JP2824059B2 - 耐熱性磁気スケールの製造方法 - Google Patents

耐熱性磁気スケールの製造方法

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JP2824059B2 JP62217316A JP21731687A JP2824059B2 JP 2824059 B2 JP2824059 B2 JP 2824059B2 JP 62217316 A JP62217316 A JP 62217316A JP 21731687 A JP21731687 A JP 21731687A JP 2824059 B2 JP2824059 B2 JP 2824059B2
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秀之 八木
英男 池田
俊次 大村
恩 大峯
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は高温度域で使用する耐熱性磁気スケールの
製造方法に関するものである。 〔従来の技術〕 第6図は例えば特公昭48−10655号公報に示された従
来の磁気スケールを示す断面図であり,図において,
(6)は鉄またはエリンバー(商品名)のごとき鉄合金
よりなる断面円形の棒状の基体,(7)は基体(6)の
表面にメツキまたはクラツドで被着形成された銅または
アルミニウムのごとき非磁性金属層,(8)は非磁性金
属層(7)の上に被着形成されたコバルト−ニツケルの
ごとき磁性層である。 〔発明が解決しようとする問題点〕 従来の磁気スケールは以上のように構成されており,
例えば金属データブツク(日本金属学会編,昭和49年)
の表1・2・6および表6・6・4に示さるているよう
に,鉄またはエリンバー(商品名)のごとき鉄合金の熱
膨張係数はそれぞれ12.1×10-6および8.0×10-6であ
り,銅およびアルミニウムの熱膨張係数はそれぞれ17.0
×10-6および23.5×10-6であり,また例えば耐熱鋼デー
タ集(特殊鋼倶楽部編,昭和40年)の表6(その2)に
示されているようにコバルト−ニツケルの熱膨張係数は
例えばS−816(AISI No.671)では11.9×10-6(AISI21
〜316℃)である。第6図に示すような構成では,磁気
スケールの熱膨張係数は基体の熱膨張係数でほとんど決
るが,100〜300℃の高温度領域でかかる磁気スケールを
使用した場合,基体,非磁性金属層および磁性層の熱膨
張係数がそれぞれ異なるため,基体,非磁性金属層およ
び磁性層の膨張の量が異なり,基体から非磁性金属層や
磁性層が剥離する恐れがあつた。 更に,剥離しない場合でも基体,非磁性金属層および
磁性層の熱膨張係数がそれぞれ異なるためかかる磁気ス
ケールを高温度領域で使用した場合,基体,非磁性金属
層および磁性層の膨張の量が異なるため,基体,非磁性
金属層および磁性層のそれぞれに熱膨張に伴う応力が加
わり,磁性層の磁気特性が劣化し,磁気スケールの感度
が低下するという問題点があつた。 また,磁気テープ等を磁気スケールに用いるものがあ
るが,この場合は熱により消磁されてしまい,例えば50
℃ぐらいまでしか使えないという問題点があつた。 この発明の上記のような問題点を解決するためになさ
れたもので,100℃以上でも消磁せず,温度変化に対して
も剥離が生じず,安定かつ測定精度が高い耐熱性磁気ス
ケールを製造する方法を提供することを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 製造方法は、非磁性体からなる耐熱性基材に、出力が
0.1KW〜15KW、掃引速度が1分当り0.1m〜15.0m、単位長
当りの照射エネルギーが20kJ/m〜300kJ/m、ビームの焦
点位置が基材表面から±0〜±100mmの範囲の電子ビー
ム又はレーザビーム又はプラズマにより所定間隔に熱を
加えて加熱溶融部分を磁性相にした、上記基材及び上記
加熱溶融部分の少なくともいずれか一方のキユリー点が
100℃以上のものである。 〔作用〕 磁気スケールは非磁性体からなる耐熱性基材に、所定
の加熱条件により、所定間隔で熱を加えて加熱溶融部分
を確実に磁性相にしているので、剥離等の恐れがなく、
また安定かつ測定精度が高く、さらに基材及び加熱溶融
部分の少なくともいずれか一方のキユリー点が100℃以
上であるので耐熱性がある。 〔実施例〕 以下,この発明の一実施例を図について説明する。 第1図はこの発明の一実施例による耐熱性磁気スケー
ルの製造方法を示す斜視図である。図において,(1)
は板状の耐熱性基材であり,ステンレス鋼板(例えばJI
SのSUS304)よりなる非磁性体である。(2)は電子ビ
ーム(3)等により加熱された加熱部分であり,磁気特
性が変化した部分である。この場合は磁性相を形成して
おり,基板(1)に所定間隔で形成される。 第2図はこの発明の一実施例に係る耐熱性磁気スケー
ルを着磁している様子を示す側面構成図であり,図にお
いて(10)は耐熱性磁気スケール,(4)は着磁用の電
磁石である。 第3図は第2図に示す方法によつて着磁した磁気スケ
ールを用いて変位量を検出している様子を示す斜視図で
あり,図において,(5)は磁気スケールに残留してい
る磁化を検出する例えばホール素子のようなセンサーで
ある。第4図は第3図の方法で検出された磁気量を示す
関係図であり,横軸に変位量,縦軸に磁化量をとつてい
る。 第1図において,板状の非磁性ステンレスSUS304の基
材(1)に出力1.1KW,掃引速度1.0m/min,焦点距離+50m
mの電子ビーム(3)を照射すると,電子ビームを照射
された部分は急激に加熱溶融される。続いて,電子ビー
ムを移動すると,いままで電子ビームを照射されていた
部分は今度は急激に冷却個体化される。そのため,電子
ビームを掃引した部分は線状あるいは面状に急激な加熱
冷却作用を受け,極度の残留応力が発生する。SUS304の
ような非磁性ステンレスでは応力によつて,結晶構造が
面心立方格子から一部,磁性体の体心立方格子に変化
し,磁性を帯びることがしられており,そのため,板状
の非磁性ステンレスSUS304の基材に電子ビームを照射し
たので基材の表面あるいは内部に線状あるいは面状の磁
性相(2),即ち磁気格子が形成される。 上述のように形成された磁気格子は,極度の応力を受
けているため保磁力が大きく第2図に示す方法で着磁す
ると,大きな残留磁化が発生する。従つて,電子ビーム
を照射する間隔を任意に選び,第3図のように残留磁化
量を検出する素子例えばホール素子などを用いることに
より,第4図に示すような変位量と残留磁化量の関係図
が得られ,変位の検出が可能となる。また,この発明で
は非磁性の基材の表面あるいは内部の一方あるいは両方
に線状あるいは面状にある間隔でそれぞれ独立して熱的
方法により磁性相を形成したので,残留磁化が第4図に
示すようにパルス的に検出され,従来の方法に比べ安定
で,かつ非常に検出感度が高くなる。 また,加熱部分(2)は基材(1)そのものを磁性を
もつた体心立方格子に変化させて形成されたものであ
り,100℃以上のキユリー点を共に有するので,耐熱性が
ある。 なお,この実施例では,電子ビームの出力を1.1KWと
したが,0.1〜15KWの範囲であつてもよい。なお,電子ビ
ームの出力が0.1W未満では掃引速度を非常に遅くしなけ
れば基体が溶融しないので磁性相が形成できず,また,1
5KWを越えると掃引速度を非常に速くしなければ溶融幅
が広くなり溶融体が急冷されないので磁性相が形成しな
くなるので実用的でない。 電子ビームの掃引速度を1.0m/minとしたが,0.1〜15.0
m/minの範囲であつてもよい。また,電子ビームの焦点
距離を基体表面から+50mmとしたが,±0〜±100mmの
範囲であつてもよい。なお,電子ビームの焦点距離が+
100mmを越える場合や−100mm未満の場合には電子ビーム
の焦点が離れすぎるので基体が溶融せず磁性相が形成し
ない。なお単位長当りの照射エネルギーは20kJ/m〜300k
J/mがのぞましい。 また,上記実施例では電子ビームにより加熱したが,
他の加熱方法,例えばレーザビーム,プラズマ,抵抗加
熱による加熱するようにしてもよい。 なお,例えばレーザビームの場合も,出力,掃引速
度,焦点距離等が電子ビームの場合と同様に限定され
る。さらに,上記実施例では,耐熱性基材(1)として
非磁性ステンレスSUS304を用いたが,他の非磁性ステン
レス鋼,例えばSUS316,SOS309,SUS310などであつてもよ
いし,又,銅,Al等であつてもよい。 また,基材(1)は上記のような非磁性体でなくても
焼き入れ硬化が可能な合金,例えば炭素鋼S35Cのような
強磁性体であつてもよい。S35Cのような炭素鋼では急激
な溶融固化を行なうと焼き入れ効果により硬度が非常に
高くなることが知られている。従つて強磁性の炭素鋼S3
5Cの基材に電子ビームを照射すれば基材の表面あるいは
内部に線状あるいは面状の磁気特性の変化層,即ち磁気
格子が形成される。上述のように形成された磁気格子
は,極度の応力を受けて硬度が高くなつているため保磁
力が大きく第2図に示す方法で電磁石(4)を使つて着
磁すると,大きな残留磁化が発生する。従つて前記実施
例と同様電子ビームを照射する間隔を任意に選び,第3
図のように残留磁化量を検出する素子例えばホール素子
(5)などを用いることにより,第4図に示すような変
位量と残留磁化量の関係図が得られ,変位の検出が可能
となる。 強磁性体としては,他の耐熱性の優れた強磁性材料で
磁気特性が変化する素材であれば例えばフエライト系又
はマルテンサイト系ステンレスでもよく,加熱によつて
軟化するインバータのようなFe−Ni合金であつてもよ
い。 また,上記実施例では基材及び加熱部分の少なくとも
いずれか一方を着磁して残留磁化量を検出するようにし
たが,あらかじめ着磁せずに,検出時に,第5図に示す
ように,励磁用磁石(4)と磁束量を検出する素子,例
えばホール素子(5)などを用いて第4図と同様の変位
量と検出磁束量の関係が得られ,変位の検出が可能とな
る。 また,このような励磁式の磁気検出器を用いれば,3〜
4百℃の高温にさらされるような環境下でも使用するこ
とができる。 〔発明の効果〕 以上のように,この発明によれば、非磁性体からなる
耐熱性基材に、出力が0.1KW〜15KW、掃引速度が1分当
り0.1m〜15.0m、単位長当りの照射エネルギーが20kJ/m
〜300kJ/m、ビームの焦点位置が基材表面から±0〜±1
00mmの範囲の電子ビーム又はレーザビーム又はプラズマ
により所定間隔に熱を加えて加熱溶融部分を磁性相に
し、上記基材及び上記加熱溶融部分の少なくともいずれ
か一方のキユリー点を100℃以上となるようにしたの
で,高温でも消磁せず耐熱性のある磁気スケールが得ら
れる。また,温度変化に対して剥離等の恐れがなく,安
定かつ測定精度の高いものが製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明の一実施例による耐熱性磁気スケール
の製造方法を示す斜視図,第2図はこの発明の一実施例
に係る耐熱性磁気スケールを着磁している様子を示す側
面構成図,第3図はこの発明に係る耐熱性磁気スケール
を用いて変位量を検出する様子を示す斜視図,第4図は
第3図の方法で検出された磁化量と変位量の関係を示す
関係図,第5図はこの発明の他の実施例に係る耐熱性磁
気スケールを用いて変位量を検出する様子を示す斜視図
及び第6図は従来の磁気スケールを示す断面図である。 (1)……耐熱性基材,(2)……加熱部分,(3)…
…電子ビーム,(4)……電磁石,(5)……ホール素
子,(10)……耐熱性磁気スケール なお,図中,同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 英男 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 大村 俊次 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社材料研究所内 (72)発明者 大峯 恩 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 森安 雅治 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−16309(JP,A) 特開 昭62−129704(JP,A) 特開 昭50−3017(JP,A) 特開 昭61−269004(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.非磁性体からなる耐熱性基材に、出力が0.1KW〜15K
    W、掃引速度が1分当り0.1m〜15.0m、単位長当りの照射
    エネルギーが20kJ/m〜300kJ/m、ビームの焦点位置が基
    材表面から±0〜±100mmの範囲の電子ビーム又はレー
    ザビーム又はプラズマにより所定間隔に熱を加えて加熱
    溶融部分を磁性相にした、上記基材及び上記加熱溶融部
    分の少なくともいずれか一方のキュリー点が100℃以上
    である耐熱性磁気スケールの製造方法。 2.耐熱性基材はステンレス鋼板である特許請求の範囲
    第1項記載の耐熱性磁気スケールの製造方法。 3.基材及び加熱溶融部分の少なくともいずれか一方を
    着磁した特許請求の範囲第1項または第2項に記載の耐
    熱性磁気スケールの製造方法。
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