JPH0841567A - 高温腐食抵抗性の単結晶ニッケル系スーパーアロイ - Google Patents

高温腐食抵抗性の単結晶ニッケル系スーパーアロイ

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JPH0841567A
JPH0841567A JP7135981A JP13598195A JPH0841567A JP H0841567 A JPH0841567 A JP H0841567A JP 7135981 A JP7135981 A JP 7135981A JP 13598195 A JP13598195 A JP 13598195A JP H0841567 A JPH0841567 A JP H0841567A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、スーパーアロイ組成物と、
改善された高温腐食抵抗を含む所望の特性の特異な組み
合わせを有する前記組成物から製造された単結晶製品を
提供すること、及び産業用及び船舶用のガスタービンエ
ンジンに使用するためのスーパーアロイとそのスーパー
アロイから製造された単結晶製品を提供することであ
る。 【構成】 本発明は、耐高温腐食性ニッケル系スーパー
アロイであって、重量パーセントで以下の元素を含むも
のに関する:約11.5〜約13.5%のクロム、約5.5〜約8.5
%のコバルト、約0.40〜約0.55%のモリブデン、約4.5
〜約5.5%のタングステン、約4.5〜約5.8%のタンタ
ル、約0.05〜約0.25%のニオブ、約3.4〜約3.8%のアル
ミニウム、約4.0〜約4.4%のチタニウム、約0.01〜約0.
06%のハフニウム、及び残余量のニッケル及び付随的な
不純物。このスーパーアロイは、約2.45以下の相安定性
数Nv3B を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は単結晶ニッケル系スーパ
ーアロイに関し、より詳細には、ガスタービンエンジン
において使用するための裸高温腐食(bare hot corrosio
n)に対して改善された抵抗性を有する単結晶ニッケル系
スーパーアロイ及びそれから製造された製品に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶製品の金属の温度と応力性能にお
ける近年の発展は、単結晶スーパーアロイの継続的な発
展並びに鋳造プロセス及びエンジン応用技術の改良の結
果である。これらの単結晶スーパーアロイ製品には、ガ
スタービンエンジンの高温部分に見られる回転及び静止
状態のブレード及び羽根が含まれる。ガスタービンエン
ジンの設計の目的は過去数十年間同じままだった。この
ような目標には、より高いエンジン運転温度、回転速
度、燃料効率、及びエンジン部品の耐久性及び信頼性が
含まれる。
【0003】産業用ガスタービンエンジン用途のために
これらの設計上の目標を達成するための合金を提供しよ
うとする従来技術の試みには、Fiedlerらの米国特許第
4,677,035号が含まれ、この特許は、重量パーセント
で、8.0〜14.0%のクロム、1.5〜6.0%のコバルト、0.5
〜2.0%のモリブデン、3.0〜10.0%のタングステン、2.
5〜7.0%のチタン、2.5〜7.0%のアルミニウム、3.0〜
6.0%のタンタル、及び残余量のニッケルから本質的に
成る、ニッケル系単結晶合金組成物を開示している。し
かしながら、この引用例によって教示されている合金組
成物は、高温に長時間か又は繰り返しさらされたときに
は比較的高い強度を有するが、これらの合金から加工さ
れた部品がガスタービン中で使用されたときさらされる
高温ガス環境の促進腐食効果の影響を受けやすい。
【0004】また、英国特許第2153848号(2153848A)
も、炭素、硼素、又はジルコニウムを意図的に添加せ
ず、13.0〜15.6%のクロム、5〜15%のコバルト、2.5〜
5%のモリブデン、3〜6%のタングステン、4〜6%のチ
タン、2〜4%のアルミニウム、及び残余量のニッケルの
範囲内の組成を有するニッケル系合金が開示されてお
り、これは単結晶に加工される。この引用例によって教
示されている合金はクリープ破断特性における増加とと
もに高温腐食抵抗における改善を主張しているが、改善
された高温腐食抵抗、耐酸化性、機械的強度、大型部品
鋳造性、及び適切な熱処理応答の優れた組み合わせを有
する産業用ガスタービン用途用の単結晶スーパーアロイ
に対する必要性が本技術分野において存在する。
【0005】成分の樹枝状成長パターン又はブレードス
タッキング(blade stacking)軸に対して平行な低モジュ
ラス(001)結晶配向を有する単結晶製品が一般に製
造される。(001)方向に成長した面心立方(FC
C)スーパーアロイ単結晶は、従来的に鋳造された多結
晶製品と比較して、極めて良好な熱疲労抵抗を与える。
これらの単結晶製品は結晶粒界を有していないので、炭
素、硼素、及びジルコニウムのような結晶粒界強化剤を
使用しない合金設計が可能である。これらの元素は合金
の融点を下げるので、それらを合金設計から本質的に除
去することによって、高い機械的強度の達成に対するよ
り大きな可能性を与える。なぜならば、おそらくより高
い初期融点によって製造された、方向性凝固(DS)柱
状粒子(columnar grain)及び従来的に鋳造された材料に
比べてより完全なガンマプライム溶体及びミクロ構造均
一化が達成されるからである。
【0006】これらのプロセスの利点は、多面的合金設
計(multi-faceted alloy design)法が採用されなけれ
ば、必ずしも実現しない。アロイは、特に大型の鋳造製
品に使用される場合、しみ(freckles)、きず(sliver
s)、偽結晶(spurious grains)、及び再結晶のような鋳
造欠陥が形成する傾向を防ぐように設計されなければな
らない。さらに、合金は、ほぼ完全なガンマ−プライム
溶体化を可能にするために、適切な熱処理「窓(windo
w)」(合金のガンマ−プライムソルバスと初期融点との
数的な差)を与えなければならない。同時に、合金の組
成的バランスは、ガスタービンエンジンにおける運転に
必要な工学的特性の適切な配合を与えるように設計され
なければならない。ガスタービンエンジン設計者が一般
に重要であると考える選択された特性には、高温クリー
プ破断強さ、熱−機械疲労抵抗、耐衝撃性、高温腐食及
び酸化に対する抵抗、及びコーティング性能が含まれ
る。特に、産業用タービンの設計者は、高温腐食及び酸
化に対する抵抗と良好な長期機械特性の特異な組み合わ
せを要求する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】合金設計者は、公知の
スーパーアロイの組成バランスを調節することによっ
て、これらの設計特性のうちの1つ又は2つを改善する
ことを試みることができる。しかしながら、残りの特性
の幾つかをほとんど又は著しく損なうことなく、1つ又
は2つ以上の設計特性を改良するのは極めて難しい。本
発明のユニークなスーパーアロイは、産業用及び船舶用
ガスタービンエンジン高温部分において運転される単結
晶部品の製造において使用するのに必要な特性の優れた
組み合わせを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐高温腐食性
ニッケル系スーパーアロイであって、重量パーセントで
以下の元素を含むものに関する:約11.5〜約13.5%のク
ロム、約5.5〜約8.5%のコバルト、約0.40〜約0.55%の
モリブデン、約4.5〜約5.5%のタングステン、約4.5〜
約5.8%のタンタル、約0.05〜約0.25%のニオブ(columb
ium)、約3.4〜約3.8%のアルミニウム、約4.0〜約4.4%
のチタニウム、約0.01〜約0.06%のハフニウム、及び残
余量のニッケル及び付随的な不純物。このスーパーアロ
イは、約2.45以下の相安定性数(phasial stability nu
mber)Nv3B を有する。
【0009】このスーパーアロイ組成物中のアルミニウ
ムとチタニウムの合計が7.4〜8.2重量%であるのが有利
である。また、本発明の組成物においては、1より大き
いTi:Al比率と1より大きいTa:W比率を有する
のが有利である。付随的な不純物はできるだけ少ない量
に保たれるべきであるが、本発明のスーパーアロイは、
約0〜約0.05%の炭素、約0〜約0.03%の硼素、約0〜
約0.03%のジルコニウム、約0〜約0.25%のレニウム、
約0〜約0.10%の珪素、及び約0〜約0.10%のマンガン
も含むことができる。全ての場合において、ベース元素
はニッケルである。本発明は、高温腐食に対する改善さ
れた抵抗性、酸化に対する改善された抵抗性、及び改善
されたクリープ破断強さを有する単結晶スーパーアロイ
を提供する。
【0010】単結晶製品は本発明のスーパーアロイから
適切に製造できる。このような製品はガスタービンエン
ジンの部品にすることができ、より詳細に述べると、そ
の部品はガスタービンブレード又はガスタービン羽根で
よい。
【0011】本発明のスーパーアロイ組成物は臨界的に
バランスのとれた合金組成を有し、これによって高温腐
食に対する改善された抵抗性を含む所望の特性の特異な
組み合わせが得られ、本発明のスーパーアロイ組成物は
産業用及び船舶用のガスタービンの用途に特に適してい
る。これらの特性には、優れた裸高温腐食抵抗及びクリ
ープ破断強さ;良好な裸酸化抵抗;特に大型のブレード
又は羽根部品に対して、良好な単結晶部品鋳造性;良好
な溶体熱処理応答;鋳造部品の再結晶化に対する適切な
抵抗;適切な部品の塗布性、及びトポロジー的最密充填
(topologicallyclose-packed)(TCP)相と呼ばれる
望ましくない脆い相の形成に対する長期間抵抗性のよう
なミクロ構造安定性が含まれる。
【0012】従って、本発明の目的の1つは、スーパー
アロイ組成物と、改善された高温腐食抵抗を含む所望の
特性の特異な組み合わせを有する前記組成物から製造さ
れた単結晶製品を提供することである。本発明の別の目
的は、産業用及び船舶用のガスタービンエンジンに使用
するためのスーパーアロイとそのスーパーアロイから製
造された単結晶製品を提供することである。本発明のこ
れら及びその他の目的及び本発明の利点は、以下の好ま
しい実施態様の説明から、当業者には明らかであろう。
【0013】本発明の高温腐食抵抗性ニッケル系スーパ
ーアロイは、重量パーセントで、以下の元素を含む: クロム 約11.5〜13.5 コバルト 約 5.5〜 8.5 モリブデン 約 0.40〜0.55 タングステン 約 4.5〜 5.5 タンタル 約 4.5〜 5.8 ニオブ 約 0.05〜0.25 アルミニウム 約 3.4〜 3.8 チタニウム 約 4.0〜 4.4 ハフニウム 約 0.01〜0.06 ニッケル及び付随的不純物 残余量
【0014】このスーパーアロイ組成物は、また、約2.
45以下の相安定性数Nv3B を有する。さらに、本発明は
臨界的にバランスのとれた合金組成を有し、これによっ
て産業用及び船舶用のガスタービンエンジンの用途に有
用な特性の特異な組み合わせが得られる。これらの特性
には、産業用及び船舶用のガスタービンエンジンの用途
用の従来的単結晶スーパーアロイと比較して裸高温腐食
抵抗及びクリープ破断強さの優れた組み合わせ、裸酸化
抵抗、単結晶部品鋳造性、及び高応力、高温条件下での
TCP相の形成に対する抵抗性のようなミクロ構造安定
性が含まれる。
【0015】スーパーアロイのクロム含有率は主にスー
パーアロイの高温腐食抵抗を得ることに対して寄与す
る。アロイの高温腐食抵抗はこのようなアロイの発展に
おいて主要な設計基準の1つであったから、本発明のス
ーパーアロイは比較的高いクロム含有率を有する。クロ
ム含有率は11.5〜13.5重量%である。クロム含有率は1
2.0〜13.0重量%であるのが有利である。クロムは高温
腐食抵抗を与えるが、合金の酸化許容性も助けることが
できる。さらに、本発明のスーパーアロイのタンタル及
びチタニウム含有率並びにその1より大きいTi:Al
比率は、高温腐食抵抗の達成に貢献する。しかしなが
ら、合金のガンマプライムソルバスを下げるのに加え
て、クロムはCrとWに富んだTCP相の形成にも寄与
し、従って、本発明の組成物においてはバランスが取ら
れなければならない。
【0016】本発明の実施態様の1つにおいて、コバル
ト含有率は約5.5〜8.5重量%である。本発明の実施態様
のもう1つにおいて、コバルト含有率は約6.2〜6.8重量
%である。これらのスーパーアロイ中のクロムとコバル
トの濃度は、いずれの元素も合金のガンマプライムソル
バスを下げる傾向があるので、スーパーアロイ溶体を熱
処理可能にする助けになる。タングステン及びタンタル
のような合金の初期融点を高くする傾向があるものと協
力して本発明においてこれらの元素の適当なバランスを
取ることによって、望ましい溶体熱処理窓(合金の初期
融点とそのガンマプライムソルバスとの間の数的な差)
を有するスーパーアロイ組成物が得られ、それによって
十分なガンマプライム溶体化を容易にする。コバルト含
有率はスーパーアロイの固溶体にも貢献する。
【0017】タングステン含有率は約4.5〜5.5重量%で
あり、タングステンの量が約4.7〜5.3重量%であるのが
有利である。タングステンは、有効な固溶体強化剤であ
り、ガンマプライムの強化に貢献できるので、これらの
組成物に添加される。さらに、タングステンは合金の初
期融点を上昇させるのに有効である。
【0018】タングステンと同様に、本発明の組成物に
おいてタンタルは重要な固溶体強化剤であるが、改善さ
れたガンマプライム粒子強度と体積分率にも貢献する。
タンタル含有率は約4.5〜5.8重量%であり、タンタル含
有率が約4.9〜5.5重量%であるのが有利である。本発明
の組成物において、タンタルは、裸高温腐食抵抗及び酸
化抵抗並びにアルミニド(aluminide)被覆耐久性を与え
るのに役立つので、有利である。さらに、タンタルは、
特にタングステンよりも高い比率で存在するとき(即
ち、Ta:W比率が1より大のとき)、単結晶鋳造プロ
セス中に「しみ(freckle)」欠陥が形成するのを防ぐ働
きがあるので、本発明の組成物において魅力的な単結晶
合金添加剤である。さらに、タンタルはTCP相の形成
に直接参加しないと考えられているので、本発明の合金
において強度を得るのに魅力的な手段である。
【0019】モリブデン含有率は約0.40〜0.55重量%で
ある。モリブデンが0.42〜0.48重量%の量で存在するの
が有利である。モリブデンは良好な固溶体強化剤である
が、タングステンやタンタルのようには有効ではなく、
高温腐食許容性に対しては負の要因になる傾向がある。
しかしながら、合金の密度は合金の設計において常に考
慮されることであり、モリブデン原子はその他の固溶体
強化剤よりも軽いので、モリブデンの添加は本発明の組
成物の全体的合金密度を調節する手段である。比較的低
いモリブデン含有率は、このクラスの裸高温腐食抵抗性
ニッケル系単結晶スーパーアロイにおいてはユニークで
あると考えられる。
【0020】アルミニウム含有率は約3.4〜3.8重量%で
ある。さらに、本発明の組成物中に存在するアルミニウ
ムの量は3.5〜3.7重量%であるのが有利である。アルミ
ニウムとチタニウムはガンマプライム相を構成する主要
な元素であり、本発明においてアルミニウムとチタニウ
ムの合計は7.4〜8.2重量%である。これらの元素は本発
明の組成物中に、適切な合金鋳造性、溶体熱処理性、相
安定性、及び高い機械的強度と高温腐食抵抗性の望まし
い組み合わせを達成するのに必要な量と比率で、添加さ
れる。また、アルミニウムは酸化抵抗を与えるのに十分
な量で本発明の合金に添加される。
【0021】チタニウム含有率は約4.0〜4.4重量%であ
る。さらに、チタニウムは本発明の組成物中において4.
1〜4.3重量%の量で存在するのが有利である。本発明の
合金のチタニウム含有率は比較的高く、従って、合金の
高温腐食抵抗性に対して有利である。しかしながら、チ
タニウムは、酸化抵抗性、合金鋳造性、及び溶体熱処理
に対する合金の応答に対して負の効果を有する可能性も
ある。従って、チタニウム含有率が本発明の組成物の上
述の範囲内に保たれること、及び上述の元素成分の適切
なバランスが保たれることが重要である。さらに、合金
の1より大きいTi:Al比率を保つことが、本発明の
組成物において所望の裸高温腐食抵抗を達成するのに重
要である。
【0022】ニオブ含有率は約0.05〜0.25重量%であ
り、ニオブ含有率が約0.05〜0.12重量%であるのが有利
である。ニオブはガンマプライム形成元素であり、本発
明のニッケル系スーパーアロイにおいて有効な強化剤で
ある。しかしながら、一般に、ニオブは合金の酸化及び
高温腐食抵抗性を損なうものなので、本発明の組成物へ
の添加は最少化される。さらに、ニオブは本発明の組成
物に炭素を捕獲する目的で添加され、これは非最適化真
空溶体熱処理(non-optimized vacuum solution heat tr
eatment)手順中に成分の表面に化学吸着される。炭素吸
着物は炭化チタニウム又は炭化タンタルを形成する代わ
りに炭化ニオブを形成する傾向があり、それによってチ
タニウム及び/又はタンタルの最大比率を本発明の合金
においてガンマプライム及び/又は固体溶体強化用に保
持する。さらに、本発明のスーパーアロイの強度を改善
するためには、ニオブとハフニウムの合計が本発明の組
成物中において0.06〜0.31重量%であることが重要であ
る。
【0023】ハフニウム含有率は約0.01〜0.06重量%で
あり、ハフニウムが約0.02〜0.05重量%の量で存在する
のが有利である。ハフニウムは被覆性能と接着性を援助
するために低い比率で本発明の組成物に添加される。ハ
フニウムは一般にガンマプライム相を分割する。
【0024】本発明のスーパーアロイ組成物の残りはニ
ッケルと少量の付随的不純物から成る。一般にこれらの
付随的不純物は製造の工業的プロセスから取り込まれる
が、本発明のスーパーアロイの有利な面に悪影響を与え
ないように、組成物中においてできるだけ少量に保たれ
なければならない。例えば、これらの付随的不純物は、
約0.05%までの炭素、約0.03%までの硼素、約0.03%ま
でのジルコニウム、約0.25%までのレニウム、約0.10%
までの珪素、及び約0.10%までのマンガンを含むことが
できる。上述の量を越えるこれらの不純物の量は得られ
る合金の特性に悪影響を与える可能性がある。
【0025】本発明のスーパーアロイは上述の範囲内の
組成を有するだけでなく、約2.45以下の相安定性数N
v3B を有する。当業者には理解されるように、Nv3B
は、ニッケル系合金電子空格子点TCP相制御要素計算
(nickel-based alloy electron vacancy TCP phase con
trol factor calculation)のPWA N-35法によって
定義される。この計算は以下の通りである。
【0026】式1 重量パーセントから原子パーセントへの変換: 元素iの原子%=Pi=WiAi/(Σi(Wi/A
i))×100 式中:Wi=元素iの重量% Ai=元素iの原子量
【0027】 式2 連続マトリックス相中に存在する各元素の量の計算: 元素 残っている原子の量Ri Cr RCr=0.97PCr−0.375PB−1.75PC Ni RNi=PNi+0.525PB−3(PAl+0.03PCr+PTi−0.5PC+ 0.5 PV+PTa+PCb+PHf) Ti、Al、 R=0 B、C、Ta、 Cb(Nb)、Hf V RV=0.5PV W RW=PW−0.167PCW/(PMo+PW) Mo R(Mo)=P(Mo)−0.75PB−0.167PCMo/(PMo+PW
【0028】式3 上記の式1及び2から得られた原子ファクターを使用す
るNv3Bの計算: Ni i=Riii そこで Nv3B=ΣiNi(Nv)i 式中:i=順次個々の元素、 Nii=マトリックス中の各元素の原子ファクター(atom
ic factor)、 (Nv)i=個々の各元素の電子空格子数(electron vac
ancy No.)
【0029】この計算は、スーパーアロイ中の構造安定
性に関する国際シンポジウム(International Symposium
on Structural Stability in Superalloys)の第1巻(1
968)において発表された、H. J. Murphy、C. T. Sims、
及びA. M. Beltran による“PHACOMP Revisited”とい
うタイトルの技術文献中において詳細に説明されてい
る。その開示は引用によって本明細書中に組み入れられ
ている。当業者には理解できるように、本発明のスーパ
ーアロイにとって相安定性数は重要であり、高温高スト
レス条件下において安定なミクロ構造と所望の特性に対
する許容性を与えるには、上述の最大値以下でなければ
ならない。当業者は、本明細書の内容を理解したら、相
安定性数を経験的に決定することができる。
【0030】本発明のスーパーアロイは、産業用及び船
舶用ガスタービンエンジンの部品のような、単結晶部品
を適切に製造するのに使用できる。これらのスーパーア
ロイは高応力、高温条件下で使用される単結晶鋳造品を
製造するのに使用するのが好ましく、このような鋳造品
は、特に、硫黄、ナトリウム、及びバナジウム不純物を
含む腐食環境中約1050℃(1922°F)までの高温条件の
ような条件下において、改善された高温腐食(硫化)抵
抗を有することによって特徴付けられる。これらのスー
パーアロイは単結晶として製造される高強度鋳造品を必
要とするあらゆる目的に対して使用できるが、それらの
特別の用途は産業用及び船舶用ガスタービンエンジン用
の単結晶ブレード及び羽根の鋳造である。
【0031】本発明の組成物から製造される単結晶部品
は本技術分野で公知のどの単結晶鋳造技術を使用しても
製造することができる。例えば、種結晶(seed crystal)
プロセス及びチョーク(choke)プロセスのような単結晶
方向性凝固(directional solidification)プロセスを利
用できる。
【0032】本発明のスーパーアロイから製造された鋳
造品は約982℃(1800°F)〜約1163℃(2125°F)の
温度で約1〜約50時間時効することができる。しかしな
がら、当業者には理解できるように、時効のための最適
な温度と時間はスーパーアロイの正確な組成に依存す
る。
【0033】本発明は所望の特性の特異な組み合わせを
有するスーパーアロイ組成物を提供する。これらの特性
には、優れた裸高温腐食抵抗及びクリープ破断強さ;良
好な裸酸化抵抗;特に大型のブレード又は羽根部品に対
して、良好な単結晶部品鋳造性;良好な溶体熱処理応
答;鋳造部品の再結晶化に対する適切な抵抗;適切な部
品塗布性、及びトポロジー的最密充填(TCP)相と呼
ばれる望ましくない脆い相の形成に対する長期間抵抗性
のようなミクロ構造安定性が含まれる。上述したよう
に、このスーパーアロイは、特性の特異な組み合わせを
維持しなければならない場合、全ての元素に関して少し
の変動しか許容されない精密な組成を有する。
【0034】本発明をより明確に説明するため、及び本
発明の範囲外の代表的スーパーアロイと比較を示すため
に、以下に記載の実施例を提示する。以下の実施例は、
本発明及び本発明と他のスーパーアロイ及び製品との関
係を示すためのものであり、本発明の範囲を限定するも
のではない。
【0035】
【実施例】本発明のスーパーアロイに関して組成的変動
と範囲を調べるために試験材料を調製した。試験を行い
以下に報告した合金組成物の幾つかは本発明の範囲外で
あるが、本発明の理解を助けるための比較用として含め
た。試験した材料の代表的合金目的組成を以下の表1に
示す。
【0036】
【表1】
【0037】本発明のスーパーアロイに関して組成的変
動を調べるための単結晶アロイの開発は一連の実験組成
物の定義と評価から始めた。初期の展開の主要な目的
は、元素のバランスを取りながら、改善された高温腐食
抵抗と酸化抵抗、機械的強度、大型部品鋳造性、及び適
切な熱処理応答との組み合わせを達成することである。
【0038】初期に開発した合金の繰り返し、CMSX
(登録商標)−11、を表1に示す目的組成で定義し、
その後少量生産型VIM炉中113 kg(250 lb.)の溶解
物として製造した。(CMSXは本願の出願人であるキ
ャノン−ムスケゴン・コーポレーションの登録商標であ
る。)溶解物VF839(以下の表2参照)から製造さ
れた76 mm(3インチ)の直径の棒状生成物の少量をイ
ンベストメント鋳造(investment cast)して16個の単結
晶試験棒を製造した。粒子と方向性を調べると、わずか
に2本の棒が拒絶すべき粒子又はキズの徴候を示したこ
とが判明した。しみ(freckles)は現れなかった。さらに
全ての棒が所望の一次(001)結晶方向(primary (00
1) crystallographic orientation)の15°以内であっ
た。
【0039】
【表2】
【0040】1263℃(2305°F)のピーク温度を有す
る、合金用に開発された溶体熱処理方法は、完全な粗い
γ′と共融γ−γ′溶体化をもたらした。溶体処理に続
いて、以下の表3に報告したように、棒を時効させた。
【0041】
【表3】
【0042】熱処理した試験棒を、標準的ASTMの方
法に従って、温度と応力の種々の条件下でクリープ破断
試験するために、ASTMの標準的比例サンプル寸法ま
で機械加工し低応力研磨した。
【0043】以下に報告する表4は、CMSX−11合
金サンプルについて行ったクリープ破断試験の結果を示
す。この試験は760〜982℃(1400〜1800°F)の範囲内
の条件で行った。結果はこの発展合金組成物が所望の程
度には強くないことを示した。しかしながら、破損した
破断サンプルのミクロ構造を見ると、この合金組成物が
適切なミクロ構造安定性を有していることが判明した。
【0044】
【表4】
【0045】クリープ破断の評価と並行して行った合金
の高温腐食試験の結果が以下の表5に報告されている。
10 ppmの海水塩含有水と約1 ppmの硫黄を含む燃料を使
用して、899℃(1650°F)で行った初期バーナー掘削
試験(initial burner rig test)の結果は好ましかっ
た。なぜなら、この合金が適切な腐食抵抗を有すること
を示したからである。しかしながら、比較的クロム含有
率が低い合金であるCMSX−3合金はCMSX−11
材料と比較して攻撃に対して驚くべきほど良好な抵抗を
示したので、試験の全体的な結果は決定的なものではな
い。
【0046】
【表5】
【0047】上述の評価に続いて、表1中においてCM
SX−11Aと命名した改良した組成物を誘導し、製造
した。目的組成物のもう1つの113 kg(250 lb.)の溶
解物を製造する代わりに、VF839生成物の10 kg(2
2 lbs.)と新しい元素材料の1.8 kg(4 lbs.)を溶融し
ブレンドすることによってインベストメント鋳造中に配
合した。
【0048】CMSX−11で達成されたのと類似の収
量(yields)で16個の単結晶試験棒を製造した。試験棒の
組成の検査は適切な目的組成が得られたことを示した。
十分な粗いγ′及び共融γ−γ′溶体化が、1256℃(22
93°F)のピーク均熱温度(peak soak temperature)を
使用して達成された。試験サンプルの時効処理を表3に
示したように行った。幾つかの十分に熱処理した試験棒
を比例クリープ試験サンプル寸法まで機械加工し研磨し
た。得られた試験サンプルを760〜982℃(1400〜1800°
F)の範囲内の試験条件にさらすことによって、合金の
強度を検査した。結果を以下の表6に報告する。
【0049】
【表6】
【0050】破損したサンプルのミクロ構造を検査した
結果、各々の断面の幾らかにおいて観察された種々の水
準のTCPシグマ針状相の形成から判断して、CMSX
−11A組成物はミクロ構造的に不安定な設計であるこ
とが判明した。この理由及び観察された強度の許容でき
ないほど低い水準のために、より大きいクリープ破断強
度と改善された相安定性を達成する目的で、CMSX−
11Aをさらに改良した。
【0051】CMSX−11A合金のNv3B 相安定性数
の計算値は2.52であり、CMSX−11試験棒のNv3B
相安定性数の計算値は2.39だったので、所望の強度水準
を得るために、次の組成試作物は2.42のNv3B 水準を達
成することを目標とした。
【0052】上記の表2はCMSX−11Bの目的組成
を報告している。CMSX−11A組成物のAl+Ti
濃度は完全な溶体化を可能にしたので、CMSX−11
BのAl+Ti濃度が同じになるように設計した。相安
定性は主にCrとCoを減少させることによって改善し
ようとしたが、一方、適切な溶体熱処理特性はCb(ニ
オブ)合金元素をさらに減少させることによって強化し
た。
【0053】所望の結果を達成する前にさらに幾つかの
合金組成物が必要であることは明らかだったので、試験
サンプルの製造に対してもう1つのアプローチを取っ
た。このもう1つのアプローチは、リーンベース組成物
(lean base composition)を製造することからなり、こ
の組成物は種々の新しい元素材料と組み合わせて、化学
組成の少しだけ異なるCMSX−11B合金を配合する
のに使用した。得られた「リーンアロイ(lean alloy)」
をR2D2と命名し、113 kg(250 lb.)のVIM溶解
物、VF952(表2参照)を製造した。
【0054】23ポンドのR2D2合金組成物を3ポンド
の新しい元素添加物と一緒にして上記の表1に示すCM
SX−11B目的組成物を製造した。試験棒の検査は適
切な化学組成が得られたことを示した。この特定の鋳物
(mold)から各13本の単結晶試験棒と各3個の小型単結晶
タービンブレードを製造した。試験棒とブレードの粒子
収率は100%であり、一方、全てのラウエ(Laue)法の結
果は、試験サンプルが所望の一次(001)結晶方向の
10°以内であることを示した。
【0055】これと並行して、(CMSX−11B合金
を製造するために)多量のVF952と新しい元素添加
物をインベストメント鋳造して12本の単結晶試験棒と12
個の単結晶ブレードを製造した。これらの生成物を製造
するのに使用した全ての鋳物は100%の粒子収率を示し
た。全てのサンプルを所望の一次(001)結晶方向の
5°以内に調整した。
【0056】インベストメント鋳造した後CMSX−1
1B試験材料の化学組成を検査すると、適切な組成が達
成されたことが判明した。溶体熱処理試験は、1260℃
(2300°F)で最終均熱(soak)を与えたとき、これらの
材料は100%溶体化できることを示した。
【0057】溶体処理に続いて、試験棒サンプルの幾つ
かを使用して、異なる一次時効処理(primary aging tre
atment)の効果を調べた。この試験は、1121℃(2050°
F)での5時間の均熱が、前に使用した1079℃(1975°
F)/4時間/AC(Air Cooled)での一次時効よりも好
ましい配列と最適の大きさ(約0.5 μm)にされたγ′
析出物をもたらすことを示した。より低い温度の時効は
前に使用したのと同じだった。これは表3に示されてい
る。
【0058】適当量のCMSX−11B試験棒と試験ブ
レードをクリープ破断試験用に製造した。これらを表3
に示したように十分に熱処理した。縦方向の比例クリー
プサンプル(一般に0.125″のゲージ直径)を単結晶試
験棒を使用して製造し、一方、縦方向の翼(airfoil)と
0.070″のゲージ直径の横断方向のルートセクション(tr
ansverse root section)サンプルを試験ブレードから得
た。
【0059】サンプルに、760〜982℃(1400〜1800°
F)の範囲内の温度で、応力及びクリープ破断試験を施
した。これらの試験の初期の結果が好ましかったので、
試験プログラムを1038℃(1900°F)までの温度/応力
条件を含むように拡張した。これらの試験の結果を表7
に示す。
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】応力及びクリープ破断試験の結果が続けて
好ましかったので、CMSX−11B組成物のさらに2
つの113 kg(250 lb.)のVIM溶解物を調製した。2
つの溶解物の溶解物名称はVF999とVG32であ
り、これらの各々の組成は表2中に示されている。
【0065】これらの溶解物からの材料を使用して追加
のインベストメント鋳造試験棒とブレードを製造した。
試験材料の組成の検査は、適切な組成が得られたことを
示した。完全な単結晶粒子の収率はこの生成物の幾らか
については優勢であり、サンプルの熱処理加工は前の実
験と類似の結果を与えた。
【0066】さらに、試験生成物の幾つかを使用して機
械的特性の試験を行った。その結果を表7に示す。これ
と並行して、CMSX−11B合金の十分に熱処理した
サンプルに酸化及び高温腐食試験を施した。
【0067】行った高温腐食試験の結果を以下の表8に
示す。試験は、人工灰とSO2 を使用する実験炉中にお
いて700℃(1292°F)と800℃(1472°F)で行った。
金属の損失のデータを平均と最大値、並びに使用した試
験ピンのパーセントで表した損失量として示した。700
℃(1292°F)の試験については100、576及び1056時間
の間隔でデータを報告し、800℃(1472°F)の試験に
ついては100、576、1056及び5000時間の間隔でデータを
報告した。
【0068】
【表11】
【0069】同様に、図1は、CMSX−11B合金と
その他の合金を合成スラッグ(synthetic slag)(GTV
型)及び空気中0.03体積%のSOx に500時間さらすこ
とによって行った追加の高温腐食試験の結果を示す。こ
の500時間の試験は750、850、及び900℃(1382、1562、
及び1652°F)で行った。これらの結果は、CMSX−
11B合金が3つの温度全てにおいて極めて良好な腐食
抵抗を与えることを示している。
【0070】800℃と900℃(1472°Fと1652°F)の試
験温度で別のスラッグであるFVV型を使用するその他
の試験も行った。500時間の試験の結果を以下の表9に
報告する。
【0071】
【表12】
【0072】追加の実験炉(るつぼ型)人工灰高温腐食
試験を行った。732℃(1350°F)及び899℃(1650°
F)で行ったこれらの試験の結果をそれぞれ図2及び図
3に示す。これらの試験においては、100サイクル毎に1
mg/cm2 のNa2SO4 でサンプルを被覆し、1日当た
り3回サイクルさせた。732℃での試験は約2400時間行
い、一方、899℃での試験は約1800時間行った。
【0073】さらに、高温腐食試験をCMSX−11B
合金について行った。上述の試験とは対照的に、続いて
行われた高温腐食評価はバーナー掘削において行われ、
これは通常好ましい試験方法である。なぜならば、バー
ナー掘削試験において得られる結果は一般に材料がガス
タービンエンジン中で受ける状態のより典型的な示唆を
与えるからである。
【0074】バーナー掘削試験は900℃(1652°F)と1
050℃(1922°F)で行った。試験結果を以下の表10と
表11にそれぞれ示す。直径9 mm×長さ100 mmの試験ピ
ンを回転する円柱状のジグに取り付け、高速のガス流れ
にさらした。その他の試験条件は各々の表中に特定され
ている。
【0075】
【表13】
【0076】
【表14】
【0077】幾つかの合金を同じ掘削試験で評価した。
結果は900℃(1652°F)の試験条件においてCMSX
−11BはIN 738 LC合金よりもずっと良好な
高温腐食抵抗を与え、1050℃(1922°F)では同様の能
力であることを示している。さらに、図4はCMSX−
11B合金が1050℃(1922°F)で強度と高温腐食抵抗
性の好ましい組み合わせを与えることを示している。90
0℃での同様な分析がさらに優れた能力の組み合わせを
示すものと考えられる。
【0078】高温腐食試験と並行して、CMSX−11
B合金の酸化試験を行った。以下の表12は、950℃(174
2°F)で1000時間行った実験炉酸化試験の結果を示
す。100時間と500時間の間隔及び試験の終了時に測定し
た平均と最大の酸化深さ(oxidation depth)と重量増加
量を報告する。
【0079】
【表15】
【0080】図5は、3000時間まで行った1000℃(1832
°F)での酸化試験の結果を示す。この試験は空気中で
行い、試験サンプルの重量変化を時間の関数として測定
した。試験温度は1時間に1回の基準で室温までサイク
ルさせた。試験結果は、CMSX−11B合金が、産業
用タービン工業において広く使用されている合金である
IN 738 LCよりもずっと良好な酸化抵抗を与え
ることを示している。
【0081】さらに、酸化試験の結果は図6に示されて
いる。この特別の試験においては、ピンを1010℃(1850
°F)の試験温度から1日3回室温までサイクルさせ、
重量変化を時間の関数として測定した。試験は約2400時
間行った。結果は、CMSX−11B材料が合金IN
738よりもずっと良好な酸化抵抗を与えることを示し
ている。
【0082】バーナー掘削酸化試験を1200℃(2192°
F)で行った。結果を以下の表13に示す。種々の合金を
同じ回転する円形台の中で試験し、サンプルの重量損失
を100、200、300、400、及び500時間の間隔で測定し
た。その他の試験条件は表中に与えられている。
【0083】
【表16】
【0084】バーナー掘削酸化試験の結果は、CMSX
−11B材料が、広く使用されている産業用タービンブ
レード及び羽根材料と比較して、極めて良好な1200℃
(2192°F)での酸化抵抗を与えることを示している。
【0085】合金の強度と1200℃(2192°F)酸化の比
較が図7に示されている。この図は、CMSX−11B
合金の組み合わされた能力が、Rene 80 H、F
SX414、IN 939及びIN 738 LC合金
のような方向性凝固された合金よりも優れていることを
示している。
【0086】上述の試験に続いて、CMSX−11B合
金の追加の少量のVIM溶解物を製造した。CMSX−
11B′及びCMSX−11B″材料に対する目的組成
は表1中に示されている。これらの組成物は、CMSX
−11B合金設計における少しの変化による効果を調べ
るために製造した。製造した122 kg(270 lb.)の溶解
物に関して達成された組成は表2に示されており、それ
ぞれ溶解物番号VG92及びVG 109が与えられて
いる。多量のこれら各々の組成物をインベストメント鋳
造して、単結晶試験棒を製造した。得られた棒の組成の
検査は、適切な組成が達成されたことを示した。各々の
単結晶粒子及び方向性の収率は、前の合金で得られたの
と同様に、100%で満足のいくものであった。
【0087】熱処理試験は、表3に報告されているよう
に、両方の合金に関して1264℃(2307°F)のピーク溶
体温度を選択した。これは99.5〜100%の溶体水準をも
たらした。CMSX−11B合金に対して行ったように
時効処理を行った。
【0088】クリープ破断試験用にサンプルを調製し
た。試験は760〜1038℃(1400〜1900°F)の範囲内の
温度で行った。これらの試験の結果は表7中に示されて
おり、CMSX−11Bと比較して改善されていること
が判明した。
【0089】本発明をこれまで特定の実施態様に関連し
て説明してきたが、本発明の多数のその他の形態及び改
良は当業者には明らかである。特許請求の範囲及び本発
明は本発明の真の精神と範囲に含まれるそのような明ら
かな形態及び改良を包含するものと解釈されなければな
らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施態様と4種のその他の合金
に関して3つの暴露温度で行った高温腐食試験の結果を
示すグラフである。
【図2】本発明の1つの実施態様と2種のその他の合金
に関して732℃(1350°F)で行った試験から得られた
高温腐食のデータの比較を示すグラフである。
【図3】本発明の1つの実施態様と2種のその他の合金
に関して899℃(1650°F)で行った試験から得られた
高温腐食のデータの比較を示すグラフである。
【図4】本発明の1つの実施態様と6種のその他の合金
に関して行った試験から得られた合金の強度と高温腐食
のデータの比較を示すグラフである。
【図5】本発明の1つの実施態様と2種のその他の合金
に関して1000℃(1832°F)で行った試験から得られた
酸化データの比較を示すグラフである。
【図6】本発明の1つの実施態様と2種のその他の合金
に関して1010℃(1850°F)で行った試験から得られた
酸化データの比較を示すグラフである。
【図7】本発明の1つの実施態様と6種のその他の合金
に関して行った試験から得られた合金の強度と酸化のデ
ータの比較を示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】初期に開発した合金、CMSX(登録商
標)−11、を表1に示す目的組成で定義し、その後少
量生産型VIM炉中113kg(250 lb.)の溶
解物として製造した。(CMSXは本願の出願人である
キャノン−マスキーガン・コーポレーションの登録商標
である。)溶解物VF839(以下の表2参照)から製
造された76mm(3インチ)の直径の棒状生成物の少
量をインベストメント鋳造(investmentca
st)して16個の単結晶試験棒を製造した。粒子と方
向性を調べると、わずかに2本の棒が拒絶すべき粒子又
はキズの徴候を示したことが判明した。しみ(frec
kles)は現れなかった。さらに全ての棒が所望の一
次(001)結晶方向(primary(001)cr
ystallographic orientatio
n)の15゜以内であった。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温腐食抵抗性ニッケル系スーパーアロ
    イであって、重量パーセントで、 クロム 約11.5〜13.5 コバルト 約 5.5〜 8.5 モリブデン 約 0.40〜0.55 タングステン 約 4.5〜 5.5 タンタル 約 4.5〜 5.8 ニオブ 約 0.05〜0.25 アルミニウム 約 3.4〜 3.8 チタニウム 約 4.0〜 4.4 ハフニウム 約 0.01〜0.06 ニッケル及び付随的不純物 残余量、 の元素を含み、約2.45以下の相安定性数Nv3B を有する
    スーパーアロイ。
  2. 【請求項2】 重量パーセントで、 炭素 約0〜0.05% 硼素 約0〜0.03% ジルコニウム 約0〜0.03% レニウム 約0〜0.25% 珪素 約0〜0.10% マンガン 約0〜0.10% をさらに含む、請求項1のスーパーアロイ。
  3. 【請求項3】 ニオブとハフニウムの合計が0.06〜0.31
    重量%である、請求項1のスーパーアロイ。
  4. 【請求項4】 Ti:Al比率が1より大きい、請求項
    1のスーパーアロイ。
  5. 【請求項5】 アルミニウムとチタニウムの合計が7.4
    〜8.2重量%である、請求項1のスーパーアロイ。
  6. 【請求項6】 Ta:W比率が1より大きい、請求項1
    のスーパーアロイ。
  7. 【請求項7】 改善された酸化抵抗性を有する、請求項
    1のスーパーアロイ。
  8. 【請求項8】 請求項1のスーパーアロイから製造され
    た単結晶製品。
  9. 【請求項9】 タービンエンジン用の部品である、請求
    項8の単結晶製品。
  10. 【請求項10】 部品がガスタービンブレード又はガス
    タービン羽根である、請求項9の製品。
  11. 【請求項11】 高温腐食に対して優れた抵抗性を有す
    る単結晶鋳物であって、重量パーセントで、 クロム 12.0〜13.0 コバルト 6.2〜 6.8 モリブデン 0.42〜0.48 タングステン 4.7〜 5.3 タンタル 4.9〜 5.5 ニオブ 0.05〜0.12 アルミニウム 3.5〜 3.7 チタニウム 4.1〜 4.3 ハフニウム 0.02〜0.05 ニッケル及び付随的不純物 残余量、 の元素を含み、約2.45以下の相安定性数Nv3B を有する
    ニッケル系スーパーアロイから製造された、単結晶鋳物
  12. 【請求項12】 スーパーアロイが、重量パーセント
    で、 炭素 0〜0.05% 硼素 0〜0.03% ジルコニウム 0〜0.03% レニウム 0〜0.25% 珪素 0〜0.10% マンガン 0〜0.10% をさらに含む、請求項11の単結晶鋳物。
  13. 【請求項13】 ニオブとハフニウムの合計が0.06〜0.
    31重量%である、請求項11の単結晶鋳物。
  14. 【請求項14】 アルミニウムとチタニウムの合計が7.
    4〜8.2重量%である、請求項11の単結晶鋳物。
  15. 【請求項15】 Ti:Al比率とTa:W比率がいず
    れも1より大きい、請求項11の単結晶鋳物。
  16. 【請求項16】 改善された酸化抵抗性を有する、請求
    項11の単結晶鋳物。
  17. 【請求項17】 改善されたクリープ破断強度を有す
    る、請求項11の単結晶鋳物。
  18. 【請求項18】 ガスタービンブレード又はガスタービ
    ン羽根である、請求項11の単結晶鋳物。
  19. 【請求項19】 高温腐食に対して優れた抵抗性を有す
    る単結晶鋳物であって、重量パーセントで、 クロム 約12.5 コバルト 約6.5 モリブデン 約0.45 タングステン 約5.0 タンタル 約5.2 ニオブ 約0.10 アルミニウム 約3.60 チタニウム 約4.2 ハフニウム 約0.03 炭素 0〜0.05 硼素 0〜0.03 ジルコニウム 0〜0.03 レニウム 0〜0.25 珪素 0〜0.10 マンガン 0〜0.10 ニッケル 残余量、 の元素を含むニッケル系スーパーアロイから製造された
    単結晶鋳物であって、前記スーパーアロイが約2.45以下
    の相安定性数Nv3B を有し、ニオブとハフニウムの合計
    が0.06〜0.31重量%であり、アルミニウムとチタニウム
    の合計が7.4〜8.2重量%であり、Ti:Al比率が1よ
    り大きく、そしてTa:W比率が1より大きい、単結晶
    鋳物。
  20. 【請求項20】 ガスタービンブレード又はガスタービ
    ン羽根である、請求項19の単結晶鋳物。
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