JPH083760A - 電解コンデンサ陽極用アルミニウムシートの製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ陽極用アルミニウムシートの製造方法

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JPH083760A
JPH083760A JP13344694A JP13344694A JPH083760A JP H083760 A JPH083760 A JP H083760A JP 13344694 A JP13344694 A JP 13344694A JP 13344694 A JP13344694 A JP 13344694A JP H083760 A JPH083760 A JP H083760A
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aluminum
sheet
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capacitance
aluminum sheet
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JP13344694A
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Mitsushi Hayashida
充司 林田
Kozo Hoshino
晃三 星野
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解エッチングにより表面積の高拡大化が図
れ、電解コンデンサの静電容量を増大させることができ
る電解コンデンサ陽極用アルミニウムシートの製造方法
を提供する。 【構成】 アルミニウム純度が99.95重量%以上で
あり、3乃至24ppmのCuを含有し、残部が不可避
的不純物からなるシート状アルミニウム材を使用する。
このアルミニウム材を温度が60℃、濃度が5重量%の
水酸化ナトリウム水溶液に10秒間浸漬する。これによ
り、アルミニウムシートの表面の主に自然酸化皮膜から
なる皮膜を除去する。次に、このシートをすばやく水洗
し、0.85モル/リットル以上のCuイオンを添加したH
NO3 液に30秒間浸漬し、このシートの表面にCuイ
オンを含んだ不動態膜を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサの陽極に
使用されるアルミニウムシートの製造方法に関し、特に
電解エッチングによる表面積(実効面積)の拡大処理が
施されて使用される電解コンデンサ陽極用アルミニウム
シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電解コンデンサを小型化及び大容量化す
るために、電解コンデンサ電極用アルミニウムシート
(箔)は、電解エッチングにより実効面積(以下、表面
積という)を拡大してから使用されている。電極用アル
ミニウムシートの表面積を拡大することにより、単位面
積当たりの静電容量の増大を図ることができる。このた
め、電解コンデンサのより一層の小型化及び大容量化を
促進するために、アルミニウムシートの表面積のより一
層の拡大化(増加)が要望されている。
【0003】ところで、アルミニウムシートの表面積を
拡大するためには、電解エッチング時に表面溶解及び崩
落を生じさせることなく、エッチングピットをシートの
厚さ方向に成長させる必要がある。従来、電解コンデン
サ陽極用アルミニウムシートを製造する場合に、特定の
不純物の含有量等の調整、均熱条件、表面処理及び焼鈍
条件が検討されている。例えば、特開平5−5145号
及び特開平4−124806号には、特定の不純物の含
有量等を調整することにより、アルミニウムシートの表
面積を拡大可能とする方法が開示されている。また、特
開平2−200749号及び特開平4−176847号
には均熱処理条件を調整することにより、アルミニウム
シートの表面積を拡大可能とする方法が開示されてい
る。更に、特開平5−12436号には、表面処理によ
り、アルミニウムシートの表面積を拡大可能とする方法
が開示されており、特開平4−311550号には焼鈍
条件を調整することにより、アルミニウムシートの表面
積を拡大可能とする方法が開示されている。
【0004】また、電解エッチングによりアルミニウム
シートの表面積を拡大するためには、エッチングピット
が発生するときの起点が多数存在すると共に、この起点
が微細であり、且つ均一に分散していることが必要であ
る。通常、エッチングピットの起点は、Cu,In,S
n及びTi等の析出物、又はアルミニウム表面に形成さ
れる酸化皮膜及び不動態膜に含まれるCu,In,Sn
及びTi等の元素である。このため、アルミニウムシー
トに含まれるこれらの不純物の含有量等を調整すること
により、アルミニウムシート表面に形成される酸化皮膜
及び不動態膜に含まれる元素の含有量を調整することも
提案されている(特開平3−253534号、特開平4
−213810号及び特開平4−213811号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の電解コンデンサ陽極用アルミニウムシートの製
造方法は、原料のアルミニウム材に含まれる前記元素を
その表面に濃化させるか、又はスパッタリングメッキ若
しくは湿式メッキによりシート表面のCu,In,Sn
及びTi等の含有量を調整し、その後、最終焼鈍を実施
することにより、シート表面の原子を酸化皮膜及び不動
態膜に分布させるものである。従って、これらの従来方
法は、いずれも固相−固相反応であるので、シート表面
の酸化皮膜及び不動態膜中の前記元素の分布が不均一に
なる。このため、アルミニウムシートの表面積の拡大に
は限界があり、電解コンデンサの静電容量のより一層の
増大は困難である。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、電解エッチング時にエッチングピットの起
点となる元素を均一に分散させ、アルミニウムシートの
表面積のより一層の拡大が可能であり、電解コンデンサ
の静電容量を増大させることができる電解コンデンサ陽
極用アルミニウムシートの製造方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電解コンデ
ンサ陽極用アルミニウムシートの製造方法は、アルミニ
ウムの純度が99.95重量%以上であり、3乃至24
ppmのCuを含有し、残部が不可避的不純物からなる
シート状アルミニウム材の表面の酸化皮膜を除去し、次
いでこれをCuイオンを0.85モル/リットル以上添加し
HNO3 濃度が1.3乃至10モル/リットルであってCl
イオン及びハロゲンイオンを実質的に含まない水溶液に
浸漬し、Cuイオンを含む不動態膜を形成することを特
徴とする。
【0008】
【作用】本発明に係る電解コンデンサ陽極用アルミニウ
ムシートの製造方法においては、アルミニウムの純度が
99.95重量%以上であると共に、3乃至24ppm
のCuを含有し、残部が不可避的不純物からなるシート
状アルミニウム材を使用する。そして、先ず、このアル
ミニウム材の表面の酸化皮膜を、例えば濃度が5重量%
の水酸化ナトリウム水溶液等に浸漬することにより、表
面の酸化皮膜を除去して表面を活性化させる。次に、C
uイオンを0.85モル/リットル以上添加し、HNO3
度が1.3乃至10モル/リットルである水溶液中に、前記
アルミニウム材を浸漬する。そうすると、アルミニウム
材の表面に、多数のCuイオンが均一に分布した不動態
膜が形成され、電解コンデンサ陽極用アルミニウムシー
トを得ることができる。
【0009】このようにして製造されたアルミニウムシ
ートは、例えば電解エッチングすると、アルミニウムシ
ートの表面の不動態膜中に分布するCuイオンがエッチ
ングピットの起点になり、多数の微細なエッチングピッ
トがアルミニウムシートの表面に均一に発生する。これ
により、アルミニウムシートの表面積は、従来の製造方
法により製造されたアルミニウムシートに比して、著し
く増大する。従って、このアルミニウムシートを電解コ
ンデンサの陽極に使用すると、従来のアルミニウムシー
トを使用した場合に比して、静電容量が著しく増大す
る。
【0010】原料となるシート状のアルミニウム材のア
ルミニウム純度が99.95重量%未満の場合は、Fe
及びSiの析出物及び晶出物が多数発生し、電解エッチ
ング時に粗大孔の原因となり、アルミニウムシートの表
面積が低下する。従って、原料となるシート状アルミニ
ウム材の純度は99.95重量%以上であることが必要
である。
【0011】また、前記アルミニウム材のCu含有量が
3ppm未満の場合は、不動態膜中にCuイオンを分布
させても、エッチングピットの起点の数が不十分である
ため、電解エッチング後のアルミニウムシートの表面積
を十分に増大することができない。一方、前記アルミニ
ウム材のCuの含有量が25ppmを超える場合は、C
uが電解エッチングに影響を及ぼし、アルミニウムシー
トの表面積の高拡大化を阻害する。従って、原料となる
シート状アルミニウム材のCu含有量は3乃至25pp
mであることが必要である。
【0012】なお、アルミニウム材中の不可避的不純物
の含有量は、例えば偏析法又は三層法により二次精錬を
実施して得られるアルミニウムの地金の不純物の含有量
と同等以下であれば、静電容量に影響はない。
【0013】原料であるシート状アルミニウム材の酸化
皮膜を除去しないと、アルミニウムシート表面に不動態
膜が十分に形成されないため、アルミニウムシートを電
解エッチングしても表面積を十分に増大することができ
ない。従って、アルミニウム材の表面の酸化皮膜を除去
することが必要である。
【0014】また、不動態膜の形成に使用するHNO3
水溶液中のCuイオン濃度が0.85モル/リットル未満の
場合は、電解エッチング後のアルミニウムシートの表面
積の増大が十分でない。更に、HNO3 水溶液中のHN
3 濃度が1.3モル/リットル未満の場合は、HNO3
アルミニウムとの反応が生じ、静電容量の増大はみられ
ない。一方、前記HNO3 水溶液中のHNO3 濃度が1
0モル/リットルを超えると、活性度が著しく低下するた
め、静電容量の増大が十分ではない。更にまた、このH
NO3 水溶液中にClイオン又はハロゲンイオンが含ま
れていると、電解エッチング時に粗大孔が生じ、静電容
量が著しく低減する。このため、不動態膜の形成に使用
するHNO3 水溶液には、Clイオン及びハロゲンイオ
ンが実質的に含まれていないことが必要である。
【0015】
【実施例】以下、本発明について更に詳細に説明する。
本願発明者等は、アルミニウムシートを電解エッチング
した場合のエッチングピットの起点をより小さくし、こ
の起点をより多く且つより均一に存在させるためには、
従来の固相−固相反応では既に限界に到達しており、従
来以上にアルミニウムシートの表面積を増大するために
は、固相−液相反応により前記酸化皮膜及び前記不動態
膜上に前記エッチングピットの起点となる析出物を形成
する必要があると判断した。
【0016】そこで、本願発明者等は、先ず、Cuイオ
ンを含むHNO3 液にシート状アルミニウム材を浸漬
し、表面に形成される不動態膜にCuイオンを含有させ
ることにより、エッチングピットの起点を増加させるこ
とができ、電解エッチング後の静電容量を増大させるこ
とができるとの観点から、以下に示す実験を行った。即
ち、Cu(NO32 を溶解したHNO3 を5.0モル
/リットル含有する水溶液にシート状のアルミニウム材を浸
漬し、このアルミニウム材の表面に不動態膜を形成し
た。この場合に、Cu(NO32 の添加量を調整する
ことにより、Cuイオンの量を調整した。その後、この
アルミニウム材に対し電解エッチングを施し、電解コン
デンサ陽極用アルミニウムシートとした。そして、この
アルミニウムシートを使用して電解コンデンサを形成
し、その静電容量を測定した。その結果、Cu(NO
32 の濃度を変化させても、Cu(NO32 を加え
ない場合と比較して、静電容量は約1.5μF/cm2
しか増大しなかった。
【0017】本願発明者等は、Cuイオンの添加に見合
う静電容量の増加が得られない原因として、HNO3
中で形成される不動態膜の成長が不十分であると考え
た。そこで、HNO3 液中で形成される不動態膜の成長
を促進させるために、濃度が5重量%の水酸化ナトリウ
ム水溶液にシート状アルミニウム材を浸漬して、アルミ
ニウム材の表面の皮膜(主に、自然酸化皮膜)を除去し
た後、このアルミニウム材をCu(NO32 を溶解し
たHNO3 を5.0モル/リットル含有する水溶液に浸漬し
てこのアルミニウム材の表面に不動態膜を形成した。そ
の後、このアルミニウム材に対し電解エッチングを施
し、電解コンデンサ電極用アルミニウムシートとした。
そして、このアルミニウムシートを使用して電解コンデ
ンサを形成し、その静電容量を測定した。
【0018】図1は、横軸にCuイオン添加量をとり、
縦軸に静電容量をとって、シート状アルミニウム材の表
面の酸化皮膜を除去した場合及び酸化皮膜を除去しなか
った場合のCuイオン添加量と電解コンデンサの静電容
量との関係を示すグラフ図である。この図1に示すよう
に、表面酸化皮膜を除去しなかった場合は、Cuイオン
添加量を変化させても、Cuイオンを添加しない場合に
比して、静電容量の変化は少ない。しかし、表面酸化皮
膜を除去した場合は、Cuイオンの添加により静電容量
が増加し、Cuイオンが1.50モル/リットルで静電容量
は飽和した。この図1から、静電容量を50μF/cm
2 以上とするためには、Cuイオンを0.85モル/リッ
トル以上添加する必要があることがわかる。
【0019】なお、本発明においては、Cuイオンを不
動態膜中に分布させることによりエッチングピットの起
点とするものであるから、HNO3 水溶液中に加えるC
uの塩についてはCu(NO32 の他には、高い溶解
度を示すCuSO4 等を同濃度添加しても同様の効果を
奏する。但し、CuCl2 を加えた水溶液に浸漬したア
ルミニウムシートはCl- イオンにより電解エッチング
時に粗大孔が生じるため、このアルミニウムシートを使
用した電解コンデンサは静電容量が低下する。これと同
様にハロゲンイオンを含む塩を添加すると、電解エッチ
ング時に粗大孔が生じ、電解コンデンサの静電容量が低
下する。このため、前記HNO3 水溶液中に添加する塩
は、Clイオン又はハロゲンイオンを含まないことが必
要である。
【0020】次に、本願発明者等は、最適なHNO3
濃度を調べるべく、Cu(NO32 を1.5モル/リッ
トル含む水溶液について、HNO3 の濃度と電解コンデン
サの静電容量との関係を調べた。図2は、横軸にHNO
3 濃度をとり、縦軸に静電容量をとって、両者の関係を
示すグラフ図である。この図2から明らかなように、H
NO3 濃度が1モル/リットル以下の場合は、HNO3 とア
ルミニウムとが反応するため、静電容量の増大がみられ
ない。また、HNO3 濃度が10モル/リットルを超える
と、活性度が著しく低下するため、静電容量の増大が十
分ではなかった。従って、HNO3 濃度は、アルミニウ
ムシートを使用した電解コンデンサの静電容量が50μ
F/cm2 以上を示す1.3モル/リットル〜10モル/リッ
トルとする。
【0021】次に、原料であるシート状アルミニウム材
の組成と電解コンデンサの静電容量との関係について調
べた。その結果、アルミニウム材のアルミニウム純度が
99.95重量%未満の場合は、Fe及びSiの析出物
及び晶出物が多数発生する。アルミニウムシートを電解
エッチングする場合に、これらの析出物及び晶出物がア
ルミニウムシートの表面に粗大孔が発生する原因にな
る。このため、アルミニウムシートの表面積を十分に拡
大することができず、電解コンデンサの静電容量を十分
に増大することができない。従って、原料であるシート
状アルミニウム材のアルミニウム純度は99.95重量
%以上であることが必要である。このアルミニウム材の
アルミニウム純度が99.95重量%以上であれば、F
e及びSiの含有量については、有意差はみられない。
但し、Cu含有量については、有意差がみられた。そこ
で、シート状アルミニウム材のCu含有量と電解コンデ
ンサの静電容量との関係について調べた。
【0022】即ち、先ず、Cu含有量が相互に異なるシ
ート状アルミニウム材を4種類用意し、濃度が5重量%
の水酸化ナトリウム水溶液にこれらのアルミニウム材を
浸漬して表面の酸化皮膜を除去した。そして、これらの
アルミニウムシートをCu(NO32 濃度が1.5モ
ル/リットル、HNO3 濃度が5.0モル/リットルの水溶液に
浸漬し、これらの表面に不動態膜を形成した。そして、
これらのアルミニウムシートを夫々電解エッチングした
後、これらのアルミニウムシートを陽極とした電解コン
デンサを形成し、その静電容量を測定した。図3は、横
軸にCu含有量をとり、縦軸に静電容量をとって、両者
の関係を示すグラフ図である。Cuの含有量が30pp
mの場合は、アルミニウムシートに含まれるCuが電解
エッチングに影響を及ぼし、アルミニウムシートの表面
積の高拡大化を阻害するため、静電容量は低下する。ま
た、Cu含有量が2ppmの場合も、電解コンデンサの
静電容量は低下した。これは、アルミニウムシートのC
u含有量が低いと、不動態膜中にCuイオンを分布させ
ても、エッチングピットの起点数が不十分になるためで
ある。従って、原料であるシート状アルミニウム材のC
u含有量は、電解コンデンサの静電容量が50μF/c
2 以上となる3ppm乃至24ppmとする。
【0023】なお、シート状アルミニウム材の不可避的
不純物含有量は、偏析法又は三層法により二次精錬を実
施した地金(アルミニウム)の含有量と同等以下であれ
ば、静電容量の増大は維持される。即ち、以下に示す範
囲内であればよい。
【0024】Si;60ppm以下 Fe;60ppm以下 Mn;15ppm以下 Mg;10ppm以下 Cr;10ppm以下 Zn;30ppm以下 Ti;10ppm以下 Ni;10ppm以下 Ga;30ppm以下 Pb;5ppm以下 B;20ppm以下 Sn;10ppm以下。
【0025】次に、本発明の実施例について説明する。
本実施例においては、先ず、アルミニウムの純度が9
9.95重量%以上であると共に、3乃至24ppmの
Cuを含有し、残部が不可避的不純物からなるシート状
アルミニウム材を使用し、このアルミニウム材を温度が
60℃、濃度が5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に1
0秒間浸漬する。これにより、アルミニウム材の表面の
主に自然酸化皮膜からなる表面の皮膜を除去する。次
に、このアルミニウム材をすばやく水洗した後、Cu
(NO32 を添加したHNO3 水溶液に30秒間浸漬
して、このシートの表面にCuイオンを含んだ不動態膜
を形成する。これにより、電解コンデンサ陽極用アルミ
ニウムシートが完成する。
【0026】このようにして製造されたアルミニウムシ
ートは、表面の不動態膜にCuイオンが均一且つ多量に
含まれている。従って、このアルミニウムシートを電解
エッチングすると、表面に微小なエッチングピットが均
一且つ多数形成され、表面積が著しく拡大する。従っ
て、このアルミニウムシートを電解コンデンサの陽極に
使用することにより、従来のアルミニウムシートを使用
した電解コンデンサに比して静電容量を増大させること
ができる。
【0027】次に、上述した実施例方法により、アルミ
ニウムシートを実際に製造し、そのアルミニウムシート
を使用した電解コンデンサの静電容量を測定した結果に
ついて説明する。
【0028】先ず、下記表1にアルミニウム純度及びC
u含有量を示す実施例1乃至9のシート状アルミニウム
材を使用し、上述の方法により電解コンデンサ陽極用ア
ルミニウムシートを製造した。HNO3 水溶液中のCu
イオン濃度及びHNO3 濃度を表1に併せて示す。次
に、これらのシートを、塩化水素を12.5重量%及び
リン酸を0.7重量%含有する電解液中に浸漬し、以下
に示す電解条件で電解エッチングした。
【0029】電解エッチング条件 電解液温度;48℃ 電圧波形;正弦波 周波数;50Hz 電流密度;0.4A/cm2
【0030】そして、電解エッチングしたアルミニウム
シートに対し、リン酸を0.04重量%、リン酸第1ア
ンモニウムを0.14重量%含有する化成処理液を使用
し、20Vの電圧で化成処理した。次いで、この化成処
理したアルミニウムシートを、ホウ酸を4.3重量%、
クエン酸を4.3重量%、アンモニアを3.9重量%含
有する静電容量測定用電解液中に浸漬し、LCRメータ
を使用して静電容量を測定した。その結果を下記表1に
示す。なお、静電容量測定時の測定条件は、周波数が1
20Hz、電圧が1Vとした。
【0031】
【表1】
【0032】なお、実施例9は銅イオンとしてCuSO
4 をHNO3 水溶液に添加した。
【0033】次いで、比較例として下記表2に示す条件
でアルミニウムシートを製造し、実施例と同様にして静
電容量を測定した。その結果も表2に併せて示す。な
お、比較例1〜4は水酸化ナトリウム水溶液による表面
酸化皮膜の除去を実施しなかった場合、比較例5,6は
HNO3 水溶液に添加したCuイオンが不十分な場合、
比較例7はHNO3 の濃度が低い場合、比較例8はHN
3 の濃度が高い場合、比較例9はアルミニウムシート
の純度が低い場合、比較例10はアルミニウムシートの
Cu含有量が低い場合、比較例11はアルミニウムシー
トのCu含有量が高い場合、比較例12はCuイオンと
してCuCl2 を添加した場合である。
【0034】
【表2】
【0035】表1,2から明らかなように、実施例1〜
9のアルミニウムシートは、電解エッチングして電解コ
ンデンサの陽極に使用すると、比較例に比していずれも
大きな静電容量が得られた。
【0036】従って、本実施例の電解コンデンサ陽極用
アルミニウムシートの製造方法によれば、電解コンデン
サの静電容量を増大可能な電解コンデンサ陽極用アルミ
ニウムシートが得られる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シート状アルミニウム材の表面の酸化皮膜を除去し、次
いで、これをCuイオンを添加したHNO3 水溶液に浸
漬しアルミニウムシート表面に均一に且つ多数のCuを
含む不動態膜を形成するので、従来に比してより一層表
面積を拡大できるアルミニウムシートを得ることができ
る。これにより、電解コンデンサの静電容量を従来に比
してより一層増大できると共に、電解コンデンサの小型
化及び大容量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cuイオン添加量と電解コンデンサの静電容量
との関係を示すグラフ図である。
【図2】HNO3 濃度と電解コンデンサの静電容量との
関係を示すグラフ図である。
【図3】シート状アルミニウム材のCu含有量と電解コ
ンデンサの静電容量との関係を示すグラフ図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムの純度が99.95重量%
    以上であり、3乃至24ppmのCuを含有し、残部が
    不可避的不純物からなるシート状アルミニウム材の表面
    の酸化皮膜を除去し、次いでこれをCuイオンを0.8
    5モル/リットル以上添加しHNO3 濃度が1.3乃至10
    モル/リットルであってClイオン及びハロゲンイオンを実
    質的に含まない水溶液に浸漬し、Cuイオンを含む不動
    態膜を形成することを特徴とする電解コンデンサ陽極用
    アルミニウムシートの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002161322A (ja) * 2000-11-22 2002-06-04 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔

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