JPH084618A - 小型エンジンにおける始動円滑化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】デコンプとしての減圧弁を備える小型エンジン
における始動円滑化装置を得ることを目的とする。 【構成】シリンダの排気ポートより上部位置に通孔を開
設するとともにこの通孔に開閉自在な減圧弁を配設して
エンジンの始動時におけるシリンダ内圧を減少させるよ
うにした小型エンジンにおいて、シリンダと離間した位
置に始動用燃料の注入ポンプ装置を配設し、この注入ポ
ンプ装置の吐出口とシリンダ内とを連通し、さらに前記
減圧弁の操作と注入ポンプ装置のポンピング操作とを同
時に行う操作機構を設ける。このエンジンではエンジン
始動時におけるシリンダ内の減圧と濃い混合燃料の供給
が同時に行なわれるのでエンジンの始動を確実にかつ円
滑に達成することができるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、手持ち作業機などに
搭載されている小型エンジンの始動円滑化装置に関する
ものであり、一層詳細には、始動時における始動操作力
を軽減するための減圧弁を付設した小型エンジンにおけ
る始動円滑化装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術および発明が解決すべき課題】従来より、手
持ち作業機などに搭載する駆動源として、例えば、セル
モータなどの始動装置を付設した小型エンジンが広範に
使用されており、このような始動装置付き小型エンジン
では、モータの出力や電池容量を小さくして小型軽量化
を図る手段として始動時における始動操作力を軽減する
ためデコンプを付設している。

【０００３】そしてこのデコンプは、シリンダの上死点
近傍もしくはシリンダヘッドに開設される通孔に開閉自
在な減圧弁を配設しておき、エンジン始動の圧縮行程時
にリンク操作などによって弁を開放することにより圧縮
空気を抜いて始動装置の始動操作力を軽減するように構
成されている。一方、このような小型エンジンでは、冷
時始動の際にチョーク操作を行ってシリンダー内に濃い
混合燃料を供給することにより始動の容易化も図ってい
るが、このチョーク操作とシリンダ内の始動減圧操作
（デコンプ操作）とは夫々別個の操作系統となってお
り、操作性の面で解決すべき点が指摘されていた。

【０００４】

【課題の解決手段】そこで、この発明では、シリンダの
排気ポートより上部位置に通孔を開設するとともにこの
通孔に開閉自在な減圧弁を配設してエンジンの始動時に
おけるシリンダ内圧を減少させるようにした型式の小型
エンジンにおいて、シリンダと離間した位置に始動用燃
料を供給するポンプ装置を配設し、このポンプ装置の供
給口とシリンダ内とを連通し、さらに前記減圧弁の減圧
操作とポンプ装置のポンピング操作とを同時に操作する
操作機構を設けることにより、始動の容易円滑化を図る
とともに操作性の向上化を図ろうとするものである。

【０００５】

【作用】この発明に係る始動円滑化装置では、エンジン
始動時におけるシリンダ内の減圧と始動用燃料（濃い混
合燃料）の供給が操作機構によって同時に行なわれるの
で、エンジンの始動を確実にかつ円滑に達成することが
でき、またチョークの省略化も図ることができるもので
ある。

【０００６】

【実施例】次に、本発明に係る始動円滑化装置を備える
小型エンジンの好適な実施例につき以下詳細に説明す
る。

【０００７】すなわち、図１において、小型エンジン１
０は、シリンダ１２の排気ポートより上部位置に通孔１
４を開設するとともにこの通孔１４に減圧弁（デコン
プ）１６を装着配置する。また、この減圧弁１４の装着
に際してはシリンダ１２との間に所定の剛性を有する保
持部材１８を介挿する。

【０００８】そして、保持部材１８におけるシリンダ１
２と離間する側の端部１８ａ近傍には始動用燃料の注入
ポンプ装置２０を配設し、この注入ポンプ装置２０の吐
出口に接続した注入管２２を気化器２４のベンチュリー
近傍に接続することにより、注入ポンプ装置２０とシリ
ンダ１２の燃焼室１２ａとを連通するように構成する。
なお、この場合、気化器を介することなく注入管２２を
そのままクランク室に接続し、始動用燃料をクランク室
に直接供給するように構成しても良い。

【０００９】一方、保持部材１８の他端部１８ｂにはヒ
ンジ２６を介して操作部材２８を取付け、この操作部材
２８の一側面を前記減圧弁１６の操作杆１６ａおよび注
入ポンプ装置２０の操作部２０ａに近接させるとともに
その自由端部２８ａにコイルばね３０を介挿した操作ワ
イヤー３２を接続する。このように構成することによ
り、操作ワイヤー３２を引張操作することにより、操作
部材２８で減圧弁１６の操作杆１６ａおよび注入ポンプ
装置２０の操作部２０ａを同時に操作できることが諒解
されよう。

【００１０】なお、図１において、参照符号３４および
３６は掃気（吸気）ポートおよび排気ポートであり、３
８はピストンである。

【００１１】また、図２は、図１における保持部材１８
をエンジンのファンケース４０に代替した本発明に係る
始動円滑化装置の別の実施例であるが、この場合も前述
と同様に、操作ワイヤー３２を引張操作することにより
減圧弁１６の操作杆１６ａおよび注入ポンプ装置２０の
操作部２０ａを同時に操作することができる。

【００１２】さらに、図３は、保持部材１８の端部１８
ｂに接続した減圧弁操作用ワイヤー４２を、減圧弁１６
の操作杆１６ａ、保持部材１８の他端部１８ａを介して
エンジンの適所に付設した第２保持部材４４を含む操作
リンク機構４６に接続し、操作ワイヤー３２を引張操作
することにより、この操作リンク機構４６に付設した注
入ポンプ装置２０と前記減圧弁１６を同時に操作できる
ようにした本発明に係る始動円滑化装置のさらに別の実
施例である。

【００１３】このように構成した本発明に係る始動円滑
化装置を付設したエンジンの始動に際しては、操作ワイ
ヤー３２の端部に接続した、例えば、レバーの操作によ
って操作ワイヤー３２を引張することにより、ヒンジ２
６を支点として操作部材２８を傾動させ、減圧弁１６と
始動用燃料の注入ポンプ装置２０とを同時に操作して燃
焼室１２ａ内の減圧と濃い混合燃料の供給とを行うこと
により、エンジンの始動を円滑に行うことができるもの
である。なお、エンジンが始動したら、操作ワイヤー３
２の引張状態を開放して減圧弁１６および注入ポンプ装
置２０を原状に復帰させれば良い。

【００１４】

【効果】先に述べたように、本発明に係る始動円滑化装
置によれば、エンジン始動時におけるシリンダ内の減圧
と濃い混合燃料の供給を同時に行うので、エンジンの始
動を簡便にかつ円滑に行うことができるだけでなく、チ
ョークも不要となり、さらには操作系統を一つに纏めた
ので操作性の向上も図ることができる。また、エンジン
の始動操作力も軽減できるので始動装置としてのモータ
の出力や電池容量を小さくして小型軽量化も図ることが
できる等種々の利点を有するものである。

【００１５】以上、本発明に係る小型エンジンにおける
始動円滑化装置の好適な実施例につき説明したが、本発
明はこの実施例に限定されるものではなく、例えば、始
動および停止を頻繁に行って滞空時間の延長を図るよう
にしたモータパラグライダーのエンジンなどにも好適に
使用することができ、本発明の精神を逸脱しない範囲内
において種々の設計変更をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る始動円滑化装置を備える小型エン
ジンの一部断面説明図である。

【図２】本発明に係る別の始動円滑化装置を備える小型
エンジンの一部断面説明図である。

【図３】本発明に係るさらに別の始動円滑化装置を備え
る小型エンジンの一部断面説明図である。

【符号の説明】

１０ 小型エンジン、 １２ シリンダ、 １
４ 通行、１６ 減圧弁、 １８ 保持部材、
２０ 注入ポンプ装置 ２２ 注入管、 ２４ 気化器、 ２
６ ヒンジ、２８ 操作部材、 ３０ コイルば
ね、 ３２ 操作ワイヤー、３４ 掃気ポート、
３６ 排気ポート、 ３８ ピストン、４０
ファンケース、 ４２ 減圧弁操作用ワイヤー、４４
第２保持部材、 ４６ 操作リンク機構、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダの排気ポートより上部位置に通孔
   を開設するとともにこの通孔に開閉自在な減圧弁を配設
   してエンジンの始動時におけるシリンダ内圧を減少させ
   るようにした小型エンジンにおいて、シリンダと離間し
   た位置に始動用燃料の注入ポンプ装置を配設し、この注
   入ポンプ装置の吐出口とシリンダ内とを連通し、さらに
   前記減圧弁の操作と注入ポンプ装置のポンピング操作と
   を同時におこなう操作機構を設けることを特徴とする小
   型エンジンの始動円滑化装置。