JPH0843362A - 仕上げ面の剥離診断装置 - Google Patents

仕上げ面の剥離診断装置

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JPH0843362A
JPH0843362A JP6197828A JP19782894A JPH0843362A JP H0843362 A JPH0843362 A JP H0843362A JP 6197828 A JP6197828 A JP 6197828A JP 19782894 A JP19782894 A JP 19782894A JP H0843362 A JPH0843362 A JP H0843362A
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peeling
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microphone
delamination
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で、精度が高く、確実に仕上げ面
の剥離を検出できる剥離診断装置を提供する。 【構成】 ハンマ2による打撃点の垂直線を対称軸とし
て、その打撃点に好ましくは収音軸合致させて一対のマ
イクロホン31,32を配置し、ハンマ2によって打撃
したときの打撃音をマイクロホン31,32によって電
気信号に変換し、両マイクロホン31,32からの出力
信号を引き算回路に入力して、その差信号のレベルがあ
らかじめ設定されている閾値よりも大きい場合に、正常
領域と剥離部分の境界と診断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は仕上げ面の剥離診断装置
に関し、さらに詳しく言えば、構造物の下地上に形成さ
れている仕上げ面をハンマなどで打撃し、その打撃音を
検出して仕上げ面の剥離状態を診断する剥離診断装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】構造物の仕上げ面や建築物の表面の異常
や剥離を検出するにあたって、旧くは作業者もしくは検
査者がその仕上げ面や表面をハンマによって打撃し、そ
の打撃音を耳で聞き分けて、正常、異常の別および剥離
の有無を検出していた。
【0003】しかしながら、これによるとハンマの打撃
力が均一でないことや音の聴取に個人的な差があること
から信頼性にかけることは否めない。もっとも、高度な
職人的熟練者の場合はかなりの信頼性があるが、このよ
うな人は数が少なく、その人材確保に難がある。そこ
で、電気的に打撃音を処理して熟練を要することなく剥
離や表面の異常を検出する技術が種々提案されている。
【0004】例えば特開昭63−168555号公報に
おいては、建築物の仕上げ面を叩打し、その反響音を音
信号に変換し、次いで叩打した瞬間を除いた叩打音の最
高レベル値と、叩打した瞬間を除いた叩打音の時系列信
号の積分値との少なくとも一方を基準値と比較すること
により、仕上げ面の剥離を判断するようにしている。具
体的には、健全部の打撃音の減衰曲線をあらかじめ電子
回路で作っておき、これと測定点の実際の叩打音とを比
較するようにしている。
【0005】また、特公平2−54903号公報には、
タイルを打撃するハンマと、ハンマの打撃力を検知する
荷重検出器と、タイルの打撃音を検出するマイクロホン
と、マイクロホンが検出した打撃音および荷重検出器が
検出した打撃音とから剥離部分およびその剥離深さを表
示するマイクロコンピュータとを備えた構成が開示され
ている。この構成では、まず、正常領域の打撃音を高速
フーリエ変換(FFT)で解析し、この解析結果をマイ
クロコンピュータに記憶させる。次いで、測定個所の打
撃音を高速フーリエ変換して上記正常領域のフーリエ変
換値との差を計算し、この差が基準値よりも大きければ
異常と判断するようにしている。
【0006】一方、特開平5−281202号公報にお
いては、打撃手段によって打撃したときに生じる打撃音
の振動波形を検出する電気音響変換手段と、この電気音
響変換手段によって得られた打撃音の振動波形の波高率
を求める信号処理手段とを備え、信号処理手段によって
求められた波高率を指標として打撃部位の仕上げ材の接
着状態の良否を判断するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63−168555号公報では、健全部の打撃音の減衰
曲線をあらかじめ電子回路で作っておいて、測定点の打
音と比較するようにしているが、あらかじめ電子回路で
作成される健全部の打撃音の減衰曲線が不確かであるた
め、比較を精度良く行なったとしても高信頼性が得られ
ず、実使用には問題が残る。
【0008】また、特公平2−54903号公報による
技術では、高速フーリエ変換で解析し、マイクロコンピ
ュータを使用して正常領域の解析結果と測定個所の解析
結果とを比較するが、打撃音の1ヵ所あたりの計算時間
に数十秒を要し、さらに、正常領域の高速フーリエ変換
の解析結果の波形は、部材の位置によってかなり異なる
ので、これらを平均して使用する必要があり、測定に時
間がかかり過ぎ好ましくない。
【0009】さらに、特開平5−281202号公報記
載のものでは、建物のタイル外壁の剥離を見るのに、減
衰振動波形から波高率を算出し、それが正常部の波高率
からずれていると剥離と見なすようになっているが、建
物の構造や仕上げ材の種類によって閾値を変える必要が
あり、波高率の閾値の設定に難がある。したがって、こ
の閾値の設定を間違えると誤った評価を導き出すことに
なり、信頼性を確保することが困難であるという問題が
ある。
【0010】本発明は、このような背景に鑑みてなされ
たもので、その目的は、簡単な構造でありながら、精度
が高く、確実に仕上げ面の剥離部位を検出し得るように
した仕上げ面の剥離診断装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、構造物の下地上に形成されている仕上げ
面を打診して、同仕上げ面の剥離の有無を診断する仕上
げ面の剥離診断装置において、上記仕上げ面を打撃する
打撃手段と、上記仕上げ面に対する同打撃手段の打撃点
から等距離、等高であって、かつ、その打撃点を通る中
心線に対して180度の間隔をもって対称に配置された
一対のマイクロホンと、この双方のマイクロホンから出
力される出力信号の差信号を検出し、その差信号のレベ
ルをあらかじめ設定されている閾値レベルと比較して上
記仕上げ面の剥離部と非剥離部の境界部分を検出する診
断手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】この場合、上記診断手段は、上記各マイク
ロホンの出力信号を増幅する増幅回路と、同増幅回路に
て増幅された上記各マイクロホンの出力信号間の差を求
める引き算回路と、その差信号のレベルをあらかじめ設
定されている閾値レベルと比較して剥離の有無を判定す
る閾値判定回路と、同閾値判定回路により駆動される表
示手段とを備えているとともに、上記マイクロホンの出
力端子と上記増幅回路との間にハイパスフィルタ(もし
くはバンドパスフィルタ)が接続されることが好まし
い。
【0013】また、上記引き算回路は上記一方のマイク
ロホン側に接続された反転回路と、上記他方のマイクロ
ホン側に接続された非反転回路とを備え、その反転信号
と非反転信号とを加算(実質的には減算)する回路から
なることが好ましい。さらに、上記表示手段の一つとし
て、上記仕上げ面に所定のマークを付けるマーキング装
置が含まれるとよい。
【0014】一方、上記マイクロホンによる上記打撃音
の測定時間をその打撃後の1ミリ秒以内とすることが好
ましい。他方、上記仕上げ面に対する底面が開放されて
いて、かつ、走行車輪を有するハウジング内に、上記打
撃手段および上記一対のマイクロホンを収納することに
より、診断対象面である仕上げ面上を走行しながら作業
することが可能となる。さらには、上記ハウジング内に
上記診断手段を構成する各回路およびその電源部を搭載
することにより、小型で取扱い易い高度の実用性のある
装置にすることができる。
【0015】
【作用】上記の構成によると、打撃点から発生した打撃
音が物理的に同一に配置された2つの入力チャンネル系
を構成する一対のマイクロホンによって同時に収音され
ることになる。そして、両入力チャンネルの出力信号を
好ましくは増幅してその差信号をとると、打撃点が異常
領域と正常領域の境界点であれば、出力信号に大きな差
が生じるので、両入力チャンネルの差信号レベルがあら
かじめ設定されている閾値レベルよりも大きければ、診
断手段にて異常と判断される。このようにして打撃点ご
とに測定を繰り返せば、剥離した個所もしくはその領域
が確実に検出できる。
【0016】これによれば、マイクロホンによって収音
した打撃音の信号処理、例えばFFT処理などを特に行
なうことなく、両入力チャンネルの出力信号の差信号を
とって判断するだけであるため、リアルタイムで処理で
きるとともに回路構成も簡単となる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
について説明する。図1はこの実施例に係る剥離診断装
置の概略構造を示す断面図である。これによると、この
剥離診断装置1は、打撃手段としてのハンマ2と、その
打撃音を収音して電気信号に変換するマイクロホン3と
を備え、これらのハンマ2およびマイクロホン3は底面
が開放されたハウジング4内に収納され、このハウジン
グ4の下部に設けられた車輪5により、構造体としての
走行路6の表面に舗装された仕上げ面7上を自在に走行
できるようになっている。
【0018】ハンマ2は一端がハウジング4の所定部位
に軸支されたハンドル21と、同ハンドル21の他端に
取り付けられたハンマヘッド22とからなり、この実施
例において、ハンマヘッド22は5cmの高さから仕上
げ面7に自然落下するようにされている。なお、作図の
都合上、ハンマ2の戻し機構については図示省略した。
【0019】図2にはハウジング4内の模式的平面図が
示されており、この実施例によると、同ハウジング4内
には3個のハンマ2が設けられている。この場合、ハウ
ジング4の進行方向を同図矢印方向とすると、各ハンマ
2はその進行方向に対して直交する方向に沿って例えば
10cmおきに3個並べて設けられている。
【0020】ハンマヘッド22は直径20mmの真鍮製
球体からなり、また、ハンドル21には軽量金属パイプ
が用いられている。なおこの実施例では、ハンマヘッド
22の直径は20mmに設定されているが、10〜30
mmであれば同等に使用でき、また、その落下高さは3
0〜100mmの範囲であればよい。これらはハンマヘ
ッド22の重量との関係で適宜設定される。
【0021】マイクロホン3としては、1つのハンマ2
について2つのマイクロホン31,32がそれぞれ用意
され、これら2つのマイクロホン31,32は、各ハン
マ2の落下点を通る垂直線を対称軸9として、同一の高
さ、同一の距離で、かつ、好ましくはその収音軸のハン
マ2の打撃点に対する傾斜角をそれぞれ対称として配置
されている。
【0022】対となるマイクロホン31,32は、高忠
実度で、その周波数特性が20Hz〜20kHzの範囲
内で平坦さを示す同一特性のものであることが必要とさ
れる。これには、コンデンサ型もしくはエレクトレット
コンデンサ型マイクロホンが好適である。
【0023】詳しくは図示されていないが、ハウジング
4には防音および吸音手段が施されており、マイクロホ
ン3がハンマ2による打撃音以外の音を拾わないように
配慮されている。各マイクロホン3が幅方向に10cm
の間隔で並設されていることから、ハウジング4の内法
は幅30cm程度に設定されている。なお、図示されて
いないが、このハウジング4内には、異常(剥離)部分
を発見したときには、その部分に例えばペイントによっ
てマーキングするマーキング装置が設けられている。
【0024】図3には上記一対のマイクロホン31,3
2で変換された電気信号の差から仕上げ面7の剥離を診
断する診断手段の回路図が示されている。これによる
と、一方のマイクロホン31には、ハイパスフィルタ1
11および増幅回路121を介して引き算回路13の一
方の回路を構成する反転回路131が接続されており、
また、他方のマイクロホン32には、ハイパスフィルタ
112および増幅回路122を介して引き算回路13の
他方の回路を構成する非反転回路132が接続されてい
る。
【0025】この引き算回路13の後段には、同引き算
回路13の出力レベルとあらかじめ設定されている閾値
レベルとを比較する閾値判別回路14が接続されてお
り、その判別結果にしたがって表示手段15が駆動され
るようになっている。この表示知手段および上記のマー
キング装置やプリンタなどが含まれる。
【0026】この場合、増幅回路121,122には、
ともに20Hz〜20kHzにわたり全く同一の良好な
増幅率/周波数特性、位相角/周波数特性を有するもの
が用いられ、ハイパスフィルタ111,112を経た電
気信号をそれぞれ約20dB増幅するように設定されて
いる。
【0027】この増幅回路121にて増幅された一方の
電気信号は反転回路131によりその位相が反転され、
非反転回路132から出力される他方の電気信号と引き
算(加算)され、その差信号が閾値判別回路14に入力
される。
【0028】なお、この実施例では、各マイクロホン3
1,32と各増幅回路121,122との間にハイパス
フィルタ(またはバンドパスフィルタ)111,112
を接続して異常状態の検出精度を高めるようにしている
が、これらは構造物の構造もしくは仕上げ材の材質など
に応じて適宜選択されるもので、場合によっては省略す
ることもできる。
【0029】次に、この剥離診断装置1を使用して構造
体6の仕上げ面7の剥離状態を調べるときの作業を新交
通システムの走行路のエポキシモルタル舗装の検査を例
にとって説明する。構造体6としてのこの新交通システ
ムの走行路は、コンクリートまたは鋼製で、その表面に
高耐候性、高摩擦力、高強度、低騒音性のエポキシ樹脂
モルタルの舗装材を仕上げ面7として厚さ10mmで高
精度に舗装したものである。
【0030】まず、走行路6上に剥離診断装置1を載
せ、走行路6に平行にハウジング4を設置し、ハンマ2
が走行路6を横切る方向に3個並んだ状態で移動できる
ようにセットする。そして、走行路6の表面の舗装材7
の表面にハンマ2を落下させ、一定の力で舗装材7の表
面を打撃する。このとき、その舗装材7が剥離のない正
常領域であると、打撃点を中心にして弾性波は均等に伝
播して行き、空気中に音波として放射される。このとき
の音は、時間領域でも周波数領域でも全方向でそれぞれ
同質である。なお、ハンマ2による打撃は、3つのハン
マ2を同時に動作させてもよいが、この実施例では所定
の時間間隔および所定の順序をもって各ハンマ2を1つ
ずつ動作させるようにしている。
【0031】したがって、その打撃点から等距離に位置
した2つのマイクロホン31,32には、ほぼ同一の信
号が発生することになり、これらの出力信号をそれぞれ
増幅回路121,122にて増幅して引き算回路13に
入力したときには、同引き算回路13の出力レベルは極
めて小さいものとなる。
【0032】これに対して、正常領域と剥離領域との境
界付近でハンマ2によって打撃した場合の音を両入力チ
ャンネルのマイクロホン31,32で収音して電気信号
に変換するとかなり相違したものとなる。すなわち、正
常領域側の信号はより剛体に近いため、その電圧−時間
軸の振動波形は図4に示すように振幅が小さく、減衰時
間も小さい。一方、剥離領域側の信号は舗装材7の剥離
により振動しやすくなっているため図5に示すように振
幅が大きく、かつ、その減衰時間も長い傾向を示す。
【0033】これらの信号を引き算回路13に入力して
その出力の差をとると、正常領域の場合には図7に示す
ようにその出力レベルは小さな値に納まるが、剥離領域
の場合には図8に示すように出力レベルが大きく変動し
て現れることになる。
【0034】そこで、閾値判別回路14の閾値Thを適
当に選択することにより、引き算回路13からの出力レ
ベルによって異常か正常かが明確に判別される。すなわ
ち、引き算回路13の出力レベルがその閾値Thを越え
る場合には、閾値判別回路14は異常もしくは剥離状態
であると判断し、例えば上記マーキング装置を作動させ
てその舗装材7上にマーキングを施すなどしてその位置
を的確に探索する。
【0035】なお、剥離領域が広く、かつ、その異常が
均質であれば、マイクロホン31,32の両チャンネル
の出力に差がでないため異常信号は出力されない。した
がって正常領域と剥離領域との境界線でのみ異常信号が
出力されることになり、異常領域はマーキングした線で
囲まれることになるが、このようなことは希であり、実
際には剥離領域は狭く、かつ、均質でないため、その剥
離領域に沿って例えばマーキングが線状に施されること
になる。
【0036】また、ハウジング4の車輪5に連動して測
距手段を設け、異常信号出力位置との相関をとっておく
ことにより、剥離が生じている異常個所を別途表示する
ことも可能であり、これによって異常個所もしくは剥離
領域のマップを自動的に作成することもできる。さら
に、表示手段15からの表示出力によって図示しないモ
ニターに表示させたり音響機器によって報知するように
することもできる。
【0037】ここで、図6に示されているような剥離検
出モデルを使用して、実際にその剥離を検出した場合に
ついて説明する。なお、同図(a)はこの剥離検出モデ
ルの平面図、同図(b)にはその断面図が示されてい
る。
【0038】この剥離検出モデルは、構造物の下地構造
体6として縦横寸法が30×60cmで、厚さ10mm
の鋼板を用い、その上に仕上げ面としてエポキシ樹脂モ
ルタルからなる舗装材7を厚さ10mmで形成したもの
であるが、その際、舗装材7の所定部位に、鋼板との間
に0.3mmの空隙(浮き)Gを6cmの幅でその縦方
向全長にわたって形成し、その部分を剥離領域8とする
とともに、その両側を正常領域9a,9bとした。
【0039】この剥離検出モデルによる場合、検出精度
上、各マイクロホン31,32とそれらの増幅回路12
1,122との間にカットオフ周波数fc=5kHzの
ハイパスフィルタ111,112を挿入し、また、マイ
クロホンによる測定時間をハンマ2による打撃後の1m
sec(ミリ秒)間とし、その間の波高を測定するのが
最適であった。なお、下地構造体6が例えばコンクリー
トであったりすると、それに応じてこの最適検出条件
(ハイパスフィルタのカットオフ周波数や測定時間な
ど)は異なる値に設定されるが、いずれにしてもハイパ
スフィルタを挿入し、また、ハンマによる打撃後の短時
間(ミリ秒単位)内の測定により、外乱などによる影響
を大幅に排除することができる。
【0040】図6には、ハンマ2による各打撃点がS1
〜S5として示されており、その各打撃点での引き算回
路13の出力レベル波形が図7〜図11に示されてい
る。なお、矢印にて示されている進行方向の前方に配置
されているマイクロホン32を右チャンネル、これに対
して後方に配置されているマイクロホン31を左チャン
ネルとする。
【0041】第1回目の打撃点S1は一方の正常領域9
a内のもので、この場合、左右両チャンネルのマイクロ
ホン31,32にはそれぞれ同相成分の多い音波が入力
されるため、図7に示されているように、引き算回路1
3の出力レベル波形は小さく、閾値Th(例えば+0.
3〜−0.3V)の範囲内に納まっている。
【0042】第2回目の打撃点S2は正常領域9aと剥
離領域8の境界部分における剥離領域8の内側箇所であ
り、この場合には、右チャンネル側のマイクロホン32
に舗装材7の空隙G分の剥離による振幅が大きく、か
つ、位相のずれた音波が入力されるのに対し、左チャン
ネル側のマイクロホン31には正常領域9aの振幅の小
さな音波が入力される。したがって、図8に示されてい
るように、引き算回路13の出力レベル波形は閾値Th
を大きく上回るものとなり、これにより正常領域9aと
剥離領域8の境界線部分が検出される。ちなみに、この
ときの出力レベル波形は図7に示されている正常領域9
aの場合と比べて約5倍以上であった。
【0043】第3回目の打撃点S3は剥離領域8のほぼ
中央部であり、両マイクロホン31,32には舗装材7
の剥離による大振幅の音波がそれぞれ入力されるが、そ
の位相はほぼ同相であるため、図9に示されているよう
に、引き算回路13の出力レベル波形は閾値Th内のも
のとなる。
【0044】第4回目の打撃点S4は剥離領域8と他方
の正常領域9bとの境界部分における剥離領域8の内側
箇所であり、右チャンネル側のマイクロホン32には正
常領域9bの振幅の小さな音波が入力されるのに対し、
左チャンネル側のマイクロホン31には舗装材7の剥離
による振幅が大きく、かつ、位相のずれた音波が入力さ
れる。したがって、図10に示されているように、引き
算回路13の出力レベル波形は上記第2回目の打撃点S
2の場合と同様に、閾値Thを大きく上回るものとな
り、これにより剥離領域8と正常領域9bの境界線部分
が検出される。
【0045】第5回目の打撃点は他方の正常領域9b内
であり、第1回目の打撃点S1と同じく、左右両チャン
ネルのマイクロホン31,32にはそれぞれ同相成分の
多い音波が入力されるため、図11に示されているよう
に、引き算回路13の出力レベル波形は小さく、図7と
同様に閾値Thの範囲内に納まっている。
【0046】このように、実際に剥離検出モデルを用い
て、その舗装材の剥離状態を診断したところ、検出精度
±10mmで必ず検出できることが分かった。
【0047】なお、この実施例では、走行路の舗装材に
対してその剥離状態を診断した例を示しているが、建築
物の壁面などにも適用することも可能である。その際、
レールなどの案内手段を壁面に沿って配置し、その案内
手段に沿ってハウジングが移動できるようにすれば、垂
直な壁面でも容易に診断できる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果が奏される。すなわち、請求項1に記載
の発明によれば、診断対象面を打撃してその打撃音を2
つのマイクロホンにて電気信号に変換し、その信号出力
の差をとるだけで診断することが可能となり、これによ
って簡単な構造で、精度が高く、確実に仕上げ面の剥離
を検出することができる。
【0049】また、請求項2に記載の発明によれば、上
記診断手段は、上記各マイクロホンの出力信号を増幅す
る増幅回路と、同増幅回路にて増幅された上記各マイク
ロホンの出力信号間の差を求める引き算回路と、その差
信号のレベルをあらかじめ設定されている閾値レベルと
比較して剥離の有無を判定する閾値判定回路と、同閾値
判定回路により駆動される表示手段とから構成されるた
め、高速フーリエ変換回路などの複雑で高価な回路素子
を用いることなく、電気回路を構築することができ、コ
スト的にも有利である。
【0050】さらに、上記マイクロホンの出力端子と上
記増幅回路との間にハイパスフィルタを接続するように
した請求項3に記載の発明によれば、より一層検出精度
を高めることが可能となる。
【0051】加えて、上記引き算回路を上記一方のマイ
クロホン側に接続された反転回路と、上記他方のマイク
ロホン側に接続された非反転回路とから構成した請求項
4に記載の発明によれば、請求項2に記載の診断手段の
回路構成がより簡単となるとともに、より一層のコスト
低減が図られる。
【0052】上記表示手段を上記仕上げ面に所定のマー
クを付けるマーキング装置とした請求項5に記載の発明
によれば、剥離領域が一目で分かるため、その剥離領域
を修復するうえで、好都合である。
【0053】上記マイクロホンによる上記打撃音の測定
時間をその打撃後の1ミリ秒以内とした請求項6に記載
の発明によれば、外乱による影響を受けることなく、高
精度に剥離領域を検出することが可能となる。
【0054】また、請求項7に記載の発明によれば、ハ
ウジングに付設した車輪によって移動しながら作業を進
めることが可能となるので、効率的に仕上げ面の剥離診
断作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る剥離診断装置の内部構造
を示す概略構成図。
【図2】図1におけるハンマの配列状態を示す平面図。
【図3】同実施例に係る剥離診断装置の電気的処理回路
を示す回路図。
【図4】同実施例に係る剥離診断装置のハンマによる正
常領域における打撃音の5kHz以上の電気的な出力波
形を示す波形図。
【図5】同実施例に係る剥離診断装置のハンマによる異
常領域における打撃音の5kHz以上の電気的な出力波
形を示す波形図。
【図6】実際に使用した剥離検出モデルの平面図および
その断面図。
【図7】上記剥離検出モデルでの正常領域(打撃点S
1)を打撃した際に、引き算回路から出力される出力レ
ベルを示した波形図。
【図8】上記剥離検出モデルでの正常領域と剥離領域の
境界部分における剥離領域側(打撃点S2)を打撃した
際に、引き算回路から出力される出力レベルを示した波
形図。
【図9】上記剥離検出モデルでの剥離領域のほぼ中央
(打撃点S3)を打撃した際に、引き算回路から出力さ
れる出力レベルを示した波形図。
【図10】上記剥離検出モデルでの剥離領域と正常領域
の境界部分における剥離領域側(打撃点S4)を打撃し
た際に、引き算回路から出力される出力レベルを示した
波形図。
【図11】上記剥離検出モデルでの正常領域(打撃点S
5)を打撃した際に、引き算回路から出力される出力レ
ベルを示した波形図。
【符号の説明】
1 剥離診断装置 2 ハンマ 21 ハンドル 22 ハンマヘッド 3,31,32 マイクロホン 4 ハウジング 5 車輪 6 走行路(構造体) 7 舗装材(仕上げ面) 8 剥離領域 9a,9b 正常領域 111,112 ハイパスフィルタ 121,122 増幅回路 13 引き算回路 131 反転回路 132 非反転回路 14 閾値判別回路 15 表示手段

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の下地上に形成されている仕上げ
    面を打診して、同仕上げ面の剥離の有無を診断する仕上
    げ面の剥離診断装置において、上記仕上げ面を打撃する
    打撃手段と、上記仕上げ面に対する同打撃手段の打撃点
    から等距離、等高であって、かつ、その打撃点を通る中
    心線に対して対称に配置された一対のマイクロホンと、
    この双方のマイクロホンから出力される出力信号の差信
    号を検出し、その差信号のレベルをあらかじめ設定され
    ている閾値レベルと比較して上記仕上げ面の剥離部と非
    剥離部の境界部分を検出する診断手段とを備えているこ
    とを特徴とする仕上げ面の剥離診断装置。
  2. 【請求項2】 上記診断手段は、上記各マイクロホンの
    出力信号を増幅する増幅回路と、同増幅回路にて増幅さ
    れた上記各マイクロホンの出力信号間の差を求める引き
    算回路と、その差信号のレベルをあらかじめ設定されて
    いる閾値レベルと比較して剥離の有無を判定する閾値判
    定回路と、同閾値判定回路により駆動される表示手段と
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載の仕上げ
    面の剥離診断装置。
  3. 【請求項3】 上記マイクロホンの出力端子と上記増幅
    回路との間にハイパスフィルタが接続されることを特徴
    とする請求項2に記載の仕上げ面の剥離診断装置。
  4. 【請求項4】 上記引き算回路は上記一方のマイクロホ
    ン側に接続された反転回路と、上記他方のマイクロホン
    側に接続された非反転回路とを備えていることを特徴と
    する請求項2または3に記載の仕上げ面の剥離診断装
    置。
  5. 【請求項5】 上記表示手段が上記仕上げ面に所定のマ
    ークを付けるマーキング装置であることを特徴とする請
    求項2に記載の仕上げ面の剥離診断装置。
  6. 【請求項6】 上記マイクロホンによる上記打撃音の測
    定時間をその打撃後の1ミリ秒以内としたことを特徴と
    する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の仕上げ面
    の剥離診断装置。
  7. 【請求項7】 上記仕上げ面に対する底面が開放されて
    いて、かつ、走行車輪を有するハウジングを備え、同ハ
    ウジング内に上記打撃手段および上記一対のマイクロホ
    ンが収納されていることを特徴とする請求項1に記載の
    仕上げ面の剥離診断装置。
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