JPH0834603A - 窒化ケイ素微粉末及びその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素微粉末及びその製造方法

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JPH0834603A
JPH0834603A JP6092998A JP9299894A JPH0834603A JP H0834603 A JPH0834603 A JP H0834603A JP 6092998 A JP6092998 A JP 6092998A JP 9299894 A JP9299894 A JP 9299894A JP H0834603 A JPH0834603 A JP H0834603A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来より更に細かく粒度分布が均一で、かつ
広い比表面積を持つ窒化ケイ素焼結体用原料微粉末を提
供する。 【構成】 レーザー散乱法で測定した平均粒子径が0.
1〜0.35ミクロンの範囲内であり、粒子径が0.5ミ
クロン以上の粒子の含有量が15体積%以下で、粒子径
が1.0ミクロン以上の粒子の含有量が3体積%以下で
あり、かつ、比表面積が15〜50m2/gの範囲内であ
ることを特徴とする結晶質の窒化ケイ素微粉末である。
β相又はα相含有量が80重量%以上であるのが望まし
い。ボールミルにて窒化ケイ素粉末を溶媒中で湿式粉砕
しながら分散させて、窒化ケイ素粉末スラリーとした
後、湿式沈降分級にて粗粒を除去して、上記の粒度分布
の狭い微粒子が製造される。また、この微細粒子に対し
て、レーザー散乱法で測定した平均粒径が0.5ミクロ
ンを超え1.5ミクロン以下であり、その範囲内の粒子
が全体の70体積%以上で、かつ比表面積が5m2/g以
下で、β相含有量が80重量%以上の窒化ケイ素粉末
を、0.1〜5重量%加えた混合粉末としても利用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造機械、化学
プラント、非鉄金属製造機械、溶接ロボット等の分野に
おいて機械部品として利用される高強度、高精密、耐摩
耗性、耐食性窒化ケイ素焼結体用の出発原料として望ま
しい窒化ケイ素微粉末及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】焼結用窒化ケイ素粉末としては、(1)高
α率、(2)微細な粒子、(3)高純度、(4)球形、(5)狭
い粒度分布、等の条件が必要とされてきた。このため、
高純度でα率が90%以上、かつ平均粒径が0.5〜0.
8ミクロン程度と細かい窒化ケイ素が市販されている。
この粉末は、大部分の粒子が1ミクロン以下であるので
サブミクロン粉末と呼ばれる。
【0003】この粉末に焼結助剤として酸化物を加え、
窒素中で1700℃以上に加熱すると高密度焼結体が製
造できる。焼結助剤を含む液相の中を窒化ケイ素が拡散
する液相焼結によって高密度化が達成される。高温では
β型が安定であるので、焼結の進行と共にα粒子は溶解
し、β粒子として析出する。この過程でαからβへの相
転移が進行する。
【0004】冷却後、液相は固化してガラスとなるの
で、焼結体はβ粒子を少量のガラス相が結合した組織と
なる。αからβへの相転移と共に粒子は柱状に成長す
る。この焼結体の組織は小さなβ粒子が大部分で、少数
の柱状に成長したβ粒子が分散した複合組織となる。こ
の組織はウィカー強化セラミックスと同じである。柱状
粒子が亀裂の進行の抵抗となるため、焼結体は高靭性・
高強度となる。これが高α率が出発原料として必須の条
件となっていた理由である。
【0005】本発明者の一人は既に、特願平1−771
77号において、高α率は必須な条件でなく、サブミク
ロンの粉末であれば高β率の粉末でも焼結性が高くなる
ことを示した。また、粒成長の核を添加すると柱状粒子
が成長し、複合組織が発達するため、高強度・高靭性の
焼結体が得られた。その後の研究で柱状粒子が成長でき
る粒度分布を明らかにして、特願平3−245868
号、特願平3−338844号を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】サブミクロンで高α率
の粉末は数多く市販されている。高α率の粉末を焼結す
る際の粒成長挙動は相転移と密接に結びついている。こ
の相転移は一定温度範囲で急激に進行し、制御できな
い。このため、組織の再現性が低く、焼結体の強度分布
は広くて材料としての信頼性は低い。
【0007】従来の研究で高β率の粉末から相転移の関
与なしに柱状粒子が成長することが明らかになってい
る。しかし、従来の研究で提供された粉末の平均粒子径
は大きく、相対密度98%以上の高密度焼結体を製造す
るには1850℃以上の高温が必要であった。また、上
述の提案(特願平3−245868号、特願平3−33
8844号)で規定した粒度分布を持つ粉末を高温で焼
結すると、核を導入しなくても、大きな粒子から柱状粒
子が成長することが明らかになった(J. Am. Ceram.
Soc. 76号、1892頁(1993))。したがって、
従来の高β率の粉末でも組織制御を行うには不十分であ
る。
【0008】これらの結果より、高α率及び高β率のど
の粉末でも、単にサブミクロンの粉末では組織を再現性
よく制御できない。そこで、焼結中に柱状粒子が発達せ
ず、細かく均一な組織を与える原料粉末が必要である。
その粉末にその粒度分布外の大きな粒子を核として添加
すれば、核からのみ柱状粒子が発達する筈である。柱状
粒子の大きさや形は、焼結温度や焼結助剤の種類のみで
なく、核の数と大きさで制御される。そこで、マトリッ
クス(母体)を与える原料粉末の粒度や粒度分布が複合組
織の制御に最も重要である。このため、サブミクロン粉
末の中から核として作用する0.5ミクロンより大きな
粒子を除去し、狭い粒度分布を持つ粉末を提供する必要
がある。
【0009】組織発現を再現性よく制御するには、上記
のようにマトリックス(母体)として細かく均一な粒径の
焼結体を製造できる原料が必要である。
【0010】本発明は、かゝる課題に応えるべく、従来
より更に細かく粒度分布が均一で、かつ広い比表面積を
持つ窒化ケイ素焼結体用原料微粉末を提供することを目
的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、レーザー散乱法で測定した平
均粒子径が0.1〜0.35ミクロンの範囲内であり、粒
子径が0.5ミクロン以上の粒子の含有量が15体積%
以下で、粒子径が1.0ミクロン以上の粒子の含有量が
3体積%以下であり、かつ、比表面積が15〜50m2
gの範囲内であることを特徴とする結晶質の窒化ケイ素
微粉末を用途している。
【0012】また、その製造方法は、ボールミルにて窒
化ケイ素粉末を溶媒中で湿式粉砕しながら分散させて、
窒化ケイ素粉末スラリーとした後、湿式沈降分級にて粗
粒を除去して粒度分布の狭い微粒子を製造することを特
徴としている。
【0013】更に、他の本発明は、レーザー散乱法で測
定した平均粒径が0.5ミクロンを超え1.5ミクロン以
下であり、その範囲内の粒子が全体の70体積%以上
で、かつ比表面積が5m2/g以下で、β相含有量が80
重量%以上の窒化ケイ素粉末を、上記の窒化ケイ素微粉
末に対して0.1〜5重量%混合してなることを特徴と
する窒化ケイ素微粉末を要旨としている。
【0014】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0015】焼結原料用として市販されている粉末はサ
ブミクロンであり、粒度分布が0.1〜3ミクロンの範
囲内であり、大部分の粒子が1ミクロン以下である。こ
の粉末から0.5ミクロンより大きな粒子を除去するに
は、大きな粒子の除去が保証される沈降法が望ましい。
そこで、解こう剤を溶解した分散剤溶液に市販の粉末を
分散し、ボールミルで粉砕と同時に均一分散を行い、そ
の後沈降法により大きな粒子を除去する。沈降法には各
種あるが、短時間で行える遠心沈降法が最も簡単であ
る。但し、細かい粒子と大きな粒子をサブミクロンの範
囲内の0.5ミクロンで分け、細かい粉末にそれより大
きな粒子を含まない分離法であればよく、沈降法に限定
されるものではない。
【0016】粒度分布の測定は、少量の粉末を水に分散
し、レーザー散乱法、沈降法、X線透過法を利用して行
う。直接的には透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡で
測定する。最も一般的にはレーザーの散乱が粒子の大き
さに依存することを利用する、レーザー散乱法が用いら
れる。ところが、測定された粒度分布は粒子の真の大き
さの分布ではない。これは多くの場合、細かい粒子が粉
末合成の過程で強く結びついた2次粒子が存在し、その
大きさが粒度分布に反映されるためである。焼結過程中
に大きな粒子は周辺の細かい粒子を吸収して、柱状に成
長する。2次粒子も強く結合しているため、マトリック
スより低温で焼結が進行し、大きな粒子と同じような核
としての作用を果たす。但し、粉砕や分散操作中に生成
した2次粒子は弱い結合なので、焼結中に分散して核と
しての作用を示さない。
【0017】この2次粒子の相違を明確にするには、粒
度分布の測定だけでは不十分で、窒素吸着法を利用した
比表面積の測定を併用する必要があることが判明した。
強い結合の2次粒子であれば大きな粒子と同様比表面積
は小さく評価されるが、弱い結合の粒子は粒子間にも窒
素が吸着され、1次粒子の比表面積として評価される。
サブミクロン粒子の比表面積は8〜12m2/g程度であ
り、大きな粒子を除去した粉末で大部分の粒子が0.1
〜0.5ミクロンの範囲にあるものでは15〜50m2/g
となる。
【0018】このように、ボールミルで粉砕・分散を行
い、その後沈降法で大きな粉末を除去する方法が、細か
く均一な粒度の粉末の調整に有効である。そして、レー
ザー散乱法による粒度分布と比表面積の測定を併用して
所望の粉末であることを確認する。
【0019】市販されているサブミクロン粒子は、レー
ザー散乱法で粒度分布を測定すると図1の比較例3のよ
うになる。平均粒度とは体積%(重量%と同じ)が50%
になる粒度であり、図の場合、0.51ミクロンとな
る。このサブミクロン粉末は目的とする0.5ミクロン
以下の粒子を約50体積%含む。このような微細な領域
での分級を乾式で行うことは困難であるので、湿式で行
う。分散する液体(分散剤という)は水、アルコール等で
ある。安定に分散させるには粒子を帯電させる必要があ
るので、極性の高い水が望ましい。粒子を帯電させ、安
定なスラリーを作製するために加える物質を解こう剤と
いう。解こう剤はアクリル酸塩やリン酸塩が用いられ
る。必要に応じてpHをスラリーが安定な範囲に調整す
る。通常は解こう剤を0.2〜0.5重量%溶解した水溶
液に粉末を分散する。大きな粒子の粉砕や2次粒子の分
散を行うために粉体を分散した溶液をボールミルで処理
する。ボールミルは不純物の混入を防ぐために、すべて
窒化ケイ素焼結体製のものが望ましい。
【0020】スラリーを放置すると大きな粒子が早く沈
む。これを自然沈降と言うが、一定時間に一定高さを沈
下する粒子径は容易に算出できる。この現象は粒度分布
の測定法としても利用されている。このため、一定時間
経過後には、上部の液体中にはある粒子より大きなもの
はないことが保証できる。ここで問題としている0.5
ミクロンより大きな粒子を除去するには、自然沈降では
長時間かかる。そこで、遠心分離機を利用した遠心分離
法が望ましい。細かい粒子のみを分散した上澄み液を希
薄にして粒度分布を測定すると、沈降条件と除去される
粒子径の関係が解ける。
【0021】このような方法で0.5ミクロン以上の粒
子をほとんど含まない粒子が調整できる。この粉末の粒
度分布を測定すると、例えば、図1の実施例3のように
0.5ミクロンを超える粒子が少量観察される。この比
表面積を窒素吸着法で測定すると31.5m2/gと、粒度
分布から計算された値の数倍である。また、電子顕微鏡
を用いても大きな粒子は観察されない。それらの事実か
ら、測定された大きな粒度は分散した粒子が再結合し
た、結合の弱い2次粒子と推定される。事実、この粉末
に酸化物を焼結助剤として加え、1800℃で長時間焼
結しても均一で細かい粒子からなる焼結体となり、柱状
粒子は観察されなかった。したがって、この粉末は柱状
粒子となる核の存在しない、粒度の均一なものである。
【0022】この結果、平均粒度は0.1〜0.35ミク
ロンの範囲内が望ましいことが明らかとなった。しか
し、0.35ミクロンより大きいと粒成長の核となる大
きな粒子が必ず存在する。0.1ミクロンより小さいと
粉末の化学的反応性が高くなり処理中に酸化が進行し、
また粉末の密な充填が困難で焼結に適さない。したがっ
て、その粉末の比表面積は15〜50m2/gとする。望
ましくは20〜35m2/gの範囲である。
【0023】平均粒径が上記の所定範囲内であり、か
つ、比表面積が15m2/gより小さいと大きな粒子や強
い結合の2次粒子が残留している可能性が高い。一方、
平均粒径が上記の所定範囲内であり、かつ比表面積が5
0m2/gより大きい場合は平均粒径が0.1ミクロンより
小さい場合と同じ問題点がある。平均粒径と比表面積が
上記の範囲内であれば、粉体中のα/β比は基本的には
任意でよい。しかし、αとβが混在すると焼結中に相転
移が不均一に起こり、組織制御は容易でない。そこで、
α相又はβ相を80重量%以上含有する単相又はそれに
近い粉末が望ましい。
【0024】上記の平均粒径と比表面積を満足する粉末
は、それのみで焼結体原料用として利用し得るが、更に
は、この粉末に他の粒度分布の粉末を加えた混合として
も利用できる。
【0025】例えば、上記の平均粒径と比表面積を満足
する微細な粉末に、平均粒径が0.5ミクロンを超え1.
5ミクロン以下である(望ましくは0.7〜1.0ミクロ
ン)粉末を核として混合すると、大きな粒子のみ柱状に
成長する。後者の粒子の平均粒径がこの範囲であり、か
つこの範囲内の粒子が全体の70容積%あれば核として
の作用は十分果たす。この範囲より小さいとマトリック
スとの差が小さく、選択的な成長は必ずしも起こらな
い。この範囲より大きいと成長した柱状粒子が大きす
ぎ、焼結体の強度を低下させる。この粒子は核の作用を
するので、単一の粒子である必要がある。そこで、比表
面積が5m2/g以下である必要がある。この粉末を上記
微細な粉末に対して0.05〜5重量%加えて焼結して
も、少量であるので優れた焼結特性は維持される。ま
た、焼結の進行と共に核が柱状粒子として成長し複合組
織が発現する。しかし、上記所定の量より少ないと核と
しての作用が十分でなく、また、5重量%より多いと核
の数が多すぎ、柱状粒子が互いに接触し、大きな欠陥と
して作用して強度を低下させると共に大きな強度分布を
示す。望ましくは0.5〜2重量%の範囲である。添加
した粉末粒子が核としての作用を示すには高温安定なβ
型である必要があり、その含有率は80重量%以上とす
る。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例と比較例を挙げて更
に具体的に本発明を説明する。
【0027】
【実施例1〜3】、
【比較例1〜3】焼結用原料として市販されている窒化
ケイ素粉末(A:宇部興産社製SN−E10、B:電気
化学工業社製SN−P21EC、C:電気化学工業社製
SN−P21FC)各20gに対し、スラリー濃度が10
重量%となるように濃度0.3重量%のヘキサメタリン
酸ナトリウム水溶液を添加し、窒化ケイ素製のボールミ
ルにて3時間湿式混合と分散を行い、窒化ケイ素粉末ス
ラリーを作成した。
【0028】次いで、このスラリーを遠心分離機で14
00Gの条件で5分間処理した後、上澄みの窒化ケイ素
微粉末スラリー150ccを回収した。また、遠心分離に
よる沈降物は、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液15
0ccを添加し、出力400Wのホモジナイザーで10分
間再分散した後、遠心力1400Gの条件で5分間遠心
分離した。これらの分散−分級操作を4回繰り返して、
合計750ccの窒化ケイ素微粉末スラリーを作成した。
次に、この窒化ケイ素微粉末スラリーを、遠心力140
0Gで再度遠心分離し、分級精度を高めた。得られた窒
化ケイ素微粉末スラリーは、分散剤として添加したヘキ
サメタリン酸ナトリウムを除去するために、遠心力16
00Gで1時間遠心沈降させて上澄み液を除去し、蒸留
水を加え出力400Wのホモジナイザーで10分間分散
させて再度窒化ケイ素微粉末スラリーとした。このよう
な洗浄操作を3回行った後、得られた窒化ケイ素微粉末
スラリーを乾燥して窒化ケイ素微粉末を作成した。な
お、比較のために、実施例1〜3の粉末をそのままヘキ
サメタリン酸ナトリウム水溶液に超音波分散させた結果
をそれぞれ比較例1〜3とした。
【0029】図1に上記操作中に得られたヘキサメタリ
ン酸ナトリウム水溶液に分散した窒化ケイ素粉末スラリ
ーを希薄にして粒度分布を測定し(実施例3)、比較例3
の結果と比較して示す。粒度分布はレーザー散乱法(N
&L社製粒度分布計「マイクロトラック−SPA」)で
測定した。実施例1〜3及び比較例1〜3の窒化ケイ素
粉末の粉体特性を表1に示す。
【0030】なお、表1に示された各物性は以下に従っ
て測定した。 α相含有量(%):粉末X線回折法により、α相の(2
10)面及びβ相の(210)面の強度比より算出した。 酸素量(wt%):LECO社製O/N分析計「TC−1
36」にて測定した。 比表面積(m2/g):湯浅アイオニクス社製カンターソ
ープJr.BET1点法によった。
【0031】この結果、表1より明らかなように、実施
例1〜3の粉末は、比較例1〜3のものに比べて、平均
粒径が小さく、比表面積が大きいことが示されている。
【0032】次に、実施例1〜3及び比較例1〜3の窒
化ケイ素粉末各93重量%に、Y23(信越化学工業社
製微粉末)5重量%、MgO(和光純薬社製特級試薬)2重
量%を添加し、ヘキサン中で3時間湿式混合し乾燥した
後、解砕を行った。
【0033】次いで、これらの混合粉末約2gを、窒化
ホウ素粉末を塗布した直径15mmのカーボンダイスに充
填し、窒素雰囲気下、プレス圧20MPa、昇温速度3
0℃/minの条件で、焼結体密度が90%以上になる温
度まで昇温し、急冷するパターンでホットプレス焼結を
行い、焼結性を比較すると共に窒化ケイ素焼結体を作成
した。得られた焼結体は、アルキメデス法による焼結体
密度の測定を行った。破面を走査型電子顕微鏡(SEM)
を用いて観察し、微細組織の均一性を調べた。得られた
窒化ケイ素焼結体の相対密度を表2に示す。
【0034】表2の結果より、各実施例の粉末は、比較
例の粉末に比べ、焼結性に優れており、低温で高密度に
達した。その焼結体組織は、粗大粒子を含まない非常に
微細かつ均一な焼結体組織であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【実施例4、5】、
【比較例4】実施例1、3及び比較例1の窒化ケイ素微
粉末各93重量%に、Al23(住友化学社製AKP−2
0)重量%、Y23(信越化学工業社製微粉末)4重量%
を添加し、ヘキサン中で3時間湿式混合し乾燥した後、
解砕を行った。
【0038】次いで、これらの粉末を100kg/cm2
圧力で金型成形した後、3トン/mm2の圧力で静水圧(C
IP)を成形した。得られたCIP成形体は、窒化ケイ
素粉末及びBN粉末からなる詰め粉と共にカーボン製ル
ツボにセットし、1MPaの窒素雰囲気中、温度175
0℃で2時間ガス圧焼結を行い焼結体を作成した。
【0039】得られた焼結体は、アルキメデス法による
焼結体密度の測定を行った後、切断、鏡面研磨を行い、
研磨面をプラズマエッチングして走査型電子顕微鏡(S
EM)による焼結体組織の観察を行った。得られた窒化
ケイ素焼結体の相対密度を表3に示す。
【0040】表3より明らかなように、実施例4、5の
各粉末は相対密度が99%以上であり、比較例4に比
べ、焼結性に優れており、その焼結体組織は、異常粒成
長したβ柱状粒子を含まない微細かつ均一な焼結体組織
であった。
【0041】
【表3】
【0042】
【実施例6】実施例3において、5回の遠心分離処理後
に残った沈降物を300ccをビーカーに移し、ヘキサメ
タリン酸ナトリウム水溶液250ccを添加し、出力40
0Wのホモジナイザーで10分間分散させ窒化ケイ素粉
末スラリーを作成した。このスラリーを20時間静置し
て自然沈降させた後、上澄み液200ccを除去した。上
記の再分散−沈降分級処理を10回繰り返した。次いで
蒸留水200ccを添加してホモジナイザーで分散し、再
度20時間自然沈降で分級し、分散剤として添加したヘ
キサメタリン酸ナトリウムの除去を行った。このような
洗浄操作を3回行った後、乾燥して表4に示す窒化ケイ
素粉末Dを作成した。この粉末の粒度分布を図1に示
す。
【0043】次に、実施例3の窒化ケイ素微粉末9l.
5重量%に、窒化ケイ素粉末Dを1.5重量%、Al23
(住友化学社製AKP−20)3重量%、Y23(信越化
学工業社製微粉末)4重量%を添加し、ヘキサン中で3
時間湿式混合し乾燥した後、解砕を行った。この混合粉
末を実施例4と同様の方法で焼結して窒化ケイ素焼結体
を作成した。
【0044】得られた焼結体は、相対密度が98.9%
であり、その焼結体組織は微細なマトリックス粒子と粒
成長したβ柱状粒子とからなる複合組織であった。10
kgの圧力でダイヤモンド(ヴィカース)圧子を押しつけ、
生じた亀裂長さから測定した破壊靭性値は8.2MPa・
【数1】 で、核を導入しない表2の実施例3の焼結体の値(4.2
MPa・
【数2】 )より高靭性であった。
【0045】このように均一組織のマトリックスを与え
る粉末を利用し、核から柱状粒子を発達させることによ
り複合組織を持つ焼結体を作製することが可能になっ
た。
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
平均粒径が0.1〜0.35ミクロンの範囲内で、かつ、
比表面積が15〜50m2/gの範囲内である微細で均一
粒度の窒化ケイ素微粉末が得られる。この粉末を用いる
と従来市販されているものより低温で焼結でき、焼結体
の組織も微細で均一である。また、この微細粉末に平均
粒径が0.5ミクロンを超え1.5ミクロン以下で比表面
積が5m2/g以下のβ型を主成分とする粗粒を核として
添加すれば、その粗粒から柱状粒子が発達し、複合組織
を持つ焼結体が製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー散乱法による粒度分布測定結果を示す
図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザー散乱法で測定した平均粒子径が
    0.1〜0.35ミクロンの範囲内であり、粒子径が0.
    5ミクロン以上の粒子の含有量が15体積%以下で、粒
    子径が1.0ミクロン以上の粒子の含有量が3体積%以
    下であり、かつ、比表面積が15〜50m2/gの範囲内
    であることを特徴とする結晶質の窒化ケイ素微粉末。
  2. 【請求項2】 β相含有量が80重量%以上であること
    を特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素微粉末。
  3. 【請求項3】 α相含有量が80重量%以上であること
    を特徴とする請求項1記載の窒化ケイ素微粉末。
  4. 【請求項4】 ボールミルにて窒化ケイ素粉末を溶媒中
    で湿式粉砕しながら分散させて、窒化ケイ素粉末スラリ
    ーとした後、湿式沈降分級にて粗粒を除去して粒度分布
    の狭い微粒子を製造することを特徴とする請求項1に記
    載の窒化ケイ素微粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 レーザー散乱法で測定した平均粒径が
    0.5ミクロンを超え1.5ミクロン以下であり、その範
    囲内の粒子が全体の70体積%以上で、かつ比表面積が
    5m2/g以下で、β相含有量が80重量%以上の窒化ケ
    イ素粉末を、請求項1に記載の窒化ケイ素微粉末に対し
    て0.1〜5重量%混合してなることを特徴とする窒化
    ケイ素微粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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