JPH08333627A - 直接切削用高強度棒鋼の製造方法 - Google Patents
直接切削用高強度棒鋼の製造方法Info
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- JPH08333627A JPH08333627A JP16461595A JP16461595A JPH08333627A JP H08333627 A JPH08333627 A JP H08333627A JP 16461595 A JP16461595 A JP 16461595A JP 16461595 A JP16461595 A JP 16461595A JP H08333627 A JPH08333627 A JP H08333627A
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- Japan
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- rolling
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 制御圧延が不要で,調質工程を省略すること
ができる,靱性に優れた直接切削用高強度棒鋼の製造方
法を提供すること。 【構成】 重量比にて,C;0.30〜0.50%,S
i;0.05〜2.00%,Mn;1.5〜3.0%,
Cr;0.5〜1.5%,Mo;0.05〜0.50
%,Ni;0.01〜2.00%,V;0.03〜0.
30%,Al;0.003〜0.100%を含有し,残
部がFe及び不純物元素からなり,(Si+Ni)/2
+Mn+Cr+2Mo≧2.6の関係を有する鋼を,熱
間圧延した後,500℃〜700℃において熱処理す
る。
ができる,靱性に優れた直接切削用高強度棒鋼の製造方
法を提供すること。 【構成】 重量比にて,C;0.30〜0.50%,S
i;0.05〜2.00%,Mn;1.5〜3.0%,
Cr;0.5〜1.5%,Mo;0.05〜0.50
%,Ni;0.01〜2.00%,V;0.03〜0.
30%,Al;0.003〜0.100%を含有し,残
部がFe及び不純物元素からなり,(Si+Ni)/2
+Mn+Cr+2Mo≧2.6の関係を有する鋼を,熱
間圧延した後,500℃〜700℃において熱処理す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,調質工程が省略可能
な,直接切削用の高強度棒鋼の製造方法に関する。
な,直接切削用の高強度棒鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来,ピストンロッド,ピン,シャフト等
の高強度を必要とする部品を棒鋼を切削して製造する場
合には,例えばSCM435,SCM440等のCr,
Mo等を含有した合金鋼を用いて,所定の形状に切削
後,焼入れ焼戻し(以下,適宜調質という)を行い,熱
処理ひずみを矯正し,再度,切削,研削などにより仕上
げ加工を行って製造していた。即ち,上記合金鋼等の熱
間圧延鋼材に,調質を行うことにより高強度かつ高靱性
の特性を付加していた。
の高強度を必要とする部品を棒鋼を切削して製造する場
合には,例えばSCM435,SCM440等のCr,
Mo等を含有した合金鋼を用いて,所定の形状に切削
後,焼入れ焼戻し(以下,適宜調質という)を行い,熱
処理ひずみを矯正し,再度,切削,研削などにより仕上
げ加工を行って製造していた。即ち,上記合金鋼等の熱
間圧延鋼材に,調質を行うことにより高強度かつ高靱性
の特性を付加していた。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の棒
鋼を切削して高強度部品を製造する方法においては,次
の問題点がある。即ち,上記調質工程は,多くのエネル
ギー,時間を必要とするため,コストが非常に高い。そ
のため,得られる高強度部品は高価なものとなってい
る。それ故,この調質工程を省略することによって,大
幅なコスト低減及び省エネルギー化の社会的要請に応え
ることが望まれている。
鋼を切削して高強度部品を製造する方法においては,次
の問題点がある。即ち,上記調質工程は,多くのエネル
ギー,時間を必要とするため,コストが非常に高い。そ
のため,得られる高強度部品は高価なものとなってい
る。それ故,この調質工程を省略することによって,大
幅なコスト低減及び省エネルギー化の社会的要請に応え
ることが望まれている。
【0004】これに対し,調質工程を省略する方法とし
て,強度を高めるためにVを添加した非調質鋼を用い,
さらに熱間圧延時に制御圧延を行って結晶粒の微細化を
図り,強度,靱性を高める方法(例えば特開平6−17
122号等)が提案されている。しかし,制御圧延は,
材料の加熱温度,圧延仕上温度,冷却速度等を規制する
圧延方法であるため,圧延能率を低下させ,却って製造
コストをアップしてしまう。また,非調質鋼の靱性は,
同一強度の調質鋼の靱性に比べて一般的に劣る。
て,強度を高めるためにVを添加した非調質鋼を用い,
さらに熱間圧延時に制御圧延を行って結晶粒の微細化を
図り,強度,靱性を高める方法(例えば特開平6−17
122号等)が提案されている。しかし,制御圧延は,
材料の加熱温度,圧延仕上温度,冷却速度等を規制する
圧延方法であるため,圧延能率を低下させ,却って製造
コストをアップしてしまう。また,非調質鋼の靱性は,
同一強度の調質鋼の靱性に比べて一般的に劣る。
【0005】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,制御圧延が不要で,調質工程を省略する
ことができる,靱性に優れた直接切削用高強度棒鋼の製
造方法を提供しようとするものである。
されたもので,制御圧延が不要で,調質工程を省略する
ことができる,靱性に優れた直接切削用高強度棒鋼の製
造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は,重量比にて,C;0.3
0〜0.50%,Si;0.05〜2.00%,Mn;
1.5〜3.0%,Cr;0.5〜1.5%,Mo;
0.05〜0.50%,Ni;0.01〜2.00%,
V;0.03〜0.30%,Al;0.003〜0.1
00%を含有し,残部がFe及び不純物元素からなり,
(Si+Ni)/2+Mn+Cr+2Mo≧2.6の関
係を有する鋼を,熱間圧延した後,500℃〜700℃
において熱処理することを特徴とする直接切削用高強度
棒鋼の製造方法にある。
0〜0.50%,Si;0.05〜2.00%,Mn;
1.5〜3.0%,Cr;0.5〜1.5%,Mo;
0.05〜0.50%,Ni;0.01〜2.00%,
V;0.03〜0.30%,Al;0.003〜0.1
00%を含有し,残部がFe及び不純物元素からなり,
(Si+Ni)/2+Mn+Cr+2Mo≧2.6の関
係を有する鋼を,熱間圧延した後,500℃〜700℃
において熱処理することを特徴とする直接切削用高強度
棒鋼の製造方法にある。
【0007】本発明において最も注目すべきことは,上
記特定の組成を有し,かつ(Si+Ni)/2+Mn+
Cr+2Mo≧2.6の関係を有することである。そし
て,熱間圧延した後,500℃〜700℃において熱処
理することである。
記特定の組成を有し,かつ(Si+Ni)/2+Mn+
Cr+2Mo≧2.6の関係を有することである。そし
て,熱間圧延した後,500℃〜700℃において熱処
理することである。
【0008】まず本発明における成分組成の限定理由に
ついて述べる。 C;0.30〜0.50%, Cは所定の強度を得るために必要な基本元素であって,
0.30%未満の場合にはその効果が得られない。好ま
しくは0.35%以上がよい。一方0.50%を越える
と靱性が劣化し,高靱性を得ることが困難となる。好ま
しくは0.45%以下がよい。
ついて述べる。 C;0.30〜0.50%, Cは所定の強度を得るために必要な基本元素であって,
0.30%未満の場合にはその効果が得られない。好ま
しくは0.35%以上がよい。一方0.50%を越える
と靱性が劣化し,高靱性を得ることが困難となる。好ま
しくは0.45%以下がよい。
【0009】Si;0.05〜2.00%, Siは脱酸に必要な元素であって,0.05%未満の場
合にはその効果が得られない。好ましくは0.15%以
上がよい。一方2.00%を越える場合には高靱性が得
られなくなる。好ましくは0.35%以下がよい。
合にはその効果が得られない。好ましくは0.15%以
上がよい。一方2.00%を越える場合には高靱性が得
られなくなる。好ましくは0.35%以下がよい。
【0010】Mn;1.5〜3.0%, Mnは鋼の強度を確保するために必要であると共に,焼
入れ性向上のために必要な元素であって,1.5%未満
の場合にはその効果が得られない。一方3.0%を越え
る場合には高靱性が得られなくなる。好ましくは2.0
%以下がよい。
入れ性向上のために必要な元素であって,1.5%未満
の場合にはその効果が得られない。一方3.0%を越え
る場合には高靱性が得られなくなる。好ましくは2.0
%以下がよい。
【0011】Cr;0.5〜1.5%, CrはMnと同様に焼入れ性向上のために必要な元素で
あって,0.5%未満の場合にはその効果が得られな
い。好ましくは0.7%以上がよい。一方1.5%を越
える場合には焼入性向上効果が飽和し,かつコスト高と
なる。好ましくは1.2%以下がよい。
あって,0.5%未満の場合にはその効果が得られな
い。好ましくは0.7%以上がよい。一方1.5%を越
える場合には焼入性向上効果が飽和し,かつコスト高と
なる。好ましくは1.2%以下がよい。
【0012】Mo;0.05〜0.50%, MoもMnと同様に焼入れ性向上のために必要な元素で
あって,0.05%未満の場合にはその効果が得られな
い。好ましくは0.15%以上がよい。一方0.50%
を越える場合には焼入性向上効果が飽和し,かつコスト
高となる。好ましくは0.30%以下がよい。
あって,0.05%未満の場合にはその効果が得られな
い。好ましくは0.15%以上がよい。一方0.50%
を越える場合には焼入性向上効果が飽和し,かつコスト
高となる。好ましくは0.30%以下がよい。
【0013】Ni;0.01〜2.00%, NiもMnと同様に焼入れ性向上のために必要な元素で
あって,0.01%未満の場合にはその効果が得られな
い。一方2.00%を越える場合には焼入性向上効果が
飽和し,かつコスト高となる。好ましくは,0.20%
以下がよい。
あって,0.01%未満の場合にはその効果が得られな
い。一方2.00%を越える場合には焼入性向上効果が
飽和し,かつコスト高となる。好ましくは,0.20%
以下がよい。
【0014】V;0.03〜0.30%, Vはフェライト強化に必要な元素であって,0.03%
未満の場合にはその効果が得られない。一方0.30%
を越える場合にはフェライト強化効果が飽和してしま
う。好ましくは0.15%以下がよい。
未満の場合にはその効果が得られない。一方0.30%
を越える場合にはフェライト強化効果が飽和してしま
う。好ましくは0.15%以下がよい。
【0015】Al;0.003〜0.100%, Alは脱酸剤として必要な元素であって,0.003%
未満の場合にはその効果が得られない。一方0.100
%を越える場合には高靱性が得られなくなる。好ましく
は0.050%以下がよい。
未満の場合にはその効果が得られない。一方0.100
%を越える場合には高靱性が得られなくなる。好ましく
は0.050%以下がよい。
【0016】また,本発明の製造方法によって得られた
直接切削用高強度棒鋼は,前記したように圧延後にベイ
ナイトとマルテンサイト組織を生成させて,その後の熱
処理により高靱性を得ている。従って,より優れた高強
度,高靱性を得るには一定量以上のベイナイト及びマル
テンサイト組織を確保することが望ましい。具体的には
ベイナイトとマルテンサイト組織の熱間圧延後熱処理前
における合計面積率を50%以上とすることが望まし
い。また,より好ましくは70%以上がよい。
直接切削用高強度棒鋼は,前記したように圧延後にベイ
ナイトとマルテンサイト組織を生成させて,その後の熱
処理により高靱性を得ている。従って,より優れた高強
度,高靱性を得るには一定量以上のベイナイト及びマル
テンサイト組織を確保することが望ましい。具体的には
ベイナイトとマルテンサイト組織の熱間圧延後熱処理前
における合計面積率を50%以上とすることが望まし
い。また,より好ましくは70%以上がよい。
【0017】また,(Si+Ni)/2+Mn+Cr+
2Mo(以下,関係式Kという)が2.6未満の場合に
は,圧延後の放冷によってはベイナイト又はマルテンサ
イトが十分に生成せず,その結果熱処理後に優れた高強
度,高靱性が得られないという問題がある。
2Mo(以下,関係式Kという)が2.6未満の場合に
は,圧延後の放冷によってはベイナイト又はマルテンサ
イトが十分に生成せず,その結果熱処理後に優れた高強
度,高靱性が得られないという問題がある。
【0018】また,上記熱処理が500℃未満の場合に
は機械的特性の改善が十分でなく,満足できる高靱性が
得られないという問題があり,700℃を越える場合に
は強度が急激に低くなってしまうという問題がある。
は機械的特性の改善が十分でなく,満足できる高靱性が
得られないという問題があり,700℃を越える場合に
は強度が急激に低くなってしまうという問題がある。
【0019】
【作用および効果】本発明の直接切削用高強度棒鋼の製
造方法においては,上記特定の組成の鋼を用いる。そし
て,上記した焼入性の大小に関係する成分の式Kを2.
6以上に設定しているため,熱間圧延後に単に放冷する
だけで,いわゆる焼入れ処理と同等の効果が発揮され,
マルテンサイト及びベイナイト組織が必要量生成され高
強度が得られる。
造方法においては,上記特定の組成の鋼を用いる。そし
て,上記した焼入性の大小に関係する成分の式Kを2.
6以上に設定しているため,熱間圧延後に単に放冷する
だけで,いわゆる焼入れ処理と同等の効果が発揮され,
マルテンサイト及びベイナイト組織が必要量生成され高
強度が得られる。
【0020】次いで,500℃〜700℃において熱処
理を行う。そのため,上記マルテンサイト及びベイナイ
トに対しては,いわゆる焼入れ後の焼戻し処理とほぼ同
等の処理がなされることとなる。それ故,得られた直接
切削用高強度棒鋼は,大幅に靱性が向上する。
理を行う。そのため,上記マルテンサイト及びベイナイ
トに対しては,いわゆる焼入れ後の焼戻し処理とほぼ同
等の処理がなされることとなる。それ故,得られた直接
切削用高強度棒鋼は,大幅に靱性が向上する。
【0021】また,本発明は,前記した先願の非調質鋼
のように制御圧延をする必要もなく,通常の圧延条件で
圧延することができ,生産性が低下する心配もない。さ
らに500〜700℃の熱処理ですむので,調質に比べ
エネルギーコストを節約することができる。
のように制御圧延をする必要もなく,通常の圧延条件で
圧延することができ,生産性が低下する心配もない。さ
らに500〜700℃の熱処理ですむので,調質に比べ
エネルギーコストを節約することができる。
【0022】
【実施例】本発明の実施例にかかる直接切削用高強度棒
鋼の製造方法につき,説明する。本例においては,表1
に示すごとく,比較鋼,従来鋼も含めて16種類の化学
成分からなる試料を用いてφ100mmの棒鋼を試作
し,その性能を評価した。
鋼の製造方法につき,説明する。本例においては,表1
に示すごとく,比較鋼,従来鋼も含めて16種類の化学
成分からなる試料を用いてφ100mmの棒鋼を試作
し,その性能を評価した。
【0023】試料No.E1〜E7は,成分範囲が本発
明範囲内のものであり,一方,試料No.C8〜C11
は一部の成分が本発明の範囲を外れる比較鋼であり,試
料No.C12は,従来より焼入れ焼戻し処理を施して
用いられた従来鋼SCM440であり,試料No.C1
3は,前記した制御圧延により製造されることを特徴と
する非調質鋼である。
明範囲内のものであり,一方,試料No.C8〜C11
は一部の成分が本発明の範囲を外れる比較鋼であり,試
料No.C12は,従来より焼入れ焼戻し処理を施して
用いられた従来鋼SCM440であり,試料No.C1
3は,前記した制御圧延により製造されることを特徴と
する非調質鋼である。
【0024】また,表1には,化学成分の他に,関係式
K=(Si+Ni)/2+Mn+Cr+2Moの値と,
熱間圧延後熱処理前のミクロ組織におけるマルテンサイ
トとベイナイトの面積率を示してある。
K=(Si+Ni)/2+Mn+Cr+2Moの値と,
熱間圧延後熱処理前のミクロ組織におけるマルテンサイ
トとベイナイトの面積率を示してある。
【0025】最初に,各試料を用いた棒鋼の製造方法に
つき説明する。まず,熱間圧延までの製造条件は,従来
鋼2を除く全ての試料については同様の条件で行った。
即ち,各成分からなる鋼塊を,加熱温度1265℃,圧
延温度950℃〜1200℃でφ100mmに熱間圧延
した。次いで,試料No.E1〜E7及びC8〜C11
については,熱間圧延後に,種々の温度で熱処理を施し
た。
つき説明する。まず,熱間圧延までの製造条件は,従来
鋼2を除く全ての試料については同様の条件で行った。
即ち,各成分からなる鋼塊を,加熱温度1265℃,圧
延温度950℃〜1200℃でφ100mmに熱間圧延
した。次いで,試料No.E1〜E7及びC8〜C11
については,熱間圧延後に,種々の温度で熱処理を施し
た。
【0026】試料No.E1〜E7のうち,500℃〜
700℃の範囲内において熱処理したものについては本
発明(試験No.1〜8)とし,400℃又は750℃
で熱処理したものについては比較例1(試験No.9〜
11)とした。また,試料No.C8〜C11のうち,
500℃〜700℃の範囲内において熱処理したものに
ついては比較例2(試験No.12〜15)とし,40
0℃で熱処理したものについては比較例3(試験No.
16,17)とした。
700℃の範囲内において熱処理したものについては本
発明(試験No.1〜8)とし,400℃又は750℃
で熱処理したものについては比較例1(試験No.9〜
11)とした。また,試料No.C8〜C11のうち,
500℃〜700℃の範囲内において熱処理したものに
ついては比較例2(試験No.12〜15)とし,40
0℃で熱処理したものについては比較例3(試験No.
16,17)とした。
【0027】また,従来鋼1については,熱間圧延した
後に,焼入れ焼戻し工程を追加した。従来鋼2について
は,加熱温度1265℃,圧延温度950〜1200℃
の再結晶域圧延を行ない,続いて850〜950℃で減
面率30%以上の未再結晶域圧延を行うという制御され
た条件でφ100mmまで熱間圧延をした後,何ら熱処
理を加えなかった。
後に,焼入れ焼戻し工程を追加した。従来鋼2について
は,加熱温度1265℃,圧延温度950〜1200℃
の再結晶域圧延を行ない,続いて850〜950℃で減
面率30%以上の未再結晶域圧延を行うという制御され
た条件でφ100mmまで熱間圧延をした後,何ら熱処
理を加えなかった。
【0028】次に,得られたφ100mmの棒鋼の強
度,靱性等の評価を行うため,以下の各種試験等を実施
した。引張試験は,φ100mmの棒鋼の直径方向1/
4から切り出したJIS4号試験片を用いて行い,降伏
点,引張強さを求めた。靱性を評価するためのシャルピ
ー衝撃試験においては,引張試験片と同等の位置から切
り出したJIS3号試験片を用いて常温において行っ
た。硬さは,引張試験片と同等の位置から切り出した試
験片を用いて,荷重10kgにおいてビッカース硬さ測
定を行った。これらの結果を表2に示す。
度,靱性等の評価を行うため,以下の各種試験等を実施
した。引張試験は,φ100mmの棒鋼の直径方向1/
4から切り出したJIS4号試験片を用いて行い,降伏
点,引張強さを求めた。靱性を評価するためのシャルピ
ー衝撃試験においては,引張試験片と同等の位置から切
り出したJIS3号試験片を用いて常温において行っ
た。硬さは,引張試験片と同等の位置から切り出した試
験片を用いて,荷重10kgにおいてビッカース硬さ測
定を行った。これらの結果を表2に示す。
【0029】表2より知られるごとく,試験No.1〜
8の本発明のものについては,成分,製造条件ともに本
発明の範囲内であるため,強度,靱性ともに良好な性能
を示した。これに対し,比較例1における試験No.9
については,本発明の成分範囲内の試料No.E3を使
用しているにもかかわらず,熱処理温度が高すぎるため
に,引張強さ等により示される強度が非常に低くなっ
た。一方試験No.10,11については,試料No.
E4,E7を使用しているにもかかわらず,熱処理温度
が低いために,熱処理による効果が十分に得られず,靱
性が非常に低かった。
8の本発明のものについては,成分,製造条件ともに本
発明の範囲内であるため,強度,靱性ともに良好な性能
を示した。これに対し,比較例1における試験No.9
については,本発明の成分範囲内の試料No.E3を使
用しているにもかかわらず,熱処理温度が高すぎるため
に,引張強さ等により示される強度が非常に低くなっ
た。一方試験No.10,11については,試料No.
E4,E7を使用しているにもかかわらず,熱処理温度
が低いために,熱処理による効果が十分に得られず,靱
性が非常に低かった。
【0030】試験No.12,13においては,供試鋼
にVを添加しないかわりに,強度を得るため,C8はS
i,C9はMn量を増量した鋼を600℃で熱処理した
場合であるが,SiあるいはMnの過剰な添加のために
靱性が低くなったものである。また,試験No.14,
15については,上記関係式Kの値が2.6未満の試料
No.C10,C11を用いたため,圧延後に必要量の
マルテンサイトとベイナイトを確保できず,その結果強
度が低くなったものである。また,C10においてはC
11に比べC量が少ないため,靱性が高くなると考えら
れたが,Alを過剰に添加したために靱性が低くなった
ものである。
にVを添加しないかわりに,強度を得るため,C8はS
i,C9はMn量を増量した鋼を600℃で熱処理した
場合であるが,SiあるいはMnの過剰な添加のために
靱性が低くなったものである。また,試験No.14,
15については,上記関係式Kの値が2.6未満の試料
No.C10,C11を用いたため,圧延後に必要量の
マルテンサイトとベイナイトを確保できず,その結果強
度が低くなったものである。また,C10においてはC
11に比べC量が少ないため,靱性が高くなると考えら
れたが,Alを過剰に添加したために靱性が低くなった
ものである。
【0031】また,比較例3の試験No.16,17に
ついては,上記試験No.14,15に比べ熱処理温度
を低くして,熱処理による強度の低下を抑えたものであ
るが,No.14,15に比べ,さらに靱性が劣るもの
である。
ついては,上記試験No.14,15に比べ熱処理温度
を低くして,熱処理による強度の低下を抑えたものであ
るが,No.14,15に比べ,さらに靱性が劣るもの
である。
【0032】また,従来鋼1においては,焼入れ焼戻し
処理を施しているため,優れた強度,靱性が得られる
が,コスト高とならざるを得ない。さらに,制御圧延を
施した非調質鋼である従来鋼2は,前述したように調質
鋼に比べ,強度は同等であるが,靱性が劣るものであ
る。
処理を施しているため,優れた強度,靱性が得られる
が,コスト高とならざるを得ない。さらに,制御圧延を
施した非調質鋼である従来鋼2は,前述したように調質
鋼に比べ,強度は同等であるが,靱性が劣るものであ
る。
【0033】したがって,本例においては上記特定の成
分範囲内の鋼を用い,上記特定の製造方法により製造す
ることによって,焼入れ焼戻し及び制御圧延をすること
なく,従来の焼入れ焼戻し処理を施したものと同等の強
度及び靱性を有する優れた直接切削用高強度棒鋼を得ら
れることがわかる。
分範囲内の鋼を用い,上記特定の製造方法により製造す
ることによって,焼入れ焼戻し及び制御圧延をすること
なく,従来の焼入れ焼戻し処理を施したものと同等の強
度及び靱性を有する優れた直接切削用高強度棒鋼を得ら
れることがわかる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比にて,C;0.30〜0.50
%,Si;0.05〜2.00%,Mn;1.5〜3.
0%,Cr;0.5〜1.5%,Mo;0.05〜0.
50%,Ni;0.01〜2.00%,V;0.03〜
0.30%,Al;0.003〜0.100%を含有
し,残部がFe及び不純物元素からなり,(Si+N
i)/2+Mn+Cr+2Mo≧2.6の関係を有する
鋼を,熱間圧延した後,500℃〜700℃において熱
処理することを特徴とする直接切削用高強度棒鋼の製造
方法。 - 【請求項2】 請求項1において,熱間圧延後熱処理前
のミクロ組織をベイナイトとマルテンサイトとを合わせ
た面積率で50%以上とすることを特徴とする直接切削
用高強度棒鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16461595A JPH08333627A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 直接切削用高強度棒鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16461595A JPH08333627A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 直接切削用高強度棒鋼の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08333627A true JPH08333627A (ja) | 1996-12-17 |
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ID=15796566
Family Applications (1)
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JP16461595A Pending JPH08333627A (ja) | 1995-06-06 | 1995-06-06 | 直接切削用高強度棒鋼の製造方法 |
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JP (1) | JPH08333627A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001061057A1 (en) * | 2000-02-15 | 2001-08-23 | Cargill, Incorporated | Bar product, cylinder rods, hydraulic cylinders, and method for manufacturing |
-
1995
- 1995-06-06 JP JP16461595A patent/JPH08333627A/ja active Pending
Cited By (2)
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WO2001061057A1 (en) * | 2000-02-15 | 2001-08-23 | Cargill, Incorporated | Bar product, cylinder rods, hydraulic cylinders, and method for manufacturing |
US6395109B1 (en) * | 2000-02-15 | 2002-05-28 | Cargill, Incorporated | Bar product, cylinder rods, hydraulic cylinders, and method for manufacturing |
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