JPH0843803A - 液晶光学素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶光学素子及びその製造方法

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JPH0843803A
JPH0843803A JP19895594A JP19895594A JPH0843803A JP H0843803 A JPH0843803 A JP H0843803A JP 19895594 A JP19895594 A JP 19895594A JP 19895594 A JP19895594 A JP 19895594A JP H0843803 A JPH0843803 A JP H0843803A
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JP
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liquid crystal
electrodeposition
optical element
binder resin
composite film
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JP19895594A
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Tatsuya Tabei
達也 田部井
Shuji Hattori
秀志 服部
Hirohisa Hara
博久 原
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学特性、電気特性及び耐光性等に優れた液
晶光学素子を提供すること。 【構成】 粒滴状に分散された液晶と、該液晶を内包す
る高分子カプセル壁と、該高分子カプセル壁とは異なる
バインダー樹脂とからなる液晶/高分子複合膜を、少な
くとも一方が透明な一対の電極基板面間に狭待してなる
液晶光学素子において、上記バインダー樹脂が、アニオ
ン性の官能基を有し、そのガラス転移温度が20〜10
0℃の範囲にある透明な樹脂からなり、液晶/高分子複
合膜の膜厚が3〜13μmであることを特徴とする液晶
光学素子、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶が高分子マトリッ
クス中に分散して存在する液晶/高分子複合膜を用いる
光透過−光散乱型液晶表示素子及びその製造方法に関
し、更に詳しくは光学特性、電気特性及び耐光性等に優
れた液晶光学素子の提供を目的とする。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、低消費電力、軽
量、薄型等の特徴を有している為、文字や画像の表示媒
体として腕時計、電卓、パソコン及びテレビ等に幅広く
用いられている。一般的なTN及びSTN型液晶ディス
プレイは、配向膜が形成された透明電極を有するガラス
板間に所定のシール等が施された液晶セル中に、液晶を
封入し、更に両面から偏光板でサンドイッチされたもの
である。
【0003】しかしながら、上記の従来の液晶ディスプ
レイは、(1)2枚の偏光板が必要な為、視野角が狭
く、又、輝度が不足している為、高消費電力のバックラ
イトが必要である、(2)セル厚依存性が大きく、大面
積化が困難である、(3)構造が複雑で、セルへの液晶
の封入が困難な為、構造コストが高い等の問題があり、
液晶ディスプレイの軽量化、薄型化、大面積化、低消費
電力化及び低コスト化に限界がある。この様な問題点を
解決する液晶表示媒体として、液晶を高分子マトリック
スに分散させた液晶/高分子複合膜の応用が期待され、
その研究開発が活発化してきた。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】液晶/高分子複合膜
を用いた光変調素子及びその製造方法は多数開示されて
いるが、その1つとして、電着塗布法(特開平5−83
832号公報参照)が挙げられる。既に本発明者等は、
電着塗布方法を用いて電気光学特性に優れた液晶/高分
子複合膜を作製する方法を確立してきた。最も効果的な
方法は、液晶をマイクロカプセル化し、該カプセルと電
着用の樹脂(バインダー樹脂)と、中和剤とを含む水系
分散液を用い、導電性の塗布基板と対向電極を配し、通
電することにより基板上にマイクロカプセル化液晶粒子
とバインダー樹脂を折出せしめ、該折出物を水洗及び乾
燥することにより液晶/高分子複合膜を作製する方法で
ある。
【0005】液晶/高分子複合膜の電気光学的特性は、
その塗膜構造(液晶の分散状態)に大きく影響を受ける
ことがわかっており、好ましい特性を発現させる為に
は、塗膜中に液晶が1〜3μmの粒滴状に密に分散した
構造である必要がある。液晶を予め水不溶性の高分子材
料壁でマイクロカプセル化しておくことにより、塗膜中
に液晶が粒滴状に保持された構造の膜を得ることが可能
となる。電着塗布方法によれば、高い膜厚均一性が得ら
れるばかりでなく、量産性にも優れ、更には、形成され
る複合膜のエッジの形状が非常にシャープであり、微細
なパターン加工が大面積で良好に行えることが確認され
ている。
【0006】ところが、従来の電着塗布方法により作製
された液晶/高分子複合膜では、耐熱性に劣ると云う問
題があった。より具体的には、セルが長時間高温下にお
かれると、塗膜の構造が破壊されてしまい、表示にムラ
が生じたり、表示特性が劣化してしまうものである。
又、対向電極基板の熱圧着時にも塗膜の構造が劣化して
しまい、得られる素子の電気光学特性が劣化すると云う
問題が発生する。従って本発明の目的は、上記従来技術
の問題を解決し、光学特性、電気特性及び耐光性等に優
れた液晶光学素子を提供することである。
【0007】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
により解決される。即ち、本発明は、粒滴状に分散され
た液晶と、該液晶を内包する高分子カプセル壁と、該高
分子カプセル壁とは異なるバインダー樹脂とからなる液
晶/高分子複合膜を、少なくとも一方が透明な一対の電
極基板面間に狭待してなる液晶光学素子において、上記
バインダー樹脂が、アニオン性の官能基を有し、そのガ
ラス転移温度が20〜100℃の範囲にある透明な樹脂
からなり、液晶/高分子複合膜の膜厚が3〜13μmで
あることを特徴とする液晶光学素子、及びその製造方法
である。
【0008】
【作用】ガラス転移温度が20〜100℃の範囲にある
バインダー樹脂を用いることによって、得られる塗膜の
耐熱性を向上させ、対向電極基板の熱圧着時に素子の電
気光学特性が劣化する問題を防止することが出来る。
又、塗膜の強度を上げることが出来、更に製造されたパ
ネルの耐熱性も向上する。一方、液晶/高分子複合膜の
形成に電着塗布方法を用いれば、高い膜厚均一性の複合
膜が得られるばかりでなく、複合膜の量産性にも優れ、
形成される複合膜のエッジの形状が非常にシャープであ
り、微細なパターン加工が大面積で良好に行うことが出
来る。
【0009】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明の液晶光学素子の構
成を図1に示す。本発明の液晶光学素子の構成は、図1
に図解的に示す様に、粒滴状に分散された液晶1と、該
液晶1を内包する高分子カプセル壁2と、該高分子カプ
セル壁2とは異なるバインダー樹脂3とからなる液晶/
高分子複合膜Aを、少なくとも一方が透明な一対の電極
基板面間4,4’に狭持してなり、上記バインダー樹脂
が、アニオン性の官能基を有し、そのガラス転移温度が
20〜100℃の範囲にある透明な樹脂からなり、液晶
/高分子複合膜Aの膜厚が3〜13μmであることを特
徴としている。
【0010】本発明で云う液晶とは、常温付近で液晶状
態を示す有機混合物であって、好ましくはネマチック液
晶若しくはコレステリック液晶が用いられる。これらの
液晶は誘電率異方性が正でも負でもよい。尚、液晶混合
物中には二色性色素を含有させることが出来る。二色性
色素を使用する場合には、液晶100重量部当たり約
0.5〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0011】上記マイクロカプセル化液晶粒子を分散固
定するバインダー樹脂として使用される高分子材料とし
ては、アニオン性の官能基を有し、そのガラス転移温度
が20〜100℃の範囲にある透明な樹脂であればいず
れも使用可能である。具体的には、マレイン化油樹脂、
アニオン変性ポリブタジエン樹脂、ポリエステル樹脂、
アクリル樹脂が挙げられるが、特に好ましいバインダー
樹脂は、耐熱性や強度等の点でアクリル系樹脂である。
【0012】上記バインダー樹脂は、そのガラス転移温
度(Tg)は20〜100℃である。ここで云うTgと
は以下の計算式により求められる値である。 1/Tg=W1 /T1 +W2 /T2 +W3 /T3 +・・・・ Tg=共重合体のガラス転移温度(絶対温度) Wx=各モノマーの重量分率 Tx=各ホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)
【0013】又、素子基板4,4’としては、従来公知
の液晶表示素子に一般的に使用されているもの、例え
ば、ITO系、SnO2 系、ZnO系の様な透明導電性
材料をガラスや高分子フィルム等の様な透明基板に付着
させた透明電極基板があり、一方の基板として不透明導
電性基板を用いる場合には、その電極が高反射率の金
属、例えば、アルミニウム、銀、クロム、ニッケル等で
表面凹凸形状を有する反射型電極を用いることも出来
る。その基板自体はガラス、高分子フィルム或いはその
他のものであってもよい。
【0014】次に本発明の製造方法について説明する。
本発明で云う電着塗布方法とは、塗工液中に塗布基板と
なる主電極と対向電極とを配置して通電し、マイクロカ
プセル化液晶粒子とバインダー樹脂とを電気的に基板上
に吸尽若しくは沈着させ、次いで塗布基板を取り出して
溶剤を除去することにより塗膜を得るものである。電着
塗布方法の原理を以下に説明する。電着用分散液中には
必須成分としてマイクロカプセル化液晶粒子と、アニオ
ン性基を有するバインダー樹脂と、該アニオン性基をイ
オン解離させる為のアルカリと水とが含まれている。
【0015】マイクロカプセル化液晶粒子は電気的に中
性であってもよく、アニオン性のバインダー樹脂がカプ
セルに吸着して保護コロイドとして機能する為、カプセ
ルは凝集せずに安定して分散している。浴中に被塗布基
板である正電極と負電極とを浸漬して通電した場合、ア
ニオン性樹脂と、アニオン性樹脂の吸着により負に帯電
したカプセルは陽極側に電気泳動する。一方、電極上で
は水の加水分解が起こり、陽極付近は酸素ガスの発生に
より酸性となり、陰極付近は水素ガスの発生によりアル
カリ性となる。
【0016】陽極に電気泳動したマイクロカプセル化液
晶粒子とバインダー樹脂とは、酸性領域で電荷を失い電
極面に折出する。電極上に折出した膜は完全には非導電
性とならず、水を含んだポーラスな構造となっている。
膜中の隙間を通じて更に析出とガス抜けが行われる。析
出膜中に含まれている水分は逆浸透により膜から抜け出
していくと同時に、バインダー樹脂が融着することによ
り初めて緻密な膜が形成される。膜が緻密になると電気
導電性が失われる為に塗膜の成長が止まる。上記の様に
緻密な膜が形成される条件を制御すれば、電着塗布方法
では膜厚を高い均一性で制御することが出来る。
【0017】しかしながら、緻密な膜を形成する為には
バインダー樹脂が相互に融着する必要があり、従来の方
法ではTgが室温以下にある様なバインダー樹脂を用い
なければ、3〜13μmといった比較的薄い膜厚で均一
な膜を作製することが出来なかった。この為に得られた
膜は耐熱性に欠けていた。本発明者は、上記欠点を改良
すべく、高いTgのバインダー樹脂を用いても均一な膜
厚の液晶/高分子複合膜を電着塗布方法で形成すること
が出来る方法を見い出し、本発明に至った。
【0018】本発明の液晶光学素子の製造方法の第一の
特徴は、電着塗布方法によって液晶/高分子複合膜を形
成する際に、電着用液晶分散液組成物中に溶解度パラメ
ーターの値が6.9〜12.5[cal/cm31/2
の範囲にある有機溶剤を添加することである。ここで云
う溶解度パラメーターは、次式により求めれられる。 δ=(E/V)1/2 ここで、δ:溶解度パラメーター[cal/cm3
1/2 E:凝集エネルギー[cal/mol] V:分子容[cm3 /mol]
【0019】溶解度パラメーターの値が6.9[cal
/cm31/2 未満の有機溶剤であると、水への溶解性
が不十分であり、電着用液晶分散液組成物中に溶剤が溶
解しない。一方、溶解度パラメーターの値が12.5
[cal/cm31/2 を越えると、浴中のバインダー
樹脂と有機溶剤との親和性が悪く、バインダー樹脂の融
着効果が不十分になる為に本発明の効果が充分には得ら
れない。
【0020】本発明で用いる有機溶剤としては、ジイソ
プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジエチルエ
ーテル、ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジメチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、モルホリン、エチレ
ンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラ
ン等のエーテル類、ジイソプロピルケトン、メチルプロ
ピルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ア
セトン、アセトフェノン、メシチルオキシドケトン、シ
クロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチ
レングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、エチレグリコールジエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリ
コールエーテル類、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド等のアルデヒド類、ジエチルスルホン等のスルホン
類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、N,N
−ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジアセトンアル
コール、イソペンチルアルコール、クレゾール、イソブ
タノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert
−ブタノール、1−ヘプタノール、1−ヘキサノール、
2−ヘキサノール、1−ペンタノール、イソブチレング
リコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノ
ール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、2−ク
ロロエタノール、フルフリルアルコール等のアルコール
類等が挙げられるが、これらの有機溶剤中では特にエチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、シクロヘキサノール、ヘキサノ
ール及びベンジルアルコールが好ましく用いられる。
【0021】これらの有機溶剤を電着浴中に添加した場
合に、高いTgを有するバインダー樹脂を用いても、形
成される複合膜の膜厚の制御が可能となる理由について
は、電極近傍に析出したバインダー樹脂の融着が有機溶
剤により促進され、緻密な塗膜を形成し易くなる為と考
えられる。塗膜が緻密な構造となることで、膜の電気抵
抗が高くなり電流が減少する。この為に膜はそれ以上成
長しなくなる。従って、塗膜の成長は一定の膜厚で止ま
り、膜厚は正確に制御される。
【0022】以上の有機溶剤の添加量については、有機
溶剤の種類によって異なるが、電着用液晶分散液組成物
の0.1〜15重量%が好ましい。有機溶剤が0.1重
量%未満では、有機溶剤添加によるバインダー樹脂の融
着促進効果が不十分であり、膜厚3〜13μmで高い均
一性を有する液晶/高分子複合膜を電着塗布方法によっ
て製造することは困難である。一方、有機溶剤が15重
量%を越えると、バインダー樹脂の溶解性が向上しすぎ
る為、電着塗布方法を用いても液晶/高分子複合膜が良
好には析出出来なくなる等の問題がある。
【0023】用いた有機溶剤は析出した塗膜中に混入す
る。混入した有機溶剤が乾燥後の液晶/高分子複合膜か
ら充分に除去されていないと、バインダー樹脂の可塑剤
として働き、液晶/高分子複合膜の耐熱性は向上しな
い。従って有機溶剤を除去する為に、乾燥方法として減
圧乾燥が好ましく用いられる。乾燥温度が高すぎると塗
膜中の液晶が揮発してしまったり、液晶が塗膜上面に染
み出して来たりする為、乾燥温度は通常100℃以下が
好ましい。従って用いる有機溶剤の沸点が高すぎると、
用いた有機溶剤を十分に除去することが難しくなる。従
って用いる有機溶剤の沸点は200℃以下が好ましい。
【0024】本発明の製造方法の第二の特徴は、電着塗
布方法によって液晶/高分子複合膜を形成する際に、電
着用液晶分散液組成物の温度を30〜80℃の範囲にす
ることである。電着用液晶分散液組成物の温度が30℃
未満であると、バインダー樹脂の融着が不十分である為
に、膜厚が3〜13μmで高い均一性を有する液晶/高
分子複合膜を電着塗布方法によって製造することは困難
である。一方、電着用液晶分散液組成物の温度が80℃
を越えると、電着浴中のアミンや溶剤の蒸発による液組
成の変化が顕著になる等の問題がある。
【0025】本発明の製造方法の第三の特徴は、電着塗
布方法によって液晶/高分子複合膜を形成する際に、電
着用液晶分散液組成物の固形分濃度を12〜50重量%
の範囲にすることである。ここで云う固形分濃度とは、
以下の式で定義される。 [(マイクロカプセル化液晶粒子重量+バインダー樹脂
重量)/(電着用液晶分散液重量)]×100(%) 固形分が高いと膜厚を薄く制御出来る理由としては明確
ではないが、以下の様に考えられる。即ち、低固形分濃
度においては、析出初期状態では水を多く含んだ状態と
なる。この為に電流が流れ易く、次々と析出が進んでし
まう。
【0026】一方、高固形分濃度では、析出初期状態で
の水分が相対的に低い為に、析出物の抵抗が高くなる。
この為に析出物中の水分は逆浸透作用により押出される
と共に、ジュール熱により局所的に温度が高くなりバイ
ンダー樹脂の融着が促進される。この様にして緻密な膜
が生成すれば、塗膜はそれ以上成長しなくなり、膜厚が
制御される。電着用液晶分散液組成物中の固形分濃度が
12重量%未満であると、析出時の膜は、溶剤(主に
水)を多く含んだ電気抵抗の低い膜である為に、膜厚が
3〜13μmで高い均一性を有する液晶/高分子複合膜
を電着塗布方法によって製造することは困難である。
【0027】一方、電着用液晶分散液組成物中の固形分
濃度が50%を越えると、電着後の電極引上げ時に余分
に槽外に持ち出される液晶粒子が多い為に不経済であ
る。又、電着用液晶分散液組成物の粘度が高くなりす
ぎ、浴中の気泡が抜けなくなる為に、基板の表面が充分
に液で濡れなくなり、塗布ムラが発生すると云う問題が
生じる。上記本発明の製造方法における3つの特徴は、
それらのうちの2つ以上を組み合わせることにより更に
優れた効果が得られる。
【0028】パネルにされた場合において液晶/高分子
複合膜に印加された電圧が、液晶相に有効に分配される
為には、液晶/高分子複合膜中の高分子材料の含有率は
なるべく小さいことが好ましい。従って、電着用分散液
中のマイクロカプセル化液晶粒子に対するバインダー樹
脂の比率は出来るだけ低くする必要がある。カプセル1
00重量部に対し、用いるバインダー樹脂の比率は5〜
30重量部が好ましい。5重量部未満では電着塗布時に
膜が緻密にならない為に膜厚の制御が出来ない。
【0029】電着時に印加する電圧は10〜50Vが好
ましい。膜厚は、10V以上の領域では高くなるほど膜
厚が厚くなる。50Vを越えると膜厚を10μm程度に
制御することが困難である。又、これ以上の電圧で形成
した塗膜は、表面凹凸が激しくなる傾向にある。一方、
電圧が10V未満では、電極の抵抗の僅かなムラの影響
を敏感に受けてしまう為に、膜形成の再現性に乏しく、
膜厚ムラが生じ易い。
【0030】好ましい通電時間は、用いる基板の大きさ
や形状、抵抗値等により変わってくるが、通常は5秒間
〜1分間程度である。塗膜の析出は初期においては電極
密度の高い電極エッジ部や、電着用電極端子付近に優先
的に起こる為に、5秒未満では面内で膜厚の分布が生じ
てしまう。全面にわたり均一な膜厚の塗膜が形成される
までに要する通電時間は、電極形状が細長くなるほど、
又、抵抗が高くなるほど長くなる。一方、通電時間が長
すぎると一度形成された塗膜が再溶解する為に膜厚にム
ラが生じ易い。又、スループットが低く、生産性が悪く
なると云う問題がある。
【0031】液晶のマイクロカプセル化法は、他の材料
に適用されている一般的マイクロカプセル化技術が使用
出来る。一般的マイクロカプセル化法には、化学的作成
法、物理化学的作成法、及び物理的・機械的作成法があ
る。化学的作成法については合成反応を用いる界面重合
法、in situ重合法、及び高分子物性変化を生じ
させる液中硬化被覆法がある。界面重合法は重縮合或い
は重付加反応する様な二種のモノマーとして、水溶性の
ものと油性性のものを選択し、いずれかを分散させてそ
の界面で反応させる方法である。in situ重合法
は核材の内又は外の一方からリアクタント(モノマー又
は開始剤)を供給し、カプセル壁膜表面で反応させる方
法である。液中硬化被覆法(オリフィス法)は予め核材
を壁膜剤でカプセル化した後、その壁膜を硬化液中で硬
化する方法である。
【0032】物理化学的作成法としては、相分離を利用
したコアセルベーション法、界面沈澱法(液中濃縮法、
液中乾燥法、二次エマルジョン法)、及び融解分離法が
ある。コアセルベーション法は水溶液系でも、有機溶媒
系でも用いることが出来る。水溶液系では、溶解性の減
少により相分離を生じさせる単純コアセルベーション
法、電気的相互作用により相分離を生じさせる複合コア
セルベーション法を用いることが出来る。有機溶媒系で
は溶解性や温度等の変化による相分離現象を利用する。
【0033】界面沈澱法は、激しい反応や急激なpH変
化等が伴わない温和な条件でカプセル化可能な方法であ
り、例えば、液晶核材を分散した水溶液を疎水性高分子
の溶剤溶液中に分散させた後、更に保護コロイド溶液に
分散させるものである。融解分散法は壁膜材としてワッ
クスやポリエチレンの様な蝋状物質を用いるもので、加
熱下で核材を蝋状物質と共に液中に分散した後、冷却す
る方法である。物理的・機械的作成方法として、スプレ
ー・ドライング法、気中懸濁被覆法、真空蒸着被覆法等
が挙げられるが、核材である液晶は常温で液体であり、
その大きさを整えるエマルジョンの作成が前提となる為
に、液晶のカプセル作成法としては適していない。これ
らのカプセル化法のうちでは、カプセル粒径の制御が容
易で、又、カプセル壁材料の選択が広いin situ
重合法が好ましく用いられる。
【0034】以上の如き方法で得られるマイクロカプセ
ル化液晶粒子は種々の粒径及び壁厚のものとすることが
出来るが、本発明においては粒径が約0.5〜5μm程
度で液晶/壁剤の重量比が約70/30〜95/5のも
のが特に好ましい。実際の液晶表示体に用いるパネルの
製造においては、パネルの表示領域はITO、その他の
導電性材料で構成されているので、そのパネルを液晶材
料を電着させる為の主電極として直接利用すれば、パネ
ル面に必要な膜厚の液晶/高分子複合膜を形成すること
が出来る。
【0035】又、パネルには用いない電着専用の導電性
基板(必要に応じてパターン化しておいてもよい)に、
液晶材料の適正塗膜を形成した後、他のパネル部材面の
所定位置に転写してもよい。この方法によれば、良好な
塗膜のみを選択的にパネル化出来るし、電着用の電気配
線を1枚毎のパネル面に形成しておく必要がなく、電着
基板は反復して使用することが出来、簡便且つ合理的な
工程を組むことが出来る等の多くの利点がある。
【0036】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。 実施例1 [マイクロカプセル化液晶粒子の製造]伊勢化学工業製
の膜乳化システムを用い、以下の条件で連続相と分散相
の重量比が200:20の液晶エマルジョンを製造し
た。 分散相………ネマチック液晶(BDH社製、E−44) 18部 メタクリル酸メチル 2部 アゾビスイソブチロニトリル 0.05部 連続相………ポリビニルアルコール(日本合成化学工業
(株)製、KP−06)5%水溶液 多孔質ガラス……伊勢化学工業(株)製 MPG(緻細
孔:0.35μm) 管内圧力……1.85〜1.95kgf/cm2 管内流速……0.8m/sec 得られたエマルジョンを撹拌することなく、70℃で6
時間加熱し、液晶を内包するマイクロカプセルを得た。
【0037】[電着塗布方法]後記表2に示す条件にて
電着塗布方法を行った。ここで電着用分散液の調製は以
下の様に行った。バインダー樹脂1重量部を2重量部の
エタノールに溶解する。バインダー樹脂の酸価に対して
0.8当量のトリエチルアミンを外添して良く撹拌す
る。更に7重量部のイオン交換水を加えて撹拌する。遠
心沈降操作により濃縮したマイクロカプセル化液晶粒子
分散液を該液に加える。該分散液中に所定の固形分濃度
になる様にイオン交換水を滴下し、最後に所定量の有機
溶剤を添加する。上記電着用分散液中に、ITOをパタ
ーニングしたガラス基板を正極、該ガラス基板板のIT
Oと同じ形状で同じ面積のステンレスからなる対向電極
を負極とし、電極間距離1cmに設置する。所定の電圧
まで1秒間でスイープし所定時間通電した。電圧を切っ
た後、基板を速やかに引き上げ、イオン交換水にて水洗
し、冷風にて水切りした後、40℃、1Toorにて5
時間減圧乾燥した。
【0038】実施例1〜9及び比較例1で得られた塗膜
は、いずれも図2に示す様に膜周辺部の隆起がなく、I
TOパターンと同じ形状で同じ面積の、膜厚が約9μm
前後で均一な液晶/高分子複合膜であった。比較例2の
塗膜は、図3に示す様に膜厚が約50〜250μmであ
り不均一であった。比較例3の塗膜は、図4に示す様に
膜周辺部が隆起し不均一であった。比較例4では、殆ど
塗膜が付着していなかった。比較例5の塗膜では、膜厚
が50〜150μmで不均一であった。
【0039】[ラミネート及び電気応答特性評価]液晶
/高分子複合膜を設けていない他方の電極基板に、シア
ノエチル化PVA(信越化学工業製、シアノレジンCR
−V)のジメチルホルムアミド10%溶液をブレードコ
ーティングし、120℃にて30分間ベークした後、膜
厚2μmの誘電層を形成した。実施例1〜9及び比較例
1で得られた塗膜付電極を上記対向電極と位置合わせし
て重ね合わせた後、120℃に加熱された熱ロールを用
いて熱圧着した。実施例1〜9で得られたセルの電圧オ
フ時の透過率はいずれも2.5〜3.0%の範囲にあ
り、均一であったのに対し、比較例1のセルでは周辺部
から液晶がしみ出し、電圧オフ時の透過率が3〜6%と
全体に高く、且つムラのあるものであった。又、これら
のセルを1kHz、30Vの矩形波で駆動したところ、
実施例1〜9のセルはいずれも透過率が70%以上にな
ったのに対し、比較例1のセルでは透過率が55%と低
かった。尚、透過率の測定は、大塚電子工業製フォータ
ルLCD−5000を用い、F#4.0にて行った。
【0040】ここで用いたアニオン性アクリル樹脂は、
以下の如くして合成した。合成方法 下記表1の組成物を調整し、撹拌器及び還流冷却器を備
えたセパラブルフラスコ中で、窒素気流下70℃で7時
間反応させて合成した。
【0041】表1
【0043】反応終了後再沈澱法によりポリマーを単離
精製した。単離精製したポリマーの諸物性は次の様な方
法で決定した。ガラス転移温度(Tg): 以下に示す式より計算した。 1/Tg=W1 /T1 +W2 /T2 +W3 /T3 +・・・・ Tg=共重合体のガラス転移温度(絶対温度) Wx=各モノマーの重量分率 Tx=各ホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)酸価: 所定量のバインダー樹脂を所定量のエタノール或
はテトラヒドロフランに溶かし、指示薬としてフェノー
ルフタレインを加え、1/10規定水酸化カリウム溶液
で滴定することにより求めた。
【0044】表2 A:n−ブチルアルコール B:ベンジルアルコール C:シクロヘキサノール D:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0045】
【発明の効果】以上の如き本発明によれば、ガラス転移
温度が20〜100℃の範囲にあるバインダー樹脂を用
いることによって、得られる塗膜の耐熱性を向上させ、
対向電極基板の熱圧着時に素子の電気光学特性が劣化す
る問題を防止することが出来る。又、塗膜の強度を上げ
ることが出来、更に製造されたパネルの耐熱性も向上す
る。一方、液晶/高分子複合膜の形成に電着塗布方法を
用いれば、高い膜厚均一性の複合膜が得られるばかりで
なく、複合膜の量産性にも優れ、形成される複合膜のエ
ッジの形状が非常にシャープであり、微細なパターン加
工が大面積で良好に行うことが出来る。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶光学素子の断面を図解的に説明す
る図。
【図2】実施例の液晶/高分子複合膜の表面凹凸を示す
図。
【図3】比較例の液晶/高分子複合膜の表面凹凸を示す
図。
【図4】比較例の液晶/高分子複合膜の表面凹凸を示す
図。
【符号の説明】
1:液晶 2:高分子カプセル壁 3:バインダー樹脂 4,4’:電極基板 A:液晶/高分子複合膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒滴状に分散された液晶と、該液晶を内
    包する高分子カプセル壁と、該高分子カプセル壁とは異
    なるバインダー樹脂とからなる液晶/高分子複合膜を、
    少なくとも一方が透明な一対の電極基板面間に狭持して
    なる液晶光学素子において、上記バインダー樹脂が、ア
    ニオン性の官能基を有し、そのガラス転移温度が20〜
    100℃の範囲にある透明な樹脂からなり、液晶/高分
    子複合膜の膜厚が3〜13μmであることを特徴とする
    液晶光学素子。
  2. 【請求項2】 上記バインダー樹脂がアクリル系樹脂で
    ある請求項1に記載の液晶光学素子。
  3. 【請求項3】 電気化学的に電極上に折出することが可
    能なアニオン性バインダー樹脂と、中和剤と、マイクロ
    カプセル化液晶粒子とを含む電着用液晶分散液組成物を
    用い、電着塗布方法によって請求項1に記載の液晶/高
    分子複合膜を形成する工程を含む液晶光学素子の製造方
    法において、電着用液晶分散液組成物中に、溶解度パラ
    メーターの値が6.9〜12.5[cal/cm3
    1/2 の範囲にある有機溶剤を含有することを特徴とする
    液晶光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 電気化学的に電極上に折出することが可
    能なアニオン性バインダー樹脂と、中和剤と、マイクロ
    カプセル化液晶粒子とを含む電着用液晶分散液組成物を
    用い、電着塗布方法によって請求項1に記載の液晶/高
    分子複合膜を形成する工程を含む液晶光学素子の製造方
    法において、電着用液晶分散液組成物の浴温が、30〜
    80℃の範囲にあることを特徴とする液晶光学素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 電気化学的に電極上に折出することが可
    能なアニオン性バインダー樹脂と、中和剤と、マイクロ
    カプセル化液晶粒子とを含む電着用液晶分散液組成物を
    用い、電着塗布方法によって請求項1に記載の液晶/高
    分子複合膜を形成する工程を含む液晶光学素子の製造方
    法において、電着用液晶分散液組成物中の固形分濃度
    が、12〜50重量%の範囲にあることを特徴とする液
    晶光学素子の製造方法。
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CN109870856B (zh) * 2017-12-04 2021-12-03 乐金显示有限公司 液晶显示装置

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