JPH0843991A - 写真印画紙用支持体及びその製造方法 - Google Patents

写真印画紙用支持体及びその製造方法

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JPH0843991A
JPH0843991A JP19492694A JP19492694A JPH0843991A JP H0843991 A JPH0843991 A JP H0843991A JP 19492694 A JP19492694 A JP 19492694A JP 19492694 A JP19492694 A JP 19492694A JP H0843991 A JPH0843991 A JP H0843991A
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JP19492694A
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Shigehisa Tamagawa
重久 玉川
Shinichiro Serizawa
慎一郎 芹澤
Jun Naito
潤 内藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面平滑性が良好であると共に、現像時の処
理液の浸透性が低度である写真印画紙用支持体を提供す
る。 【構成】 原紙の両面をフィルム形成能ある樹脂で被覆
してなる写真印画紙用支持体であって、前記原紙中のパ
ルプの35〜70重量%がLBSPであると共に、必要
に応じて、更に前記原紙中にエポキシ化高級脂肪酸アミ
ド及び/又はアルキルケテンダイマーが含有され、該原
紙の冷水抽出pHが6.0〜7.5に調整されているこ
とを特徴とする写真印画紙用支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真印画紙用支持体に
関し、特に現像時の処理液の浸透性が低度であると共
に、表面の平滑性にも優れた写真印画紙用支持体及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、写真印画紙用支持体として、写真
の現像・定着処理における処理液の浸透を防止すると共
に、水洗や乾燥等に費す時間の短縮を図るために、原紙
の両面をポリエチレン等のポリオレフィンにより被覆し
た、耐水性写真印画紙用支持体が好んで用いられてい
る。
【0003】一方、原紙に関しては、抄紙工程において
アニオン性サイズ剤、アニオン性紙力増強剤、及びこれ
らアニオン性薬品をパルプに定着させることを目的とし
て、安価なアルミニウム塩が紙料に添加使用され、結果
的に酸性を示す、いわゆる酸性紙が従来用いられてき
た。しかしながら、原紙の保存性改善、抄紙工程におけ
る白水のクローズド化、設備の腐食防止等の点で有利な
中性紙が、近年一般紙において広く使用されるようにな
った。
【0004】ところで、印画紙用支持体の原紙において
は、現像処理時における該支持体の切断面からの現像液
の浸透を防ぐために強サイズ紙であることが必要であ
る。従って、印画紙用支持体の原紙として中性紙を使用
する場合には、サイズ剤として自己定着性のあるアルキ
ルケテンダイマーが使用されると共に、紙力剤としてカ
チオニックポリアクリルアミドを用いなければならな
い。
【0005】この場合、中性域(紙料pH=6.0以
上、8.5以下)での抄紙は、酸性域(紙料pH=3.
5以上、6.0未満)での抄紙と比べてワイヤー上での
水切れが劣り、乾燥負荷が増大することがある上、アル
キルケテンダイマーをサイズ剤として用いるために、プ
レスロール等のロール汚れが発生したり、抄紙された原
紙の表面が滑り易くなるという欠点を有している。
【0006】これらの欠点は、アクリルアミドとカチオ
ニックモノマーとの共重合により得られる、特定の分子
量と特定のカチオン価を有するカチオン性ポリアクリル
アミドを使用することにより改善される(特開平4−1
31843号公報)。そして、上記の系には、更に、エ
ポキシ化高級脂肪酸アミドと共にアニオン性ポリアクリ
ルアミドを使用することが好ましいことも判明している
(特開平4−131843号公報)。また、写真の表面
としては、平滑性の高いものほど好まれる傾向がある。
【0007】そこで、本発明者らは強度が高く、印画紙
とした場合の平滑性を改良することのできる原紙につい
て鋭意検討した結果、パルプ中のLBSPの含有量を3
5〜70重量%とした場合に良好な結果を得ることがで
きること、特に、エポキシ化脂肪酸アミド及び/又はア
ルキルケテンダイマーを含有させると共に、冷水抽出p
Hを一定の範囲とし、且つ抄紙に際する紙料のゼーター
電位を特定の範囲に調整した場合には、極めて良好な写
真印画紙用支持体を得ることができることを見いだし、
本発明に到達した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の第1の
目的は、表面平滑性が極めて良好な写真印画紙用支持体
を提供することにある。本発明の第2の目的は、表面平
滑性に優れるのみならず、現像時の処理液の浸透が少な
い写真印画紙用支持体を提供することにある。本発明の
第3の目的は、表面平滑性が極めて優れた写真印画紙用
支持体を製造する方法を提供することにある。更に本発
明の第4の目的は、表面平滑性に優れるのみならず、現
像時の処理液の浸透が少ない写真印画紙用支持体を製造
する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の諸目的
は、原紙の両面をフィルム形成能ある樹脂で被覆してな
る写真印画紙用支持体であって、前記原紙中のパルプの
35〜70重量%がLBSPであると共に、必要に応じ
て、更に前記原紙中にエポキシ化高級脂肪酸アミド及び
/又はアルキルケテンダイマーが含有され、該原紙の冷
水抽出pHが6.0〜7.5に調整されていることを特
徴とする写真印画紙用支持体、及びその製造方法によっ
て達成された。
【0010】本発明におけるフィルム形成能ある樹脂に
は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン
樹脂の他、ポリブテン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド、ポリアクリル酸エス
テル等が包含されるが、これらの中でも、原紙に被覆す
る際の溶融押出し適性及び原紙との接着性等の観点か
ら、特にポリエチレンを使用することが好ましい。
【0011】これらのフィルム形成能ある樹脂の分子量
は、押し出しコーティングした被覆層中に、白色顔料や
着色顔料或いは蛍光増白剤を添加することが可能である
限り特に限定されることはないが、通常は20,000
〜200,000の範囲のものが用いられる。樹脂被覆
層の厚さについては特に制限はなく、従来の、印画紙用
支持体の樹脂層の厚さに準じて決めることができるが、
一般に、その厚さは15〜50μmである。
【0012】樹脂被覆層中には、白色顔料、着色顔料或
いは蛍光増白剤、フェノール、ビスフェノール、チオビ
スフェノール、アミン類、ベンゾフェノン、サリチル酸
塩、ベンゾトリアゾール及び有機金属化合物といった安
定化剤を添加することができる。特に、写真乳剤がその
上に塗布される側の樹脂被覆層には、白色顔料及び着色
顔料を添加することが好ましい。尚、樹脂を押し出しコ
ーティングする際の押し出しコーティング設備として
は、通常のポリオレフィン用押し出し機とラミネーター
が使用される。
【0013】次に、本発明で使用する原紙について詳述
する。本発明で使用する原紙においては、使用するパル
プの35〜70重量%をLBSPとすることが必要であ
り、特に40〜60重量%とすることが好ましい。35
重量%未満であると原紙表面の平滑性が低くなるので、
これを用いて得られる写真印画紙用支持体の表面平滑性
も低下する。一方、70重量%を越えると原紙の強度と
サイズ性が低下するので、高品位の写真印画紙用支持体
を得ることができない。
【0014】上記LBSPと併用するパルプとしてはL
BKPが好ましいが、NBSP及び/又はNBKPを、
全パルプの20重量%以下の範囲で使用することもでき
る。使用するパルプの濾水度は、全パルプとして200
〜300ミリリットル(C.S.F)であることが好ま
しく、特に200〜260ミリリットルであることが好
ましい。また、LBSP単独の濾水度は、220〜26
0ミリリットルであることが好ましい。
【0015】本発明においては、原紙のサイズ性を良好
なものとするために、エポキシ化高級脂肪酸アミド及び
/又はアルキルケテンダイマーを使用することが好まし
い。本発明で使用するエポキシ化高級脂肪酸アミドはサ
イズ剤として作用するものであり、その具体例として
は、例えば特公昭38−20601号、同39−450
7号及び米国特許第3,692,092号に記載されて
いるような脂肪酸と多価アミンの縮合により得られるも
の、特開昭51−1705号に記載されているような、
アルケニルコハク酸と多価アミンとの反応により得られ
るもの等を挙げることができる。
【0016】本発明においては、上記脂肪酸の中でも炭
素数8ないし30の高級脂肪族モノカルボン酸及び多価
カルボン酸が好ましく、特に炭素数12〜25のものが
好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例として
は、例えばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パ
ルミチン酸、アラキン酸、ベヘン酸、トール油脂肪酸、
アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸等を挙げること
ができるが、これらの中でも特にベヘン酸が好ましい。
脂肪酸は2種以上を併用しても良い。
【0017】又、前記多価アミンとしては、ポリアルキ
レンポリアミンが好ましく、中でもアミノ基の間にメチ
レン基を2乃至3個有するものが好ましい。具体例とし
てはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミ
ン、アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる。
【0018】本発明においては、機械的攪拌によってパ
ルプからサイズ剤が脱落しないように、特に脂肪族カル
ボン酸と多価アミンとの反応物を、エピクロルヒドリン
を用いて4級塩として使用することが好ましい。本発明
におけるエポキシ化高級脂肪族アミドの使用量は、パル
プに対して0.1〜3.0重量%であることが好まし
く、特に0.3〜1.5重量%であることが好ましい。
【0019】本発明で使用するアルキルケテンダイマー
としては、炭素数が8〜30の高級脂肪酸を用いて製造
したものが好ましく、特にベヘン酸を用いて製造したア
ルキルケテンダイマーを使用することが好ましい。添加
量は、パルプに対して0.1〜3.0重量%であること
が好ましく、特に0.3〜1.5重量%であることが好
ましい。
【0020】本発明においては、乾燥紙力増強剤として
カチオンスターチを添加することが好ましい。上記カチ
オンスターチとしては、コーン、タピオカ、ポテト等を
原料としたスターチを3級あるいは4級カチオン変成し
たものが挙げられる。カチオン変成の置換度は、0.0
2〜0.06であることが好ましい。また、その添加量
はパルプに対し0.5〜5.0重量%であることが好ま
しく、特に1〜3重量%であることが好ましい。
【0021】また、本発明においては、カチオンスター
チと共に、ポリアクリルアミドを添加することが好まし
い。このポリアクリルアミドとしては、アニオン性ポリ
アクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド及び両
性ポリアクリルアミド等が挙げられるが、特に両性ポリ
アクリルアミドを併用することが好ましい。
【0022】上記の両性ポリアクリルアミドは、アクリ
ルアミド又はメタクリルアミドを主要なモノマー成分と
しながら、アニオンモノマーとカチオンモノマーとを共
重合して得られる両性の共重合体であり、GPC法(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィ)によって測定さ
れる平均分子量が200万〜500万のもが好ましく、
特に200万〜350万であることが好ましい。
【0023】上記両性ポリアクリルアミドの使用量は、
パルプに対して0.01〜5.0重量%の範囲であるこ
とが好ましく、特に0.1〜1.0重量%の範囲である
ことが好ましい。本発明においては、更にポリアミドポ
リアミンエピクロロヒドリンを湿潤紙力増強剤として添
加することが好ましい。
【0024】このポリアミドポリアミンエピクロロヒド
リンの添加量は、パルプに対して0.05〜3.0重量
%の範囲であることが好ましく、特に0.2〜1.0重
量%の範囲であることが好ましい。本発明においては、
更に、アクリルアミド化合物とジアリルアミン塩との共
重合体を添加することが好ましい。
【0025】アクリルアミド化合物とジアリルアミン塩
との共重合体におけるアクリルアミド化合物としては、
アクリルアミド又はメチルメタクリルアミドが用いら
れ、ジアリルアミン塩としては、ジアリルアミンの塩
酸、硫酸、リン酸などの無機酸塩又はギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸などの有機酸塩が用いられる。このアクリルア
ミド化合物とジアリルアミン塩とのモル比は1/1〜1
0/1の範囲であることが好ましい。
【0026】また、上記2成分の他に、必要に応じ第3
成分として他のビニルモノマー、例えばアクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、アクリル酸、ジメチルアミノエチルア
クリレート等を共重合させることもできる。これらの共
重合体は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ)によって測定される平均分子量が5万〜100
万のものが好ましく、特に10万〜50万であることが
好ましい。これらの共重合体の添加量は、パルプに対し
て0.01〜2.0重量%の範囲であることが好まし
く、特に0.05〜0.5重量%の範囲であることが好
ましい。
【0027】本発明においては、パルプスラリー中に、
定着剤として多価金属塩を更に添加しても良い。このよ
うな多価金属塩としては、特に硫酸アルミニウム、塩化
アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩が好ましい。こ
れらの定着剤は、紙料中に0.1〜1.0重量%添加す
ることが好ましい。これ等の多価金属塩の添加によりパ
ルプスラリーのpHが酸性側になる場合には、例えば水
酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等のアルカリ性
物質を添加してpHを6.0〜8.5の中性域にコント
ロールすることが、原紙の保存性、ひいては写真印画紙
用支持体の保存性を良好にする上で好ましい。
【0028】本発明においては、このようにして得られ
るパルプスラリーのゼータ電位を−15〜+5mVの範
囲とすることが好ましく、特に−5〜+1mVの範囲と
することが好ましい。ゼータ電位が、−15mV未満に
なるか、+5mVを超えると、現像時における印画紙切
断端面からの現像液の浸透深さが大きくなり、使用に耐
えうる写真印画紙が得られない。
【0029】パルプスラリーのゼータ電位の調整は、パ
ルプスラリー中にアニオン物質を添加することによって
行なうことができる。これは、パルプは一般にアニオン
であるが、印画紙用中性原紙に必要な特性を得るために
添加する紙力剤やサイズ剤等は、カオチンであることが
好ましい上添加量も多いため、全薬品を添加した後のパ
ルプスラリーは、通常プラス電位になっているからであ
る。
【0030】ゼータ電位の調整剤としては、例えば、カ
ルボキシメチルセルロース塩、カルボキシ変成ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ等を挙げることが
できるが、これらの中でも特にカルボキシメチルセルロ
ース塩が好ましい。上記のカルボキシメチルセルロース
塩は、セルロースの水酸基にカルボキシメチル基がエー
テル結合したものの塩であり、本発明においては、特に
そのナトリウム塩が好ましく用いられる。
【0031】上記のカルボキシメチルセルロース塩のエ
ーテル化度は、0.5〜0.8であることが好ましく、
その平均重合度は300〜500であることが好まし
い。カルボキシメチルセルロース塩の添加量は、パルプ
に対して0.01〜1.0重量%の範囲であることが好
ましく、特に0.05〜0.5重量%の範囲であること
が好ましい。また、前記ゼータ電位の調整剤として、2
種以上の化合物を併用することもできる。
【0032】本発明においては、更に、必要に応じてク
レー、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン
又は尿素樹脂微粒子等の充填剤;ロジン、高級脂肪酸
塩、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸無水物、
スチレンアクリル酸共重合体等のサイズ剤;ゼラチン等
の紙力剤;メラミンホルマリン縮合物等の湿潤紙力剤;
その他染料、蛍光増白剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0033】紙料への各薬品の添加方法は、カオチンス
ターチ、アルカリ性物質、アクリルアミド化合物とジア
リルアミン塩との共重合体の順序で添加することが好ま
しい。アルカリ性物質は、紙料の最終のpHが6.0〜
8.5となるように調整しながら添加する。エポキシ化
高級脂肪酸アミド及びアルキルケテンダイマーはいかな
る添加順序においても良好なサイズ性を示すが、特に上
記添加順序におけるカオチンスターチの添加後に添加す
る方が、分散性が良くサイズ性の点で好ましい。必要に
応じて加えるポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン
等の湿潤紙力剤の添加順序も任意である。
【0034】上記の如くして得られた原紙の表面には、
各種の水溶性添加剤を含有する液をサイズプレス、タブ
サイズ又はゲイトロールコーター等で含浸・塗布しても
良い。斯る水溶性添加剤としては、例えば、澱粉、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコー
ル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、アルギン酸ナトリウム、セルロースサルフェ
ート、ゼラチン、カゼイン等の高分子化合物、塩化カル
シウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の金属塩が
ある。
【0035】上記水溶性添加剤を含有する液中には、更
にグリセリン、ポリエチレングリコール等の吸湿性物
質;染料、蛍光増白剤等の着色・増白物質;苛性ソー
ダ、アンモニウム水、塩酸、硫酸、炭酸ナトリウム等の
pHコントロール剤を添加しても良い。又、必要に応じ
て顔料等も該水溶液中に添加することができる。原紙基
体の厚さは特に限定されるものではないが、坪量は、5
0g/m2 〜250g/m2 が望ましい。
【0036】また、写真印画紙の平面性の観点から、表
面の平滑性及び平面性に優れた原紙が望ましく、従っ
て、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及
び圧力を加えて、原紙の表面を処理することが好まし
い。本発明の写真印画紙用支持体は、その光沢面に写真
乳剤層が塗布乾燥されて写真印画紙となるが、他面に、
例えば特開昭62−6256号に開示されている印字保
存層を設けることができる等様々な態様が可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明の写真印画紙用支持体は、全パル
プの35〜70重量%がLBSPである原紙を使用して
おり、平滑性が良好な原紙を使用しているので、表面平
滑性が極めて良好である。特に、エポキシ化高級脂肪酸
アミド及び/又はアルキルケテンダイマーを含有する中
性域で抄紙した原紙の両面をフィルム形成能ある樹脂で
被覆した場合には、表面の平滑性が良好であるのみなら
ず、切断面端部からの現像液の浸透が極めて低度であ
る。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。 実施例1.LBSPをダブルディスクリファイナーで叩
解し、カナディアンフリーネスが220ミリリットルの
パルプを得た。また、同様に、LBKPをダブルディス
クリファイナーで叩解し、カナディアンフリーネスが2
60ミリリットルのパルプを得た。次に、上記のLBS
P45重量部及びLBKP55重量部を混合し、カナデ
ィアンフリーネスが235ミリリットルの混合パルプを
調製した。
【0039】上記の混合パルプのスラリーを攪拌しなが
ら、パルプ100重量部に対して、カチオンスターチ
1.5重量部、エポキシ化ベヘン酸アミド0.2重量
部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.5
重量部、ベヘン酸を用いて製造したアルキルケテンダ
イマー0.5重量部、カルボキシメチルセルロースの
ナトリウム塩が0.15重量部となるように各々加えた
後、pHが8.0となるように水酸化ナトリウムを加
えた。
【0040】得られたパルプスラリーのゼータ電位をペ
ンケン(Penken)社製のゼータ電位測定装置MO
DEL501により測定したところ、−7mVであっ
た。次いで、このパルプスラリーから、180g/m2
となるように抄造して得た原紙の表面に、下記表1の組
成のサイズ液をサイズプレスし、液の付着量が30g/
2 となるように付着させた。
【0041】
【表1】 ──────────────────────── ポリビニルアルコール : 5.0重量% 塩化カルシウム : 4.0重量% 蛍光増白剤 : 0.5重量% 消泡剤 : 0.005重量% 水 : 90.495重量% ────────────────────────
【0042】得られたサイズ液付着紙の厚みを、マシン
カレンダーを用いて173μmに調整した後、裏面にコ
ロナ放電処理を施し、次いで密度0.980g/m2
ポリエチレンを約30μmコーティングした。更に、お
もて面(写真乳剤塗布側)にコロナ放電処理を施した
後、10重量%の酸化チタンを含有する密度0.960
g/m2 のポリエチレンを約30μmコーティングし
て、写真印画紙用支持体を得た。
【0043】得られた写真印画紙用支持体にカラー乳剤
を塗布して得たカラー印画紙を、自動現像機を用いて現
像処理した処理後の印画紙について、端部からの処理液
の浸透深さを測定したところ、浸透深さは0.41mm
と少なく、極めて良好であった。また、印画紙の画面の
平滑性を視覚的に判定したところ、5段階評価法の5で
あり、極めて良好であった。
【0044】比較例1.カルボキシメチルセルロースの
ナトリウム塩を全く使用しなかった他は、実施例1と全
く同様にして原紙を調製し、写真印画紙を得た。この場
合の処理液の浸透深さは0.69mmと不良である上、
平滑性も4.5と実施例1に比較して劣る印画紙であっ
た。尚、本比較例の場合における原紙の抄紙時のゼータ
電位は、+23mVであった。
【0045】比較例2.ポリアミドポリアミンエピクロ
ルヒドリンを全く使用しなかった他は、実施例1と全く
同様にして原紙を調製し、写真印画紙を得た。この場合
の平滑性は5と良好であったが、処理液の浸透深さは
0.98mmと著しく不良であった。尚、本比較例の場
合における原紙の抄紙時のゼータ電位は、−25mVで
あった。
【0046】実施例2.カナディアンフリーネスが23
0ミリリットルのLBSP55重量部、カナディアンフ
リーネスが250ミリリットルのLBKP35重量部及
びカナディアンフリーネスが250ミリリットルのNB
SP10重量部を混合し、カナディアンフリーネスが2
40ミリリットルの混合パルプを調製した。
【0047】上記の混合パルプのスラリーを攪拌しなが
ら、パルプ100重量部に対して、カチオンスターチ
2.0重量部、エポキシ化ベヘン酸アミド0.2重量
部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.3
重量部、ベヘン酸を用いて製造したアルキルケテンダ
イマー0.5重量部、カルボキシメチルセルロースの
ナトリウム塩が0.13重量部となるように各々加えた
後、pHが7.8となるように水酸化ナトリウムを加え
た。
【0048】上記の様にして調製したパルプスラリーを
用いた他は、実施例1と全く同様にして写真印画紙を得
た。得られた印画紙の平滑性は5であり、処理液の浸透
深さは0.37といずれも良好であった。尚、本実施例
における原紙の抄紙時のゼータ電位は−4mVであっ
た。
【0049】比較例3.カチオンスターチを全く使用し
なかった他は、実施例2と全く同様にして原紙を調製
し、写真印画紙を得た。この場合の平滑性は4.5と良
好であったが、処理液の浸透深さは0.87mmと不良
であり、実施例に比較して劣る印画紙であった。尚、本
比較例の場合における原紙の抄紙時のゼータ電位は、−
18mVであった。
【0050】比較例4.LBSP10重量部、LBKP
80重量部及びNBSP10重量部を混合した後叩解し
た、カナディアンフリーネスが280ミリリットルの混
合パルプを使用すると共に、カルボキシメチルセルロー
スのナトリウム塩を使用しない他は、実施例2と全く同
様にして原紙を調製し、写真印画紙を得た。この場合の
平滑性は3.5と不良であり、処理液の浸透深さも0.
67mmと不良であった。尚、本比較例の場合における
原紙の抄紙時のゼータ電位は、+8mVであった。
【0051】比較例5.LBKP80重量部及びNBS
P20重量部を混合した後叩解した、カナディアンフリ
ーネスが330ミリリットルの混合パルプを使用した他
は、比較例4と全く同様にして原紙を調製し、写真印画
紙を得た。この場合の平滑性は2.5と不良であり、処
理液の浸透深さも0.59mmと不良であった。尚、本
比較例の場合における原紙の抄紙時のゼータ電位は、+
12mVであった。
【0052】比較例6.LBSP80重量部及びLBK
P20重量部を混合した後叩解した、カナディアンフリ
ーネスが280ミリリットルの混合パルプを使用した他
は、実施例2と全く同様にして原紙を調製し、写真印画
紙を得た。この場合には、原紙の表面強度が低いため、
ポリエチレンをラミネーターで溶融押し出しコーティン
グする際に、無数のふくれ故障が発生し、表面の平滑性
を評価することは不可能であった。また、処理液の浸透
深さも0.61mmと不良であった。尚、本比較例の場
合における原紙の抄紙時のゼータ電位は、−1mVであ
った。以上の実施例及び比較例の結果は、本発明の有効
性を実証するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 17/07 G03C 1/79

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙の両面をフィルム形成能ある樹脂で
    被覆してなる写真印画紙用支持体であって、前記原紙中
    のパルプの35〜70重量%がLBSPである事を特徴
    とする写真印画紙用支持体。
  2. 【請求項2】 原紙が、エポキシ化高級脂肪酸アミド及
    び/又はアルキルケテンダイマーを含有すると共に、そ
    の冷水抽出pHが6.0〜7.5である、請求項1に記
    載された写真印画紙用支持体。
  3. 【請求項3】 スラリー中に含有される全パルプ中のL
    BSPの含有量が35〜70重量%であると共に、ゼー
    タ電位が−15〜+5mVの範囲に調整されたパルプス
    ラリーから抄紙された原紙の両面に、フィルム形成能あ
    る樹脂を被覆することを特徴とする、写真印画紙用支持
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 スラリー中にエポキシ化高級脂肪酸アミ
    ド及び/又はアルキルケテンダイマーが含有されている
    と共に、スラリーのpHが6.0〜8.5である、請求
    項3に記載された写真印画紙用支持体の製造方法。
JP19492694A 1994-07-27 1994-07-27 写真印画紙用支持体及びその製造方法 Pending JPH0843991A (ja)

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