JPH0841553A - 鉱石又は濃厚物中の鉱物質化合物をバイオ酸化により可溶化及び分離するバイオ冶金法 - Google Patents

鉱石又は濃厚物中の鉱物質化合物をバイオ酸化により可溶化及び分離するバイオ冶金法

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JPH0841553A
JPH0841553A JP3350599A JP35059991A JPH0841553A JP H0841553 A JPH0841553 A JP H0841553A JP 3350599 A JP3350599 A JP 3350599A JP 35059991 A JP35059991 A JP 35059991A JP H0841553 A JPH0841553 A JP H0841553A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉱石又は濃厚物に含まれ、微生物の基質を構
成する鉱物質化合物をバイオ浸出性細菌により速い速度
でバイオ酸化してそれら化合物を可溶化及び分離するバ
イオ冶金法を提供する。 【構成】 直径5.5cmのポリスチレン平板に、スチ
ームを流すことによって殺菌された粉砕天然黄鉄鉱0.
5g及び0.45N硫酸溶液0.5マイクロリットルを
加える。平板を回転運動させることによってその培地を
平板の表面全面に薄い膜として広げる。平板に0.06
N硫酸溶液20マイクロリットル中に含まれるCM
株の細胞360個を接種し、30℃でインキュベートす
る。22時間後、平板が乾燥した外観を獲得したとき、
生物学的酸化が開始される。接種された平板の可溶性鉄
を吸光分光分析法により測定して、26時間から出発し
て8時間にわたって最高の生物学的酸化速度が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は鉱石又は濃厚物に含まれ、微生物
の基質を構成する鉱物質化合物をバイオ酸化してそれら
を可溶化及び分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】序論 金属のバイオテクノロジーは微生物又はそれらの代謝産
物の標準圧力及び5〜90℃における作用によって鉱
物、濃厚物、岩石及び溶液から金属を抽出する科学のこ
とである。その技術開発領域の1つはバイオ冶金で、そ
れは硫化物鉱物、元素硫黄、第一鉄及び多数の還元金属
の好酸性微生物による酸化、それらの可溶性で容易に分
離可能な化合物への転化に関する。この技術を最適化す
ると通常の抽出冶金法との競争に有利になる可能性があ
る。
【0003】細菌による浸出によって次の硫化物類を酸
化することが可能であることが証明されている:黄鉄鉱
及び白鉄鉱(FeS)、磁硫鉄鉱(FeS)、黄銅鉱
(CuFeS)、斑銅鉱(CuFeS)、銅藍
(CuS)、輝銅鉱(CuS)、四面銅鉱(Cu
)、硫砒銅鉱(3CuS・As)、輝
水鉛鉱(MoS)、閃亜鉛鉱(ZnS)、硫砒鉄鉱
(FeAsS)、鶏冠石、(AsS)雄黄、(As
)、輝コバルト鉱(CoAsS)、硫鉄ニッケル鉱
[(Fe,Ni)]、紫ニッケル鉱(NiFe
)、黄鉄ニッケル鉱[(NiFe)S]、針ニッ
ケル鉱(NiS)、ポリジマイト(Ni)、輝安
鉱(Sb、鉄閃亜鉛鉱(ZnS)、方鉛鉱(Pb
S)、硫安鉛鉱[(Pb(Sb,As)S,Ga
及びとりわけCuSe]。
【0004】微生物種が不溶性の硫化物鉱物を直接、間
接のいずれかで酸化して可溶性の硫酸塩にすることは公
知である。直接酸化の場合、活動している微生物の酵素
系によって硫化物鉱物物質の結晶構造の破壊が起こされ
る。硫化物鉱物の間接酸化は第二鉄イオン(Fe3+
の作用によるもので、その第二鉄イオンは第一鉄及び鉄
を含有する硫化物鉱物物質の細菌酸化生成物である。
【0005】黄鉄鉱の生物学的酸化の化学を最も可能性
のある反応で解析すると、次の通りである:
【化1】
【0006】上記の反応は黄鉄鉱の直接細菌酸化を説明
するものである。得られる硫酸第二鉄は次の通り順次黄
鉄鉱を酸化し、硫酸第一鉄と元素硫黄を形成する:
【化2】
【0007】第一鉄と硫黄とは次のように細菌酸化され
る:
【化3】
【0008】輝銅鉱の場合(CuS)、第一銅イオン
(Cu1+)とスルフィド(S2−)が微生物の酵素系
によってそれぞれCu2+、S°ySO に酸化され
る。
【0009】同様の機構で広範囲の硫化物鉱物の細菌酸
化が可能である。
【0010】チオバチルス フェロオキシダンス(Th
iobacillus ferrooxidans)及
び関連細菌が第一ウランイオンを次の反応式:
【化4】 に従って酸化する。
【0011】ウラン浸出における主要な役割は第二鉄イ
オンによって果たされる。Fe3+がU4+を次のよう
に、硫酸溶液中で可溶化されるU6+に酸化する:
【化5】
【0012】細菌はFe3+をFe2+又はFeS
酸化によって再生する。
【0013】上記と同様の反応によって広範囲の鉱物質
化合物を酸化することができる。バイオ湿式冶金におけ
る最も重要な微生物を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1に示したように、バイオ湿式冶金法の
主たる適用領域は金属の浸出、石炭の脱硫及び貴金属の
精製である。これらの適用領域について以下で簡単に説
明する。
【0016】金属の浸出 現在、金属の微生物による浸出は色々な方法で行われて
いる。これらの方法は関係する鉱物の規模と特性に依存
する。
【0017】微生物による現場浸出はカットオフ等級以
上からいわゆる基準以下又はミリング以下(submi
lling)の等級までの範囲の等級を持つ粗鉱から金
属有価物の溶解を微生物学的に高めることにある特別化
された地下抽出系と考えることができる。浸出溶液が岩
石塊に注入され、それを通してパーコレートする。所望
とされる金属有価物の溶解が達成されたとき、溶液が集
められ、金属回収プラントに給送される。
【0018】微生物によるダンプ浸出は、貧鉱石、通常
は露天堀り操作の等級が基準以下のオーバーバーデン、
即ち等級がカットオフ以下の岩石を含有する鉱石体の1
部であって、鉱化作用のより富んだ部分に近付くのを可
能にするために除去されなければならない部分から金属
有価物を回収するのに採用される“金属掃去”法と定義
することができる。これらの岩石は露天堀り付近の場所
にダンプとして集積される。ダンプの頂部に微生物を含
有する浸出溶液を流す。これらの溶液は破砕された岩石
塊を通してパーコレートし、金属有価物を可溶化する。
満たされた溶液はダンプの底から流出し、最後に池に集
められ、次いで金属回収プラントに給送される。
【0019】微生物による野積み浸出、即ちヒープ浸出
は、粉砕された鉱石を適切に用意した領域に規則的な層
として積み重ねる方法である。ヒープ、即ち積み重ねら
れた粉砕鉱石の山は切頭ピラミッド形となっている。大
きさのコントロールはヒープの高さで行い、これは鉱物
のグラジュエーション(graduation)、即ち
等級に関係する。ヒープの頂上部分に微生物を含有する
浸出溶液を流し、鉱物を通して連続的にパーコレートす
る。
【0020】微生物によるタンク浸出は、一旦微生物が
接種された鉱物と浸出用溶液によって形成されたパルプ
を撹拌し、そしてサーモスタット付きの系の中で空気混
和するパーチュカタンク(Pachuca tan
k)、反応器又はコンディショニングタンクの中で鉱石
及び濃厚物から金属を浸出する方法である。
【0021】バイオテクノロジーの実施において、所定
のパルプ塊中に含まれる液体対固体塊の比率として表さ
れるパルプの希釈度は4〜10の範囲である。
【0022】これまでに開発され、実施されてきた色々
な浸出法がたとえはっきりした特徴を持つものであって
も、全ての方法に、微生物を水性環境に閉じ込めるよう
にして鉱石又は濃厚物を懸濁し、溢れさせ及び/又は水
性溶液によるパーコレーションに付す、と言う共通の特
徴があることを指摘しなければならない。
【0023】石炭の脱硫 石炭は元素硫黄を色々な量で、そして主として黄鉄鉱形
(FeS)として含有する。石炭の燃焼は存在してい
る硫黄をSOに転化させ、これが大気を汚染し、植
物、動物及び人間の健康を損ねると言う結果をもたらす
酸性雨の原因となる。石炭が大規模に燃焼される地域の
大気中二酸化硫黄を適切なレベルに保つために、一般的
には総硫黄含量が1〜1.5%以下の低硫黄石炭を利用
すべきである。
【0024】石炭鉱山の酸排水からのチオバチルス フ
ェロオキシダンスの分離は硫黄及び黄鉄鉱鉱物の酸化に
よって石炭を脱硫するチオバチルス フェロオキシダン
スの潜在能に起因して関心を呼んだ。
【0025】石炭からの硫黄化合物の微生物による浸出
は同様の指針に沿って、及び金属の微生物による浸出に
ついて説かれた基準の下で、即ち微生物は水性環境中で
作用しなければならない、と言う基準の下で実施されて
きた。
【0026】数種の微生物が常法による石炭の脱硫にお
いて有効であることが分かった。しかし、この方法は微
生物の活性が低い結果、本質的に、必要とされる処理時
間が長く、しかも処理容量が大きいことに起因してその
ような条件下では工業的規模で実施することはできな
い。
【0027】硫化物鉱物の遊離による貴金属の精製 黄鉄鉱、硫砒鉄鉱及び微分散された金を含有する濃厚物
をシアン化に先立ってバイオ浸出に付すと硫化物鉱物の
大部分が溶解され、次のシアン化で金の収率が実質的に
増加することが明らかにされた。
【0028】バイオ冶金技術の最適化についての考察 この技術は従来の抽出冶金法を凌駕するその潜在的利
点、即ち: −低エネルギー消費、 −低い化学試剤の消費、 −低投資コスト、 −環境を汚染しないクリーンな方法であること、及び −低品位鉱床の経済的利用を可能にすること の故に世界的な関心を呼び起こした。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在の開発状
態では、この技術の適用は許容できる回収率を達成する
ために数カ月から数年の長い処理時間を必要とする。そ
の浸出速度は遅いが、これは介在している細菌の増殖速
度が遅いことに原因がある。
【0030】処理時間はそれ自体工業的適用の目的に対
して著しい技術的−経済的障壁をなしている。また、低
浸出速度は大量の鉱物を用いて操作することを必要とす
るが、このことは一般に気候の変動に支配されて系の精
密な制御を妨げ、系が変動し、かつ調子を乱し、結果と
して処理時間を変動させ、予測不能にしてしまう。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記の技術的課題の解決
に適用される、金属化合物の酸化に関係する微生物の生
理学的特性、増殖条件及び発育に関する研究は本発明の
基礎となる原理を包含する重要な研究領域を構成する。
【0032】発明の記述 序論 本発明は鉱石又は濃厚物に含有され、微生物の基質を構
成する鉱物質化合物をバイオ酸化してそれら化合物の可
溶化及び分離を可能にするバイオ冶金法に関する。更に
詳しくは、本発明は鉱物質化合物の微生物による酸化速
度を相当に増加させる方法に関する。本発明の方法の本
質的原理は水に対するバイオ浸出性細菌の挙動の発見に
基づく。
【0033】本発明の方法は次の: (a)鉱石又は濃厚物を中和し、固結を防ぎ、かつ微生
物にとって適正な酸性度となすために最も都合がよいと
前以て決定された量であって、好ましくは可能な最低容
量の溶液に含有されるそのような量の酸を用いて鉱石又
は濃厚物をコンディショニングするか、又は可能な最低
量の水を系に導入しつつ基質を均一に酸性化するように
鉱石又は濃厚物を酸蒸気と接触させる工程; (b)工程(a)と同時か若しくは工程(a)とは独立
に、関心の対象になっている鉱物質化合物を酸化するこ
とができる、又は鉱石自体の微生物フローラを富化させ
ることができる微生物の接種物を加える工程; (c)熱力学的に利用可能な水が微生物のコロニーを順
次構成することになるバイオ酸化生成物を固体状態で得
るために十分に低くなるまで、蒸発によってか又は空気
を流しながら乾燥することによって系に存在するだろう
過剰の水が自然に失われるのを可能にするか、又は失わ
れるように導くのを可能にする工程;及び (d)バイオ酸化生成物を分離する工程;を特徴とする
ものである。
【0034】バイオ浸出性微生物と固体の無機基質との
相互作用の第一段階はそれら微生物の基質表面に対する
付着にあり、その結果被酸化性基質は生化学的に攻撃さ
れる。付着はエネルギー源となる鉱物質化合物に対して
特異的であるが、そのような付着は頻繁に起こるのでは
なく、これまで試みられた系では常に起こる訳ではな
い。安定かつ効率的付着を可能にするか又は促進し、か
くして細菌が基質を転換させ、かつ速やかに増殖するこ
とを可能にする条件について今まで説明されたことはな
い。
【0035】後記の生理学的特性化及び発育条件から、
これらの微生物が明白な疎水性を有することは明らかで
ある。言い換えると、従来の系における水又は少なくと
も水のレベルは基質に対する細胞の安定な付着を困難に
する。
【0036】細胞と鉱物質化合物の表面とが相互作用す
るときに起こる現象及び硫化物鉱物の格子が破壊される
機構は明らかではない。それには色々な理論があるけれ
ども、この相互作用には酵素機構が関与していると一般
的には考えられる。そのような場合、介在している酵素
を希釈したり、或は反応している表面から洗い落とした
りしてはならない。
【0037】以下に記載される条件における鉱物質化合
物の培養とバイオ酸化を表2に示す菌株を使用すること
によって実施した。これらの菌株は例として挙げるもの
であって、それらに限定されるものではない。これらの
菌株のあるものはアルゼンチンの鉱床である“バジョ
デ ラ アランブレラ(Bajo de la Alu
mbrera)”及び“カンパナ マフイダ(Camp
ana Mahuida)”からの鉱物から分離したも
のであった。
【0038】
【表2】
【0039】本発明を、発明の基礎となった研究及び着
想を添付図面を参照して経時的順でここに説明する。
【0040】寒天化第一鉄培地中での増殖に関する予備
的研究 チオバチルス フェロオキシダンスはバイオ冶金におい
て最も一般的に用いられる細菌である。チオバチルス
フェロオキシダンスに似た微生物の効果的な基質とし
て、第一鉄に加えて、多数の不溶性硫黄化合物があるけ
れども、第一鉄イオンの溶解性から実験室での培養には
寒天化された(agarized)培地中でのその使用
が勧められている。
【0041】コロニーを得るために固体の寒天化培地中
でのチオバチルス フェロオキシダンスの培養は多くの
問題をもたらした。
【0042】これまでに数種の固体第一鉄培地が設計さ
れた。これらの培地は総てコロニーの増殖を支える。し
かし、そのコロニーは小さく、増殖が遅く(1〜6週
間)、そして時には再現性のない結果をもたらす。これ
らの困難は細菌の増殖速度が遅いことに起因するとされ
ている。更に、ゲル化剤として用いられる寒天、即ちア
ガロースの加水分解生成物は増殖を抑制すると思われ
る。
【0043】寒天化された第一鉄培地中でコロニーを得
ることについての諸観察によって、以下において説明さ
れる硫黄化合物に対するバイオ酸化の条件が確立され
た。
【0044】ペトリ平板を常用の第一鉄培地と0.5%
のアガロースを用いて調製し、それに菌株としてATC
C19.859、BA及びBAを接種し、30℃で
培養し、そして6〜8時間毎に立体顕微鏡法で観察し
た。約40日間増殖の徴候は認められなかった。コロニ
ーの現れた日に増殖の開始が立体顕微鏡法で観察可能と
なり、そして数時間後に直径0.5〜1mmのコロニー
が直接はっきりと観察された。細菌の増殖速度が本来的
に遅いためにコロニーを得るのに40日と言う期間を要
したとすれば、その増殖は進行性であったにちがいない
と言うことになる。
【0045】厚さに勾配がついた寒天化培養培地を得る
ために僅かに傾斜した平面に置いたペトリ平板を第一鉄
寒天化培地を用いて調製した。かくして、培養培地の厚
さは平板の一方の端で最も厚く、直径方向反対側の端で
最も薄い。図1に矢印で示されるように、平板の最も厚
い端の位置に液状接種物を保持するループで触れること
によって平板に接種した。3日目又は4日目に、図1に
示されるように、接種場所に対して直径方向反対側の最
も薄い端にコロニーが形成された。コロニーが形成され
た日以前に発育の徴候は認められなかった。図1に示し
たケースにおいて、平板の側壁に付着した培地の薄膜に
も若干のコロニーが形成された。ゲルが薄ければ薄いほ
どゲルは速く脱水されることを考慮に入れなければなら
ない。
【0046】寒天又はアガロースの濃度を変え、そして
増殖を前記の指針に従って分析して非常に多数の試験を
行った。これら試験の結論は、寒天又はアガロースは他
の細菌の場合に一般に起こるようには前記細菌の接種場
合における付着を支配しないと言うことである。
【0047】コロニー形成の必須条件は寒天化培地に対
する細胞の付着である。時が来ればあたかもそのような
付着を可能にする条件が達成されたかのごとくあらゆる
ことが起こった。
【0048】水を約95%含有する固体の寒天化培地に
おいて時間と共に自然に変化するだろうと言う条件は蒸
発により水が失われることと、その結果として成分の塩
の濃度が増加することである。
【0049】成分塩の濃度を広い勾配で変えて試験を行
ったが、コロニーの出現期間に対する有意の影響は観察
されず、また接種場所における細胞の付着に対してもい
かなる影響もなかった。あらゆることが、基質に対する
細胞の付着に要する水含量が非常に低いことを示してい
た。
【0050】等容量の培養培地を平板全面に均一に分布
して有する平板を用いた試験において、平板を層流フー
ドに付すことによって、及び/又は接種前の水の自然減
の目的から平板を30℃に保つことによって脱水度を上
げた。コロニーの出現時間に相当の増加が観察された。
溶質を生物学的浸透圧調節系に相溶し得ることが知られ
ている化学薬剤の添加を上記の戦略と組み合わせた方法
を用いると、12〜24時間でコロニーを得ることが可
能であった。表面活性剤の添加及び水の活性を低下させ
るポリエチレングリコールの添加もまた寒天化培地中で
の増殖を改善する。
【0051】図2〜6に示される通り、コロニーの形態
と大きさは問題にしている菌株、平板当たりの接種細胞
数に、そして本質的に培地の組成と水の活性を低下させ
るのに使用される方法に依存する。
【0052】しかし、得られる全てのコロニーには共通
の因子がある。即ち、それは結晶のように見える幾何形
状である。この様子は走査顕微鏡で分析したが、これに
ついては後記する。
【0053】寒天化培地において、水の蒸発による減損
は遅いことを考慮して、平板上にコロニーを速やかに形
成するために追加の方法を採用した。前の試験では、使
用した第一鉄培地(寒天化せず)の塩濃度に関して10
Xの塩溶液3cmを平板毎に分布させ、次いでそれら
平板に接種した。この場合、寒天化培地の場合よりも水
の量は少なく、その蒸発速度は速かった。平板ガラスの
表面に塩類の薄い膜が付着し、過剰の湿分の典型的な輝
きが失われると直に、コロニーが、図5に示されるよう
に、数時間で発現し、平板のガラスに付着した。
【0054】もう1度言うと、この培養形は高度に脱水
された環境では接着能を強め、高い細菌増殖速度をもた
らす。
【0055】表面を通る微生物の運動 上記の試験で細菌はかなり乾燥した寒天化培地でも平板
をくまなく運動することができることが明らかになっ
た。液状接種物で処理する場合は、培地が高度に脱水さ
れているときでも接種場所での細菌の直接付着を達成す
るのは不可能であった。
【0056】湿った硫化物及び鉱物上での微生物の運動
も、後記において議論されるように、検出された。
【0057】寒天化表面がかなり乾燥したものであって
もその表面を通る微生物の運動、及び細胞の付着とコロ
ニーの形成には高度に脱水された寒天化培地が必要とさ
れることは、いわゆる滑走細菌の特性である。それら滑
走細菌は分類学上不均一細菌類属を構成し、植物発生学
上は異なるルートから発生していると考えられている。
【0058】更に、滑走細菌の大部分又は全てにはそれ
らが共通して有する幾つかの特性がある。即ち、細胞壁
は、典型的には、グラム陰性である。多くの場合、リポ
多糖類成分が単離され、そのことが特徴となっている。
ある種の滑走細菌は粘滑性物質の分泌と関連し、液状培
地中で細胞を培養容器の壁に集め、又は接着させる。こ
れらの特性はバイオ浸出性細菌に見いだされるものと同
様である。
【0059】滑走細菌が関与している環境と代謝が表面
上での運動性の発現に有利であった。−般に、滑走細菌
は拡散しない基質を転換し、そのためそれら微生物は基
質を見い出すために動き回らなければならない。合成培
地上では、滑走は栄養分の湿度と濃度に本質的に依存す
ることが明らかにされている。
【0060】バイオ浸出能を有する微生物は鉱物質環境
中で進化し、不溶性基質は低濃度で、細かくまき散らさ
れることを考慮すべきである。表面拡大機構又は表面転
移の発現だけがそれら微生物を進化させたのである。
【0061】これらの特性は技術開発の大きなポテンシ
ャルとなる。鉱石に撒き散らされる化合物のバイオ酸化
において高い収率を達成するために、細菌の安定付着を
可能にする所要脱水条件を達成する時期に、転換される
べき各粒子は少なくとも1個の細胞と接触していなけれ
ばならないことを考慮すべきである。これが違う場合
は、続く水分添加段階及び脱水段階で細胞が運動し、広
がって新しい粒子に到達する。
【0062】世代時間の研究 前に指摘したように、これまでに実験された条件でのバ
イオ浸出プロセスの遅さは本質的に細菌の低増殖速度に
起因する。
【0063】数時間での細菌コロニーの発育は、細菌が
水活性の低い固体基質に付着するとき細菌は速やかに増
殖することをはっきり示している。
【0064】ATCC19.859、BA及びBA
の各菌株の世代時間をそれらを2つの系で比較するため
に測定した。一方は30℃で振盪した常用の第一鉄培地
であった。コロニーの発育に続いてサンプルを毎日抽出
し、そして平板中での希釈と計測によって細胞数を求め
た。
【0065】最高増殖速度に対応する指数期中に最短世
代時間が求められた。それら世代時間を液状培地中での
自由増殖に対応する世代時間として表3に示す。
【0066】他方の系は上記と同じ組成の培地における
発育に相当するが、これは0.35%のアガロースで固
化され、かつ高度に脱水されている。平均世代時間は、
各コロニーが1個の細胞に起源すると言うことを考慮し
て、また増殖の第一の徴候が、楊枝で完全に単離される
明確に明らかなコロニーが存在する時期までに立体顕微
鏡法で検出される前30分に始まる期間を発育時間とし
て取って測定した。各コロニーを、細胞を分離させるた
めに渦巻き状態にされているある測定された容量の溶液
に懸濁させた。各コロニーの細胞数を平板中で再計測す
ることによって求め、そして3つの異なるコロニーの平
均として考察した。
【0067】表3は菌株が高度に脱水された固体培地に
付着して増殖したときの平均世代時間を示す。
【0068】
【表3】
【0069】これらの結果は、最適の微生物発育は低水
活性条件に、即ちかなり乾燥した環境に対応することを
証明している。
【0070】固体生成物−細菌の関係についての走査顕
微鏡による研究 既に述べたように、試験した菌株のコロニーは共通して
アンギュラーフォーム(angular forms)
と結晶様外観を有するが、ただしそれらを液状培地に懸
濁させて顕微鏡観察すると密な細菌集団が存在する。予
想されるように、非常に低い水活性条件におけるそれら
の代謝による酸化生成物は固体状態にある。
【0071】このようなコロニーの分布と細菌−固体生
成物の関係とを調べるために顕微鏡による走査観察を行
った。
【0072】1例として、図6において矢印で示される
もののような直径約1cmの星型細菌コロニーに対して
行った観察について説明する。これらのコロニーは水含
量が前記の方法に従って低下された第一鉄の寒天化培地
から得られたものである。
【0073】図7は標準的なコロニーの模式図である。
図7では、(a)中央、(b)境界及び(c)中央−境
界間の中間ゾーンと言うコロニーの区別可能な特徴的ゾ
ーンが示されている。
【0074】(a)で示されるもののようなコロニーの
中央部は、直接観察下では、粒状外観又は崩壊状態を示
いている。対応する走査顕微鏡写真は、図8に示される
ように、砕解した立方形の小単位を示している。それら
単位の壁には図9及び10に示されるようにひどい穴が
あいている。このことは、細菌が形成した固体生成物の
中にそれら細菌が一時的に閉じ込められたままになり、
その後に細菌が固体生成物に穴をあけてその生成物を去
ることを示唆している。
【0075】(c)で表される中央−境界間ゾーンの表
面を走査して調べたところ、図11に示されるように固
体化合物だけが観察され、その固体化合物はコロニーの
平面に対して平行に配向した結晶のように見えた。しか
し、走査によって分析するために、固定する前にコロニ
ーを僅かに酸性の溶液で洗滌すれば内部の細菌を観察す
ることができ、それは、図12に示されるように、組織
化された分布を持たない。しかし、走査による観察に先
立って、このゾーンからの結晶様固体を殺菌した楊枝で
機械的に破壊すれば、図13に示されるように、細菌が
色々な平面にかつ配向した方向に分布して見える。
【0076】図7において(b)で示されるコロニーの
境界を前以ていかなる変更も導入せずに走査することに
よって分析すると結晶様物体が観察されるが、これら
は、図14及び15に示されるように、コロニーの平面
から立っており、それらの群がクラスターの形態を取っ
ているので、それら物体はゾーン(c)のものとは異な
る。この境界からの物体は全て同様の形態を有している
けれども、それらの中の相違は空気により多く暴露され
る、基部から隔たっている上端に基本的に見ることがで
きる。これら物体のあるものは上端が閉じられている
が、他のものは、図16及び17に示されるように、開
口している。これら物体のあるものは、図18に示され
るように、上端が破壊されていることを示す。
【0077】コロニーの境界で行った観察は、分析した
コロニーが得られてから24〜48時間後にその基質を
通して連絡があったと言う何んらの徴候もないのに小コ
ロニーが元のコロニーの回りに形成し始めたと言う事実
と相俟って、その現象を微生物学において“ダーティン
グ(darting)”として知られる細菌の一種の表
面転移に関連付けることを可能にする。それは1つの共
通莢膜内の細胞集合体に発生する膨張力によってつくら
れ、その結果として細胞をその集合体から押し出す。
【0078】窒素源に関係した細菌の発育 バイオ浸出性細菌はアンモニアの形の窒素を掃去する際
に極めて効率的であるけれども、浸出液中の窒素の不足
は細菌による浸出操作の効率を制限するだろう。他方、
浸出用溶液に対するアンモニアの添加は追加コストが要
ることを意味する。
【0079】窒素の固定能は窒素が与えられていない環
境中に存在しているいかなる生物にとっても重要であ
る。
【0080】少なくともチオバチルス フェロオキシダ
ンスは酸素供給の制限された条件下で大気の窒素を固定
することができ、ニトロゲナーゼ系を有すると特徴付け
られており、そしてこの系からのnif遺伝子がクロー
ンされていることが証明されている。
【0081】しかし、現場研究では野積み浸出操作での
窒素固定活性は証明されなかった。窒素を固定する生理
的条件は変化するけれども、ニトロゲナーゼ酵素は保存
され、それは通常感酸素性であるのである。nif蛋白
質は酸素によって変化を起こし易く、窒素固定に対して
応答性の系は酸素から保護されているときだけ機能する
ことが見いだされた。
【0082】ニトロゲナーゼ系を有するフリーライフ
(free life)の偏性好気性微生物の生理学は
今日まで未解決の科学分野であって、明らかに生物学的
に矛盾していることを述べている。それにもかかわら
ず、ニトロゲナーゼ系により細菌が進化していたならば
この系が効率的に機能する条件が存在しなければならな
いことが期待された。
【0083】基質として合成硫化物を用いたときに以下
において述べられる条件(低水活性によって特徴付けら
れる)下で表2に示される、対応する酸化された固体
の、細菌を含有する結晶様生成物をもたらすバイオ酸化
能を有する微生物の増殖は窒素の添加からは完全に独立
している。
【0084】窒素源、及び少量であるけれども微生物の
増殖に必要とされれ元素(例えば、燐、カリウム、マグ
ネシウム)の確証として、分析級硫酸第一鉄を効果的な
基質として使用して細菌の発育を培地の組成と関連させ
て分析した。
【0085】分析系に可能な最少量の成分を導入するた
めに、そしてゲル化剤が不純物を運んでくるだろうこと
を考慮して、平板ガラスに付着した塩の中にコロニーを
形成する方法を用いた。
【0086】各平板に次の培地のいずれかを分布させて
直径9cmの平板を調製した: (a)pH1.8に調整された分析級SOFe・7H
Oの10%溶液3mL、(b)pH1.8に調整され
た分析級SOFe・7HOの20%溶液1.5mL
プラスKCl:0.1g、KHPO:0.25g、
SO・7HO:0.25g、Ca(N
:0.01g、HO:800mLを含有する
pH1.8に調整された溶液1.5mL。
【0087】種々の菌株が同等の結果を与えた。分析級
の硫酸第一鉄だけを含有する平板ではコロニーの形成は
なかった。ある場合には、図19(a)に示されるよう
に“社会的滑走”と称される細菌の一種の表面転移の典
型的な粘性トラックが刻み込まれたままであった。この
現象は栄養欠失によって誘発されることが知られてい
る。
【0088】硫酸第一鉄の外に生活維持元素となる少量
の塩を含有する平板では、窒素源の添加はないけれど
も、図19(b)に示されるように約5mmのコロニー
が発育した。
【0089】これは高脱水条件においてはニトロゲナー
ゼ系が大気窒素の固定に効率的であることを示唆してい
る。このことについては、細菌が少なくとも一時的に閉
じ込められたままでいる固体生成物が酸素のためのニト
ロゲナーゼ系を保護すると推測することができるだろ
う。
【0090】これら細菌のフリーライフ微生物としての
特徴付けについては科学的に議論し、かつ深く研究しな
ければならない。
【0091】微生物の発育と硫化物鉱物のバイオ酸化 バイオ浸出性細菌に関して前に述べた水についての原理
を合成硫化物、天然試験体、濃厚物及び鉱石のバイオ酸
化に適用した。
【0092】秤量し、殺菌したある量の各関係基質をペ
トリ平板に入れ、全表面に均一に分布させた。その後、
基質に次の基準を考慮して硫酸溶液を用いて湿気を与え
た。硫酸溶液の最も都合のよい容量と濃度は個々のケー
スについて測定して求めた。
【0093】−考えている基質の単位質量当たりの最も
都合のよい容量は基質を全て均一、確実に酸性化する
少容量である
【0094】この容量は個々の基質の物理的、化学的特
性に依存し、そして多孔質鉱物の場合は孔を通しての酸
性化が必ず達成されるようにしなければならない。それ
にもかかわらず、この容量は続く基質の脱水に固有の時
間のロスを少なくするためにできるだけ少量でなければ
ならない。
【0095】−酸の最も都合のよい濃度は、最も都合の
よい容量において鉱物を確実に中和し、固結を防ぎ、細
菌の効率的な発育によい酸の容量を与え、そして蒸発に
よる酸の起こり得るロスを考慮に入れた酸の量である。
【0096】液状培地中での微生物の増殖についての最
適pHに関して確立された基準は、幾つかの理由からこ
こに提案される発育条件には有効でない。酸性化容量は
多くの場合液状系に与えられた酸溶液の容量より少な
い。酸濃度が同じか同等であるとすれば、酸の有効性は
この新しい系では非常に低いはずである。このような多
様な環境における細菌の代謝条件と、恐らくは細胞表面
の組成とは異なっている。また、この系が細菌の速やか
な発育に要する高脱水度に達すると、pHの概念は適用
できない。
【0097】天然試験体において、そして試験される合
成硫化物においても存在する不純物は、一般に、細菌の
増殖に必須の元素、例えば燐、カリウム、マグネシウム
等の必要とされる少量を与えるに十分であったと言わね
ばならない。それにもかかわらず、これは各基質につい
て分析しなければならない。
【0098】平板に表2に示される菌株のどれかを接種
し、続いて蒸発による酸性化中に導入された水の速やか
な減損を促進するそのような方法でインキュベートし
た。いずれの場合も、基質が乾燥外観を獲得すると、対
応するバイオ酸化された固体生成物と結びついた微生物
の発育が数時間で得られた。
【0099】限定するものではないが、異なる基質を用
いた試験についてここに記載する。
【0100】(a)殺菌された乾燥合成硫化銅の薄層を
直径9cmのペトリ平板に分布させた。次に、それを
1.5cmの殺菌された硫酸の0.1N溶液を滴下し
て酸性にした。その平板の中央に先の培養菌からの硫酸
銅結晶を0.06N硫酸溶液に溶解させることによって
調製したBA菌株の接種物10マイクロリットルを接
種した。接種物はその細菌を可能な最短時間の間液状培
地に保持するように新しい平板に接種する時期に調製し
た。それを30℃でインキュベートした。基質が乾燥外
観を獲得したとき、発育の最初の徴候が観察され、数時
間後に硫酸銅の青色結晶が得られた。それら結晶は、図
20に示されるように、0.5cm幅×1.5〜2.5
cm長であった。これら結晶はそれら自体細菌コロニー
である。
【0101】(b)(a)におけるようにして調製した
平板の中央にBA菌株の密な接種物20マイクロリッ
トルを接種し、蒸発による水の減損を促進するために平
板を中途まで開けたままにしておいて37℃で培養し
た。12時間後に、図21に示されるように、発育物が
得られた。それは湿分が存在していた間の細菌の運動能
力を証明している。
【0102】(c)前に述べたようにして調製した平板
をこれに2cmの0.06N硫酸溶液を添加すること
によって酸性にした。その平板に前に記載した通りに調
製したCRT菌株の接種物10マイクロリットルを接種
し、85℃でインキュベートした。6時間後に、発育の
最初の徴候が検出された。その2時間後に、図22に示
されるもののごとき発育物が得られた。
【0103】(d)酸性化後、脱水されたときに、−1
00メッシュに粉砕された高純度の天然黄鉄鉱試験体
(FeS)を基質として用いた。この基質は高い固結
傾向を示し、細菌の発育を妨げるものであった。それは
黄鉄鉱の重量と酸性化容量との間で1:1の比率を用い
ることによって確認された。最も都合のよい酸の濃度は
0.45Nである。かくして、殺菌した黄鉄鉱0.5g
を直径5.5cmのプラスチック平板に入れ、これに殺
菌した0.45N硫酸溶液0.5mLを加え、そして回
転運動によって酸性化された基質の薄い均一な層を得
た。この平板の中央に前の培養によって黄鉄鉱中で増殖
するようにされたCM菌株の接種物を接種した。平板
を閉じたままにして30℃でインキュベートした。これ
らの条件下で、基質が乾燥外観を獲得するのに24時間
要した。この時点で、発育の最初の徴候が観察され、1
0時間後に発育物が、図23に示されるように、得られ
た。
【0104】(e)−40メッシュに粉砕された高純度
の天然方鉛鉱試験体(PbS)を基質として用いた。殺
菌した方鉛鉱1gを直径5.5cmのプラスチック平板
に入れた。これを殺菌した0.24N硫酸溶液1mLに
より酸性化し、それに前のCuS中での培養菌からのC
菌株を接種した。それを37℃でインキュベートし
た。18〜22時間後に増殖の開始が検出された。6時
間後に結晶性外観を有するガラス様の白色物体が得られ
た。大きさは方鉛鉱粒子と同じであったが、後者の灰色
がかった色調とは対照的であった。それらは密な細菌集
団を持っていることが顕微鏡観察で確認された。
【0105】(f)(e)と同じ基質2gをガラス平板
に入れた。3.0N硫酸溶液2mLを加えた。これにC
RT菌株を接種した。それを90℃でインキュベートし
た。6時間後に発育の最初の徴候が観察された。4時間
後に(e)に記載されるものと同様の特性を有する白色
固体物体が得られた。
【0106】(g)亜鉛を56%含有する閃亜鉛鉱(Z
nS)濃厚物を基質として用いた。この基質2gを直径
9cmのプラスチック平板に入れた。これに殺菌した
0.24N硫酸溶液1.5mLを加えた。回転運動によ
って、この酸性化された基質を平板にくまなく分布させ
た。この平板の中央に前以てZnS中で増殖するように
されたATCC19.859菌株を接種し、この接種時
期に0.06N SO中に懸濁させた。平板を閉
じたままにして30℃でインキュベートした。48時間
後に発育の最初の徴候が観察され、その12時間後に図
24に示される、硫酸亜鉛の典型的な白色と関連した発
育物が得られた。
【0107】(h)(g)におけると同じようにして、
ただし接種することなく調製した平板を酸性化中に重量
減によって測定して水の90%が失われるまで30℃で
インキュベートした。その後平板に図25において矢印
で示される場所に液状接種物を接種した。12時間後に
接種場所を取り囲む領域に典型的な白色の発育物が得ら
れた。接種場所には発育は観察されず、その場所には
種物に起因してより高度の湿分が存在していた。これは
細菌が最も湿った領域から細菌が付着して基質を転換さ
せる湿分がより少ない領域に移動することを示す。
【0108】(i)(g)及び(h)において使用した
ものと同じ閃亜鉛鉱(ZnS)の濃厚物2gを有するガ
ラス平板を殺菌した0.18N硫酸溶液2mLを用いて
酸性にした。これに前のZnS中での培養菌からの、た
だし接種物を溶液中に懸濁させることに代えて、CRT
菌株を接種した。接種は太い針を用いて固体の硫酸亜鉛
を図26において矢印で示される平板の印が付けられた
端に直接移動させることによって行った。これを、湿分
が速やかに失われるのを可能にするように平板の半分を
開けて、96℃でインキュベートした。2時間後に発育
の最初の徴候が検出され、その2時間後に硫酸亜鉛の典
型的な白色に関連した発育物が、図26に示されるよう
に、接種領域に得られた。
【0109】(j)−100メッシュに粉砕された高純
度の天然輝安鉱(Sb)試験体を基質として用い
た。試験した基質の内でこの基質はその疎水性の故に最
も酸性化しずらいものであった。平板の表面に均一な酸
性化されたパルプを分布させて得るのに前の場合より多
い酸溶液容量を要した。加えて、均一なパルプを得るた
めには平板上で混合させるときに殺菌したスパチュラを
使用すべきであった。この系も高い固結傾向を有し、細
菌の発育を妨害するものであった。これは前のケースよ
りも高濃度の酸を使用する必要があることを説明するも
のである。広範囲の試験を行って最も都合のよい容量と
酸濃度を決定した。表2に示される菌株のいずれについ
ても、直径5.5cmのポリスチレン平板に0.5gの
Sbと1.5mLの0.6N酸溶液を均一に分布
させることによって最良の結果が得られた。即ち、平板
を蒸発による水の減損を可能にするために開いたままに
して30℃でインキュベートした。3〜4日後に微生物
の発育が、図27に示されるように、固体状態の潮解性
白色バイオ酸化生成物と結び付いて起こった。酸性化用
溶液の容量はサルコシル(1%)のようなテンソアクチ
ブ剤(tensoactive agent)を加える
ことによって少なくすることが可能である。この添加は
微生物の発育を更に高める。このようにして、24〜3
0時間で発育物を得ることが可能となった。
【0110】(k)乾燥、殺菌した合成硫化コバルト
(CoS)の薄層を有する直径9cmの平板を調製し
た。全ての基質を均一に酸性化するように殺菌した0.
3N硫酸溶液0.5mLを滴下して酸性化した。平板に
前の硫化コバルト中での培養からの色々な菌株を接種
し、そして30℃でインキュベートした。24時間後に
図28に示される発育物が得られた。この発育物は硫化
コバルトの典型的なピンク乃至赤の色を示した。得られ
た固体状態のバイオ酸化生成物はふるい分けによって分
離することができる。
【0111】(1)銅の濃厚物を基質として用いた。ベ
ースを100%硫化銅鉱物と見なしてこの鉱物組成物は
主要試験体が輝銅鉱(64.29%)と硫砒銅鉱(2
1.96%)であることを示す。直径9cmの各平板に
基質1gを入れた。それを0.3N硫酸溶液1mLを用
いて酸性化した。これらの平板に前の同じ濃厚物中での
培養菌からのBA及びCM菌株を接種した。それ
を、平板を開いたままにして30℃でインキュベートし
た。24時間後に、図29に示されるように、発育物が
得られた。図30は同じ発育物の写真を示すが、もっと
短い距離で撮ったものである。
【0112】(m)アルゼンチンの鉱床である“カンパ
ナ マフイダ”からの、主たる銅試験体として輝銅鉱
(CuS)を含んで成る、1/4インチに摩砕された
鉱石を試験した。この鉱石30gを直径9cmの平板に
入れた。これに0.45N硫酸溶液20mLを加えて酸
性化した。この平板に合成硫化銅中での培養菌からのC
菌株を接種した。平板を急速脱水を促進するように
開いたままにして37℃でインキュベートした。12時
間後、鉱石が乾燥外観を獲得したとき増殖が始まった。
4時間後に、乾燥した鉱石を覆って硫化物の酸化と結び
付いた細菌の発育物が得られた。図31aはバイオ酸化
に付されなかった鉱石とバイオ酸化に付された鉱石(そ
れぞれ左と右)を示す。図31bはバイオ酸化された鉱
物を示す。図32はコロニーを作ったバイオ酸化された
鉱石の更に短い距離で撮った写真を示す。
【0113】(n)輝銅鉱(CuS)を2.1%含ん
で成る、−100メッシュに粉砕された銅鉱物を基質と
して用いた。殺菌した鉱物5gを直径8.5cmのポリ
スチレン平板に入れた。これを殺菌した0.4N硫酸溶
液5mLを用いて酸性化し、そのパルプを回転運動によ
って平板にくまなく均一に分布させた。CuS中での培
養菌からのCM菌株の接種物100ミリリットルを滴
下によって分布させ、接種された基質を37℃でインキ
ュベートした。48時間後、そして基質が乾燥外観を獲
得したとき、平板のより脱水された端に突出物のように
見える発育物が現れ始めた。12時間後に、図33に示
される通りの発育物が得られた。これは青色の小さい結
晶に関係した鉱物層の不規則物によって特徴付けられる
ものであった。
【0114】(o)(n)に示したものと同じ組成を持
つ平板を用いたが、平板をインキュベートし、僅かに傾
斜した平面上で調整した。そのためパルプは1端でそれ
とは直径方向反対側の端より薄くなった。パルプに図3
4において矢印で示されるより厚い端に接種した。即
ち、パルプに(n)で述べた同じ接種物20マイクロリ
ットルを接種した。これを37℃でインキュベートし
た。予想通り、薄い端がまず脱水された。26時間後に
発育の最初の徴候とその薄い端での微生物による転換が
検出され、そして6時間後に図34に示される発育物が
得られた。
【0115】数日後、酸性化において加えられた湿分に
関して平板が完全に脱水されたとき、平板の残部には発
育の徴候は認められなっかた。このことは過剰の湿分が
存在している間は細菌が基質を通り、奇妙にも通路の中
を、そして負の湿分等級と結び付いて移動し、最初に脱
水された領域に安定な付着を生むことを示している。
【0116】バイオ浸出性微生物の生理学に関する最も
適切な結論 これら微生物の生理学に関する知識は生物学的酸化法を
それら方法を強化する目的で最適化すると言う特定の課
題を解決することを可能にする。
【0117】種々の細菌種による、また同じ種の異なる
菌株による基質の酸化活性は変化可能で、それはそれら
の存在の前歴によって決まるけれども、効率的な生物学
的酸化、例えば安定な基質−細胞の付着及び硫化物鉱物
の格子の破壊のために達成されなければならない前記の
機構は同様の条件によって支配される。
【0118】前記の試験から次のことが導かれる:
【0119】(1)これらの細菌は低水含量の鉱物質環
境又は少なくとも液体系に浸漬されない鉱物質環境で進
化している。鉱物に含まれる水及び環境湿分はそれらの
発育に十分である。
【0120】(2)固体の不溶性基質の生物学的酸化は
接着機構による基質−細胞の相互作用を意味する。安定
な接着は基質の急速転換と、従ってまた高い細菌増殖速
度とを可能にする。過剰の水はそのような接着を妨げる
か、又は困難にする。
【0121】(3)硫化物鉱物の格子の破壊に関与する
酵素系が存在する場合、そのような酵素を希釈したり、
反応している表面から洗い流すべきではない。
【0122】(4)低水活性の条件では、微生物による
代謝が活性化され、世代時間を相当に短縮し、従って高
い基質酸化速度に結び付いた高い微生物増殖速度をもた
らす。
【0123】(5)このような条件下で、微生物は増殖
し、少なくとも一時的に固体の結晶様バイオ酸化生成物
の中に閉じ込められたままになっている。
【0124】(6)少なくとも試験された微生物の菌株
は高脱水培地中で増殖するとき、窒素源の添加を必要と
しない。これは大気窒素の効率的固定が存在することを
示唆している。
【0125】(7)微生物のほとんどは水の応力(wa
ter stress)度を処理する機構を持っている
が、低水活性度(a)の環境中で微生物が十分に増殖
するのを可能にするように生理的に適応して進化したも
のは比較的少ない。これらの微生物を述べるのに多くの
用語が用いられた。即ち、好塩性、好濃性、オスモトレ
ラント性(osmotolerant)、キセロフィテ
ィック性(xerophytic)、キセロフィリック
性(xerophilic)等である。これらの用語の
内、キセロフィリック性(ギリシャ語の“乾燥を好む
(dry−loving)”から)が多分本発明で試験
した微生物を記述する最も適切な用語である。
【0126】これらの細菌が従来そのような条件の枠組
みの中で分析されなかったことは、これらの細菌が進化
して、自然には通常見い出されない、水の多い環境で懸
濁されている鉱物(鉱物は乾燥して、又は脱水されて見
えるけれども、それらはある割合の、少なくとも環境の
湿分と平衡している水を含有している)を転換すると言
うことを考えることなく、生活の唯一の方法が大量の水
を伴う系にあると言う先入観の下で、鉱山の酸排水から
出発してそれら細菌を分離すると言う方法にその原因が
ある。
【0127】本発明者の経験では、明らかに脱水されて
いる鉱物の試料は、特に空気に露出されている表面に細
菌に富むフローラを有するが、それらは価値のある細胞
である。
【0128】バイオ湿式冶金に含まれる旧来の方法とこ
こに記載される微生物によるバイオ酸化条件との間の水
に関する基本的に相反している関係を考慮して、“バイ
オ湿式冶金”と言う用語を提案することができる。
【0129】これら原理の技術的適用から導かれる利点 本発明の原理の適用で得られる利点は次の諸点を考慮す
れば明らかであろう。即ち、
【0130】−ここに開発されるまでは、今までのバイ
オ湿式冶金における系、即ちタンク浸出、現場浸出、廃
棄ダンプ浸出及び野積み浸出のいずれの下でも微生物フ
ローラは水性環境中で発育するように強制されている。
このような条件では、微生物の増殖速度及び基質のバイ
オ酸化速度は制限される。これらは数カ月と言うオーダ
ーの長い処理期間を伴うもので、技術的、経済的障壁に
なっている。本発明者が述べる原理の適用によって、数
日の期間で同等の抽出収率を達成することが可能とな
る。微生物が発育し、数時間で基質を転換させると言う
ことを考慮すると、総処理時間の決定パラメーターは各
系における脱水速度、及び酸性化と適正な接種に用いら
れる、系に可能な最少量の水を配合する方法である。
【0131】−相当に短い処理時間は、同等の生産につ
いて処理容量がはるかに少なくてよく、結局資本投資が
節約されるだろうことを意味する。
【0132】−少量の処理容量の管理は正確に制御され
た系を操作する可能性を開く。
【0133】−旧来の系には重要なエネルギーコストが
要る。パルプはタンク又は反応器中で連続的に振盪及び
空気混和されねばならない。他方、鉱物は酸浸出用溶液
のパーコレーションに付されるが、これにもエネルギー
コストと資本コストが付随する。これらのコストは所要
の長い処理期間にとっては非常に重要になる。速い方法
は運転コストがより少ないことを意味する。
【0134】本発明の最も都合のよい実施形態 鉱石又は濃厚物を中和し、それらの固結を防ぎ、そして
微生物の発育にとって十分は環境を提供するために、各
系について最も都合のよい容量と酸濃度を前記の基準に
従って決定しなければならない。
【0135】一旦基質が酸性化され、接種されたら、過
剰の水の減損を脱湿機によって誘発される自然蒸発か、
又は鉱石若しくは濃厚物を通して空気を流通させるかの
いずれかによって起こさなければならない。
【0136】微生物の作用によって酸化されるべき基質
は一般に小粒子として撒き散らされる鉱石に見い出され
る。各粒子の転換には少なくとも1個の細胞の付着が必
要とされる。粒子が都合のよい脱水レベルに達した時点
で上記条件を満足する粒子が数時間で転換されて可溶性
の固体生成物に変わり、それは同時に微生物のコロニー
を構成する。それに続く段階で鉱石が湿化されて既に形
成された固体生成物を少なくとも部分的に溶解すると、
細菌が放出され、そして湿った条件下でそれら細菌は他
の何んらかの手段で新しい基質粒子に滑走する、即ち到
達することができる。
【0137】期待する抽出率を達成するために、前の操
作は必要とされる通りに何回でも繰り返すことができる
が、これは個々の粒子系の特性、即ち基質が鉱石である
かそれとも濃厚物であるかに依存する。
【0138】最後に、バイオ酸化された固体生成物は洗
滌によって、又は濃厚物をバイオ酸化に付す場合は他の
方法、例えばふるい分けによって分離しなければならな
い。可溶化を用いる場合、洗滌溶液のpHは伴われる酸
化された化合物の溶解度に依存する。
【0139】金属の溶解も間接的に起こる可能性がある
こと、即ち微生物による酸化の結果生ずる第二鉄は硫化
物と化学的に反応してそれら硫化物を可溶性形態に酸化
する可能性があることを考慮して、直接法で最終的に抽
出率を高めるのを可能にするために鉱物とある一定時間
接触している洗滌溶液をある一定時間保持することが都
合がよいかどうかは個々のケースについて分析して決め
なければならない。
【0140】金属のバイオ浸出法の場合、洗滌溶液が関
心の対象である生成物を有しているが、それに対して固
体は残留物を組成する。微生物による精製法の場合、例
えば石炭の脱硫又は貴金属の精製の場合は、洗滌溶液が
残留物を有し、一方固体は関心の対象である生成物を組
成する。
【0141】
【実施例】本発明の性能を次の実施例により証明する。
ただし、これらの実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0142】実施例1及び2は金属化合物の液状培地に
おける、低水含量条件での酸化の生物学的活性の定量的
差異を例証するものである。
【0143】実施例3は鉱石に対する本発明の適用を説
明するものである。
【0144】実施例1 Fe43.5%、硫黄49.67%及び不純物6.83
%を含有する高純度の、−100メッシュに粉砕され、
連続3日間スチームを流すことによって殺菌された天然
の黄鉄鉱試験体(FeS)を基質として用いた。
【0145】前以て黄鉄鉱中で増殖するようにされたC
菌株に相当する接種物を用いた。いずれの場合も、
対応する殺菌された対照についても同時に実施した。
【0146】生物学的酸化をアンモニアが添加され又は
添加されない常用の液体系で、及び本発明の原理による
低水含量の系で試験した。
【0147】生物学的活性は可溶性の鉄を吸光分光分析
法で測定することによって求めた。細胞数は寒天化第一
鉄培地中の平板を再計測することによって求めた。
【0148】液状培地において、試験は黄鉄鉱5g及び
硫酸溶液95mLが入っている、硫酸アンモニア0.3
gが添加され又は添加されない、pH=1.7に調整さ
れた300mLのエルレンマイヤー中で行った。それに
細胞を2×10個/mL含有するCM菌株の培養菌
を接種した。殺菌された対照においては、100mLの
硫酸溶液を95mLの代わりに加えた。エルレンマイヤ
ーを振盪器中、30℃でインキュベートした。
【0149】鉄の可溶化の動力学を、浸出用溶液から採
取した既知少量中の可溶性鉄の濃度を周期的に測定する
ことによって追跡した。
【0150】鉄の抽出速度は生物学的に溶解された総鉄
量を時間の関数として表し、この値を系中の各接種細胞
に対して関係付けるプロットの直線部分から見積もっ
た。
【0151】鉄の可溶化速度は時間当たり及び接種細胞
当たりの可溶化された鉄のミリグラム数として表した。
アンモニア窒素を用いた試験において、この値は1.6
8×10−9mg/時・細胞であった。アンモニア窒素
を用いない試験では、殺菌された対照に対して相違は基
本的に無かった。
【0152】脱水された固体培地については、最も都合
のよい容量と酸濃度を前以て決定しておいた。最良容量
は黄鉄鉱のグラム数としての重量のミリリットルとして
の酸溶液容量に対する比率として1:1比に相当するも
のである。最も都合のよい酸濃度は0.45Nであっ
た。
【0153】可溶性鉄の動力学を追跡するために、直径
5.5cmのポリスチレン平板を用いた。各平板は黄鉄
鉱0.5g及び0.45N硫酸溶液0.5マイクロリッ
トルを含有していた。回転運動によって表面全面に薄い
膜が広がった。各平板に0.06N硫酸溶液20マイク
ロリットル中に含まれるCM菌株の細胞360個を接
種した。細胞数は寒天化第一鉄培地の平板中コロニー数
を計測することによって測定した。これは黄鉄鋼平板中
に計測することができるコロニー数と誤差±7%で一致
した。最高発育に達した後のこれら平板は図23に示さ
れるものと同様の外観のものであった。殺菌された0.
06N硫酸溶液20マイクロリットルを対応する殺菌さ
れた対照に添加した。平板は全て30℃でインキュベー
トした。
【0154】周期的に、1個の殺菌され、接種された平
板を吸光分光分析法による可溶性鉄の測定に付した。生
物学的酸化によって可溶化された鉄を時間の関数として
プロットした。
【0155】22時間後、平板が乾燥した外観を獲得し
たとき、生物学的酸化が開始された。26時間から出発
して8時間にわたって最高の生物学的酸化速度が得られ
た。それは8.79×10−4mg/時・細胞であっ
た。
【0156】この値をアンモニアを有する液状培地から
得られた値と比較すると、5のオーダーの大きさの差が
ある。
【0157】実施例2 基質として合成CuSを用いた。これにBA菌株を接
種した。
【0158】実施例1におけると調度同じようにして、
常用の液状培地中での、アンモニア集合体を用い又は用
いずに生物学的酸化、及び既に記載した基準に従って脱
水された固体培地中での生物学的酸化を行った。いずれ
の場合も、対応する殺菌された対照についても同時に行
った。吸光分光分析法で可溶性銅を測定した。各場合に
おいて、生物学的酸化は接種された系と対応する殺菌さ
れた対照との間の可溶化された銅の差として求めた。
【0159】液状培地中での浸出はCuS5g及び硫酸
溶液95mLが入っている、硫酸アンモニア0.3gが
添加され又は添加されないエルレンマイヤー中で行っ
た。硫酸溶液のpHは2に調整した。それに細胞を2×
10個/mL含有するBA菌株の活性培養菌5mL
を接種した。殺菌された対照において、酸溶液は95m
Lの代わりに100mL加えた。エルレンマイヤーを振
盪器中、30℃においてインキュベートした。
【0160】銅の可溶化の動力学を、浸出用溶液から採
取した既知少量中の可溶性銅を周期的に測定することに
よって追跡した。生物学的に溶解された銅を時間の関数
として表したプロットの直線部分に相当する銅の生物学
的可溶化の速度を測定した。これを時間当たり及び接種
細胞当たりの可溶化された銅のミリグラム数で表した。
アンモニア窒素を用いた試験において、この値は5.1
×10−9mg/時・細胞であった。アンモニア窒素を
用いない試験では、殺菌された対照に対して相違は基本
的に無かった。
【0161】脱水された固体培地における試験ついて
は、直径9cmの平板をその各々に2gのCuS及び2
mLのHOを加えることによって調製した。パルプを
形成し、そして回転運動によってそれを平板の全表面を
覆って均一に分布させた。平板を層流フラックスフード
の中で恒量が達成されるまで乾燥した。各平板に殺菌さ
れた0.3N硫酸溶液0.5mLを均一に酸性化するよ
うに1滴ずつ添加、分布させた。各平板に0.06N硫
酸溶液20マイクロリットル中に含まれるBA菌株の
細胞約40個を接種した。この接種物に含まれる細胞数
(細胞2,000個/mL)を第一鉄寒天化培地中の平
板中コロニー数を計測することによって求めた。これは
発育終点でCuSを有する平板中で得られたコロニー数
と誤差±8%で一致した。
【0162】殺菌された対照に殺菌された0.06N酸
溶液20マイクロリットルを添加した。平板は全て30
℃でインキュベートした。
【0163】殺菌された平板からの及び接種された平板
からの可溶性銅を周期的に分析した。18時間後、平板
が乾燥した外観を有するようになったとき、生物学的酸
化が開始され、8時間中殆ど一定速度で続いた。この段
階の終点で固体の結晶様硫酸銅によって構成されるコロ
ニーの大きさで表して最大発育が達成された。
【0164】この期間中の時間当たり及び接種された細
胞当たりの可溶化銅として表される生物学的酸化速度は
0.319mg/時・細胞であった。この値は液状培地
から得られる対応する値と比較すべきである。
【0165】注釈:固体の結晶様生成物によって構成さ
れる細菌コロニーを溶液中に懸濁させとき、また細菌コ
ロニーを渦巻きに付し、次いで顕微鏡で調べるときも、
図35の模式図に示されるものに似た形態を観察するこ
とが可能である。小さい可動性細胞、中間の及び非常に
長い非可動性細胞、及び出現する細胞群は非常に細いフ
ィラメントによって互いに似ていた。この結果、接種物
中に存在する細胞数を平板中のコロニー数を計測するこ
とによって測定する時点では、各コロニーが1個の細胞
にその起源があるのか、細胞群にその起源があるのか不
確かである。それにもかかわらず、対応する液状培地と
固体培地中の適用接種物が同じ起源を有し、同じように
して処理されていることを考慮すると、細胞の接種に関
係した生物学的活性度値は絶対値とは見なされるべきで
はないけれども、比較の目的には有効である。
【0166】実施例3 本発明の原理を適用することによる銅の抽出率とそれを
達成する必要時間を測定するために、銅鉱石のバイオ酸
化を試験した。
【0167】鉱石の特性 a.化学的特性
【0168】
【表4】 総銅 1.25% 可溶性銅 0.15% 総鉄 2.66% 総硫黄 1.78% 不溶性物質 78.50%
【0169】b.鉱物学的特性 鉱物学的分析の結果得られる主たる鉱物種を以下に示
す。各鉱物種の百分率は鉱石を100%として表され
る。
【0170】
【表5】
【0171】主たる銅試験体は輝銅鉱であり、黄銅鉱、
銅藍及び斑銅鉱が重要さの順序で後に続くことが分か
る。
【0172】c.グラニュロメトリー分析 1/4インチに摩砕された鉱物をタイラー(Tyle
r)系列の#4、#8、#16、#40、#65及び#
100スクリーンを使用するグラニュロメトリー分析に
付した。グラニュロメトリー分布を以下に示す:
【0173】
【表6】
【0174】d.自然湿度の測定 恒量が達成されるまでの100℃における鉱物の重量減
により自然湿度を測定した。
【0175】e.酸消費試験 標準試験法で鉱石の硫酸消費量を測定した。この値は鉱
物のキログラムで9.9gの酸に相当する。
【0176】試験:トレー上でのバイオ酸化 35×45cmのステンレス鋼製トレー上で2つの平行
テストを行った。各トレーに1kgの鉱物を装填し、そ
れを以下に示すように処理した。
【0177】試験は脱湿機が入っているシールしたドア
を備える密閉した部屋の中で行った。脱湿機で凝縮され
た水をホースで外に排水した。かくして、鉱物の脱水が
促進された。
【0178】部屋の温度は試験中28〜32℃に保持し
た。
【0179】各トレーに均一に分布された鉱物を酸消費
試験で測定された酸量、即ち9.9gの硫酸を含有する
溶液800mLで酸性化した。
【0180】各々のトレーにCM菌株の接種物10m
Lを接種した。接種物はこの菌株の硫化亜鉛中培養菌に
対応する白色の硫酸亜鉛発育物を0.06N硫酸溶液に
懸濁させることによって調製した。接種物は接種時期に
調製し、それをトレー全面に滴下することによって均一
に分布させた。トレーを前記の条件下でインキュベート
した。
【0181】26時間後、鉱物は乾燥外観と小さい淡青
色の結晶に関連した強い細菌の発育を与えた。それは、
基本的には、鉱物の表面と、空気により多く露出された
鉱物の区域とに観察された。前に示したように、これら
微生物はより速やかに脱水される領域の方に移動する。
【0182】この段階の終点で、及び次の諸段階の各々
の終点で、各トレーから鉱物30gの試料を吸光分光分
析法により可溶性銅を分析するために採取した。それら
試料はスプーンで採取した。その採取は代表的試料を得
るために鉱物の厚さを通してできた層を総て含むように
試みた。
【0183】続いて、3段階の湿化と脱水を行った。各
段階で加えられた酸溶液はスプリンクラーにより均一に
分布させた。
【0184】最後に、鉱物を6時間にわたってその溶液
と接触させておいて洗滌し、最終的に銅回収を間接的に
増加させるようにした。濾過された上澄み液の中の可溶
性銅を測定し、最終的な抽出率を計算した。
【0185】表7は各段階における操作条件と所要時間
に関する関係情報を、また2つのトレーについて各段階
から得られた銅の抽出率を示す。
【0186】表7はまた鉱物のkg当たりの各段階で添
加された酸溶液の容量と酸の量を示す。実際には、それ
は前以て除去され鉱物試料を考慮して残留鉱物の実際の
量に対応する酸の比例量で添加されたものである。
【0187】表7に示した条件下で操作すると、約3日
で66〜68%の銅抽出率を達成することが可能である
ことが分かる。同様の規模で操作する常用の系によれ
ば、同等の抽出率に到達するのに要する必要時間は70
〜90日の範囲であることが知られている。
【0188】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は寒天化第一鉄の培地を持つ平板の脱水さ
れたもっとも薄い端にあるコロニーを示す写真図であっ
て、矢印は接種場所を示す。
【図2】図2は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図3】図3は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図4】図4は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図5】図5は平板のガラス上の塩付着物中に得られた
コロニーを示す写真図であって、塩は濃縮された3cm
の第一鉄の液状培地(ゲル化剤なし)の脱水に由来す
るものである。
【図6】図6は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図7】図7は図6において矢印で示されるコロニーと
同様の星型コロニーを示す模式図であって、(a)は中
央を、(b)は境界を、(c)は中央と境界の中間ゾー
ンをそれぞれ示す。
【図8】図8は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
図である。
【図9】図9は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
図である。
【図10】図10は図7の模式図の(a)で示されるコ
ロニーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図11】図11は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真図である。
【図12】は図7の模式図の(c)で示されるコロニー
の中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図13】図13は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真図である。
【図14】図14は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図15】は図7の模式図の(b)で示されるコロニー
の境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真図
である。
【図16】は図7の模式図の(b)で示されるコロニー
の境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真図
である。
【図17】図は図7の模式図の(b)で示されるコロニ
ーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
図である。分の、
【図18】鏡で得られた写真図である。は図7の模式図
の(b)で示されるコロニーの境界に相当する部分の、
走査顕微鏡で得られた写真図である。
【図19】図19aは“社会的滑走”と呼ばれる細菌の
表面転移機構(この機構によって細菌が群として移動す
る)の、平板ガラス上に付着した分析級硫酸第一鉄のフ
イルムの中に生成した典型的な軌条、即ちトラックを示
す写真図であり、図19bは硫酸第一鉄に加えて細菌の
発育に必要とされる他の塩を含有する塩類のフイルムの
中に得られたコロニーを示す写真図である。
【図20】図20は30℃でインキュベートされた、B
菌株を接種することによって、酸性化された合成C
uSの中に得られた結晶性外観を持つ青色のコロニーを
示す写真図である。
【図21】図21は酸性化された合成CuSを持つ平板
の中の、平板中央にBA菌株の濃縮懸濁液を接種し、
平板を半分開いた状態にして37℃で培養することによ
って得られた、淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物
を示す写真図である。
【図22】図22は85℃でインキュベートされたCR
T菌株が接種された、酸性化合成CuSを持つ平板の中
の淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物を示す写真図
である。
【図23】図23は基質として−100メッシュに粉砕
された高純度の天然黄鉄鉱試験体を用いることによって
得られた可溶性鉄化合物に結び付いた、30℃でインキ
ュベートされたCM菌株のコロニーを示す写真図であ
る。
【図24】図24は基質として酸性化閃亜鉛鉱濃厚物を
用いることによって得られた白色の硫酸亜鉛と結び付い
た、ATCC 19.859菌株が接種され、30℃で
インキュベートされた細菌の発育物を示す写真図であ
る。
【図25】図25は図24の平板と同じようにして調製
された、酸性化中に加えられた水の90%が失われるま
で脱水され、矢印で示される場所に液状接種物が接種さ
れた平板を示す写真図である。
【図26】図26は矢印で示される接種場所における、
硫酸亜鉛に結び付いた、固体培養菌からCRT菌株が接
種され、平板を中程まで開けたままにして96℃でイン
キュベートされた細菌の発育物を示す写真図である。
【図27】図27は基質として天然Sb試験体を
使用し、30℃でインキュベートされたBA菌株の発
育物を示す写真図である。
【図28】図28a〜dは酸性化された合成硫化コバル
ト(CoS)に色々な菌株を接種することによって得ら
れた赤色コロニーを示す写真図である。
【図29】図29a〜bは銅の主試験体として輝銅鉱
(CuS)及び硫砒銅鉱(3CuS・As
を含んで成る酸性化された濃厚物中にBA菌株及びC
菌株を接種し、平板を開いたままにしておいて30
℃でインキュベートすることによって得られた淡青色の
コロニーを示す写真図である。
【図30】図30a〜bは図29に示される同じ平板か
らもっと短い距離で撮った写真図である。
【図31】図31aは銅の主試験体としてバイオ酸化に
付されていない輝銅鉱(CuS)(左)と、平板を開
いたままにして37℃において16時間インキュベート
された、CM菌株によるバイオ酸化に付された輝銅鉱
(右)から成る1/4インチに摩砕された鉱石を示す写
真図であり、図31bはバイオ酸化に付されたその鉱石
を示す写真図である。
【図32】図32a〜bはもっと短い距離で撮った、図
31のコロニー化され、バイオ酸化された同じ鉱石を示
す写真図である。
【図33】図33は−100メッシュに粉砕され、かつ
酸性化された、2.1%の輝銅鉱を含有する銅鉱物中
の、37℃でインキュベートされたCM菌株の発育物
を示す写真図である。
【図34】図34は平板領域中での、始めに脱水された
CM菌株の発育物を示す写真図あって、矢印は接種場
所を示し、基質は図33の基質と同じであった。
【図35】図35は細菌コロニーの液状培地中懸濁液か
ら得られた顕微鏡による観察結果の模式図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年12月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 鉱石又は濃厚物中の鉱物質化合物をバ
イオ酸化により可溶化及び分離するバイオ冶金法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】本発明は鉱石又は濃厚物に含まれ、微生物
の基質を構成する鉱物質化合物をバイオ酸化してそれら
を可溶化及び分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】序論 金属のバイオテクノロジーは微生物又はそれらの代謝産
物の標準圧力及び5〜90℃における作用によって鉱
物、濃厚物、岩石及び溶液から金属を抽出する科学のこ
とである。その技術開発領域の1つはバイオ冶金で、そ
れは硫化物鉱物、元素硫黄、第一鉄及び多数の還元金属
の好酸性微生物による酸化、それらの可溶性で容易に分
離可能な化合物への転化に関する。この技術を最適化す
ると通常の抽出冶金法との競争に有利になる可能性があ
る。
【0003】細菌による浸出によって次の硫化物類を酸
化することが可能であることが証明されている:黄鉄鉱
及び白鉄鉱(FeS)、磁硫鉄鉱(FeS)、黄銅鉱
(CuFeS)、斑銅鉱(CuFeS)、銅藍
(CuS)、輝銅鉱(CuS)、四面銅鉱(Cu
)、硫砒銅鉱(3CuS・As)、輝
水鉛鉱(MoS)、閃亜鉛鉱(ZnS)、硫砒鉄鉱
(FeAsS)、鶏冠石(AsS)、雄黄(As
)、輝コバルト鉱(CoAsS)、硫鉄ニッケル
鉱〔(Fe,Ni)〕、紫ニッケル鉱(Ni
eS)、黄鉄ニッケル鉱〔(NiFe)S〕、針ニ
ッケル鉱(NiS)、ポリジマイト(Ni)、輝
安鉱(Sb)、鉄閃亜鉛鉱(ZnS)、方鉛鉱
(PbS)、硫安鉛鉱〔(Pb(Sb,As
,Ga及びとりわけCuSe〕。
【0004】微生物種が不溶性の硫化物鉱物を直接、間
接のいずれかで酸化して可溶性の硫酸塩にすることは公
知である。直接酸化の場合、活動している微生物の酵素
系によって硫化物鉱物物質の結晶構造の破壊が起こされ
る。硫化物鉱物の間接酸化は第二鉄イオン(Fe3+
の作用によるもので、その第二鉄イオンは第一鉄及び鉄
を含有する硫化物鉱物物質の細菌酸化生成物である。
【0005】黄鉄鉱の生物学的酸化の化学を最も可能性
のある反応で解析すると、次の通りである:
【化1】
【0006】上記の反応は黄鉄鉱の直接細菌酸化を説明
するものである、得られる硫酸第二鉄は次の通り順次黄
鉄鉱を酸化し、硫酸第一鉄と元素硫黄を形成する:
【化2】
【0007】第一鉄と硫黄とは次のように細菌酸化され
る:
【化3】
【0008】輝銅鉱の場合(CuS)、第一銅イオン
(Cu1+)とスルフィド(S2−)が微生物の酵素系
によってそれぞれCu2+、S ,SO に酸化さ
れる。
【0009】同様の機構で広範囲の硫化物鉱物の細菌酸
化が可能である。
【0010】チオバチルス フェロオキシダンス(Th
iobacillus ferrooxidans)及
び関連細菌が第一ウランイオンを次の反応式:
【化4】 に従って酸化する。
【0011】ウラン浸出における主要な役割は第二鉄イ
オンによって果たされる。Fe3+がU4+を次のよう
に、硫酸溶液中で可溶化されるU6+に酸化する:
【化5】
【0012】細菌はFe3+をFe2+又はFeS
酸化によって再生する。
【0013】上記と同様の反応によって広範囲の鉱物質
化合物を酸化することができる。バイオ湿式冶金におけ
る最も重要な微生物を表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1に示したように、バイオ湿式冶金法の
主たる適用領域は金属の浸出、石炭の脱硫及び貴金属の
精製である。これらの適用領域について以下で簡単に説
明する。
【0016】金属の浸出 現在、金属の微生物による浸出は色々な方法で行われて
いる。これらの方法は関係する鉱物の規模と特性に依存
する。
【0017】微生物による現場浸出はカットオフ等級以
上からいわゆる基準以下又はミリング以下(submi
lling)の等級までの範囲の等級を持つ粗鉱から金
属有価物の溶解を微生物学的に高めることにある特別化
された地下抽出系と考えることができる。浸出溶液が岩
石塊に注入され、それを通してパーコレートする。所望
とされる金属有価物の溶解が達成されたとき、溶液が集
められ、金属回収プラントに給送される。
【0018】微生物によるダンプ浸出は、貧鉱石、通常
は露天堀り操作の等級が基準以下のオーバーバーデン、
即ち等級がカットオフ以下の岩石を含有する鉱石体の1
部であって、鉱化作用のより富んだ部分に近付くのを可
能にするために除去されなければならない部分から金属
有価物を回収するのに採用される“金属掃去”法と定義
することができる。これらの岩石は露天堀り付近の場所
にダンプとして集積される。ダンプの頂部に微生物を含
有する浸出溶液を流す。これらの溶液は破砕された岩石
塊を通してパーコレートし、金属有価物を可溶化する。
満たされた溶液はダンプの底から流出し、最後に池に集
められ、次いで金属回収プラントに給送される。
【0019】微生物による野積み浸出、即ちヒープ浸出
は、粉砕された鉱石を適切に用意した領域に規則的な層
として積み重ねる方法である。ヒープ、即ち積み重ねら
れた粉砕鉱石の山は切頭ピラミッド形となっている。大
きさのコントロールはヒープの高さで行い、これは鉱物
のグラジュエーション(graduation)、即ち
等級に関係する。ヒープの頂上部分に微生物を含有する
浸出溶液を流し、鉱物を通して連続的にパーコレートす
る。
【0020】微生物によるタンク浸出は、一旦微生物が
接種された鉱物と浸出用溶液によって形成されたパルプ
を攪拌し、そしてサーモスタット付きの系の中で空気混
和するパーチュカタンク(Pachuca tan
k)、反応器又はコンディショニングタンクの中で鉱石
及び濃厚物から金属を浸出する方法である。
【0021】バイオテクノロジーの実施において、所定
のパルプ塊中に含まれる液体対固体塊の比率として表さ
れるパルプの希釈度は4〜10の範囲である。
【0022】これまでに開発され、実施されてきた色々
な浸出法がたとえはっきりした特徴を持つものであって
も、全ての方法に、微生物を水性環境に閉じ込めるよう
にして鉱石又は濃厚物を懸濁し、溢れさせ及び/又は水
性溶液によるパーコレーションに付す、と言う共通の特
徴があることを指摘しなければならない。
【0023】石炭の脱硫 石炭は元素硫黄を色々な量で、そして主として黄鉄鉱形
(FeS)として含有する。石炭の燃焼は存在してい
る硫黄をSOに転化させ、これが大気を汚染し、植
物、動物及び人間の健康を損ねると言う結果をもたらす
酸性雨の原因となる。石炭が大規模に燃焼される地域の
大気中二酸化硫黄を適切なレベルに保つために、一般的
には総硫黄含量が1〜1.5%以下の低硫黄石炭を利用
すべきである。
【0024】石炭鉱山の酸排水からのチオバチルス フ
ェロオキシダンスの分離は硫黄及び黄鉄鉱鉱物の酸化に
よって石炭を脱硫するチオバチルス フェロオキシダン
スの潜在能に起因して関心を呼んだ。
【0025】石炭からの硫黄化合物の微生物による浸出
は同様の指針に沿って、及び金属の微生物による浸出に
ついて説かれた基準の下で、即ち微生物は水性環境中で
作用しなければならない、と言う基準の下で実施されて
きた。
【0026】数種の微生物が常法による石炭の脱硫にお
いて有効であることが分かった。しかし、この方法は微
生物の活性が低い結果、本質的に、必要とされる処理時
間が長く、しかも処理容量が大きいことに起因してその
ような条件下では工業的規模で実施することはできな
い。
【0027】硫化物鉱物の遊離による貴金属の精製 黄鉄鉱、硫砒鉄鉱及び微分散された金を含有する濃厚物
をシアン化に先立ってバイオ浸出に付すと硫化物鉱物の
大部分が溶解され、次のシアン化で金の収率が実質的に
増加することが明らかにされた。
【0028】バイオ冶金技術の最適化についての考察 この技術は従来の抽出冶金法を凌駕するその潜在的利
点、即ち: −低エネルギー消費、 −低い化学試剤の消費、 −低投資コスト、 −環境を汚染しないクリーンな方法であること、及び −低品位鉱床の経済的利用を可能にすること の故に世界的な関心を呼び起こした。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在の開発状
態では、この技術の適用は許容できる回収率を達成する
ために数カ月から数年の長い処理時間を必要とする。そ
の浸出速度は遅いが、これは介在している細菌の増殖速
度が遅いことに原因がある。
【0030】処理時間はそれ自体工業的適用の目的に対
して著しい技術的−経済的障壁をなしている。また、低
浸出速度は大量の鉱物を用いて操作することを必要とす
るが、このことは一般に気候の変動に支配されて系の精
密な制御を妨げ、系が変動し、かつ調子を乱し、結果と
して処理時間を変動させ、予測不能にしてしまう。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記の技術的課題の解決
に適用される、金属化合物の酸化に関係する微生物の生
理学的特性、増殖条件及び発育に関する研究は本発明の
基礎となる原理を包含する重要な研究領域を構成する。
【0032】発明の記述 序論 本発明は鉱石又は濃厚物に含有され、微生物の基質を構
成する鉱物質化合物をバイオ酸化してそれら化合物の可
溶化及び分離を可能にするバイオ冶金法に関する。更に
詳しくは、本発明は鉱物質化合物の微生物による酸化速
度を相当に増加させる方法に関する。本発明の方法の本
質的原理は水に対するバイオ浸出性細菌の挙動の発見に
基づく。
【0033】本発明の方法は次の: (a)鉱石又は濃厚物を中和し、固結を防ぎ、且つ微生
物にとって適正な酸性度となすために最も都合がよいと
前以て決定された量であって、好ましくは可能な最低容
量の溶液に含有されるそのような量の酸を用いて鉱石又
は濃厚物をコンディショニングするか、又は可能な最低
量の水を系に導入しつつ基質を均一に酸性化するように
鉱石又は濃厚物を酸蒸気と接触させる工程; (b)工程(a)と同時か若しくは工程(a)とは独立
に、関心の対象になっている鉱物質化合物を酸化するこ
とができる、又は鉱石自体の微生物フローラを富化させ
ることができる微生物の接種物を加える工程; (c)熱力学的に利用可能な水が微生物のコロニーを順
次構成することになるバイオ酸化生成物を固体状態で得
るために十分に低くなるまで、蒸発によってか又は空気
を流しながら乾燥することによって系に存在するだろう
過剰の水が自然に失われるのを可能にするか、又は失わ
れるように導くのを可能にする工程;及び (d)バイオ酸化生成物を分離する工程;を特徴とする
ものである。
【0034】バイオ浸出性微生物と固体の無機基質との
相互作用の第一段階はそれら微生物の基質表面に対する
付着にあり、その結果被酸化性基質は生化学的に攻撃さ
れる。付着はエネルギー源となる鉱物質化合物に対して
特異的であるが、そのような付着は頻繁に起こるのでは
なく、これまで試みられた系では常に起こる訳ではな
い。安定かつ効率的付着を可能にするか又は促進し、か
くして細菌が基質を転換させ、かつ速やかに増殖するこ
とを可能にする条件について今まで説明されたことはな
い。
【0035】後記の生理学的特性化及び発育条件から、
これらの微生物が明白な疏水性を有することは明らかで
ある。言い換えると、従来の系における水又は少なくと
も水のレベルは基質に対する細胞の安定な付着を困難に
する。
【0036】細胞と鉱物質化合物の表面とが相互作用す
るときに起こる現象及び硫化物鉱物の格子が破壊される
機構は明らかではない。それには色々な理論があるけれ
ども、この相互作用には酵素機構が関与していると一般
的には考えられる。そのような場合、介在している酵素
を希釈したり、或は反応している表面から洗い落とした
りしてはならない。
【0037】以下に記載される条件における鉱物質化合
物の培養とバイオ酸化を表2に示す菌株を使用すること
によって実施した。これらの菌株は例として挙げるもの
であって、それらに限定されるものではない。これらの
菌株のあるものはアルゼンチンの鉱床である“バジョ
デ ラ アランブレラ(Bajo de la Alu
mbrera)”及び“カンパナ マフィダ(Camp
ana Mahuida)”からの鉱物から分離したも
のであった。
【0038】
【表2】
【0039】本発明を、発明の基礎となった研究及び着
想を添付図面を参照して経時的順でここに説明する。
【0040】寒天化第一鉄培地中での増殖に関する予備
的研究 チオバチルス フェロオキシダンスはバイオ冶金におい
て最も一般的に用いられる細菌である。チオバチルス
フェロオキシダンスに似た微生物の効果的な基質とし
て、第一鉄に加えて、多数の不溶性硫黄化合物があるけ
れども、第一鉄イオンの溶解性から実験室での培養には
寒天化された(agarized)培地中でのその使用
が勧められている。
【0041】コロニーを得るために固体の寒天化培地中
でのチオバチルス フェロオキシダンスの培養は多くの
問題をもたらした。
【0042】これまでに数種の固体第一鉄培地が設計さ
れた。これらの培地は総てコロニーの増殖を支える。し
かし、そのコロニーは小さく、増殖が遅く(1〜6週
間)、そして時には再現性のない結果をもたらす。これ
らの困難は細菌の増殖速度が遅いことに起因するとされ
ている。更に、ゲル化剤として用いられる寒天、即ちア
ガロースの加水分解生成物は増殖を抑制すると思われ
る。
【0043】寒天化された第一鉄培地中でコロニーを得
ることについての諸観察によって、以下において説明さ
れる硫黄化合物に対するバイオ酸化の条件が確立され
た。
【0044】ペトリ平板を常用の第一鉄培地と0.5%
のアガロースを用いて調製し、それに菌株としてATC
C19.859、BA及びBAを接種し、30℃で
培養し、そして6〜8時間毎に立体顕微鏡法で観察し
た。約40日間増殖の徴候は認められなかった。コロニ
ーの現れた日に増殖の開始が立体顕微鏡法で観察可能と
なり、そして数時間後に直径0.5〜1mmのコロニー
が直接はっきりと観察された。細菌の増殖速度が本来的
に遅いためにコロニーを得るのに40日と言う期間を要
したとすれば、その増殖は進行性であったにちがいない
と言うことになる。
【0045】厚さに勾配がついた寒天化培養培地を得る
ために僅かに傾斜した平面に置いたペトリ平板を第一鉄
寒天化培地を用いて調製した。かくして、培養培地の厚
さは平板の一方の端で最も厚く、直径方向反対側の端で
最も薄い。図1の矢印で示されるように、平板の最も厚
い端の位置に液状接種物を保持するループで触れること
によって平板に接種した。3日目又は4日目に、図1に
示されるように、接種場所に対して直径方向反対側の最
も薄い端にコロニーが形成された。コロニーが形成され
た日以前に発育の徴候は認められなかった。図1に示し
たケースにおいて、平板の側壁に付着した培地の薄膜に
も若干のコロニーが形成された。ゲルが薄ければ薄いほ
どゲルは速く脱水されることを考慮に入れなければなら
ない。
【0046】寒天又はアガロースの濃度を変え、そして
増殖を前記の指針に従って分析して非常に多数の試験を
行った。これら試験の結論は、寒天又はアガロースは他
の細菌の場合に一般に起こるようには前記細菌の接種場
合における付着を支配しないと言うことである。
【0047】コロニー形成の必須条件は寒天化培地に対
する細胞の付着である。時が来ればあたかもそのような
付着を可能にする条件が達成されたかのごとくあらゆる
ことが起こった。
【0048】水を約95%含有する固体の寒天培地にお
いて時間と共に自然に変化するだろうと言う条件は蒸発
により水が失われることと、その結果として成分の塩の
濃度が増加することである。
【0049】成分塩の濃度を広い勾配で変えて試験を行
ったが、コロニーの出現期間に対する有意の影響は観察
されず、また接種場所における細胞の付着に対してもい
かなる影響もなかった。あらゆることが、基質に対する
細胞の付着に要する水含量が非常に低いことを示してい
た。
【0050】等容量の培養培地を平板全面に均一に分布
して有する平板を用いた試験において、平板を層流フー
ドに付すことによって、及び/又は接種前の水の自然減
の目的から平板を30℃に保つことによって脱水度を上
げた。コロニーの出現時間に相当の増加が観察された。
溶質を生物学的浸透圧調節系に相溶し得ることが知られ
ている化学薬剤の添加を上記の戦略と組み合わせた方法
を用いると、12〜24時間でコロニーを得ることが可
能であった。表面活性剤の添加及び水の活性を低下させ
るポリエチレングリコールの添加もまた寒天化培地中で
の増殖を改善する。
【0051】図2〜6に示される通り、コロニーの形態
と大きさは問題にしている菌株、平板当たりの接種細胞
数に、そして本質的に培地の組成と水の活性を低下させ
るのに使用される方法に依存する。
【0052】しかし、得られる全てのコロニーには共通
の因子がある。即ち、それは結晶のように見える幾何形
状である。この様子は走査顕微鏡で分析したが、これに
ついては後記する。
【0053】寒天化培地において、水の蒸発による減損
は遅いことを考慮して、平板上にコロニーを速やかに形
成するために追加の方法を採用した。前の試験では、使
用した第一鉄培地(寒天化せず)の塩濃度に関して10
Xの塩溶液3cmを平板毎に分布させ、次いでそれら
平板に接種した。この場合、寒天化培地の場合よりも水
の量は少なく、その蒸発速度は速かった。平板ガラスの
表面に塩類の薄い膜が付着し、過剰の湿分の典型的な輝
きが失われると直に、コロニーが、図5に示されるよう
に、数時間で発現し、平板のガラスに付着した。
【0054】もう1度言うと、この培養形は高度に脱水
された環境では接着能を強め、高い細菌増殖速度をもた
らす。
【0055】表面を通る微生物の運動 上記の試験で細菌はかなり乾燥した寒天化培地でも平板
をくまなく運動することができることが明らかになっ
た。液状接種物で処理する場合は、培地が高度に脱水さ
れているときでも接種場所での細菌の直接付着を達成す
るのは不可能であった。
【0056】湿った硫化物及び鉱物上での微生物の運動
も、後記において議論されるように、検出された。
【0057】寒天化表面がかなり乾燥したものであって
もその表面を通る微生物の運動、及び細胞の付着とコロ
ニーの形成には高度に脱水された寒天化培地が必要とさ
れることは、いわゆる滑走細菌の特性である。それら滑
走細菌は分類学上不均一細菌類属を構成し、植物発生学
上は異なるルートから発生していると考えられている。
【0058】更に、滑走細菌の大部分又は全てにはそれ
らが共通して有する幾つかの特性がある。即ち、細胞壁
は、典型的には、グラム陰性である。多くの場合、リポ
多糖類成分が単離され、そのことが特徴となっている。
ある種の滑走細菌は粘滑性物質の分泌と関連し、液状培
地中で細胞を培養容器の壁に集め、又は接着させる。こ
れらの特性はバイオ浸出性細菌に見いだされるものと同
様である。
【0059】滑走細菌が関与している環境と代謝が表面
上での運動性の発現に有利であった。一般に、滑走細菌
は拡散しない基質を転換し、そのためそれら微生物は基
質を見い出すために動き回らなければならない。合成培
地上では、滑走は栄養分の湿度と濃度に本質的に依存す
ることが明らかにされている。
【0060】バイオ浸出能を有する微生物は鉱物質環境
中で進化し、不溶性基質は低濃度で、細かくまき散らさ
れることを考慮すべきである。表面拡大機構又は表面転
移の発現だけがそれら微生物を進化させたのである。
【0061】これらの特性は技術開発の大きなポテンシ
ャルとなる。鉱石に撒き散らされる化合物のバイオ酸化
において高い収率を達成するために、細菌の安定付着を
可能にする所要脱水条件を達成する時期に、転換される
べき各粒子は少なくとも1個の細胞と接触していなけれ
ばならないことを考慮すべきである。これが違う場合
は、続く水分添加段階及び脱水段階で細胞が運動し、広
がって新しい粒子に到達する。
【0062】世代時間の研究 前に指摘したように、これまでに実験された条件でのバ
イオ浸出プロセスの遅さは本質的に細菌の低増殖速度に
起因する。
【0063】数時間での細菌コロニーの発育は、細菌が
水活性の低い固体基質に付着するとき細菌は速やかに増
殖することをはっきり示している。
【0064】ATCC19.859、BA及びBA
の各菌株の世代時間をそれらを2つの系で比較するため
に測定した。一方は30℃で振盪した常用の第一鉄培地
であった。コロニーの発育に続いてサンプルを毎日抽出
し、そして平板中での希釈と計測によって細胞数を求め
た。
【0065】最高増殖速度に対応する指数期中に最短世
代時間が求められた。それら世代時間を液状培地中での
自由増殖に対応する世代時間として表3に示す。
【0066】他方の系は上記と同じ組成の培地における
発育に相当するが、これは0.35%のアガロースで固
化され、かつ高度に脱水されている。平均世代時間は、
各コロニーが1個の細胞に起源すると言うことを考慮し
て、また増殖の第一の徴候が、楊枝で完全に単離される
明確に明らかなコロニーが存在する時期までに立体顕微
鏡法で検出される前30分に始まる期間を発育時間とし
て取って測定した。各コロニーを、細胞を分離させるた
めに渦巻き状態にされているある測定された容量の溶液
に懸濁させた。各コロニーの細胞数を平板中で再計測す
ることによって求め、そして3つの異なるコロニーの平
均として考察した。
【0067】表3は菌株が高度に脱水された固体培地に
付着して増殖したときの平均世代時間を示す。
【0068】
【表3】
【0069】これらの結果は、最適の微生物発育は低水
活性条件に、即ちかなり乾燥した環境に対応することを
証明している。
【0070】固体生成物−細菌の関係についての走査顕
微鏡による研究 既に述べたように、試験した菌株のコロニーは共通して
アンギュラーフォーム(angular forms)
と結晶様外観を有するが、ただしそれらを液状培地に懸
濁させて顕微鏡観察すると密な細菌集団が存在する。予
想されるように、非常に低い水活性条件におけるそれら
の代謝による酸化生成物は固体状態にある。
【0071】このようなコロニーの分布と細菌−固体生
成物の関係とを調べるために顕微鏡による走査観察を行
った。
【0072】1例として、図6において矢印で示される
もののような直径約1cmの星型細菌コロニーに対して
行った観察について説明する。これらのコロニーは水含
量が前記の方法に従って低下された第一鉄の寒天化培地
から得られたものである。
【0073】図7は標準的なコロニーの模式図である。
図7では、(a)中央、(b)境界及び(c)中央−境
界間の中間ゾーンと言うコロニーの区別可能な特徴的ゾ
ーンが示されている。
【0074】(a)で示されるもののようなコロニーの
中央部は、直接観察下では、粒状外観又は崩壊状態を示
している。対応する走査顕微鏡写真は、図8に示される
ように、砕解した立方形の小単位を示している。それら
単位の壁には図9及び10に示されるようにひどい穴が
あいている。このことは、細菌が形成した固体生成物の
中にそれら細菌が一時的に閉じ込められたままになり、
その後に細菌が固体生成物に穴をあけてその生成物を去
ることを示唆している。
【0075】(c)で表される中央−境界間ゾーンの表
面を走査して調べたところ、図11に示されるように固
体化合物だけが観察され、その固体化合物はコロニーの
平面に対して平行に配向した結晶のように見えた。しか
し、走査によって分析するために、固定する前にコロニ
ーを僅かに酸性の溶液で洗滌すれば内部の細菌を観察す
ることができ、それは、図12に示されるように、組織
化された分布を持たない。しかし、走査による観察に先
立って、このゾーンからの結晶様固体を殺菌した楊枝で
機械的に破壊すれば、図13に示されるように、細菌が
色々な平面にかつ配向した方向に分布して見える。
【0076】図7において(b)で示されるコロニーの
境界を前以ていかなる変更も導入せずに走査することに
よって分析すると結晶様物体が観察されるが、これら
は、図14及び15に示されるように、コロニーの平面
から立っており、それらの群がクラスターの形態を取っ
ているので、それら物体はゾーン(c)のものとは異な
る。この境界からの物体は全て同様の形態を有している
けれども、それらの中の相違は空気により多く暴露され
る、基部から隔たっている上端に基本的に見ることがで
きる。これら物体のあるものは上端が閉じられている
が、他のものは、図16及び17に示されるように、開
口している。これら物体のあるものは、図18に示され
るように、上端が破壊されていることを示す。
【0077】コロニーの境界で行った観察は、分析した
コロニーが得られてから24〜48時間後にその基質を
通して連絡があったと言う何んらの徴候もないのに小コ
ロニーが元のコロニーの回りに形成し始めたと言う事実
と相俟って、その現象を微生物学において“ダーティン
グ(darting)”として知られる細菌の一種の表
面転移に関連付けることを可能にする。それは1つの共
通莢膜内の細胞集合体に発生する膨張力によってつくら
れ、その結果として細胞をその集合体から押し出す。
【0078】窒素源に関係した細菌の発育 バイオ浸出性細菌はアンモニアの形の窒素を掃去する際
に極めて効率的であるけれども、浸出液中の窒素の不足
は細菌による浸出操作の効率を制限するだろう。他方、
浸出様溶液に対するアンモニアの添加は追加コストが要
ることを意味する。
【0079】窒素の固定能は窒素が与えられていない環
境中に存在しているいかなる生物にとっても重要であ
る。
【0080】少なくともチオバチルス フェロオキシダ
ンスは酸素供給の制限された条件下で大気の窒素を固定
することができ、ニトロゲナーゼ系を有すると特徴付け
られており、そしてこの系からのnif遺伝子がクロー
ンされていることが証明されている。
【0081】しかし、現場研究では野積み浸出操作での
窒素固定活性は証明されなかった。窒素を固定する生理
的条件は変化するけれども、ニトロゲナーゼ酵素は保存
され、それは通常感酸素性であるのである。nif蛋白
室は酸素によって変化を起こし易く、窒素固定に対して
応答性の系は酸素から保護されているときだけ機能する
ことが見いだされた。
【0082】ニトロゲナーゼ系を有するフリーライフ
(free life)の偏性好気性微生物の生理学は
今日まで未解決の科学分野であって、明らかに生物学的
に矛盾していることを述べている。それにもかかわら
ず、ニトロゲナーゼ系により細菌が進化していたならば
この系が効率的に機能する条件が存在しなければならな
いことが期待された。
【0083】基質として合成硫化物を用いたときに以下
において述べられる条件(低水活性によって特徴付けら
れる)下で表2に示される、対応する酸化された固体
の、細菌を含有する結晶様生成物をもたらすバイオ酸化
能を有する微生物の増殖は窒素の添加からは完全に独立
している。
【0084】窒素源、及び少量であるけれども微生物の
増殖に必要とされ元素(例えば、燐、カリウム、マグネ
シウム)の確証として、分析級硫酸第一鉄を効果的な基
質として使用して細菌の発育を培地の組成と関連させて
分析した。
【0085】分析系に可能な最少量の成分を導入するた
めに、そしてゲル化剤が不純物を運んでくるだろうこと
を考慮して、平板ガラスに付着した塩の中にコロニーを
形成する方法を用いた。
【0086】各平板に次の培地のいずれかを分布させて
直径9cmの平板を調製した: (a)pH1.8に調整された分析級SOFe・7H
Oの10%溶液3mL、(b)pH1.8に調整され
た分析級SOFe・7HOの20%溶液1.5mL
プラスKCl:0.1g、KHPO:0.25g、
SO・7HO:0.25g、Ca(N
:0.01g、HO:800mLを含有する
pH1.8に調整された溶液1.5mL。
【0087】種々の菌株が同等の結果を与えた。分析級
の硫酸第一鉄だけを含有する平板ではコロニーの形成は
なかった。ある場合には、図19(a)に示されるよう
に“社会的滑走”と称される細菌の一種の表面転移の典
型的な粘性トラックが刻み込まれたままであった。この
現象は栄養欠失によって誘発されることが知られてい
る。
【0088】硫酸第一鉄の外に生活維持元素となる少量
の塩を含有する平板では、窒素源の添加はないけれど
も、図19(b)に示されるように約5mmのコロニー
が発育した。
【0089】これは高脱水条件においてはニトロゲナー
ゼ系が大気窒素の固定に効率的であることを示唆してい
る。このことについては、細菌が少なくとも一時的に閉
じ込められたままでいる固体生成物が酸素のためのニト
ロゲナーゼ系を保護すると推測することができるだろ
う。
【0090】これら細菌のフリーライフ微生物としての
特徴付けについては科学的に議論し、かつ深く研究しな
ければならない。
【0091】微生物の発育と硫化物鉱物のバイオ酸化 バイオ浸出性細菌に関して前に述べた水についての原理
を合成硫化物、天然試験体、濃厚物及び鉱石のバイオ酸
化に適用した。
【0092】秤量し、殺菌したある量の各関係基質をペ
トリ平板に入れ、全表面に均一に分布させた。その後、
基質に次の基準を考慮して硫酸溶液を用いて湿気を与え
た。硫酸溶液の最も都合のよい容量と濃度は個々のケー
スについて測定して求めた。
【0093】−考えている基質の単位質量当たりの最も
都合のよい容量は基質を全て均一、確実に酸性化する
少容量である
【0094】この容量は個々の基質の物理的、化学的特
性に依存し、そして多孔質鉱物の場合は孔を通しての酸
性化が必ず達成されるようにしなければならない。それ
にもかかわらず、この容量は続く基質の脱水に固有の時
間のロスを少なくするためにできるだけ少量でなければ
ならない。
【0095】−酸の最も都合のよい濃度は、最も都合の
よい容量において鉱物を確実に中和し、固結を防ぎ、細
菌の効率的な発育によい酸の容量を与え、そして蒸発に
よる酸の起こり得るロスを考慮に入れた酸の量である。
【0096】液状培地中での微生物の増殖についての最
適pHに関して確立された基準は、幾つかの理由からこ
こに提案される発育条件には有効でない。酸性化容量は
多くの場合液状系に与えられた酸溶液の容量より少な
い。酸濃度が同じか同等であるとすれば、酸の有効性は
この新しい系では非常に低いはずである。このような多
様な環境における細菌の代謝条件と、恐らくは細胞表面
の組成とは異なっている。また、この系が細菌の速やか
な発育に要する高脱水度に達すると、pHの概念は適用
できない。
【0097】天然試験体において、そして試験される合
成硫化物においても存在する不純物は、一般に、細菌の
増殖に必須の元素、例えば燐、カリウム、マグネシウム
等の必要とされる少量を与えるに十分であったと言わね
ばならない。それにもかかわらず、これは各基質につい
て分析しなければならない。
【0098】平板に表2に示される菌株のどれかを接種
し、続いて蒸発による酸性化中に導入された水の速やか
な減損を促進するそのような方法でインキュベートし
た。いずれの場合も、基質が乾燥外観を獲得すると、対
応するバイオ酸化された固体生成物と結びついた微生物
の発育が数時間で得られた。
【0099】限定するものではないが、異なる基質を用
いた試験についてここに記載する。
【0100】(a)殺菌された乾燥合成硫化銅の薄層を
直径9cmのペトリ平板に分布させた。次に、それを
1.5cmの殺菌された硫酸の0.1N溶液を滴下し
て酸性にした。その平板の中央に先の培養菌からの硫酸
銅結晶を0.06N硫酸溶液に溶解させることによって
調製したBA菌株の接種物10マイクロリットルを接
種した。接種物はその細菌を可能な最短時間の間液状培
地に保持するように新しい平板に接種する時期に調製し
た。それを30℃でインキュベートした。基質が乾燥外
観を獲得したとき、発育の最初の徴候が観察され、数時
間後に硫酸銅の青色結晶が得られた。それら結晶は、図
20に示されるように、0.5cm幅×1.5〜2.5
cm長であった。これら結晶はそれら自体細菌コロニー
である。
【0101】(b)(a)におけるようにして調製した
平板の中央にBA菌株の密な接種物20マイクロリッ
トルを接種し、蒸発による水の減損を促進するために平
板を中途まで開けたままにしておいて37℃で培養し
た。12時間後に、図21に示されるように、発育物が
得られた。それは湿分が存在していた間の細菌の運動能
力を証明している。
【0102】(c)前に述べたようにして調製した平板
をこれに2cmの0.06N硫酸溶液を添加すること
によって酸性にした。その平板に前に記載した通りに調
製したCRT菌株の接種物10マイクロリットルを接種
し、85℃でインキュベートした。6時間後に、発育の
最初の徴候が検出された。その2時間後に、図22に示
されるもののごとき発育物が得られた。
【0103】(d)酸性化後、脱水されたときに、−1
00メッシュに粉砕された高純度の天然黄鉄鉱試験体
(FeS)を基質として用いた。この基質は高い固結
傾向を示し、細菌の発育を妨げるものであった。それは
黄鉄鉱の重量と酸性化容量との間で1:1の比率を用い
ることによって確認された。最も都合のよい酸の濃度は
0.45Nである。かくして、殺菌した黄鉄鉱0.5g
を直径5.5cmのプラスチック平板に入れ、これに殺
菌した0.45N硫酸溶液0.5mLを加え、そして回
転運動によって酸性化された基質の薄い均一な層を得
た。この平板の中央に前の培養によって黄鉄鉱中で増殖
するようにされたCM菌株の接種物を接種した。平板
を閉じたままにして30℃でインキュベートした。これ
らの条件下で、基質が乾燥外観を獲得するのに24時間
要した。この時点で、発育の最初の徴候が観察され、1
0時間後に発育物が、図23に示されるように、得られ
た。
【0104】(e)−40メッシュに粉砕された高純度
の天然方鉛鉱試験体(PbS)を基質として用いた。殺
菌した方鉛鉱1gを直径5.5cmのプラスチック平板
に入れた。これを殺菌した0.24N硫酸溶液1mLに
より酸性化し、それに前のCuS中での培養菌からのC
菌株を接種した。それを37℃でインキュベートし
た。18〜22時間後に増殖の開始が検出された。6時
間後に結晶性外観を有するガラス様の白色物体が得られ
た。大きさは方鉛鉱粒子と同じであったが、後者の灰色
がかった色調とは対照的であった。それらは密な細菌集
団を持っていることが顕微鏡観察で確認された。
【0105】(f)(e)と同じ基質2gをガラス平板
に入れた。3.0N硫酸溶液2mLを加えた。これにC
RT菌株を接種した。それを90℃でインキュベートし
た。6時間後に発育の最初の徴候が観察された。4時間
後に(e)に記載されるものと同様の特性を有する白色
固体物体が得られた。
【0106】(g)亜鉛を56%含有する閃亜鉛鉱(Z
nS)濃厚物を基質として用いた。この基質2gを直径
9cmのプラスチック平板に入れた。これに殺菌した
0.24N硫酸溶液1.5mLを加えた。回転運動によ
って、この酸性化された基質を平板にくまなく分布させ
た。この平板の中央に前以てZnS中で増殖するように
されたATCC19.859菌株を接種し、この接種時
期に0.06N SO中に懸濁させた。平板を閉
じたままにして30℃でインキュベートした。48時間
後に発育の最初の徴候が観察され、その12時間後に図
24に示される、硫酸亜鉛の典型的な白色と関連した発
育物が得られた。
【0107】(h)(g)におけると同じようにして、
ただし接種することなく調製した平板を酸性化中に重量
減によって測定して水の90%が失われるまで30℃で
インキュベートした。その後平板に図25において矢印
で示される場所に液状接種物を接種した。12時間後に
接種場所を取り囲む領域に典型的な白色の発育物が得ら
れた。接種場所には発育は観察されず、その場所には
種物に起因してより高度の湿分が存在していた。これは
細菌が最も湿った領域から細菌が付着して基質を転換さ
せる湿分がより少ない領域に移動することを示す。
【0108】(i)(g)及び(h)において使用した
ものと同じ閃亜鉛鉱(ZnS)の濃厚物2gを有するガ
ラス平板を殺菌した0.18N硫酸溶液2mLを用いて
酸性にした。これに前のZnS中での培養菌からの、た
だし接種物を溶液中に懸濁させることに代えて、CRT
菌株を接種した。接種は太い針を用いて固体の硫酸亜鉛
を図26において矢印で示される平板の印が付けられた
端に直接移動させることによって行った。これを、湿分
が速やかに失われるのを可能にするように平板の半分を
開けて、96℃でインキュベートした。2時間後に発育
の最初の徴候が検出され、その2時間後に硫酸亜鉛の典
型的な白色に関連した発育物が、図26に示されるよう
に、接種領域に得られた。
【0109】(j)−100メッシュに粉砕された高純
度の天然輝安鉱(Sb)試験体を基質として用い
た。試験した基質の内でこの基質はその疎水性の故に最
も酸性化しずらいものであった。平板の表面に均一な酸
性化されたパルプを分布させて得るのに前の場合より多
い酸溶液容量を要した。加えて、均一なパルプを得るた
めには平板上で混合させるときに殺菌したスパチュラを
使用すべきであった。この系も高い固結傾向を有し、細
菌の発育を妨害するものであった。これは前のケースよ
りも高濃度の酸を使用する必要があることを説明するも
のである。広範囲の試験を行って最も都合のよい容量と
酸濃度を決定した。表2に示される菌株のいずれについ
ても、直径5.5cmのポリスチレン平板に0.5gの
Sbと1.5mLの0.6N酸溶液を均一に分布
させることによって最良の結果が得られた。即ち、平板
を蒸発による水の減損を可能にするために開いたままに
して30℃でインキュベートした。3〜4日後に微生物
の発育が、図27に示されるように、固体状態の潮解性
白色バイオ酸化生成物と結び付いて起こった。酸性化用
溶液の容量はサルコシル(1%)のようなテンソアクチ
ブ剤(tensoactive agent)を加える
ことによって少なくすることが可能である。この添加は
微生物の発育を更に高める。このようにして、24〜3
0時間で発育物を得ることが可能となった。
【0110】(k)乾燥、殺菌した合成硫化コバルト
(CoS)の薄層を有する直径9cmの平板を調製し
た。全ての基質を均一に酸性化するように殺菌した0.
3N硫酸溶液0.5mLを滴下して酸性化した。平板に
前の硫化コバルト中での培養からの色々な菌株を接種
し、そして30℃でインキュベートした。24時間後に
図28に示される発育物が得られた。この発育物は硫化
コバルトの典型的なピンク乃至赤の色を示した。得られ
た固体状態のバイオ酸化生成物はふるい分けによって分
離することかできる。
【0111】(1)銅の濃厚物を基質として用いた。ベ
ースを100%硫化銅鉱物と見なしてこの鉱物組成物は
主要試験体が輝銅鉱(64.29%)と硫砒銅鉱(2
1.96%)であることを示す。直径9cmの各平板に
基質1gを入れた。それを0.3N硫酸溶液1mLを用
いて酸性化した。これらの平板に前の同じ濃厚物中での
培養菌からのBA及びCM菌株を接種した。それ
を、平板を開いたままにして30℃でインキュベートし
た。24時間後に、図29に示されるように、発育物が
得られた。図30は同じ発育物の写真を示すが、もっと
短い距離で撮ったものである。
【0112】(m)アルゼンチンの鉱床である“カンパ
ナ マフイダ”からの、主たる銅試験体として輝銅鉱
(CuS)を含んで成る、1/4インチに摩砕された
鉱石を試験した。この鉱石30gを直径9cmの平板に
入れた。これに0.45N硫酸溶液20mLを加えて酸
性化した。この平板に合成硫化銅中での培養菌からのC
菌株を接種した。平板を急速脱水を促進するように
開いたままにして37℃でインキュベートした。12時
間後、鉱石が乾燥外観を獲得したとき増殖が始まった。
4時間後に、乾燥した鉱石を覆って硫化物の酸化と結び
付いた細菌の発育物が得られた。図31aはバイオ酸化
に付されなかった鉱石とバイオ酸化に付された鉱石(そ
れぞれ左と右)を示す。図31bはバイオ酸化された鉱
物を示す。図32はコロニーを作ったバイオ酸化された
鉱石の更に短い距離で撮った写真を示す。
【0113】(n)輝銅鉱(CuS)を2.1%含ん
で成る、−100メッシュに粉砕された銅鉱物を基質と
して用いた。殺菌した鉱物5gを直径8.5cmのポリ
スチレン平板に入れた。これを殺菌した0.4N硫酸溶
液5mLを用いて酸性化し、そのパルプを回転運動によ
って平板にくまなく均一に分布させた。CuS中での培
養菌からのCM菌株の接種物100ミリリットルを滴
下によって分布させ、接種された基質を37℃でインキ
ュベートした。48時間後、そして基質が乾燥外観を獲
得したとき、平板のより脱水された端に突出物のように
見える発育物が現れ始めた。12時間後に、図33に示
される通りの発育物が得られた。これは青色の小さい結
晶に関係した鉱物層の不規則物によって特徴付けられる
ものであった。
【0114】(o)(n)に示したものと同じ組成を持
つ平板を用いたが、平板をインキュベートし、僅かに傾
斜した平面上で調整した。そのためパルプは1端でそれ
とは直径方向反対側の端より薄くなった。パルプに図3
4において矢印で示されるより厚い端に接種した。即
ち、パルプに(n)で述べた同じ接種物20マイクロリ
ットルを接種した。これを37℃でインキュベートし
た。予想通り、薄い端がまず脱水された。26時間後に
発育の最初の徴候とその薄い端での微生物による転換が
検出され、そして6時間後に図34に示される発育物が
得られた。
【0115】数日後、酸性化において加えられた湿分に
関して平板が完全に脱水されたとき、平板の残部には発
育の徴候は認められなかった。このことは過剰の湿分が
存在している間は細菌が基質を通り、奇妙にも通路の中
を、そして負の湿分等級と結び付いて移動し、最初に脱
水された領域に安定な付着を生むことを示している。
【0116】バイオ浸出性微生物の生理学に関する最も
適切な結論 これら微生物の生理学に関する知識は生物学的酸化法を
それら方法を強化する目的で最適化すると言う特定の課
題を解決することを可能にする。
【0117】種々の細菌種による、また同じ種の異なる
菌株による基質の酸化活性は変化可能で、それはそれら
の存在の前歴によって決まるけれども、効率的な生物学
的酸化、例えば安定な基質−細胞の付着及び硫化物鉱物
の格子の破壊のために達成されなければならない前記の
機構は同様の条件によって支配される。
【0118】前記の試験から次のことが導かれる:
【0119】(1)これらの細菌は低水含量の鉱物質環
境又は少なくとも液体系に浸漬されない鉱物質環境で進
化している。鉱物に含まれる水及び環境湿分はそれらの
発育に十分である。
【0120】(2)固体の不溶性基質の生物学的酸化は
接着機構による基質−細胞の相互作用を意味する。安定
な接着は基質の急速転換と、従ってまた高い細菌増殖速
度とを可能にする。過剰の水はそのような接着を妨げる
か、又は困難にする。
【0121】(3)硫化物鉱物の格子の破壊に関与する
酵素系が存在する場合、そのような酵素を希釈したり、
反応している表面から洗い流すべきではない。
【0122】(4)低水活性の条件では、微生物による
代謝が活性化され、世代時間を相当に短縮し、従って高
い基質酸化速度に結び付いた高い微生物増殖速度をもた
らす。
【0123】(5)このような条件下で、微生物は増殖
し、少なくとも一時的に固体の結晶様バイオ酸化生成物
の中に閉じ込められたままになっている。
【0124】(6)少なくとも試験された微生物の菌株
は高脱水培地中で増殖するとき、窒素源の添加を必要と
しない。これは大気窒素の効率的固定が存在することを
示唆している。
【0125】(7)微生物のほとんどは水の応力(wa
ter stress)度を処理する機構を持っている
が、低水活性度(a)の環境中で微生物が十分に増殖
するのを可能にするように生理的に適応して進化したも
のは比較的少ない。これらの微生物を述べるのに多くの
用語が用いられた。即ち、好塩性、好濃性、オスモトレ
ラント性(osmotolerant)、キセロフィテ
ィック性(xerophytic)、キセロフィリック
性(xerophilic)等である。これらの用語の
内、キセロフィリック性(ギリシャ語の“乾燥を好む
(dry−loving)”から)が多分本発明で試験
した微生物を記述する最も適切な用語である。
【0126】これらの細菌が従来そのような条件の枠組
みの中で分析されなかったことは、これらの細菌が進化
して、自然には通常見い出されない、水の多い環境で懸
濁されている鉱物(鉱物は乾燥して、又は脱水されて見
えるけれども、それらはある割合の、少なくとも環境の
湿分と平衡している水を含有している)を転換すると言
うことを考えることなく、生活の唯一の方法が大量の水
を伴う系にあると言う先入観の下で、鉱山の酸排水から
出発してそれら細菌を分離すると言う方法にその原因が
ある。
【0127】本発明者の経験では、明らかに脱水されて
いる鉱物の試料は、特に空気に露出されている表面に細
菌に富むローラを有するが、それらは価値のある細胞で
ある。
【0128】バイオ湿式冶金に含まれる旧来の方法とこ
こに記載される微生物によるバイオ酸化条件との間の水
に関する基本的に相反している関係を考慮して、“バイ
オ湿式冶金”と言う用語を提案することができる。
【0129】これら原理の技術的適用から導かれる利点 本発明の原理の適用で得られる利点は次の諸点を考慮す
れば明らかであろう。即ち、
【0130】−ここに開発されるまでは、今までのバイ
オ湿式冶金における系、即ちタンク浸出、現場浸出、廃
棄ダンプ浸出及び野積み浸出のいずれの下でも微生物フ
ローラは水性環境中で発育するように強制されている。
このような条件では、微生物の増殖速度及び基質のバイ
オ酸化速度は制限される。これらは数カ月と言うオーダ
ーの長い処理期間を伴うもので、技術的、経済的障壁に
なっている。本発明者が述べる原理の適用によって、数
日の期間で同等の抽出収率を達成することが可能とな
る。微生物が発育し、数時間で基質を転換させると言う
ことを考慮すると、総処理時間の決定パラメーターは各
系における脱水速度、及び酸性化と適性な接種に用いら
れる、系に可能な最少量の水を配合する方法である。
【0131】−相当に短い処理時間は、同等の生産につ
いて処理容量がはるかに少なくてよく、結局資本投資が
節約されるだろうことを意味する。
【0132】−少量の処理容量の管理は正確に制御され
た系を操作する可能性を開く。
【0133】−旧来の系には重要なエネルギーコストが
要る。パルプはタンク又は反応器中で連続的に振盪及び
空気混和されねばならない。他方、鉱物は酸浸出用溶液
のパーコレーションに付されるが、これにもエネルギー
コストと資本コストが付随する。これらのコストは所要
の長い処理期間にとっては非常に重要になる。速い方法
は運転コストがより少ないことを意味する。
【0134】本発明の最も都合のよい実施形態 鉱石又は濃厚物を中和し、それらの固結を防ぎ、そして
微生物の発育にとって十分な環境を提供するために、各
系について最も都合のよい容量と酸濃度を前記の基準に
従って決定しなければならない。
【0135】一旦基質が酸性化され、接種されたら、過
剰の水の減損を脱湿機によって誘発される自然蒸発か、
又は鉱石若しくは濃厚物を通して空気を流通させるかの
いずれかによって起こさなければならない。
【0136】微生物の作用によって酸化されるべき基質
は一般に小粒子として撒き散らされる鉱石に見い出され
る。各粒子の転換には少なくとも1個の細胞の付着が必
要とされる。粒子が都合のよい脱水レベルに達した時点
で上記条件を満足する粒子が数時間で転換されて可溶性
の固体生成物に変わり、それは同時に微生物のコロニー
を構成する。それに続く段階で鉱石が湿化されて既に形
成された固体生成物を少なくとも部分的に溶解すると、
細菌が放出され、そして湿った条件下でそれら細菌は他
の何らかの手段で新しい基質粒子に滑走する、即ち到達
することができる。
【0137】期待する抽出率を達成するために、前の操
作は必要とされる通りに何回でも繰り返すことができる
が、これは個々の粒子系の特性、即ち基質が鉱石である
かそれとも濃厚物であるかに依存する。
【0138】最後に、バイオ酸化された固体生成物は洗
滌によって、又は濃厚物をバイオ酸化に付す場合は他の
方法、例えばふるい分けによって分離しなければならな
い。可溶化を用いる場合、洗滌溶液のpHは伴われる酸
化された化合物の溶解度に依存する。
【0139】金属の溶解も間接的に起こる可能性がある
こと、即ち微生物による酸化の結果生ずる第二鉄は硫化
物と化学的に反応してそれら硫化物を可溶性形態に酸化
する可能性があることを考慮して、直接法で最終的に抽
出率を高めるのを可能にするために鉱物とある一定時間
接触している洗滌溶液をある一定時間保持することが都
合がよいかどうかは個々のケースについて分析して決め
なければならない。
【0140】金属のバイオ浸出法の場合、洗滌溶液が関
心の対象である生成物を有しているが、それに対して固
体は残留物を組成する。微生物による精製法の場合、例
えば石炭の脱硫又は貴金属の精製の場合は、洗滌溶液が
残留物を有し、一方固体は関心の対象である生成物を組
成する。
【0141】
【実施例】本発明の性能を次の実施例により証明する。
ただし、これらの実施例は本発明を限定するものではな
い。
【0142】実施例1及び2は金属化合物の液状培地に
おける、低水含量条件での酸化の生物学的活性の定量的
差異を例証するものである。
【0143】実施例3は鉱石に対する本発明の適用を説
明するものである。
【0144】実施例1 Fe43.5%、硫黄49.67%及び不純物6.83
%を含有する高純度の、−100メッシュに粉砕され、
連続3日間スチームを流すことによって殺菌された天然
の黄鉄鉱試験体(FeS)を基質として用いた。
【0145】前以て黄鉄鉱中で増殖するようにされたC
菌株に相当する接種物を用いた。いずれの場合も、
対応する殺菌された対照についても同時に実施した。
【0146】生物学的酸化をアンモニアが添加され又は
添加されない常用の液体系で、及び本発明の原理による
低水含量の系で試験した。
【0147】生物学的活性は可溶性の鉄を吸光分光分析
法で測定することによって求めた。細胞数は寒天化第一
鉄培地中の平板を再計測することによって求めた。
【0148】液状培地において、試験は黄鉄鉱5g及び
硫酸溶液95mLが入っている、硫酸アンモニア0.3
gが添加され又は添加されない、pH=1.7に調整さ
れた300mLのエルレンマイヤー中で行った。それに
細胞を2×10個/mL含有するCM菌株の培養菌
を接種した。殺菌された対照においては、100mLの
硫酸溶液を95mLの代わりに加えた。エルレンマイヤ
ーを振盪器中、30℃でインキュベートした。
【0149】鉄の可溶化の動力学を、浸出用溶液から採
取した既知少量中の可溶性鉄の濃度を周期的に測定する
ことによって追跡した。
【0150】鉄の抽出速度は生物学的に溶解された総鉄
量を時間の関数として表し、この値を系中の各接種細胞
に対して関係付けるプロットの直線部分から見積もっ
た。
【0151】鉄の可溶化速度は時間当たり及び接種細胞
当たりの可溶化された鉄のミリグラム数として表した。
アンモニア窒素を用いた試験において、この値は1.6
8×10−9mg/時・細胞であった。アンモニア窒素
を用いない試験では、殺菌された対照に対して相違は基
本的に無かった。
【0152】脱水された固体培地については、最も都合
のよい容量と酸濃度を前以て決定しておいた。最良容量
は黄鉄鉱のグラム数としての重量のミリリットルとして
の酸溶液容量に対する比率として1:1比に相当するも
のである。最も都合のよい酸濃度は0.45Nであっ
た。
【0153】可溶性鉄の動力学を追跡するために、直径
5.5cmのポリスチレン平板を用いた。各平板は黄鉄
鉱0.5g及び0.45N硫酸溶液0.5マイクロリッ
トルを含有していた。回転運動によって表面前面に薄い
膜が広がった。各平板に0.06N硫酸溶液20マイク
ロリットル中に含まれるCM菌株の細胞360個を接
種した。細胞数は寒天化第一鉄培地の平板中コロニー数
を計測することによって測定した。これは黄鉄鋼平板中
に計測することができるコロニー数と誤差±7%で一致
した。最高発育に達した後のこれら平板は図23に示さ
れるものと同様の外観のものであった。殺菌された0.
06N硫酸溶液20マイクロリットルを対応する殺菌さ
れた対照に添加した。平板は全て30℃でインキュベー
トした。
【0154】周期的に、1個の殺菌され、接種された平
板を吸光分光分析法による可溶性鉄の測定に付した。生
物学的酸化によって可溶化された鉄を時間の関数として
プロットした。
【0155】22時間後、平板が乾燥した外観を獲得し
たとき、生物学的酸化が開始された。26時間から出発
して8時間にわたって最高の生物学的酸化速度が得られ
た。それは8.79×10−4mg/時・細胞であっ
た。
【0156】この値をアンモニアを有する液状培地から
得られた値と比較すると、5のオーダーの大きさの差が
ある。
【0157】実施例2 基質として合成CuSを用いた。これにBA菌株を接
種した。
【0158】実施例1におけると調度同じようにして、
常用の液状培地中での、アンモニア集合体を用い又は用
いずに生物学的酸化、及び既に記載した基準に従って脱
水された固体培地中での生物学的酸化を行った。いずれ
の場合も、対応する殺菌された対照についても同時に行
った。吸光分光分析法で可溶性銅を測定した。各場合に
おいて、生物学的酸化は接種された系と対応する殺菌さ
れた対照との間の可溶化された銅の差として求めた。
【0159】液状培地中での浸出はCuS5g及び硫酸
溶液95mLが入っている、硫酸アンモニア0.3gが
添加され又は添加されないエルレンマイヤー中で行っ
た。硫酸溶液のpHは2に調整した。それに細胞を2×
10個/mL含有するBA菌株の活性培養菌5mL
を接種した。殺菌された対照において、酸溶液は95m
Lの代わりに100mL加えた。エルレンマイヤーを振
盪器中、30℃においてインキュベートした。
【0160】銅の可溶化の動力学を、浸出用溶液から採
取した既知少量中の可溶性銅を周期的に測定することに
よって追跡した。生物学的に溶解された銅を時間の関数
として表したプロットの直線部分に相当する銅の生物学
的可溶化の速度を測定した。これを時間当たり及び接種
細胞当たりの可溶化された銅のミリグラム数で表した。
アンモニア窒素を用いた試験において、この値は5.1
×10−9mg/時・細胞であった。アンモニア窒素を
用いない試験では、殺菌された対照に対して相違は基本
的に無かった。
【0161】脱水された固体培地における試験について
は、直径9cmの平板をその各々に2gのCuS及び2
mLのHOを加えることによって調製した。パルプを
形成し、そして回転運動によってそれを平板の全表面を
覆って均一に分布させた。平板を層流フラックスフード
の中で恒量が達成されるまで乾燥した。各平板に殺菌さ
れた0.3N硫酸溶液0.5mLを均一に酸性化するよ
うに1滴ずつ添加、分布させた。各平板に0.06N硫
酸溶液20マイクロリットル中に含まれるBA菌株の
細胞約40個を接種した。この接種物に含まれる細胞数
(細胞2,000個/mL)を第一鉄寒天化培地中の平
板中コロニー数を計測することによって求めた。これは
発育終点でCuSを有する平板中で得られたコロニー数
と誤差±8%で一致した。
【0162】殺菌された対照に殺菌された0.06N酸
溶液20マイクロリットルを添加した。平板は全て30
℃でインキュベートした。
【0163】殺菌された平板からの及び接種された平板
からの可溶性銅を周期的に分析した。18時間後、平板
が乾燥した外観を有するようになったとき、生物学的酸
化が開始され、8時間中殆ど一定速度で続いた。この段
階の終点で固体の結晶様硫酸銅によって構成されるコロ
ニーの大きさで表して最大発育が達成された。
【0164】この期間中の時間当たり及び接種された細
胞当たりの可溶化銅として表される生物学的酸化速度は
0.319mg/時・細胞であった。この値は液状培地
から得られる対応する値と比較すべきである。
【0165】注釈:固体の結晶様生成物によって構成さ
れる細菌コロニーを溶液中に懸濁させとき、また細菌コ
ロニーを渦巻きに付し、次いで顕微鏡で調べるときも、
図35の模式図に示されるものに似た形態を観察するこ
とが可能である。小さい可動性細胞、中間の及び非常に
長い非可動性細胞、及び出現する細胞群は非常に細いフ
ィラメントによって互いに似ていた。この結果、接種物
中に存在する細胞数を平板中のコロニー数を計測するこ
とによって測定する時点では、各コロニーが1個の細胞
にその起源があるのか、細胞群にその起源があるのか不
確かである。それにもかかわらず、対応する液状培地と
固体培地中の適用接種物が同じ起源を有し、同じように
して処理されていることを考慮すると、細胞の接種に関
係した生物学的活性度値は絶対値とは見なされるべきで
はないけれども、比較の目的には有効である。
【0166】実施例3 本発明の原理を適用することによる銅の抽出率とそれを
達成する必要時間を測定するために、銅鉱石のバイオ酸
化を試験した。
【0167】鉱石の特性 a.化学的特性
【0168】
【表4】 総銅 1.25% 可溶性銅 0.15% 総鉄 2.66% 総硫黄 1.78% 不溶性物質 78.50%
【0169】b.鉱物学的特性 鉱物学的分析の結果得られる主たる鉱物種を以下に示
す。各鉱物種の百分率は鉱石を100%として表され
る。
【0170】
【表5】
【0171】主たる銅試験体は輝銅鉱であり、黄銅鉱、
銅藍及び斑銅鉱が重要さの順序で後に続くことが分か
る。
【0172】c.グラニュロメトリー分析 1/4インチに摩砕された鉱物をタイラー(Tyle
r)系列の#4、#8、#16、#40、#65及び#
100スクリーンを使用するグラニュロメトリー分析に
付した。グラニュロメトリー分布を以下に示す:
【0173】
【表6】
【0174】d.自然湿度の測定 恒量が達成されるまでの100℃における鉱物の重量減
により自然湿度を測定した。
【0175】e.酸消費試験 標準試験法で鉱石の硫酸消費量を測定した。この値は鉱
物のキログラムで9.9gの酸に相当する。
【0176】試験:トレー上でのバイオ酸化 35×45cmのステンレス鋼製トレー上で2つの平行
テストを行った。各トレーに1kgの鉱物を装填し、そ
れを以下に示すように処理した。
【0177】試験は脱湿機が入っているシールしたドア
を備える密閉した部屋の中で行った。脱湿機で凝縮され
た水をホースで外に排水した。かくして、鉱物の脱水が
促進された。
【0178】部屋の温度は試験中28〜32℃に保持し
た。
【0179】各トレーに均一に分布された鉱物を酸消費
試験で測定された酸量、即ち9.9gの硫酸を含有する
溶液800mLで酸性化した。
【0180】各々のトレーにCM菌株の接種物10m
Lを接種した。接種物はこの菌株の硫化亜鉛中培養菌に
対応する白色の硫酸亜鉛発育物を0.06N硫酸溶液に
懸濁させることによって調製した。接種物は接種時期に
調製し、それをトレー全面に滴下することによって均一
に分布させた。トレーを前記の条件下でインキュベート
した。
【0181】26時間後、鉱物は乾燥外観と小さい淡青
色の結晶に関連した強い細菌の発育を与えた。それは、
基本的には、鉱物の表面と、空気により多く露出された
鉱物の区域とに観察された。前に示したように、これら
微生物はより速やかに脱水される領域の方に移動する。
【0182】この段階の終点で、及び次の諸段階の各々
の終点で、各トレーから鉱物30gの試料を吸光分光分
析法により可溶性銅を分析するために採取した。それら
試料はスプーンで採取した。その採取は代表的試料を得
るために鉱物の厚さを通してできた層を総て含むように
試みた。
【0183】続いて、3段階の湿化と脱水を行った。各
段階で加えられた酸溶液はスプリンクラーにより均一に
分布させた。
【0184】最後に、鉱物を6時間にわたってその溶液
と接触させておいて洗滌し、最終的に銅回収を間接的に
増加させるようにした。濾過された上澄み液の中の可溶
性銅を測定し、最終的な抽出率を計算した。
【0185】表7は各段階における操作条件と所要時間
に関する関係情報を、また2つのトレーについて各段階
から得られた銅の抽出率を示す。
【0186】表7はまた鉱物のkg当たりの各段階で添
加された酸溶液の容量と酸の量を示す。実際には、それ
は前以て除去され鉱物試料を考慮して残留鉱物の実際の
量に対応する酸の比例量で添加されたものである。
【0187】表7に示した条件下で操作すると、約3日
で66〜68%の銅抽出率を達成することが可能である
ことが分かる。同様の規模で操作する常用の系によれ
ば、同等の抽出率に到達するのに要する必要時間は70
〜90日の範囲であることが知られている。
【0188】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は寒天化第一鉄の培地を持つ平板の脱水さ
れたもっとも薄い端にあるコロニーを示す写真図であっ
て、矢印は接種場所を示す。
【図2】図2は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図3】図3は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図4】図4は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図5】図5は平板のガラス上の塩付着物中に得られた
コロニーを示す写真図であって、塩は濃縮された3cm
の第一鉄の液状培地(ゲル化剤なし)の脱水に由来す
るものである。
【図6】図6は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真図である。
【図7】図7は図6において矢印で示されるコロニーと
同様の星型コロニーを示す模式図であって、(a)は中
央を、(b)は境界を、(c)は中央と境界の中間ゾー
ンをそれぞれ示す。
【図8】図8は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
図である。
【図9】図9は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
図である。
【図10】図10は図7の模式図の(a)で示されるコ
ロニーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図11】図11は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真図である。
【図12】図12は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真図である。
【図13】図13は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真図である。
【図14】図14は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図15】図15は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図16】図16は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図17】図17は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図18】図18は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真図である。
【図19】図19aは“社会的滑走”と呼ばれる細菌の
表面転移機構(この機構によって細菌が群として移動す
る)の、平板ガラス上に付着した分析級硫酸第一鉄のフ
イルムの中に生成した典型的な軌条、即ちトラックを示
す写真図であり、図19bは硫酸第一鉄に加えて細菌の
発育に必要とされる他の塩を含有する塩類のフイルムの
中に得られたコロニーを示す写真図である。
【図20】図20は30℃でインキュベートされた、B
菌株を接種することによって、酸性化された合成C
uSの中に得られた結晶性外観を持つ青色のコロニーを
示す写真図である。
【図21】図21は酸性化された合成CuSを持つ平板
の中の、平板中央にBA菌株の濃縮懸濁液を接種し、
平板を半分開いた状態にして37℃で培養することによ
って得られた、淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物
を示す写真図である。
【図22】図22は85℃でインキュベートされたCR
T菌株が接種された、酸性化合成CuSを持つ平板の中
の淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物を示す写真図
である。
【図23】図23は基質として−100メッシュに粉砕
された高純度の天然黄鉄鉱試験体を用いることによって
得られた可溶性鉄化合物に結び付いた、30℃でインキ
ュベートされたCM菌株のコロニーを示す写真図であ
る。
【図24】図24は基質として酸性化閃亜鉛鉱濃厚物を
用いることによって得られた白色の硫酸亜鉛と結び付い
た、ATCC19.859菌株が接種され、30℃でイ
ンキュベートされた細菌の発育物を示す写真図である。
【図25】図25は図24の平板と同じようにして調製
された、酸性化中に加えられた水の90%が失われるま
で脱水され、矢印で示される場所に液状接種物が接種さ
れた平板を示す写真図である。
【図26】図26は矢印で示される接種場所における、
硫酸亜鉛に結び付いた、固体培養菌からCRT菌株が接
種され、平板を中程まで開けたままにして96℃でイン
キュベートされた細菌の発育物を示す写真図である。
【図27】図27は基質として天然Sb試験体を
使用し、30℃でインキュベートされたBA菌株の発
育物を示す写真図である。
【図28】図28a〜dは酸性化された合成硫化コバル
ト(CoS)に色々な菌株を接種することによって得ら
れた赤色コロニーを示す写真図である。
【図29】図29a〜bは銅の主試験体として輝銅鉱
(CuS)及び硫砒銅鉱(3CuS・As
を含んで成る酸性化された濃厚物中にBA菌株及びC
菌株を接種し、平板を開いたままにしておいて30
℃でインキュベートすることによって得られた淡青色の
コロニーを示す写真図である。
【図30】図30a〜bは図29に示される同じ平板か
らもっと短い距離で撮った写真図である。
【図31】図31aは銅の主試験体としてバイオ酸化に
付されていない輝銅鉱(CuS)(左)と、平板を開
いたままにして37℃において16時間インキュベート
された、CM菌株によるバイオ酸化に付された輝銅鉱
(右)から成る1/4インチに摩砕された鉱石を示す写
真図であり、図31bはバイオ酸化に付されたその鉱石
を示す写真図である。
【図32】図32a〜bはもっと短い距離で撮った、図
31のコロニー化され、バイオ酸化された同じ鉱石を示
す写真図である。
【図33】図33は−100メッシュに粉砕され、かつ
酸性化された、2.1%の輝銅鉱を含有する銅鉱物中
の、37℃でインキュベートされたCM菌株の発育物
を示す写真図である。
【図34】図34は平板領域中での、始めに脱水された
CM菌株の発育物を示す写真図あって、矢印は接種場
所を示し、基質は図33の基質と同じであった。
【図35】図35は細菌コロニーの液状培地中懸濁液か
ら得られた顕微鏡による観察結果の模式図である。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年10月11日
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は寒天化第一鉄の培地を持つ平板の脱水さ
れたもっとも薄い端にあるコロニーを示す写真であっ
て、矢印は接種場所を示す。
【図2】図2は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真である。
【図3】図3は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真である。
【図4】図4は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真である。
【図5】図5は平板のガラス上の塩付着物中に得られた
コロニーを示す写真であって、塩は濃縮された3cm
の第一鉄の液状培地(ゲル化剤なし)の脱水に由来する
ものである。
【図6】図6は脱水された寒天化第一鉄の培地の上に得
られたコロニーを示す写真である。
【図7】図7は図6において矢印で示されるコロニーと
同様の星型コロニーを示す模式図であって、(a)は中
央を、(b)は境界を、(c)は中央と境界の中間ゾー
ンをそれぞれ示す。
【図8】図8は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
である。
【図9】図9は図7の模式図の(a)で示されるコロニ
ーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた写真
である。
【図10】図10は図7の模式図の(a)で示されるコ
ロニーの中央に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図11】図11は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真である。
【図12】図12は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真である。
【図13】図13は図7の模式図の(c)で示されるコ
ロニーの中間ゾーンに相当する部分の、走査顕微鏡で得
られた写真である。
【図14】図14は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図15】図15は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図16】図16は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図17】図17は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図18】図18は図7の模式図の(b)で示されるコ
ロニーの境界に相当する部分の、走査顕微鏡で得られた
写真である。
【図19】図19aは“社会的滑走”と呼ばれる細菌の
表面転移機構(この機構によって細菌が群として移動す
る)の、平板ガラス上に付着した分析級硫酸第一鉄のフ
イルムの中に生成した典型的な軌条、即ちトラックを示
す写真であり、図19bは硫酸第一鉄に加えて細菌の発
育に必要とされる他の塩を含有する塩類のフイルムの中
に得られたコロニーを示す写真である。
【図20】図20は30℃でインキュベートされた、B
菌株を接種することによって、酸性化された合成C
uSの中に得られた結晶性外観を持つ青色のコロニーを
示す写真である。
【図21】図21は酸性化された合成CuSを持つ平板
の中の、平板中央にBA菌株の濃縮懸濁液を接種し、
平板を半分開いた状態にして37℃で培養することによ
って得られた、淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物
を示す写真である。
【図22】図22は85℃でインキュベートされたCR
T菌株が接種された、酸性化合成CuSを持つ平板の中
の淡青色の結晶と結び付いた細菌の発育物を示す写真で
ある。
【図23】図23は基質として−100メッシュに粉砕
された高純度の天然黄鉄鉱試験体を用いることによって
得られた可溶性鉄化合物に結び付いた、30℃でインキ
ュベートされたCM菌株のコロニーを示す写真であ
る。
【図24】図24は基質として酸性化閃亜鉛鉱濃厚物を
用いることによって得られた白色の硫酸亜鉛と結び付い
た、ATCC19.859菌株が接種され、30℃でイ
ンキュベートされた細菌の発育物を示す写真である。
【図25】図25は図24の平板と同じようにして調製
された、酸性化中に加えられた水の90%が失われるま
で脱水され、矢印で示される場所に液状接種物が接種さ
れた平板を示す写真である。
【図26】図26は矢印で示される接種場所における、
硫酸亜鉛に結び付いた、固体培養菌からCRT菌株が接
種され、平板を中程まで開けたままにして96℃でイン
キュベートされた細菌の発育物を示す写真である。
【図27】図27は基質として天然Sb試験体を
使用し、30℃でインキュベートされたBA菌株の発
育物を示す写真である。
【図28】図28a〜dは酸性化された合成硫化コバル
ト(CoS)に色々な菌株を接種することによって得ら
れた赤色コロニーを示す写真である。
【図29】図29a〜bは銅の主試験体として輝銅鉱
(CuS)及び硫砒銅鉱(3CuS・As
を含んで成る酸性化された濃厚物中にBA菌株及びC
菌株を接種し、平板を開いたままにしておいて30
℃でインキュベートすることによって得られた淡青色の
コロニーを示す写真である。
【図30】図30a〜bは図29に示される同じ平板か
らもっと短い距離で撮った写真である。
【図31】図31aは銅の主試験体としてバイオ酸化に
付されていない輝銅鉱(CuS)(左)と、平板を開
いたままにして37℃において16時間インキュベート
された、CM菌株によるバイオ酸化に付された輝銅鉱
(右)から成る1/4インチに摩砕された鉱石を示す写
真であり、図31bはバイオ酸化に付されたその鉱石を
示す写真である。
【図32】図32a〜bはもっと短い距離で撮った、図
31のコロニー化され、バイオ酸化された同じ鉱石を示
す写真である。
【図33】図33は−100メッシュに粉砕され、かつ
酸性化された、2.1%の輝銅鉱を含有する銅鉱物中
の、37℃でインキュベートされたCM菌株の発育物
を示す写真である。
【図34】図34は平板領域中での、始めに脱水された
CM菌株の発育物を示す写真であって、矢印は接種場
所を示し、基質は図33の基質と同じであった。
【図35】図35は細菌コロニーの液状培地中懸濁液か
ら得られた顕微鏡による観察結果の模式図である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図7】
【図22】
【図24】
【図35】
【図2】
【図26】
【図27】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図16】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図18】
【図23】
【図19】
【図25】
【図20】
【図33】
【図21】
【図34】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉱石又は濃厚物に含まれ、微生物のに基
    質を構成する鉱物質の化合物をバイオ酸化してそれらを
    可溶化及び分離するバイオ冶金法にして、次の: (a)鉱石又は濃厚物を中和し、固結を防ぎ、かつ微生
    物にとって適正な酸性度となすのに最も都合がよいと前
    以て決定された量であって、好ましくは可能な最低容量
    の溶液に含有されるそのような量の酸を用いて該鉱石又
    は濃厚物をコンディショニングするか、又は可能な最低
    量の水を系に導入しつつ該基質を均一に酸性化するよう
    に該鉱石又は濃厚物を酸蒸気と接触させ工程; (b)工程(a)と同時か若しくは工程(a)とは独立
    に、関心の対象になっている鉱物質化合物を酸化するこ
    とができる、又は鉱石自体の微生物フローラを富化させ
    ることができる微生物の接種物を加える工程; (c)熱力学的に利用可能な水が微生物のコロニーを順
    次構成することになるバイオ酸化生成物を固体状態で得
    るために十分に低くなるまで、蒸発によってか又は空気
    を流しながら乾燥することによって、系に存在するだろ
    う過剰の水が自然に失われるのを可能にするか、又は失
    われるように導くのを可能にする工程;及び (d)該バイオ酸化生成物を分離する工程;を特徴とす
    る前記バイオ冶金法。
  2. 【請求項2】 鉱石又は濃厚物のコンディショニング工
    程が微生物の発育及び基質のバイオ酸化を可能にするの
    に必要な前以て決定された化合物の、微生物の菌株及び
    問題にしている鉱石又は濃厚物の組成に依存して行われ
    る添加工程を含むことができることを特徴とする請求項
    1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 コンディショニング溶液の容量を微生物
    の発育も改善する表面活性剤の添加によって少なくする
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 化合物を添加して熱力学的に利用可能な
    水を減少させることによってバイオ酸化活性を高めるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 使用微生物が5〜100℃の範囲の温度
    で発育するものであることを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 熱力学的に利用可能な水を交互に増加及
    び減少させることことによって、バイオ酸化された粒子
    を少なくとも部分的に可溶化し、かくして該粒子中に含
    まれる微生物を放出させて、湿った環境で該微生物が新
    しい基質粒子に到達し、そして続いて起こる水の活性低
    下後にそれら粒子を酸化できるようになし、そしてこれ
    らの操作を期待収率を得るのに必要とされる通りに繰り
    返すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 バイオ酸化生成物を洗滌、ふるい分け又
    はその他適当な方法で分離することを特徴とする請求項
    1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 金属のバイオ浸出においては、バイオ酸
    化された化合物が関心の対象になっている生成物であ
    り、残っている固体が残留物を構成し、他方精製プロセ
    スにおいては、バイオ酸化された化合物が残留物であ
    り、残っている固体が精製された生成物を構成すること
    を特徴とする請求項7に記載の方法。
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