JPH0987027A - 靱性に優れた炭化ケイ素焼結体及び製造方法 - Google Patents

靱性に優れた炭化ケイ素焼結体及び製造方法

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JPH0987027A
JPH0987027A JP7270505A JP27050595A JPH0987027A JP H0987027 A JPH0987027 A JP H0987027A JP 7270505 A JP7270505 A JP 7270505A JP 27050595 A JP27050595 A JP 27050595A JP H0987027 A JPH0987027 A JP H0987027A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組織制御によって高靭性化した炭化ケイ素焼
結体を得る。 【解決手段】 この炭化ケイ素焼結体は、85〜98重
量%の炭化ケイ素粒子と、2〜15重量%の粒界相から
なる組織をもち、炭化ケイ素粒子中のβ型含有率が50
重量%以上であり、平均粒径が1〜10μm,平均アス
ペクト比が3以上の柱状粒子が全炭化ケイ素粒子の5重
量%以上であり、破壊靭性が4〜8MPa・m1/2 であ
る。Li,Mg,Al,Y,,希土類金属及びSiから
選ばれた2種以上の金属の酸化物を構成成分とするガラ
ス又は結晶相を含むガラスで粒界相が形成されている。
平均粒径0.3μm以下及びβ型含有率80重量%以上
の原料微粉末を液相焼結した後、1900℃以下の温度
で熱処理することにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学プラント,液体輸
送ポンプ,エンジン部品等の分野で使用される耐食性,
耐摩耗性及び靭性に優れた炭化ケイ素焼結体及びその及
び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスは、低温及び高温で高強
度,高硬度等において他の材料にはない優れた特性をも
つ。なかでも、炭化ケイ素系セラミックスは、過酷な条
件下で使用される耐食・耐摩耗性機械部品として実用化
が進展している。炭化ケイ素は、通常の常圧焼結で20
00℃の高温が必要とされている難焼結材であり、焼結
性を改善するため種々の提案がされている。最もよく知
られた方法としては、B,C又はそれらを含む化合物を
焼結助剤として使用し、低温安定型のβ粉末を焼結する
方法がある。この方法では、焼結の際にβからαへの相
転移が抑制されるように条件制御されるので、得られる
焼結製品はβ型が主成分の焼結体になる。焼結中に原料
粒子が柱状に成長するので、焼結体はほとんど柱状粒子
からなる組織をもったものとなる。また、焼結助剤は、
粒界に残留することなく粒子内に固溶する。そのため、
粒内を亀裂が進行する現象によって破壊が進行し易くな
る。このようなことから、炭化ケイ素焼結体は、150
0℃程度まで強度が低下しない長所をもつものの、破壊
靭性が2−4MPa・m1/2 程度の低い値をもつことが
欠点である。同じ系の焼結助剤をα粉末の焼結に使用
し、同様な機械的特性をもつ焼結体を製造することも知
られている。この場合も、粒子は柱状になり、そのアス
ペクト比(長さ/直径の比)は、β粉末か得られた焼結
体の組織中にあるものよりも小さくなる。また、高温で
焼結する必要があり、破壊靭性が低いことも実用上での
欠点である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決す
るため、アルミナ又はアルミナ−イットリアを添加し、
炭化ケイ素原料粉末を液相焼結する方法が提案されてい
る。この場合、β型の焼結原料が用いられ、1900℃
以上の温度で焼結する際にβからαへの相転移が生じる
ことから、柱状粒子が発達する。また、焼結体の粒界に
は、液相が固化したガラス相が残留する。このような焼
結体では、外力の印加に起因する亀裂は、粒界を優先的
に進行する。そのため、柱状粒子が焼結体の高靭性化に
有効に働き、靭性値が4〜6MPa・m1/2 と高くな
る。しかし、相転移を利用していることから、1900
℃以上の高温が必要であり、従来法と同様に高温焼結の
問題がある。また、相転移の速度が温度に非常に敏感な
ため、高度の温度制御が必要とされ、焼結作業が困難に
なる。そのため、原料や製造条件の制御によって意図的
に組織を制御し、破壊靭性や強度を制御することは困難
である。本発明は、このような問題を解消すべく案出さ
れたものであり、細粒で焼結性の高いβ粉末を使用し、
βからαへの相転移が生じない比較的低温で焼結するこ
とにより、柱状粒子を発達させた組織を持ち靭性に優れ
た炭化ケイ素焼結体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化ケイ素焼結
体は、その目的を達成するため、85〜98重量%の炭
化ケイ素粒子と、2〜15重量%の粒界相からなる組織
をもち、炭化ケイ素粒子中のβ型含有率が50重量%以
上であり、平均粒径が1〜10μm,平均アスペクト比
が3以上の柱状粒子が全炭化ケイ素粒子の5重量%以上
であり、破壊靭性が4〜8MPa・m1/2 であることを
特徴とする。この焼結体は、Li,Mg,Al,Y,,
希土類金属及びSiから選ばれた2種以上の金属の酸化
物を構成成分とするガラス又は結晶相を含むガラスを粒
界相とすることが好ましい。この焼結体は、β型含有率
が全炭化ケイ素粒子の70重量%以上で、平均粒径0.
5〜3μmのマトリックス粒子40〜95重量%と平均
粒径3〜10μmの柱状粒子5〜60重量%から構成さ
れる組織、或いはβ型含有率が全炭化ケイ素粒子の50
重量%以上で、平均粒径1μm未満のマトリックス粒子
40重量%以下と平均粒径が1〜5μmの柱状粒子60
重量%以上から構成される組織をもっている。本発明の
焼結体は、平均粒径0.3μm以下及びβ型含有率80
重量%以上の原料微粉末を液相焼結した後、1900℃
以下の温度で熱処理することにより製造される。原料微
粉末には、粒成長の核として平均粒径0.6μm以上の
β型粒子0.5〜5重量%、或いはα型粒子0.5〜5
重量%添加することが好ましい。
【0005】
【作用】高靭性の炭化ケイ素焼結体が低い焼結温度で製
造できないのは、従来法が相転移を利用しているためで
ある。本発明においては、細粒で焼結性の高いβ粉末を
用い、βからαへの相転移が起こらない1900℃以下
の低温で焼結し、柱状粒子を発達させることにより、高
靭性の焼結体を低温で製造することを可能にしている。
このようにβ型を主成分とし、柱状粒子を含む焼結体で
あれば、強度,耐摩耗性等の炭化ケイ素本来の長所を活
用し、且つ靭性に優れた焼結体となる。このようにして
得られた炭化ケイ素焼結体は、β型を主とする炭化ケイ
素粒子と酸化物系の粒界相から構成され、平均粒径1〜
10μm,平均アスペクト比23以上の柱状長粒子を含
む組織をもっており、4〜8MPa・m1/2 の破壊靭性
を示す。
【0006】セラミックスの焼結では、使用する焼結原
料の粒度が焼結温度に大きく影響する。焼結原料として
は、平均粒径0.5〜0.6μmの粉末が市販されてい
る。この種の粉末は、0.1〜3μm程度の広い範囲に
わたる粒度分布をもっており、液相焼結に通常使用され
ているアルミナ−イットリア系の焼結助剤を用いても1
900℃以上の高温焼結が必要である。焼結性を低下さ
せる0.5μm以上の大きな粒子を除去したβ型の微細
粒子を調製し、適当な酸化物を助剤として使用すると焼
結温度を下げることができる。焼結温度は、ホットプレ
スや熱間静水圧焼結(HIP)等のように加圧を利用す
ると更に低下する。そして、適当な時間熱処理すると、
焼結体中の比較的大きな粒子が柱状に成長し、細かい粒
子と大きな柱状粒子からなる高靭性焼結体が得られる。
組織制御は、β型粒子の少量添加によって更に容易にな
る。β型粒子は、焼結時に核となって選択的に柱状に成
長し、靭性の向上が図られる。α型粒子は、粒度に関係
なく焼結時に核として作用するが、この場合は大部分が
柱状粒子である焼結体となる。
【0007】焼結及び熱処理をβからαへの相転移が生
じない1900℃以下の低温で行うと、大きな柱状粒子
がβのままで成長する。このように、粒度が細かく均一
なβ微細粉末単独又はそれに少量のβ又はα粒子を添加
し、比較的低温で焼結・熱処理することにより、相転移
を利用しなくても高靭性の焼結体が製造される。このよ
うにして得られた炭化ケイ素焼結体は、85〜98重量
%の炭化ケイ素粒子と2〜15重量%の粒界相から構成
される組織をもち、炭化ケイ素粒子中のβ型含有率が5
0重量%以上であり、平均粒径が1〜10μm,平均ア
スペクト比が3以上の柱状粒子が全炭化ケイ素の5重量
%以上である。このように組織制御することにより、4
〜8MPa・m1/2 の破壊靭性を示す高靭性炭化ケイ素
焼結体となる。この焼結体は、酸化物を焼結助剤として
液相焼結することにより高密度化される。この場合、冷
却後には粒界に液相が固化した酸化物ガラス相又は結晶
相を含むガラス相が形成される。この粒界のガラス相
は、Li,Mg,Al,Y,希土類金属,Si等の2種
以上の金属の酸化物を構成成分としている。ガラス相の
量は、2〜15重量%の範囲にあることが好ましい。2
重量%未満では焼結が困難になり、逆に15重量%を超
えるガラス相では焼結体の強度が低下する。
【0008】靭性の向上に有効な柱状粒子は、平均粒径
が1〜10μm,平均アスペクト比が3以上である。平
均粒径が1μm未満になると破壊靭性の向上に効果がな
く、10μmを超えるようになると焼結及び熱処理に極
めて長時間が必要とされる。平均アスペクト比が3未満
では、マトリックスとほぼ同じ特性になり、靭性改善に
寄与する柱状粒子の作用が低下する。柱状粒子の平均粒
径の範囲はマトリックス粒子の大きさによっても異な
り、0.5〜3μmのマトリックスでは柱状粒子の平均
粒径が3〜10μmであり、且つ柱状粒子の量が5〜6
0重量%,β型含有率が全炭化ケイ素粒子の70重量%
以上である。柱状粒子の量が5重量%以下では破壊靭性
の向上に効果がなく、60重量%以上でも特性上に問題
はないが極めて長時間の加熱が必要になる。
【0009】このような焼結体は、平均粒径が0.3μ
m以下と微細でβ型含有率が80重量%以上である原料
粉末を液相焼結した後、1900℃以下の温度で加熱し
て熱処理することにより製造される。熱処理の際に、粒
子中の一部の大きな粒子が核となり、柱状粒子が発達す
るため、得られた焼結体の破壊靭性が高くなる。原料粉
末中に平均粒径が0.6μm以上の大きなβ型粒子を粒
成長の核として0.5〜5重量%添加するとき、柱状粒
子の数や大きさの制御が一層容易になる。原料粉末中に
α型粒子を添加する場合、どのような粒径のα型粒子も
粒成長の核として働く。この場合、α型粒子の添加量
は、0.5〜5重量%の範囲に調整することが好まし
い。本発明の焼結体は、1900℃以下の焼結及び熱処
理により製造される。この焼結及び熱処理によって、平
均粒径が1μm未満のマトリックス粒子40重量%以下
と、平均粒径が1〜5μmの柱状粒子60重量%以上か
ら構成される高靭性炭化系諸焼結体が得られる。α型粒
子は、全ての粒子が粒成長の核として作用するので、β
型粒子を核として加えた場合よりもマトリックスの量が
少なく、柱状粒子が増加する。このように、α型粒子の
添加は、柱状粒子の発達を促進させる。また、焼結及び
熱処理を1900℃以下で行うことにより、α型粒子を
核として添加しても相転移が顕著ではなく、β型を主成
分とする柱状粒子を得ることができる。このようにし
て、低温での製造が可能となり、結果としてβ型含有率
が50重量%以上の高靭性炭化ケイ素焼結体が得られ
る。
【0010】炭化ケイ素焼結体の粒径測定には、試料を
切断・研磨した後、CF4 ガスのマイクロ波プラズマで
処理し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。この
処理で炭化ケイ素粒子が除去され、粒界の酸化物系ガラ
スが残留するので、粒子の形状を容易に観察することが
できる。SEM写真から500個以上の粒子を用い、画
像処理法で粒子の直径,長さ及び面積を算出する。粒子
の直径は、研磨面の粒子の最も短い直径である。平均粒
径とは測定した多数の直径の個数平均であり、測定した
粒子の長さと直径の比が見掛け上のアスペクト比であ
る。そして、アスペクト比を大きなものから並べ、その
上から10%の値の平均を真のアスペクト比と定義す
る。このように画像解析を利用すると、二次元の断面に
関する情報から三次元の粒子の分布や粒子形状(アスペ
クト比)に関するデータが得られる。
【0011】測定した直径とある直径の範囲内にある粒
子の総面積をプロットすると、焼結体内部における粒度
分布が得られる。本発明の焼結体では、この粒度が二つ
の分布に分かれており、粒径の小さい方をマトリック
ス,大きい方を柱状粒子として定義する。そして、マト
リックスと柱状粒子のそれぞれについての平均粒径及び
アスペクト比を求める。焼結体内のβ型含有率は、粉砕
した試料の粉末X線回折によって決定できる。破壊靭性
は、JIS 1607に準拠し、試料の研磨面にヴィッ
カース型ダイアモンド圧子を98Nで押し付け、圧痕の
大きさとそのコーナーから成長した亀裂の大きさを測定
することにより調査した。
【0012】
【実施例】
実施例1:焼結用原料として市販されている炭化ケイ素
超微粉(住友大阪セメント社製β−SiC超微粉)に対
して、スラリー濃度が5重量%となるように濃度0.1
重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液
を添加し、炭化ケイ素製のボールミルで3時間湿式分散
及び粉砕した。次いで、このスラリーを遠心力2800
Gの条件で90分間遠心分離し、上澄みとして炭化ケイ
素粉末中の遊離炭素を除去した後、洗浄及び乾燥して炭
化ケイ素微粉末を調整した。平均粒径は、レーザ散乱法
での測定が難しく、比表面積より球を仮定して算出した
が、0.09μmと極めて細かいものであった。次い
で、調整された炭化ケイ素微粉末90重量%に、Al2
3 (住友化学社製 AKP−20)7重量%,Y2
3 (信越化学工業社製微粉)2重量%,CaO(和光純
薬社製特級試薬)1重量%を添加し、炭化ケイ素容器と
ボールを用いた遊星型ボールミルで、エタノール中で2
時間湿式混合した。粉末を乾燥した後、これらの粉末約
3gを直径15mmの金型で20MPaで円盤状に成形
し、更に静水圧プレスで200MPaに加圧した。BN
粉末を塗布したカーボンルツボに原料成形体を収容し、
Ar中で1750℃に60分加熱した。
【0013】得られた焼結体は、97.5%の相対密度
をもち、組織は均一で、破壊靭性は1.9MPa・m
1/2 であった。この焼結体を温度を下げることなく19
00℃で2時間保持した後、冷却し、その組織(マトリ
ックスと柱状粒子それぞれの平均粒径及びアスペクト
比)及び破壊靭性を評価し、その結果を表1に示す。焼
結体の粉末X線回折の結果では、β型含有率が73%で
あった。組織は、焼結体から切り出した試料を切断・研
磨した後、プラズマエッチングし、走査型電子顕微鏡
(SEM)で観察した。更に、画像解析装置(ニレコ社
製ルーゼックス III)により500個以上の粒子を用い
て定量評価した。また、β含有率と破壊靭性を測定し、
表1の結果を得た。表1から明らかなように、β型を主
成分としながらも、図1に示すように柱状粒子が発達し
た組織をもち、靭性の高い焼結体が得られた。
【0014】実施例2:焼結用原料として、市販されて
いる炭化ケイ素粉末(イビデン社製ベータランダムウル
トラファイン)に対して、スラリー濃度が10重量%と
なるように濃度0.1重量%のCMC水溶液を添加し、
炭化ケイ素製のボールミルで3時間湿式分散及び粉砕処
理した。次いで、このスラリーを遠心力1400Gの条
件で5分間遠心分離し、上澄みとして炭化ケイ素微粉末
を含むスラリーを分離し、洗浄及び乾燥することにより
炭化ケイ素微粉末を調整した。得られた炭化ケイ素微粉
末の平均粒径は、レーザ散乱法で測定したところ0.2
8μmであった。調整された炭化ケイ素微粉末91重量
%に、Al23 (住友化学社製AKP−20)6重量
%,Y23 (信越化学社製微粉)2重量%,MgO
(和光純薬社製特級試薬)1重量%を添加し、実施例1
と同様に湿式混合した。粉末を乾燥した後、これらの粉
末約4gを直径15mmのカーボンダイスに充填し、ア
ルゴン雰囲気中、プレス圧20MPaで1850℃に1
5分間ホットプレス焼結した。そして、圧力を開放した
後、引き続き1850℃に8時間加熱する熱処理を施し
た。得られた焼結体は、相対密度99.5%,β型含有
率88%であった。また、組織と破壊靭性の評価結果
は、表1に示す通りであった。この場合も、β型を主成
分としながらも、柱状粒子を含む高靭性の焼結体である
ことが判る。
【0015】実施例3:実施例1の微粉末と焼結助剤
に、2重量%の粗粉末を粒成長の核として添加した。な
お、粗粉末には、実施例2で沈澱として回収した平均粒
径1.2μmのβ型粉末を使用した。実際の操作は、微
粉末に助剤を加え、実施例1と同様に2時間湿式混合し
た後、粗粉末を加え、更に15分間混合した。この粉末
を用い、1750℃で15分間ホットプレス焼結し、1
850℃×4時間の熱処理を施した。得られた焼結体
は、相対密度が99.2%,β型含有率が75%であっ
た。結果は表1にみられるように、粗粉末を核として添
加しない実施例1の場合に比較して、低温での熱処理に
よって高靭性の焼結体が得られていることを示す。
【0016】実施例4:実施例3と同じ原料粉末と焼結
助剤に、2重量%のα型粉末を粒成長の核として添加し
た。α型粉末には、α型粉末(昭和電工社製A−1)か
ら実施例2と同様に微粉末を分離した残りの粗粉末(平
均粒径0.9μm)を使用した。実施例3と同じ条件で
ホットプレス焼結し、1900℃で2時間熱処理した。
得られた焼結体は、相対密度が99.6%,β型含有率
が63%であった。焼結体は、図2に示すようにほぼ柱
状粒子のみからなる組織をもち、マトリックスがほとん
ど消失していた。組織の評価及び破壊靭性の結果は、表
1にみられるように、粗粉末を核として添加しない実施
例1の場合に比較して、短時間の熱処理で高靭性の焼結
体が得られていることを示す。
【0017】
【0018】実施例5:実施例3のホットプレス焼結体
(熱処理なし)を1700℃で30MPaの圧力によっ
て圧縮すると、1.5×10-4/秒の超塑性変形を示し
た。変形後の組織は、変形前の組織とほぼ同じであり、
平均粒径が約0.1μmと微細であった。変形後、実施
例3と同じ条件下で熱処理することにより、破壊靭性
6.2MPa・m1/2 の焼結体を得た。すなわち、微細
な組織をもつ焼結体を超塑性加工によって所定形状に成
形した後、熱処理を施すことにより、高靭性の材料が得
られることが判った。
【0019】実施例6:実施例4のホットプレス焼結体
(熱処理なし)を1650℃で30MPaの圧力によっ
て圧縮すると、8.2×10-4/秒の超塑性変形を示し
た。変形後の組織は、変形前の組織とほぼ同じであり、
平均粒径が約0.1μmと微細であった。変形後、実施
例3と同じ条件下で熱処理することにより、破壊靭性
7.5MPa・m1/2 の焼結体を得た。この場合も、微
細な組織をもつ焼結体を超塑性加工によって所定形状に
成形した後、熱処理を施すことにより、高靭性の材料が
得られることが判った。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の炭化ケ
イ素焼結体においては、β型を主成分とし、柱状粒子の
平均粒径,アスペクト比,全炭化ケイ素粒子に対する比
率等を特定することにより、炭化ケイ素本体の高温強
度,耐食性,耐摩耗性等を活用し、しかも靭性に優れた
製品として使用される。この焼結体は、従来法に比較し
て低温の焼結により製造でき、破壊靭性を向上させる量
や大きさが合成条件から制御できるので、再現性よく組
織制御が可能となり、品質信頼性の高い製品として広範
な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造された炭化ケイ素焼結体の組
織を示す写真
【図2】 実施例4で製造された炭化ケイ素焼結体の組
織を示す写真

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 85〜98重量%の炭化ケイ素粒子と、
    2〜15重量%の粒界相からなる組織をもち、炭化ケイ
    素粒子中のβ型含有率が50重量%以上であり、平均粒
    径が1〜10μm,平均アスペクト比が3以上の柱状粒
    子が全炭化ケイ素粒子の5重量%以上であり、破壊靭性
    が4〜8MPa・m1/2 である炭化ケイ素焼結体。
  2. 【請求項2】 粒界相が、Li,Mg,Al,Y,,希
    土類金属及びSiから選ばれた2種以上の金属の酸化物
    を構成成分とするガラス又は結晶相を含むガラスである
    請求項1記載の炭化ケイ素焼結体。
  3. 【請求項3】 炭化ケイ素粒子が平均粒径0.5〜3μ
    mのマトリックス粒子40〜95重量%と平均粒径3〜
    10μmの柱状粒子5〜60重量%から構成され、β型
    含有率が全炭化ケイ素粒子の70重量%以上である請求
    項1又は2記載の炭化ケイ素焼結体。
  4. 【請求項4】 炭化ケイ素粒子が平均粒径1μm未満の
    マトリックス粒子40重量%以下と平均粒径が1〜5μ
    mの柱状粒子60重量%以上から構成され、β型含有率
    が全炭化ケイ素粒子の50重量%以上である請求項1〜
    3の何れかに記載の炭化ケイ素焼結体。
  5. 【請求項5】 平均粒径0.3μm以下及びβ型含有率
    80重量%以上の原料微粉末を液相焼結した後、190
    0℃以下の温度で熱処理する請求項1〜4の何れかに記
    載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の原料微粉末に、平均粒径
    0.6μm以上のβ型粒子を粒成長の核として0.5〜
    5重量%添加する炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の原料微粉末に、α型粒子
    を粒成長の核として0.5〜5重量%添加する炭化ケイ
    素焼結体の製造方法。
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