JPH084941B2 - チタン・ニッケル合金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、チタン・ニッケル合金
眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合技術の改良に関す
るものであり、難接合性のゆえに阻まれていた高機能性
チタン・ニッケル合金（形状記憶合金、超弾性合金）の
眼鏡部品への利用の可能性を前進させることができる。

【０００２】

【従来の技術】周知のとおり、チタン・ニッケル合金の
中には、変形しても既定の温度を履歴することによって
元の形状を復元する所謂「形状記憶性」の秀れたもの
や、非常に靭やかな弾力性を呈するところの所謂「超弾
性」に富んだ高機能性合金が数多く開発されている。

【０００３】このような高機能性チタン・ニッケル合金
は、眼鏡素材として利用することができれば、眼鏡フレ
ームの性能は大いに向上され、通常の金属材料を用いた
眼鏡フレームよりも格段に掛け心地の良くて、しかも長
持ちのする製品を提供することが可能となる。

【０００４】ところが、この種の高機能性チタン・ニッ
ケル合金は、従来から異種金属材料との接合が非常に困
難であると言われており、これを接合する従来技術に
は、 イ．ネジやリベットなどの止着部品を用いて機械的に接
合する機械的連結法、 ロ．チタン・ニッケル合金材料の表面にロウ付性に富ん
だ金属をメッキして、このメッキ金属を介在させた状態
で、対象とする異種金属材料にロウ付けするメッキ・ロ
ウ付法、しか知られていなかった。

【０００５】しかし、かゝる従来におけるチタン・ニッ
ケル合金と異種金属との接合技術については、次のよう
な不満が聞かれた。

【０００６】即ち、ネジやリベットなどの止着部品を用
いて接合する前者の機械的接合法にあっては、接合部分
に止着部品が出っ張って眼鏡デザインを損なうという問
題であり、また、チタン・ニッケル合金の表面をメッキ
したうえでロウ付けするという後者のメッキ・ロウ付法
あっては、接合強度が接合部分のメッキ金属の剥離強度
に依存して、余り強い外力を受けると直ぐに剥離してし
まうという問題である。眼鏡部品は細くて小さく、眼鏡
部品同士をメッキ・ロウ付するにしても接合部面積が微
小で必要な接合強度が得られなかったからである。

【０００７】

【解決すべき技術的課題】本発明は、チタン・ニッケル
合金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合技術に従来前
述の如き問題があったことに鑑みて為されたものであ
り、チタン・ニッケル眼鏡部品と他の異種金属眼鏡部品
とを強固に効率的に接合させることができる新方法を提
供することを技術的課題とするものである。

【０００８】

【課題解決のために採用した手段】本発明者が上記技術
的課題を解決するために採用した手段を、添附図面を参
照して説明すると、次のとおりである。

【０００９】即ち、本発明は、チタン・ニッケル合金眼
鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合方法に係るものであ
るが、その要旨とするところは、接合すべき部位が分厚
くなっている厚肉接合部１１を有するチタン・ニッケル
合金部品１を採択するというチタン・ニッケル合金材の
接合部厚肉化手段と、このチタン・ニッケル合金眼鏡部
品１を異種金属眼鏡部品２の所定部位２１に接合するに
あたり、チタン・ニッケル合金眼鏡部品１の前記厚肉接
合部１１を異種金属眼鏡部品２の所定部位２１に当接さ
せ、当該チタン・ニッケル合金眼鏡部品１の厚肉接合部
１１を発熱させて減込み状態に溶接するというチタン・
ニッケルの特殊溶接手段とを採用することによって、接
合部分を増強して接合強度の強化を図りつつ溶接熱によ
る脆弱化を抑制した点に存する。なお、ここに異種金属
眼鏡部品とは、チタン・ニッケル合金以外の金属で成形
された眼鏡構成のためのパーツを意味し、例えば、ニッ
ケル・銅合金製の眼鏡部品、ニッケル・クロム合金製の
眼鏡部品、純チタン製の眼鏡部品が含まれる。

【実施例】

【００１０】以下、本発明を添附図面に示す実施例に基
いて、さらに詳しく説明する。図面上、符号１で指示す
るものは、チタン・ニッケル・バナジウム形状記憶合金
の長さ３．５ｃｍ、線径１．５ｍｍの部品であって、側
面図で表わされた関係上、半分が隠れて見えないが、全
体形状は∩形に湾曲した眼鏡ブリッジ部品であり、その
両端部近傍の長さ４ｍｍの領域は平均線径が３．５ｍｍ
に分厚く成形されて厚肉接合部１１を構成している。

【００１１】符号２で指示するものは、チタン・ジルコ
ニウム合金をタークスヘッド圧延およびベンディング加
工等の金属加工を施して得た平均線径２ｍｍのリム枠で
ある。

【００１２】本実施例においては、上記∩形のブリッジ
１を上型治具Ａに保持し、上記リム枠２を下型治具Ｂに
保持して、前記ブリッジ１の両接合部１１に図示しない
電極をチャッキングさせたうえ、電圧３００Ｖ、電流２
０００Ａの大電流を通電し当該接合部１１を発熱溶融さ
せて１００〜２５０Ｋｇ／ｃｍ^２圧力で加圧したとこ
ろ、図２に示すような状態でブリッジ１とリム枠２が溶
着接合された。

【００１３】こうして得られたチタン・ニッケル合金製
ブリッジ１とチタン・ジルコニウム合金製リム枠２の接
合強度を、オートグラフ万能試験機（引張速度：５ｍｍ
／ｍｉｎ）を用いてＴ字形接着強度試験をしたところ、
１６．２ｋｇ／ｍｍ^２という非常に強い接合結果が測定
された。そして、当該ブリッジ１の弾力性は殆ど劣化し
なかった。

【００１４】本発明を眼鏡フレームのブリッジ部分に適
用した実施例は概ね上記のとおりであるが、本発明は前
述の実施例に限定されるものでは決してなく、「特許請
求の範囲」の記載内においてチタン・ニッケル合金眼鏡
部品と異種金属眼鏡部品とのあらゆる接合に適用可能で
あって、前記チタン・ニッケル合金製のブリッジ１に代
えて鼻当パッドのパッドアームとリム枠２との接合する
等、メガネ枠における部品相互を接合するのに広く利用
することができる。

【発明の効果】

【００１５】以上実施例をもって説明したとおり、本発
明によれば、従来接合が極めて困難であったチタン・ニ
ッケル合金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品とを、非常に強
固な安定した状態に効率的に接合することが可能となる
のであって、難接合性のゆえに阻まれていた高機能性チ
タン・ニッケル合金（形状記憶合金、超弾性合金等）の
眼鏡部品への利用に大きく寄与でき、高機能性チタン・
ニッケル合金の利用によって眼鏡の品質・性能を大幅に
アップさせることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】ブリッジを上型治具に保持させ、リム枠２を下
型治具Ｂに保持させた状態の本実施例における１工程を
表わした側面説明図である。

【図２】本実施例の方法によって接合されたブリッジと
リム枠との接合部分を拡大して示した部分拡大説明図で
ある。

【図３】本実施例の方法を適用して接合されたブリッジ
とリム枠との接合直後の状態を示す正面図である。

【符号の説明】

１ チタン・ニッケル合金眼鏡部品（ブリッジ） ２ 異種金属眼鏡部品（リム枠） １１ 厚肉接合部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 接合すべき部位を分厚く成形して厚肉接
   合部としたチタン・ニッケル合金から成る眼鏡部品を、
   異種金属から成る眼鏡部品の所定部位に接合するにあた
   り、前記チタン・ニッケル合金眼鏡部品の厚肉接合部を
   異種金属眼鏡部品の所定部位に当接させ、当該チタン・
   ニッケル合金部品の厚肉接合部を高温度に発熱させて強
   圧を加えて溶接することにより、異種金属眼鏡部品がチ
   タン・ニッケル眼鏡部品の厚肉接合部に減込み状態に強
   固に溶着せしめることを特徴とするチタン・ニッケル合
   金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合方法。
2. 【請求項２】 チタン・ニッケル合金眼鏡部品が∩形に
   湾曲した眼鏡フレームのブリッジであって、その両端部
   近傍域には厚肉接合部を備えている一方、異種金属眼鏡
   部品は左右一対のチタン合金製リム枠であり、前記ブリ
   ッジ両端の厚肉接合部を高温度に発熱させて左右両側に
   配置されたリム枠の所定位置に圧潰して溶接せしめる請
   求項１記載のチタン・ニッケル合金眼鏡部品と異種金属
   眼鏡部品との接合方法。
3. 【請求項３】 チタン・ニッケル合金眼鏡部品が、鼻当
   パッドのパッドアームである請求項１記載の、チタン・
   ニッケル合金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合方
   法。
4. 【請求項４】 異種金属眼鏡部品が、チタン合金、また
   はチタンもしくはニッケルクロム合金を成形して得られ
   た眼鏡部品である、請求項１〜３の何れかに記載のチタ
   ン・ニッケル合金眼鏡部品と異種金属眼鏡部品との接合
   方法。