の型成形容易性を減じることはない。 図38Aないし図38Dに示される型成形可能なスラスト軸受のさらに複雑な 変更例が可能である。特に、型成形を容易化するために適用しうる軸受構造の先 に説明したいずれの変更例を採用することもできる。たとえば、主支持ビームは 途切れのない連続的なものであってもよい。このように、型成形の容易な軸受を 提供することには、必ずしも軸受構造を簡単化することが求められるのではない 。より複雑な軸受構造の一例が図39Aない図39Cに示されている。 図39Aないし図39Cに示されているように、この軸受は、軸受パッド支承 構造によって支持された複数の周方向に間隔配置された軸受パッド232mを含 んでいる。この支承構造における二次支持部および三次支持部は、図38の軸受 支承構造における対応部分と近似している。しかしながら、図39の軸受は、そ の主支持部に複数の複雑なビーム234を含んでいる点において図38の軸受と は異なっている。より詳述すれば、各軸受パッドは半径方向外側の連続状の複雑 な周方向ビーム234maによって支持されている。このパッドはさらに、周方 向に間隔配置された複数の複雑なビーム234mbによっても支持されている。 かかる連続状ビーム234maおよびビームセグメント234mbの複雑な形状 は、図39Cを参照することによってよく理解される。ただしこの図39Cは、 上記複雑なビーム234の外形を幾分模式的に示している。作動において、上記 ビーム234maおよび234mbはビームネットワークとして機能する。この ように、軸受の単純な二つの金型による成形性、すなわちより容易な金型成形性 を維持しつつ様々な複雑なスラスト軸受構造を提供し得ることがわかる。もちろ ん、各構造は、特異な変形特性をもつのであり、このことは最適な流体楔の形成 のために軸受設計において考慮されねばならない。 ある種のガスあるいは空気潤滑式変形パッド型軸受においては、荷重または速 度が空気フィルムの能力を超える場合がある。このような場合においては、液体 溜めあるいあ液体浴を設けることなしに、楔空間内に液体潤滑剤を導入する必要 がある。図40、図40A、図41、図41Aは、上記の目的を達成するための 軸受構造を示している。特に、これらの図は、本願発明のもう一つの重要な側面 にしたがった新規な自己潤滑式変形パッド型軸受を示している。この軸受は、基 本的には本明細書で説明したタイプの変形パッド型軸受であり、その開口部内に 潤滑性プラスチックを含ませることによって改良されている。 上記の軸受に採用されるプラスチックは、潤滑液中に浸漬されるとその潤滑液 を吸収することができる従来の成形可能な多孔質プラスチックである。このよう なプラスチックの一つは、商標「POREX」のもとで販売されている。一般的には 、この多孔質プラスチックは、プラスチック材料中に孔を形成するべく空気を噴 射することにより、種々のプラスチックから作製することができる。特に、この 潤滑液は、毛管現象に似た態様で上記多孔質プラスチック内に吸収され、そして このプラスチックによって内部に保持される。 潤滑式変形パッド型軸受は、上述したタイプの従前のジャーナル、スラスト、 あるいはラジアル・スラスト複合型変形パッド軸受を採用し、かつ、従前の多孔 質プラスチックを変形部材間の空間内あるいはその周囲に注型し、あるいは注入 することによって構成される。このような構造の結果として、作動中、軸の運動 および変形部材の収縮が、上記潤滑液を多孔質プラスチックから引き出して流体 楔の先行縁に向かわせる。このような潤滑液で満たされた楔の形成は、軸受の荷 重限界および速度限界を著しく高める。上記潤滑液がパッド面を通過した後、こ の潤滑液は上記楔空間の後続縁を離れた後、多孔質プラスチックに再吸着される 。 本願発明の一つの重要な側面は、標準的な軸受材料に多孔質プラスチックを組 み合わせて複合構造を造るということである。このように複合させることにより 、両材料に特有の特性の利点をとることができる。より具体的には、従前の多孔 質プラスチックのみでは変形パッド型軸受材料としては不十分である。なぜなら 、上記プラスチック中の孔は、非常に薄い流体フィルムを形成するのに有害な空 間だからである。一方、孔をもたない従前のプラスチックあるいは金属軸受材料 は、潤滑剤を相当程度にまで吸着する能力がない。しかしながら、両方の材料を 上述 した方法によって使用することにより、効果的な自己潤滑式流体軸受が得られる 。さらに、標準的な軸受材料と潤滑剤吸着型多孔質プラスチックとを組み合わせ て用いることにより、相乗的な結果が得られる。たとえば、軸受面の変形が液体 潤滑剤を強制的に流体楔の先行縁に送るのを助ける。さらに、軸受面の変形が溝 を形成して潤滑剤を保持するのを助ける。 図40および図41は、本願発明の自己潤滑式変形パッド型軸受の二つの例を 示している。特に、これらの図は、すでに説明した軸受と近似した軸受を示して おり、変形部材の間の空間に装填された液体吸着型多孔質プラスチックを含ませ ることにより改良されている。ある程度まで、上記軸受は、骨格部として機能す るとともに、多孔質プラスチック部は潤滑剤を保持しかつ送り出すスポンジとし て機能する。 図40および図40Aは、図32および図32Aに示した軸受と本質的に同一 の軸受構造を基本とした自己潤滑式軸受を示している。しかしながら、図40の 軸受構造は、各軸受の間の空間と、各軸受パッド732の間の空間に連続する支 承構造内の開口とに多孔質プラスチックを充填することによって変更されている 。しかしながら、多孔質プラスチックと軸受パッド面との間に関連性がなければ 、このような多孔質プラスチック領域を設けることになんらの利点もない。 同様に、図41および図41Aは、図36および図37に示されたラジアル・ スラスト複合型軸受の構造と本質的に同一な構造をもつ軸受を示している。しか しながら、ここにおいても、多孔質プラスチックがパッド支承構造内において各 パッド間の端部間の空間に注入されている。そして、図に示すようにして多孔質 プラスチックを注入する結果、軸受において、途切れのない連続する外径をもつ ようになる。しかしながら、図40の軸受のように、内径に沿う方向についての 材質特性は、大きく異なっている。 より具体的に述べれば、図40の軸受のように、図41の軸受の内径には、流 体楔を形成するべき軸受パッド面と、周方向に間隔配置された潤滑剤送出、吸着 および保持部とを備えている。作動において、軸が運動しかつ変形可能部材が圧 縮変形することにより、潤滑液を多孔質プラスチックから引き出してこれを次第 に幅が縮小する楔における先行縁に導入する。このような潤滑剤で満たされた楔 の形成は、軸受の荷重限界および速度限界を著しく高める。 上記の自己潤滑式変形パッド型軸受の製造には、三つの一般工程を必要とする 。第一に、基本軸受あるいは骨格部が標準的な軸受材料によって形成される。第 二に、多孔質プラスチックが軸受構造における所望の空間に注入される。製造の 都合上、上記のプラスチックは、潤滑剤を含ませないで軸受に注入される。最後 に、所望の空間内に注入された多孔質プラスチックをもつ軸受が、流体潤滑剤に 浸漬される。上記プラスチックに液体潤滑剤を適正に含浸させるために、潤滑剤 をその一側部から毛管現象を利用して浸透させる必要がある。潤滑剤にどぶ漬け すると、内部に潤滑剤が浸透しない部分が生じる。このことは、一側方から空気 抜きを行わないことによって生じる。図40においては、基本的な軸受構造は、 図36に示された構造と同様のラジアル・スラスト複合構造のものである。しか しながら、多孔質プラスチックが支承構造内部の空間を満たしている。このよう に多孔質プラスチックを設けると、途切れのない内周面をもつ複合軸受が得られ る。しかしながら、上記内周面に沿う方向の変形特性は大きく異なる。より具体 的には、金属あるいは孔のないプラスチックのような標準的な軸受材料で形成さ れた変形パッドは、変形および流体楔の形成用の部分である。一方、多孔質プラ スチックでできた部分は、軸受パッドの先行縁において潤滑剤を送出し、かつ、 軸受パッドの後続縁において潤滑剤を再吸着するように圧縮変形する部分である 。 図に示した各実施例に関してすでに説明したように、本願発明の軸受は、1: 2から1:5の楔比を生じさせるように形成することができ、形状を変更するこ とができる変形可能な軸受面をもっており、軸受パッドの6自由度の変形を許容 し、かつ、ダッシュポット型の防振機能をも備える。そしてかかる軸受は、典型 的には、一体構造をもっている。 軸受パッドが変形することによって楔空間が形成されることにより、かつ、上 記パッドが6自由度で変形することができることにより、本願発明の軸受は、例 外的な性能特性を示す。具体的には、一体構造の軸受において規定される要素の 数、寸法、形状、位置および材料特性を含む軸受寸法および変形変数は、広い範 囲の荷重を支持するための特定の応用において選定することができる。もちろん 、支持部材の変数および形状は特に重要である。支持部材の形状が支承構造の変 形 特性に与える影響が大きいことは、一つの例において慣性モーメントのための変 数式bh3/12(英国単位)(矩形断面のための断面弾性率の主成分:Z=I /c=bh2/6)を用いればよく理解できよう。さらには、パッドが6自由度 に動きうることは、軸の位置ずれを補償しかつ修正することができるようになる 。この点において、本願発明の軸受は、軸受がその剛性ゆえに変形前の状態に戻 ろうとする傾向をもつことによって得られる、自己修正特性をもっていることに 注目するべきである。もちろん、軸受の剛性は、支承構造の形状の関数であるが 、それより影響は少ないにせよ、一体要素に形成される溝および切り込みあるい はスリットに規定される各要素の数、大きさ、位置および材料特性を含むその他 の変形変数の影響をうける。より剛性の高い軸受は、より大きな自己修正傾向を もつが、軸の位置ずれ調整機能は減じられる。 本願発明の特徴を組み入れた軸受は、本願の発明者によって先行米国特許第4 ,496,251号明細書中に開示された構造との比較においてさえ、劇的に改 良された性能を示すということが試験によって判明した。最近行われた試験にお いて、0.091インチ(2.31mm)のラジアル方向エンベローブを有する ラジアル軸受について本願発明が適用された。この場合、軸受の内方変形が0. 0003インチ(0.0076mm)であり、格別の安定性と軸受性能を発揮し た。比較のために本願発明者の先行米国特許第4,496,251号明細書に示 された構造を用いて置き換えると、0.30インチ(7.6mm)の半径方向の スぺースが必要であろう。 従前の流体ジャーナル軸受においては、軸受パッド面とこれに支持されるべき 軸との間に流体フィルム状隙間を設ける必要がある。このことは、きわめて厳し い製造公差が要求され、大量生産の障害になる。 本願発明の軸受では、そのような厳密な製造公差の必要性を排除するように設 計することができる。より詳しくは、適当な孔、溝あるいは切り込みまたはスリ ットを設けることにより、実際上いかなる所望の性能特性をもつ軸受を設計する ことも可能である。このような特性の一つは、荷重の方向、すなわち、ジャーナ ル軸受に関してはラジアル方向、スラスト軸受に関しては軸方向についての軸受 パッドの剛性あるいはバネ特性である。 軸受の技術分野においては、軸と軸受との間の流体フィルムは計算可能なラジ アル方向または軸方向の流体フィルム剛性あるいはばね特性をもっていることか ら、バネとしてモデル化できるということが知られている。このことは、圧縮性 流体と非圧縮性流体の双方に当てはまるのであるが、特にガス流体潤滑剤におい て有効である。流体フィルム剛性と軸受剛性とは互いに反対方向に作用するので 、流体フィルム剛性あるいはばね特性が軸受剛性あるいはばね剛性を上回ってい ると、軸受は、流体フィルム剛性の方向に(すなわち、ジャーナル軸受について はラジアル方向、スラスト軸受については軸方向)、流体の剛性と軸受剛性とが 平衡するまで変形する。したがって、ジャーナル軸受をそのラジアル方向の剛性 が流体フィルムのラジアル方向の剛性よりも小さくなるように設計すると、軸と 軸受との間に正確な隙間を設ける必要がなくなるということが判明した。その理 由は、流体フィルムのラジアル方向の剛性は、軸の回転に応じて自動的かつ瞬間 的にジャーナル軸受の適正なラジアル方向への変形を発生させるからである。実 際上、瞬間的に流体楔が形成されることから、実質的に瞬間的に防護流体フィル ムが形成され、これにより、軸受の楔形成表面への損傷が防止される。かかる損 傷は、典型的には、流体フィルムの形成中、低速度において発生する。 軸受のラジアル方向の剛性は、もちろん、主として支承構造の断面弾性率すな わち曲げ弾性率の関数であり、このような弾性率は支承構造の形状に依存する。 パッドのラジアル方向の剛性はまた、軸受に形成されたスリットあるいは切り込 みの長さに依存する。同様のことがスラスト軸受にも当てはまるが、通常、軸受 の軸方向剛性がより重要である。したがって、本願発明によれば、流体軸受にお いて典型的に要求される厳しい製造公差なしに高い性能を達成することが可能で ある。 たとえば、本願発明の軸受は、軸に嵌め込まれたとき軸に干渉するように設計 することもできる。そうすると、軸受が軸に押し付けられて静的な組み立て状態 においてさえ隙間がしだいに変化する楔形状を形成するように、パッドがわずか に変形する。軸受パッドの後続縁が軸に接触する。軸が回転を始める瞬間におい て、流体フィルムが上記の楔空間に入り込み、流体圧を発生させて上記軸とパッ ドとを分離させる。このように、本願発明の別の重要な側面によれば、本願発明 の軸受は、軸が静止状態にあるとき支持されるべき軸の部分に対して軸受の後続 縁が接触するように設計しかつ寸法づけを行うことができる。 図1Cは、回転の軸の浮動が最小化されるかあるいはなくす必要がある応用に おいて用いるための3パッド積極センタリング型変形パッド軸受の側面図を表し ている。図1Cに示されるように、この軸受には、二つの異なるタイプの軸受パ ッドが含まれている。すなわち、符号32で示される周方向の短いパッドと、符 号31で示される周方向に長いパッドとである。上記短いパッド32は、変形し うるセンタリングパッドとして機能する。これらのパッドは、0隙間、すなわち 、軸接触状態から開始し、流体力学的な圧力のもとで、設計速度において、より 大きな作動隙間にひろがる。中心において枢動支持されている大きいほうのパッ ド31は、低い摺動回転剛性と、高いラジアル方向剛性とをもっており、アンバ ランス応答を減ずるとともに、安定性を維持する。 中央で枢動枢支された大きいほうのパッド31の作動は、図1Aおよび1Bに 関して上述した傾斜型パッドと近似している。このパッド31は表面における変 形容易性を得るために、単一の帯状部37によって支持されている。しかしなが ら、この帯状部は、枢動に対する抵抗をなくすように、薄くなっていることが重 要である。最小限、上記帯状部のラジアル方向長さは、それらの周方向幅を越え ている必要がある。要するに、大きい方のパッド31は、上記パッド31の単純 な枢動を許容する支承構造37をもっている。このような単純な枢動構造が作動 速度において適正な支持を提供するということが知られている。 開始時点において軸を適正にセンタリングするとともに支持するために、小さ い方のパッド32はより変形容易な支承構造をもっている。具体的には、このパ ッド32の支承構造は基根型の軸の形態における主支持部371と周方向の長状 ビーム372の形態における二次支持部と、上記二次支持部372を上記軸受3 0の基部あるいは外周に連結する基根軸の形態における三次支持部373とを含 んでいる。上記ビーム372が長状となっているために、パッド32の表面に作 用する力が、図1Cに示されているように枢動点PP周りの枢動を引き起こす。 上記枢動点PPは上記軸受パッド32の後続縁32Tを周方向に越えたところに 位置させられている。その結果として、上記パッド32に作用する力が図1Cに 示される方向において、モーメントMを発生させる。これにより、静的状態のも とで、パッド32と軸との間の接触はパッドの後続縁においてのみ起こるように なる。これにより、作動楔が静的状態においてさえ形成される。 さらに、軸と上記パッド32のそれぞれの後続縁との間の接触が、総合して、 軸中心を適正な位置に維持する。このようにして流体力学的効果が開始時点にお いてすぐにおこり、一方、同時に、軸は適正にセンタリングされて軸消耗が起こ らなくなる。したがって、この流体力学的軸受は、公知の流体力学的軸受とは異 なり、たとえば、ガス型の機械面シールのような軸浮動が望ましくない応用に用 いることができる。回転要素軸受が急速に磨耗してしまうような高速においてさ らなる重要な利点を享受することができる。そして、この流体力学的軸受は、軸 ・パッド間の接触がないために、磨耗することなく作動する。 図1Cに示される特定の軸受構造には、二つのタイプのパッド支承構造が含ま れている。これにより、広い範囲の支持条件を得ることができる。しかしながら 、パッドのそれぞれが同様にして支持されるように軸受が設計されるということ を理解するべきである。軸センタリングが必要な場合には、静的負荷によって起 こされる枢動が図1Cに示されるようにしてパッドの後続縁から離れた位置にお いておこるように、各支承構造が軸受パッド32の支承構造のようにして設計さ れるべきであり、これにより、静的負荷のもとで、パッドが変形して、その後続 縁のみが軸に接触することになる。これにより、あらかじめ楔が形成され、かつ 、同時に、軸を適正にセンタリングするようになる。 本願発明のスラスト軸受についても、静止状態において負荷をうける楔を形成 するように設計することができる。この静止状態で負荷された楔を形成するため には、軸受パッドがそのラジアル方向内側周縁部からラジアル方向外側周縁部に かけて軸に向かって傾斜するように軸受用支承構造が設計される。さらに、この 支承構造は、ラジアル方向に延びる先行縁から後続縁にかけて軸に向かってパッ ドが傾斜するように設計される。これにより、静止状態で負荷される最適な楔に 近い楔が形成される。さらに、上記のパッドは、外側の周縁部において所望の流 体保持特性が得られるように軸に向かって傾斜させられる。また、軸受支承構造 の剛性も、軸の回転によってパッドと軸との間の適正な空間が形成されるように 設計することができる。 その他の方法として、この軸受は、軸の静止時において軸受パッド全体がこの 支持されるべき軸部分に接触するように設計することができる。本願発明のこの 側面は、機械加工の公差を大幅に広げることができるので、軸受を大量生産する 場合において、ガス状潤滑流体を用いた軸受を生産する場合に特に有用である。 一つの例において、流体楔の形成に対して著しい影響を与えるべく0.003イ ンチもの大きな公差をもって設計することができるのであり、これに反して、従 前のガス軸受の製造においては、0.00000xインチもの厳しい公差が要求 され、かかる厳しい公差はエッチングによるマイクロインチレベルの精巧かつ高 コストな機械加工法を使用しなければ達成することができない。 本願発明のその他の側面によれば、単純な連続状の円錐型ラジアル/スラスト 複合軸受に対して自動調節特性を与えるべく流体剛性とバネ係数との間の関係を 用いることができる。これまで、単純な連続状の円錐表面をもったラジアル/ス ラスト軸受を動作させるにあたっての最も大きな困難性は、正確な調整と許容公 差が求められるということにあった。本願発明は、このような欠点を取り除く自 動調節ラジアル/スラスト軸受を提供する。 このラジアル/スラスト軸受装置には、円錐ランナをもつ軸が含まれる。この ランナは軸の部分として形成することができるかまたは別体に形成することがで き、軸に対して回転可能に固定される。この軸受は上記ランナの表面に対して近 似してはいるが相補の関係にない連続した円錐表面をもっている。なぜなら、相 補的な表面にはくっつきあう傾向が生じるからである。一般的には、上記軸受表 面は、上記ランナよりもやや大きい径をもっている。 上記軸受は所定のバネ特性をもつバネによって上記ランナに向けてバイアスさ れている。流体力学的流体が上記軸ランナの表面と上記軸受パッド表面との間に 介装される。上記流体は計算可能な流体フィルム剛性あるいはバネ特性をもって いる。この流体フィルム剛性は、上記バネによって与えられる力に対抗して作用 する。 上記軸が静止状態にあるとき、上記バネは上記軸受を押してこれを軸ランナに 対して接触させる。上記軸受およびランナは異なる形状をもっているため、この 接触は(円錐角が等しい場合には)単一の線に沿って生じ、あるいは異なる点に 沿って起こる。好ましくは空気あるいはオイルのような液体潤滑剤のいずれかで ある流体が上記ランナと軸受との間の残りの空間を満たす。軸が回転を始めると 、上記の流体の圧力および剛性が上昇する。通常の作動条件のもとでは、軸が静 止状態にあると、上記流体フィルムは計算可能な剛性をもつ。軸が静止状態にあ る場合の流体フィルムの剛性よりも大きく、通常の作動条件のもとでの流体フィ ルム剛性よりも小さい一定の剛性をもつバネを選択することにより、自動的な調 節が達成される。具体的には、軸の速度が通常の作動条件に近づき始めると、流 体フィルム剛性が上記バネ剛性よりも大きくなり、この軸受が軸ランナから離れ て動き、やがて平衡した位置に到達する。平衡状態では、流体剛性はバネ剛性と 等しく、軸受が軸ランナから間隔をあけられるとともにこの軸は流体フィルム上 に支持される。 上記のバネ力は、別体のスプリングワッシャあるいはコイルバネによって、別 体あるいは一体の弾性部材によって、あるいは、本願発明の変形支承構造をもつ 軸受の場合には、一体的なビーム状支承構造によって与えることができる。 本願発明の一つの側面によれば、軸が静止状態にあるとき軸受表面が軸表面に 接触するが軸が通常の作動条件のもとで回転するときには、二つの表面が圧力上 昇させられた流体フィルムによって強制的に離されるような自動調節軸受構造を 設けることが可能である。このことは、軸と軸受表面とを互いに押す傾向の力が 通常の作動条件のもとでの流体の対抗剛性よりも小さくなるように軸受を設計す ることによって達成される。この原理は、複数パッド軸受あるいは連続表面軸受 に適用可能である。 本願発明のこの側面の一つの有用な実施例が図53Aないし図53Dに幾分模 式的に表されている。具体的には、図53Aおよび図53Bは単純化されたラジ アル/スラスト複合型支持装置を示しており、これにおいて、円錐状に形造られ たランナ5rが軸5に対して固定されているとともに、円錐表面をもつ軸受32 がハウジング10内に組み込まれており、これが上記ランナ5rそしてひいては 上記軸5をラジアル方向とスラスト方向の双方において支持している。上記軸受 32は、図示する目的のために、単純な連続状の円錐表面となっている。上記軸 受32は典型的には上記ランナ5rと同様の角度でテーパがつけられているが、 このテーパはわずかに大きくしてあり、その結果、静止状態においては、上記軸 受とランナは偏心し、そうして、楔状した空間がこれらの間に形成される。さら には、各表面が接触するとき、それら表面は、単一の線に沿って接触し、この接 触線の両側から延びる先細状の楔状空間が形成される。この軸受32はバネ32 sによってランナ5rに向けてバイアスされる。静止状態では、軸受32の表面 は上記軸ランナrの円錐表面に対して接触する。この二つの表面は上記バネ32 sの力および重力によって互いに押圧される。軸5が回転を始めると、流体力学 的流体の剛性が高まり、やがてこの流体の剛性が上記軸受32の表面を上記軸ラ ンナ5rの表面に接触させるべく押圧作用をするバネ32sの力を上回る。この 時点で、上記の流体が上記バネ32sの付勢力およびその他の付加的な力に対抗 して各表面を分離させ、やがて平衡状態が達成されるとともに軸ランナ5rと軸 5とが圧力上昇させられた流体のフィルムの上に支持される。 図53Cおよび図53Dは、図53Aおよび図53Bに示されたものと近似し たラジアル/スラスト複合支持装置を示している。しかしながら、この装置にお いては、ランナ5rは図53Cおよび図53Dに示されているように、軸5の端 部において形成されている。加えて、この場合のバネはベレヴィル(Belleville )型のスプリング・ワッシャである。作動原理は上記と同様である。 このような自動調節システムの利点は、厳密な公差を維持する必要がなくなる ということである。なぜなら、流体それ自体が上記バネ32sの力およびその他 の力とバランスして確実に軸受32の表面と軸ランナ5rとの表面との間に適正 な空間を形成するからである。バネ力対流体フィルム剛性のバランスを作動可能 に調整するには、様々な束縛がある。たとえば、いったん用いるべき流体がわか ると、その流体の剛性特性は、それらが物理的な特性であるがゆえに固定される 。このような場合、上記のバランスは、適正なバネ剛性を選択することによって 得る必要がある。上記バネ力は、ベレヴィル(コーン状に初期形成された)スプ リング、スプリングワッシャおよびエラストメリッククッション、あるいは、本 明細書に説明されているような、ビーム状支承構造等のようなどの公知のバネに よっても得ることができる。図53Aにおいては、バネ32sは渦巻きバネとし て 模式的に示されている。図53Cにおいては、上記バネは、ベレヴィルバネある いはコーン状に初期形成されたバネとして示されている。選択されるバネの特定 の形式にかかわらず、このバネは、公知の原理を用いて上述したような作動に必 要なバネ特性をもつように設計することができる。このようにして、非常に簡単 かつ信頼性のあるラジアルおよびスラスト複合軸受装置が提供され得る。当然の ことながら、これらの原理は後述するようなより洗練された軸受構造に適用する ことができる。 少量生産の場合、本明細書に開示された軸受は、放電加工法あるいレーザ切削 法によって形成するのが好ましい。図面に示される二重線は、典型的には直径0 .002ないし0.060インチ(0.50ないし1.52mm)の放電ワイヤ あるいはレーザビームの実際の経路である。放電加工あるいはレーザ切削された 経路内に流入する潤滑剤は、共振周波数での振動あるいは不安定性を減衰する流 体ダンパとして機能する。途切れのない円筒状の膜状体が形成される上述の状況 においては、この減衰作用は、高い減衰特性をもつタッシュポットの形態をとる 。この設計において配慮するべき重要な点は、主要構造の長さと向きとを図3に 示される内方への変形を発生させるように定めることである。また、図9に示さ れるような荷重の方向へのパッドそれ自体の変形が生じれば、軸受性能をさらに 向上させる偏心度の変化をもたらす。フェアーズ著「機械要素の設計」において は、軸受中心と軸中心との隔たりを軸受の偏心度と呼んでいる。この用語は、軸 受設計における技術者にはよく知られている。軸受を特定の用途に適用させるた めに軸受形状あるいは軸受構造およびとりわけビームの剛性を調整しあるいは修 正するという新規なアプローチによれば、最適な性能が容易に得られる。最近の コンピュータ解析は、いかなる剛性あるいは変形をも達成できることを立証して いる。 上述したように、本願発明の軸受を少量生産しあるいはそのプロトタイプを製 造する場合、軸受は、好ましくは放電加工法あるいはレーザ切削法によって形成 される。このような少量の軸受あるいはプロトタイプは、通常金属から作られる 。しかしながら、特定の軸受を大量生産するような場合には、射出成形、鋳造、 粉末金属のダイカストまたは押し出し成形等の他の方法がより経済的である。こ のような製造方法に関しては、プラスチック、セラミック、粉末金属または複合 物 を用いることが本願発明の軸受の形成にはより経済的である。射出成形、鋳造、 焼結をともなう粉末金属のダイカストおよび押し出し成形等の方法は、周知であ り、本明細書においてその詳細を説明する必要はない。また、いったん軸受のプ ロトタイプを製造したならば、その軸受の大量生産のための金型を作る方法は、 成形および鋳造の技術分野の当業者に周知である。ただし、本願発明の軸受にお いて押し出し成形によって大量生産するのに適合するのは、ある種の形態のもの に限られることに留意するべきである。一般的に、押し出し成形に適合するのは 、周方向に配置された溝と、軸受全体にわたって軸線方向に切り込まれた半径方 向の切り込みあるいはスリットおよび周方向に配置された切り込みまたはスリッ トだけによって構成された軸受である。換言すると、このような軸受は、一定の あるいは押し出し成形可能な断面を有する軸受である。 本願発明のさらに別の側面によれば、たとえば5000個未満の中程度の量の 軸受を生産する場合には、新規なインベストメント鋳造法が特に有用であること がわかった。この製造方法によれば、最初の工程は、軸受の試作を製造すること である。すでに述べたように、また以下に詳述するように、この試作は、さまざ まな方法によって製造できるが、好ましくは、肉厚の大きいパイプ材あるいはそ れに類した円筒形のジャーナル素材を機械加工することによって製造される。大 型の軸受の場合には、通常、円筒形のジャーナル素材を旋盤を用いて機械加工す ることによって軸受面と周状溝とを形成し、フライス盤を用いて軸方向および半 径方向の孔を形成する。小型の円筒状ジャーナル素材を機械加工する場合、ウォ ータ・ジェット切削法、レーザ切削法および放電加工法が一般的にはより適合す る。しかしながら、いずれの場合においても、ジャーナル素材は、比較的大きい 溝を形成するべく回転させてフライス削りする。 試作軸受が形成された後に、その軸受が予定された通りに機能することを確認 するために試作のテストをするのが望ましい。このようなテストの結果として、 所望の結果を達成するためにこのプロトタイプを修正しあるいは改良する必要が でてくることがある。 いったん満足のいくプロトタイプが得られると、そのプロトタイプのゴム型を 形成する。典型的には、この工程は、溶融ゴム中にそのプロトタイプを浸漬する とともに、試作のゴム型を形成するようにそれを硬化させる工程が含まれる。プ ロトタイプを包み込んだゴムは次に分割され、そして、開放状のゴム型を作るた めにプロトタイプが取り除かれる。いったんゴム型が得られると、このゴム型は 蝋型を作るために用いられる。 この工程は、典型的には、溶融蝋をゴム型内に注入し、軸受の蝋型を形成する ためにこの蝋を硬化させることを含む。 上記蝋型が得られた後、この蝋型は、石膏型を形成するために用いられる。こ の工程は、典型的には、蝋型を石膏で包み込み、石膏型を形成するようにこの石 膏を蝋型の周囲で硬化させることを含む。 この石膏型は次に、軸受を形成するために使用することができる。より具体的 には、青銅等の溶融軸受材料を石膏型内に注入し、蝋型を溶かして蝋を石膏型か ら取り除く。このようにして上記石膏型は、溶融軸受材料によって満たされ、そ して溶かされた蝋は石膏型から除かれる。 溶融軸受材料を硬化させた後、その軸受材料の周囲から石膏型を除去すれば軸 受が得られる。 なぜなら、この製造法は蝋型を犠牲にすることを含んでいるので、インベスト メント鋳造法または犠牲鋳造法と称されている。 上述したインベストメント鋳造法あるいは犠牲鋳造法は、蝋型の犠牲をともな い、ゴム型と石膏型の二つの型を作製せねばならず、実に労働集約型の方法であ るが、特定の軸受、たとえば5000個未満の中程度の量の生産をする場合には コスト的に効果があることが判明している。比較的少量の製造を行う場合に経済 性があることは、この方法に使用される鋳型は、射出成形法や粉末金属ダイカス ト法の場合に必要とされる複雑な金型に比較してその製作費用がかなり安いとい う事実による。 すでに述べたように、本願発明にしたがった軸受の製造の最初の工程は、イン ベストメント鋳造法においては、あるいは他のどの方法においても、試作軸受を 作製することである。本願発明のその他の側面にしたがえば、本願発明の比較的 複雑なジャーナル軸受およびスラスト軸受を簡単な製造技術によって形成するこ ともできる。同様の製造技術がスラスト軸受とジャーナル軸受の双方について使 用できる。 以上のことを念頭におくことにより、機械加工および放電加工を用いて単一の ジャーナル軸受を製造する方法を説明することで十分であると思われる。また、 そのような製造方法の説明から、本願発明の比較的複雑な軸受形状を容易に形成 することができると思われる。 各々の軸受は、最初は、図11Aおよび図11Bに示されるような円筒状の孔 を有する円筒ブランクの形態をもっている。この円筒ブランクは次に機械加工さ れて図12Aおよび図12Bに示されるようなラジアル方向の潤滑流体溝が形成 される。ある種の応用においては、この円筒ブランクをさらに機械加工して、図 13および図13Bに示されるような軸受のラジアル方向の面に、好ましくは対 照的に配置された互いに対向する溝を設けることが好ましい場合がある。このよ うな互いに対向する溝を設けることにより、容易にねじり変形をしうる軸受が得 られる。図13Aおよび図13Bに示される溝は円筒形をしているが、これは図 14Aおよび図14Bに示されるようなテーパ状の溝とすることもできる。以下 の説明から明らかになるように、このテーパ状の溝によって、支持ビームの傾斜 された配列によって変形性能が向上させられた軸受を形成することができる。こ れに関連して、図14Aに示されたような支持ビームは、軸の中心線に近い点に 収斂する線に沿ってテーパ状とさせるのが好ましいということに留意するべきで ある。これにより、軸受パッドが軸の位置ずれを補償することができるような態 様に軸受全体の作用中心を設定することによって、変形が軸の中心の周りに生じ ることを保証する。基本的に、支持ビームにテーパを施すと、その軸受は、軸が 位置ずれを修正するためにどの方向にでも枢動することができる単一の枢動点に 支持力を集中させることによって、球状軸受に近似した態様で作動することがで きる。図14Aの矢印は、変形の作用線を示している。 図12および図14に示されるタイプの断面をもつ軸受は、流体力学的流体を 保持するという点について特に効果的である。なぜなら、軸受パッドがその両端 に近いところで支持され、軸受パッドの両端間の中央部分が直接支持されないか らである。この構造により、軸受パッドは、荷重を受けて変形するように支持さ れ、流体を保持する凹状のポケットを形成する、すなわち、パッドがその中央部 分がラジアル方向外方に変形する。このことは、流体の漏損を著しく減少させる 。もちろん、このようなポケットを形成する程度は、軸受パッドおよびその支承 構造の相対寸法によって変化する。より大きな流体保持ポケットは、軸受パッド 面をより薄状とするとともに、上記パッド面を軸受パッドの軸方向端部において 支持することによって得られる。 円筒ブランクが図12Aおよび図12B、図13Aおよび図13B、あるいは 図14Aおよび図14Bに示されるように適正に機械加工されると、この円筒ブ ランクには、そのラジアル方向の面に沿って、軸受パッド、ビーム支持体および ハウジングを規定するためにラジアル方向および/または周方向に延びるスリッ トあるいは溝が形成される。図14Cおよび図14Dは、図14Aおよび図14 Bの加工された円筒ブランクに対して上記のような溝が形成された状態を示して いる。軸受を少量生産する場合あるいは鋳型を作るために用いる軸受プロトタイ プを製造する場合には、この切り込みあるいはスリットは、好ましくは、放電加 工法あるいはレーザ切削法によって形成される。図12Aおよび図12B、図1 3Aおよび図13B、図14Aおよび図14Bに示された外形あるいはこれに類 する形状を得るために行う円筒ブランクに対する機械加工は、旋盤あるいはこれ に類するもののような伝統的な工作機械によって行うことができる。 上述の説明は、特にジャーナル軸受を指向するものであるが、原理的にはスラ スト軸受にもよくあてはまる。たとえば、図15ないし図18に示されるスラス ト軸受は、肉厚の大きいパイプ材に機械加工によってラジアル方向内方および外 方の溝、互いに向き合う溝、軸方向の孔、ラジアル方向の切り込み、および面取 りを行って軸受パッドとその支承構造を規定することができる。 本願発明の軸受の性能特性は、機械加工された円筒ブランクに形成される孔お よび切り込みあるいはスリットによって規定される軸受パッドとビーム支持体と の相対形状、大きさ、位置および材料特性の結果として現れる。これらのパラメ ータは、軸受を作るためにスリットを形成するための機械加工された円筒ブラン クの形状、ならびに、軸受に形成されたラジアル方向および周方向の切り込みあ るいはスリットの形状寸法および配置によって、主として決定される。 すでに述べたように、本願発明の軸受の構造は、その機械加工法を参照するこ とによって最もよく理解されるが、本願発明の軸受は、中程度または比較的多量 に製造する場合は、インベストメント鋳造法によって製造するのが好ましく、そ れ以上の大量生産も、射出成形、鋳造、粉末金属のダイカスト法、および押し出 し成形等によって経済的に実施することができる。 一本のパイプ状の円筒ブランクから多数の軸受を押し出し成形する場合には、 押し出し成形の前に図12Aおよび図12Bに示されるような半径方向の潤滑流 体溝をパイプ状の円筒ブランクの長さに沿って形成しておくことができる。ただ し、この軸受に互いに向き合う溝を形成したい場合には、そのような溝は、押し 出し成形され、機械加工された円筒ブランクから個々の軸受をスライス状に取り 出したのち、個々に形成する。このような理由により、押し出し成形法は、ねじ り変形性を高めるために互いに向き合う溝が必要とされる軸受を製造する方法と しては好ましいものとはいえない。 パッドを支持する単一な帯状部を用いて一部材設計において変形可能なパッド の幾何形状を得るために、図1Dに示されるように、上記帯状部は、回転軸によ って与えられる負荷によりパッドが回転するに充分な変形容易性をもつ必要があ る。このような特性、すなわち変形による回転特性は、本願発明を他の流体フィ ルム軸受から区別する。負荷によるこのようなパッドの変形および回転能力によ り、傾斜パッド型軸受におけるように、複合剛性を0に近づけることができるよ うになる。これにより、安定な作動が可能となる。ウエブの寸法は特定の応用に おいて付与される負荷に依存し、かつ軸受の特定の応用および材料構造に依存し て変わる他の変数に依存する。特定の応用における回転剛性の値は、安定性解析 から求められる。この安定性解析では、回転変形性が傾斜パッド型軸受に匹敵す る性能を提供する範囲に到達するまで剛性が変化させられる。傾斜パッド軸受は 傾斜するとともに軸受ジャーナル周りに対称なオイルフィルムにおいて圧力を発 生させる。本願発明の軸受もまた、傾斜はするが、この傾斜は標準的な傾斜パッ ド軸受におけるような転動によるのではない。むしろ、本願発明の軸受における 傾斜は、パッドを回転あるいは傾斜させ、かつ与えられる負荷を調整することが できる上記ウエブ部分の変形性によるものである。具体的な寸法は具体的な応用 に依存するが、上記帯状部は、概して、周方向における幅よりも、半径方向に長 くなっている必要がある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.軸と供給流体とを含む装置において、圧力上昇させられた流体フィルム上に 上記軸を回転支持するように上記流体を圧力上昇させる流体力学的流体フィルム 軸受であって、上記軸受は、上記軸周りに間隔配置された実質的に周方向の複数 の軸受パッドと、上記軸受パッドの半径方向外側に延出するとともに上記軸受パ ッドを取り囲む軸受ハウジングと、上記軸受パッドの数と同じ数の複数の薄状ウ エブとを含んでおり、上記各ウエプは上記パッドを上記軸受ハウジングに枢動支 持するように上記パッドの一つと上記軸受ハウジングとの間を半径方向に延びて おり、上記ウエブのそれぞれは半径方向長さと周方向幅とをもっており、上記半 径方向長さは上記周方向幅よりも大きくなっており、これにより、荷重のもとで 、上記ウエブは上記軸と上記パッド表面間に先細状楔を形成するように上記軸に 対して上記パッドが傾斜するべく変形し、上記先細状楔は上記軸と上記パッド間 に圧力上昇させられた流体フィルムを形成するように上記流体の圧力上昇を生じ させるようになっている、流体力学的流体フィルム軸受。 2.上記軸受の軸方向側部に複数のスラストランドが形成されている、請求項1 の軸受。 3.上記ハウジングを半径方向に延びる複数のオイル供給溝をさらに含んでおり 、各オイル供給溝は上記隣接する軸受パッド間に配置されている、請求項1の軸 受。 4.軸と供給流体とを含む装置において、軸を回転支持するための一部材流体力 学的流体フィルム軸受であって、上記軸受は、周方向に分離された複数の軸受パ ッドと各軸受パッドを上記軸受ハウジングに連結する半径方向に延びるウエブと を規定する切り込みおよび溝が設けられた実質的に円筒状の軸受ハウジングを含 んでおり、各ウエブは上記流体を圧力上昇させるとともに対 称な圧力プロファイルを維持するように荷重のもとで上記パッドと上記回転軸と の間に先細状の楔を形成するべく上記軸受パッドが回転する、十分に薄いもので ある、流体力学的流体フィルム軸受。 5.上記軸受パッドのそれぞれは上記回転軸に面するパッド表面と、上記支持構 造に面する支持表面と、先行縁と、後続縁と、二つの側縁とをもっており、上記 先行縁を延長するべく上記先行縁に円弧状切断面が形成されている、請求項4の 軸受。 6.上記軸受パッド面は中心線をもっており、上記支持部は、上記軸受パッドを 上記中心線と上記後続縁との間の地点で支持している、請求項4の軸受。 7.上記軸受は、容易に成形可能な形状をもっている、請求項4の軸受。 8.上記軸受パッド間の空間を埋める多孔質のプラスチック材料をさらに含んで おり、この多孔質プラスチック材料は潤滑剤が含浸させられており、上記軸受パ ッドと上記支持構造の少なくとも一方の変形が上記多孔質プラスチック材料に上 記軸受パッド表面上へ潤滑剤を漏出させるようになっている、請求項4の軸受。 9.上記軸受は、二つの先行縁と二つの後続縁と含むようにして、双方向形とし てある、請求項4の軸受。 10.上記軸受のそれぞれの上記支持表面は、上記後続縁に向かうテーパがつけら れており、上記パッドはその先行縁の変形性を高めるように軸受パッドの中心よ りも先行縁が薄くなるようにしてある、請求項4の軸受。 11.上記支持表面の方向での軸受パッドの変形性を高めるように、上記軸受パッ ドの先行縁の近傍において、上記軸受パッドのそれぞれの支持表面に溝が さらに形成されている、請求項4の軸受。 12.上記軸受パッドのそれぞれの上記支持表面に形成された底部凹溝をさらに含 んでおり、上記凹溝は、上記側縁から離されているとともに上記軸受パッドの上 記先行縁から延びており、荷重のもとで、上記パッドが潤滑剤保持チャンネルを 形成するとともに、先行縁の曲げを増大するようになっている、請求項4の軸受 。 13.回転軸を支持する流体力学的軸受であって、上記軸受は、複数の分離された 軸受パッドと、上記軸受パッドを支持する支持構造とを含んでおり、上記軸受パ ッドのそれぞれは上記回転軸に面するパッド表面と、上記支持構造に面する支持 表面と、先行縁と、後続縁と、二つの側縁とをもっており、これにおいて、単純 な薄状ウエブが上記軸受パッドの上記支持表面に設けられていて、上記支持表面 から上記支持構造へ半径方向外方に延びており、荷重のもとで上記パッドが枢動 するべく上記軸受パッドを上記支持構造に支持するようになっている、流体力学 的軸受。 14.上記軸受パッドのそれぞれの支持表面には、上記先行縁に向かうテーパがつ けられており、上記軸受パッドの上記先行縁は、上記軸受パッドの中央領域より も薄くなっている、請求項13の流体力学的軸受。 15.上記軸受パッドの上記先行縁近傍における上記支持表面に溝が形成されてお り、上記溝は上記軸受パッドの側縁間を上記パッド表面に向けて延びていて、支 持されるべき軸から離れる上記先行縁の変形性を増大するようになっている、請 求項13の流体力学的軸受。 16.上記軸受パッドのそれぞれの上記支持表面に凹溝が形成されており、上記凹 溝は上記側縁から離されているとともに上記軸受パッドの先行縁から延びていて 、上記軸受パッドに下切り込み領域を規定するようになっており、上 記軸受パッドの凹溝が形成されていない部分は上記支持構造に接触しており、荷 重のもとで、潤滑剤保持ポケットを形成するとともに潤滑剤が上記先行縁に入り 込むのを許容するように、上記軸受パッドの上記下切り込みされた領域が支持さ れるべき軸から離れて上記支持構造に向かって変位するようになっている、請求 項13の流体力学的軸受。
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