JPH0834015B2 - 磁気記録方法および磁気記録体 - Google Patents

磁気記録方法および磁気記録体

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JPH0834015B2
JPH0834015B2 JP1053186A JP5318689A JPH0834015B2 JP H0834015 B2 JPH0834015 B2 JP H0834015B2 JP 1053186 A JP1053186 A JP 1053186A JP 5318689 A JP5318689 A JP 5318689A JP H0834015 B2 JPH0834015 B2 JP H0834015B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、所定部材に高エネルギビームを照射する
ことにより情報記録部位を形成する磁気記録方法および
磁気記録媒体に関する。
[従来の技術] 磁気記録装置、磁気カード、フロッピディスク、認証
カード、及び磁気スケール等において、目盛り又は記号
等の情報の記録は、従来、磁性粉の塗膜、又は磁性薄膜
等を所定部材の表面に形成し、磁性粉の塗膜等を外部磁
界により部分的に磁化することにより情報を記録してい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような方法で情報を記録する場合
には、上述の磁性粉の塗膜等の磁気特性が100℃以下と
いう比較的低温で変化してしまい、また、外部磁界の影
響をうけやすく、磁石を近付ける等の取扱いの不備、及
び経時変化により記録した情報が容易に損傷してしまう
虞がある。更に、塗膜及び薄膜は一般構造用金属材料に
比較すると耐摩耗性等が著しく劣っているため、耐摩耗
性等が要求される環境へは適用が制限されてしまう。
この発明はかかる事情に鑑みてなされたものであつ
て、高温環境下、及び摩耗が激しい環境下でも特性を安
定して磁気記録情報を維持することができる磁気記録方
法および磁気記録体を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明に係る磁気記録方法は、それぞれ材料または
組成が異なる複数の層を積層してなる部材に、その表面
側から高エネルギービームを照射し、前記複数の層のう
ち少なくとも2層を融合させて各層とは組成が異なる融
合部を形成し、この融合部は、その透磁率が部材表面の
非融合部の透磁率よりも大きく、この融合部を情報記録
部位とすることを特徴とする。
また、この発明に係る磁気記録体は、それぞれ材料ま
たは組成が異なる複数の層を積層してなる部材と、この
部材の表面に形成され、他の表面部分よりも透磁率が大
きい情報記録部位と、を具備し、前記情報記録部位は、
前記複数の層のうち少なくとも2層が融合してなり、各
層とは異なる組成の融合部であることを特徴とする。
また、上記情報記録部位は、部材表面の非融合部より
も透磁率が小さい磁性体であってもよい。さらに、情報
記録部位の配置及び形状を記録する情報に従って変化さ
せることができる。
[作用] この発明の磁気記録方法においては、それぞれ材料ま
たは組成が異なる複数の層を積層してなる部材に、その
表面側から高エネルギービームを照射し、これら層のう
ち少なくとも2層を融合させて各層とは組成が異なる融
合部を形成し、この融合部は、その透磁率が部材表面の
非融合部の透磁率とは異なり、この融合部を情報記録部
位とする。この場合に、高エネルギビームにより融合さ
せて情報記録部位を形成するので、比較的高温でも改質
部の形状が変化しない。更に、塗膜及び薄膜を有してい
ないので耐摩耗性は良好であり、摩耗が激しい環境下で
も利用することができる。
[実施例] 以下、添付図面を参照してこの発明について詳細に説
明する。
第1図はこの発明の磁気記録方法が適用される2層の
積層体からなる部材を示す断面図である。部材1は板状
の母材(第二層)2に、表面層(第一層)3が溶射又は
メッキ等により被覆されて構成されている。これら母材
2及び表面層3は磁性体であってもよいし、また非磁性
体であってもよく、後述する情報記録部位形成すること
ができるように適宜材料を選択する。
母材2と表面層3との組合わせとしては、第一に母材
2が磁性体で表面層3が非磁性体、第二に母材2が非磁
性体で表面層3が磁性体、第三に母材2及び表面層3が
共に非磁性体、第四に母材2及び表面層3が共に磁性体
の4種類ある。
第一の組合わせの例としては母材2が低炭素鋼(例え
ばSS41)で表面層3がオーステナイトステンレス鋼(例
えばSUS316)、及び母材2が鋳鉄で表面層3がマンガン
銅、第二の組合わせの例としては母材2がオーステナイ
トステンレス鋼(例えばSUS304又はSUS316)で表面層3
がニッケルメッキ、第三の組合わせの例としては母材2
がマンガン銅で表面層3がアルミメッキ、第四の例とし
ては母材2が冷延鋼板(SPCC)又は一般鋼材で表面層3
がニッケルメッキ等がある。
次に、このように構成された部材に情報記録部位を形
成する方法について説明する。
この発明においては、情報記録部位は磁性体であっ
て、情報記録部位の透磁率が部材表面の他の部分よりも
高い場合と低い場合との2種類の場合がある。以下の説
明においては前者をA、後者をBと略記する。
先ず、表面層3に情報が記録される場合について示
す。表面層3にレーザビーム又は電子ビーム等の高エネ
ルギビームLを層面に対し略垂直に照射する。そうする
と、ビームLのエネルギにより表面層3及び母材2が加
熱されて溶融し、融合領域4が形成される。なお、第1
図においては、溶融領域4の先端が母材2内に止まって
いるが、ビーム出力及び層厚等を調節して母材を貫通さ
せることもできる。
前述した母材2と表面層3との組合わせの例におい
て、上記Aに該当する情報記録部位を形成するために
は、(1)母材2が低炭素鋼で表面層3がオーステナイ
トステンレス鋼の組合わせ、(2)母材2がオーステナ
イトステンレス鋼で表面層3がニッケルメッキの組合わ
せ、(3)母材2がマンガン銅で表面層3がアルミメッ
キの組合わせ、(4)母材2が冷延鋼板で表面がニッケ
ルメッキの組合わせ等がある。
(1)の組合わせでは、融合領域4がオーステナイト
ステンレス鋼に母材の鉄が溶け込んだ状態となり、非磁
性体のオーステナイト組織が失われて強磁性体となる。
(2)の組合わせでは、ニッケルとステンレス鋼とによ
り融合領域4がニッケル(最大透磁率1400)よりも透磁
率が高い高透磁率合金(最大透磁率60000)となる。ま
た、(3)の組合わせでは、アルミニウムとマンガン銅
とにより融合領域4が磁性体であるホイスラー合金(75
Cu-14Mn-10Al、最大透磁率650)となる。更に、(4)
の組合わせでは、(2)のように融合領域4がニッケル
を多量に含む高透磁率合金となる。
また、上記Bに該当する情報記録部位を形成するため
には、(5)母材2が一般鋼材で表面層がニッケルメッ
キの組合わせがある。(5)では、一般鋼材とニッケル
とにより融合領域がニッケルよりも透磁率が小さい磁性
体となる。
その後、溶融領域4が形成された部材1の表面を必要
に応じて仕上加工して平滑にする。これにより部材1の
表層部において、融合領域4の部分が表面層3と透磁率
が異なる情報記録部位5となる。
次に、母材2に情報に記録される場合について説明す
る。ここでは、第2図に示すように、第1図に示す部材
1の表面を研削して表面層3を除去する。この場合に、
母材2の透磁率が融合領域4の透磁率と異なっていれ
ば、融合領域4の表層部分に母材2と透磁率が異なる情
報記録部位6を形成することができる。例えば、上述の
(1)の組合わせでは母材が磁性体の低炭素鋼(最大透
磁率5000)であるから、情報記録部位6の透磁率を母材
2よりも高くすることも低くすることもできる。すなわ
ち、この場合には前述のAに該当する情報記録部位もB
に該当する情報記録部位もいずれも形成することができ
る。また、前述の(2)〜(4)の組合わせの場合に
は、母材2よりも融合領域4のほうが明かに透磁率が高
いので常に前述のAに該当する情報記録部位6を形成す
ることができる。前述のBに該当する情報記録部位を形
成する例としては、上記以外に母材2が鋳鉄で表面層3
がマンガン銅の組合わせがある。
第3図に示すように、母材の裏面を研削することによ
り、裏面側に情報記録部位7を形成することもできる。
次に、3層の積層体からなる部材を適用する場合につ
いて説明する。
第4図はこの発明の情報記録部位形成方法を適用する
3層の積層体からなる部材を示す断面図である。部材11
は例えばオーステナイトステンレス鋼(SUS304、SUS31
6)のような非磁性体で形成された母材(第三層)12の
上に、中間層(第二層)13及び表面層(第一層)14を順
に形成して構成されている。これら中間層13及び表面層
14は磁性体又は非磁性体で形成される。
中間層13は例えは非磁性体である銅で形成され、表面
層14は例えば磁性体であるニッケルで形成される。な
お、中間層13をニッケル等で形成し、表面層14を銅等で
形成することもできる。銅層及びニッケル層は一般的な
メッキ法で形成され、その後熱処理して各層を密着させ
る。
このような部材11の表面層14側から層面に対し略垂直
に高エネルギビームLを照射する。これにより、層13,1
4及び母材12が加熱溶融されて鉄、ニッケル、銅が融合
した強磁性体からなる融合領域15が形成される。
表面層14に情報が記録される場合には、部材11の表層
部において、融合領域15の部分が表面層14より透磁率が
高い情報記録部位16となる。中間層13に情報が記録され
る場合には、第5図に示すように、表面層14を研削して
除去することにより、融合領域15の部分が中間層13より
も透磁率が高い情報記録部位17となる。更に、母材12に
情報が記録される場合には、第6図に示すように、中間
層13及び表面層14を研削して除去することにより融合領
域15の部分が母材12よlりも透磁率が高い情報記録部位
18となる。
また、このように母材12に情報を記録する場合には、
母材の裏面を研削して裏面に融合領域15を露出させるこ
とにより、第7図に示すように、裏面側に情報記録部位
19を形成することができる。
なお、これら3層の材料を適切に選択することによ
り、前述のBに該当する情報記録部位を形成することも
できる。
なお、以上、各層を金属材料で形成した場合について
示したが、それ以外の材料を使用することもできる。例
えば、冷延鋼板(SPCC)の母材に非金属である酸化鉄亜
鉛(Fe2ZnO4)の表面層を被覆した部材に、表面層側か
ら高エネルギビームを照射して強磁性の融合領域を形成
した後、表面層を除去することにより、第2図のよう
に、融合領域の部分に冷延鋼板よりも透磁率が大きい情
報記録部位を形成することができる。
なお、上記いずれの態様においても複数の層が融合し
た融合領域を基本的に磁性体とするから、各層の材料及
び組成範囲を広くすることができ、情報記録部位を形成
しやすいという利点がある。
このような方法を応用することにより、第8図に示す
ような磁気記録体を形成することができる。即ち、部材
21の表層部に、記録すべき情報に応じて複数の線状の情
報記録部位22を設ける。この場合に、情報記録部位同士
の間隔、情報記録部位自体の幅、及び幅が広い情報記録
部位と幅が狭い情報記録部位との順序を変化させること
により種々の情報を記録した磁気カードを得ることがで
きる。
第9図及び第10図は上述のような磁気記録方法を応用
した磁気スケールを示す側面図である。第9図において
は、素材34は円柱状の母材32の表面に表面層33が被覆さ
れて形成されている。この場合に、母材32及び表面層33
は、夫々第1図における母材2及び表面層3と同様の材
料で形成されている。この素材34には環状の情報記録部
位35が所定の間隔をおいて形成される。この情報記録部
位35は素材34を矢印36方向に回転させながら表面層33に
高エネルギビームを層面に対し垂直に照射し、必要に応
じて素材34を研削することによって形成することができ
る。場合によっては、前述したように、表面層33を研削
して完全に除去してもよい。このようにして平滑な表面
を有する磁気スケール31を得ることができる。情報記録
部位35は強磁性を有しており、磁気センサー37により情
報記録部位35を検出することによって磁気スケール31の
長手方向の変位を測定することができる。
第10図においては、素材44は円柱状の母材42の表面に
表面層43が被覆されて形成されている。これら母材42及
び表面層43は、やはり夫々第1図における母材2及び表
面層3と同様の材料で形成されている。この素材44には
螺旋状の情報記録部位45が形成されている。この情報記
録部位45は素材44を矢印46方向に回転させ、且つ矢印47
方向に移動させながら表面層43に高エネルギビームLを
層面に対し略垂直に照射することによって形成すること
により得られる。情報記録部位45が形成された素材44を
必要に応じて素材34と同様に研削することにより磁気ス
ケール41を形成することができる。この情報記録部位45
は情報記録部位35と同様に強磁性である。
以上のような磁気記録方法では、外部磁界を用いずに
高エネルギビームにより材質自体を高透磁率にして情報
を記録するので、磁石を近付ける等の取扱いの不備が生
じた場合や、高温下(100℃以上)で使用した場合に、
情報が変化する虞が少ない。また、このような記録体
は、機械要素の部品として使用された際の摩擦熱及び取
扱いの不備等で500℃という高温になっても、情報記録
部位の形状及び配置が実質的に変化せず、情報が殆ど変
化しない。
情報が記録される表面層の材料は、磁性を有する情報
記録部位を形成することができれば広範囲の材質を選択
することができる。例えば、耐摩耗性が要求される条件
で使用する場合には、情報が記録される表面層の材質を
耐摩耗性の高い材質にし、表面を平滑に加工することに
より、良好な耐摩耗性を得ることができる。
融合領域を構成する材料の磁性は透磁率の大小で評価
することができ、そこに含まれる金属成分及び組成を変
化させることにより、その値は数千μまでの範囲で調節
することができる。この領域の金属成分及び組成を変化
させるためには、積層部材を構成する層の組成、並びに
高エネルギビームの出力等を調節すればよい。融合領域
の金属成分及び組成は、用途及び価格等に応じて適宜選
択することができる。
上述した磁気センサ37は磁気抵抗素子によるもの、又
は一般的な磁気ヘッドを利用することができる。なお、
磁気センサ37は第9図のみに図示しているが、他の場合
にも同様に用いることができる。この磁気センサ37によ
り情報を読取る場合には情報記録部位に隣接させるが、
情報記録部位の間が非磁性部の場合にはその透磁率が約
1であり、情報記録部位の透磁率が数十乃至数千であつ
て、極めて差が大きいので、磁気センサ37により得られ
る電気信号のS/Nが高く、読取り精度を極めて高くする
ことができる。
第11図に示すように、母材52の上に表面層53を被覆し
て軸状素材54を形成し、高エネルギビームとしてアーク
溶接機のアークを用いて、比較的大型の情報記録部位55
を形成する場合には、この情報記録部位を非常に小型の
磁気センサで容易に検出することができる。即ち、従来
リミットスイッチ等の大型センサによって行っていた可
動部品の位置決めを小型の磁気センサにより行うことが
でき、機械装置の小型化を容易化することができる。
なお、この発明はこれら実施例に限定されることなく
種々変形可能である。例えば、2層又は3層を積層して
部材を形成したが、これらが融合して部材表面の非融合
部分と透磁率が異なる情報記録部位を形成することがで
きるものであれば何層であっても構わない。また、材料
もこの実施例に記載したものに限らず、要するに透磁率
が異なる情報記録部位を形成することができればよい。
次に、この発明を実際に適用した具体的な実施例につ
いて説明する。
実施例1 低炭素鋼(SS41P,厚さ4.5mm)母材の表面に非磁性鋼
(SUS316相当)の粉体を厚みが0.3mm程度になるように
溶射して第1図に示すような素材を形成し、ビーム径0.
6mmで出力500Wの炭酸ガスレーザを照射しつつ、素材を
送り速度2m/分で移動させることにより、クロム5%及
びニッケル3%を含んだ強磁性鋼の線状の情報記録部位
を形成した。この場合に、情報記録部位の幅(第1図中
のS)が0.5mm、母材における融合領域の深さ(第1図
中のT)が0.8mmになるようにした。このように情報記
録部位を設けた素材の溶射層表面を研削加工して平滑に
し、溶射層の厚みが0.2mm程度の記録体を得た。なお、
第9図に示す一般的なセンサを用いて記録信号を読取る
場合に、情報記録部位と情報記録部位との間隔を0.2mm
以上にすることにより十分な電気信号を得ることができ
た。
実施例2 低炭素鋼(SS41相当)の棒材の表面に、クロム15%、
硼素3%、鉄3%、珪素3.5%、炭素0.5%、ニッケル75
%の組成を有する非磁性かつ高硬度の自溶性合金を0.3m
mの厚さで溶射して素材を形成し、ビーム径1.2mmで出力
1000Wの炭酸ガスレーザを照射しつつ、この素材を150mm
/分で回転させ、更に適宜の送り速度で移動させて、螺
旋状の情報記録部位(幅1.2mm)を形成し、磁気スケー
ルを形成した。情報記録部位となる融合領域は棒材から
大量の鉄が溶け込んだ状態となっており、小型トランス
用の磁芯材料と同様の組成の極めて透磁率が高い磁性材
料となった。螺旋状の情報記録部位のピッチを2mm程度
にすることにより、繰返し精度が0.1mm程度の測定が可
能となった。また、情報記録部位の表面及び溶射層の表
面の硬度は、Hv700以上となり、高い耐摩耗性を示し
た。この磁気スケールを機械装置の摩耗を伴う部品に使
用しても長寿命であった。
実施例3 厚さ0.8mmのSUS316の板の表面に厚さ0.02mmの銅メッ
キ層を形成し、更にその上に厚さ0.15mmのニッケルメッ
キ層を形成して素材とした。この素材に、ニッケルメッ
キ層側からビーム径0.3mmで出力300Wの炭酸ガスレーザ
を照射しつつ、この素材を送り速度1.2m/分で移動させ
ると、幅0.3mm、SUS316の板における深さが0.5mmの融合
領域が形成され、表面を研削してメッキ層を除去するこ
とにより幅が0.2mmの情報記録部位が形成された厚さ0.7
mmの磁気カードを得ることができた。この場合に、情報
記録部位同士の間隔を0.2mm以上の任意の間隔にするこ
とができ、多量の情報を記録させることができた。
実施例4 厚さ2.8mmの冷延鋼板(SPCC)の上に500μmの厚みの
酸化鉄亜鉛(Fe2ZnO4)材をガスアーク法による溶射に
より形成した素材を得た。次いで、溶射層上から出力が
1000Wの炭酸ガスレーザビームをレンズにより集光照射
しつつ、素材を1.0m/分で移動させた。レーザビーム照
射部分には、幅が1mmでSPCC板の裏面まで貫通した融合
領域が形成された。次いで、溶射層をSPCC板の界面まで
除去することにより、冷延鋼板表層部に情報記録部位が
形成された。情報記録部位及び母材の透磁率を測定した
結果、情報記録部位の透磁率のほうが大きかった。更
に、SPCC板の裏面側(レーザビーム照射側の反対側)を
レーザビームによる溶融痕がなくなる程度まで研削し、
裏面側にも情報記録部位を形成した。裏面側において
も、情報記録部位のほうがSPCC板よりも高い透磁率を示
した。
実施例5 厚さ2.8mm(7)SPCC板の上に500μmの厚みのNiメッ
キ層を形成して素材を得た。次いで、メッキ層上から出
力が1000Wの炭酸ガスレーザビームをレンズにより集光
照射しつつ、素材を1.0m/分で移動させた。レーザビー
ム照射部分には、幅が1mmでSPCC板の裏面まで貫通した
融合領域が形成された。表面を若干研削して平滑にした
結果、素材の表層部における融合領域に、Niよりも透磁
率が高い情報記録部位が形成された。
実施例6 一般鋼板(0.5%C,最大透磁率1300)の母材表面に、
ニッケルメッキ層(最大透磁率600)を形成して素材を
作成した。この素材にレーザビームを照射して母材とメ
ッキ層とを融合させ、23%Ni,0.4%Cを含む低透磁率
(最大透磁率1.05)の融合領域を形成した。この際、融
合領域の周辺部分が急速に加熱・冷却されて焼入れされ
た状態となり、透磁率が低くなった(最大透磁率14
0)。このため、焼きなましを行って融合領域周辺部分
における母材の最大透磁率を1300まで戻した。この際
に、融合領域の透磁率がわずかに上昇し、最大透磁率が
5程度となった。この場合には、メッキ層も母材も共に
融合領域よりも極めて高い透磁率を有しているので、メ
ッキ層に情報を記録してもよいし、メッキ層を研削して
母材に情報を記録することもできる。ここで使用された
一般鋼板は大量に使用されており、安価であるという利
点がある。また、情報記録部位と母材又はメッキ層との
透磁率の差が大きいので記録部材として良好な特性を得
ることができる。
実施例7 鋳鉄(1.7%Si,3.3%C,0.5%Mn,残部Fe,最大透磁率70
0)の母材にマンガン銅(60%Mn,30%Cu,10%Si)の合
金粉末の溶射層(厚さ0.2mm)を形成して素材を得た。
この素材にレーザビームを照射して母材と溶射層とを融
合させ、深さ0.7mmの融合領域を作成した。この融合領
域は8%Mn,4%Cu,3%C,3%Siを含み、透磁率が3程度
と低い磁性体であった。その後、溶射層を研削して除去
し、高透磁率の母材に低透磁率の情報記録部位を形成し
た。このように母材と情報記録部位とで透磁率が大きく
異なるので明瞭な磁気記録を行うことができる。
母材として用いた鋳鉄は、産業機械、工作機械等に大
量に使用されているため、この記録体は安価であり、広
範な用途に適用できる。
なお上記実施例では情報記録部位をバーコードに適用
する場合について説明したが、第12図に示すように数字
等の文字又は記号をレーザ光線で記録することもでき
る。
[発明の効果] この発明によれば、高エネルギビームを照射すること
により少なくとも2以上の層を融合させて部材表面の部
分の非融合部と透磁率が異なる情報記録部位を形成する
ので、従来のように外部磁界を用いずに情報を記録する
ことができ、記録された情報が磁石等の外部磁界や、衝
撃又は高温により損傷されない。また、磁化されていな
いので外部から容易に読取られにくい。また、高エネル
ギビームにより融合させて透磁率が異なる記録部位を形
成するので、比較的高温でも磁気特性が変化しにくい。
更に、塗膜及び薄膜が不要なので適宜材質を選択するこ
とにより耐摩耗性を向上させることができ、摩耗が激し
い環境下でも適用することができる。
また、この発明に係る磁気記録体は、上述のような情
報記録部位を有するので、磁性金属の塗膜及び薄膜等が
不要であり構造を堅牢にすることができ、長寿命化する
ことができる。
また、情報記録部位は磁性体で形成されているから、
各層の材料及び組成の適用範囲を広くすることができ、
形成しやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例に係る磁気記録方法が適用さ
れる2層の積層体からなる部材の断面図、第2図は第1
図の部材から表面層を除去した状態を示す断面図、第3
図は第2図の部材の裏面側を研削して両側に情報記録部
位を形成した状態を示す断面図、第4図はこの発明の実
施例に係る磁気記録方法が適用される3層の積層体から
なる部材の断面図、第5図は第4図の部材から表面層を
除去した状態を示す断面図、第6図は第5図の部材の中
間層を除去した状態を示す断面図、第7図は第6図の部
材の裏面層を研削して両側に情報記録部位を形成した状
態を示す断面図、第8図は複数の情報記録部位を設けた
記録体を示す平面図、第9図は環状の情報記録部位を有
する磁気スケールを示す側面図、第10図は螺旋状の情報
記録部位を有する磁気スケールを示す側面図、第11図は
大きな情報記録部位を有する軸状部品を示す部分断面側
面図、第12図は文字又は記号の情報記録部位を示す図で
ある。 1,11,21;部材、2,12;母材、3,14,33;表面層、4,15;融合
領域、5,6,7,16,17,18,19,22,35,45;情報記録部位、31,
41;磁気スケール、L;高エネルギービーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 弘洋 神奈川県座間市ひばりが丘4丁目5676番地 東芝機械株式会社相模事業所内 (56)参考文献 特開 昭63−316336(JP,A) 特開 昭62−154248(JP,A)

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ材料または組成が異なる複数の層
    を積層してなる部材に、その表面側から高エネルギービ
    ームを照射し、前記複数の層のうち少なくとも2層を融
    合させて各層とは組成が異なる融合部を形成し、この融
    合部は、その透磁率が部材表面の非融合部の透磁率より
    も大きく、この融合部を情報記録部位とすることを特徴
    とする磁気記録方法。
  2. 【請求項2】それぞれ材料または組成が異なる複数の層
    を積層してなる部材に、その表面側から高エネルギービ
    ームを照射し、前記複数の層のうち少なくとも2層を融
    合させて各層とは組成が異なる融合部を形成し、その
    後、部材表面部を表面側の層の途中まで、または他の層
    が現出するまで除去し、融合部の透磁率が新たな部材表
    面の非融合部の透磁率よりも大きくなるようにし、この
    融合部を情報記録部位とすることを特徴とする磁気記録
    方法。
  3. 【請求項3】前記除去により融合部が形成された1層の
    みが残存し、その両面に情報記録部位が形成されること
    を特徴とする請求項2に記載の磁気記録方法。
  4. 【請求項4】前記部材が、母材とその上に形成された表
    面層との2層構造を有し、母材が炭素鋼で表面層がオー
    ステナイトステンレス鋼の組み合わせ、母材が鋳鉄で表
    面層が表面層がマンガン銅の組み合わせ、母材がオース
    テナイトステンレス鋼で表面層がニッケルの組み合わ
    せ、母材がマンガン銅で表面層がアルミニウムの組み合
    わせ、母材が鋼材で表面層がニッケルの組み合わせのい
    ずれかであり、母材と表面層とを融合させて融合部を形
    成することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気
    記録方法。
  5. 【請求項5】前記部材が、母材とその上に形成された中
    間層とさらにその上に形成された表面層との3層構造を
    有し、母材がオーステナイトステンレス鋼、中間層が
    銅、表面層がニッケルの組み合わせ、または母材がオー
    ステナイトステンレス鋼、中間層がニッケル、表面層が
    銅の組み合わせであり、これら3層を融合させて融合部
    を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の
    磁気記録方法。
  6. 【請求項6】それぞれ材料または組成が異なる複数の層
    を積層してなる部材と、 この部材の表面に形成され、他の表面部分よりも透磁率
    が大きい情報記録部位と、を具備し、 前記情報記録部位は、前記複数の層のうち少なくとも2
    層が融合してなり、各層とは異なる組成の融合部である
    ことを特徴とする磁気記録体。
  7. 【請求項7】前記部材が、母材とその上に形成された表
    面層との2層構造を有し、母材が炭素鋼で表面層がオー
    ステナイトステンレス鋼の組み合わせ、母材が鋳鉄で表
    面層が表面層がマンガン銅の組み合わせ、母材がオース
    テナイトステンレス鋼で表面層がニッケルの組み合わ
    せ、母材がマンガン銅で表面層がアルミニウムの組み合
    わせ、母材が鋼材で表面層がニッケルの組み合わせのい
    ずれかであり、前記融合部は母材と表面層とが融合して
    なることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録体。
  8. 【請求項8】前記部材が、母材とその上に形成された中
    間層とさらにその上に形成された表面層との3層構造を
    有し、母材がオーステナイトステンレス鋼、中間層が
    銅、表面層がニッケルの組み合わせ、または母材がオー
    ステナイトステンレス鋼、中間層がニッケル、表面層が
    銅の組み合わせであり、前記融合部はこれら3層が融合
    してなることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録
    体。
  9. 【請求項9】それぞれ材料または組成が異なる複数の層
    を積層してなる部材に、その表面側から高エネルギービ
    ームを照射し、前記複数の層のうち少なくとも2層を融
    合さて各層とは組成が異なる融合部を形成し、この融合
    部は、その透磁率が部材表面の非融合部の透磁率よりも
    小さく、この融合部を情報記録部位とすることを特徴と
    する磁気記録方法。
  10. 【請求項10】それぞれ材料または組成が異なる複数の
    金属材料層を積層してなる部材に、その表面側から高エ
    ネルギービームを照射し、前記複数の層のうち少なくと
    も2層を融合させて各層とは組成が異なる融合部を形成
    し、その後、部材表面部を表面側の層の途中まで、また
    は他の層が現出するまで除去し、融合部の透磁率が新た
    な部材表面の非融合部の透磁率よりも大きくなるように
    し、この融合部を情報記録部位とすることを特徴とする
    磁気記録方法。
  11. 【請求項11】前記除去により融合部が形成された1層
    のみが残存し、その両面に情報記録部位が形成されるこ
    とを特徴とする請求項10に記載の磁気記録方法。
  12. 【請求項12】前記部材が、母材とその上に形成された
    表面層との2層構造を有し、母材が鋼材で表面層がニッ
    ケルの組み合わせであり、母材と表面層とを融合させて
    融合部を形成することを特徴とする請求項9または10に
    記載の磁気記録方法。
  13. 【請求項13】それぞれ材料または組成が異なる複数の
    層を積層してなる部材と、 この部材の表面に形成され、他の表面部分よりも透磁率
    が小さい情報記録部位と、を具備し、 前記情報記録部位は、前記複数の層のうち少なくとも2
    層が融合してなり、各層とは異なる組成の融合部である
    ことを特徴とする磁気記録体。
  14. 【請求項14】前記部材が、母材とその上に形成された
    表面層との2層構造を有し、母材が鋼材で表面層がニッ
    ケルの組み合わせであり、前記融合部は母材と表面層と
    が融合してなることを特徴とする請求項13に記載の磁気
    記録体。
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