JPH0841423A - 絶縁電線用塗料および絶縁電線 - Google Patents
絶縁電線用塗料および絶縁電線Info
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- JPH0841423A JPH0841423A JP17422894A JP17422894A JPH0841423A JP H0841423 A JPH0841423 A JP H0841423A JP 17422894 A JP17422894 A JP 17422894A JP 17422894 A JP17422894 A JP 17422894A JP H0841423 A JPH0841423 A JP H0841423A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 ウレタン結合を有する絶縁電線用塗料におい
て、溶媒としてα- ヒドロキシイソ酪酸又はその誘導体
を用いた絶縁電線用塗料、および該塗料を塗布焼付けし
てなる絶縁電線。 【効果】 塗料樹脂と溶媒との相溶性の良く、皮膜中の
残留溶媒量が少ないので、密閉型リレーコイルなどにお
いて、安全性、機能性が大幅に向上される。
て、溶媒としてα- ヒドロキシイソ酪酸又はその誘導体
を用いた絶縁電線用塗料、および該塗料を塗布焼付けし
てなる絶縁電線。 【効果】 塗料樹脂と溶媒との相溶性の良く、皮膜中の
残留溶媒量が少ないので、密閉型リレーコイルなどにお
いて、安全性、機能性が大幅に向上される。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器、電気通信
器、電気計器等の巻線および配線に使用される銅線、ア
ルミナ線等の導体の絶縁皮膜に有用な焼付用絶縁電線塗
料、および該塗料による絶縁電線に関する。 【0002】 【従来の技術】上記の電気機器等においては、半導体技
術の進歩とユーザーの要求から小型軽量化、高性能高品
位化、商品コストの低減化の要求が急速に高まってい
る。また同時に、長時間、過酷な機器の使用に対して、
安全性と安定した機能性も要求されている。更に電気機
器等の重要なる部分を占めるマグネットワイヤーと、そ
れを製造するための絶縁電線用塗料においては、このよ
うな要求に対して、生産性の向上、特性の向上はもとよ
り、安全性・機能性の向上が必要とされる。従来のポリ
ウレタン系絶縁電線用塗料は、その塗料中の多価マスキ
ングイソシアネート化合物のマスキング剤および溶媒と
して、クレゾール、キシレノール類、フェノール等のフ
ェノール類と、希釈溶媒としてキシレン、ソルべントナ
フサ#2 または当該相当品等を任意に混合した系が用い
られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のポリウレタン系
絶縁電線用塗料で上記の如きマスキング剤および溶媒を
用いてマグネットワイヤーを製造し、電気機器等に用い
る場合に、次のような課題が挙げられる。多くの電気機
器等に組み込まれているのは密閉型リレーコイルである
ので、従来のマグネットワイヤーを用いた場合、ワイヤ
ーの電線皮膜中に残留するフェノール類が多量に存在
し、密閉リレーコイルの作動の繰り返しにより、系内が
加熱、特にコイルが加熱され、残留フェノール類等が気
化して系内に充満して、リレーの接点部の劣化を引き起
こし、リレーの機能を停止させるため電気機器等の安全
性に大きな損失要因となる。また他のコイルにおいても
マグネットワイヤーの電線皮膜中に多量の残留溶剤が存
在すると、機器の使用時の加熱により気化発散し、周辺
部品の劣化を引き起こすと共に使用環境上の問題も生じ
る。従ってこのようなフェノール系マスキング剤および
溶媒を用いたポリウレタン系絶縁電線用塗料による絶縁
電線では、近年の電気機器等の小型軽量化、高性能高品
位化や、安全性、機能性の大幅な向上の要求に対処する
ことができないという重大な欠点を有する。 【0004】 【課題を解決するための手段】発明者等はポリウレタン
系絶縁電線用塗料における上記の如き課題を解消するた
めに鋭意検討した結果、α- ヒドロキシイソ酪酸および
その誘導体はポリウレタン系絶縁電線用塗料に対して相
溶性が良く、該塗料の導体上への複数回塗布焼付け時に
塗料皮膜中へ溶媒残留を許さないことから、ポリウレタ
ン系絶縁電線用塗料にα- ヒドロキシイソ酪酸およびそ
の誘導体を溶媒として用いることにより安全性、機能性
および耐環境性が確保されることを見出し本発明に到達
した。 【0005】即ち本発明は、ウレタン結合を有する絶縁
電線用塗料において、溶媒として下記の一般式で示され
る1種又は2種以上のα- ヒドロキシイソ酪酸又はその
誘導体を用いることを特徴とする絶縁電線用塗料、 【化2】 〔R1 は水素原子またはCn H2n+1 (n=1〜10)で
表されるアルキル基、R2 は水素原子またはCn H2n+1
(n=1 〜5 )で表わされるアルキル基であり、R1 お
よびR2 は同一でもまた相異っていてもよい〕、および
該絶縁電線用塗料を導体上に塗布焼付けし、所定の膜厚
の絶縁皮膜を形成せしめてなる絶縁電線である。 【0006】本発明で使用されるウレタン結合を有する
絶縁電線用塗料としては、ポリウレタン系、ポリエステ
ルイミドウレタン系絶縁電線用塗料等が挙げられる。該
塗料の代表例を商品名にて説明すると次の通りである。
ポリウレタン系としては、ウレタン結合をもつ各種のも
のが適用でき、多価マスキングイソシアネート化合物と
ポリエーテル、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン
ポリオール化合物との反応により絶縁皮膜を形成しうる
ものが適用できる。多価マスキングイソシアネート化合
物の具体例としては、コロネート2503、MS-50 、APステ
ープル(日本ポリウレタン工業株式会社商品名)など各
種が挙げられる。ポリオール化合物の具体例としては、
ニッポラン2006(日本ポリウレタン工業株式会社商品
名)、エピコート1007(シェル化学工業株式会社商品
名)、デスモヘン600 、800 、D-70(バイエル社商品
名)など各種のポリオール化合物が挙げられる。ポリエ
ステルイミドウレタン系絶緑電線用塗料はポリオール側
として芳香族ポリイミドの主鎖にエステル結合を導入し
たものに上記の多価マスキングイソシアネートを介した
塗料が使用できる。 【0007】本発明に使用されるα- ヒドロキシイソ酪
酸エステルの誘導体は、次の一般式で表わされる。 【化3】 〔R1 は水素原子またはCn H2n+1 (n=1〜10)で
表されるアルキル基、R2 は水素原子またはCn H2n+1
(n=1 〜5 )で表わされるアルキル基であり、R1 お
よびR2 は同一でもまた相異っていてもよい〕 α- ヒドロキシイソ酪酸エステルは、例えばアセトンシ
アンヒドリンを水和して得られるα- ヒドロキシイソ酪
酸アミドをギ酸エステルと反応させることにより製造さ
れる(特開平2-193952号、特開平1-290650号) 。なおα
- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを脱水することに
よりMMA(メタクリル酸メチル)が得られるので、こ
の新規なMMA製造プロセスが工業化されることによ
り、α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルはその中間
体として安価に安定して入手できる。 【0008】α- ヒドロキシイソ酪酸の誘導体の例とし
ては、α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル、α- ヒ
ドロキシイソ酪酸エチルエステル、α- ヒドロキシイソ
酪酸プロピルエステル、α- ヒドロキシイソ酪酸ブチル
エステル、α- ヒドロキシイソ酪酸イソブチルエステ
ル、α- ヒドロキシイソ酪酸ペンチルエステル、α- ヒ
ドロキシイソ酪酸ヘキシルエステルなどのα- ヒドロキ
シイソ酪酸エステル;α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエ
ーテル、α- ヒドロキシイソ酪酸エチルエーテルなどの
α- ヒドロキシイソ酪酸エーテルなどが挙げられる。ま
たα- ヒドロキシイソ酪酸の誘導体には、上記のような
R1 の置換物のみならず、R2 がアルキル基に置換され
たものなどのα- ヒドロキシイソ酪酸系骨格を有する化
合物も各種適用できる。α- ヒドロキシイソ酪酸または
その誘導体(以下、α- ヒドロキシイソ酪酸系溶媒とも
云う)は、通常、常温にて液状のものが用いられる。 【0009】本発明ではα- ヒドロキシイソ酪酸または
その誘導体の1種または2種以上を使用するが、これら
と他の溶媒とを併用しても良い。すなわちα- ヒドロキ
シイソ酪酸系溶媒は、希釈溶媒としてはもとより、各種
混合系としても用いることができる。併用される他溶媒
としては、フェノール類、ソルベントナフサ#2 タイ
プ、カルビトール類、グリコール類、セロソルブ類等、
一般的に使用されている溶媒が使用できるが、特にキシ
レンが好適に用いられる。α- ヒドロキシイソ酪酸又は
その誘導体の濃度は、全溶媒中少なくとも10重量%であ
る。希釈溶媒は90重量%未満とする理由は、残留溶媒の
量や塗料中の樹脂と溶媒系との相溶性などを考慮したも
のである。 【0010】本発明の絶縁電線用塗料は、通常、導体上
に複数回塗布焼付けして、所定の膜厚の絶縁皮膜を形成
して絶縁電線などに用いられる。本発明の絶縁電線用塗
料は、塗料樹脂と溶媒との相溶性が良く、皮膜中の残留
溶媒が少ないので、密閉型リレーコイルなどにおいて、
安全性、機能性が大幅に向上し、使用環境上の問題も解
消される。 【0011】 【実施例】次に実施例および比較例により本発明を更に
具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例により
制限されるものではない。なお各実施例および比較例に
おける絶縁電線用塗料の焼付け条件、電線特性試験結果
および残留溶媒発生量の測定結果を表1に示す。なお残
留溶媒のフェノール、クレゾールおよびキシレノールは
多価マスキングイソシアネート化合物のマスキング剤と
して使用されているものである。 【0012】実施例1 多価マスキングイソシアネート成分であるMS−50
(日本ポリウレタン社製)235.4g、ポリオール成
分であるニッポラン2006(日本ポリウレタン社製)
134.6g、溶媒成分としてα- ヒドロキシイソ酪酸
メチルエステル(以下、HBMと称する)630.0g
を均一混合し、固形含有量37重量%のポリウレタン系
絶縁電線用塗料を得た。得られた絶縁電線用塗料を0.
2mmφの銅線上に塗布焼付け、絶縁電線を作成し、JI
S−C−3003の規格に準拠して電線特性試験(半田
付試験温度=380℃)を行った。また下記に示す方法
に従い加熱時の皮膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0013】 (加熱時の残留溶媒発生量の測定方法) 1.測定方法 ヘッドスペース法 2.使用機器 ガスクロマトグラフGC−14B(島津製作所社製) ヘッドスペース分析システムHSS-2B(島津製作所社製) 3.試料量 各々の電線4g 4.試料加熱条件 150℃、60分 5.ガスクロマトグラフ分析条件 カラム HR−1701(0.32mmφ−25m) 検出器 FID レンジ 101 温 度 インジェクション 180℃ 検出器 250℃ カラム 45〜165℃(昇温速度=5℃/分) キャリアガス ヘリウム 【0014】実施例2 実施例1において溶媒成分をHBM257.2g、キシ
レン257.2gとした他は、全て同一としたポリウレ
タン系絶縁電線用塗料(固形含有量37重量%)を得
た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と同様に、銅線
上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線特性試験を行
い、また加熱時の皮膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0015】実施例3 実施例1において溶媒成分をα−ヒドロキシイソ酪酸エ
チルエステル(以下、HBEと称する)630.0gと
した他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用塗
料(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電線
用塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁
電線を作成し、電線特性試験を行い、また加熱時の皮膜
中の残留溶媒発生量を測定した。 【0016】実施例4 実施例1において溶媒成分をα−ヒドロキシイソ酪酸プ
ロピルエステル(以下、HBPと称する)630.0g
とした他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用
塗料(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電
線用塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶
縁電線を作成し、電線特性試験を行い、また加熱時の皮
膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0017】実施例5 トリメリット酸無水物、4,4`- ジアミノフェニルメタ
ン、イソフタル酸、エチレングリコール、グリセリンを
用いてOH価270mgKOH/g のイミド化合物を合成し、
これにクレゾールを加え固形含有量60%のイミド基含
有ポリエステルポリオール溶液を得た。上記のポリオー
ル成分を289.1g、多価マスキングイソシアネート
成分としてMS−50(日本ポリウレタン社製)を19
6.5g、溶剤成分としてHBM514.4gを均一に
混合し、固形含有量37%のポリエステルイミドウレタ
ン系絶縁電線用塗料を得た。得られた絶縁電線用塗料を
実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電線を作
成し、電線特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発生量を
測定した。 【0018】実施例6 実施例3において溶媒成分をHBM257.2g、キシ
レン257.2gとした他は、全て同一としたポリエス
テルイミドウレタン系絶縁電線用塗料(固形含有量37
重量%)を得た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と
同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線
特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発生量を測定した。 【0019】比較例1 実施例1において溶媒成分をクレゾール189.0g、
フェノール126.0g、キシレン315.0gとした
他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用塗料
(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電線用
塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電
線を作成し、電線特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発
生量を測定した。 【0020】比較例2 実施例3において溶媒成分を溶媒成分をクレゾール15
4.3g、フェノール102.9g、キシレン257.
2gとした他は、全て同一としたポリエステルイミドウ
レタン系絶縁電線用塗料(固形含有量37重量%)を得
た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と同様に、銅線
上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線特性試験を行
い、加熱時の残留溶媒発生量を測定した。 【0021】 【表1】【0022】 【発明の効果】以上の実施例より明らかなように、本発
明の絶縁電線用塗料を用いた場合には、塗料樹脂と溶媒
との相溶性が良く、皮膜中の残留溶媒量が少ないので、
密閉型リレーコイルなどにおいて、安全性、機能性が大
幅に向上される。
器、電気計器等の巻線および配線に使用される銅線、ア
ルミナ線等の導体の絶縁皮膜に有用な焼付用絶縁電線塗
料、および該塗料による絶縁電線に関する。 【0002】 【従来の技術】上記の電気機器等においては、半導体技
術の進歩とユーザーの要求から小型軽量化、高性能高品
位化、商品コストの低減化の要求が急速に高まってい
る。また同時に、長時間、過酷な機器の使用に対して、
安全性と安定した機能性も要求されている。更に電気機
器等の重要なる部分を占めるマグネットワイヤーと、そ
れを製造するための絶縁電線用塗料においては、このよ
うな要求に対して、生産性の向上、特性の向上はもとよ
り、安全性・機能性の向上が必要とされる。従来のポリ
ウレタン系絶縁電線用塗料は、その塗料中の多価マスキ
ングイソシアネート化合物のマスキング剤および溶媒と
して、クレゾール、キシレノール類、フェノール等のフ
ェノール類と、希釈溶媒としてキシレン、ソルべントナ
フサ#2 または当該相当品等を任意に混合した系が用い
られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のポリウレタン系
絶縁電線用塗料で上記の如きマスキング剤および溶媒を
用いてマグネットワイヤーを製造し、電気機器等に用い
る場合に、次のような課題が挙げられる。多くの電気機
器等に組み込まれているのは密閉型リレーコイルである
ので、従来のマグネットワイヤーを用いた場合、ワイヤ
ーの電線皮膜中に残留するフェノール類が多量に存在
し、密閉リレーコイルの作動の繰り返しにより、系内が
加熱、特にコイルが加熱され、残留フェノール類等が気
化して系内に充満して、リレーの接点部の劣化を引き起
こし、リレーの機能を停止させるため電気機器等の安全
性に大きな損失要因となる。また他のコイルにおいても
マグネットワイヤーの電線皮膜中に多量の残留溶剤が存
在すると、機器の使用時の加熱により気化発散し、周辺
部品の劣化を引き起こすと共に使用環境上の問題も生じ
る。従ってこのようなフェノール系マスキング剤および
溶媒を用いたポリウレタン系絶縁電線用塗料による絶縁
電線では、近年の電気機器等の小型軽量化、高性能高品
位化や、安全性、機能性の大幅な向上の要求に対処する
ことができないという重大な欠点を有する。 【0004】 【課題を解決するための手段】発明者等はポリウレタン
系絶縁電線用塗料における上記の如き課題を解消するた
めに鋭意検討した結果、α- ヒドロキシイソ酪酸および
その誘導体はポリウレタン系絶縁電線用塗料に対して相
溶性が良く、該塗料の導体上への複数回塗布焼付け時に
塗料皮膜中へ溶媒残留を許さないことから、ポリウレタ
ン系絶縁電線用塗料にα- ヒドロキシイソ酪酸およびそ
の誘導体を溶媒として用いることにより安全性、機能性
および耐環境性が確保されることを見出し本発明に到達
した。 【0005】即ち本発明は、ウレタン結合を有する絶縁
電線用塗料において、溶媒として下記の一般式で示され
る1種又は2種以上のα- ヒドロキシイソ酪酸又はその
誘導体を用いることを特徴とする絶縁電線用塗料、 【化2】 〔R1 は水素原子またはCn H2n+1 (n=1〜10)で
表されるアルキル基、R2 は水素原子またはCn H2n+1
(n=1 〜5 )で表わされるアルキル基であり、R1 お
よびR2 は同一でもまた相異っていてもよい〕、および
該絶縁電線用塗料を導体上に塗布焼付けし、所定の膜厚
の絶縁皮膜を形成せしめてなる絶縁電線である。 【0006】本発明で使用されるウレタン結合を有する
絶縁電線用塗料としては、ポリウレタン系、ポリエステ
ルイミドウレタン系絶縁電線用塗料等が挙げられる。該
塗料の代表例を商品名にて説明すると次の通りである。
ポリウレタン系としては、ウレタン結合をもつ各種のも
のが適用でき、多価マスキングイソシアネート化合物と
ポリエーテル、ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン
ポリオール化合物との反応により絶縁皮膜を形成しうる
ものが適用できる。多価マスキングイソシアネート化合
物の具体例としては、コロネート2503、MS-50 、APステ
ープル(日本ポリウレタン工業株式会社商品名)など各
種が挙げられる。ポリオール化合物の具体例としては、
ニッポラン2006(日本ポリウレタン工業株式会社商品
名)、エピコート1007(シェル化学工業株式会社商品
名)、デスモヘン600 、800 、D-70(バイエル社商品
名)など各種のポリオール化合物が挙げられる。ポリエ
ステルイミドウレタン系絶緑電線用塗料はポリオール側
として芳香族ポリイミドの主鎖にエステル結合を導入し
たものに上記の多価マスキングイソシアネートを介した
塗料が使用できる。 【0007】本発明に使用されるα- ヒドロキシイソ酪
酸エステルの誘導体は、次の一般式で表わされる。 【化3】 〔R1 は水素原子またはCn H2n+1 (n=1〜10)で
表されるアルキル基、R2 は水素原子またはCn H2n+1
(n=1 〜5 )で表わされるアルキル基であり、R1 お
よびR2 は同一でもまた相異っていてもよい〕 α- ヒドロキシイソ酪酸エステルは、例えばアセトンシ
アンヒドリンを水和して得られるα- ヒドロキシイソ酪
酸アミドをギ酸エステルと反応させることにより製造さ
れる(特開平2-193952号、特開平1-290650号) 。なおα
- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを脱水することに
よりMMA(メタクリル酸メチル)が得られるので、こ
の新規なMMA製造プロセスが工業化されることによ
り、α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルはその中間
体として安価に安定して入手できる。 【0008】α- ヒドロキシイソ酪酸の誘導体の例とし
ては、α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル、α- ヒ
ドロキシイソ酪酸エチルエステル、α- ヒドロキシイソ
酪酸プロピルエステル、α- ヒドロキシイソ酪酸ブチル
エステル、α- ヒドロキシイソ酪酸イソブチルエステ
ル、α- ヒドロキシイソ酪酸ペンチルエステル、α- ヒ
ドロキシイソ酪酸ヘキシルエステルなどのα- ヒドロキ
シイソ酪酸エステル;α- ヒドロキシイソ酪酸メチルエ
ーテル、α- ヒドロキシイソ酪酸エチルエーテルなどの
α- ヒドロキシイソ酪酸エーテルなどが挙げられる。ま
たα- ヒドロキシイソ酪酸の誘導体には、上記のような
R1 の置換物のみならず、R2 がアルキル基に置換され
たものなどのα- ヒドロキシイソ酪酸系骨格を有する化
合物も各種適用できる。α- ヒドロキシイソ酪酸または
その誘導体(以下、α- ヒドロキシイソ酪酸系溶媒とも
云う)は、通常、常温にて液状のものが用いられる。 【0009】本発明ではα- ヒドロキシイソ酪酸または
その誘導体の1種または2種以上を使用するが、これら
と他の溶媒とを併用しても良い。すなわちα- ヒドロキ
シイソ酪酸系溶媒は、希釈溶媒としてはもとより、各種
混合系としても用いることができる。併用される他溶媒
としては、フェノール類、ソルベントナフサ#2 タイ
プ、カルビトール類、グリコール類、セロソルブ類等、
一般的に使用されている溶媒が使用できるが、特にキシ
レンが好適に用いられる。α- ヒドロキシイソ酪酸又は
その誘導体の濃度は、全溶媒中少なくとも10重量%であ
る。希釈溶媒は90重量%未満とする理由は、残留溶媒の
量や塗料中の樹脂と溶媒系との相溶性などを考慮したも
のである。 【0010】本発明の絶縁電線用塗料は、通常、導体上
に複数回塗布焼付けして、所定の膜厚の絶縁皮膜を形成
して絶縁電線などに用いられる。本発明の絶縁電線用塗
料は、塗料樹脂と溶媒との相溶性が良く、皮膜中の残留
溶媒が少ないので、密閉型リレーコイルなどにおいて、
安全性、機能性が大幅に向上し、使用環境上の問題も解
消される。 【0011】 【実施例】次に実施例および比較例により本発明を更に
具体的に説明する。但し本発明はこれらの実施例により
制限されるものではない。なお各実施例および比較例に
おける絶縁電線用塗料の焼付け条件、電線特性試験結果
および残留溶媒発生量の測定結果を表1に示す。なお残
留溶媒のフェノール、クレゾールおよびキシレノールは
多価マスキングイソシアネート化合物のマスキング剤と
して使用されているものである。 【0012】実施例1 多価マスキングイソシアネート成分であるMS−50
(日本ポリウレタン社製)235.4g、ポリオール成
分であるニッポラン2006(日本ポリウレタン社製)
134.6g、溶媒成分としてα- ヒドロキシイソ酪酸
メチルエステル(以下、HBMと称する)630.0g
を均一混合し、固形含有量37重量%のポリウレタン系
絶縁電線用塗料を得た。得られた絶縁電線用塗料を0.
2mmφの銅線上に塗布焼付け、絶縁電線を作成し、JI
S−C−3003の規格に準拠して電線特性試験(半田
付試験温度=380℃)を行った。また下記に示す方法
に従い加熱時の皮膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0013】 (加熱時の残留溶媒発生量の測定方法) 1.測定方法 ヘッドスペース法 2.使用機器 ガスクロマトグラフGC−14B(島津製作所社製) ヘッドスペース分析システムHSS-2B(島津製作所社製) 3.試料量 各々の電線4g 4.試料加熱条件 150℃、60分 5.ガスクロマトグラフ分析条件 カラム HR−1701(0.32mmφ−25m) 検出器 FID レンジ 101 温 度 インジェクション 180℃ 検出器 250℃ カラム 45〜165℃(昇温速度=5℃/分) キャリアガス ヘリウム 【0014】実施例2 実施例1において溶媒成分をHBM257.2g、キシ
レン257.2gとした他は、全て同一としたポリウレ
タン系絶縁電線用塗料(固形含有量37重量%)を得
た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と同様に、銅線
上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線特性試験を行
い、また加熱時の皮膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0015】実施例3 実施例1において溶媒成分をα−ヒドロキシイソ酪酸エ
チルエステル(以下、HBEと称する)630.0gと
した他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用塗
料(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電線
用塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁
電線を作成し、電線特性試験を行い、また加熱時の皮膜
中の残留溶媒発生量を測定した。 【0016】実施例4 実施例1において溶媒成分をα−ヒドロキシイソ酪酸プ
ロピルエステル(以下、HBPと称する)630.0g
とした他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用
塗料(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電
線用塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶
縁電線を作成し、電線特性試験を行い、また加熱時の皮
膜中の残留溶媒発生量を測定した。 【0017】実施例5 トリメリット酸無水物、4,4`- ジアミノフェニルメタ
ン、イソフタル酸、エチレングリコール、グリセリンを
用いてOH価270mgKOH/g のイミド化合物を合成し、
これにクレゾールを加え固形含有量60%のイミド基含
有ポリエステルポリオール溶液を得た。上記のポリオー
ル成分を289.1g、多価マスキングイソシアネート
成分としてMS−50(日本ポリウレタン社製)を19
6.5g、溶剤成分としてHBM514.4gを均一に
混合し、固形含有量37%のポリエステルイミドウレタ
ン系絶縁電線用塗料を得た。得られた絶縁電線用塗料を
実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電線を作
成し、電線特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発生量を
測定した。 【0018】実施例6 実施例3において溶媒成分をHBM257.2g、キシ
レン257.2gとした他は、全て同一としたポリエス
テルイミドウレタン系絶縁電線用塗料(固形含有量37
重量%)を得た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と
同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線
特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発生量を測定した。 【0019】比較例1 実施例1において溶媒成分をクレゾール189.0g、
フェノール126.0g、キシレン315.0gとした
他は、全て同一としたポリウレタン系絶縁電線用塗料
(固形含有量37重量%)を得た。得られた絶縁電線用
塗料を実施例1と同様に、銅線上に塗布焼付けて絶縁電
線を作成し、電線特性試験を行い、加熱時の残留溶媒発
生量を測定した。 【0020】比較例2 実施例3において溶媒成分を溶媒成分をクレゾール15
4.3g、フェノール102.9g、キシレン257.
2gとした他は、全て同一としたポリエステルイミドウ
レタン系絶縁電線用塗料(固形含有量37重量%)を得
た。得られた絶縁電線用塗料を実施例1と同様に、銅線
上に塗布焼付けて絶縁電線を作成し、電線特性試験を行
い、加熱時の残留溶媒発生量を測定した。 【0021】 【表1】【0022】 【発明の効果】以上の実施例より明らかなように、本発
明の絶縁電線用塗料を用いた場合には、塗料樹脂と溶媒
との相溶性が良く、皮膜中の残留溶媒量が少ないので、
密閉型リレーコイルなどにおいて、安全性、機能性が大
幅に向上される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 小石川 勇
茨城県新治郡千代田町上稲吉2044−6 オ
ート化学工業株式会社内
(72)発明者 近藤 琴美
茨城県新治郡千代田町上稲吉2044−6 オ
ート化学工業株式会社内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1 】ウレタン結合を有する絶縁電線用塗料にお
いて、溶媒として下記の一般式で示される1種又は2種
以上のα- ヒドロキシイソ酪酸又はその誘導体を用いる
ことを特徴とする絶縁電線用塗料。 【化1】 〔R1 は水素原子またはCn H2n+1 (n=1〜10)で
表されるアルキル基、R2 は水素原子またはCn H2n+1
(n=1 〜5 )で表わされるアルキル基であり、R1 お
よびR2 は同一でもまた相異っていてもよい〕。 【請求項2 】全溶媒中α- ヒドロキシイソ酪酸又はその
誘導体を少なくとも10重量%用いる請求項1記載の絶縁
電線用塗料。 【請求項3 】請求項1に記載の絶縁電線用塗料を導体上
に塗布焼付けし、所定の膜厚の絶縁皮膜を形成せしめて
なる絶縁電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17422894A JPH0841423A (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 絶縁電線用塗料および絶縁電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17422894A JPH0841423A (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 絶縁電線用塗料および絶縁電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0841423A true JPH0841423A (ja) | 1996-02-13 |
Family
ID=15974970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17422894A Pending JPH0841423A (ja) | 1994-07-26 | 1994-07-26 | 絶縁電線用塗料および絶縁電線 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0841423A (ja) |
-
1994
- 1994-07-26 JP JP17422894A patent/JPH0841423A/ja active Pending
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