JPH0840987A - 炭酸ジエステルの製造方法 - Google Patents

炭酸ジエステルの製造方法

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JPH0840987A
JPH0840987A JP6201436A JP20143694A JPH0840987A JP H0840987 A JPH0840987 A JP H0840987A JP 6201436 A JP6201436 A JP 6201436A JP 20143694 A JP20143694 A JP 20143694A JP H0840987 A JPH0840987 A JP H0840987A
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JP
Japan
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copper
catalyst
carbon
carbonic acid
acid diester
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JP6201436A
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English (en)
Inventor
Hirokazu Matsuda
洋和 松田
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルコール、一酸化炭素及び酸素を液相で反
応させ、副生物の生成を抑制しつつ、高い選択率で炭酸
ジエステルを製造する。 【構成】 酸化的カルボニル化触媒(例えば、酢酸銅、
ホウ酸銅などの銅系触媒)を含む液相系で、メタノール
などのアルコール、一酸化炭素および酸素を液相で反応
させる。その際、液相に、カーボンブラック、活性炭な
どの炭素材を共存させることにより、触媒活性を高め、
副反応を抑制し、高い選択率で炭酸ジエステルを生成さ
せる。炭素材として粉粒状活性炭を用いる場合が多い。
炭素材の添加量は、炭素原子換算で、アルコール1Lに
対して0.01〜50グラム原子程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコール類と一酸化
炭素と酸素との反応により炭酸ジエステルを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭酸ジエステルは、ガソリンの添加剤、
有機溶剤として有用であるとともに、カーボネート類、
カーバメート類、ウレタン類、医薬・農薬などの製造に
おける反応剤、特にホスゲンに代わる反応剤として有用
な化合物である。
【0003】炭酸ジエステルは、アルコール類にホスゲ
ンを反応させる方法により工業的に製造されている。し
かし、この方法では、毒性の強いホスゲンを使用する必
要があるとともに、アルコールとホスゲンとの反応によ
り腐蝕性の強い塩酸が多量に副生する。
【0004】炭酸ジエステルの製造方法して、ホスゲン
を使用することなく、パラジウム化合物を主触媒として
含むパラジウム系触媒、又は銅化合物を主触媒とする銅
系触媒の存在下、アルコールと一酸化炭素と酸素とを液
相で反応させる方法が提案されている。例えば、特公昭
61−8816号公報、特公昭61−43338号公報
には、パラジウム化合物を主触媒とし、ハロゲン化銅な
どの銅化合物とアルカリ金属化合物とを組合せた触媒系
が開示されている。
【0005】この方法は、パラジウム化合物の活性が高
いため、パラジウム含量が少量であっても、低い一酸化
炭素分圧の条件下でも反応が円滑に進行するという利点
がある。しかし、助触媒としての銅化合物が酸化銅とし
て析出したり、生成する水により塩基性塩化銅として不
溶化する。さらに、副生物であるシュウ酸ジメチルの加
水分解によりシュウ酸が生成し、銅触媒がシュウ酸銅と
して析出する。特にパラジウム触媒を用いると、カーボ
ネートが生成する中間体と同じパラジウム錯体の中間体
を経由してシュウ酸が生成するので、シュウ酸の副生を
避けることができない。そのため、析出した不溶物は、
配管類やバルブ類を閉塞し、工業的な操業に大きな障害
となる。
【0006】一方、特公昭56−8020号公報には、
銅系触媒を用いた反応が開示されている。銅系触媒は、
シュウ酸の副生ひいてはシュウ酸銅の析出がないため、
製造装置や作業性の点で有利である。しかし、銅系触媒
は、パラジウム系触媒に比べて活性が低いため、大量の
触媒を必要とするとともに、高い一酸化炭素分圧を必要
とする。さらに副生する二酸化炭素により、一酸化炭素
のパージロスが生じ、一酸化炭素を反応に有効に利用で
きなくなる。
【0007】特開平6−25080号公報には、ハロゲ
ン化第1銅を、必要に応じて配位性化合物とともに、一
酸化炭素の存在下、有機溶媒中で処理して活性炭などの
担体に担持する触媒調製法、およびこの触媒を気相又は
液相反応に用い、炭酸ジエステルを製造する方法が提案
されている。しかし、活性炭などの担体へ銅化合物を担
持するためには、複雑な工程を必要とする。しかも、ハ
ロゲン化第1銅を担持した固体触媒を用いても、副生物
が多く、炭酸ジエステルの生成効率が未だ十分でない。
【0008】なお、アルコール、一酸化炭素および酸素
を気相で反応させ、炭酸ジエステルを生成する方法にお
いても、担体に触媒成分を担持させた固体触媒が使用さ
れている。例えば、米国特許4,625,044号明細
書には、酸洗したリグナイト炭などの活性炭に、窒素含
有配向性化合物が配位した銅アルコキシハライド錯体を
用いることが開示されている。WO87/07601号
公報には活性炭にハロゲン化銅を担持した触媒、WO9
0/15791には、活性炭などの多孔質担体に、トリ
フェニルホスフィンなどの第3級有機リン化合物とハロ
ゲン化銅とを担持した触媒が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、液相法において、副生物の生成を抑制でき、高収率
で炭酸ジエステルを製造できる方法を提供することにあ
る。
【0010】本発明の他の目的は、高い選択率で炭酸ジ
エステルを製造できる方法を提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、触媒調製工程
を経ることなく簡単な操作で炭酸ジエステルを得ること
ができる炭酸ジエステルの製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するため鋭意検討した結果、液相に触媒成分と触媒
無担持炭素材を共存させると、担体に触媒成分を担持さ
せた固体触媒に比べて、副反応が顕著に抑制され、高い
選択率で炭酸ジエステルが生成することを見いだし、本
発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の方法では、カルボニル
化触媒の存在下、アルコールと一酸化炭素と酸素とを液
相で反応させ、炭酸ジエステルを生成させる方法であっ
て、前記液相に炭素材を共存させることにより炭酸ジエ
ステルを製造する。前記触媒としては、ハロゲン原子を
含まない銅系触媒、例えば、酢酸銅又はホウ酸銅などが
使用できる。前記炭素材は、活性炭などの種々の炭素質
材料が使用できる。また、液相に対する炭素材の添加
量、触媒と炭素材との割合は、副反応を抑制するととも
に炭酸ジエステルの生成効率を損わない範囲で選択され
る。
【0014】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】反応基質としての前記アルコールには、分
子中に1個以上のヒドロキシル基を有する化合物、例え
ば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1
−オクタノール、2−エチルヘキサノールなどの炭素数
1〜20程度の飽和脂肪族アルコール;アリルアルコー
ルなどの不飽和脂肪族アルコール;シクロヘキサノール
などの脂環式アルコール;ベンジルアルコール、フェネ
チルアルコール、フェノールなどの芳香族アルコール;
エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多
価アルコールなどが含まれる。なお、芳香族アルコール
とは、フェノール性ヒドロキシル基を有するフェノール
類も含む意味に用いる。
【0016】好ましいアルコールには、一価の飽和又は
不飽和アルコール、例えば、炭素数1〜6程度のアルコ
ール、特にメタノール、エタノールなどの炭素数1〜4
程度(例えば、炭素数1〜3程度のアルコール)が含ま
れ、なかでもメタノールが繁用される。
【0017】反応ガス成分としての一酸化炭素及び酸素
は、それぞれ、高純度ガスを用いてもよく、必要に応じ
て、反応に不活性なガス、例えば、窒素、ヘリウム、ア
ルゴン、二酸化炭素などにより希釈して、反応系に供給
してもよい。不活性ガスで希釈する場合、酸素に代えて
空気を用い、空気中の窒素を不活性ガスとして利用する
こともできる。
【0018】前記触媒としては、酸化的カルボニル化触
媒能を有する種々の触媒成分、例えば、銅、鉄、ニッケ
ル、コバルト、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウ
ム、ルテニウムなどの遷移金属及びこれらの遷移金属の
化合物が使用できる。前記遷移金属化合物には、フッ化
物、塩化物、臭化物、ヨウ化物のハロゲン化物;硝酸、
炭酸、ホウ酸、リン酸などの無機酸塩;ギ酸、酢酸、プ
ロピオン酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、
リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、トルイル酸、
サリチル酸、フタル酸、ニコチン酸などの有機酸塩;バ
ナジン酸、スズ酸、アンチモン酸、ビスマス酸、モリブ
デン酸、タングステン酸などの金属オキソ酸の塩;酸化
物;水酸化物;メトキシド、エトキシドなどのアルコキ
シド;フェノキシドなどのフェノール類の塩;これらの
金属化合物と配位性化合物との錯体などが含まれる。
【0019】前記触媒としては、パラジウムなどの白金
属元素を含む触媒も好ましいが、副反応を抑制するため
には、銅原子を含む銅系触媒が好ましい。前記銅系触媒
には、銅原子を含む無機化合物、有機化合物および錯体
(錯塩)が含まれる。これらの銅化合物は一種又は二種
以上組合せて使用できる。
【0020】銅原子を含む無機化合物としては、例え
ば、酸化第一銅、酸化第二銅などの酸化銅;水酸化銅;
ハロゲン化銅(例えば、フッ化第一銅、塩化第一銅、臭
化第一銅、ヨウ化第一銅のハロゲン化第一銅;フッ化第
二銅、塩化第二銅、臭化第二銅などのハロゲン化第二
銅)、銅カルボニルクロリドなどの銅カルボニルハライ
ドなどのハロゲン含有銅化合物;鉱酸塩(例えば、硝酸
銅、硫酸銅、リン酸銅など);炭酸銅;メタホウ酸銅、
四ホウ酸銅(ホウ酸第二銅)などのホウ酸銅;アルミン
酸銅、バナジン酸銅、モリブデン酸銅などの金属オキソ
酸塩などが例示される。前記ハロゲン化銅のうち、ハロ
ゲンの遊離を防止でき、装置を腐蝕する虞の少ないハロ
ゲン化第一銅(例えば、塩化第一銅)が好ましい。
【0021】銅原子を含む有機化合物としては、銅メト
キシクロリド、銅メトキシブロミド、銅エトキシクロリ
ドなどの銅アルコキシハライド;銅メトキシカルボニル
クロリドなどの銅アルコキシカルボニルハライド;ギ酸
銅、酢酸銅(酢酸第一銅、酢酸第二銅、オキシ酢酸銅な
ど)、プロピオン酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、ク
エン酸銅、酒石酸銅などの脂肪族カルボン酸塩、安息香
酸銅などの芳香族カルボン酸塩などのカルボン酸塩;銅
フェノキシドなどのフェノール類の塩などが挙げられ
る。
【0022】錯体(錯塩)を構成する配位子としては、
例えば、アセチルアセトン;窒素含有化合物(例えば、
モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレン
トリアミンなどのアミン類;アセトアミド、N−メチル
ピロリドンなどのアミド;ピリジン、ピリジン−N−オ
キシド、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、
ピペリジン、キノリン、イソキノリン、ピリミジン、ピ
ロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オ
キサゾール、チアゾール、ピロリジン、1,10−フェ
ナントロリン、キナゾリン、2,2′−ジピリジル、
4,4′−ジピリジル、ピコリン酸、ニコチン酸などの
含窒素複素環化合物など);有機リン化合物(例えば、
ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン;トリ
メチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフ
ェニルホスファイトなどのホスファイト;ヘキサメチル
ホスホラストリアミドなどのホスホラスアミドなど);
アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;メ
チルイソシアニド、フェニルイソシアニドなどのイソニ
トリル;チオ尿素;塩素、臭素などハロゲン原子;C
O、CN、NH3 (アンミン)などが挙げられる。銅錯
体における銅の価数は、一価又は二価のいずれであって
もよい。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配位子
は一種又は二種以上配位していてもよい。
【0023】これらの触媒(特に銅系触媒)のうちハロ
ゲン原子を含まない非ハロゲン含有触媒(特に非ハロゲ
ン系銅化合物)が好ましい。好ましい非ハロゲン含有銅
化合物には、炭酸銅、ホウ酸第二銅などのホウ酸銅、炭
素数1〜3程度のカルボン酸塩、錯体(例えば、ピリジ
ン、イミダゾールなどの含窒素複素環化合物、トリフェ
ニルホスフィンなどの有機リン化合物、ホスファイトや
ニトリル類との錯体)などが含まれる。特に、弱酸塩、
例えば、脂肪族カルボン酸(なかでも、酢酸第二銅など
の酢酸銅)、ホウ酸銅(例えば、ホウ酸第二銅)などが
好ましい。このような銅系触媒は、高い触媒活性によ
り、炭酸ジエステルの生成反応において、転化率および
選択率を高める上で有用である。
【0024】前記カルボニル化触媒は、他の成分と組合
せることにより触媒系を構成してもよい。触媒系を構成
する他の成分には、例えば、リチウム、ナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属
を含む化合物が含まれる。このような金属化合物には、
例えば、前記例示の銅化合物に対応するハロゲン化物、
鉱酸塩、炭酸塩、酢酸塩などのカルボン酸塩、ホウ酸塩
などが例示される。
【0025】なお、ホウ素化合物を用いると副反応を抑
制し、二酸化炭素の副生量を低減できる。副反応を抑制
するホウ素成分は、前記触媒成分としてのホウ酸銅など
であってもよく、液相系に触媒成分とともに共存させた
ホウ素化合物であってもよい。このようなホウ素化合物
としては、例えば、メタホウ酸、オルトホウ酸、四ホウ
酸などのホウ酸類、酸化ホウ素、ホウ砂、テトラフルオ
ロホウ酸アンモニウムなどのテトラハロゲノホウ素酸
塩、三フッ化ホウ素などの三ハロゲン化ホウ素、三フッ
化ホウ素エチルエーテル錯化合物などの三フッ化ホウ素
の錯化合物、トリフェニルホウ素などのトリアリールホ
ウ素、ホウ酸メチルなどのホウ酸エステル類などが例示
できる。
【0026】酸化的カルボニル化触媒の使用量は、カル
ボニル化反応を損わない広い範囲で選択でき、例えば、
アルコール(液相)1L当り1〜5000ミリモル、好
ましくは10〜3000ミリモル、さらに好ましくは5
0〜2000ミリモル程度である。また、銅系触媒を用
いる場合、触媒の使用量は、適宜選択できるが、液相
中、銅原子として、例えば、0.001〜5グラム原子
/L、好ましくは0.01〜2グラム原子/L、さらに
好ましくは0.01〜1グラム原子/L程度である場合
が多い。
【0027】本発明の特色は、担体に触媒成分を担持さ
せた固体触媒を用いることなく、液相において、酸化的
カルボニル化触媒と炭素材とを共存させることにより、
副反応を抑制しつつ高い収率で炭酸ジエステルを得る点
にある。すなわち、本発明では、液相系に触媒成分とと
もに共存する炭素材により、二酸化炭素などの副生を抑
制できるとともに、前記触媒成分の触媒活性を顕著に高
めることができ、高い転化率および選択率で炭酸ジエス
テルを効率よく生成させることができる。なお、炭素材
に対して触媒成分は、液相において非担持状態であり、
触媒成分を含む均一液相系に炭素材が懸濁又は分散して
いる。
【0028】炭素材としては、種々の炭素質材料、例え
ば、カーボンブラック、天然又は合成グラファイト、活
性炭、炭素繊維、フラーレンなどが使用でき、炭素材は
炭化物であってもよく黒鉛化物であってもよい。これら
の炭素材は一種又は二種以上使用できる。炭素材の形状
は、特に限定されず、粉末状、粒状、繊維状、ペレット
状、ハニカム状などのいずれであってもよいが、粉粒状
活性炭や繊維状活性炭などのように多孔質である場合が
多い。
【0029】前記活性炭には、例えば、コークス、石油
又は石炭系ピッチ、リグナイト炭、褐炭、無煙炭などを
原料とする鉱物系活性炭;木材、ヤシ殻やクルミ殻など
の果実殻、木炭、リグニン、パルプ製造副生物などを原
料とする植物系活性炭;ポリアクリロニトリル、塩化ビ
ニリデン樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フ
ラン樹脂などの熱硬化性樹脂、レーヨン、セルロースな
どを原料とする合成樹脂系活性炭などが含まれる。これ
らの活性炭も一種又は二種以上使用できる。
【0030】これらの活性炭のうち、鉱物系活性炭は不
可避的に混入する不純物の量とその種類が変動し、反応
に悪影響を及ぼす場合がある。これに対して、植物系活
性炭(例えば、ヤシ殻などの植物殻を原料とする活性
炭)、合成樹脂系活性炭(例えば、フェノール樹脂など
を原料とする活性炭)は、品質が安定しているので、副
反応を確実に抑制できる。
【0031】前記活性炭などの炭素材には、原料や製造
工程によっては、反応に悪影響を及ぼす不純物が混入す
る場合がある。反応に悪影響を及ぼすのを回避するた
め、活性炭などの炭素材のアルミニウム含有量は、例え
ば、2重量%以下、好ましくは0〜1重量%、さらに好
ましくは0〜0.1重量%(例えば、0〜0.05重量
%)程度である。また、炭素材のイオウ含有量は、例え
ば1重量%以下、好ましくは0〜0.7重量%、さらに
好ましくは0〜0.5重量%、特に好ましくは0〜0.
3重量%程度である。
【0032】炭素材の比表面積は、特に制限されず、例
えば、5〜4000m2 /g程度、好ましくは10〜3
000m2 /g程度の広い範囲で選択できる。また、活
性炭を用いる場合、活性炭の比表面積は副反応を抑制で
きる広い範囲で選択でき、例えば、100〜4000m
2 /g、好ましくは500〜3000m2 /g程度であ
り、比表面積700〜2500m2 /g程度の活性炭を
用いる場合が多い。活性炭の平均孔径は5〜200オン
グストローム、好ましく10〜100オングストローム
程度である場合が多い。また、活性炭の細孔容積は、例
えば、0.1〜10ml/g、好ましくは0.3〜5m
l/g程度である場合が多い。
【0033】炭素材は、例えば、平均粒子径0.1〜1
0000μm、好ましくは1〜1000μm程度の粉粒
状で使用でき、平均粒子径10〜1000μm程度の粉
粒状炭素材を用いる場合が多い。また、炭素材は短繊維
(例えば、繊維長0.01〜3mm、好ましくは0.1
〜1mm程度)などの繊維状で使用してもよい。
【0034】炭素材の添加量は、副反応を抑制できると
ともに反応操作性を損わない範囲、例えば、アルコール
(液相)1Lに対して1〜500g、好ましくは5〜4
00g、さらに好ましくは10〜300g程度であり、
20〜250g(例えば、50〜200g)程度である
場合が多い。また、液相中の炭素材の含有量は、炭素原
子として、例えば、0.01〜50グラム原子/L、好
ましくは0.1〜35グラム原子/L、さらに好ましく
は0.7〜25グラム原子/L程度であり、1〜20グ
ラム原子/L(例えば、3〜15グラム原子/L程度)
である場合が多い。
【0035】前記触媒成分に対する炭素材の割合も副反
応を抑制し、かつ炭酸ジエステルの生成効率を損わない
範囲で選択でき、例えば、触媒成分1モルに対して炭素
材5〜5000g(炭素原子換算で0.5〜500グラ
ム原子程度)、好ましくは10〜4000g(炭素原子
換算で1〜350グラム原子程度)、さらに好ましくは
50〜3000g(炭素原子換算で4〜250グラム原
子程度)である。
【0036】液相反応は、溶媒の不存在下で行ってもよ
く、反応に不活性な溶媒中で行ってもよい。前記溶媒と
しては、例えば、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族
炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水
素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
などのケトン;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、
ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフランな
どのエーテル;酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチ
ルなどのエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;アセトニ
トリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニト
リルなどが挙げられる。なお、溶媒としては、反応原料
のアルコールや目的化合物である炭酸ジエステルを用い
てもよい。これらの溶媒は一種又は二種以上混合して使
用できる。
【0037】反応温度は、反応速度および副反応を抑制
する範囲で選択でき、例えば、20〜200℃、好まし
くは50〜170℃、さらに好ましくは80〜150℃
(例えば、100〜150℃)程度である。反応圧力
は、通常、常圧〜200気圧程度、好ましくは常圧〜1
00気圧程度、さらに好ましくは10〜50気圧程度で
あり、一酸化炭素分圧は、例えば0.1〜200気圧、
好ましくは1〜100気圧程度、酸素分圧は、通常、爆
発混合気を形成しない範囲で選択され、例えば0.1〜
20気圧、好ましくは0.5〜10気圧程度である。
【0038】反応は、バッチ式、セミバッチ式や連続式
などの慣用の方法で行なうことができる。反応により生
成した炭酸ジエステルは、慣用の分離精製手段、例え
ば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムク
ロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた
分離手段により、容易に分離精製できる。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば、液相に触媒成分
と無担持炭素材とを共存させるので、液相法において、
副生物の生成を抑制しつつ、高収率で炭酸ジエステルを
製造できる。また、副反応が著しく抑制され、高い選択
率で炭酸ジメチルを製造できる。さらに、触媒調製工程
を経ることなく簡単な操作で炭酸ジエステルを得ること
ができる。
【0040】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0041】実施例1 撹拌機を備え、かつグラスライニング加工したオートク
レーブ(内容積300ml)に、活性炭[武田薬品工業
(株)製、白鷺C2 X、ヤシ殻炭、比表面積1217m
2 /g、細孔容積0.5ml/g、アルミニウム含有量
0.005重量%、イオウ含有量0.18重量%]5.
2g、酢酸第二銅50ミリモル/Lを含有するメタノー
ル50mlを仕込み、気相部を一酸化炭素で置換した。
【0042】一酸化炭素を23kg/cm2 、酸素を2
kg/cm2 で圧入し、135℃で30分間反応させ
た。室温に冷却した後、反応生成ガスおよび反応混合液
をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、炭酸
ジメチル13.5ミリモルが生成するとともに、二酸化
炭素10.0ミリモルが生成した(二酸化炭素1モルに
対する炭酸ジメチルの生成量=1.35モル)。
【0043】比較例1 活性炭を添加することなく、実施例1と同様にして反応
させたところ、炭酸ジメチルが4.9ミリモル、二酸化
炭素5.3ミリモルが生成した(二酸化炭素1モルに対
する炭酸ジメチルの生成量=0.92モル)。
【0044】実施例2 酢酸第二銅50ミリモル/Lを含有するメタノール50
mlに代えて、ホウ酸第二銅50ミリモル/Lを含有す
るメタノール50mlを用いる以外、実施例1と同様に
して反応させたところ、炭酸ジメチル8.6ミリモルが
生成するとともに、二酸化炭素3.8ミリモルが生成し
た(二酸化炭素1モルに対する炭酸ジメチルの生成量=
2.26モル)。
【0045】比較例2 活性炭を添加することなく、実施例2と同様にして反応
させたところ、炭酸ジメチル0.3ミリモル、二酸化炭
素1.0ミリモルが生成した(二酸化炭素1モルに対す
る炭酸ジメチルの生成量=0.3モル)。
【0046】実施例3 実施例1の活性炭に代えて、他の活性炭((株)クラレ
ケミカル製、BP−25,比表面積2420m2 /g、
細孔容積1.2ml/g、アルミニウム含有量0%、イ
オウ含有量0.04重量%)を用いる以外、実施例1と
同様にして反応させたところ、炭酸ジメチル17.7ミ
リモル、二酸化炭素13.3ミリモルが生成した(二酸
化炭素1モルに対する炭酸ジメチルの生成量=1.33
モル)。
【0047】実施例4 実施例1の活性炭に代えて、他の活性炭((株)ツルミ
コール製、4G−3S,比表面積1000m2 /g)を
用いる以外、実施例1と同様にして反応させたところ、
炭酸ジメチル17.1ミリモルが生成するとともに、二
酸化炭素10.8ミリモルが生成した(二酸化炭素1モ
ルに対する炭酸ジメチルの生成量=1.58モル)。
【0048】実施例5 実施例1の活性炭に代えて、他の活性炭((株)キャタ
ラー工業製、PG−3,比表面積1000m2 /g、細
孔容積0.5ml/g)を用いる以外、実施例1と同様
にして反応させたところ、炭酸ジメチル19.8ミリモ
ルが生成するとともに、二酸化炭素10.0ミリモルが
生成した(二酸化炭素1モルに対する炭酸ジメチルの生
成量=1.98モル)。
【0049】上記実施例と比較例との対比から明らかな
ように、触媒成分を含む液相に炭素材を添加するだけ
で、触媒活性を約2.5〜30倍も高めることができ、
炭酸ジメチルを高い選択率で生成させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化的カルボニル化触媒の存在下、アル
    コールと一酸化炭素と酸素とを液相で反応させ、炭酸ジ
    エステルを生成させる方法であって、前記液相に炭素材
    を共存させる炭酸ジエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 触媒として銅系触媒を用いる請求項1記
    載の炭酸ジエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒が非ハロゲン含有触媒である請求項
    1記載の炭酸ジエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 触媒として、酢酸銅又はホウ酸銅を用い
    る請求項1記載の炭酸ジエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 炭素材が、活性炭である請求項1記載の
    炭酸ジエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 アルコール1L当り、比表面積5〜40
    00m2 /gの粉粒状炭素材を炭素原子換算で0.01
    〜50グラム原子添加する請求項1記載の炭酸ジエステ
    ルの製造方法。
  7. 【請求項7】 炭素数1〜6の脂肪族アルコールを用い
    る請求項1記載の炭酸ジエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】 アルコールとしてメタノールを用いる請
    求項1記載の炭酸ジエステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 炭素数1〜6の脂肪族アルコール、一酸
    化炭素および酸素を、前記アルコール1Lに対して、銅
    原子換算で0.001〜5グラム原子の銅系触媒を含む
    液相で反応させる方法であって、比表面積500〜30
    00m2 /gの無担持活性炭を、前記アルコール1Lに
    対して、炭素原子換算で0.01〜50グラム原子の割
    合で含む液相で反応させる炭酸ジエステルの製造方法。
  10. 【請求項10】 銅系触媒に対する活性炭との割合が、
    銅系触媒1モルに対して炭素原子換算で活性炭0.5〜
    500グラム原子である請求項9記載の炭酸ジエステル
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 メタノール、一酸化炭素および酸素
    を、銅系触媒を含む液相で反応させる方法であって、銅
    系触媒1モルに対して炭素原子換算で炭素材1〜25グ
    ラム原子を含む液相で反応させる炭酸ジエステルの製造
    方法。
  12. 【請求項12】 銅系触媒が、酢酸第二銅又はホウ酸第
    二銅である請求項9又は11記載の炭酸ジエステルの製
    造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10114720A (ja) * 1996-10-08 1998-05-06 Asahi Chem Ind Co Ltd ジアルキルカーボネート製造方法
CN1067979C (zh) * 1998-07-20 2001-07-04 中国科学院山西煤炭化学研究所 一种从甲醇和二氧化碳直接合成碳酸二甲酯的方法
CN102872879A (zh) * 2012-09-26 2013-01-16 太原理工大学 一种气相合成碳酸二甲酯无氯双金属催化剂及制备和应用
JP2021529233A (ja) * 2018-06-27 2021-10-28 ユニヴァーシティ・オヴ・ニューカッスル・アポン・タイン 振動ゲル

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