JPH0849806A - ボイラ水平管除煤装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 本発明は、ボイラ水平管に堆積する灰、およ
び煤を除去するためのボイラ水平管除煤装置に関する。 【構成】 本発明は、底面を載置する水平管２の上面形
状に合わせた波形状にされ、水平管の軸方向に移動自在
にされた格子状の除煤金物３と、水平管２上面に載置さ
れた除煤金物３の後方のボイラ側壁１１に穿設された開
口５外方に設置されたシール箱６と、一端が除煤金物後
端３に連結され、除煤金物３作業時は、後端が開口５、
シール箱６を貫通して、ボイラ１外方へ突出し、除煤金
物３非作動時は、後端がシール箱６に納まりシール箱貫
通部を密閉できるようにした連結棒４と、除煤金物３作
動時のみ、シール箱６を介してボイラ１内へシール用空
気１２を供給するようにした、アスピレーチング装置と
からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボイラ内水平管、熱交
換機能を具備するプラント、及び製品に使用される加熱
管に適用され、加熱管の上面に堆積する灰、又は煤を除
去するためのボイラ水平管除煤装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２，図３に、ボイラ内水平管の上面に
堆積する灰、又は煤を除去するため、従来から使用され
ている除煤装置を示す。

【０００３】従来の除煤装置は大きく分けて、２種類の
タイプのものが採用されている。その１つは、図２に示
す、ロングレトラクタブルスーツブロワ０５により、蒸
気又は空気０７をボイラ０１内に配設された水平管０２
に吹き付けて、水平管０２の上部に堆積した灰および煤
を除去するものである。

【０００４】すなわち、上方から導入した排ガス０１０
から熱回収を行う（排ガス）ボイラ０１には、排ガス０
１０の流れに直交して、水平管０２が多数配設されてい
る。この水平管０２の、排ガス０１０が衝突する上面に
は、ボイラ０１の長時間運転に伴い、排ガス０１０に含
まれる灰、および煤０９が付着し、水平管０２の熱伝達
が低下し、熱回収率が悪化することがある。

【０００５】このため、排ガス０１０が最初に衝突す
る、水平管０２の上流側ボイラ０１側壁に、開口０４を
設け、この開口０４、および開口０４を塞ぐためボイラ
０１側壁に設けたシール箱０３を貫通させて、ボイラ０
１内へロングレトラクタブルスーツブロワ０５を挿入
し、その先端に設けた噴射口０６から、その内部を通し
て導入した蒸気、又は空気０７を、水平管０２の上部に
吹き付けて、水平管０２に付着した灰、および煤０９を
除去するようにしている。このロングレトラクタブルス
ーツブロワ０５は、図２（Ａ）の矢印で示すように、ボ
イラ０１側壁から前進、後進するとともに、図２（Ｂ）
の矢印で示すように、その軸心まわりに回転しながら作
動し、灰および煤０９の除去面積を広げるようにしてい
る。また、シール箱０３には、シール用空気０８が、ボ
イラ運転時には常時導入されており、このシール用空気
０８が開口０４とロングレトラクタブルスーツブロワ０
５の外周面の間から、ボイラ０１内へ流入することによ
り、炉内の排ガス０１０の外部への流出を防止してい
る。

【０００６】２つめは、図３に示すロータリスーツブロ
ワ０１１により、蒸気、又は空気をボイラ０１内水平管
０２に吹き付けて、水平管０２の上部に堆積した、灰お
よび煤０９を除去するものである。ロータリスーツブロ
ワ０１１は、開口に対向するボイラ０１側壁に設けた、
支持金物０１２により支持され、軸心まわりに回転する
が、前進、後進はしない構造とされている。このため、
ロータリスーツブロワ０７には、長手方向に等ピッチの
噴射口０６’が多数設けられ、これらの噴射口６’か
ら、一斉に蒸気又は空気０７を噴射して、灰および煤０
９を除去するようにしている。

【０００７】このように、ロングレトラクタブルスーツ
ブロワ０５、又はロータリスーツブロワ０１１によっ
て、ボイラ０１内水平管０２の上面に堆積した、灰およ
び煤０９に、蒸気又は空気を吹き付けて除去する、従来
の除煤装置では、吹き付ける蒸気又は空気の圧力によっ
て、水平管０２から灰および煤０９を除去する効果は大
きく左右される。

【０００８】すなわち、吹き付ける蒸気、又は空気０７
の圧力を上げることは、灰、および煤０９を広い範囲に
わたり除去でき、除去効果を上げ水平管０２の熱伝達率
を向上させることとなる。しかし、圧力を上げること
は、蒸気、又は空気０７の吹き付けによる、ボイラ０１
内水平管０２自身の外周面のエロージョンを引き起す要
因ともなるという問題がある。

【０００９】従って、エロージョンによる水平管０２の
熱伝達向上を優先しての寿命短縮の選択、又は水平管０
１の寿命長期化を狙っての熱回収率低下の選択の、何れ
かをしなければならないという不具合がある。

【００１０】また、ロータリスーツブロワ０１１は勿論
のこと、前述したように、ロングレトラクタブルスーツ
ブロワ０５も、シール箱０３を貫通して、一端がボイラ
０１の外側に、常時突出されているため、ボイラ０１運
転中に炉内排ガス０１０が、ボイラ０１外へ流出するこ
とを防止するために、常にシール箱０３内へシール用空
気０８を投入する必要があり、また、灰および煤０９の
除去のために、水平管０２に吹き付ける蒸気、又は空気
０７が常に必要である等、ボイラ０１の運転コストのア
ップ要因ともなる。

【００１１】このように、従来の除煤装置は種々の問題
点があり、その改善が求められている。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の除煤装置の問題点を解消するため、 ・水平管に堆積した、灰および煤を、水平管を損傷する
ことなく除去でき、水平管を長寿命化でき、灰、および
煤の除去効果を上げて水平管による高効率の熱回収が達
成でき、 ・シール用空気は、除煤を行っている短時間のみの使用
で済み、また除煤のための蒸気、又は空気のボイラ内へ
の投入を全く必要とせずボイラの運転コストを低減でき
る、水平管除煤装置を提供することを課題とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】このため、本発明のボイ
ラ水平管除煤装置は、次の手段とした。 （１）底面が、ボイラ内に配設された、水平管の上部と
摺接するような波形にされ、水平管の軸方向に、水平管
の上部と摺動しながら移動し、ボイラ内を通過する炉内
ガス流による抵抗が小さくなる格子状にされた除煤金物
を設けた。なお、水平管とは、厳密に水平に配設された
管を指称するのではなく、炉内ガスに含まれる、灰若し
くは煤が重力により付着して脱落せず、管に堆積する程
度の傾斜がついた管を含むものとする。 （２）水平管の上面に隣接する、ボイラ側壁に穿設され
た開口のボイラ側壁外側に設置され、開口を完全にシー
ルできるシール箱を設けた。 （３）一端が除煤金物に連結され、他端が、除煤金物を
作動させるとき、開口、およびシール箱を貫通してボイ
ラの外側へ突出して、ボイラ外側からの他端側の作動に
より除煤金物を水平管の軸方向に前、後進作動でき、除
煤金物を駆動しないときは、他端側はシール箱内に納
り、シール箱の完全なシールを行えるようにした連結棒
を設けた。 （４）除煤金物を駆動するとき、シール箱に、外部から
炉内ガス圧より高圧の空気を供給し、開口よりボイラ内
に当該空気を吹込み、開口およびシール箱の連結棒貫通
部から、炉内ガスがボイラ外へ流出するのを抑制するア
スピレーチング装置を設けた。

【００１４】

【作用】本発明のボイラ水平管除煤装置は、上述の手段
により、 （１）除煤金物を設けたことにより、除煤金物を水平管
軸方向に前後動させ、水平管の上部に堆積した灰、およ
び煤は、波形状の底面と水平管上部の摺動により、掻き
落され、除去される。これにより、堆積した灰、および
煤の除去に伴い、従来発生していた、水平管のエロージ
ョンの発生を懸念することなく、全面的な灰、および煤
が、除去でき、水平管による熱回収率を向上させること
ができる。また、除煤金物を、炉内ガス流に対する抵抗
の小さいものにしたことにより、除煤金物は、水平管の
上部に常置しておくことができ、その挿入、設置および
分解、取出しの手間を排除できる。さらに、除煤（灰）
のために、水平管に吹き付けていた蒸気、又は空気のボ
イラ内への投入が不要となり、ボイラの運転コストを低
減できる。

【００１５】（２）シール箱を設けたことにより、外部
から炉内ガスより高い圧力の空気をシール箱へ供給し、
ボイラ側壁に設けた開口を介して、ボイラ内へ当該空気
を吹き込むことができる。これにより、炉内ガスのボイ
ラ外への流出を抑制できる。また、除煤金物を駆動する
連結棒の他端側を貫通させてボイラの外側へ突出させ、
ボイラ外側からの除煤金物の作動を可能にできる。ま
た、除煤金物を作動させないときは、連結棒の他端側を
収納して、連結棒貫通部を密閉することにより、ボイラ
側壁に設けた開口をシールすることができる。これによ
り、除煤金物が作動してないときには、開口からの炉内
ガスの流出が止められるため、従来、常時ボイラ内へ吹
込む必要のあったシール用空気を大幅に低減でき、ボイ
ラの運転コストを低減できる。

【００１６】（３）連結棒を設けたことにより、一端が
連結された除煤金物を作動させるとき、他端側をシール
箱を貫通させてボイラの外側へ突出できるようになり、
除煤金物はボイラの外側から作動でき、高温の影響を考
慮しない駆動機構が採用でき、製造コスト、並びに運転
コストの低減が図れる。また、除煤金物の作動が不要な
ときは、除煤金物を作動させるときシール箱を貫通して
外部に突出させていた連結棒の他端側は、シール箱内に
収容されるので、シール箱の貫通部を密閉することがで
きる。また、除煤金物の作動開始時には、他端側を外部
へ突出させるだけで作動でき、操作が容易になる。

【００１７】（４）アスピレーチング装置を設けたこと
により、除煤金物の作動時のみ、シール箱を介して、外
部から炉内ガス圧より高い圧力のシール用空気をボイラ
内へ吹き込むことができ、炉内ガスのボイラ外への流出
が抑制でき、除煤作業時の安全性が確保できる。また、
非作動時には、シール用空気の供給を止めることによ
り、ボイラ運転コストの低減が達成できる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明のボイラ水平管除煤装置を、図
面にもとづき説明する。図１は、本発明のボイラ水平管
除煤装置の一実施例を示す図で、図１（Ａ）は、一部断
面で示す側面図、図１（Ｂ）は、図１（Ａ）の矢視Ａ−
Ａで示す正面図、図１（Ｃ）は、図１（Ａ）の矢視Ｂ−
Ｂで示す平面図、図１（Ｄ）は、図１（Ａ）Ａ部のシー
ル箱密閉時を示す図である。

【００１９】図に示すように、（排ガス）ボイラ１内部
に配設されている水平管２のうち、ボイラ１に流入する
炉内ガス１０が衝突する水平管２の上面には、除煤金物
３が設置されている。除煤金物３は、図１（Ｂ）に示す
ように、底面を水平管２の上面の形状に合わせた波形状
にし、図１（Ａ），図１（Ｃ）より理解されるよう、枠
体からなる格子状に形成されて、炉内ガス１０の通過に
伴う抵抗が大きくならないようにしている。また、除煤
金物３の後端側の枠体には、２本の連結棒４の先端が常
時連結されている。

【００２０】また、除煤金物３が載置される水平管２の
上面に隣接するボイラ側壁１１には、開口５が穿設され
ており、この開口５を通って、前記連結棒４の後端側が
ボイラ側壁１１から外部へ突出している。さらに、開口
５が設けられたボイラ側壁１１の外側には、シール箱６
が設置されている。

【００２１】シール箱６には、上部にシール用空気１２
を供給するアスピレーチング装置としての、バルブ１４
を設けた配管１３が接続されるとともに、その中央部に
は、開口５を貫通した連結棒４が、ボイラ側壁１１の外
方まで突出できるようにした孔７が設けられている。ま
た、この孔７は、除煤金物３を作動させないとき、連結
棒４をボイラ１内部に押込み、図１（Ｄ）に示すよう
に、連結棒４の後端側を被包する蓋８で閉鎖できるよう
にされている。

【００２２】また、ボイラ側壁１１を通って外部へ突出
する連結棒４の後端には、連結金物１５が固着されてお
り、この連結金物１５により、連結棒４は、ボイラ１の
外に設置された、図示しない駆動装置で作動する操作用
金物１６に連結されている。

【００２３】本実施例は、上述のような構成とされてい
るので、水平管２の上部に灰、および煤が堆積せず、除
煤金物３を作動させないときは、連結金物１５による、
連結棒４と操作用金物１６の連結を解除して、連結棒４
を前方へ押し、除煤金物３を前方（図１（Ａ）の左側）
へ移動させる。これにより、連結棒４の後端はシール箱
６内に収容され、シール箱６の孔７を図１（Ｄ）に示す
ように、蓋８で閉鎖でき、この蓋８による閉鎖とバルブ
１４の閉鎖により、開口５はシール箱６により完全に塞
がれ、従来装置のようにシール用空気をシール箱へ供給
しなくても、炉内ガス１０がボイラ１の外部に出ること
はない。

【００２４】また、水平管２の上部に灰、または煤が堆
積して、その除去を行う場合は、バルブ１４を開放し
て、供給管１３から炉内ガス１０の圧力より高いシール
用空気１２をシール箱６に供給して、開口５からボイラ
内へシール用空気１２を吹き込みつつ、シール箱６後方
の蓋８を取外し、連結金物１５により連結棒４と操作用
金物１６を連結し、ボイラ１外に設けた駆動装置によ
り、除煤金物３を水平管２の軸方向に移動させ、その底
面を水平管２に上部と摺動させ、水平管２の上面に堆積
した灰、及び煤が除去される。

【００２５】蒸気、又は空気を吹き付ける従来方法で
は、水平管自身にエロージョンを発生させる難点がある
が、本実施例による場合はその心配がなく、又、従来装
置では蒸気、又は空気の吹き付けによる除去のため、水
平管上面の均等な除煤が困難で、部分的な除煤効果しか
期待出来なかったが、本実施例によれば広範囲の除煤効
果が得られる。

【００２６】さらに、除煤金物３の操作中はバルブ２４
を開き、シール箱６を介して、ボイラ１内へ、炉内ガス
１０より高圧のシール用空気１２を送入するアスピレー
チング装置により、炉内ガス１０がボイラ１外へ流出す
ることを防止でき、安全に作業が出来る。

【００２７】また、本実施例の除煤装置を操作しない間
は、連結金物１０より操作用金物１１を取外し、蓋８を
セットした後、バルブ１４を閉にしてシール用空気のボ
イラ内への投入を止めておくことができる。このため、
常時ボイラ１内にシール用空気を投入しなくても良く運
転コストの低減が計られる特徴も有する。

【００２８】さらに、従来の装置では、除煤に蒸気、又
は空気を必要とするが、これらの蒸気、又は空気が不要
である点でも、運転コストの低減が計られる特徴も有す
る。

【００２９】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のボイラ水平
管除煤装置によれば、特許請求の範囲に示す構成によ
り、次の効果が得られる。 ・ボイラ内水平管の除灰、除煤に伴うエロージョンが防
止出来、水平管の長寿命化がはかれる。 ・従来に比較して、より広範囲の除煤効果が可能とな
り、また、除灰、除煤を徹底して行えるため、炉内ガス
からの熱回収効率がアップできる。 ・灰、又は煤を除去するための蒸気、又は空気を使用し
ないため、プラント運転コストの低減を計ることが出来
る。 ・シール用空気を常時使用しないため、プラント運転コ
ストの低減を計ることが出来るとともに、除灰、除煤作
業中のみシール用空気をボイラ内へ吹込むことにより、
作業の安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明のボイラ水平管除煤装置の１実
施例を示す図で、図１（Ａ）は、一部断面で示す側面
図、図１（Ｂ）は、図１（Ａ）の矢視Ａ−Ａで示す正面
図、図１（Ｃ）は、図１（Ａ）の矢視Ｂ−Ｂで示す平面
図、図１（Ｄ）は、図１（Ａ）のＡ部のシール箱密閉時
を示す図。

【図２】従来の除煤装置の一例を示す図で、図２（Ａ）
は、一部断面で示す正面図、図２（Ｂ）は、図２（Ａ）
の矢視Ｃ−Ｃで示す側面図。

【図３】従来の除煤装置の他の例を示す一部断面で示す
正面図である。

【符号の説明】

１ ボイラ ２ 水平管 ３ 除煤金物 ４ 連結棒 ５ 開口 ６ シール箱 ７ 孔 ８ 蓋 １０ 炉内ガス １１ ボイラ側壁 １２ シール用空気 １３ アスピレーチング装置としての配管 １４ アスピレーチング装置としてのバルブ １５ 連結金物 １６ 操作用金物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボイラ内に配設された水平管上部に堆積
   する灰、若しくは煤を除去するためのボイラ水平管除煤
   装置において、前記水平管の上部と摺接する波形状の底
   面が設けられ、前記水平管の軸方向に移動自在にされた
   格子状の除煤金物と、前記水平管の上面に隣接して設け
   たボイラ側壁開口の外方に設置されたシール箱と、一端
   が前記除煤金物に連結され、他端が前記除煤金物の作動
   時、前記シール箱を貫通して外方へ突出し前記除煤金物
   を駆動するとともに、非作動時には前記シール箱内に収
   納される連結棒と、前記シール箱へ供給した外部空気を
   前記ボイラ側壁開口から吹込み炉内ガスの流出を抑制す
   るアスピレーチング装置からなることを特徴とするボイ
   ラ水平管除煤装置。