JPH0838921A - 竪型粉砕機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 減速機や静圧軸受の熱影響による損傷を防止
し、機器の長寿命化とメンテナンス性の向上を図った竪
型粉砕機を提供するものである。 【構成】 回転テーブル３Ａの上面と下面との間に断熱
材５０を介装した構成としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、回転テーブルと粉砕ロ
ーラとの協働により、セメント原料、スラグ、クリンカ
やセラミックス、化学品などの原料を粉砕する竪型粉砕
機に係り、特に動力伝達部への粉砕熱の伝熱を防止した
竪型粉砕機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】石灰石やスラグ、セメント原料などの原
料を細かく粉砕し粉体とする粉砕機の一種として、図５
に示すように、回転テーブルと粉砕ローラとを備えた竪
型粉砕機１が広く用いられている。この種の粉砕機は、
円筒状ケーシング１５の下部において電動機２Ｂにより
減速機２で駆動されて低速回転する円盤状の回転テーブ
ル３Ａと、その上面外周部を円周方向へ等分する箇所に
油圧などで圧接されて従動回転する複数個の粉砕ローラ
４とを備えている。

【０００３】粉砕ローラ４はケーシング１５に軸６によ
って揺動自在に軸支されたアーム５とアーム７Ａ、７Ｂ
を介して油圧シリンダ９のピストンロッド１０に連結さ
れており、油圧シリンダ９を作動させることにより、粉
砕ローラ４を回転テーブル３Ａ上に押圧して原料への粉
砕圧力を与えている。３Ｓは回転テーブル３Ａの外周縁
に設けられ原料層厚を調整するダムリング、１４は回転
テーブル３Ａをオーバーフローした粉砕産物の環状空間
通路、１７は原料投入シュート、１８は環状空間通路１
４に落下した粉砕産物を掻き寄せるスクレーパである。
スクレーパ１８で掻き寄せられた粉砕産物は図示しない
排出シュートを介して機外へ排出される。また、１７Ａ
は原料投入シュート１７に接続する複数（本実施例では
４本）の分岐管、１７Ｂは分岐管１７Ａ内下面に設けた
堰板である。

【０００４】このような竪型粉砕機において、回転テー
ブルの中央部へ原料投入シュート１７および分岐管１７
Ａで供給された原料は、回転テーブル３Ａの回転により
テーブル半径方向の遠心力を受けて回転テーブル３Ａ上
を滑る時に回転テーブル３Ａにより回転方向の力を受
け、回転テーブル３Ａとの間で滑って回転テーブル３Ａ
の回転数よりいくらか遅い回転を行う。以上２つの力、
すなわち、半径方向と回転方向の力とが合成され、原料
は回転テーブル３Ａ上を渦巻状の軌跡を描いて回転テー
ブル３Ａの外周部へ移動する。この外周部には、ローラ
が圧接されて回転しているので、渦巻線を描いた原料は
粉砕ローラ４と回転テーブル３Ａとの間へローラ軸方向
とある角度をなす方向から進入して噛込まれて粉砕され
る。

【０００５】一方、回転テーブル３Ａの直下に配設され
た遊星減速機２は、頂部に突出した出力軸の回りに配設
された静圧軸受によって回転テーブルに伝達される全荷
重を支承し減速機のケーシングを経由して基礎へ伝える
とともに、中心の出力軸で回転テーブルを回転駆動する
ようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上に述べたように、従
来の竪型粉砕機１は、回転テーブル３Ａが回転テーブル
３Ａの直下に同芯状に配設された減速機２の静圧軸受を
介して積載され、回転テーブル３Ａや粉砕ローラ４の自
重ばかりでなく、油圧シリンダ９に付勢された粉砕力を
も常時減速機２が支承するばかりでなく、たとえば高温
クリンカ（常温８０℃〜１５０℃、最大２００℃）など
の高温度原料に粉砕熱が加わって回転テーブル３Ａは温
度上昇し、苛酷な使用状況の静圧軸受にさらに熱負荷が
加わって、寿命が短くなったりあるいは損傷したりする
問題があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明においては、回転テーブルの外周部上面に
複数個の回転自在な粉砕ローラを配設し、回転テーブル
上に供給された原料を粉砕ローラに所定の圧力を与えて
回転テーブルと粉砕ローラ周面との間で粉砕する竪型粉
砕機において、該回転テーブルの上面と下面との間に断
熱材を介装した構成とした。また、第２の発明では、回
転テーブルに負荷される自重ならびに粉砕力などの鉛直
荷重を支承する静圧軸受を、該回転テーブルの直下に配
設され該回転テーブルを回転駆動する減速機とは別体
に、該回転テーブル外周下面に配設するとともに、該静
圧軸受の該回転テーブルへの取付面の直上に断熱材を配
設した。

【０００８】

【作用】本発明においては、回転テーブルの上下面間に
断熱材を介装した構成としたので、高温原料や粉砕熱に
よる熱伝達が断熱材でシャットされ、減速機や減速機と
別体に設けた静圧軸受に熱が伝わることがなく、常温や
常温よりもいくらか高い状態の低温に保持される。した
がって、減速機内の動力伝達部である歯車や軸受や静圧
軸受に潤滑給油される潤滑油の劣化を防止するととも
に、回転テーブルの熱変形による静圧軸受部の平滑度や
水平度に与える悪影響を防止し、軸受ライフの長寿命化
を達成できる。

【０００９】

【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図１〜図４は本発明の実施例に係り、
図１は竪型粉砕機の全体縦断面図、図２は竪型粉砕機の
要部縦断面図、図３、図４はそれぞれ他の実施例を示す
回転テーブルの縦断面図である。図１〜図２に示すよう
に、竪型粉砕機１においては、直立円筒状のケーシング
１５の内部にケーシング１５と同軸状に回転テーブル３
Ａが竪軸回りに回転自在に配設され、回転テーブル３Ａ
の外周直上には複数個（図１〜図２の実施例では４個）
の粉砕ローラ４が載置され、二重円筒で形成されるスタ
ンド４０の頂上に設置される軸受６Ａの回転軸６回りに
揺動自在なアーム５およびアーム７Ａ、７Ｂを介して油
圧シリンダ９により回転テーブル３Ａ上に押圧され従動
される。回転テーブル３Ａの外周下側には、静圧軸受３
０ａがスタンド４０の内側に配設された柱脚３０の頂部
に配設され、回転テーブル３Ａに負荷される自重ならび
に油圧シリンダ９の付勢による粉砕力などの鉛直荷重を
支承する。静圧軸受３０ａはそれぞれ粉砕ローラ４の直
下位置に複数個配設された平板状の軸受で、摺動面にホ
ワイトメタルなどのシートを貼設しており、潤滑給油さ
れる。また、柱脚３０の頂部より内側水平に円周複数本
のステー３０Ａが張設され、固定リング３０Ｂが固設さ
れる。固定リング３０Ｂの内部には内面にホワイトメタ
ルなど軸受合金を貼設した支持環３０ｂが嵌装され、回
転テーブル３Ａの内側下端に突設した回転筒３Ｃの外周
面との間に摺動面が形成される。一方、回転テーブル３
Ａの上下両面の途中には上面および下面を分断するよう
にして一定厚みのシート状の断熱材５０が介装される。
断熱材５０の機能はクリンカなど常用８０℃〜１５０
℃、最大２００℃に達する高温原料を粉砕する場合や粉
砕熱の発生が多くミル内の冷却を実施しない場合に、静
圧軸受３０ａや回転テーブル３Ａの回転駆動を行う減速
機への熱影響をできるだけ少なくするためのもので、断
熱材５０により回転テーブル３Ａの表面（上面）の高温
が下面の静圧軸受３０ａや減速機２に伝熱されるのを遮
断する。静圧軸受３０ａの摺動面は、ホワイトメタル
（ＷＪ２）のほか、りん青銅や鉛青銅、カドミウム合金
などの軸受合金が使用される。一方、回転テーブル３Ａ
の回転駆動は、回転テーブル３Ａの中心直下に配設した
減速機（本実施例では遊星減速機）２の出力軸２ａの頂
部外周に螺設した平歯車と回転筒３Ｃの内周面に取り付
けた内歯歯車との噛合により実施され、減速機２には回
転テーブル３Ａに負荷される鉛直荷重が伝達されること
はない。

【００１０】次に、断熱材５０の仕様について説明す
る。断熱材５０としては少なくとも約３００℃程度の耐
熱度を有し、熱による容積変化が小さく、かつ、シート
状（板状）に成形されたものが望ましい。断熱材の種類
としては、多孔質断熱材、繊維状断熱材、特殊断熱材な
どが挙げられる。多孔質断熱材は、空気層の形成に硅藻
土、バルーン、バブルなどの多孔質体原料を用い、これ
に発泡、起泡剤や可燃物を添加して焼きかためて造るも
ので、水練り保温材、泡ガラス、軽量キャスタブル、耐
火断熱レンガが含まれる。繊維状断熱材は、繊維の集合
体で非常に断熱性能が高いが可縮特性があるので芯材を
入れて使用することが望まれる。繊維はフェルト状、バ
ルク状、ロープ状、板状などにして使用し、石綿保温
材、ケイ酸カルシウム保温材、リフラクトリーファイバ
などがある。石綿は角閃石族の繊維状鉱物で安価である
が、最近公害問題などで使用が制限されている。ケイ酸
カルシウム保温材は、ケイ酸質粉末、石灰および石綿繊
維を配合し熱水合成にてケイ酸カルシウムの針状結晶を
析出させたものであり、トバモライト質（５ＣａＯ・６
ＳｉＯ2 ・９Ｈ2 Ｏ）とゾノライト質（６ＣａＯ・６Ｓ
ｉＯ2 ・Ｈ2 Ｏ）の２種類が主体であり、耐熱温度は少
なくとも６５０℃であり、熱伝導率も低い。リフラクト
リーファイバには、ファイバ径が３μｍ程度で長さは５
〜２５０ｍｍの繊維であり、その材質により、アルミナ
・シリカ質、アルミナ質、シリカ質、ジルコニア質、チ
タン酸カリウム、ロックウール、スラグウールなど各種
のものが利用し得る。特殊断熱材は、アルミ箔など輻射
熱を反射する金属質保温材（コルゲート保温材）のほか
に有機質保温材、セラミック保温材などがある。以上の
断熱材の中から、シート状で圧縮強度もあり、かつ、可
縮性（熱変形性）の低いものを、回転テーブル３Ａの断
熱材５０に採用することが望ましい。図１〜図２の実施
例に採用したケイ酸カルシウムの断熱材（厚さ２０ｍ
ｍ）５０は、熱伝導率が０．３Ｋｃａｌ／ｍｈ℃、線膨
張係数３．０×１０^-5／℃であり、断熱材５０を入れな
い従来タイプのものが静圧軸受３０ａへ与える熱歪が６
００〜７００μｍに対して、１００μｍ程度に激減した
ことが検証された。断熱材５０を介装しない従来タイプ
の回転テーブル３Ａで高温原料を粉砕した場合には、減
速機２内や静圧軸受３０ａの摺動面が熱伝達で高温とな
り、潤滑油の劣化を招き動力伝達部や摺動面の損傷を起
す原因となるとともに、本来平面である筈の回転テーブ
ル３Ａがお椀状に熱変形する結果、外周部に配設された
静圧軸受３０ａの摺動面が傾斜して片当りし、軸受損傷
の惧れが生じることになる。

【００１１】図３は、第２の発明に相当する実施例で、
断熱材５０を静圧軸受３０ａの直上のみの個所に設けた
もので、減速機２よりも特に静圧軸受３０ａに対して配
慮したもので、回転テーブル３Ａの全面実施でなく部分
実施であるので簡便に実施される。特に、高熱の発生が
予想されるミル仕様のものに対しては、完全を期すた
め、図４に示すように、二段実施を行うことも考えられ
る。以上説明したように、本発明においては、断熱材５
０の介装により静圧軸受３０ａや減速機２の熱伝達によ
る悪影響を防止することができる。なお、本実施例で
は、鉛直荷重を支承する静圧軸受３０ａを減速機２とは
別体に配設した場合について説明したが、静圧軸受３０
ａを頂部に有する減速機２によって回転駆動される従来
構造の竪型粉砕機にも、本発明（回転テーブルに断熱材
を介装すること）を採用することができるのは勿論のこ
とである。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の竪型粉砕機
は静圧軸受や減速機に及ぼす熱影響を最小限に留め、減
速機トラブルや軸受トラブルを未然に防止できるから、
メンテナンス性が向上し、連続安定運転を維持して生産
性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の全体縦断面
図である。

【図２】本発明の実施例に係る竪型粉砕機の要部縦断面
図である。

【図３】本発明の他の実施例に係る竪型粉砕機の要部縦
断面図である。

【図４】本発明の他の実施例に係る竪型粉砕機の要部縦
断面図である。

【図５】従来の竪型粉砕機の全体縦断面図である。

【符号の説明】

１ 竪型粉砕機 ２ 減速機（遊星減速機） ２Ａ 寸動用電動機 ２Ｂ 電動機 ２ａ 出力軸 ３Ａ 回転テーブル ３Ｃ 回転筒 ３Ｓ ダムリング ４ 粉砕ローラ ５ アーム ６ 軸（回転軸） ７ アーム ７Ａ アーム ７Ｂ アーム ９ 油圧シリンダ １４ 環状空間通路 １５ ケーシング １７ 原料投入シュート １７Ａ 分岐管 １７Ｂ 堰板 １８ スクレーパ ３０ 柱脚 ３０Ａ ステー ３０Ｂ 固定リング ３０ａ 静圧軸受 ３０ｂ 支持環 ４０ スタンド ５０ 断熱材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転テーブルの外周部上面に複数個の回
   転自在な粉砕ローラを配設し、回転テーブル上に供給さ
   れた原料を粉砕ローラに所定の圧力を与えて回転テーブ
   ルと粉砕ローラ周面との間で粉砕する竪型粉砕機におい
   て、該回転テーブルの上面と下面との間に断熱材を介装
   したことを特徴とする竪型粉砕機。
2. 【請求項２】 回転テーブルに負荷される自重ならびに
   粉砕力などの鉛直荷重を支承する静圧軸受を、該回転テ
   ーブルの直下に配設され該回転テーブルを回転駆動する
   減速機とは別体に、該回転テーブル外周下面に配設する
   とともに、該静圧軸受の該回転テーブルへの取付面の直
   上に断熱材を配設した請求項１記載の竪型粉砕機。