JPH0837730A - 母線保護継電装置 - Google Patents

母線保護継電装置

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JPH0837730A
JPH0837730A JP17143894A JP17143894A JPH0837730A JP H0837730 A JPH0837730 A JP H0837730A JP 17143894 A JP17143894 A JP 17143894A JP 17143894 A JP17143894 A JP 17143894A JP H0837730 A JPH0837730 A JP H0837730A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 母線区分断路器の開閉状態に合わせて母線保
護を誤動作なく行う。 【構成】 全母線事故を一括検出する一括ディジタルリ
レー11は、複数の母線に接続された全回路のCT二次
電流に比例した電流データより差動量、抑制量を導出し
て比率差動演算し、各母線単位の事故を検出する分割デ
ィジタルリレー12-1、12-2は、各母線単位の各回線変流
器二次電流に比例した電流データより各母線毎の分割差
動量と抑制量を導出して比率差動演算し、また、分割デ
ィジタルリレー12-1,12-2内の方向リレーは、各母線に
接続されたPT二次電圧に比例した母線電圧データを基
準量とし、各母線単位の分割差動量を比較量として方向
判別し比較量が母線より流出方向に発生した時動作し、
当該母線および母線区分断路器で接続された隣接母線の
遮断器トリップ指令出力を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力系統の母線を保護す
るディジタル形母線保護継電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の母線保護継電装置として、
例えば、特公昭63−50935号公報に示されたもの
があり、図10、図11は従来の技術を応用したアナロ
グ形母線保護継電装置の実施例である。図10におい
て、1−1〜1−4は保護対象の母線、2−1、2−2
は母線区分断路器(以下、区分DSと称する)、10
1、201…301、401…は送電線・変圧器等各回
線の母線選択断路器(以下、DSと称する)、3−1〜
3−n、4−1〜4−n、4−A〜4−Dは変流器(以
下、CTと称する)、5−1〜5−n、6−1〜6−
n、6−A〜6−Dは前記CT二次電流に比例した出力
を各々導出する入力変換器である。
【0003】2−1X、2−2Xは前記区分DS2−
1、2−2の開閉に各々連動して動作する補助リレー
(以下、区分DS補助リレーと称する)のa接点および
b接点、101X、201X…、301X、401X…
は前記DS101、201…、301、401…の開閉
に各々連動して動作する補助リレー(以下、DS補助リ
レーと称する)のa接点、7は前記入力変換器5−1〜
5−nの出力を受け前記母線1−1〜1−4のいずれの
事故でも検出する一括母線保護リレー(以下、一括リレ
ーと称する)、8−1〜8−4は前記入力変換器6−1
〜6−n、6−A〜6−Dの出力を受け各母線毎の事故
を検出する分割母線保護リレー(以下、分割リレーと称
する)である。
【0004】図11は図10に示された従来装置の直流
制御回路であり、図示していないが母線1−1〜1−4
に接続された送電線等の各回線に設置した遮断器を引き
外すためのトリップ指令回路の基本構成図である。図1
1において、接点87は前記一括リレー7が動作した時
ONする接点、接点87A1、87B1、87A2、8
7B2は前記分割リレー8−1〜8−4が各々動作した
時ONする接点、2−1X、2−2Xは前記区分DS2
−1、2−2が閉時ONする区分DS補助リレー接点で
ある。
【0005】次に図10、図11に示した従来装置の動
作について説明する。図10において、一括リレー7は
母線1−1〜1−4のいずれで内部事故が起こっても動
作し母線外部では動作しないように接続される。即ち、
母線1−1〜1−4に接続された母線間連絡のブスタイ
を除く全回線のCT3−1〜3−n二次電流を入力変換
器5−1〜5−nで受け、この出力(二次電流に比例)
を差動接続して得られる量(ベルトル合成量)を動作入
力とし、図示は省略しているがCT3−1〜3−n出力
に比例した絶対値を前記入力変換器5−1〜5−nで導
出し、この絶対値出力の和(スカラー合成量)または絶
対値出力の最大値を抑制入力として母線1−1〜1−4
の内外部事故を判定する比率差動リレーである。
【0006】一方分割リレー8−1〜8−4は、動作原
理は前記一括リレー7と同じであるがどの母線で事故が
起こったかを判別することを目的とし、母線1−1〜1
−4に対応して各1台設ける。従って、CT入力は該当
母線に接続の回線のみを取り込む必要があり入力変換器
6−1〜6−n出力をDS補助リレー接点101X、2
01X、…、301X、401X…で選択している。
【0007】なお、区分DS2−1、2−2には通常C
Tが設置されていないため、区分DSを介して流れる電
流は差動誤差となり分割リレーが正常判定できなくな
る。この対策として区分DSの開閉状態に応じて分割リ
レー検出範囲を変えるようにしており、例えば、区分D
S2−1閉、2−2開の状態であれば区分DS補助リレ
ー2−1Xが動作し、このa接点閉、b接点開となるこ
とにより、甲1母線1−1事故検出用の分割リレー8−
1へ印加されていた入力は甲2母線1−3事故検出用の
分割リレー8−3側へ切り替わる。即ち、甲2母線1−
3は区分DS2−1閉時は一体となるため分割リレー側
もこれに応じてCT入力を切り替え、分割リレー8−3
で母線1−1、1−3を保護するものである。
【0008】一方区分DS2−2は開であるため区分D
S補助リレー2−2Xは不動作となり、乙1母線1−2
の接続回線に挿入されたCT4−1および4−Bの入力
は乙1用分割リレー8−2へ導入され、乙2母線1−4
の接続回線に挿入されたCT4−nおよび4−Dの入力
は乙2用分割リレー8−4へ導入されることにより母線
1−2、1−4は独立して保護されることになる。
【0009】以上の構成で母線事故を検出し、遮断器に
トリップ指令を出す条件は図11によっている。図11
に示すトリップ指令回路の構成は一括リレー7が動作時
ONする接点87と分割リレー8−1〜8−4が動作時
ONする接点87A1、87B1、87A2、87B2
を各々AND構成とするいわゆる一括分割二重保護方式
となっており、これに前記の区分DS閉時の対策として
区分DS補助リレー接点2−1X、2−2Xを付加し区
分DS閉時は当該母線を連繋遮断できるようにしてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】母線区分に断路器が設
置されており(CTは設置されていない)この区分DS
が任意に開閉される複母線構成において、区分DSの開
閉状態に応じて保護範囲を適切に変えられる母線保護継
電装置は、以上に説明したようなアナログ形が従来より
採用されているが、これをディジタル形に置換しようと
した場合次のような問題点が生じる。
【0011】(1)CPU演算処理時間上の問題 図10に示すような母線保護継電装置をディジタル形に
置換しようとすれば入力変換器以降をディジタル化する
ことになるが、信頼度の上から従来通りの一括ユニット
と分割ユニットを別ハードウエアーとする二重方式を採
用する場合、一括ディジタルリレー(従来の一括リレー
7相当)用に1台、分割ディジタルリレー(従来の分割
リレー8−1〜8−4相当)用に1台の構成とすること
が考えられる。
【0012】このような構成にした場合、分割用ディジ
タルリレーとしては、分割リレー4台分のリレー演算
と、入力変換器二次出力切り替え処理(図10の接点1
01X、201X…、301X、401X…、2−1
X、2−2Xによる出力切り替え相当)および差動量、
抑制量導出等のデータ処理を必要とするが、CPU処理
時間上の能力から対応できる母線構成に限界がある。な
お、図10の例では4分割母線であるが実際には区分D
Sが更に多く6分割、8分割の母線構成もあり、また、
母線に接続される回線数も多くなるが、これらに柔軟な
対応ができるものが必要となる。
【0013】(2)分割用ディジタルの複数台化が困難 上記(1)項の対応策としては、母線規模に応じて分割
用ディジタルリレー台数を増やすか、ディジタルリレー
をマルチCPUタイプにし分散処理することが考えられ
るが、母線保護リレーの性能低下またはコストアップに
つながるため対応は容易でない。
【0014】例えば、図10の分割リレー8−1、8−
2を1台のディジタルリレー(またはCPU)とし、分
割リレー8−3、8−4をもう1台ディジタル(または
CPU)で処理するように分割するならば、区分DS2
−1、2−2閉時は前記の通り差動誤差対策として分割
リレー8−1、8−2用CT入力データを分割リレー8
−3、8−4用ディジタルリレーへ転送しなければなら
ないことになる。このデータ転送は母線保護リレーの重
要性能と言えるCT飽和対策上(電流波形がゼロクロス
して飽和を開始する迄の不飽和時間内に動作判定し、飽
和区間内は判定結果を記憶しておく、これを半サイクル
毎に繰り返す。)、極めて短時間内(サンプリング周
期、例えば電気角30゜以内)に処理を完了させる必要
があるが、2台のディジタルリレー間で大量の電流デー
タを、転送あるいは差動量抑制量導出等を前処理してか
ら転送していたのでは、時間がかかり過ぎて前記性能を
達成することは困難となる。また、大量データの高速転
送用として特別なハードウエアーが準備できたとして
も、大幅なコストアップにつながることになり上記対応
とはなり難いものである。
【0015】この発明は上記のような問題点を簡単に解
決するためになされたもので、分割用ディジタルリレー
を任意の母線単位で設置でき、また、分割ディジタルリ
レー間の電流データ転送を不要とすることにより分割リ
レーのCT飽和対策性能低下を防止し、データ転送に必
要なコストアップを防ぐ新たな分割保護方式を有したデ
ィジタル形母線保護継電装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に係る母線保護
継電装置は、母線区分断路器を有する複数の母線と、発
電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続され構成
された回路に対し、この回路の電流または電流・電圧を
導出してディジタル量に変換し、所定のプログラムで演
算処理し、その処理結果に応じて前記母線を保護する母
線保護継電装置にあって、前記複数の母線事故を一括検
出する一括母線保護リレー、前記各母線毎の事故を各々
検出する分割母線保護リレー、前記各母線毎の電流方向
を各々判定する方向リレー、前記一括母線保護リレー出
力と各母線単位の分割母線保護リレー出力の論理積出力
を各母線単位のトリップ指令出力として出力する手段
と、前記母線区分断路器閉時は、この母線区分断路器を
挟む両母線に対応する前記方向リレーの内、いずれか一
方の動作に応じて前記両母線に対応するトリップ指令出
力を阻止する手段とを有するトリップ指令回路を備えた
ものである。
【0017】また、各母線単位で設けた方向リレーは、
短絡方向リレー、地絡方向リレーおよび方向距離リレー
の内、少なくともいずれか一つのリレーを用いたもので
ある。
【0018】また、方向リレーは事故前と事故時の各母
線の電流変化に応じて動作するリレーとしたものであ
る。
【0019】また、母線区分断路器を有する複数の母線
と、発電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続さ
れ構成された回路に対し、この回路の電流・電圧を導出
してディジタル量の電流データ・電圧データに変換し、
所定のプログラムで演算処理し、その処理結果に応じて
前記母線を保護する母線保護継電装置にあって、前記複
数母線に対応する電流データ瞬時値和を動作量とし、こ
の電流データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最
大値を抑制量として比率差動演算する一括母線保護リレ
ー、前記各母線単位の電流データ瞬時値和を動作量と
し、この電流データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対
値の最大値を抑制量として比率差動演算する各母線単位
の分割母線保護リレー、各母線単位の母線電圧データ瞬
時値を基準量とし、各母線単位の電流データ瞬時値和を
比較量として方向判別演算し、この比較量が各母線から
の流出方向に応じて動作する各母線単位の短絡方向リレ
ー、前記一括母線保護リレー出力と各母線単位の分割母
線保護リレー出力の論理積出力を各母線単位のトリップ
指令出力として出力する手段と、前記母線区分断路器閉
時は、この母線区分断路器を挟む両母線に対応する前記
方向リレーの内、いずれか一方の動作に応じて前記両母
線に対応するトリップ指令出力を阻止する手段とを有す
るトリップ指令回路を備えたものである。
【0020】また、短絡方向リレーを地絡方向リレーと
し、この地絡方向リレーは、各母線単位の零相電圧デー
タ瞬時値を導出して基準値とし、各母線単位の零相電流
データ瞬時値和の有効分を導出して比較量とする地絡方
向リレーとしたものである。
【0021】また、母線区分断路器を有する複数の母線
と、発電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続さ
れ構成された回路に対し、この回路の電流を導出してデ
ィジタル量の電流データに変換し、所定のプログラムで
演算処理し、その処理結果に応じて前記母線を保護する
母線保護継電装置にあって、前記複数母線に対応する電
流データ瞬時値和を動作量とし、この電流データの瞬時
値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑制量として
比率差動演算する一括母線保護リレー、前記各母線単位
の電流データ瞬時値和を動作量とし、この電流データの
瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑制量と
して比率差動演算する各母線単位の分割母線保護リレ
ー、前記複数母線に対応する電流データをベクトル合成
して導出した一括差動量を基準量とし、各母線単位の電
流データ瞬時値和を比較量として方向判別演算し、この
比較量が各母線より流出方向に応じて動作する各母線単
位の短絡方向リレー、前記一括母線保護リレー出力と各
母線単位の分割母線保護リレー出力の論理積出力を各母
線単位のトリップ指令出力として出力する手段と、前記
母線区分断路器閉時は、この母線区分断路器を挟む両母
線に対応する前記方向リレーの内、いずれか一方の動作
に応じて前記両母線に対応するトリップ指令出力を阻止
する手段とを有するトリップ指令回路を備えたものであ
る。
【0022】また、短絡方向リレーを地絡方向リレーと
し、地絡方向リレーは、基準量を一括零相差動量とし、
比較量を請求項5の各母線単位の各回線零相電流データ
瞬時値和とするリレーとしたものである。
【0023】また、一括母線保護リレーは、複数母線に
対応する電流データを並列合成して導出した一括差動電
圧量とし、この一括差動電圧量レベルを検出する電圧差
動方式の一括母線保護リレーとすると共に、短絡方向リ
レーまたは地絡方向リレーは、前記一括差動電圧量の瞬
時値を基準値とするリレーとしたものである。
【0024】また、短絡方向リレーまたは地絡方向リレ
ーは、その基準量(V)と、比較量(ID)から |V|・|ZS・ID∠φ|>0 (但し、ZS,φは定数、ID∠φはIDを∠φ移相)の
判別に応じて動作する方向距離リレーとしたものであ
る。
【0025】また、短絡あるいは地絡方向リレーまたは
方向距離リレーは、事故発生前と事故発生時との各母線
単位の電流データ瞬時値和の変化に対応した量を比較量
とするリレーとしたものである。
【0026】
【作用】この発明における母線保護継電装置は、一括母
線保護リレーで複数の母線事故を一括検出し、分割母線
保護リレーで各母線毎の事故を各々検出し、方向リレー
で各母線毎の電流方向を各々判定する。また、トリップ
指令回路で、一括母線保護リレー出力と各母線単位の分
割母線保護リレー出力の論理積出力を各母線単位のトリ
ップ指令出力として出力すると共に、母線区分断路器閉
時は、この母線区分断路器を挟む両母線に対応する方向
リレーの内、いずれか一方の動作に応じて両母線に対応
するトリップ指令出力を阻止する。
【0027】また、各母線単位で設けた方向リレーは、
短絡方向リレー、地絡方向リレーおよび方向距離リレー
の内、少なくともいずれか一つのリレーを用いる。
【0028】また、方向リレーは事故前と事故時の各母
線の電流変化に応じて動作する。
【0029】また、一括母線保護リレーは、複数母線に
対応する電流データ瞬時値和を動作量とし、この電流デ
ータの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑
制量として比率差動演算し、分割母線保護リレーは、各
母線単位の電流データ瞬時値和を動作量とし、この電流
データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を
抑制量として比率差動演算し、各母線単位の短絡方向リ
レーは、各母線単位の母線電圧データ瞬時値を基準量と
し、各母線単位の電流データ瞬時値和を比較量として方
向判別演算し、この比較量が各母線からの流出方向に応
じて動作する。また、トリップ指令回路は、一括母線保
護リレー出力と各母線単位の分割母線保護リレー出力の
論理積出力を各母線単位のトリップ指令出力として出力
すると共に、母線区分断路器閉時は、この母線区分断路
器を挟む両母線に対応する方向リレーの内、いずれか一
方の動作に応じて前記両母線に対応するトリップ指令出
力を阻止する。
【0030】また、短絡方向リレーを地絡方向リレーと
し、この地絡方向リレーは、各母線単位の零相電圧デー
タ瞬時値を導出して基準値とし、各母線単位の零相電流
データ瞬時値和の有効分を導出して比較量とする。
【0031】また、一括母線保護リレーは、複数母線に
対応する電流データ瞬時値和を動作量とし、この電流デ
ータの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑
制量として比率差動演算し、分割母線保護リレーは、各
母線単位の電流データ瞬時値和を動作量とし、この電流
データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を
抑制量として比率差動演算し、各母線単位の短絡方向リ
レーは、複数母線に対応する電流データをベクトル合成
して導出した一括差動量を基準量とし、各母線単位の電
流データ瞬時値和を比較量として方向判別演算し、この
比較量が各母線より流出方向に応じて動作する。また、
トリップ指令回路は、一括母線保護リレー出力と各母線
単位の分割母線保護リレー出力の論理積出力を各母線単
位のトリップ指令出力として出力すると共に、母線区分
断路器閉時は、この母線区分断路器を挟む両母線に対応
する前記方向リレーの内、いずれか一方の動作に応じて
前記両母線に対応するトリップ指令出力を阻止する。
【0032】また、短絡方向リレーを地絡方向リレーと
し、地絡方向リレーは、基準量を一括零相差動量とし、
比較量を請求項5の各母線単位の各回線零相電流データ
瞬時値和とする。
【0033】また、一括母線保護リレーは、複数母線に
対応する電流データを並列合成して導出した一括差動電
圧量とし、この一括差動電圧量レベルを検出すると共
に、短絡方向リレーまたは地絡方向リレーは、前記一括
差動電圧量の瞬時値を基準値とする。
【0034】また、短絡方向リレーまたは地絡方向リレ
ーは、その基準量(V)と、比較量(ID)から |V|・|ZS・ID∠φ|>0 (但し、ZS,φは定数、ID∠φはIDを∠φ移相)の
判別に応じて動作する方向距離リレーとする。
【0035】また、短絡あるいは地絡方向リレーまたは
方向距離リレーは、事故発生前と事故発生時との各母線
単位の電流データ瞬時値和の変化に対応した量を比較量
とする。
【0036】
【実施例】
実施例1.この発明の一実施例を図1について説明す
る。なお、図中10図と同一または相当部分は同一符号
をもって図示している。図1において、9−1〜9−4
は母線1−1〜1−4に各々接続された計器用変圧器
(以下、PTと称する)、10−1〜10−4はPT9
−1〜9−4の二次電圧に比例した電圧を導出する入力
変換器、11は入力変換器5−1〜5−nの出力を受け
て動作する従来の一括リレー(87)7に相当する一括
ディジタルリレーである。
【0037】12−1は入力変換器6−1…、6−A、
6−Bの出力を受けて動作する従来の分割リレー(87
A1、87B1)8−1、8−2相当の部分と、入力変
換器10−1、10−2および6−1…、6−A、6−
Bの出力を受けて動作する方向リレー67A1、67B
1を演算する分割ディジタルリレーである。12−2は
入力変換器6−n…、6−C、6−Dの出力を受けて動
作する従来の分割リレー8−3、8−4相当の部分と、
入力変換器10−3、10−4および6−n…、6−
C、6−Dの出力を受けて動作する方向リレー67A
2、67B2を演算する分割ディジタルリレーである。
【0038】87X、87A1X〜87B2X、67A
1X〜67B2Xは各々出力リレーであり、接点2−1
Xは区分DS2−1が閉時ON、接点2−2Xは2−2
が閉時ONとなると、67A1Xと67A2Xまたは6
7B1Xと67B2Xがそれぞれ連繋動作するように構
成している。
【0039】一括ディジタルリレー11および分割ディ
ジタルリレー12−1、12−2の内部構成はほぼ同じ
であり、その一般的な基本構成例を図2に示す。図にお
いて、13−1〜13−nはフィルタであり入力変換器
を介してCT、PT入力を受け、サンプルホールド器1
4−1〜14−n、マルチプレクサ15、A/D変換器
16を介して同一時刻、同一間隔でサンプリングされる
瞬時値ディジタル量を得る。17は接点入力を取り込む
ディジタル入力部(DI)、18はメモリ、19はCP
U、20はディジタル出力部(DO)である。
【0040】以下動作原理について説明する。なお、一
括ディジタルリレー11の動作原理は従来の一括リレー
7と同じであり、また分割ディジタルリレー12−1と
12−2は同等のため以下詳細説明では分割ディジタル
リレー12−1で代表する。図3は分割ディジタルリレ
ー12−1のCPUで処理するリレー演算処理概念図で
ある。図において、電流データI1〜In、IA1
B1、電圧データVA1、VB1は母線1−1、1−2に接
続された各々の入力変換器6−1…、6−A、6−B、
10−1、10−2出力に比例した瞬時値ディジタルデ
ータ、接点入力データ101X〜1nX、201X〜2
nXは各々母線1−1、1−2に接続されたDS10
1、201…の補助リレー接点のON−OFFデータで
あり、これらのデータを使用して以下のリレー演算を実
施する。
【0041】選択処理111は各回線電流データI1
Inを接点入力データ101X〜1nX、201X〜2
nXのON−OFF条件に合わせて甲1群または乙1群
に選択するもので、例えば、図1のCT4−1の回線が
甲1母線1−1に接続されている場合、DS101閉、
DS201開であるためDS補助リレー接点101Xは
ON、201XはOFFとなり、CT4−1電流データ
1は甲1群へ選択されることになる。
【0042】次に112、113は甲1群および乙1群
の電流データ処理であり、選択処理111で選択された
電流データを使用して差動量、抑制量を導出する。即
ち、甲1群電流データ処理112では、甲1母線に接続
された回線の電流瞬時値データを全て加算して甲1差動
量IDA1を得、また、各電流瞬時値データの絶対値を求
め、これの全加算値または最大値を導出して甲1抑制量
|IRA1|を求める処理を実施し、同様に乙1群電流デ
ータ処理113では乙1母線用処理を実施する。
【0043】114は甲1分割リレー(87A1)、1
15は乙1分割リレー(87B1)のリレー演算処理で
あり、例えば、甲1分割リレー(87A1)の演算処理
114では、前記甲1差動量IDA1および甲1抑制量|
RA1|から比率差動リレー演算式|IDA1|−η|I
RA1|>K(但しη、Kは定数)を基本原理とした動作
判定を行う。
【0044】116、117は甲1および乙1の短絡方
向リレー演算であり、例えば、甲1短絡方向リレー演算
116では、前記甲1母線1−1の電圧データVA1を基
準量、前記甲1差動量IDA1を比較量として方向判別を
行うものである。なお、判定原理としては一般的なもの
で良く、例えば時間T1におけるVA1、IDA1データを
A1T1、IDA1T1、時間T1より電気角90゜前の
A1、IDA1データをVA1T2、IDA1T2とすれば VA1T1・IDA1T1+VA1T2・IDA1T2 =VA1sinωt・IDA1sin(ωt−θ)+VA1
osωt・IDA1cos(ωt−θ) =|VA1|・|IDA1|cosθ (但しθはVA1とIDA1の位相角) であるため、 VA1T1・IDA1T1+VA1T2・IDA1T2>0 を判定すれば、VA1に対するIDA1の位相角θが±90
゜以内かどうかを検出できるのでこれで方向判別するこ
とができる。
【0045】次にCPUで演算した上記リレー出力の組
み合わせで構成されるトリップ指令回路を図4で説明す
る。図3に示すCPU演算結果である各リレー判定結果
は、図2のディジタル出力部(DO)20を介して、図
1に示す出力リレー87A1X、87B1X、67A1
X、67B1Xを駆動する。
【0046】一方、分割ディジタルリレー12−2およ
び一括ディジタルリレー11も、同様にして出力リレー
が駆動され、これらの出力リレー接点を図4に示すよう
に組み合わせて、各母線単位の遮断器トリップ指令21
−1〜21−4を出力する。図4は従来の図11に相当
するものであるが、短絡方向リレー67A1〜67B2
動作時に解放するb接点67A1X〜67B2Xが挿入
されている点が異なる。これは前記で説明したように、
区分DS2−1または2−2が閉時は、分割リレー87
A1、87A2又は87B1、87B2が外部事故で誤
動作し、健全母線迄をトリップするのを防止するもの
で、図1に示す区分DS補助接点2−1Xまたは2−2
X条件と組み合わせることにより、区分DS閉時は区分
DSを挟む両母線の方向リレーのいずれかが動作すれ
ば、両母線共遮断ロックするようにしたものである。
【0047】上記の動作原理を図5でもう少し詳しく説
明する。図5は区分DS2−1および2−2が閉状態
で、甲2母線1−3のF1点に内部事故が発生した場合
と、外部F2点に事故が発生した場合の電流分布例を示
している。まず、F1点事故の場合では、事故電流は電
源端から事故点F1に向かってI1、I2、I6、I7が流
れ、一括差動量IDはI1+I2+I6+I7となり母線に
対して流入方向、甲1母線1−1の分割差動量IDA1
1+I3となり流入方向、乙1母線1−2の分割差動量
DB1はI2−I3なるがI2>I3のため流入方向、甲2
母線1−3の分割差動量IDA2はI6+I8で流入方向、
乙2母線1−4のIDB2はI7−I8となりI8>I7のた
め流出方向となる。
【0048】従って、一括リレーおよび分割リレーは全
て差動量が発生しているので動作状態になっているが、
乙2母線1−4の分割差動IDB2が流出方向のため乙2
短絡方向リレー67B2が動作し、前記の通り67B2
Xおよび67B1X動作により、図4の接点67B1
X、67B2Xは開となり、乙1母線および乙2母線へ
の遮断器トリップ指令は阻止され、事故側の甲1母線お
よび甲2母線のみが遮断される。
【0049】次にF2点の外部事故時は、一括差動量I
DはI1+I2+I6+I7−I9=0となり一括リレーは動
作しないが、分割差動量IDA1、IDA2、IDB1、IDB2
区分DS2−1、2−2へ流れる電流I4、I5相当が誤
差として発生し分割リレーは全て動作する。一方、方向
リレーの入力である分割差動量IDA1、IDA2、IDB1
DB2の方向はIDA1とIDB1、IDB2については前記F1
事故時と同じで、IDA2はI6+I8−I9でI9>I6+I
8のため流出方向となるため前記の乙2短絡方向リレー
67B2と甲2短絡方向リレー67A2が動作すること
になり、結局全母線に対して短絡方向リレーによるトリ
ップ阻止が作用するものである。なお、上記短絡方向リ
レーの基準量に使用している母線電圧は母線事故時に零
となり方向判定できなくなるため、この対策としては事
故発生より何サイクルか前の電圧をメモリしておき、こ
のメモリされた電圧を使用して判定し、動作判定後は所
定時間これを保持するようにすればよい。
【0050】以上のように、方向リレーは、母線区分D
S閉時にここへ流れる電流が差動誤差(動作量)とな
り、分割リレーが誤動作することにより健全母線迄をト
リップさせるのを防止する作用がある。即ち、方向リレ
ーは、基準量として母線電圧、比較量として各母線毎の
分割差動量を使用するようにしているが、区分DSを挟
む両側母線において各々の分割差動量の極性を比較して
みれば外部事故時は母線に対して必ず一方が流入方向で
他方が流出方向になっており、内部事故時は両方共流入
方向であることからこの差異を判別し、片方でも流出電
流が所定値以上あれば外部事故と判定し、両方の母線を
トリップロックすることができる。
【0051】従って、分割ディジタルリレーは区分DS
で区切られた甲、乙母線1組単位で分割設置することが
でき、6分割母線あるいは8分割母線等の大形母線にな
っても対応が容易にできる。
【0052】また、方向リレーの入力を各母線単位で得
られるようにしたので、分割ディジタルリレー間での電
流データ転送が不要になり、特別な高速データ転送用ハ
ードウエアーを必要とせず装置が安価になる。
【0053】また、区分DS閉時は一括リレーと方向リ
レーに頼ることになるが、区分DS開時は分割リレーに
データ転送等余分の処理が入っていないため、処理時間
が高速となりCT飽和対策性能等の低下もなく高信頼度
な分割保護が維持される。
【0054】実施例2.上記実施例では短絡母線保護用
として短絡方向リレーを使用しているが、これを地絡母
線保護用として地絡方向リレーにすることができる。即
ち、図示は省略しているが、各母線のPT9−1〜9−
4に三次回路を設け、この三次回路より入力変換器10
−1〜10−4を介して各分割ディジタルリレー12−
1、12−2に導入し、ディジタル量に変換して得られ
る各母線単位の零相電圧データを基準量とし、または、
前記各母線単位二次電圧データをCPUで3相ベクトル
合成演算して得られる零相電圧データを基準量として使
用し、分割保護用CT4−1〜4−n、4−A〜4−D
の二次残留回路より入力変換器6−1〜6−n、6−A
〜6−Dを介して各分割ディジタルリレー12−1、1
2−2に導入し、ディジタル量に変換して得られる零相
電流データを、各母線毎に各回線分瞬時値和した零相分
割差動電流の有効分を比較量として使用するようにした
地絡方向リレーを適用するものである。
【0055】高抵抗接地ケーブル系の一線地絡事故時
は、ケーブル充電電流、NGL電流(変圧器中性点と対
地間に設置のリアクトルで、ケーブルの静電容量を介し
て流れる充電電流を補償する電流)が流れるため、零相
電流をそのまま使用すれば零相電圧と零相分割差動電流
の位相差が大きくなった場合、方向判別を誤る恐れがあ
るが、これをNGR電流のみに比例した零相有効分差動
電流とすれば、必ず零相電圧に対して同相または逆位相
であるため誤判定することはない。
【0056】以下、この零相有効分差動電流を使用した
方向判別方法について説明する。前記零相電圧データV
Oおよび零相分割差動電流データIDOの時間T1におけ
るデータをVOT1、IDOT1とし時間T1より電気角90
゜前データをVOT2、IDOT2となれば VOT1・IDOT1+VOT2・IDOT2 =VOsinωt・IDOsin(ωt−θ)+VOcos
ωt・IDOcos(ωt−θ) =|VO|・|IDO|cosθ (但しθはVOとIDOの位相角) であるためVOT1・IDOT1+VOT2・IDOT2>0を判定す
れば、VOに対するIDOの位相角θが±90゜以内かど
うかを方向判別していることになり、また、|IDO|c
osθは零相差動電流IDの有効分電流であるため、 VOT1・IDOT1+VOT2・IDOT2>K(但しKは定数) とすれば、零相電圧と同相方向の零相有効分差動電圧が
レベルK以上あることを判定することとなる。以上説明
の通り本実施例によれば、前記短絡方向リレーの方式と
同様構成で地絡保護を行うことができ、また、高抵抗接
地ケーブル系特有の無効分電流対策ができる効果があ
る。
【0057】実施例3.上記実施例1では方向リレーの
基準量に母線電圧を使用したが、これを一括差動電流に
比例した量としても良く図6にその実施例を示す。図6
において、前記実施例図1と異なる点は、一括用入力変
換器5−1〜5−nのトランス22に三次コイル23を
設け、この出力端子を全て直列接続して得られる一括ア
ナログ差動量を、分割ディジタルリレー12−1、12
−2に入力し、ディジタル量に変換するように構成した
ことである。
【0058】CT回路用入力変換器は、もともと一次電
流に比例した二次電圧を導出するように構成されている
ので、トランス三次コイルを追加すれば容易に一次電流
に比例した別電圧を取り出すことができ、この電圧を全
回線分直列接続して得られる量は一括差動電流に比例し
ている。また、この量は前記図5のF1点事故時の一括
差動量IDとして説明したように、発生時は必ず母線に
対し流入方向にあるため、方向リレー用基準量として使
用することができ、母線電圧と違って事故時に発生する
ので、前記のような基準量消滅対策が不要となるメリッ
トがある。
【0059】また、区分DS2−1、2−2閉であれば
ここを通過する常時の負荷電流が誤差分割差動量として
発生するので、基準量に母線電圧を使用すると常時状態
で短絡方向リレーが動作し、この状態から母線内部事故
が発生した場合、短絡方向リレーが復帰するまでの間遮
断時間が遅れる欠点が生じるが、一括差動量は常時状態
では発生していないため、これを基準量として使用すれ
ば常時動作することはなく上記欠点が無くなる効果があ
る。なお、母線外部事故時は一括差動量がないため方向
判別できないが、この場合は一括リレー87が必ず不動
作であるため、特にこの方向リレーに頼らなくても誤遮
断することはない。
【0060】この実施例を実施例2に適用する場合は、
地絡方向リレーは、その基準量として、実施例2の前記
各母線単位の零相電圧データ瞬時値の代わりに、この実
施例3の前記一括差動量導出と同様方法で、CT3−1
〜3−nの残留回路より導出する零相一括差動量の瞬時
値を用い、その比較量として、実施例1の各母線単位の
各回線電流データ瞬時値和の代わりに実施例2の各母線
単位の各回線零相電流データ瞬時値和の有効分を用いれ
ばよい。
【0061】実施例4.この実施例は実施例1の電流差
動方式の一括リレーを電圧差動方式に変更し、その差動
電圧を前記方向リレーの基準量としするもので、図7に
その実施例を示す。図7において、前記実施例図6と異
なる点は、各回線毎に設けていた一括リレー用入力変換
器5−1〜5−nを省略し、一括保護用CT3−1〜C
T3−nの二次回路を直接並列接続し、この回路へ入力
インピーダンスの大きい入力変換器25と、CT二次電
圧を所定値以下に抑制する可飽和リアクター、非直線性
抵抗素子等からなる異常電圧抑制回路24とを設け、入
力変換器25の出力電圧を一括ディジタルリレー11お
よび分割ディジタルリレー12−1、12−2へ入力す
るように構成したことである。
【0062】電圧差動方式は周知の原理であるため説明
は省略するが、前記実施例3と同様に、この差動電圧を
前記方向リレーの基準量とする。この基準量を得るため
の入力変換器を各回線に設ける必要がないので、装置を
安価にできる効果がある。
【0063】この実施例を実施例2に適用する場合は、
一括ディジタルリレーは、この実施例3の電圧差動方式
の一括ディジタルリレーを用いる。地絡方向リレーは、
その基準量として、実施例2の前記各母線単位の零相電
圧データ瞬時値の代わりにこの実施例4の前記一括差動
電圧量の瞬時値を用い、その比較量として、実施例1の
各母線単位の各回線電流データ瞬時値和の代わりに実施
例2の各母線単位の各回線零相電流データ瞬時値和の有
効分を用いればよい。
【0064】実施例5.この実施例は実施例1および実
施例2の方向リレーを方向距離リレーとしたもので、図
8にその実施例を示す。図8は周知のモー形距離リレー
の原理を適用した場合の特性例であり、ベクトルVは前
記方向リレーの基準量に相当する電圧で、例えば図3の
母線電圧VA1であり、ベクトルIDは前記方向リレーの
比較量に相当する電流で、例えば図3のIDA1である。
ベクトルV1=ZS・ID∠θは、ベクトルIDに整定定数
Sを乗じて位相角θ(図の例では90゜)移相したも
のであり、ベクトルV2=V1−VとベクトルVの成す角
θが90゜以内であれば動作することを示している。
【0065】演算方法は種々あるが例えば次のようなも
のがある。時間T1におけるV、V2データをVT1、V
2T1、時間T1より電気角90゜前のV、V2データをV
T2、V2T2とすれば VT1・V2T1+VT2・V2T2 =Vsinωt・V2sin(ωt−θ)+Vcosω
t・V2cos(ωt−θ) =|V|・|V2|cosθ (但しθはVとV2の位相角) であるため、VT1・V2T1+VT2・V2T2>0を判定すれ
ば、Vに対すV2位相角θが±90゜以内かどうかを検
出することになり、図8に示すようなモー形距離リレー
特性108を得ることができる。
【0066】このような特性にすれば、常時の負荷電流
で動作させなくすることができ、前記説明の内部事故時
遮断時間遅れがなくなる効果が得られる。即ち、特性1
08の検出領域は円の大きさを設定する定数ZSと、最
大感度角を設定する定数∠θで変えることができるの
で、区分DS閉時に、ここを通過する負荷電流に比例し
た差動電流IDの存在範囲を避けるように設定すること
で、簡単に対応できる効果がある。なお、母線事故時は
電圧Vが零となり動作判定できなくなるので、この対策
として事故発生より何サイクルか前の電圧をメモリー電
圧として付加し、判定動作後は所定時間これを保持する
ようにすればよい。
【0067】実施例6.この実施例は、上記実施例の方
向リレーまたは方向距離リレーの比較量として、各母線
毎の分割差動量を使用しているが、これを分割差動量の
変化値としたもので、その実施例を図9に示す。
【0068】区分DS閉時は、常時でもここへ流れる負
荷電流分が分割差動量として発生しているため、短絡方
向リレーまたは短絡方向距離リレーの基準量に母線電圧
を使用する方式とすれば常時外部方向判定し動作状態に
なっている場合がある。この状態で母線内部事故が発生
すれば、方向リレーまたは方向距離リレーが内部事故判
定に転じて復帰するまで遮断器トリップはロックされる
ので、遮断時間が遅延することになる。本実施例はこの
欠点を解消するために、動作判定に使用する分割差動量
を事故発生前後の変化値とするようにしたものであり、
図9で詳しく説明する。
【0069】図において、118は甲1群または乙1群
電流データ処理112、113で導出した分割差動量I
DA1、IDB1から変化分を導出する変化分導出処理を示し
ており、その方法は、例えば時間T1時データ(事故
時)IDA1T1と、時間T1より例えば1サイクル前デー
タ(常時)IDA1T2とを使用してIDA1T1−IDA1T2の演
算をする。この変化分を使用して1サイクル以内に方向
判別すれば事故発生前後の変化値、すなわち、事故電流
分に比例した量で演算することになるので、常時は不動
作で事故発生直後1サイクル間だけ動作する方向リレー
が得られることになる。なお、判定後は所定時間結果を
保持するようにすれば事故継続時間が長くなっても対応
することができる。
【0070】また、上記例では方向リレー、方向距離リ
レーの比較量を分割差動量変化値にして方向判別するよ
うにしているが、この代わりに分割差動量変化値の変化
レベルを検出して、この判定結果をAND条件(例え
ば、図9の67A1出力と変化分導出処理118の判定
結果のAND条件)で挿入するようにしても良く、いず
れも内部事故発生時の遮断時間遅延対策として効果が得
られる。
【0071】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、母線単
位の方向リレーまたは方向距離リレーを新たに追加し誤
遮断を阻止するように構成したので、分割母線リレー間
のデータ転送が不要となり、即応性のあるディジタル形
の母線保護継電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1によるディジタル形母線
保護継電装置の構成図である。
【図2】 この発明の実施例1のディジタルリレーの内
部の構成図である。
【図3】 この発明の実施例1の分割ディジタルリレー
の演算処理を示す図である。
【図4】 この発明の実施例1のトリップ指令回路の構
成図である。
【図5】 この発明の実施例1の方向リレーの動作を説
明するための電流分布図である。
【図6】 この発明の実施例3によるディジタル形母線
保護継電装置の構成図である。
【図7】 この発明の実施例4によるディジタル形母線
保護継電装置の構成図である。
【図8】 この発明の実施例5による特性図である。
【図9】 この発明の実施例6による演算処理を示す図
である。
【図10】 従来のアナログ形母線保護継電装置の構成
図である。
【図11】 図10の遮断器トリップ指令回路の構成図
である。
【符号の説明】
1−1〜1−4 被保護母線、2−1、2−2 母線区
分断路器(区分DS)、2−1X、2−2X 区分断路
器補助リレー接点(区分DS補助リレー接点)、3−1
〜3−n、4−1〜4−n、4−A〜4−D 変流器
(CT)、5−1〜5−n、6−1〜6−n、6−A〜
6−D、10−1〜10−4 入力変換器、11 一括
ディジタルリレー(一括母線保護リレー)、12−1、
12−2 分割ディジタルリレー(分割母線保護リレ
ー)、22 入力変換器内トランス、23 トランス三
次コイル、24 異常電圧抑制回路、25 高入力イン
ピーダンス入力変換器、101、201、301、40
1 母線選択断路器(DS) 108 モー形距離リレー特性、111 選択処理部、
112 甲1群電流データ処理、113 乙1群の電流
データ処理、114 甲1分割リレー演算処理、115
乙1分割リレー演算処理、116 甲1短絡方向リレ
ー演算処理、117 乙1短絡方向リレー演算処理、1
18 変化分導出処理。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母線区分断路器を有する複数の母線と、
    発電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続され構
    成された回路に対し、この回路の電流または電流・電圧
    を導出してディジタル量に変換し、所定のプログラムで
    演算処理し、その処理結果に応じて前記母線を保護する
    母線保護継電装置にあって、前記複数の母線事故を一括
    検出する一括母線保護リレー、前記各母線毎の事故を各
    々検出する分割母線保護リレー、前記各母線毎の電流方
    向を各々判定する方向リレー、前記一括母線保護リレー
    出力と各母線単位の分割母線保護リレー出力の論理積出
    力を各母線単位のトリップ指令出力として出力する手段
    と、前記母線区分断路器閉時は、この母線区分断路器を
    挟む両母線に対応する前記方向リレーの内、いずれか一
    方の動作に応じて前記両母線に対応するトリップ指令出
    力を阻止する手段とを有するトリップ指令回路を備えた
    ことを特徴とする母線保護継電装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、各母線単位で設けた
    方向リレーは、短絡方向リレー、地絡方向リレーおよび
    方向距離リレーの内、少なくともいずれか一つのリレー
    を用いたことを特徴とする母線保護継電装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、方向リレー
    は事故前と事故時の各母線の電流変化に応じて動作する
    リレーとしたことを特徴とする母線保護継電装置。
  4. 【請求項4】 母線区分断路器を有する複数の母線と、
    発電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続され構
    成された回路に対し、この回路の電流・電圧を導出して
    ディジタル量の電流データ・電圧データに変換し、所定
    のプログラムで演算処理し、その処理結果に応じて前記
    母線を保護する母線保護継電装置にあって、前記複数母
    線に対応する電流データ瞬時値和を動作量とし、この電
    流データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値
    を抑制量として比率差動演算する一括母線保護リレー、
    前記各母線単位の電流データ瞬時値和を動作量とし、こ
    の電流データの瞬時値絶対値和または瞬時値絶対値の最
    大値を抑制量として比率差動演算する各母線単位の分割
    母線保護リレー、各母線単位の母線電圧データ瞬時値を
    基準量とし、各母線単位の電流データ瞬時値和を比較量
    として方向判別演算し、この比較量が各母線からの流出
    方向に応じて動作する各母線単位の短絡方向リレー、前
    記一括母線保護リレー出力と各母線単位の分割母線保護
    リレー出力の論理積出力を各母線単位のトリップ指令出
    力として出力する手段と、前記母線区分断路器閉時は、
    この母線区分断路器を挟む両母線に対応する前記方向リ
    レーの内、いずれか一方の動作に応じて前記両母線に対
    応するトリップ指令出力を阻止する手段とを有するトリ
    ップ指令回路を備えたことを特徴とする母線保護継電装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、短絡方向リレーを地
    絡方向リレーとし、この地絡方向リレーは、各母線単位
    の零相電圧データ瞬時値を導出して基準値とし、各母線
    単位の零相電流データ瞬時値和の有効分を導出して比較
    量とする地絡方向リレーとしたことを特徴とする母線保
    護継電装置。
  6. 【請求項6】 母線区分断路器を有する複数の母線と、
    発電機・負荷等につながる回線が前記母線に接続され構
    成された回路に対し、この回路の電流を導出してディジ
    タル量の電流データに変換し、所定のプログラムで演算
    処理し、その処理結果に応じて前記母線を保護する母線
    保護継電装置にあって、前記複数母線に対応する電流デ
    ータ瞬時値和を動作量とし、この電流データの瞬時値絶
    対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑制量として比率
    差動演算する一括母線保護リレー、前記各母線単位の電
    流データ瞬時値和を動作量とし、この電流データの瞬時
    値絶対値和または瞬時値絶対値の最大値を抑制量として
    比率差動演算する各母線単位の分割母線保護リレー、前
    記複数母線に対応する電流データをベクトル合成して導
    出した一括差動量を基準量とし、各母線単位の電流デー
    タ瞬時値和を比較量として方向判別演算し、この比較量
    が各母線より流出方向に応じて動作する各母線単位の短
    絡方向リレー、前記一括母線保護リレー出力と各母線単
    位の分割母線保護リレー出力の論理積出力を各母線単位
    のトリップ指令出力として出力する手段と、前記母線区
    分断路器閉時は、この母線区分断路器を挟む両母線に対
    応する前記方向リレーの内、いずれか一方の動作に応じ
    て前記両母線に対応するトリップ指令出力を阻止する手
    段とを有するトリップ指令回路を備えたことを特徴とす
    る母線保護継電装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、短絡方向リレーを地
    絡方向リレーとし、地絡方向リレーは、基準量を一括零
    相差動量とし、比較量を請求項5の各母線単位の各回線
    零相電流データ瞬時値和とするリレーとしたことを特徴
    とする母線保護継電装置。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれか1項において、
    一括母線保護リレーは、複数母線に対応する電流データ
    を並列合成して導出した一括差動電圧量とし、この一括
    差動電圧量レベルを検出する電圧差動方式の一括母線保
    護リレーとすると共に、短絡方向リレーまたは地絡方向
    リレーは、前記一括差動電圧量の瞬時値を基準値とする
    リレーとしたことを特徴とする母線保護継電装置。
  9. 【請求項9】 請求項4または5において、短絡方向リ
    レーまたは地絡方向リレーは、その基準量(V)と、比
    較量(ID)から |V|・|ZS・ID∠φ|>0 (但し、ZS,φは定数、ID∠φはIDを∠φ移相)の
    判別に応じて動作する方向距離リレーとしたことを特徴
    とする母線保護継電装置。
  10. 【請求項10】 請求項4〜9のいずれか1項におい
    て、短絡あるいは地絡方向リレーまたは方向距離リレー
    は、事故発生前と事故発生時との各母線単位の電流デー
    タ瞬時値和の変化に対応した量を比較量とするリレーと
    したことを特徴とする母線保護継電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008071899A1 (en) * 2006-12-14 2008-06-19 Areva T & D Uk Limited A method and an apparatus for protecting a bus in a three-phase electrical power system
CN103354353A (zh) * 2013-06-24 2013-10-16 国家电网公司 一种智能配电网全线速动主保护判别系统及方法
CN104078944A (zh) * 2014-06-20 2014-10-01 国家电网公司 一种用于继电保护数字化改造的goose报文/开关量转换方法
KR101502252B1 (ko) * 2010-09-28 2015-03-12 닛산 지도우샤 가부시키가이샤 전동 차량의 무인가 배터리 교환시 대책 장치

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