JPH084022Y2 - 生理用ナプキン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、生理用ナプキンに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】女性の生理経血の処理に供する生理用ナ
プキンには、経血の吸収性に優れた吸収体を肌当接面側
の透水性を有する表面シートと肌非当接面側の防水シー
トとにより被覆すると共に、肌当接面側の幅方向両端縁
に、その長手方向に沿って表面シートの表面に横漏れ防
止用の防水シートを帯状に貼り付けたものがある。そし
て、この生理用ナプキンは、股間に装着した使用状態に
おいて、身体から排出された経血を表面シートを介して
吸収体により吸収し、また吸収体に吸収された経血が吸
収体から肌非当接面側或いは横方向両側から外部に漏れ
ないように防水シートで防いでいる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の生理用ナプキン
は、吸収体の肌非当接面側に防水シートを設ける一方、
表面シートの幅方向両端部の表面に帯状の防水シートを
貼り付けただけであるため、経血の横漏れを確実に防止
することが困難であった。即ち、経血の量が少ない場合
には、横漏れの心配はないが、経血の量が非常に多い場
合には、表面シートの幅方向両端部の表面に帯状の防水
シートを貼り付けた程度では、経血の横漏れを防止する
ことは困難である。

【０００４】特に近時の生理用ナプキンでは、吸収体に
高分子吸収剤等が用いられており、吸収体の経血吸収容
量が著しく増大する傾向にある。従って、吸収体に多量
の経血が吸収された場合には、身体の運動によって外力
が加われば、その経血が横漏れして下着類を汚し、また
使用者に不快感を与えることがある。本考案は、このよ
うな従来の課題に鑑み、比較的簡単な構造で経血の横漏
れを確実に防止でき、しかも使用者に違和感を与えるこ
とのない生理用ナプキンを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、吸収体１を肌
当接面側の表面シート２と肌非当接面側の防水シート３
とにより被覆して成る生理用ナプキンにおいて、表面シ
ート２の肌当接面側の幅方向の両側に、その先端部が前
記幅方向の内側に向くようにナプキン長手方向に沿って
防漏シート７を設けると共に、この各防漏シート７の非
接着側が表面シート２を介して吸収体１と重なり且つ接
着側が吸収体１の幅方向の両端部から外側にわたって該
吸収体１の幅方向の両側を覆うように、該各防漏シート
７を吸収体１の幅方向の両端よりも内側の各接着部９で
ナプキン長手方向に沿って表面シート２に接着し、この
各防漏シート７の非接着側の先端部に、該各防漏シート
７が吸収体１の幅方向の両端よりも内側で表面シート２
から内向き上方に起立するように、該各防漏シート７の
先端部側を起立させるためのゴム10をナプキン長手方向
に設け、各接着部９は両接着部９間の間隔が大となる中
央側接着部分9bと、この中央側接着部分9bからナプキン
長手方向の両端側に移るに従って両接着部９間の間隔が
小さくなり且つ各防漏シート７のナプキン長手方向の両
端側の起立高さが小さくなるように、幅方向の内側に向
かって斜め方向に屈曲する屈曲接着部分9cとを備えたも
のである。

【０００６】

【作用】使用時には、幅方向両側の防漏シート７が糸ゴ
ム10により引っ張られて起立し、その起立部11が身体の
股間に密着する。そして、この防漏シート７で経血の横
漏れを防止し、その経血を吸収体１により吸収する。防
漏シート７の起立部11は、糸ゴム10により起立するた
め、身体への密着性が良く、使用者に違和感を与えるこ
とがない。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳
述する。図１は生理用ナプキンの略半分を示す斜視図で
あり、図２は生理用ナプキンの平面図、図３は図２のＡ
−Ａ線断面図、図４は図２のＢ−Ｂ線断面図である。図
１乃至図４において、１は吸収体で、長手方向の両端部
が円弧状となった偏平矩形状に形成されている。この吸
収体１は吸水紙、綿状パルプ、高分子吸収剤等の単独又
はそれらの組み合わせから構成されており、経血の吸収
性に優れた材料が用いられている。

【０００８】２は表面シートで、パルプ、木綿等の天然
繊維、レーヨン、ポリエステル等の化学繊維の単独又は
組み合わせから成り、透水性を有するように全体にわた
ってネット状に構成されている。そして、この表面シー
ト２は吸収体１よりも若干大きくなっており、吸収体１
の表面、即ち肌当接面側に被覆されている。

【０００９】３は防水シートで、紙、不織布等にポリエ
チレンフイルム等の合成樹脂フイルムをラミネート加工
した素材が用いられている。この防水シート３は吸収体
１に吸収された経血の裏面側、即ち肌非当接面側への漏
れを防止するためのものであって、表面シート２と同様
に吸収体１よりも若干大きく形成され、且つ吸収体１の
裏面側に被覆されている。

【００１０】表面シート２と防水シート３は、吸収体１
の外周で上下に重ね合わされると共に、長手方向両端の
円弧状の短辺接着部４と、幅方向両端の直線状の長辺接
着部５とで全周にわたってホットメルト又は熱融着等に
より接着されている。従って、吸収体１は表面シート２
及び防水シート３により表裏から完全に被覆されてい
る。なお、防水シート３は長手方向の中央から若干一方
側に偏った位置に、幅方向の外方に突出するずれ止め用
フラップ部６を有する。

【００１１】７は防漏シートで、表面シート２の幅方向
の中央部に所定の間隔Ｌをおいた状態で、この表面シー
ト２の幅方向両側にその長手方向に沿って設けられてい
る。各防漏シート７は化学繊維等の撥水性不織布から成
るシート材を二つ折り状にしたものであって、その折り
曲げ部８の先端部を幅方向の内側に向けた状態で、非接
着側が表面シート２を介して吸収体１と重なるように表
面シート２上に重ね合わされている。そして、各防漏シ
ート７は長手方向の両端縁及び幅方向の外端縁が表面シ
ート２、防水シート３に短辺接着部４及び長辺接着部５
で夫々ホットメルト又は熱融着等により接着されてお
り、また長辺接着部５よりも若干内側の接着部９で表面
シート２の表面にホットメルト又は熱融着等により筋状
に接着されている。

【００１２】接着部９は吸収体１の幅方向の両端よりも
内側にあり、接着側で吸収体１の幅方向の両側を覆うよ
うに長手方向に設けられている。接着部９は、ナプキン
長手方向の両端の両端接着部分9a、中央部分の中央側接
着部分9b、及びこの両接着部分9a,9b 間を斜め方向に接
続する屈曲接着部分9cを備えている。各接着部９の接着
部分9a,9b はナプキン長手方向に平行に配置されると共
に、両端接着部分9aが中央側の中央側接着部分9bよりも
幅方向の内側に寸法ｌだけ偏位して配置されており、左
右の接着部９の間の間隔は両端接着部分9a間が最小、中
央側接着部分9b間が最大となっている。そして、屈曲接
着部分9cは、中央側接着部分9bから両端接着部分9a側へ
とナプキン長手方向の両端側に移るに従って両接着部９
間の間隔が小さくなり且つ各防漏シート7 のナプキン長
手方向の両端側の起立高さが小さくなるように、幅方向
の内側に向かって斜め方向に屈曲している。

【００１３】各防漏シート７には、使用時に、この防漏
シート７を表面シート２の表面から内向き上方に起立さ
せるための糸ゴム10が先端の折り曲げ部８側に挿入され
ホットメルト又は熱融着等により接着されている。糸ゴ
ム10は中央側接着部分9b及び屈曲接着部分9cに対応する
中央部分が適度な張力を付与した引っ張り状態で、また
その両端部が自由状態で夫々各防漏シート７の折り曲げ
部８に沿って接着されている。なお、糸ゴム10と防漏シ
ート７とをホットメルトで止める場合、糸ゴム10に一定
間隔を置いて点状に接着剤を塗布する。

【００１４】従って、各防漏シート７は、ナプキン全体
を展開して延ばせば、糸ゴム10が延びるため、表面シー
ト２の表面に沿って接触するが、使用状態においては、
接着部９から内側の部分が糸ゴム10の収縮に伴って引き
寄せられてキャザ−部12ができ、それが表面シート２か
ら上方に起立して起立部11ができる。この時の各防漏シ
ート７の起立部11の高さは、長手方向の両端部が両端接
着部分9aと折り曲げ部８との幅方向の寸法分となり、中
央部分が中央側接着部分9bと折り曲げ部８との幅方向の
寸法分となるため、両端部よりも中央部側の高さが大で
ある。そして、中央側接着部分9bに対応する部分に、防
漏シート７が糸ゴム10の収縮により長手方向に引き寄せ
られて大きなギャザー部12ができる。

【００１５】なお、防漏シート７は、防水シート３のフ
ラップ部６に対応するフラップ部13を有し、これらフラ
ップ部６，13は外周の接着部14でホットメルト又は熱融
着等により接着されている。防水シート３の裏面には、
フラップ部６を含んで粘着部が筋状に設けられ、その粘
着部に離型紙が貼付けられている。

【００１６】この生理用ナプキンは、次のようにして使
用する。先ず離型紙を剥がしてショーツの股間部に前後
方向に貼り付ける。この時、フラップ部６，13から長い
方を後ろに向ける。そして、両側のフラップ部６，13を
下側に折り曲げ、ショーツの股間部分をくるみ込むよう
にして止める。この状態でショーツを引き上げれば、ナ
プキン全体が身体の股間部に沿って弯曲して密着する。
また全体が弯曲するため、糸ゴム10の収縮によって防漏
シート７の内端の折り曲げ部８側が引き寄せられてギャ
ザ−部12ができるので、それが表面シ−ト２から上方に
起立して起立部11ができる。

【００１７】しかし、この起立部11は糸ゴム10の収縮に
よってできるため、その糸ゴム10の張力を適宜設定し、
且つ防漏シート７の材料として柔軟性に富んだものを用
いておけば、糸ゴム10が使用者の体形に応じて自在に伸
縮し、使用者に不快な違和感を与えることがなく、しか
も起立部11を股間に沿って確実に密着させることができ
る。生理経血があれば、それは表面シート２を介して吸
収体１により吸収される。そして、この吸収体１に吸収
された経血は，防水シート３及び防漏シート７により外
部に漏れないように阻止される。

【００１８】特に、表面シート２の幅方向両側に、表面
シート２から起立する防漏シート７があって、それが身
体に密着しているので、経血の量が非常に多い時でも、
その横漏れを確実に防止できる。また防漏シート７の起
立部11は、糸ゴム10の収縮によってできたギャザー部12
を持っており、ギャザー部12自体が融通性に優れている
ため、身体の動きに対する追従性が良い。従って、運動
等によって吸収体１に外力が加わった際にも、身体に密
着した状態で起立部11が追従するので、経血が防漏シー
ト７を越えて横漏れし下着等を汚すような心配は全くな
い。

【００１９】なお、各部を構成する素材は、実施例に記
載のものに限定されず、従来から生理用ナプキンに使用
されている各種の素材を用い得ることは言うまでもな
い。糸ゴム10は、両端部のみを防漏シート７の折り曲げ
部８にホットメルト又は熱融着等で止めても良い。また
防漏シート７は、使用前の展開状態でも糸ゴム10の収縮
によって起立部11ができるようにしても良い。

【００２０】

【考案の効果】本考案によれば、吸収体１を肌当接面側
の表面シート２と肌非当接面側の防水シート３とにより
被覆して成る生理用ナプキンにおいて、表面シート２の
肌当接面側の幅方向の両側に、その先端部が前記幅方向
の内側に向くようにナプキン長手方向に沿って防漏シー
ト７を設けると共に、この各防漏シート７の非接着側が
表面シート２を介して吸収体１と重なり且つ接着側が吸
収体１の幅方向の両端部から外側にわたって該吸収体１
の幅方向の両側を覆うように、該各防漏シート７を吸収
体１の幅方向の両端よりも内側の各接着部９でナプキン
長手方向に沿って表面シート２に接着し、この各防漏シ
ート７の非接着側の先端部に、該各防漏シート７が吸収
体１の幅方向の両端よりも内側で表面シート２から内向
き上方に起立するように、該各防漏シート７の先端部側
を起立させるためのゴム10をナプキン長手方向に設け、
各接着部９は両接着部９間の間隔が大となる中央側接着
部分9bと、この中央側接着部分9bからナプキン長手方向
の両端側に移るに従って両接着部９間の間隔が小さくな
り且つ各防漏シート７のナプキン長手方向の両端側の起
立高さが小さくなるように、幅方向の内側に向かって斜
め方向に屈曲する屈曲接着部分9cとを備えているので、
次のような顕著な効果を奏する。

【００２１】 表面シート２の肌当接面側の幅方向両
側に、その長手方向に沿って防漏シート７を設け、この
各防漏シート７の非接着側の先端部に、該各防漏シート
７を表面シート２から起立させるように長手方向にゴム
10を設けているので、各防漏シート７をゴム10で起立さ
せるという比較的簡単な構造であるにも拘らず、経血の
横漏れを確実に防止できる。

【００２２】 各防漏シート７をゴム10によって起立
させているので、各防漏シート７の身体への密着性が良
く、使用者に違和感を与えることがない。

【００２３】 各防漏シート７は、その先端部を幅方
向の内側に向けた状態で、非接着側が表面シート２を介
して吸収体１と重なるように設け、この各防漏シート７
の非接着側の先端部をゴム10で内向き上方に起立させて
いるので、使用時に股間部に当てた状態でも、防漏シー
ト７の非接着側が幅方向の両側から外側に広がることが
ない。従って、身体の運動等で外力が加わった場合で
も、表面シート２の肌当接面側に各防漏シート７の非接
着側があるので、この各防漏シート７によって経血の横
洩れを抑えることができる。

【００２４】 各防漏シート７の非接着側が表面シー
ト２を介して吸収体１と重なり且つ接着側が吸収体１の
幅方向の両端部から外側にわたって該吸収体１の幅方向
の両側を覆うように、該各防漏シート７の外側を吸収体
１の幅方向の両端よりも内側の各接着部９でナプキン長
手方向に沿って表面シート２に接着しており、各防漏シ
ート７の非接着側は勿論のこと、接着部９の下側まで吸
収体１が延びているので、単に経血の横洩れを防漏シー
ト７で阻止できるばかりでなく、その経血を防漏シート
７に沿って吸収体１側に案内して、再度、吸収体１に吸
収させることができる。

【００２５】 各防漏シート７の非接着側から接着部
９の下側まで吸収体１があり、横漏れ方向に移動する経
血を防漏シート７によって基部側の吸収体１に案内し
て、その吸収体１により確実に吸収することができるの
で、吸収体１と防漏シート７との間に経血が長手方向に
筋状になって溜まるようなこともない。

【００２６】 各防漏シート７の接着側は、吸収体１
の幅方向の両端部から外側にわたって吸収体１の幅方向
の両側を覆っているため、各防漏シート７の非接着側か
ら接着部９の下側まで吸収体１があるにも拘らず、この
吸収体１に吸収した経血が防漏シート７の接着部９の外
側から洩れることもない。

【００２７】 吸収体１の幅方向の両側は、各防漏シ
ート７の接着部９の下側まで延びているため、吸収体１
をナプキン全体の広い範囲にわたって設けることができ
る。従って、吸収体１を含むナプキン全体の厚さを薄く
抑えながらも、吸収体１による経血の吸収能力を大きく
することができる。

【００２８】 各接着部９は両接着部９間の間隔が大
となる中央側接着部分9bと、この中央側接着部分9bから
ナプキン長手方向の両端側に移るに従って両接着部９間
の間隔が小さくなり且つ各防漏シート７のナプキン長手
方向の両端側の起立高さが小さくなるように、幅方向の
内側に向かって斜め方向に屈曲する屈曲接着部分9cとを
備えているので、各防漏シート７の非接着側が内向き上
方に起立することと相俟って、各防漏シート７の中央側
接着部分9b間の吸収体１で多量の経血を確実に吸収でき
ると共に、経血がナプキン長手方向の端部側に移動して
も、その経血を各防漏シート７の屈曲接着部分9c側で幅
方向の中央側へと集めて、吸収体１に吸収させることが
できる。従って、例えば就寝中に多量の経血があり、そ
の経血の一部が防漏シート７等に沿って後側に移動する
ようなことがあっても、後側での経血の広がりを極力防
止しながら、幅方向の中央側の吸収体１で確実に吸収で
きるため、就寝中に経血が後側から横洩れすることもな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す生理用ナプキンの斜視
図である。

【図２】本考案の一実施例を示す生理用ナプキンの平面
図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ線断面図である。

【符号の説明】

１ 吸収体 ２ 表面シート ３ 防水シート ７ 防漏シート ９ 接着部 10 糸ゴム 11 起立部 12 ギャザー部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸収体(1) を肌当接面側の表面シート
   (2) と肌非当接面側の防水シート(3) とにより被覆して
   成る生理用ナプキンにおいて、表面シート(2) の肌当接
   面側の幅方向の両側に、その先端部が前記幅方向の内側
   に向くようにナプキン長手方向に沿って防漏シート(7)
   を設けると共に、この各防漏シート(7) の非接着側が表
   面シート(2) を介して吸収体(1) と重なり且つ接着側が
   吸収体(1) の幅方向の両端部から外側にわたって該吸収
   体(1) の幅方向の両側を覆うように、該各防漏シート
   (7) を吸収体(1) の幅方向の両端よりも内側の各接着部
   (9) でナプキン長手方向に沿って表面シート(2) に接着
   し、この各防漏シート(7) の非接着側の先端部に、該各
   防漏シート(7) が吸収体(1) の幅方向の両端よりも内側
   で表面シート(2) から内向き上方に起立するように、該
   各防漏シート(7) の先端部側を起立させるためのゴム(1
   0)をナプキン長手方向に設け、各接着部(9) は両接着部
   (9) 間の間隔が大となる中央側接着部分(9b)と、この中
   央側接着部分(9b)からナプキン長手方向の両端側に移る
   に従って両接着部(9) 間の間隔が小さくなり且つ各防漏
   シート(7) のナプキン長手方向の両端側の起立高さが小
   さくなるように、幅方向の内側に向かって斜め方向に屈
   曲する屈曲接着部分(9c)とを備えたことを特徴とする生
   理用ナプキン。