JPH0841680A - 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 - Google Patents
耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板Info
- Publication number
- JPH0841680A JPH0841680A JP18218094A JP18218094A JPH0841680A JP H0841680 A JPH0841680 A JP H0841680A JP 18218094 A JP18218094 A JP 18218094A JP 18218094 A JP18218094 A JP 18218094A JP H0841680 A JPH0841680 A JP H0841680A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plating
- workability
- layer
- corrosion resistance
- coating layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルコール混合燃料(ガソリン、水、C
l- 、有機酸含有)中で耐食性があり、かつプレス加工
性、めっき密着性およびPbフリーであるタンク材料を
提供すること。 【構成】 下層めっきとして潤滑粒子含有分散Niめっ
き層を有し、上層めっきとしてSnめっきを有する2層
めっき型表面処理鋼板。 【効果】 Niめっき層およびNiめっき層により腐食
性燃料中での耐食性を保有し、Niめっき層中の潤滑粒
子でNiめっき層の加工性を保有する。また、Niめっ
き層中の潤滑粒子はめっき層のピンホールを減少させ、
またSnめっき層は加工性向上、耐ピンホール性を補強
する。
l- 、有機酸含有)中で耐食性があり、かつプレス加工
性、めっき密着性およびPbフリーであるタンク材料を
提供すること。 【構成】 下層めっきとして潤滑粒子含有分散Niめっ
き層を有し、上層めっきとしてSnめっきを有する2層
めっき型表面処理鋼板。 【効果】 Niめっき層およびNiめっき層により腐食
性燃料中での耐食性を保有し、Niめっき層中の潤滑粒
子でNiめっき層の加工性を保有する。また、Niめっ
き層中の潤滑粒子はめっき層のピンホールを減少させ、
またSnめっき層は加工性向上、耐ピンホール性を補強
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、バス、トラッ
ク等に使用される燃料タンク材料であってタンク・プレ
ス加工時の加工性および燃料に対する耐食性に優れた表
面処理鋼板に関するものである。
ク等に使用される燃料タンク材料であってタンク・プレ
ス加工時の加工性および燃料に対する耐食性に優れた表
面処理鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車、バス、トラック等のガソリンま
たは軽油タンク用材料の歴史を振り返って見ると、当初
は鋼板をプレス加工したまま使用されていたがガソリン
中に空気中からの凝結水が侵入した場合赤錆を生じるこ
とから、次にクロメート処理を施した電気亜鉛めっき鋼
板が使用されるようになった。しかしながら、経済成長
と共に自動車が普及して来ると多様な自動車の使われ方
がなされるようになり、電気亜鉛めっき鋼板製タンクに
おいても微量の水とCl- イオンが混入した場合白錆や
赤錆を発生することがあることが判った。そこで登場し
たのが現在主として使用されているターン被覆(めっ
き)鋼板(Pb−Sn合金被覆鋼板)である。その他、
現在使われているタンク材料としてはプラスチック等の
樹脂タンクおよび塗装ターンめっき鋼板(ターンめっき
鋼板上にAlフレークを含有した塗料を塗布したもの)
がある。
たは軽油タンク用材料の歴史を振り返って見ると、当初
は鋼板をプレス加工したまま使用されていたがガソリン
中に空気中からの凝結水が侵入した場合赤錆を生じるこ
とから、次にクロメート処理を施した電気亜鉛めっき鋼
板が使用されるようになった。しかしながら、経済成長
と共に自動車が普及して来ると多様な自動車の使われ方
がなされるようになり、電気亜鉛めっき鋼板製タンクに
おいても微量の水とCl- イオンが混入した場合白錆や
赤錆を発生することがあることが判った。そこで登場し
たのが現在主として使用されているターン被覆(めっ
き)鋼板(Pb−Sn合金被覆鋼板)である。その他、
現在使われているタンク材料としてはプラスチック等の
樹脂タンクおよび塗装ターンめっき鋼板(ターンめっき
鋼板上にAlフレークを含有した塗料を塗布したもの)
がある。
【0003】しかるに最近、これらのタンク材料を取巻
く環境に様々な変化が現われて来ており、それに伴なっ
てタンク材料に対する変革が求められている。第1は地
球環境問題に端を発するクリーン燃料化への対応であ
る。クリーン燃料候補の1つとしてアルコール燃料(メ
チルアルコール)がある。メチルアルコールはPbを化
学的に溶解するため、ターンめっき鋼板はメチルアルコ
ール燃料には使えない。また、メチルアルコールとガソ
リンを混合した場合、酸化劣化して腐食性の強いギ酸や
酢酸を生じ易いと言われ、これに対応する新しいタンク
材料が求められている。第2は同じく地球環境問題から
であるが、工業廃棄物規制法が国内外で論議されていて
Pb使用工業材料を規制する動きがあり、Pbフリー
(Pbを含まない)タンク材料の開発が求められている
ことである。
く環境に様々な変化が現われて来ており、それに伴なっ
てタンク材料に対する変革が求められている。第1は地
球環境問題に端を発するクリーン燃料化への対応であ
る。クリーン燃料候補の1つとしてアルコール燃料(メ
チルアルコール)がある。メチルアルコールはPbを化
学的に溶解するため、ターンめっき鋼板はメチルアルコ
ール燃料には使えない。また、メチルアルコールとガソ
リンを混合した場合、酸化劣化して腐食性の強いギ酸や
酢酸を生じ易いと言われ、これに対応する新しいタンク
材料が求められている。第2は同じく地球環境問題から
であるが、工業廃棄物規制法が国内外で論議されていて
Pb使用工業材料を規制する動きがあり、Pbフリー
(Pbを含まない)タンク材料の開発が求められている
ことである。
【0004】上記要求材料に対応するものとして現在以
下のものが提案されている。 Zn−Ni合金被覆層(めっき層)の上にAl,Z
n,Ni金属粉末を混合した塗料を塗布した有機複合被
覆鋼板が紹介されている。SAE 6th Automotive Corrosi
on and Prevention Conference,Dearborn,Michigan,
October 4-6 ,1993 (SAE 第6回自動車の腐食防食会
議、ミシガン州デアボーン、米国),P.143-P.152 ,93
2340 この材料は被覆(めっき)層にPbを含まずガソリンま
たはガソリン+メタノールに少量の水、有機酸(ギ酸、
酢酸)、Cl- イオンを含んだ燃料に対して耐食性があ
る。しかし、Zn−Ni被覆層約4μmや塗膜層約12
μmと比較的厚いためコストが高く経済的でないこと、
また塗膜中にAl,Zn等を含んでいるため有機酸濃度
が高くなった場合該Al,Zn等が腐食して塗膜フクレ
を生じる、さらにプレス加工性、溶接性も十分でないと
いう問題がある。
下のものが提案されている。 Zn−Ni合金被覆層(めっき層)の上にAl,Z
n,Ni金属粉末を混合した塗料を塗布した有機複合被
覆鋼板が紹介されている。SAE 6th Automotive Corrosi
on and Prevention Conference,Dearborn,Michigan,
October 4-6 ,1993 (SAE 第6回自動車の腐食防食会
議、ミシガン州デアボーン、米国),P.143-P.152 ,93
2340 この材料は被覆(めっき)層にPbを含まずガソリンま
たはガソリン+メタノールに少量の水、有機酸(ギ酸、
酢酸)、Cl- イオンを含んだ燃料に対して耐食性があ
る。しかし、Zn−Ni被覆層約4μmや塗膜層約12
μmと比較的厚いためコストが高く経済的でないこと、
また塗膜中にAl,Zn等を含んでいるため有機酸濃度
が高くなった場合該Al,Zn等が腐食して塗膜フクレ
を生じる、さらにプレス加工性、溶接性も十分でないと
いう問題がある。
【0005】次に、Cr含有鋼板にNi等の拡散被覆
層とSn系めっき層を施した鋼板が同一出願人によって
提案されている(特公昭63−66916号公報)。こ
の鋼板はPbフリーであり、ギ酸、酢酸等の含まれる燃
料に対する耐食性および加工性に優れるが、より複雑な
形状の燃料タンクを製造するための厳しいプレス加工に
対しては、被メッキ鋼板のCr含有鋼板が普通鋼板に比
べて硬質であるため加工性が十分でなくまたNi等の拡
散被覆層がもろいために加工時に亀裂を生じやすく、特
に燃料中のCl- イオン濃度が高いと亀裂があった場合
その亀裂より赤錆を発生しやすい問題がある。
層とSn系めっき層を施した鋼板が同一出願人によって
提案されている(特公昭63−66916号公報)。こ
の鋼板はPbフリーであり、ギ酸、酢酸等の含まれる燃
料に対する耐食性および加工性に優れるが、より複雑な
形状の燃料タンクを製造するための厳しいプレス加工に
対しては、被メッキ鋼板のCr含有鋼板が普通鋼板に比
べて硬質であるため加工性が十分でなくまたNi等の拡
散被覆層がもろいために加工時に亀裂を生じやすく、特
に燃料中のCl- イオン濃度が高いと亀裂があった場合
その亀裂より赤錆を発生しやすい問題がある。
【0006】その他、Ni被覆(めっき)法が提案さ
れているが、これはNiめっき層の加工性が劣ることか
らタンク成型後内面側にNiめっきを施すものであり、
タンクの生産性に問題があり、高価なものとなる。また
Ni被覆層単層だけではピンホールを防ぐことは困難で
何らかの後処理が必要である。
れているが、これはNiめっき層の加工性が劣ることか
らタンク成型後内面側にNiめっきを施すものであり、
タンクの生産性に問題があり、高価なものとなる。また
Ni被覆層単層だけではピンホールを防ぐことは困難で
何らかの後処理が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、新
しいタンク材料として(a)Pbフリーであること、
(b)アルコールに対する耐腐食性、(c)燃料中に不
純物として水、Cl- イオン、有機酸が含まれる場合の
耐腐食性、さらに優れたプレス加工性を満足する材料の
開発が課題である。その他燃料タンク用材料として溶接
性、ハンダ性、塗装性などの性能も必要である。本課題
を検討するに当り、まずメタノール+ガソリン中に少量
のギ酸、Cl- イオン、水を含有する燃料中に各種の金
属片を浸漬して耐食性を調べた。その結果を図1に示
す。図1は腐食性燃料中金属の浸漬試験評価結果とし
て、各試料と腐食減量との関係を示している。耐食性試
験の条件は0.8〜3mm×30×70の試片を60
℃、45日間浸漬した。腐食性燃料としては、ガソリン
15%、アルコール84%、ギ酸0.1%、水1%、C
l- イオン30ppmを用いた。
しいタンク材料として(a)Pbフリーであること、
(b)アルコールに対する耐腐食性、(c)燃料中に不
純物として水、Cl- イオン、有機酸が含まれる場合の
耐腐食性、さらに優れたプレス加工性を満足する材料の
開発が課題である。その他燃料タンク用材料として溶接
性、ハンダ性、塗装性などの性能も必要である。本課題
を検討するに当り、まずメタノール+ガソリン中に少量
のギ酸、Cl- イオン、水を含有する燃料中に各種の金
属片を浸漬して耐食性を調べた。その結果を図1に示
す。図1は腐食性燃料中金属の浸漬試験評価結果とし
て、各試料と腐食減量との関係を示している。耐食性試
験の条件は0.8〜3mm×30×70の試片を60
℃、45日間浸漬した。腐食性燃料としては、ガソリン
15%、アルコール84%、ギ酸0.1%、水1%、C
l- イオン30ppmを用いた。
【0008】図1から耐食性金属としては、Sn,N
i,Crが有望であることが示唆されたが、その内Cr
は厚めっきが難しいこと、たとえ厚めっきを行なっても
硬くてもろいため加工時被覆(めっき)層剥離を引き起
す問題がある。次に、NiはCr被覆(めっき)ほどで
はないが比較的硬いためプレス加工性が劣ること、また
めっきまゝではピンホールが多いことなどが問題点であ
る。また、Cr,Niを含有する鋼板(即ちステンレス
鋼板)もタンク材料として当然考えられるが高価である
ことおよび腐食環境によっては孔食が問題となる。更
に、Sn被覆(めっき)は軟質で加工しやすく、ハンダ
性、溶接性も良好であるが、Sn単独被覆ではピンホー
ルが出やすいこと、およびめっき金属として高価なこと
が問題点である。
i,Crが有望であることが示唆されたが、その内Cr
は厚めっきが難しいこと、たとえ厚めっきを行なっても
硬くてもろいため加工時被覆(めっき)層剥離を引き起
す問題がある。次に、NiはCr被覆(めっき)ほどで
はないが比較的硬いためプレス加工性が劣ること、また
めっきまゝではピンホールが多いことなどが問題点であ
る。また、Cr,Niを含有する鋼板(即ちステンレス
鋼板)もタンク材料として当然考えられるが高価である
ことおよび腐食環境によっては孔食が問題となる。更
に、Sn被覆(めっき)は軟質で加工しやすく、ハンダ
性、溶接性も良好であるが、Sn単独被覆ではピンホー
ルが出やすいこと、およびめっき金属として高価なこと
が問題点である。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで発明者等は、Ni
被覆の加工性向上およびNi被覆、Sn被覆の耐食性向
上(ピンホール防止)につき鋭意検討を続けた結果、N
i被覆をマトリックスとした有機系潤滑性粒子分散Ni
被覆層の上にSn被覆層を施した鋼板を見出した。その
本発明の要旨とするところは、(1)鋼板上に、潤滑性
粒子分散Ni被覆層を形成し、さらに該Ni被覆層にS
n被覆層を形成したことを特徴とする耐食性、加工性に
優れた燃料タンク用表面処理鋼板、(2)鋼板上に、ポ
リオレフィンワックス、フッ素樹脂、フッ化カーボンの
1種または2種以上からなる潤滑性粒子を合計量で0.
5〜5wt%分散させた目付量5〜30g/m2 の潤滑
性粒子分散Ni被覆層を形成し、さらに該Ni被覆層に
目付量3〜30g/m2 のSn被覆層を形成したことを
特徴とする耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処
理鋼板である。
被覆の加工性向上およびNi被覆、Sn被覆の耐食性向
上(ピンホール防止)につき鋭意検討を続けた結果、N
i被覆をマトリックスとした有機系潤滑性粒子分散Ni
被覆層の上にSn被覆層を施した鋼板を見出した。その
本発明の要旨とするところは、(1)鋼板上に、潤滑性
粒子分散Ni被覆層を形成し、さらに該Ni被覆層にS
n被覆層を形成したことを特徴とする耐食性、加工性に
優れた燃料タンク用表面処理鋼板、(2)鋼板上に、ポ
リオレフィンワックス、フッ素樹脂、フッ化カーボンの
1種または2種以上からなる潤滑性粒子を合計量で0.
5〜5wt%分散させた目付量5〜30g/m2 の潤滑
性粒子分散Ni被覆層を形成し、さらに該Ni被覆層に
目付量3〜30g/m2 のSn被覆層を形成したことを
特徴とする耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処
理鋼板である。
【0010】以下、発明の詳細について述べる。まず、
Ni被覆層のプレス加工性向上策と同時に耐食性向上策
(ピンホール防止策)として潤滑性粒子分散Niめっき
法を検討した。鋼板表面に施されたNi被覆層は収縮を
生じ引張応力が発生するため該Ni被覆層の形成時にN
i被覆層のない部分、すなわちピンホールを生じる。ま
た該Ni被覆層は上記引張応力の発生に加えてベース鋼
およびNi被覆層の上に施されたSn被覆層に比べて硬
質で脆いため、プレス加工時に亀裂やめっき剥離を生じ
やすい。そこでNi被覆層に潤滑性粒子を分散させる
と、潤滑性粒子の持つ弾力性や変形能によってNi被覆
層の引張応力が緩和され、ピンホール生成を抑制し、ま
た加工時に発生するNi被覆層の歪みが潤滑性粒子によ
って開放される(潤滑性)ため、ベース鋼に追随した変
形が可能となり、亀裂やめっき剥離を起こさずプレス加
工ができることを知見した。
Ni被覆層のプレス加工性向上策と同時に耐食性向上策
(ピンホール防止策)として潤滑性粒子分散Niめっき
法を検討した。鋼板表面に施されたNi被覆層は収縮を
生じ引張応力が発生するため該Ni被覆層の形成時にN
i被覆層のない部分、すなわちピンホールを生じる。ま
た該Ni被覆層は上記引張応力の発生に加えてベース鋼
およびNi被覆層の上に施されたSn被覆層に比べて硬
質で脆いため、プレス加工時に亀裂やめっき剥離を生じ
やすい。そこでNi被覆層に潤滑性粒子を分散させる
と、潤滑性粒子の持つ弾力性や変形能によってNi被覆
層の引張応力が緩和され、ピンホール生成を抑制し、ま
た加工時に発生するNi被覆層の歪みが潤滑性粒子によ
って開放される(潤滑性)ため、ベース鋼に追随した変
形が可能となり、亀裂やめっき剥離を起こさずプレス加
工ができることを知見した。
【0011】潤滑性粒子としてはポリオレフィンワック
ス、フッ素樹脂(PTFE)、フッ化カーボン{(C
F)x }、二硫化モリブデン、有機モリブデン、グラフ
ァイト、金属石ケン、窒化ホウ素などについて検討した
結果、ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂(PTF
E)、フッ化カーボン{(CF)x }を潤滑性粒子とし
て1種または2種以上含有するNi被覆(めっき)鋼板
がプレス加工性に優れ、かつめっき密着性、耐ピンホー
ル性に優れていることが明らかとなった。他の潤滑性粒
子はプレス加工時の深絞り加工性が充分でなく、かつ加
工時めっき密着性が不良(めっき層剥離)であった。潤
滑性粒子分散Niめっきまゝではプレス加工は可能であ
るが、さらなる加工時深絞り性の向上および溶接性、ハ
ンダ性付与のため上記潤滑性粒子分散Ni下地めっき層
の上にSn被覆層を施した鋼板を見出した。
ス、フッ素樹脂(PTFE)、フッ化カーボン{(C
F)x }、二硫化モリブデン、有機モリブデン、グラフ
ァイト、金属石ケン、窒化ホウ素などについて検討した
結果、ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂(PTF
E)、フッ化カーボン{(CF)x }を潤滑性粒子とし
て1種または2種以上含有するNi被覆(めっき)鋼板
がプレス加工性に優れ、かつめっき密着性、耐ピンホー
ル性に優れていることが明らかとなった。他の潤滑性粒
子はプレス加工時の深絞り加工性が充分でなく、かつ加
工時めっき密着性が不良(めっき層剥離)であった。潤
滑性粒子分散Niめっきまゝではプレス加工は可能であ
るが、さらなる加工時深絞り性の向上および溶接性、ハ
ンダ性付与のため上記潤滑性粒子分散Ni下地めっき層
の上にSn被覆層を施した鋼板を見出した。
【0012】下地めっきの潤滑性粒子分散Ni被覆層の
好ましい条件について述べる。まず潤滑性粒子の共析量
については、ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂(P
TFE)、フッ化カーボン{(CF)x }ともに0.5
〜5wt%の範囲が好ましい。この場合、潤滑性粒子の
析出量が0.5wt%未満の場合Ni被覆めっき鋼板の
プレス加工性が充分でなく、また5wt%を越えた場合
めっき密着性および耐ピンホール性が劣る傾向となる。
なお、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレン
ワックス、ポリブテンワックス、ポリプロピレンワック
スがあるがいずれも使用可能である。
好ましい条件について述べる。まず潤滑性粒子の共析量
については、ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂(P
TFE)、フッ化カーボン{(CF)x }ともに0.5
〜5wt%の範囲が好ましい。この場合、潤滑性粒子の
析出量が0.5wt%未満の場合Ni被覆めっき鋼板の
プレス加工性が充分でなく、また5wt%を越えた場合
めっき密着性および耐ピンホール性が劣る傾向となる。
なお、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレン
ワックス、ポリブテンワックス、ポリプロピレンワック
スがあるがいずれも使用可能である。
【0013】次いで潤滑性粒子分散Ni被覆層の厚み
(目付量)についてであるが、5〜30g/m2 (片面
当り)の範囲が好ましい(より安定した耐食性を得るた
めには10〜30g/m2 が望ましい)。その理由は、
Ni被覆層が5g/m2 未満の場合、プレス加工性、耐
食性(特に耐ピンホール性)が不充分であり、30g/
m2 を越えると経済的に不利となる。
(目付量)についてであるが、5〜30g/m2 (片面
当り)の範囲が好ましい(より安定した耐食性を得るた
めには10〜30g/m2 が望ましい)。その理由は、
Ni被覆層が5g/m2 未満の場合、プレス加工性、耐
食性(特に耐ピンホール性)が不充分であり、30g/
m2 を越えると経済的に不利となる。
【0014】次に、Sn被覆層の好ましい条件について
述べる。Sn上層被覆(めっき)層厚み(目付量)につ
いては3〜30g/m2 (片面当り)が好ましい(より
安定した耐食性を得るためには10〜30g/m2 が望
ましい)。その理由は、Sn被覆層が3g/m2 未満の
場合、プレス加工時の深絞り性向上代が充分でないこ
と、また30g/m2 を越える場合には効果が飽和し経
済的に不利となる。また、潤滑性粒子の粒径について
は、粒子径が大きすぎる場合は分散めっきにおいて共析
量が低下するため、また逆に粒子径が小さすぎる場合は
取扱いが難しくなる。そこで潤滑性粒子の平均粒径は
0.1〜3μmの範囲が良好であった。
述べる。Sn上層被覆(めっき)層厚み(目付量)につ
いては3〜30g/m2 (片面当り)が好ましい(より
安定した耐食性を得るためには10〜30g/m2 が望
ましい)。その理由は、Sn被覆層が3g/m2 未満の
場合、プレス加工時の深絞り性向上代が充分でないこ
と、また30g/m2 を越える場合には効果が飽和し経
済的に不利となる。また、潤滑性粒子の粒径について
は、粒子径が大きすぎる場合は分散めっきにおいて共析
量が低下するため、また逆に粒子径が小さすぎる場合は
取扱いが難しくなる。そこで潤滑性粒子の平均粒径は
0.1〜3μmの範囲が良好であった。
【0015】
【実施例】下記条件下で、本発明例および比較例の各種
被覆(めっき)試験片No.1〜No.14を作製し
た。 1.分散Ni被覆(めっき)条件 硫酸ニッケル 240g/l 塩化ニッケル 45g/l ホウ酸 40g/l 潤滑性粒子* 10〜60g/l 界面活性剤 カチオン系 1g/l アニオン系 0.2ml/l (*ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂〔PTF
E〕、フッ化カーボン{(CF)x }を単独または複合
添加した) pH 3〜4 温度 45±5℃ 電流密度 10A/dm2
被覆(めっき)試験片No.1〜No.14を作製し
た。 1.分散Ni被覆(めっき)条件 硫酸ニッケル 240g/l 塩化ニッケル 45g/l ホウ酸 40g/l 潤滑性粒子* 10〜60g/l 界面活性剤 カチオン系 1g/l アニオン系 0.2ml/l (*ポリオレフィンワックス、フッ素樹脂〔PTF
E〕、フッ化カーボン{(CF)x }を単独または複合
添加した) pH 3〜4 温度 45±5℃ 電流密度 10A/dm2
【0016】2.Sn被覆(めっき)条件 フェロスタンめっき浴 硫酸第1スズ(Sn2+として) 40g/l フェノールスルホン酸 60g/l H2 SO4 60g/l 温度 50℃ 電流密度 8A/dm2
【0017】(試験、評価方法) 1.プレス加工性 エリクセンカップ絞り試験機で絞り比を変えて加工し、
その限界絞り比を求めた。 (1)プレス条件 ・しわ押え 500kg ・ポンチ径 50mmφ ・ブランク径 60〜90mmφ ・潤滑油 日本工作油 #620 ・試料鋼板板厚 0.8mm
その限界絞り比を求めた。 (1)プレス条件 ・しわ押え 500kg ・ポンチ径 50mmφ ・ブランク径 60〜90mmφ ・潤滑油 日本工作油 #620 ・試料鋼板板厚 0.8mm
【0018】(2)めっき密着性試験 限界絞り比を求めるために加工したカップにセロテープ
を貼り、引剥した時のめっき剥離程度を評価した。 評価基準 ◎; めっき剥離なし 〇; めっき層が少量剥離する △; 加工部のめっき層が1/3程度剥離する ×; 加工部のめっき層が1/2以上剥離する
を貼り、引剥した時のめっき剥離程度を評価した。 評価基準 ◎; めっき剥離なし 〇; めっき層が少量剥離する △; 加工部のめっき層が1/3程度剥離する ×; 加工部のめっき層が1/2以上剥離する
【0019】(3)耐食性試験(耐ピンホール性試験) 直径70mmφ、深さ40mmの円筒形に加工し、下記
腐食性燃料を100ml封入し、室温で3ケ月保管後、
円筒内の赤錆発生状況を観測した。 ・腐食性燃料 ガソリン 15% アルコール 84% ギ酸 0.1% 水 1% Cl- 30ppm 耐食性評価基準 ◎; 赤錆の発生なし 〇; 1〜3点の赤錆発生 △; 3〜10点の赤錆発生 ×; 11点以上の赤錆発生 (試験結果)表1に示す。
腐食性燃料を100ml封入し、室温で3ケ月保管後、
円筒内の赤錆発生状況を観測した。 ・腐食性燃料 ガソリン 15% アルコール 84% ギ酸 0.1% 水 1% Cl- 30ppm 耐食性評価基準 ◎; 赤錆の発生なし 〇; 1〜3点の赤錆発生 △; 3〜10点の赤錆発生 ×; 11点以上の赤錆発生 (試験結果)表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【発明の効果】本発明により、Pbフリーでプレス加工
性良好で、プレス加工後めっき剥離が無く、かつアルコ
ール混合燃料中で腐食の生じないタンク用材料を提供す
ることが出来る。
性良好で、プレス加工後めっき剥離が無く、かつアルコ
ール混合燃料中で腐食の生じないタンク用材料を提供す
ることが出来る。
【図1】腐食性燃料中への金属の浸漬試験評価結果を示
す図である。
す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼板上に、潤滑性粒子分散Ni被覆層を
形成し、さらに該Ni被覆層にSn被覆層を形成したこ
とを特徴とする耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表
面処理鋼板。 - 【請求項2】 鋼板上に、ポリオレフィンワックス、フ
ッ素樹脂、フッ化カーボンの1種または2種以上からな
る潤滑性粒子を合計量で0.5〜5wt%分散させた目
付量5〜30g/m2 の潤滑性粒子分散Ni被覆層を形
成し、さらに該Ni被覆層に目付量3〜30g/m2 の
Sn被覆層を形成したことを特徴とする耐食性、加工性
に優れた燃料タンク用表面処理鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18218094A JPH0841680A (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18218094A JPH0841680A (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0841680A true JPH0841680A (ja) | 1996-02-13 |
Family
ID=16113747
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18218094A Withdrawn JPH0841680A (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0841680A (ja) |
-
1994
- 1994-08-03 JP JP18218094A patent/JPH0841680A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2002020874A2 (en) | Hexavalent chromium-free surface-treating agent for sn- or al-based coated steel sheet, and surface treated steel sheet | |
JP3497413B2 (ja) | 耐食性、加工性および溶接性に優れた燃料容器用表面処理鋼板 | |
CN107208277A (zh) | 燃料罐用钢板 | |
JPH03191093A (ja) | プレス性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板 | |
AU718855B2 (en) | Rustproof steel sheet for automobile fuel tank with excellent resistance weldability corrosion resistance and press moldability | |
GB2117414A (en) | Ferrous substrates hot dip coated with lead alloy | |
US6309760B1 (en) | Bearing material | |
JP4332319B2 (ja) | 工作物を軸受メタルでコーティングする方法及びこの方法によって処理された工作物 | |
JPH0841680A (ja) | 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 | |
JPH06306637A (ja) | 高耐食性燃料タンク用防錆鋼板 | |
JPS58108299A (ja) | アルミニウム合金軸受 | |
JP2002317233A (ja) | 溶融Sn−Zn系めっき鋼板 | |
JPH0849090A (ja) | 耐食性、加工性に優れた燃料タンク用表面処理鋼板 | |
JP3859941B2 (ja) | 耐食性に優れた自動車用燃料タンク | |
WO1986004098A1 (en) | Coated steel plate for highly corrosion-resistant fuel container and process for its production | |
JPH01201488A (ja) | 溶接性・電着塗装性に優れた防錆潤滑鋼板 | |
JPH0696783B2 (ja) | プレス成形性、化成処理性、溶接性に優れた亜鉛系めっき鋼板 | |
JPH0444840A (ja) | 潤滑性に優れた樹脂被覆複合鋼板 | |
JP6066020B2 (ja) | 燃料タンク用表面処理鋼板 | |
JP3314606B2 (ja) | 潤滑性に優れた亜鉛系めっき鋼板及びその製法 | |
JP2843211B2 (ja) | プレス成形性と耐食性に優れたアルミニウム合金板 | |
JPH10137681A (ja) | 成形性の優れた高耐食性燃料タンク用鋼板 | |
KR100785989B1 (ko) | 고성형성을 부여한 무기인산염계 윤활처리 합금화용융아연도금강판 및 그 제조방법 | |
JPH0499880A (ja) | プレス成形性、化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板 | |
JPH06306638A (ja) | アルコールもしくはアルコール含有燃料用容器鋼板 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20011106 |